当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、時代の潮流と本質をとらえ、型にはめずに挑戦することで「新時代のエンターテイメントを創出する」ことをミッションとし、「エンターテイメントで世界を代表する企業になること」を目指しております。
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
①経営環境
②中長期的な会社の経営戦略
IPディベロッパー2.0は、「ヴァイスシュヴァルツ」をベースにGlobal Mega Character Platformを構築し、カードゲームにとどまらず、ライブエンタテインメント領域、マーチャンダイズ領域、デジタル領域等で、自社・他社IP、つまり国内外のキャラクターIPを活用させていただき多面的にサービスを提供するグローバル基盤であり、世界のIP価値の向上に貢献する戦略です。これにより、世界の様々なチャネルからファンを獲得し、収益源を多角化することによって、1部門で得られる収益のボラティリティが高くとも他の部門で補うことができるビジネスモデルとなっております。
2015年1月に発表した「BanG Dream!(バンドリ!)」は、キャラクターの声を演じる声優が実際に楽器を演奏し、生のライブ活動を行うというユニークな発想を起点として開発したIPであり、こうした音楽活動をはじめ、アニメ、TCG、モバイルゲーム、MDといった様々なメディアミックスと幅広い広告宣伝によって多様なチャネルからファンを獲得しております。収益の面においてもTCGやモバイルゲームのみならず、子会社が担う音楽ソフトやMDの売上が順調に伸びており、IPが発展することによって子会社を含む各部門の成長が牽引されるという当社が理想とするビジネスモデルを体現したIPとなっております。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、積層型のIPビジネスモデルを構築する中で、IPごとのランクを見える化し、Sランク(年商100億円以上)IPを3本以上、Aランク(年商40億円以上)IPを4本以上、Bランク(年商10億円以上)IPを5本以上保有することを事業目標としております。
また当社グループは、経営効率向上による収益性の向上と、良質なIPの開発・取得・発展によって企業価値の拡大を図るという観点から、売上総利益金額と売上高経常利益率を経営指標としております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは2025年8月に公表いたしました「中期ビジョン2030」のもと、3つのビジョン(「自社IPの活性化および新規IPの創出」「カードゲーム世界一を目指す」「海外進出を加速する」)及びビジョンの下支えとなる「もっと沢山体験してもらう」こと並びに「優秀な人材の採用・育成」及び「内部統制、コーポレート・ガバナンスの強化」に向けて取り組んでまいります。
① 自社IPの活性化および新規IPの創出
有力なIPを強固な柱へ
「カードファイト!! ヴァンガード」と「バンドリ!」といった、会社の顔となり継続的に売上の立つ自社IPを保有していることが当社グループの強みのひとつです。これに続き「新日本プロレス」「スターダム」「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」といった有力なIPもさらに強固な柱となるよう後押しします。
継続的な大型IPの立ち上げ
当社グループが得意とする、音楽ライブ・舞台を起点としたライブミックスを用いた大型IP開発は、この5年間でも引き続き行っていきます。内2本はすでに計画中のものがあり、少なくとも3本の立ち上げを目指しています。若手プロデューサーの抜擢や部門を横断したプロジェクトチームの強化にも注力していきます。
出版による多点数IP開発
これまで行ってきた大型IP開発に加え、2024年6月期に新設した㈱ブシロードワークスの出版事業では刊行点数の増加に注力します。さらに、これまで培ってきたアニメ製作委員会のノウハウを活用し、出版起点でのIP開発も強化していきます。
② カードゲーム世界一を目指す
当社グループは、売上やユーザー数においてさらなる成長余地を残しつつも、取り扱いタイトル数においては既に世界有数のポジションを確立しています。この強みを生かし、世界最大のカードゲームパブリッシャーを目指します。新規カードゲーム創出のグローバル・プラットフォームとして、カードゲーム市場をリードする存在へと成長してまいります。
自社基幹タイトル
事業の大黒柱である「ヴァイスシュヴァルツ」と「カードファイト!! ヴァンガード」は今後も手厚く伸ばしてまいります。
協業も含む新規タイトル
「ラブライブ!シリーズ オフィシャルカードゲーム」や「ゴジラ カードゲーム」に続き、今後も様々なIPとともに、新たな”楽しい”の創出に挑戦してまいります。
③ 海外進出を加速する
重点地域
特に市場の成長余地が大きい、中国を中心とした東アジア及び北米を最重要地域として位置付け、注力します。
国内売上高とのバランス
