文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。
当社は、人体が本来備えている組織修復能力を引き出す「再生誘導医薬」をはじめとした最先端生命科学研究の成果をもとに、新しいコンセプトの治療薬を生み出し続けることで、世界の健康と幸福の実現に貢献することを経営理念として掲げております。
現在、研究開発段階にある当社は、ROA、ROEその他の数値的な目標となる経営指標等は用いておりません。現在、HMGB1ペプチドの表皮水疱症、脳梗塞、心筋症を適応症とする開発が先行する段階にありますが、他の適応症への展開や後発パイプラインの開発推進、新たな開発候補品の探索等を行い、開発パイプラインを質・量ともに充実させることが、企業価値を高め、経営を安定させる上で不可欠の目標と認識しております。当該目標達成のために、共同研究や事業提携を推進するとともに、より充実した研究・開発体制の確立のための設備導入等の施策を推進してまいります。
当社が属する再生医薬品分野は、世界的にも普及段階まで至っておらず、このような最先端医療分野は環境変化のスピードが極めて早いと考えられ、潜在的な競争相手に先行し、他社の知的財産権を上回る開発をする必要性があります。
このような経営環境の下、当社が対処すべき当面の課題としては、主に下記①~⑤の5点があります。
既存事業については、大手製薬企業への開発候補品の導出が完了していることから、今後は、導出先企業による臨床開発が滞りなく進められ、さらに、将来幅広い適応症に対して開発が展開されるよう、導出先の製薬企業に対する側面支援を継続していくことが、当社の重要な役割であると考えております。また、大阪大学において実施中の医師主導治験に対する継続的な支援も、引き続き、当社の重要な役割であると認識しております。第Ⅱ相医師主導治験において開発候補品の有効性が示されれば、当該医薬品の表皮水疱症治療薬としての上市のみならず、他の適応症への展開が加速されるものと期待しております。その他のパイプラインについても新たな事業提携に繋げていくことが、今後の当社の重要な経営課題であると考えております。具体的には以下のような内容になります。
■ 新規再生誘導医薬の開発について
開発リスクの分散と企業価値の向上を目指して、当社では、新規再生誘導医薬候補物質の探索研究を積極的に進めております。これまでの研究を通じて同定した複数の候補物質について、疾患モデル動物を用いた薬効試験で治療効果を確認し、その一部につき特許出願を完了するなど、着実に成果を積み重ねております。この探索研究を更に推し進め、既存の開発品を補完する新たな薬効プロファイルを有する新規再生誘導医薬の開発を進めます。
■ 生体内治療用細胞採取デバイスの開発について
再生誘導医薬の研究成果を基礎として、生体内に埋没したデバイス内に集積させた治療用の細胞を採取する技術を研究中です。対象疾患は、皮膚や骨、軟骨、筋肉などの難治性損傷性疾患等になります。
■ 間葉系幹細胞を標的とした遺伝子治療技術開発について
脳梗塞、心筋梗塞といった後天的組織障害の治療に対して、再生誘導医薬は循環血流を介した骨髄由来間葉系幹細胞供給という極めて画期的な治療効果を発揮します。しかし、表皮水疱症、血友病、代謝異常症など、先天的機能障害の根治的治療を実現するためには、それぞれの病態における根本原因である遺伝子異常の改善、すなわち遺伝子治療が必要であることは言うまでもありません。遺伝子治療の成功は、生体内のどの細胞をどのように遺伝子治療するかにかかっており、特に長期間の根治的な治療効果を得るためには、それぞれの臓器・組織で長期間細胞を供給し続ける組織幹細胞の遺伝子治療が必要不可欠です。
再生誘導医薬開発の経験を活かし、生体内で長期間機能する可能性のある骨髄間葉系幹細胞を標的とした、遺伝子治療の開発を目指します。直近では、現在治療法の全くない遺伝性皮膚難病に苦しむ患者に向けて、低侵襲性生体組織採取法による高度な根治的治療の研究を進めています。
■ 生体組織の網羅的単一細胞機能評価技術を基盤にした生体幹細胞高機能化医薬開発について
創薬成功確率を高める鍵は、開発候補品を投与した後の各臓器・組織の生体反応を如何に正確かつ漏れなく把握できるかにあります。当社は大阪大学と共同で、生体内間葉系幹細胞の単一細胞レベルの遺伝子発現解析、網羅的遺伝子構造解析の研究を進め、その技術を確立しています。
以上の技術を利用して、現在当社と大阪大学は、第1、第2、第3世代の再生誘導医薬が生体の各臓器・組織の個々の細胞に与える網羅的遺伝子発現変化、網羅的遺伝子構造変化について、詳細なデータベースの蓄積を進めております。現在、本邦はもとより世界的視点から見ても、単一細胞レベルでの網羅的遺伝子発現解析、網羅的遺伝子構造解析が可能な施設はNIHなどの限られた大規模研究施設に限定されており、ベンチャー企業レベルでその技術を有していることは当社の創薬開発技術が世界に通用し得ることを示すものと確信しております。今後、当社の創薬研究のみならず、国内外のアカデミア研究者や製薬企業とこの技術を共有することにより、国内外の創薬開発の確率向上、安全性及び有効性評価に大きく貢献するとともに、組織幹細胞のもつ組織再生作用を安全に最大化する、世界に類の無い再生誘導医療の開発を進めて行く予定です。
■ 細胞治療分野の再生誘導技術基盤における今後の展開について
