文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、時代の潮流と本質をとらえ、型にはめずに挑戦することで「新時代のエンターテイメントを創出する」ことをミッションとし、「エンターテイメントで世界を代表する企業になること」を目指しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、経営効率向上による収益性の向上と、良質なIPの開発・取得・発展によって企業価値の拡大を図るという観点から、売上総利益金額と売上高経常利益率を経営指標としております。
(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
① エンターテイメント事業について
当社グループを取り巻くエンターテイメント市場においては、各種デバイスの高性能化と通信インフラの発達に伴って多種多様なエンターテイメントが日常的に供給されるようになり、持続的な市場拡大が見込まれる一方で、ユーザーの嗜好の多様化と製品寿命の短命化が進んでおります。そういった環境を踏まえ、当事業における当社グループ基本の経営戦略としては、a. 既存の主力コンテンツによるブランド力強化と収益拡大 b. 有力な新規自社IPの開発及び他社IPの取得 c. メディアミックスの体制強化 d. マーケットの変化をとらえ、適応できる組織の構築 の4つを掲げ、グループ全体としての成長を目指しております。
a. 既存の主力コンテンツによるブランド力強化と収益拡大
トレーディングカードゲームにおいては、大型IPへの回帰というトレンドを踏まえて「カードファイト!! ヴァンガード」を展開し、新規ユーザーの獲得ならびに、休眠ユーザーの掘り起こしによる市場拡大を図っております。また、「ヴァイスシュヴァルツ」では海外での日本アニメ需要の高まりを受け、海外でも人気のあるIPの英語版限定製品を発売するなど、国内のみならず海外を意識した展開をすることでさらなる収益拡大を目指しております。
モバイルオンラインゲームにおいては、既存の主力タイトルである「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」や「少女☆歌劇 レヴュースタァライト-ReLIVE-」を基盤として、IPの特性やファン層を意識したモバイルオンラインゲームブランド「ブシモ」のブランド力をさらに高めてまいります。また、2019年内には「カードファイト!! ヴァンガード」のモバイルオンラインゲーム「カードファイト!! ヴァンガード ZERO」をリリース予定であり、トレーディングカードゲームとモバイルオンラインゲームのそれぞれで培ってきたノウハウを生かしたコンテンツをお届けし、さらなるブランド力強化を目指しております。
b. 有力な新規自社IPの開発及び他社IPの取得
「BanG Dream!(バンドリ!)」、「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」に続く大型自社IPとしておよそ1年に1本のペースを目標に新規IPの企画・開発を進めております。例えば「BanG Dream!(バンドリ!)」から派生した「ARGONAVIS from BanG Dream!」は初の女性向け自社IPとして開発・展開しております。他社IPの取得としては、年間10タイトルほどのアニメ作品にマイナー出資することで版元との関係を良好に保ち、継続して有力タイトルの取得に努めてまいります。
c. メディアミックスの体制強化
多くの競合他社が特定領域のみで事業展開を行う中、当社はトレーディングカードゲームやモバイルオンラインゲームの開発を通じて培ったIP活用やイベント等オフライン展開のノウハウを基盤として、IPの特性を生かしたメディアミックス戦略を展開することを強みとしており、グループ会社がそれぞれに持つ役割を有機的に連携させ、自社・他社を問わず、可能性を秘めたIPをワンストップでプロモーションできるプラットフォーム機能のさらなる強化を目指しております。
d. マーケットの変化をとらえ、適応できる組織の構築
当社グループでは変化の激しいマーケットを的確に捉え、市場ニーズに即したコンテンツを供給するべく、少人数のIP軸チームが機動的なプロデュースを行いつつ、職能別組織により専門的な知見を組み合わせることが可能なマトリクス組織を構築しております。また、部門間での連携や組織の柔軟さを保つため、部門間で競争を引き起こすようなインセンティブや各種申請において複雑な手続きなどを設定せず、グループが一体となって新時代のエンターテイメントを創出すべくIPプロデュースに取り組んでおります。
②スポーツ事業について
政府は「日本再興戦略2016」の官民戦略プロジェクトの一つに「スポーツの成長産業化」を挙げており、スポーツ市場規模を2015年時点の5.5兆円から2020年までに10兆円、2025年までに15兆円に拡大することを目指し、2025年までに新たにスタジアム・アリーナを全国で20拠点設置することを掲げ、官民連携による消費マインド喚起を推進しております(注)。当社グループのスポーツ事業も消費者の旺盛な需要を背景として、堅調な成長を見込んでおります。
当社グループとしては、イベント運営体制の強化や海外への積極的な番組販売による収益の拡大と、若手選手の発掘と育成、海外人気選手の獲得による選手層拡充により、一層の国内外のファンの拡大とブランド力強化を図ることで国内No.1、アジアNo.1のライブスポーツエンターテイメントを提供することを目指しております。
