文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社の社名は、世界最深地点で生存が確認された深海魚の名前(ヨミノアシロ)を拝借しており、「アシロに関わる人を誰よりも深く幸せにすることで、よりよい社会の実現に貢献する」という企業理念の下、表層的なサービスではなく、日常生活の基盤やインフラと成り得るサービスの創出を目指しております。
上記の企業理念の下、当社グループは、社会的基盤である法律・弁護士業界とインターネットを結びつけた事業を営んでおります。収益の大部分を占める「リーガルメディア」はストック型の収益構造であることから、安定的な成長を目指すことが出来るビジネスモデルとなっており、引き続き当該事業の拡大を図るとともに、「派生メディア事業」「HR事業」「保険事業」等の当社経営資源を活かした新規事業の積極的な展開を通じて、更なる成長を図って参ります。
(2)経営目標を達成するための主要な経営指標
当社グループは、経営目標を達成するため、収益の大部分を占める「リーガルメディア」の有料広告の掲載枠数を主要な経営指標と位置づけております。なお、掲載枠数は、顧客である弁護士がサイト内で出稿している有料広告の枠の数であり、掲載枠数に掲載枠単価を乗じた金額を顧客である弁護士から得ております。また、掲載枠数増加のためには顧客満足度の改善が必須であることから、解約率についても主要な経営指標と位置づけております。
(3)経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
わが国における2021年の総広告費6兆7,998億円のうち、当社グループの事業領域であるインターネット広告費は2兆7,052億円となり全体の39.8%を占め、一貫して成長を続けている結果、マスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア広告費の合算)を初めて上回りました。(出所:株式会社電通「2021年日本の広告費」)。また、当社グループの主要顧客である弁護士市場に関しては、2021年の弁護士数は約4.3万人となり、増加を続けております(出所:日本弁護士連合会「弁護士白書 2021年版」)。
このような事業環境のもと、当社グループは、今後、中長期的な企業の成長のための経営戦略を実行し、企業理念を実現するため、以下の事項を重要な課題と認識し、解決に向けて取り組んでおります。
① リーガルメディアの掲載枠数並びにブランド認知の拡大
当社グループがサービス提供しているリーガルメディアは、法律問題の中で特定の事件分野に特化したメディアサイトとし、ユーザーに優良かつ信頼性の高いコンテンツを提供することによりサイトの価値を向上させ、顧客である弁護士・弁護士法人の集客支援を行ってまいりましたが、今後の成長のために更なる掲載枠数の拡大が課題であると認識しております。
この課題に対応するため、営業活動や契約後の顧客サポートを行うカスタマーサクセス活動の強化により、新規契約数を増加させるとともに解約率を引き下げることで掲載枠数の増加を図っております。
また、コンテンツの制作やサイトのUI/UX、デザイン、導線などの改善といったユーザー満足度向上施策を実施するとともに、顧客の声をヒアリングして問合せの質の面でも改善を進めることで、良質な問合せ数の増加を図ることを主眼としたウェブマーケティングを展開しております。一方で、ウェブマーケティングはGoogleの検索順位アルゴリズムの変動リスクが存在していることから、自然検索経由以外の流入経路を確保することが望ましいものとなります。
この課題に対応するため、当社では従来から広告経由の流入に努めております。加えて、「ベンナビ」ブランドへの移行を予定しており、ブランド認知施策を推し進めることでユーザーに「ベンナビ」を認知いただき、指名検索経由での流入の増加に取り組んでまいります。
② 新規事業領域の拡大による新たな収益源の確保
当社グループ収益の大部分(第7期連結会計年度における収益全体のうちリーガルメディアが占める比率66.8%)はリーガルメディアによって占められており、新たな事業を成長させ、より強固な収益基盤を築くことが、今後の発展において重要であると考えております。
この課題に対応するため、派生メディアでは主力の転職メディア「キャリズム」において、取扱い職種の拡大を進めることで売上成長とともに特定職種での市況悪化リスクの分散を図ってまいります。また、派生メディアの定義を「リーガルメディアからの派生分野」から、「既存ノウハウを生かした派生分野」に広げ、新たな分野(サイト)での事業展開も進めてまいります。
HR事業についてはこれまで主に弁護士の人材紹介サービスを行ってまいりましたが、足元は公認会計士・税理士等の他士業や、人事・総務、経理等の管理部門人材の人材紹介サービスも開始し、当社人材紹介サービスへの新規登録者数は大きく増加しております。今後、HR事業の人員体制を強化することで、新規登録者数の増加を売上成長に繋げてまいります。
保険事業は2022年4月28日に連結子会社化したアシロ少短が営む少額短期保険業で構成されている事業セグメントであり、ウェブマーケティングや営業体制を強化するとともにリーガルメディアのブランド認知施策と一体となったプロモーションを行うことにより、取り扱っている弁護士費用保険の保有契約件数を増加させ、売上成長並びに早期の黒字化を図ってまいります。
③ 組織体制の強化
当社グループは、今後の更なる成長のため、人員確保と組織体制の整備が重要な課題であると認識しております。掲載枠数の増加及びクライアントへのきめ細やかな対応を実施するために営業担当者やカスタマーサクセス担当者の採用を進めていく必要があります。また、メディアサイトの価値向上のため、サービスの品質・機能を向上させることができるウェブマーケティング人材、開発を迅速に行える技術者、UI/UXを改善させることができるデザイナーの採用も適時に進めていく必要があります。
人材確保においては、中途採用に加えて新卒採用も積極的に行っており、また、従業員からの紹介制度の充実やソーシャルメディアを活用した方法等、採用方法の多様化を図り、着実に組織体制の整備を進めてまいります。
④ 運営サイトの安定的な稼働
当社グループは、リーガルメディア関連事業としてウェブサイトの運営を行っており、運営サイトの安定的な稼働が重要な課題と認識しております。
このため、システム保守体制の構築、運営サイトのユーザー数の増加に対応できるシステム環境の整備、及び情報システムセキュリティの維持により、運営サイトの安定的な稼働に努めてまいります。
以下において、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスク要因に該当しないものにつきましても、投資者の投資判断上、あるいは当社グループの事業をご理解いただく上で重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、以下の記載事項は、当社株式への投資に関連するリスクを網羅するものではありませんのでご留意下さい。
なお、以下の記載事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)事業環境に関するリスクについて
① インターネットの利用環境及びインターネット関連市場について
当社グループは、リーガルメディア関連事業を主たる事業領域としていることから、インターネットの利用環境の向上及びインターネット関連市場の拡大が当社グループの事業の成長にとって重要であります。当社グループは、高速通信技術の発展、スマートデバイスの普及、中高齢者層のITリテラシーの向上等により、インターネットの利用環境の向上及びインターネット関連市場の拡大は、今後も続いていくものと想定しております。しかし、インターネットの急激な普及に伴う弊害の発生、利用に関する新たな法的規制の導入、その他予期せぬ要因により、インターネットの利用環境の向上及びインターネット関連市場の拡大が阻害される場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 技術革新や顧客ニーズへの対応について