当社が注力してきた再生誘導技術基盤は、効率よく循環血流中に幹細胞を動員し、動員した幹細胞を損傷組織に集積させ、分化能を損なわせることなく、自己の幹細胞を活用し損傷組織の再生を誘導する技術です。これらの技術基盤は、医薬品で生体の組織再生を促進するという、細胞治療領域において計り知れないポテンシャルを有するものと考えております。
当社は、当該技術基盤を用いて、低コストかつ高い安全性を保ちながら機能回復や組織再生を可能にすることにより、「細胞治療の常識を変えていく」ことを課題として開発を推進していきます。
② 臨床応用の加速
臨床治験において、再生誘導医薬による間葉系幹細胞に対する動員効果を迅速に評価することが可能になれば、疾患ごとに薬剤の投与方法(用法、用量)の最適化が容易になります。しかし、再生誘導医療は新しい概念の医療であり、先行する医薬品は上市されていません。また、間葉系幹細胞も培養操作を行った細胞については詳細な基礎研究が進んでおりますが、生体内における間葉系幹細胞の、正確な局在、機能、性質、種類など不明な点も数多く存在します。以上のことは、再生誘導医薬を開発する上で高いハードルとなっています。
大阪大学と当社は、これまで約10年にわたり、再生誘導医療の共同研究(再生誘導医学)をつづけ、数多くの知見やノウハウを手にしています。さらに、基礎研究の膨大なデータと今後進める臨床研究及び治験のデータの相互評価及び相互利用によって、開発を加速することができると考えております。
医薬品の研究開発には、多額の先行投資が必要とされ、同時に少なからぬ開発リスクが伴います。当社では、プロジェクトが非臨床試験若しくは早期臨床開発段階に達した時点で、製薬企業との提携若しくは候補品の導出を行い、比較的早期に自社の開発費負担を低減させることを基本戦略としておりますが、それでもなお、候補物質スクリーニング法の開発と薬効メカニズム検討のための基礎研究、候補化合物の探索研究、パイロット製造、薬効薬理・安全性試験など、臨床試験に至るまでの過程で多大な研究開発費を自社で負担する必要が生じます。
これまで当社は、公的研究助成金を積極的に活用することで、これらリスクの高い早期探索研究に要する研究開発費の負担を補ってまいりました。既存プロジェクトの導出が完了し、今後、探索研究段階にある新規プロジェクトの数が増加していくことからも、引き続き、公的研究助成金を積極的に獲得し活用していくことが、当社の重要な経営課題であると認識しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資家の判断において重要と考えられる事項は、積極的な情報開示の観点から記載しています。当社は、これら事業等のリスクを認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応を図り事業活動を行っていますが、このような諸策の成否には不確実性が存在します。また、当社の事業はこれら以外にも様々なリスクを伴っており、下記の記載はリスクを網羅するものではありません。当社は、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
① 医薬品パイプラインの開発及びそれに伴う収益獲得の不確実性
医療用医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い年月を要しますが、臨床試験で有用な効果を発見できないこと等により、研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止の判断を行うことは稀ではありません。また、日本国内はもとより、海外市場の展開においては、各国の薬事関連法等の法的規制の適用を受けており、新薬の製造及び販売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、有効性、安全性及び品質等に関する十分なデータが得られず、予定していた時期に上市できずに延期になる、又は上市を断念する可能性があります。
これは、当社のパイプラインを他社にライセンスアウトした場合も同様であり、当社が研究開発を行った医療用医薬品候補及び他社にライセンスアウトした医療用医薬品の候補の上市が延期又は中止された場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。
② 「再生誘導医薬」の開発に関するリスク
(ⅰ)先端医療に関する事業であることに由来するリスク
当社が研究開発を進める「再生誘導医薬」とは、患者本人の体内に存在する幹細胞の働きを高めることで、怪我や病気によって損傷した組織や臓器の自己修復/再生を促進させる新しいタイプの医薬品です。
「再生誘導医薬」は、細胞の採取や生体外培養を一切必要とせず、医薬品の投与のみによって、患者本人の体内に存在する幹細胞を損傷部位に動員し、組織の機能的な再生を促します。
医薬品により「再生医療」を実現する「再生誘導医薬」は、細胞を一旦生体外に取り出し培養したのちに体内に戻す、従来型の「再生医療」の実用化に伴う課題を一気にクリアし、難病に苦しむ世界中の患者の手に届く、革新的な治療手段となり得るものと考えております。
しかしながら、現在において、「再生誘導医薬」が医療用医薬品として当局から製造承認を受けたものはありません。また、他の再生医療技術についても、現時点では本格的な普及段階には至っておらず、主に特定の医療機関や研究機関が用いる高度な医療技術として比較的限定された範囲での臨床研究・臨床試験を中心として行われております。