(注)出典:文部科学省 スポーツ庁 平成29年度「スポーツ産業の成長促進事業③スポーツ関連 新事業創出支援事業」報告書
(4)対処すべき課題
① IPの大型化
当社グループは、提供されるエンターテイメントが増加し、お客様の可処分時間・所得を得ることがますます難しくなっている環境の中、選ばれるコンテンツとしてIPを大きく発展させていくことが課題と認識しております。エンターテイメント事業においては、IPごとのランクを見える化し、年商100億円以上のIPを複数保有できるよう目標を掲げ、当社グループ独自のメディアミックスプロモーションのノウハウを活用したIPの育成・発展に取り組んでおります。スポーツ事業においては、「新日本プロレス」や「KNOCK OUT(ノックアウト)」のブランドをますます浸透させることが必要と考えております。特に「KNOCK OUT(ノックアウト)」は国内キックボクシング業界でのNo.1団体を目指し、エンターテイメント事業で培ったブランディングノウハウの活用により選手のキャラクター化を進めてまいります。
② 海外市場でのポジションの確立
当社グループは、次なる成長市場として海外地域、特にアメリカ合衆国と中華人民共和国を戦略地域と認識しております。エンターテイメント事業においてトレーディングカードゲームでは、引き続き「カードファイト!! ヴァンガード」を中心にローカライズを強化しており、モバイルオンラインゲームにおいても2018年4月より英語版や中国語版へのローカライズを開始し、グローバルなパブリッシャーとしての地位確立を急務とした展開をしております。また、国内タイトルを海外へ展開するのみならず、有力な海外タイトルのライセンス取得によってさらなるグローバル化を推進いたします。スポーツ事業においては、巨大市場である海外への映像販売を強化することが課題となっております。当社グループとしては、国際スポーツ映像見本市「Sportel」への出展を行うなど、国際的なスポーツ代理店・放送局との良好な関係性の構築を積極的に行ってまいります。
③ 新技術への対応
当社グループは、技術の発達によりエンターテイメントの新たな表現が可能になり、お客様とのコミュニケーション方法が進化するという認識のもと、新技術への対応を適時に行うことが重要な課題であると考えております。したがって、当社グループは、近年普及が拡大しているスマートフォンやタブレット端末に限らず、次々と登場する新技術に適時に対応していくことが必要であると認識し、必要な対応や積極的な投資を行ってまいります。
④ 優秀な人材の採用・育成
当社グループは、IP創出における競争激化、グローバル環境での競争激化、お客様から求められるサービス水準のリッチ化に継続的に対応していくためには、優秀な人材の確保及び育成が必要であると考えております。しかし、転職市場の盛況も手伝い、優秀な能力を持つ人材の採用は他社とも競合し、採用難易度は年々高くなっております。当社グループは、社内研修の強化、福利厚生の充実を図っていくとともに、志望者を惹きつけるようなオリジナリティのあるヒットタイトルを継続的にリリースしていくことで採用強化につなげたいと考えております。また、マーケットでのプレゼンスやコーポレートブランドを高め、会社の魅力を世の中に訴求していくことも継続的に行ってまいります。
⑤ 内部統制、コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループが今後更なる拡大を図るためには、持続的な成長を支える組織体制・内部管理体制の強化が重要であると考えております。当社グループとしては、内部統制の実効性を高めるための環境を整備し、コーポレート・ガバナンスを充実していくことにより、内部管理体制の強化に取り組んでまいります。
当社及び当社グループ(以下、本項目において、当社グループと総称)の事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当社はこれらのリスク発生及びその可能性を認識した場合、発生の回避及び発生した場合の対応に努めます。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)組織体制に関するリスク
① 新製品(新規トレーディングカードゲーム、新規モバイルオンラインゲーム)の適時リリース
新製品を適時に出荷できるかどうかは、新製品の開発プロセス(特にモバイルオンラインゲームの開発)、ライセンサーの許可、生産能力等、ソフトウエアの場合にはさらにデバッギング(注)、企図した水準に達していないなど顧客満足度向上のための追加開発、ミドルウエアメーカーや各種権利者からのライセンス許可等、様々な要因に左右されます。そのため新製品を計画通り発売又は出荷することができない場合、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
(注) デバッギングとは、ソフトウエアのプログラムの誤り(バグ)を修正すること。
② ソフトウエア製品の製品・品質管理
当社グループのモバイルオンラインゲームにかかるソフトウエア製品は複雑であり、発売当初あるいは新バージョンのリリース時には検知されない欠陥が含まれている可能性があります。当社グループは、リリース前に公開・非公開の方法により広範な検査、デバッギング、テストプレイ等を行っておりますが、リリースしたソフトウエア製品に、顧客満足の喪失に結びつくような欠陥が含まれていないとは保証できません。このような喪失が生じた場合、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
③ 人材採用・人材確保