インターネット業界においては、技術革新や顧客ニーズの変化が極めて激しく、当社グループもこれらの変化に対応していく必要があります。当社グループでは、技術革新に対応すべく人的・資本的投資を継続するとともに顧客ニーズの変化に対応すべく営業機能の内製化やカスタマーサクセス機能の強化を行っておりますが、当社グループが予期しない技術革新や顧客ニーズの急激な変化への対応が遅れた場合には、当社グループのサービスの競争力の低下を引き起こし、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競合について
当社グループの主要事業は、リーガルメディアの運営であり、優良かつ信頼性の高い情報提供によりユーザーを運営サイトに誘引することで、顧客である弁護士等の掲載枠数を確保しております。しかし、今後何らかの理由により、ユーザーが当社グループの運営サイトから競合他社が運営するサイトへ利用を切替える場合には、弁護士等の掲載枠数の確保が行えず、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 特定の取引先への依存について
当社グループの売上収益のうち得意先の上位1社に対する割合は、以下の通り8.7%(当連結会計年度)を占めております。当該得意先との良好な関係を維持できるよう努めると同時に、特定の取引先への依存度を低減させるために新規顧客の開拓等を行っておりますが、当該得意先の広告出稿の方針変更などにより取引関係が変化した場合や新規顧客の開拓等が計画通りに進まない場合や弁護士会の処分等により当社の掲載基準に合致しないと判断し掲載を停止した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年11月1日 至 2021年10月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年11月1日 至 2022年10月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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弁護士法人アディーレ法律事務所 |
209,480 |
13.5 |
191,066 |
8.7 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
⑤ 検索アルゴリズムについて
当社グループの主要事業であるリーガルメディアは、大手検索サイトでの自然検索経由によるものがユーザー流入の主たる経路であります。当社グループでは、人的・資本的投資を継続するとともに、リスティング広告等を出稿することによる広告経由の集客にも注力しており、加えて今後は、リーガルメディアのサービス名称を「ベンナビ」に統一し、ブランド認知施策を実施して指名検索経由の集客を増やすことにより更にリスク分散を図る方針です。しかし、今後大手検索サイトの検索アルゴリズムの変更がなされた場合には、自然検索経由のユーザー流入数の減少を引き起こし、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による影響について
新型コロナウイルス感染症はいまだ終息時期が見通せない状況にあり、当社グループでは柔軟に事業を継続できる体制の整備に努めております。国内経済活動の正常化の流れが進んでいることから、当社グループが営む各事業への影響は足元では軽微となりつつありますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が終息に向かわず、事態がさらに深刻化、長期化した場合には、当社グループの事業活動等に支障をきたす恐れがあり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容に関するリスクについて
① 新規事業について
当社グループは、新規事業の開発と成長により企業価値の更なる向上を目指して参ります。新規事業の開始にあたっては予算を作成し、予実比較を適切に実施するとともに予算から乖離する場合は予算修正や方針の見直しを行うことで、予算からの大幅な乖離の発生を防止しております。しかし、当初の予測とは異なる状況が発生し、新規事業の展開が計画通りに進まない場合は減損損失の計上が必要になる等、投資を回収できなくなる可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② サイト運営の健全性について
当社グループが運営するサイトでは、法律に関する悩みを抱えた一般ユーザーが、会員登録のうえ、「無料法律相談Q&A」を通じて弁護士に匿名の法律相談をすることが可能です。当社グループはサイト運営に関して利用規約をサイト上に明示し、一般ユーザーの適切な利用を促すよう努めており、「無料法律相談Q&A」では、投稿内容の公開可否について全件監視体制を構築していることから、利用規約で禁止されている、第三者のプライバシー権・肖像権・知的財産権・その他権利を侵害する内容、特定の第三者に対する誹謗中傷、政治活動・宗教活動等、及び公序良俗に反する内容等の不適切な投稿があった場合には当該相談を公開しないなど、健全なサイト運営を維持しております。このような体制を構築しているにもかかわらず、不適切な投稿に対して当社グループが十分な対応ができない場合には、当社グループがサイト運営者として信頼を失う可能性があり、当社グループの事業展開に支障が生じ、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 事業の許認可について
当社グループが行うHR事業は、職業安定法第32条の4に基づく有料職業紹介事業許可を受けて展開をしています。職業安定法では、有料職業紹介事業を行う者(法人である場合には、その役員を含む。)が有料職業紹介事業者としての欠格事由(職業安定法 第32条)及び当該許可の取消事由(同 第32条の9)に該当した場合には、それぞれ、事業の許可を取り消し、または、期間を定めて当該事業の全部若しくは一部の停止を命じることができる旨を定めています。現時点において、上記に抵触する事実はないと認識していますが、今後何らかの理由により上記に抵触した場合、許可が取り消され、または、業務の全部若しくは一部の停止が命ぜられることにより、事業活動に支障をきたすとともに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの許認可の状況
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当社グループ会社 |
許認可の名称 許可番号 |
監督官庁 |
取得年月日 |
有効期限 |
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株式会社アシロ |
有料職業紹介 13-ユ-313782 |
厚生労働省 |
2021年12月1日 |
2024年11月30日 |
(3)事業運営体制に関するリスクについて
① 小規模組織であることについて
当社グループは、小規模組織であり会社の規模に応じた内部管理体制及び業務執行体制となっております。事業拡大に応じた人員の拡充、内部管理体制及び業務執行体制の整備強化を行っておりますが、役員及び従業員の業務遂行上の支障が生じた場合、あるいは、役員及び従業員が社外流出した場合には、内部管理体制及び業務執行体制が有効に機能せず、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保、定着、及び育成について