こういった現状の背景には、最先端の医療・医薬品に特有の課題やリスクが存在します。まず再生医療の基盤となる学問や技術が急速な進歩を遂げている中で再生医療そのものに関する研究開発も非常に速いスピードで進んでおり、日々新しい研究開発成果や安全性・有効性に関する知見が生まれてきております。
当社の「再生誘導医薬」は現時点では新規性の高い再生医療技術であり、また学術的に見ても安全性・有効性・応用可能性ともに他の再生細胞薬等よりも優れていると自負しておりますが、一方で常に急激な技術革新の波に追い越されるリスクや想定していない副作用が出るリスクが存在し、またそのために当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ)法規制改正・政府推進政策等の変化に由来するリスク
再生誘導医薬に関連する法規制についても、最新の技術革新の状況に対応すべく常時変更や見直しがなされる可能性があります。例えば、法律・ガイドライン等の追加・改正により、これまで使用が認められてきた原材料が突然全く使用できなくなるといったリスクや当社の想定通りの内容で薬事承認が下りない又は薬事承認の取得に想定以上の時間を要するといったリスクも否定できません。また世界的な医療費抑制の流れの中で、当社が想定している製品価値よりも低い薬価・保険償還価格となる可能性もあります。当然このような場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また現在、米国や日本をはじめとする医療先進国においては先端医療に係る各種の推進政策が実施されております。これらの推進政策は、当社が推進する再生誘導医薬に大きな影響を与える可能性がありますが、その影響の内容・大きさはまだ定かではないことから、当社の今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 副作用発現、製造物責任
医薬品には、臨床試験段階から更には上市後以降において、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。当社は、こうした事態に備えて、製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための適切な保険に加入する予定ですが、最終的に当社が負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。
また、当社に対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、当社及び当社の製品に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響が及ぶ可能性があるとともに、社会的信頼の失墜を通じて当社の事業展開にも重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 競合
医薬品業界は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの企業や研究機関等による激しい競争状態にあり、その技術革新は急速に進んでいる状況であります。これら競合相手との競争において必ずしも当社が優位性をもって継続できるとは限らず、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動における競争の結果により、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 医療費抑制策
世界各国において、政府は増え続ける医療費に歯止めをかけるため、医療費の伸びを抑制していく方針を示しており、定期的な薬価引き下げをはじめ、ジェネリック医薬品の使用促進等が進んでいます。今後の医療費政策の動向が当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 固有のパイプラインに関するリスク
① 特定のパイプラインに関する提携契約への依存、収益の不確実性
当社は、塩野義製薬株式会社に、HMGB1及びHMGB1ペプチドに関する医薬品の医薬品用途、及びそれらの製法又は製剤に関連する全世界における特許に基づき、全世界において先行化合物及び先行製品の医薬品用途での独占的な開発、製造、使用又は販売するための再実施許諾権付のライセンスを付与しており、これらの提携契約による収益を中心とした事業収益計画を有しています。
しかしながら、このような提携契約は、相手先企業の経営方針の変更や経営環境の極端な悪化等の、当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に終了する可能性があります。現時点ではこれらの契約が終了となる状況は発生していませんが、本契約が終了した場合は、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、製品上市前の収益として、所定の成果達成に基づくマイルストーン収益を見込んでいますが、この発生時期は開発の進捗に依存した不確定なものであり、開発に遅延が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社では今後、後続パイプラインによる収益化に努め、現状の提携契約に基づく収益への依存度を低減していく方針ですが、それらの収益化についても、開発の進捗に依存した不確実なものであり、これらの開発に遅延が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他事業活動に関するリスク