当社グループの成長と成功の継続は、経営幹部と他の重要な従業員の貢献が継続すること、そして新規に能力ある従業員を雇用できるかどうかに依存しております。特にソフトウエア産業は、従業員の流動性がきわめて高く、競合会社間では技術、マーケティング、販売、開発及びプロデュースの能力が高いスタッフの獲得競争が行われております。当社グループは、競合会社間の従業員獲得競争の激化から、能力のある社員を雇用し、雇用を維持しておくことができない可能性があり、このような場合、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
④ 特定人物への事業依存
当社グループの創業者であり取締役である木谷高明は、当社グループの強みであるコンテンツの創出やプロデュースノウハウを蓄積しており、実際の事業の推進においても重要な役割を果たしております。
当社グループは、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を目指し、人材の育成及び強化を進めております。しかしながら、人材の育成及び強化が未達の状態で、何らかの理由により同氏が当社グループの業務執行、プロジェクトの遂行ができない事態となった場合には、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑤ 他社知的財産の侵害
現在又は将来において、当社グループに対する国内外からの著作権をはじめとする知的財産権に係る権利侵害の申立てが行われることにより、高額の訴訟費用を要する訴訟に至る、あるいはそのような申立てを機に、第三者から、多額の費用を要する何らかの権利又は利用の許諾を取得しなければならなくなる可能性があり、これにより当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。当社グループの製品の数、特にソフトウエア製品が増加することで、企図することなく第三者の権利の侵害が生じてしまう可能性が高まることから、このような申立てを受ける可能性は高くなります。なお、当社グループは、ソフトウエアの開発を第三者に委託しておりますが、当該開発会社によって他社の権利侵害が生じた場合も、上記と同様の事態が発生し、これにより当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。当社グループは、製品の製造、販売やサービスの提供を行う上で、多くの知的財産権を使用しており、当社グループの販売及びリリースする製品が他者の知的財産権を侵していないことを確認するために相当の注意を払っておりますが、それでもなお、事業を世界中に展開していることもあり、第三者から権利侵害の申立てを受ける可能性を否定することはできません。
⑥ 新たな法的規制への対応
当社グループがリリースするモバイルオンラインゲームに関しましては、その製品の先進性、発展性等から、現在法令面の整備が継続して行われております。当該法令面の整備は、モバイルオンラインゲームに対する法的規制となり得ることもあり、近年では「コンプリートガチャ(注)」と呼ばれる課金方法が「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」に違反するとの見解が2012年7月に消費者庁より発表されております。当社グループでは、既存の法令に抵触しないよう、また今後制定される法令が当社製品に影響を与えるような場合には適切に対応するべく相当の注意を払っておりますが、新たな法規制の制定により、当社グループの事業に多大な制約が生じるとともに当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
(注) コンプリートガチャとは、有料のガチャ等によってアイテム等を販売し、特定の組み合わせを集めたユーザーに特別のアイテム等を提供する行為
⑦ 個人情報の管理
当社グループは、トレーディングカードゲーム製品の大会の開催、ECショップを通じてのユーザーへの直接の製品販売等を通じて、ユーザーの氏名、住所、メールアドレス等の個人を特定しうる重要な情報を入手しているため、「個人情報保護規程」等の社内規程の制定と社内規程に基づく個人情報の入手、適切な管理に努めております。しかしながら、何らかの事情で重要な個人情報が漏洩した場合には、当事者による損害賠償請求、ユーザーに対する対応、当社グループの信用失墜により、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
(2)事業環境に関するリスク
① 特定のタイトルにおける収益依存について
当社は、売上の大部分を特定のタイトルに依存している状況にあり、当連結会計年度においては、トレーディングカードゲーム「カードファイト!! ヴァンガード」「ヴァイスシュヴァルツ」、モバイルオンラインゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」、スポーツ「新日本プロレスリング」が売上の内、大きな割合を占めております。当社といたしましては、確立されたメディアミックスの実行によって既存タイトルのサービス向上に取り組む一方で、新規IPへの開発投資も積極的に実施することで新規IPの創出に注力してまいります。しかしながら、今後当該タイトルの収益が想定していた売上高より大きく下回った場合、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
② 広告宣伝のリスク