当社グループは、事業拡大に応じて、優秀な人材の確保、定着、及び育成が重要であると考えております。採用手法の多様化や採用力の強化、福利厚生制度の充実や人事評価制度の運用等の施策を行っておりますが、優秀な人材の確保、定着、及び育成が計画通りに進まない場合には、事業拡大の制約要因になる可能性があり、当社グループの事業拡大及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定の人物への依存について
当社の代表取締役社長である中山博登は、当社の実質的な存続会社である旧 株式会社アシロの創業者であり、創業以来、代表取締役社長として経営方針の決定及び新規事業開発において重要な役割を担っております。当社グループでは、適切な権限委譲を進めるとともに人材の確保により、経営体制及び事業運営体制の強化に努めておりますが、現状では同氏が何らかの理由により当社グループの業務を遂行することが困難となった場合、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 事業継続リスクについて
当社グループは、運営サイトの安定性確保のため、外部攻撃対策や冗長化等の適切なセキュリティ対策を図るとともに、大規模災害に備えて行動計画等の準備や防災備品の備蓄等を行っております。しかし、何らかの理由により、当社の管理するシステムに問題が発生した場合や従業員の勤務が困難となった場合、安定的なサービス提供ができなくなる可能性があり、そのような場合には、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)法的規制に関するリスクについて
① リーガルメディア関連事業における法的規制について
当社グループの主たる事業領域であるリーガルメディア関連事業においては、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等といった各種法的規制を受けております。当社グループでは、記事制作マニュアルや広告掲載基準等を整備し、当該基準に沿って適切な運用を行うなど法令遵守体制を整備・強化するとともに、定期的な社員教育を行うなど、細心の注意を払った事業運営を行っております。加えて、インターネット広告の自主規制団体である一般社団法人日本インタラクティブ広告協会に正会員として加入しており、情報収集に努めております。しかし、各種法的規制の内容や解釈の変更、新たな法的規制の制定により、当社グループの業務の一部が制約を受ける場合、または新たな対応を余儀なくされる場合、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 弁護士法及び同法の関連規制について
当社グループは弁護士へのマーケティング支援サービスを提供しており、弁護士法、同法の関連法規、及び各単位弁護士会の規程・指針等といった弁護士法関連規制を遵守する必要があります。例えば、弁護士法第72条において報酬を得る目的での弁護士に対する法律事件の周旋は禁止されております。当社グループでは、上記を含む弁護士法関連規制に関して、法令遵守体制の整備・強化、社員教育を行うなど、細心の注意を払った事業運営を行っております。しかし、弁護士法関連規制の内容や解釈の変更、新たな法的規制の制定により、当社グループの業務の一部が制約を受ける場合、または新たな対応を余儀なくされる場合、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの顧客である弁護士についても弁護士法関連規制に服しております。万一、これらに違反した場合、各単位弁護士会の綱紀委員会及び懲戒委員会等における審査を経て、懲戒処分が下される場合があり、その懲戒処分の内容が業務停止以上の重大なものである場合は当社の掲載基準に合致しないと判断し掲載を停止する可能性があるため、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報管理について
当社グループは、ユーザー及び顧客の個人情報を保有しております。これらの個人情報については、「個人情報保護方針」に基づき適切に管理するとともに、社内規程として「個人情報取扱規程」を定め、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。
当社グループは、個人情報の保護に最大限の注意を払っており、不正アクセス、改竄等のリスクに対して必要かつ適切な安全管理対策を講じるとともに、個人情報保護の必要性及び重要性への意識の徹底を図るべく社員教育を実施しております。しかし、外部侵入者や当社グループの関係者の故意または過失による個人情報の流出等の問題が発生した場合には、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 訴訟について
当社グループは、本書提出日現在、損害賠償を請求されている事実や訴訟を提起されている事実はありません。また、法令違反となるような行為を防止するための内部管理体制の構築を図っております。しかし、事業活動にあたっては、法令等の違反の有無に係わらず訴訟を提起される可能性があり、当社グループが適切に対応できなかった場合には、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスクについて
① のれんの減損について
当社は、2016年5月に旧 株式会社アシロの株式の86.9%を取得したことでリーガルメディア関連事業におけるのれんを、2022年4月に株式会社アシロ少額短期保険の株式を取得して子会社化したことで、保険事業におけるのれんをそれぞれ計上しております。このうちリーガルメディア関連事業におけるのれんは当社グループの資産合計の28.5%となっており、資産合計に占める割合が特に高くなっております。
当該のれんについては、将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、当社グループの将来の収益性が低下した場合には、当該のれんについて減損損失を計上するため、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、日本基準に準拠した財務諸表においては、のれんの償却についてはその効果の及ぶ期間(10年)を見積り、その期間で償却しております。
IFRSに準拠した前連結会計年度及び当連結会計年度の連結財務諸表において、リーガルメディア関連事業におけるのれん1,138,725千円を計上しており、IFRS移行日である2018年11月1日以降はのれんの償却をしておりません。なお、IFRS上はのれんは非償却資産であるため、当該のれんについて減損損失を計上した場合には、日本基準に比べて当社グループの経営成績により大きな影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度末における回収可能価額は、使用価値に基づき算定しております。使用価値は経営者が承認した今後3年間の事業計画のうちリーガルメディア関連事業に係る計数を基礎としてその後の永久成長率は0%と仮定して計算した将来キャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引いて算出しており、のれんが含まれる資金生成単位グループの資産の帳簿価額を6,814百万円上回っております。減損テストに用いた主要な感応度を示す仮定は将来キャッシュ・フローの見積額及び割引率であり、仮に各期の将来キャッシュ・フローの見積額が80.1%減少した場合、又は割引率が41.8%上昇した場合に回収可能価額と帳簿価額が等しくなり、減損損失が発生する可能性があります。