① マイナスの繰越利益剰余金の計上
当社は、医薬品の研究開発を主軸とするベンチャー企業であります。医薬品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、ベンチャー企業が当該事業に取り組む場合は、一般的に期間損益のマイナスが先行する傾向にあります。当社も第11期(2016年7月期)は、営業利益及び当期純利益を計上しておりますが、第10期(2015年7月期)以前、第12期(2017年7月期)、第13期(2018年7月期)及び当事業年度(2019年7月期)については営業損失及び当期純損失を計上しています。
当社は、HMGB1ペプチドを始めとするパイプラインの開発を推し進めることにより、将来の利益拡大を目指しています。しかしながら、将来において計画通りに当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社事業が計画通りに進展せず当期純利益を獲得できない場合には、繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。
② 剰余金の分配について
当社は、株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を検討する所存でありますが、当面は、多額の先行投資を行う研究開発活動の継続的かつ計画的な実施に備えた資金の確保を優先するため、配当等の株主還元は行わない方針としております。
この点、「① マイナスの繰越利益剰余金の計上」に記載したとおり、繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れた場合、剰余金の分配についても遅れる可能性があります。
③ 収益計上が大きく変動する傾向
当社の事業収益は、HMGB1ペプチドを始めとする現在開発中のパイプラインのライセンスアウト時の契約一時金及び開発進捗に伴うマイルストーン収入に大きく影響されるため、過年度の事業収益、当期純利益(損失)は不安定に推移しています。この傾向は、現在開発中のパイプラインが上市され安定的な収益基盤となるまで続くと見込まれます。
④ 再生誘導医薬の市場規模に係るリスク
当社が研究開発を進める「再生誘導医薬」は、投与によって患者の体内で誘導される幹細胞が、血液循環を介して体内を巡り、損傷した組織特異的に集積し、神経や皮膚、骨、軟骨、筋肉、血管など、様々な種類の組織に分化する能力を有するため、「再生誘導医薬」という共通のプラットフォームによって、脳梗塞や脊髄損傷などの中枢神経系疾患、心筋梗塞や心筋症などの循環器系疾患、難治性皮膚潰瘍などの上皮系疾患、難治性骨折などの間葉系疾患など、組織損傷をともなう数多くの難病に対して幅広い治療効果をもたらすことが期待されます。
よって、「再生誘導医薬」は、市場において大きなシェアを獲得できると考えており、当社収益にも大きく寄与するものと考えております。しかしながら、何らかの事情により当社の想定通りにいかない場合、業績の見通しに大きな影響を及ぼす可能性があると考えております。
⑤ 小規模組織及び少数の事業推進者への依存
当社は、取締役8名、監査役3名(非常勤監査役2名を含む。)及び従業員39名(臨時雇用者含む、従業員兼務役員除く)の小規模組織であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっています。今後、業容拡大に応じて内部管理体制の拡充を図る方針であります。
また、当社の事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者及び少数の研究開発人員に強く依存するところがあります。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 特定の提携契約に依存した事業計画について
当社は、現時点で、特定の製薬企業との限られた共同研究契約及びライセンス契約を主軸とする事業計画を有しております。
しかしながらこのような提携契約は、相手先企業の経営環境の極端な悪化や経営方針の変更など、当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に終了する可能性及び当社の想定と異なる事態が生じる可能性があります。
このような事態が発生した場合には、他の製薬企業との新たな提携等により当社事業計画への影響を最小限に食い止める所存ではありますが、これが適時に実現できる保証はなく、このため当社の希望どおりの事業活動ができず、若しくは制約を受け、その結果、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社が現時点で有している主な提携契約としては、2014年11月に塩野義製薬株式会社との間で締結した、HMGB1及びHMGB1ペプチド又は化合物を有効成分として含有する医薬品の医薬品用途、及びそれらの製法又は製剤に関連する全世界における特許に基づき、全世界において先行化合物及び先行製品の医薬品用途での独占的な開発、製造、使用又は販売するための再実施許諾権付のライセンス契約があります。