当社グループは、良質なIPの開発・獲得・発展を目的として事業を多角化しており、IPをトレーディングカードゲームやモバイルオンラインゲーム、音楽、メディア等様々なメディアに対し商品やサービス展開(メディアミックス)をグループ全体で担うビジネスモデルとなっているため、プロモーション施策を積極的に展開しております。当連結会計年度における販売費及び一般管理費に占める広告宣伝費の割合は43%と大きな割合を占めております。しかしながら、当初意図した広告効果が発現しなかった場合は、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
③ トレーディングカードゲームの国内市場規模の推移
トレーディングカードゲームの国内市場規模は近年伸び悩んでおり(注)、一定の市場規模ではあるものの今後成長が進まない場合、当社グループのトレーディングカードゲーム製品の販売も影響を受ける可能性があり、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
(注) 出典:一般社団法人日本玩具協会「2017年度国内玩具市場規模」
④ オンライントレーディングカードゲーム市場へのユーザーの流出
近年、モバイルオンラインゲーム向けにリリースされるオンライントレーディングカードゲームのユーザーが増加傾向にあります。当社グループもオンライントレーディングカードゲームの開発を行っておりますが、オンライントレーディングカードゲームの市場が今以上に拡大し続けた場合、当社グループのトレーディングカードゲーム製品のユーザーが流出する可能性があり、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑤ 紛争、訴訟の発生
当社グループが国内外で事業を継続・拡大を行っていく上で、投融資先、取引先又はユーザーとの間で訴訟等の紛争が生じ、これにより訴訟等が提起され、当社グループが多額の損害賠償金を支払うような事態が生じる可能性があります。⑤に記載のとおり、当社グループは第三者の知的財産権の侵害についての各種調査を実施しており、また、製品の開発等においても法的規制・製品の安全性の確認を実施することで、第三者の権利を侵害するリスクを減少させるよう努めておりますが、第三者からの訴訟の提起を受ける可能性はゼロではなく、訴訟の提起を受ける場合、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑥ 技術革新への対応
当社グループのリリースするモバイルオンラインゲームの市場は、技術革新やユーザーの嗜好の移り変わりのスピードが非常に速く、新たなサービスやコンテンツが日々生み出されております。その技術革新やユーザーのニーズへの対応をはじめとする新たなサービス・コンテンツが生み出されることにより、モバイルオンラインゲームの市場規模は今後も拡大が続くことが予想されます。
当社グループでは、技術、マーケティング、販売、開発及びプロデュースの能力が高いスタッフの採用・育成等を通じて、係る技術革新への対応を続けておりますが、当社グループの技術対応への遅れや設備投資などのコストの増加により、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑦ 競合他社との競争激化
現在、モバイルオンラインゲームの市場においては、数多くの競合他社が存在しております。また、海外も含め新たに当該市場に参入する会社も多く、競合他社との競争は今後さらに激化していくものと考えられます。当社グループは、自社IP及び他社からの利用許諾を得たIPを活用し、外部の優秀な開発会社に開発を委託することで激化する競争に対抗し得る魅力的なコンテンツを今後もリリースしていくことに注力してまいります。しかしながら、画期的なサービスを提供する競合他社や参入企業等との競争が激化し、当社グループの優位性が損なわれた場合には、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑧ モバイルオンラインゲーム市場の衰退又は成長減退
当社グループが重要分野と位置づけて事業を展開しているモバイルオンラインゲーム市場は、今後も海外においては市場規模が拡大していくものと予測しております。しかしながら、当該市場の成長が当社グループ予測を下回る事態や、新たな法的規制の導入等により、市場の成長を阻害する要因が発生した場合には、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑨ システムの継続性確保、セキュリティ対策
当社グループは、インターネットを介して商品・サービスを提供しており、当該商品・サービスの提供を継続し、顧客満足度の向上を図るためには、システムや通信環境が安定的に稼働することが前提であると認識しております。そのため、当社グループはインターネットを介した商品・サービスを安定的に提供するため、当社グループの管理するシステムや通信環境に相応の費用を投じております。しかしながら、当社グループの提供する商品・サービスのユーザー数及びデータ量が当社グループの予測から大幅に乖離する場合、想定よりも多額の費用を投じる必要が生じることがあります。加えて、システムの不具合や通信障害、自然災害、事故、ネットワークを通じての不正アクセス及びコンピュータウィルスの感染など、予期せぬ問題が発生した場合には、安定したサービスの提供が困難となり、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑩ モバイルオンラインゲーム運営事業者の動向