当社グループでは、のれんの減損リスクを低減するため、ストック収益源であるリーガルメディアの掲載枠数の積み上げにより、安定的な収益基盤の構築に努めております。具体的には、営業活動や契約後の顧客サポートを行うカスタマーサクセス活動の強化により、新規契約数を増加させるとともに解約率を引き下げることで掲載枠数の増加を図っております。
② 多額の借入金と金利変動リスク及び財務制限条項について
当社グループは、金融機関から借入を行っているため、金融機関の融資情勢や市場金利の上昇による調達金利が変動した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの借入金の一部については、財務制限条項が付されております。当社グループでは、金融機関との間で金利条件や財務制限条項について継続的な交渉を行っており、借入当初に定められた財務制限条項からの条件緩和を実現いたしました。現時点における財務制限条項の内容は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 16.社債及び借入金」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (貸借対照表関係) ※3 財務制限条項」に記載のとおりでありますが、これらに抵触した場合、借入先の請求により、借入先に預け入れされた定期預金(当該請求時点において預け入れされていない場合には新たに作成する、元金は100百万円(借入金の元本部分の合計が100百万円未満の場合は当該元本合計を上限とする))に第一順位の質権を設定し、その預金証書もしくは通帳を借入先に差し入れることとなっており、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在において、当社グループは当該財務制限条項に抵触しておりません。
③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、役員及び従業員に対して、ストック・オプションとして新株予約権を付与しております。また、当社グループでは今後もストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、これらの新株予約権が権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は258,000株であり、発行済株式総数7,768,768株の3.3%に相当します。新株予約権の詳細については「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前期末に比べ682,969千円増加し2,203,439千円となりました。これは主に現金及び現金同等物が571,691千円増加したことによります。
当連結会計年度末の非流動資産は、前期末に比べ515,514千円増加し1,797,531千円となりました。これは主にオフィス移転に伴い使用権資産が182,856千円、アシロ少短の連結子会社化によりのれんが163,265千円、その他の金融資産(主に敷金及び保証金)が72,294千円増加したことによります。
この結果、当連結会計年度末における資産合計は、4,000,970千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前期末に比べ400,044千円増加し759,340千円となりました。これは主に仕入債務及びその他の債務が138,011千円、社債の発行や新規の借入れにより社債及び借入金が70,841千円、アシロ少短の連結子会社化により保険契約負債が52,299千円増加したことによります。
当連結会計年度末の非流動負債は、前期末に比べ373,476千円増加し594,269千円となりました。これは主に社債の発行や新規の借入れにより社債及び借入金が228,922千円、オフィス移転に伴いリース負債が119,613千円増加したことによります。
この結果、当連結会計年度末における負債合計は、1,353,609千円となりました。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前期末に比べ424,963千円増加し2,647,361千円となりました。これは主に利益剰余金が347,754千円、新株予約権の行使等により資本金が63,995千円、資本剰余金が118,338千円増加した一方、控除要因となる自己株式が99,773千円増加したことによります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン接種の普及により経済正常化の流れが進みつつあるものの、再び感染の拡大が懸念される状況下にあることや、世界的な資源価格高騰、ロシアによるウクライナ侵攻などによるインフレ懸念並びに日米の金融政策の違いなどによる円安の進行など、先行き不透明な状況が高まっております。
一方、当社グループを取り巻くインターネット広告市場におきましては、2021年の広告費は2兆7,052億円(前年比21.4%増加)となり、一貫して成長を続けている結果、マスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア広告費の合算)を初めて上回りました。(出所:株式会社電通「2021年日本の広告費」)
このような事業環境のもと、当社グループはリーガルメディア関連事業を中心に事業を展開しており、主に弁護士を顧客とするリーガルメディアや弁護士以外を顧客とする派生メディアを運営しております。また、リーガルメディア関連事業に加えて、弁護士・公認会計士といった士業人材や管理部門人材を対象とする人材紹介サービスを提供するHR事業や、弁護士に依頼する際の費用の一部を補償対象とする弁護士費用保険を販売する保険事業を展開しております。
収益の大部分を占めるリーガルメディアでは、営業活動により新規開拓を推し進めるとともに、契約後の顧客サポートを行うカスタマーサクセス活動の強化により解約率の引き下げ並びに既存顧客からの追加受注に注力するなどした結果、2022年10月における掲載枠数(注1)は1,925枠(前年同月比30.2%増加)、掲載顧客数(注2)は769件(前年同月比29.0%増加)となり、順調に伸長しております。
(注1)掲載枠数とは、掲載延べ数であり、同一顧客が複数の広告枠掲載を行う場合は複数カウントを行っております。
(注2)掲載顧客数とは、広告枠の掲載を行っている顧客の実数であります。
また、派生メディアにおいては、経済正常化に向けた企業の採用意欲の高まり等を受けて、転職メディア「キャリズム」の案件数が増加し、当連結会計年度における問合せ数は33,486件(前年同期比53.5%増加)となり、大幅に増加いたしました。
以上の結果、IFRSに準拠した当連結会計年度の業績は、売上収益は2,201,586千円(前期比41.8%増)、営業利益は483,658千円(同34.0%増)、税引前利益は477,366千円(同34.7%増)、当期利益は330,854千円(同44.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は343,624千円(同50.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、売上収益はセグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
[リーガルメディア関連事業]
リーガルメディアの掲載枠数及び掲載顧客数の増加に伴う掲載料収入等の増加に加えて、派生メディアにおいては上述の背景より転職メディア「キャリズム」の案件数が増加する等した結果、売上収益は2,066,770千円(同38.1%増)、セグメント利益は859,548千円(同36.8%増)となりました。