国内売上高はこれまでと同程度の伸長を保ちながら、上記現在約30%である海外売上高比率を、中期的に50%へ引き上げることを目指します。
成長余地が大きいこれらの市場の拡大・獲得こそが次の5年間の成長ドライバーであると考えます。
Bushiroad EXPO
TCG、アニメ、ゲーム、音楽ライブ、舞台、MD、プロレスなどのブシロードコンテンツを、世界中の皆様へ直接ご覧いただくための展示会であるBushiroad EXPOは、今後もマーケティングの要として注力します。2025年は世界16地域以上で開催し、各地域への接点の第一歩を担っています。
④ もっと沢山体験してもらう
ブシロードのエンタテインメントの最大の強みは、“リアルな体験”が生み出す熱量にあります。バンドリ!がライブから始まり、アニメやゲームへと世界観・ストーリーを拡張していったように、リアルの熱がコンテンツを強くし、ファンの共感を広げていきます。一義的な動員数の追求ではなく、「ブシロードのエンタテインメントを生で体験する」有料ライブイベント来場者数をフィジカルリーチと捉え、これを中期的に国内外で倍増させることを目標としてまいります。
⑤ 優秀な人材の採用・育成
当社グループは、上記のビジョンに取り組んでいくためには優秀な人材の確保及び育成が必要であると考えております。当社グループは、大幅に権限委譲し、若手でも責任を持った仕事が任せられる体制と、ITツールにとどまらないリアルで包括的なコミュニケーションが可能な機会を積極的に設けるなど、志望者を惹きつけるような仕事環境を進化させてまいります。また、10以上の国籍の社員を擁しダイバーシティと平等性の配慮に注力しております。これらの社内カルチャーや制度により、採用力強化につなげたいと考えており、グローバルマーケットでのプレゼンスやコーポレートブランドを高め、会社の魅力を世の中に訴求していくことも継続的に行ってまいります。
⑥ 内部統制、コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループが今後更なる拡大を図るためには、持続的な成長を支える組織体制・内部管理体制の強化が重要であると考えております。当社グループとしては、内部統制の実効性を高めるための環境を整備し、コーポレート・ガバナンスを充実していくことにより、内部管理体制の強化に取り組んでまいります。また、反社会勢力の排除を目的とした政府方針である「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を尊重し、コンプライアンス経営を徹底いたします。
当社グループは、『すべての人に“楽しい”という喜びを届けたい。』を存在意義として掲げており、時代の潮流と本質をとらえ、型にはめずに挑戦することで「新時代のエンターテイメントを創出する」ことをミッションとし、「エンターテイメントで世界を代表する企業になること」を目指しております。また、良質なIP(Intellectual Property:知的財産)を開発・取得・発展させるIPディベロッパー戦略を掲げ、IP軸で事業をグローバルに展開しております。
当社グループは、継続的な製品とサービスの提供及び持続的な成長を目指すにあたり、サステナビリティへの取り組みは重要な経営課題として捉えております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社グループでは、現在のところサステナビリティ委員会などの諮問機関は設置しておりませんが、サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他の経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。詳細は、「
(2)人的資本に関する戦略
当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針、及び社内環境整備に関する方針は、男女ともに全社員が活躍できる雇用環境の整備を行い、社員が仕事と子育てを両立させることができる働きやすい環境を作ることによって、その能力を十分に発揮できるようにすることを方針としております。
また、「すべての人…」とは国内というわけではありません。全世界です。ブシロードグループの社員は11の国と地域の出身者で構成され、2025年6月末時点の外国人比率は36.4%となっております。
当社は創業来、国籍・性別・学歴を問わず、「エンタテインメントが好きな人」というポイントにフォーカスして人材採用を続けています。社内研修制度は、新卒・キャリア採用問わず入社研修はもちろん、全社員対象に毎年定期開催のセキュリティ・ハラスメント・インサイダー・AIなどを含む全体研修、管理者には幹部研修などを継続的に行っております。
(3)指標及び目標
提出会社の正規雇用労働者の女性労働者の割合は37.1%であります。管理職に占める女性労働者の割合も2028年までに同率にする目標を掲げております。
また、提出会社の男性育児休業取得率は66.7%であります。男性育児休業取得率は2028年までに100%にする目標を掲げております。