当社グループのモバイルオンラインゲームは、Google LLC.やApple Inc.をはじめとした大手プラットフォーム事業者を介して、各社のサービス規約に従ってリリースされております。したがって、プラットフォーム事業者の事業方針の転換等によりサービス規約が変更され、システム利用料等が大きく変更されることがあれば、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑪ スポーツ事業の動向
当社グループは、連結子会社の新日本プロレスリング㈱及び㈱キックスロードにおいてプロレス及びキックボクシングの興行やグッズの企画販売及び試合を中心とした動画コンテンツの企画・制作・配信を行っており、今後もイベント運営体制の強化等によりファン層の拡大を図っていく方針であります。しかしながら、プロレスやキックボクシングの人気低迷や人気選手の負傷による長期欠場、流出、選手による不祥事発生等により、事業の拡大を阻害する要因が発生した場合には、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑫ カントリーリスク
当社グループでは当社グループ製品の海外での発売、モバイルオンラインゲームのローカライズ配信など、海外における取引が増加しております。しかしながら、海外における取引は、現地政府による外国為替の停止、関税の引き上げ及び政府の公用収用による財産の没収等の様々なカントリーリスクに晒される可能性があります。また、海外での取引では為替レートの変動リスクが生じるため、契約上当該為替リスクを当社グループが負担せざるを得ない場合、当該為替リスクによる金銭的な負担を当社が負うことがあります。加えて、海外において当社グループのベンダーや顧客を増やす過程において、製造物責任、設備責任、製品の欠陥又は労働問題等の訴訟リスクや予期しない破産のリスクにさらに晒される可能性があり、これにより当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑬ 自然災害、事故等について
当社グループでは、自然災害、事故等に備え、システムの定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、当社グループ所在地近辺において、大地震等の自然災害や事故等が発生した場合、当社グループの設備損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑭ 資金使途について
当社の公募増資による調達資金の使途については、良質なIPの開発・取得・発展を目的として、自社IP及び他社IPの開発費、新規IPに係る広告宣伝費に充当する予定であります。しかしながら、当社グループの遂行する業務においては急速に事業環境が変化することも考えられ、環境変化に柔軟に対応することを優先し、現時点における資金計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定した投資効果が得られない可能性があります。
⑮ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、役員、従業員および社外協力者に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとしてストック・オプションを付与しているほか、今後も優秀な人材確保のためストック・オプションを発行する可能性があります。現在付与されている、または今後付与するストック・オプション又は自己新株予約権の行使が行われた場合、発行済株式総数が増加し、1株当たりの株式価値を希薄化させる可能性があります。本書提出日の前月末現在、ストック・オプションの目的となる株式数は1,382,000株であり、発行済株式総数16,073,400株の8.59%に相当します。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は24,136,743千円となり、前連結会計年度末に比べ5,903,936千円増加致しました。これは主に新株の発行に伴い現金及び預金が5,473,923千円、長期貸付金が418,484千円それぞれ増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は12,230,896千円となり、前連結会計年度末に比べ918,156千円増加致しました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が719,320千円、長期借入金が612,711千円それぞれ増加した一方、未払金が364,925千円、未払法人税等が497,460千円それぞれ減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は11,905,846千円となり、前連結会計年度末に比べ4,985,780千円増加致しました。これは主に新株の発行に伴い資本金が1,825,740千円、資本剰余金が1,404,913千円、利益剰余金1,799,845千円それぞれ増加したことによるものです。
② 経営成績の分析
当連結会計年度における我が国経済は、輸出・生産や企業マインド面に海外経済の減速の影響がみられるものの、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、基調としては緩やかに拡大しております。