なお、リーガルメディアの売上収益は1,469,725千円(同26.6%増)、営業利益は615,751千円(同24.5%増)となりました。また、派生メディアの売上収益は597,045千円(同77.7%増)、営業利益は243,797千円(同81.9%増)となりました。
[HR事業]
前々連結会計年度より事業を開始し、人材紹介サービスの登録者数並びに成約者数が順調に増加したことで、売上収益は105,943千円(同88.8%増)、セグメント利益は7,285千円(前年同期は8,024千円の損失)となりました。なお、当連結会計年度より、従来「リーガルHR事業」としていた報告セグメントについて、公認会計士や税理士等、弁護士以外への人材紹介が本格化し、実際に法務分野以外での入社実績も発生したことから、事業内容をより適切に表示するため、セグメント名称を「HR事業」に変更しております。
[保険事業]
2022年4月28日に株式の追加取得により連結子会社化し、第3四半期より損益計算書の連結を開始した株式会社アシロ少額短期保険(以下「アシロ少短」という。2022年9月1日に株式会社カイラス少額短期保険から社名を変更)にて少額短期保険業を営んでおり、当連結会計年度より「保険事業」として開示しております。売上収益は27,383千円、セグメント損益は62,616千円の損失となりました。
[その他]
現時点では重要性の乏しい新規事業等を報告セグメントに含まれない事業セグメントとして区分し、「その他」として開示しております。売上収益は1,490千円、セグメント損益は29,130千円の損失となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,875,533千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは511,393千円の資金流入(前年同期は298,506千円の資金流入)となりました。これは主に、増加要因として税引前利益の計上477,366千円、仕入債務及びその他の債務の増加106,693千円、減価償却費及び償却費77,487千円、減少要因として法人所得税の支払額125,904千円、売上債権及びその他の債権の増加96,070千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは268,681千円の資金流出(同11,942千円の資金流出)となりました。これは主に子会社の取得による支出113,518千円、敷金及び保証金の差入による支出71,393千円、有形固定資産の取得による支出61,933千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは328,978千円の資金流入(同459,807千円の資金流入)となりました。これは主に増加要因として社債の発行による収入343,970千円、新株予約権の行使に伴う株式の発行による収入119,979千円、減少要因として自己株式の取得による支出100,588千円、長期借入金の返済による支出62,546千円によるものであります。
(参考情報)
当社グループは、投資家が会計基準の差異にとらわれることなく、当社グループの業績評価を行い、当社グループの企業価値についての純粋な成長を把握するうえで有用な情報を提供することを目的として、EBITDA及び調整後EBITDAを経営成績に関する参考指標として公表することとしました。EBITDAは、営業利益から非資金費用項目(減価償却費及び償却費)等の影響を除外しております。また、調整後EBITDAは、EBITDAからIFRS適用に伴う非資金費用項目(株式報酬費用、使用権資産の償却費等)の影響を除外しております。
EBITDA及び調整後EBITDAの計算式及び算出方法は次のとおりであります。
・EBITDA =営業利益+減価償却費及び償却費-その他の収益 +その他の費用
・調整後EBITDA =EBITDA ±IFRS適用に伴う非資金費用項目
|
(単位:千円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2020年11月1日 至 2021年10月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年11月1日 至 2022年10月31日) |
|
財務諸表における営業利益 |
360,941 |
483,658 |
|
+減価償却費及び償却費 |
53,822 |
77,487 |
|
-その他の収益 |
△2,128 |
△8,292 |
|
+その他の費用 |
- |
0 |
|
小計 |
51,694 |
69,195 |
|
EBITDA |
412,635 |
552,853 |
|
+有給休暇引当金繰入額 |
1,492 |
7,603 |
|
+株式報酬費用 |
10,997 |
4,644 |
|
+敷金の計上額の調整 |
14 |
40 |
|
-使用権資産償却費の調整 |
△32,925 |
△46,261 |
|
-資本取引直接増分費用の調整 |
△11,628 |
△1,288 |
|
小計 |
△32,050 |
△35,262 |
|
調整後EBITDA |
380,586 |
517,591 |
(注)千円未満は四捨五入して記載しております。
④ 生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
当社グループは、生産活動を行っていませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
(受注実績)
当社グループは、受注生産を行っていませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
(販売実績)
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年11月1日 至 2022年10月31日) |
前年同期比(%) |
|
リーガルメディア関連事業 (千円) |
2,066,770 |
138.1 |
|
うち、リーガルメディア (千円) |
1,469,725 |
126.6 |
|
派生メディア (千円) |
597,045 |
177.7 |
|
HR事業 (千円) |
105,943 |
188.8 |
|
保険事業 (千円) |
27,383 |
- |
|
その他 (千円) |
1,490 |
- |
|
合計(千円) |
2,201,586 |
141.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年11月1日 至 2021年10月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年11月1日 至 2022年10月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
弁護士法人アディーレ法律事務所 |
209,480 |
13.5 |
191,066 |
8.7 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に与える見積りが必要となります。経営者は、これらの見積りを行うに当たり過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成に当たって特に重要と認識しているものは以下のとおりであります。
・のれんの減損テスト
当社グループは、のれんについて、毎期又は減損の兆候が存在する場合には都度、減損テストを実施しております。減損テスト時に見積る資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。なお、この公正価値は、用いられる評価技法へのインプットに基づき、レベル3に区分されます。
各資金生成単位の状況は以下のとおりであります。