上記「(2)人的資本に関する戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針、及び社内環境整備に関する方針については、次の指標を用いております。また、当該指標に関する目標、及び実績は次のとおりであります。なお、2025年8月14日に発表した「中期ビジョン2030」では「海外進出を加速する」をビジョンの1つとしており、引き続きグローバル拡大という方針を変えることなくIPディベロッパーとして事業を展開してまいります。そのためには、日本・米国・シンガポールの各拠点で、外国人社員及び英語人材が重要と考えており、外国人社員及び英語人材比率を2027年までにグループ全体の40%にすることを目標としておりましたが、2024年6月期において主にGorin Technical Industry (Malaysia) Sdn. Bhd.を連結子会社にしたことにより目標を達成しております。引き続き採用広報においてグローバル企業のイメージを打ち出すとともに多国籍の学生を擁する大学には直接訪問するなど採用活動を強化してまいります。
なお、当社グループの人的資本以外の指標及び目標は現時点では設定しておりません。今後、企業価値向上に向けたサステナビリティに関する指標及び目標については、社内で議論を深めてまいります。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
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(注)1.管理職に占める女性労働者の割合及び男性労働者の育児休業取得率に関する実績は、連結子会社が「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、提出会社のみの実績を記載しております。
2.当社グループ全体での数値を記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)組織体制に関するリスク
① 新製品(新規トレーディングカードゲーム、新規モバイルゲーム及びコンソールゲーム)の適時リリース
新製品を適時に出荷できるかどうかのリスクの顕在化する可能性の程度や時期は、新製品の開発プロセス、ライセンサーの許可、生産能力等、ソフトウエアの場合にはさらにデバッギング(注)、企図した水準に達していないなど顧客満足度向上のための追加開発、ミドルウエアメーカーや各種権利者からのライセンス許可等、様々な要因に左右されます。新製品を適時にリリースすることは、当社グループの収益基盤であり、当該リスクが顕在化した場合には当社グループの売上に与える影響が大きいと認識しております。そのため、当社グループは、Global Mega Character Platformを構築する中で自社IPの開発だけに頼らない事業ポートフォリオを確立することでリスクの分散をはかっております。
(注) デバッギングとは、ソフトウエアのプログラムの誤り(バグ)を修正すること。
② 人材採用・人材確保
当社グループの成長と成功の継続は、経営幹部と他の重要な従業員の貢献が継続すること、そして新規に能力ある従業員を雇用できるかどうかに依存しております。特にソフトウエア産業は、従業員の流動性がきわめて高く、競合会社間では技術、マーケティング、販売、開発及びプロデュースの能力が高いスタッフの獲得競争が行われております。このような人材採用・人材確保のリスクの顕在化する可能性は常に存在するものと考え、当該リスクが顕在化した場合には十分な人的リソースを確保することができず、当社グループの業績に与える影響が大きいと認識しております。そのため、当社グループは、魅力的なIP創出などコーポレートのプレゼンス向上に努め、また、セキュリティ、コンプライアンス、ハラスメントなどの共通領域に加え、事業領域別の専門研修、階層別のマネジメント研修など、人材の育成及び強化を進めております。
③ 特定人物への事業依存
当社グループの創業者であり代表取締役社長である木谷高明は、当社グループの強みであるコンテンツの創出やプロデュースノウハウを蓄積しており、実際の事業の推進においても重要な役割を果たしております。そのため同氏への事業依存のリスクの顕在化する可能性は常に存在するものと考え、当該リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に与える影響が大きいと認識しております。そのため、当社グループは、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を目指し、人材の育成及び強化を進めております。2023年6月期よりユニット制を導入し、ユニット長に若手を多数抜擢するなど権限委譲を進めております。
(2)事業環境に関するリスク
① 広告宣伝のリスク