このような環境の下で、当社グループは自社、他社の有する魅力的な「IP」を軸に、様々なメディアミックスをスピーディーかつタイムリーに展開する「IPディベロッパー」戦略を掲げ、新時代のエンターテイメントを創出すべく積極的な事業活動を推進してまいりました。また、皆様方のご支援により2019年7月29日に東京証券取引所マザーズ市場に上場しております。手取金につきましてはIPの開発・取得・発展にかかる費用に充当し、今後ますます良質なIPを多数創出すべく邁進していく所存です。
その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高32,175,839千円(前期比11.4%増)、営業利益3,058,637千円(同4.4%増)、経常利益3,031,079千円(同1.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,799,845千円(同9.9%増)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメント売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
イ エンターテイメント事業
当社グループのエンターテイメント事業は、TCG(トレーディングカードゲーム)部門、MOG(モバイルオンラインゲーム)部門、音楽部門、MD(マーチャンダイジング)部門、メディア部門の5部門で展開しており、特に自社IPにおいてはそれぞれの部門の持つ機能を活用しながら発展させていくビジネスモデルを構築しています。TCG部門は看板ブランド「ヴァイスシュヴァルツ」が発売以来過去最高の売上高を達成し、11年の歴史を経てなお当社売上の柱の1つとして存在感を示しています。MOG部門は「少女☆歌劇 レヴュースタァライト-ReLIVE-」と「名探偵コナンランナー 真実への先導者」をリリースし、「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」の簡体字版リリース等、海外展開にも積極的に取り組んでまいりました。またメディア部門は年末年始特別番組「24時間 バンドリ!TV」の放送や音響制作事業をスタートさせるなど新たな試みによってビジネスの幅を着実に広げております。そして当連結会計年度において特に売上高の伸びを牽引したのは音楽部門とMD部門であり、それぞれ前期比で59.8%増、58.8%増を達成いたしました。この牽引を支える要素の1つは「バンドリ!」IPの成長であり、「バンドリ!」IPは当社が目標としている「年商100億円以上のIP」まであと一歩と迫ってまいりました。
これらの結果、売上高26,675,397千円(前期比11.8%増)、セグメント利益2,450,367千円(同13.5%増)となりました。
ロ スポーツ事業
スポーツ事業の主たる柱である新日本プロレスにつきましては、興行数は前期に比べわずかに減少したものの、中規模~大規模の興行を連日同一会場で開催する施策により、集客数は増加し、興行日程の効率化を図ることができました。結果、新日本プロレスの興行部門売上は、前期比で12.8%増を達成いたしました。また、2019年4月にはニューヨークにあるマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)での興行をアメリカのプロレス団体ROHと共同開催しました。新日本プロレス創立以来初となるMSG大会は、海外興行において過去最高である16,534人を動員し、今後の海外事業拡大への弾みとなりました。コンテンツ部門につきましては動画配信サービス「新日本プロレスワールド」が会員数10万人を達成、MD部門につきましては、興行集客数の増加に加え、積極的なキャンペーン展開、コラボアイテム等の新商品の開発・市場投入により堅調に推移いたしました。今後とも新日本プロレスブランドは当グループを支えるIPの1つとして、グループ一丸となって成長させてまいります。また、㈱キックスロードで展開するキックボクシングブランド「KNOCK OUT(ノックアウト)」につきましても、1つのIPとして確立すべく、2019年5月より新体制でのリブランディングを推進しております。
これらの結果、売上高5,500,442千円(前期比9.6%増)、セグメント利益608,269千円(同21.1%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて5,118,947千円増加し、12,566,581千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2,165,519千円(前年度は得られた資金3,264,882千円)となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益3,024,240千円、たな卸資産の減少額613,578千円であり、主な支出要因は、法人税等の支払額1,618,916千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,349,839千円(前年度は使用した資金1,440,310千円)となりました。主な支出要因は、定期預金の預入による支出1,045,168千円、貸付けによる支出420,000千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、4,328,661千円(前年度は得られた資金969,229千円)となりました。主な収入要因は、株式の発行による収入3,651,480千円、長期借入れによる収入2,474,000千円であり、主な支出要因は、長期借入金の返済による支出1,141,969千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループにおいては、提供するサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループにおいては、一部請負業務を行っておりますが、「a 生産実績」に記載の理由から、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年8月1日 至 2019年7月31日) |