a.リーガルメディア関連事業におけるのれんの減損テスト
リーガルメディア関連事業におけるのれん(1,138,725千円)は、株式会社ASIROが旧 株式会社アシロ(実質的な存続会社)の株式を取得して子会社化し、旧 株式会社アシロを吸収合併したことで生じたものであります。
当該使用価値は、経営者が承認した3年以内の事業計画のうちリーガルメディア関連事業に係る計数を基礎とし(今後の3年間の売上収益の成長率は前連結会計年度においては平均17.6%、当連結会計年度においては平均27.5%と仮定して算出)、その後の永久成長率は0%と仮定して計算した将来キャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引いて算定しております。この事業計画は、運営するメディアサイトの掲載枠数等を計画に基づいて見積り、過去の実績及び外部環境とも整合性を取ったうえで策定しております。また、この事業計画は、主としてリーガルメディアにおいては掲載枠数、派生メディアにおいては問合せ数の影響を受けます。
使用価値の測定で使用した割引率は、前連結会計年度においては12.3%、当連結会計年度においては11.5%であり、これは、税引前加重平均資本コストを基礎に、外部情報及び内部情報を用いて事業に係るリスク等が適切に反映されるよう算定しております。
資金生成単位の使用価値を算定して実施した減損テストにおいて主要な感応度を示す仮定は将来キャッシュ・フローの見積額及び割引率です。
前連結会計年度末において回収可能価額は、のれんが含まれる資金生成単位グループの資産の帳簿価額を4,130百万円上回っておりますが、仮に各期の将来キャッシュ・フローの見積額が78.4%減少した場合、又は割引率が48.0%上昇した場合に回収可能価額と帳簿価額が等しくなる可能性があります。
当連結会計年度末において回収可能価額は、のれんが含まれる資金生成単位グループの資産の帳簿価額を6,814百万円上回っておりますが、仮に各期の将来キャッシュ・フローの見積額が80.1%減少した場合、又は割引率が41.8%上昇した場合に回収可能価額と帳簿価額が等しくなる可能性があります。
上記の減損計上の余裕度に関する推定は、各期の将来の見積キャッシュ・フローの減少及び割引率の上昇がそれぞれ単独で発生するとの仮定に基づき記載しております。
減損テストの結果、算定された回収可能価額は帳簿価額を上回っているため、減損損失は計上しておりません。
主要な仮定は不確実な要素の変動によって影響を受けるため、これらの仮定の見直しが必要となった場合には、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
b.保険事業におけるのれんの減損テスト
保険事業におけるのれん(163,265千円)は、当社が株式会社アシロ少額短期保険の株式を取得して子会社化したことで、当連結会計年度より生じたものであります。
当該使用価値は、経営者が承認した保険事業に係る10年間の事業計画を基礎とし(今後の10年間の売上収益の成長率は平均24.6%と仮定して算出)、その後の永久成長率は1%と仮定して計算した将来キャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引いて算定しております。この事業計画は、保険契約等数を計画に基づいて見積り、過去の実績及び外部環境とも整合性を取ったうえで策定しております。
使用価値の測定で使用した割引率は、当連結会計年度においては14.1%であり、これは、税引前加重平均資本コストを基礎に、外部情報及び内部情報を用いて事業に係るリスク等が適切に反映されるよう算定しております。
資金生成単位の使用価値を算定して実施した減損テストにおいて主要な感応度を示す仮定は将来キャッシュ・フローの見積額及び割引率です。
当連結会計年度末において回収可能価額は、のれんが含まれる資金生成単位グループの資産の帳簿価額を21百万円上回っておりますが、仮に各期の将来キャッシュ・フローの見積額が5.3%減少した場合、又は割引率が0.6%上昇した場合に回収可能価額と帳簿価額が等しくなる可能性があります。
上記の減損計上の余裕度に関する推定は、各期の将来の見積キャッシュ・フローの減少及び割引率の上昇がそれぞれ単独で発生するとの仮定に基づき記載しております。
減損テストの結果、算定された回収可能価額は帳簿価額を上回っているため、減損損失は計上しておりません。主要な仮定は不確実な要素の変動によって影響を受けるため、これらの仮定の見直しが必要となった場合には、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.財政状態
(単位:千円)
|
|
前連結会計年度 (2021年10月31日) |
当連結会計年度 (2022年10月31日) |
前年同期比 |
||
|
増減額 |
増減率(%) |
||||
|
|
流動資産 |
1,520,469 |
2,203,439 |
682,969 |
44.9 |
|
|
非流動資産 |
1,282,017 |
1,797,531 |
515,514 |
40.2 |
|
資産合計 |
2,802,487 |
4,000,970 |
1,198,483 |
42.8 |
|
|
|
流動負債 |
359,295 |
759,340 |
400,044 |
111.3 |
|
|
非流動負債 |
220,793 |
594,269 |
373,476 |
169.2 |
|
負債合計 |
580,089 |
1,353,609 |
773,520 |
133.3 |
|
|
資本合計 |
2,222,398 |
2,647,361 |
424,963 |
19.1 |
|
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,198,483千円増加し、4,000,970千円となりました。この主な要因は、当期利益の計上や社債の発行等により現金及び現金同等物が571,691千円、オフィス移転に伴い使用権資産が182,856千円、アシロ少短の連結子会社化によりのれんが163,265千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて773,520千円増加し、1,353,609千円となりました。この主な要因は、社債の発行や新規の借入れにより社債及び借入金が299,763千円、オフィス移転に伴いリース負債が156,417千円、営業活動に伴う仕入債務及びその他の債務が138,011千円増加したことによるものであります。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて424,963千円増加し、2,647,361千円となりました。この主な要因は、利益剰余金が347,754千円、新株予約権の行使等により資本金が63,995千円、資本剰余金が118,338千円増加した一方、控除要因となる自己株式が99,773千円増加したことによるものであります。
ⅱ.経営成績
(単位:千円)
|
|
前連結会計年度 (自 2020年11月1日 至 2021年10月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年11月1日 至 2022年10月31日) |
前年同期比 |
|
|
増減額 |
増減率 (%) |
|||
|
売上収益 |
1,552,753 |
2,201,586 |
648,832 |
41.8 |
|
リーガルメディア関連事業 |
1,496,626 |
2,066,770 |
570,143 |
38.1 |
|
うち、リーガルメディア |
1,160,701 |
1,469,725 |
309,024 |
26.6 |
|
派生メディア |
335,925 |
597,045 |