当社グループは、良質なIPの開発・獲得・発展を目的として事業を多角化しており、IPをトレーディングカードゲームやモバイルゲームやコンソールゲーム、音楽、マーチャンダイズ等様々なメディアに対し商品やサービス展開(メディアミックス)をグループ全体で担うビジネスモデルとなっているため、プロモーション施策を積極的に展開しております。しかし、当初意図した広告効果が発現しなかった場合は、当社グループの営業利益に影響が生じる可能性があります。そのため、デジタルマーケティング、TVCM、交通広告といった様々な広告手段を活用することで広告宣伝のリスクの分散をはかっております。
② トレーディングカードゲームの市場規模の推移
トレーディングカードゲームの国内市場規模は、2024年度に前年度比12.1%増(注1)、北米市場では同4.1%増(注2)と大きく伸長しております。しかし、現在は一定の市場規模はあるものの今後成長が進まない場合、当社グループのトレーディングカードゲーム部門の売上に影響が生じる可能性があります。そのため、2020年以降行ってきた「ヴァイスシュヴァルツ」や「カードファイト!! ヴァンガード」での英語版強化に加え、2022年以降は中国語版の展開を開始しました。さらに複数言語にライセンスアウトするなど当社のカードゲームを全世界に浸透させることで、グローバル市場でのプレゼンスを高めてまいります。
(注1)出典:「メディアクリエイト総研“Monthly Trading Card Game Research Data”」
(注2)出典:「ICv2 White Paper - Gen Con Trade Day 2025」
③ モバイルゲームの競合他社との競争激化
現在、モバイルゲームの市場においては、数多くの競合他社が存在しております。また、国内市場は頭打ちの傾向であることに加え上位タイトルは寡占傾向にあり、当社グループのモバイルゲーム部門の売上に影響が生じております。当社グループは、自社IP及び他社からの利用許諾を得たIPを活用し、コンソールゲームを含めてマルチプラットフォーム戦略を引くことで、リスクの分散をはかりながら激化する競争に対抗し得る魅力的なゲームを今後もリリースしていくことに注力してまいります。
④ 海外展開におけるリスク
当社グループではTCG・ゲーム・フィギュアやキャラクターグッズ・アニメ配信権・プロレス興行や映像配信など、当社グループ製品やサービスは海外における取引が増加しております。しかしながら、海外における取引は、製造コストや配送料の高騰、現地政府による外国為替の停止、関税の引き上げ、及び政府の公用収用による財産の没収等の様々なカントリーリスクに晒される可能性があります。また、海外での取引では為替レートの変動リスクが生じるため、契約上当該為替リスクを当社グループが負担せざるを得ない場合、当該為替リスクによる金銭的な負担を当社が負うことがあります。加えて、海外において当社グループのベンダーや顧客を増やす過程において、製造物責任、設備責任、製品の欠陥又は労働問題等の訴訟リスクや予期しない破産のリスクにさらに晒される可能性があります。このような海外展開におけるリスクの顕在化する可能性は常に存在するものと考え、当該リスクが顕在化した場合には、当社グループの海外事業の業績に与える影響が大きいと認識しております。そのため、これらのリスクについては、当社取締役及び当社執行役員が参加する経営会議において共有・議論しております。
⑤ 為替リスク
当社グループの海外売上高比率は27%を超える程度まで拡大しており、その多くは海外連結子会社における英語版TCG事業によるものでありますが、中国語版TCGも増加傾向、フィギュアやキャラクターグッズ・アニメ配信権・プロレス興行や映像配信サービスも増加傾向です。海外連結子会社の財務諸表の換算にあたって適用される為替レートにより、当社グループの円換算後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ M&A及び資本提携等に係るリスク
当社グループは、さらなる事業成長を目指し、M&Aや資本提携による事業領域の拡大を推進しておりますが、買収・提携後の事業計画が市場環境の変化などの要因により事業計画通りに進捗しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、M&Aや資本提携に際しては、対象企業の財務内容や契約関係等についてデューデリジェンスを実施し、既存投資においては定期的にモニタリングを実施し、リスク軽減に努めております。
これらの当社グループが認識している最重要リスクに加え、「ソフトウエア製品の品質管理」、「他社知的財産の侵害」、「新たな法的規制への対応」、「個人情報の管理」、「紛争、訴訟の発生」、「システムの継続性確保、セキュリティ対策」、「自然災害、事故等による影響」等、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があるさまざまなリスクが存在していますので、当社取締役及び当社執行役員が参加する経営会議において共有・議論しております。