前年同期比(%) |
|
エンターテイメント事業(千円) |
26,675,397 |
111.8 |
|
スポーツ事業(千円) |
5,500,442 |
109.6 |
|
合計(千円) |
32,175,839 |
111.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2017年8月1日 至 2018年7月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年8月1日 至 2019年7月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
㈱Craft Egg |
3,254,357 |
11.3 |
2,793,509 |
8.7 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、前記「2 事業等のリスク」に記載のとおり、組織体制に関するリスク及び事業環境に関するリスク等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場環境等に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、消費者や市場のニーズに適時適切に対応していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。
③ 経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループは、売上総利益金額及び売上高経常利益率を重要な経営指標としております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、自社IP「BanG Dream!(バンドリ!)」を題材としたモバイルオンラインゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」の売上に加え、グループ会社が担うライブやイベントの動員数、音楽ソフト販売数、グッズの売上等も大きく伸長しています。その結果、売上総利益は14,645,933千円(前期比6.9%増)となりました。
また、売上高経常利益率は10%以上を目標としておりますが、リリース予定のモバイルオンラインゲームへの投資やスポーツ事業における映像や海外強化への投資により9.4%と前期の10.4%を下回りました。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、自社IP開発、他社IP投資、IPを発展させるための広告宣伝費等の営業費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金は、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金の残高は、4,831,976千円となっております。
当連結会計年度末現在における経営上の重要な契約等は次のとおりであります。
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約の名称 |
契約 締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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当社 |
KLab㈱ |
日本 |
コンテンツ配信サービスに関する共同事業契約書 |
2012年 8月31日 |
モバイルオンラインゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」を共同で企画開発し、本サービスを運営管理することについて、互いに協力して事業展開することを目的とする契約書 |
2012年7月1日から 2014年6月30日まで 以後1年ごとの自動更新 |
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当社 |
㈱Craft Egg |
日本 |
共同事業契約書 |
2016年 3月1日 |
モバイルオンラインゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」の企画・製作及び運営に関する業務を共同で行い、本コンテンツを利用した利益の増進を図ることを目的とする契約書 |
2016年2月1日から 2018年3月31日まで 以後1年ごとの自動更新 |
当連結会計年度における研究開発費は、エンターテイメント事業では
当社グループにおいては、現在のエンターテイメント市場に則したあらゆるユーザーのニーズにすばやく対応していくために、積極的に研究開発に取り組んでおります。
また潮流と本質をとらえ、型にはめずに挑戦し、革新的エンターテイメントで世界を代表する会社を創るという基本方針のもと、良質なIPの開発・獲得に力を入れており、特にトレーディングカードゲームとモバイルオンラインゲームにおいて、新しい製品を市場に送り出すための積極的な企画開発・製作活動を行っております。