261,120 |
77.7 |
|
HR事業 |
56,127 |
105,943 |
49,816 |
88.8 |
|
保険事業 |
- |
27,383 |
27,383 |
- |
|
その他 |
- |
1,490 |
1,490 |
- |
|
売上原価 |
768,385 |
1,147,582 |
379,196 |
49.3 |
|
売上総利益 |
784,368 |
1,054,004 |
269,636 |
34.4 |
|
販売費及び一般管理費 |
425,555 |
578,638 |
153,083 |
36.0 |
|
その他の収益 |
2,128 |
8,292 |
6,164 |
289.7 |
|
その他の費用 |
- |
0 |
0 |
- |
|
営業利益 |
360,941 |
483,658 |
122,717 |
34.0 |
|
税引前利益 |
354,285 |
477,366 |
123,081 |
34.7 |
|
当期利益 |
228,779 |
330,854 |
102,075 |
44.6 |
|
親会社の所有者に帰属する当期利益 |
228,779 |
343,624 |
114,845 |
50.2 |
当連結会計年度における経営成績は、売上収益は2,201,586千円(前期比41.8%増)となりました。
[リーガルメディア関連事業]
リーガルメディアの掲載枠数及び掲載顧客数の増加に伴う掲載料収入等の増加に加えて、派生メディアにおいては上述の背景より転職メディア「キャリズム」の案件数が増加する等した結果、売上収益は2,066,770千円(同38.1%増)、セグメント利益は859,548千円(同36.8%増)となりました。
なお、リーガルメディアの売上収益は1,469,725千円(同26.6%増)、営業利益は615,751千円(同24.5%増)となりました。また、派生メディアの売上収益は597,045千円(同77.7%増)、営業利益は243,797千円(同81.9%増)となりました。
[HR事業]
前々連結会計年度より事業を開始し、人材紹介サービスの登録者数並びに成約者数が順調に増加したことで、売上収益は105,943千円(同88.8%増)、セグメント利益は7,285千円(前年同期は8,024千円の損失)となりました。なお、当連結会計年度より、従来「リーガルHR事業」としていた報告セグメントについて、公認会計士や税理士等、弁護士以外への人材紹介が本格化し、実際に法務分野以外での入社実績も発生したことから、事業内容をより適切に表示するため、セグメント名称を「HR事業」に変更しております。
[保険事業]
2022年4月28日に株式の追加取得により連結子会社化し、第3四半期より損益計算書の連結を開始した株式会社アシロ少額短期保険(以下「アシロ少短」という。2022年9月1日に株式会社カイラス少額短期保険から社名を変更)にて少額短期保険業を営んでおり、当連結会計年度より「保険事業」として開示しております。売上収益は27,383千円、セグメント損益は62,616千円の損失となりました。
[その他]
現時点では重要性の乏しい新規事業等を報告セグメントに含まれない事業セグメントとして区分し、「その他」として開示しております。売上収益は1,490千円、セグメント損益は29,130千円の損失となりました。
売上原価は、379,196千円増加して1,147,582千円(同49.3%増)となりました。売上原価の大半を占める広告媒体費が売上収益の増加に伴って増加した他、社員数の増加に伴って人件費が増加したことによるものであります。その結果、売上総利益は1,054,004千円(同34.4%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、153,083千円増加して578,638千円(同36.0%増)となりました。社員数の増加に伴って人件費や採用費が増加した他、株式上場やオフィス移転等に関連する各種費用が発生・増加したことによるものであります。
以上の結果、営業利益は483,658千円(同34.0%増)、税引前利益は477,366千円(同34.7%増)、当期利益は330,854千円(同44.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は343,624千円(同50.2%増)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントの経営成績は、次のとおりであります。なお、売上収益はセグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
(単位:千円)
|
|
前連結会計年度 (自 2020年11月1日 至 2021年10月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年11月1日 至 2022年10月31日) |
|||
|
金額 |
構成比(注) (%) |
金額 |
構成比(注) (%) |
||
|
リーガルメディア関連事業 |
売上収益 |
1,496,626 |
96.4 |
2,066,770 |
93.9 |
|
セグメント利益 |
628,438 |
174.1 |
859,548 |
177.7 |
|
|
HR事業 |
売上収益 |
56,127 |
3.6 |
105,943 |
4.8 |
|
セグメント利益 |
△8,024 |
△2.2 |
7,285 |
1.5 |
|
|
保険事業 |
売上収益 |
- |
- |
27,383 |
1.2 |
|
セグメント利益 |
- |
- |
△62,616 |
△12.9 |
|
|
その他 |
売上収益 |
- |
- |
1,490 |
0.1 |
|
セグメント利益 |
- |
- |
△29,130 |
△6.0 |
|
|
調整額 |
売上収益 |
- |
- |
- |
- |
|
セグメント利益 |
△259,473 |
△71.9 |
△291,429 |
△60.3 |
|
|
合計 |
売上収益 |
1,552,753 |
100.0 |
2,201,586 |
100.0 |
|
セグメント利益 |
360,941 |
100.0 |
483,658 |
100.0 |
|
(注)それぞれ対連結全体の売上収益、対連結全体のセグメント利益に占める比率を記載しております。
リーガルメディア関連事業における売上収益及び営業利益について、リーガルメディアと派生メディアの内訳及びリーガルメディアにおけるストック収益とフロー収益の内訳(注)は次のとおりであります。
(注) リカーリングで発生する月額定額の掲載料収入をストック収益として集計し、ストック収益以外の収益をフロー収益として集計しております。なお、フロー収益は主に初期手数料やアフィリエイト収入、当社が保険代理店となっている保険商品の代理店手数料で構成されております。
(単位:千円)
|
|
前連結会計年度 (自 2020年11月1日 至 2021年10月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年11月1日 至 2022年10月31日) |
|||
|
金額 |
構成比(注) (%) |
金額 |
構成比(注) (%) |
||
|
リーガルメディア |
売上収益 |
1,160,701 |
74.8 |
1,469,725 |
66.8 |
|
うち、ストック収益 |
1,108,198 |
71.4 |
1,334,381 |
60.6 |
|
|
うち、フロー収益 |
52,503 |
3.4 |
136,483 |
6.2 |
|
|
営業利益 |
494,381 |
137.0 |
615,751 |
127.3 |
|
|
派生メディア |
売上収益 |
335,925 |