塩野義製薬株式会社とは2010年4月より共同研究を開始しております。HMGB1に係る研究を進め、およそ2億円から3億円の投資である非臨床試験の研究ステージから、最終的には少なくとも数百億円規模の投資となる臨床開発ステージに進むことは、巨大な製薬企業といえども、大きな決定です。塩野義製薬株式会社がステージを進めることを決定するためには、多面的な審査をうけ、塩野義製薬株式会社の要求する基準を充足する必要があります。
当社プロジェクトは当該基準をクリアし、2014年11月にHMGB1に係るライセンス契約を締結しております。なお、当社は当該ライセンス契約に基づき、2019年7月期は100百万円、2018年7月期は200百万円を計上しており、これまでに契約一時金、マイルストーン収益として、総額1,296百万円を受領しております。
ライセンス契約によるライセンスアウト後の収入については、所定条件の達成が条件となることから、ライセンスアウト後の開発の進捗状況によっては予定された収益の計上時期が遅れる、それが得られない等の事態があり得ます。
なお、塩野義製薬株式会社とのライセンス契約に係る治験の進捗状況としては、表皮水疱症の第Ⅱ相治験が、大阪大学・慶應義塾大学・東邦大学の治験チームによって医師主導治験として予定通り進行中です。
また、脳梗塞においては塩野義製薬株式会社による企業治験が進められており、2018年3月15日公表の塩野義製薬株式会社でのR&D説明会資料において、動物実験での薬理効果(脳保護作用及び神経機能改善作用)が顕著に確認できている旨、2019年3月14日公表の塩野義製薬株式会社でのR&D説明会資料において高齢者(65歳以上)含む健康成人対象試験(第Ⅰ相試験)における投薬が完了した旨、2019年5月9日公表の塩野義製薬株式会社2019年3月期決算の補足資料においてステージが第Ⅱ相試験に移行した旨、公表がなされております。
第Ⅱ相試験の治験の実施においては前述のとおり相当の費用が発生することが見込まれるため、実施者は当然将来的な上市を期待した上で、治験を実施することになりますが、必ずしも望ましい結果が得られるとは限りません。仮に、治験の結果が望ましいものとならなかった場合、当社事業に重要な影響を及ぼす可能性があります。
これらを含め、当社の事業展開上、重要と思われる契約の概要は「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載しておりますが、当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合若しくは当社にとって不利な改定が行われた場合、又は契約の相手方の財務状況が悪化したり、経営方針が変更されたりした場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 資金繰り
当社は、研究開発型企業として多額の研究開発資金を必要とし、また研究開発費用の負担により長期にわたって先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も営業キャッシュ・フローのマイナスが続いており、かつ現状では安定的な収益源を十分には有しておりません。
このため、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。
⑧ 調達資金使途
上場時の公募増資等により調達した資金は、医薬品の研究開発を中心とした事業費用に充当する計画です。但し、新薬開発に関わる研究開発活動の成果が収益に結びつくには長期間を要する一方で、研究開発投資から期待した成果が得られる保証はなく、その結果、調達した資金が期待される利益に結びつかない可能性があります。
⑨ 設備投資に係るリスク
当社は、上場時の公募増資等により調達した資金を用いて、研究施設・動物実験施設の拡大を計画しております。当社として研究開発を推進する上でその意義は大きく、今後事業進展の拡大に寄与するものと考えております。しかしながら、現時点において当該設備投資計画が実現する保証はなく、また、当社が現時点において想定した通りに事業を展開できない場合、減損会計の適用による減損処理が必要となる場合があり、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 新株発行による資金調達
当社は医薬品の研究開発型企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
⑪ 新株予約権の発行について
当社は、当社取締役、監査役、従業員及び社外協力者の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を採用しています。会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、株主総会の承認を受け、当社取締役、監査役、従業員及び社外協力者に対して新株予約権の発行と付与を行っています。
提出日現在における当社の発行済株式総数は52,654千株であり、これら新株予約権の権利が行使された場合は、新たに11,292千株の新株式が発行され、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材の確保のため、同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があります。従って、今後付与される新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