なお、ここに記載されたものが当社グループの全てのリスクではございません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は49,797,228千円となり、前連結会計年度末に比べ808,327千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が764,923千円、投資有価証券が311,217千円減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は24,575,173千円となり、前連結会計年度末に比べ2,758,430千円減少いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が1,887,076千円、長期借入金が1,123,756千円減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は25,222,055千円となり、前連結会計年度末に比べ1,950,103千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が3,418,196千円増加した一方で、自己株式の取得により自己株式が989,836千円増加(株主資本の減少)、配当金の支払により利益剰余金が315,594千円減少したことによるものです。
② 経営成績の分析
当連結会計年度における我が国経済は、社会・経済活動の持ち直しの傾向が続いている一方、社会情勢の変化、継続的な物価の上昇や為替の変動に加え、海外市場における関税措置の動向などの影響により、依然として先行きが不透明な状況が続きました。
このような環境の中、当社グループは「IPディベロッパー」戦略のもと、TCG(トレーディングカードゲーム)を柱とし、グローバル展開を引き続き推進してまいりました。年間を通して新TCGを4タイトル展開開始し、2025年7月にも新TCGの展開とともに全世界でティーチングツアーを開催しております。グローバルにおいては、引き続き全世界各地で「Bushiroad EXPO」を開催、前年よりも開催地域を増加し、日本国外で多数のお客様とディストリビューターにご来場いただいております。
その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高56,175,627千円(前年同期比21.4%増)、営業利益4,868,227千円(同451.6%増)、経常利益4,844,985千円(同155.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,418,196千円(同324.7%増)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメント売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
なお、当連結会計年度より、「エンターテイメント事業」内のユニット名称の変更、区分の再構築をしております。「デジタルコンテンツユニット」を「コンテンツユニット」へと変更し、「BI(Bushiroad International)ユニット」を廃止、重複して属していた「TCGユニット」・「コンテンツユニット」へ報告内容をそれぞれ統合しました。なお、この変更はセグメント内のユニット構成の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。
1.エンターテイメント事業
①TCG(トレーディングカードゲーム)ユニット
新TCGとして2024年9月に「hololive OFFICIAL CARD GAME」、2024年10月に「五等分の花嫁 カードゲーム」、2025年2月に「ラブライブ!シリーズ オフィシャルカードゲーム」、2025年4月に「ヴァイスシュヴァルツロゼ」を発売・展開開始し、さらに、2025年7月に「ゴジラ カードゲーム」日本語版・英語版、「hololive OFFICIAL CARD GAME」英語版を展開開始しております。既存タイトルも「ヴァイスシュヴァルツ」「カードファイト!! ヴァンガード」を中心として順調に推移しました。
その結果、TCGユニットの当連結会計年度の売上は過去最高を更新しました。
②コンテンツユニット
モバイルゲームは2タイトルをクローズした一方、「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」が日本語版・簡体字版ともに順調に推移しました。コンソールゲームは9タイトルをリリース、「カードファイト!! ヴァンガードディアデイズ2」や「少女☆歌劇 レヴュースタァライト 舞台奏像劇 遙かなるエルドラド」が順調に推移しましたが、全体としては軟調な結果となりました。
③ライブエンタメユニット
バンドリ!プロジェクトのライブイベント・パッケージ商品が伸長し、2025年4月 MyGO!!!!!×Ave Mujica 合同ライブでは、バンドリ!史上最大動員を記録しました。
その結果、ライブエンタメユニットの当連結会計年度の売上は過去最高を更新しました。
④MDユニット
バンドリ!関連グッズ売上の伸長、催事事業グローバル化による一般MD商品の伸長により順調に推移しました。また、フィギュアブランド「PalVerse」は店頭面積を確保でき、拡販に成功しました。