21.6 |
597,045 |
27.1 |
|
営業利益 |
134,057 |
37.1 |
243,797 |
50.4 |
|
|
合計 |
売上収益 |
1,496,626 |
96.4 |
2,066,770 |
93.9 |
|
営業利益 |
628,438 |
174.1 |
859,548 |
177.7 |
|
(注)それぞれ対連結全体の売上収益、対連結全体の営業利益に占める比率を記載しております。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
(単位:千円)
|
|
前連結会計年度 (自 2020年11月1日 至 2021年10月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年11月1日 至 2022年10月31日) |
前年同期比 |
|
|
増減額 |
||||
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
298,506 |
511,393 |
212,887 |
|
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△11,942 |
△ 268,681 |
△256,739 |
|
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
459,807 |
328,978 |
△130,828 |
|
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
1,303,843 |
1,875,533 |
571,690 |
|
|
有利子負債(リース負債を除く) |
269,251 |
569,014 |
299,763 |
|
|
|
短期 |
61,541 |
132,382 |
70,841 |
|
|
長期 |
207,710 |
436,632 |
228,922 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,875,533千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは511,393千円の資金流入(前年同期は298,506千円の資金流入)となりました。これは主に、増加要因として税引前利益の計上477,366千円、仕入債務及びその他の債務の増加106,693千円、減価償却費及び償却費77,487千円、減少要因として法人所得税の支払額125,904千円、売上債権及びその他の債権の増加96,070千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは268,681千円の資金流出(同11,942千円の資金流出)となりました。これは主に子会社の取得による支出113,518千円、敷金及び保証金の差入による支出71,393千円、有形固定資産の取得による支出61,933千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは328,978千円の資金流入(同459,807千円の資金流入)となりました。これは主に増加要因として社債の発行による収入343,970千円、新株予約権の行使に伴う株式の発行による収入119,979千円、減少要因として自己株式の取得による支出100,588千円、長期借入金の返済による支出62,546千円によるものであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要のうち主なものは、当社が運営する各種メディアサイトに関する広告費用等の営業費用であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローにより大部分の運転資金の確保が可能であり、必要に応じて金融機関からの借入等を行う方針であります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑥ 経営者の問題認識と今後の課題について
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑦ 経営目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループは、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、売上収益の継続的かつ累積的な増加を実現するため、リーガルメディアの有料広告の掲載枠数を主要な経営指標と位置づけております。下表のとおり掲載枠数は継続的に増加しており、当連結会計年度(2022年10月期)末時点における掲載枠数は、営業活動及びフォロー活動の強化により前年同月期比30.2%増となっており、売上収益の継続的かつ累積的な増加に向けた事業展開も順調に推移しているものと認識しております。
リーガルメディアの主要サイト(弁護士ナビシリーズ9サイトと「あなたの弁護士」)合計の掲載枠数
(単位:件)
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2018年10月期 |
2019年10月期 |
2020年10月期 |
2021年10月期 |
2022年10月期 |
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掲載枠数(期末時点) |
1,031 |
1,199 |
1,276 |
1,478 |
1,925 |
(参考情報)会計基準の差を考慮した過年度業績の推移
当社グループは2020年10月31日に終了する連結会計年度から国際会計基準(IFRS)を初めて適用しており、IFRSへの移行日は2018年11月1日であります。一方で2018年10月期以前の数値は日本基準によるため、過年度業績の比較の際には会計基準の差を考慮する必要があります。日本基準とIFRSの主要な差異であるのれんの償却について調整を行った売上収益・調整後営業利益・調整後営業利益率の過年度推移は以下のとおりであります。
(単位:千円・%)
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日本基準 |
国際会計基準 |
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2018年10月期 (注)3 -単体- |
2019年10月期
-単体- |
2020年10月期
-連結- |
2021年10月期
-連結- |
2022年10月期
-連結- |
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売上収益 |
831,693 |
1,156,730 |
1,478,705 |
1,552,753 |
2,201,586 |
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調整後営業利益 |
144,479 |
254,530 |
332,673 |
360,941 |
483,658 |
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調整後営業利益率 |
17.4 |
22.0 |
22.5 |
23.2 |
22.0 |
(注)1.2020年10月期より連結財務諸表を作成しております。
(注)2.2019年10月期以降は、IFRSによる数値を記載しており、連結損益計算書と一致しております。
(注)3.営業利益について、のれんの償却額を加算調整しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。