⑫ 知的財産権
当社では研究開発をはじめとする事業展開において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であるものと認識しています。
また、当社が保有している現在出願中の特許が全て成立する保証はありません。さらに、特許が成立した場合でも、当社の研究開発を超える優れた研究開発により、当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在しています。当社の特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社では他社の特許権の侵害を未然に防止するため、当社として必要と考える特許の調査を実施しており、これまでに、当社の開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で訴訟が発生した事実はありません。しかし、当社のような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 特定人物への依存について
当社はこれまで、大阪大学大学院医学系研究科の玉井克人教授らが同定した骨髄多能性幹細胞動員因子を医薬品として開発することを目的に設立した企業であり、玉井克人氏を中心として、基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してまいりました。当社設立は、同氏の研究成果の事業化を目的とするものであり、また、現在の当社と大阪大学との共同研究においても中心となっていることから、当社の研究開発活動において重要な位置付けを有しており、その依存度は極めて高いと考えられます。
また、玉井克人氏は、当社株式を9,600千株保有する当社筆頭株主である主要株主であり、当社の経営基盤の安定のためにも、重要な位置づけを有しております。
当社は、今後においても玉井克人氏の当社への関与が必要不可欠であると考えており、何らかの理由により同氏の関与が困難となった場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 国立大学法人大阪大学との関係について
当社は、自社での研究活動の他、国立大学法人大阪大学と共同研究を実施しており、特許権について共同保有するなどしております。また、同大学は当社のストック・オプションを保有しております。
当社は、同大学との間で、HMGB1ペプチドにかかる同大学との共有特許について同大学から独占的実施権の許諾を受け、その対価として、当社の新株予約権1,460個を同大学に割り当てること、契約一時金及びかかる特許権を第三者に実施許諾したことによる収入(契約一時金、マイルストーン収入、ロイヤリティ収入)の一定料率に相当する金額を同大学に支払うこと等を定めた契約を締結しており、当該契約に基づき、塩野義製薬株式会社等から上記に該当する収入を受け取った場合には、一定率の金額を大阪大学に支払うことになります。
さらに、同大学との間には、以下のような取引等があります。
・ 大阪大学が実施するHMGB1ペプチドに関する医師主導治験(第Ⅰ相臨床試験)に使用する治験薬の提供
(無償提供の治験薬にかかる当社負担分)2015年7月期 13百万円
・ 上記、医師主導治験(第Ⅰ相臨床試験)の試験データの独占的使用権の許諾
(当社が支払う当該使用許諾の対価)2019年7月期 50百万円
・ 寄付金の支払い
(奨学寄付金等)2017年7月期 11百万円、2018年7月期 2百万円、2019年7月期 2百万円
当社は、今後も同大学との間で良好な関係を維持し、共同研究を継続していく方針でありますが、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により取引が困難となった場合、当社の事業展開にも重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、同大学との取引については、良好な関係を維持しつつも当社又は株主の利益を害することのないよう、法規制を遵守するとともに、取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益供与を疑われるなどの事態が発生した場合には、当社の利益及び社会的評価を損ねる可能性があり、その結果として当社の事業、業績や財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績等の状況
当社における事業の概況としましては、創業以来当社が取り組んできた、「再生誘導医薬」の実現に向け、研究及び開発を推進してまいりました。「再生誘導医薬」とは、怪我や病気により損傷し機能を失った生体組織の機能的再生・治癒を促進する、新しい作用メカニズムにもとづく医薬品です。
当事業年度(2018年8月1日~2019年7月31日)の具体的な進捗としましては、2017年12月に開始した、大阪大学医学部附属病院・慶應義塾大学病院・東邦大学医療センターにおける難治性遺伝性皮膚疾患(表皮水疱症)を対象とした臨床試験(医師主導治験)の第Ⅱ相試験及び、2019年4月に塩野義製薬株式会社が開発主体となる、HMGB1ペプチドに関する脳梗塞を対象とした企業治験の先行する2つの臨床治験をはじめ、複数の対象疾患において、機能障害の抑制効果が示されているなどの薬効効果が確認されており、当社が進める「再生誘導医薬」の実現に向け、研究及び開発を推進しております。