その結果、MDユニットの当連結会計年度の売上は過去最高を更新しました。
⑤アドユニット
㈱ブシロードムーブでは、代理店事業・自社及び他社の大型イベントを複数担当し、堅調に推移しました。アニメ製作委員会への出資・参画を積極的に行い、TCGやグッズの商品化権、声優・音響等の役務を獲得しております。
これらの結果、エンターテイメント事業は、売上高49,851,458千円(前年同期比25.6%増)、セグメント利益4,694,416千円(同969.8%増)となりました。
2.スポーツ事業
「新日本プロレス」では、観客動員が伸び悩み、興行・コンテンツ収入減となりました。
「スターダム」では、上半期は選手の離脱の影響をうけ立て直し期間となりましたが、第4四半期では立て直しが完了し、収益性も大きく改善いたしました。
これらの結果、スポーツ事業は、売上高6,324,168千円(前年同期比3.9%減)、セグメント利益173,811千円(同60.8%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて1,568,286千円増加し、25,018,940千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、5,818,268千円となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益4,820,148千円、仕入債務の増加額954,828千円及び減価償却費652,533千円であり、主な支出要因は、法人税等の支払額1,016,655千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、894,049千円となりました。主な収入要因は、定期預金の払戻による収入3,400,615千円であり、主な支出要因は、定期預金の預入による支出1,293,472千円及び投資有価証券の取得による支出948,750千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、5,032,295千円となりました。主な収入要因は、長期借入れによる収入3,000,000千円であり、主な支出要因は、長期借入金の返済による支出5,973,538千円、自己株式の取得による支出991,816千円及び社債の償還による支出700,000千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループにおいては、提供するサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループにおいては、一部請負業務を行っておりますが、「a 生産実績」に記載の理由から、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
前年同期比(%) |
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エンターテイメント事業(千円) |
49,851,458 |
125.6 |
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スポーツ事業(千円) |
6,324,168 |
96.1 |
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合計(千円) |
56,175,627 |
121.4 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の分析・②経営成績の分析」をご参照ください。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照ください。また、経営者の問題意識及び今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、自社IP開発、他社IP投資、IPを発展させるための広告宣伝費等の営業費用であり、事業運営上必要な資本の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金は、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としており当連結会計年度末における借入金の残高は、9,536,835千円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度における研究開発費は、エンターテイメント事業では
当社グループにおいては、現在のエンタテインメント市場に則したあらゆるユーザーのニーズにすばやく対応していくために、積極的に研究開発に取り組んでおります。
また潮流と本質をとらえ、型にはめずに挑戦し、革新的エンタテインメントで世界を代表する会社を創るという基本方針のもと、良質なIPの開発・獲得に力を入れており、特にトレーディングカードゲームとモバイルオンラインゲームにおいて、新しい製品を市場に送り出すための積極的な企画開発・製作活動を行っております。