当事業年度においては、当社で最も開発の進むHMGB1ペプチドを用いた再生誘導医薬開発プロジェクトについて、主に以下3つの適応症を対象に研究開発を進めて参りました。
a) 表皮水疱症治療薬(PJ1-01)の開発については、実際の患者に対しての臨床での有効性評価を目的とした医師主導治験(第Ⅱ相試験)が大阪大学において開始され、被験者の組み入れが順調に進捗しております。また、本医薬品については、昨年度、同じく大阪大学で実施された臨床研究において、健常者ボランティアに対する本医薬品の静脈内投与が、被験者の体内で骨髄内間葉系幹細胞を末梢血循環に動員し、抹消血液中の間葉系幹細胞数を有意に増加させるとの試験結果を得ており、当社がHMGB1ペプチドに期待する作用メカニズムを証明することができました。現在実施中の第Ⅱ相治験においても、同様の作用メカニズムに基づいて、HMGB1ペプチドの投与が間葉系幹細胞を末梢血中に動員し、表皮水疱症に対する治療効果を発揮するものと期待しております。
b) 脳梗塞治療薬(PJ1-02)の開発については、本医薬品のライセンス先である塩野義製薬株式会社において、第Ⅱ相臨床試験が開始され、これまでに被験者の組み入れと安全性の確認が順調に進捗しております。
c) 心筋症治療薬(PJ1-03)の開発については、大阪大学医学系研究科心臓血管外科学との共同研究において、心筋梗塞や各種心筋症の疾患モデル動物を用いた薬効試験で顕著な治療効果と作用メカニズムの証明がなされており、その成果は、米国の循環器学会であるAHA (American Heart Association) Scientific Sessions 2017 等の国際学会で報告されるとともに、2018年3月の第18回日本再生医療学会総会では多光顕微鏡によるin vivo imaging(生体画像描出法)によって、HMGB1ペプチドを投与した心筋梗塞モデル動物において、GFP(緑色蛍光タンパク)陽性骨髄由来細胞が心筋梗塞巣へ集積し血管周囲において活発に移動する様子を観察することに成功したことを報告するなど、評価を受けております。
② 財政状態
(資産)
当事業年度末における流動資産合計は2,669,080千円となり、前事業年度末に比べ756,250千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が653,018千円増加したことによるものです。また、固定資産合計は18,780千円となり、前事業年度末に比べ6,827千円増加いたしました。これは主に有形固定資産が2,988千円増加、無形固定資産が1,393千円増加、投資その他の資産が2,446千円増加したことによるものです。この結果、資産合計は2,687,861千円となり、前事業年度末に比べ763,078千円増加となりました。
(負債)
当事業年度末における流動負債合計は75,634千円となり、前事業年度末に比べ33,344千円増加いたしました。これは主に未払法人税等が17,950千円増加したことに加え、未払金が8,210千円増加したことによるものです。また、固定負債合計は16,322千円となり、前事業年度末に比べ5,993千円増加いたしました。これは主に繰延税金負債の減少3,824千円があったものの、リース債務が9,714千円増加したことによるものです。この結果、負債合計は91,956千円となり、前事業年度末に比べ39,337千円増加となりました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は2,595,904千円となり、前事業年度末に比べ723,740千円増加いたしました。これは当期純損失の計上により利益剰余金が721,209千円減少したものの、第三者割当増資に伴い資本金及び資本剰余金がそれぞれ722,475千円増加したことによるものです。
また、HMGB1ペプチド以外の新規再生誘導医薬候補物質の探索プロジェクトについては、次世代の開発候補品選定に向けた積極的な研究開発投資を続けながら候補物スクリーニングを多面的に展開してきたことで、これまでに顕著な活性を有する複数の新規候補化合物を同定するに至っております。当事業年度においては、本プロジェクトに関わる研究テーマが中小企業庁の平成29年度戦略的基盤技術高度化支援事業に採択され研究助成金を獲得することができ、また、第三者割当増資による資金調達にも成功したことから、本プロジェクトに対する投資をさらに推し進め、研究開発を加速して参りました。
このような状況のもと、当社は、塩野義製薬株式会社と締結しているHMGB1ペプチドに関するライセンス契約に基づく臨床データ使用許諾の対価を受領したことにより、当事業年度の事業収益は、100,000千円(前事業年度は、事業収益200,000千円)となりました。営業損失については、事業推進のための研究開発費640,200千円を含む、事業費用826,861千円を計上した結果、726,861千円(前事業年度は、営業損失375,141千円)となりました。また、中小企業庁・戦略的基盤技術高度化支援事業の補助金収入等を計上した結果、経常損失は722,594千円(前事業年度は、経常損失327,338千円)となり、その結果、当期純損失は721,209千円(前事業年度は当期純損失323,822千円)となりました。
なお、当社は再生誘導医薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績記載を省略しております。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,496,422千円と前事業年度末と比べ653,018千円の増加となりました。
営業活動の結果使用した資金は777,789千円(前事業年度は260,976千円の支出)となりました。これは主に補助金の受取額23,120千円等の増加要因があった一方、税引前当期純損失の計上722,594千円及び前払費用の増加91,831千円等の減少要因があったことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は6,553千円(前事業年度はなし)となりました。これは主に固定資産の取得によるものであります。
財務活動の結果得られた資金は1,437,374千円(前事業年度は1,200,057千円の収入)となりました。これは主に株式の発行によるものであります。
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社は再生誘導医薬事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項」の「重要な会計方針」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a) 経営成績
(事業収益)
当事業年度における事業収益は前事業年度に比べて100,000千円減少し、100,000千円(前年同期比50.0%減)となりました。事業収益は、塩野義製薬株式会社と締結しているHMGB1ペプチドに関するライセンス契約に基づく臨床データ使用許諾の対価を受領したことによるものです。
(事業費用)
当事業年度における研究開発費は前事業年度に比べて186,930千円増加し640,200千円(前年同期比41.2%増)、販売費及び一般管理費は前事業年度に比べて64,790千円増加し186,661千円(前年同期比53.1%増)となりました。
研究開発費の増加は、主に研究開発活動の積極的な推進に伴う、研究用試薬等の購入による研究用材料費の増加、人員の増加による人件費の増加、及び共同研究費の増加によるものであります。
この結果、当事業年度における事業費用は前事業年度に比べて251,720千円増加し826,861千円(前年同期比43.7%増)となりました。
(営業損益)
当事業年度において、事業収益100,000千円、事業費用826,861千円を計上した結果、営業損失は726,861千円(前事業年度は375,141千円の営業損失)となりました。
(営業外損益・経常損益)
当事業年度における営業外収益は前事業年度に比べて42,789千円減少し9,785千円(前年同期比81.3%減)、営業外費用は前事業年度に比べて746千円増加し5,518千円(前年同期比15.6%増)となりました。営業外収益の主な内訳は補助金収入9,570千円であり、中小企業庁・戦略的基盤技術高度化支援事業に採択されたことによる減少であります。また、営業外費用は株式交付費であり、第三者割当増資に伴う発生であります。
これらの結果、経常損失は722,594千円(前年同期は、327,338千円の経常損失)となりました。
(当期純損益)
当事業年度における法人税等は1,384千円となりました。この結果、当期純損失は721,209千円(前事業年度は323,822千円の当期純損失)となりました。
b) 財政状態
財政状態につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態」に記載のとおりであります。
c) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
d) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資金需要の主なものは、継続的な候補物質の探索や候補物質の製品化に向けた開発に関する研究開発費と、販売費及び一般管理費などの事業費用であります。これらの資金需要に対して安定的な資金供給を行うための財源については主に内部資金を活用することにより確保しております。手元資金については、資金需要に迅速かつ確実に対応するため、流動性の高い銀行預金により確保しております。
e) 経営成績等の状況に関する認識
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
「第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照ください。
当社は、医薬品の研究開発を主たる業務としております。自社研究若しくは大学等研究機関との共同研究を通じて、生体内における組織再生誘導メカニズムの解明と幹細胞の特性解析、幹細胞の制御技術に関する基礎研究を行い、その成果を活用したスクリーニング系によって、再生誘導医薬シーズの探索をおこなっております。
同定した候補物質については、自社単独若しくは共同研究を実施した大学等研究機関と共同で特許を出願し、研究開発活動の果実である知的財産の構築を進めております。大学等研究機関と共同で出願した特許については、当社が独占的な実施権の許諾を受け、以後の製品化に向けた研究開発を当社主導で進めております。
当社は、設立以来積極的な研究開発を行っており、当事業年度における研究開発費の総額は、