文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 経営方針
当社グループの経営理念は、「人とコンピューティングの力で世界平和に貢献する」であります。
世界の人が安心、安全で平和に暮らすためには、共存共栄を基本にそれぞれの国の特徴を活かせる科学技術の発展と、そこに産業があり、やりがいを持てる仕事があることだと確信しております。当社グループは会社設立以来、「人の創造力とコンピューティングを融合させ未来をつくる企業になる」というビジョンを持ち、人類の難題に挑戦している研究者や開発者に寄り添い、知恵、努力、コミュニケーションとコンピューティングを通じてそれぞれが抱えている課題やニーズを共に考え、「研究者には研究する力、開発者には製品を開発する力を提供すること」をミッションとし、それが当社グループの果たすべき役割であると位置づけております。
その当社グループの果たすべき役割を実行していくために、研究者や開発者に徹底的に寄り添い、研究者や開発者が本当に抱える課題を探り出し、その課題に対して、製品やサービスを組み合わせるだけのソリューション提供ではなく、当社グループの持つ付加価値を追加し、最適化したソリューションを提供してまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループは、HPC事業とCTO事業の二つの事業に取り組んでおり、これらの事業を拡大させることが、当社グループの更なる成長と発展のために必要であると認識しております。そのために顧客志向を徹底し、顧客が実現したいことや課題を解決するために、当社グループが用意した3つの強力なソリューション・ツールが互いに掛け合わされて3乗の効果で発揮する「S3 as a Service」(Sキューブソリューション as a Service)という独自のソリューションサービス戦略を展開してまいります。当社グループは、「S3 as a Service」を提供することで、研究者や開発者に徹底的に寄り添ってまいります。
S3 as a Service (Sキューブソリューション as a Service)
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、事業拡大、企業価値向上を目指し、売上高成長率、営業利益成長率を重要な経営指標と位置付けており、これらを中長期的に成長させていくことを基本的な考え方としております。
(4) 対処すべき課題
① 成長分野への対応
最新のICT(情報通信技術)分野では、AIや機械学習の本格導入が始まり、関連市場が成長期に移行しつつあると考えております。当社グループがHPC事業にて推進している計算科学分野でも、AI技術を活用した研究開発活動がさまざまな課題解決に向けて広がりを見せるとともに活発化しています。又、5Gサービスの開始により多くの産業分野や社会基盤に関わるところで本格的なIoTの実現と成長が見込まれており、エッジコンピューティングと親和性の高いCTO事業の拡大が見込まれています。
このように当社グループは、最先端のコンピューティング技術を活用したサービス展開を追求しています。そのために、AI、エッジコンピューティングといった最先端のコンピューティングにまつわる技術を関連技術とともに常に捕捉し、新しい技術を研究・獲得し、社内共有することで新たなサービスの開発へと結び付けていく必要があります。
最近ではCTO事業の顧客企業の製造現場においても、AI、特にディープラーニングといった従来であればHPC事業に属するニーズも出てきております。つまり、AI、ディープラーニングやエッジコンピューティングといった最先端のコンピューティング技術においては、当社グループの両事業の垣根を越えた体制が必要となる可能性が考えられますので、当社グループでは、まず両事業の技術部門のコミュニケーションの強化を図る方針であります。既にCTO事業の産業用コンピュータの開発段階において、HPC事業のAI等に関する先端技術情報を共有し、産業用コンピュータの開発段階に組込むことでCTO事業の顧客企業の製造現場のニーズに応えております。このように先端技術情報の共有を図り、成長分野における新しい商機への対応を図ってまいります。
② 優秀な人財の確保
継続的な成長の原資である人財は、当社グループにとって、最も重要な経営資源と認識しております。当社グループの技術開発力やサービス企画力及び販売力を維持し、継続的に発展、強化していくために、優秀な社員を継続的に雇用し、その成長の機会を提供し、かつ事業規模を拡大させていくための人財を獲得する方針であります。
当社グループは、従業員に対し目標管理制度を導入しております。目標の設定など査定方法を明確化し、従業員の評価の適正化を図るとともに、急速なIT技術の進歩にあわせて、この変革のスピードに対応できるような人財を育成していく体制を整えることも急務であると考えております。今後はそれらを見据え、従業員一人一人への適正な評価、研修の実施や各種資格取得の推奨・補助を行うことを通じて、能力の向上を図っていく方針であります。
④ 内部管理体制、コーポレート・ガバナンスの充実
当社グループでは継続的な成長を実現していくために、事業規模に応じた内部管理体制の充実が不可欠であると認識しております。金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の評価へ対応すべく、業務の適正性や効率性、財務報告の信頼性の確保に努める必要があります。
今後も事業規模の拡大に合わせ管理部門の一層の強化による内部管理体制の整備を図るとともに、会議体及び職務権限の見直しや各種委員会の設置等、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組む方針であります。
⑤ 認知度の向上
当社グループは、これまで自社WEBサイトの運営、学会、展示会への出展等を通じて顧客を獲得してまいりました。提供するサービスを顧客企業へ拡販し、当社グループの成長を実現するためには、当社グループ及び提供するサービスの認知度の向上も必要であると考えております。今後も、費用対効果を見極めながら従前のインターネット、展示会に加えてマスメディア等を活用し、さらなる認知度の向上に努めてまいります。
当社グループは、2021年4月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同を表明いたしました。TCFD提言に則り、気候変動に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の各項目を公式ホームページのサステナビリティページにて開示しております。
又、人的資本に関する当社の基本的な考え方として「人財グランドデザイン」を策定し、公式ホームページのサステナビリティページにて開示しております。その基本理念から導かれる「人財育成方針・社内環境整備方針」及びそれらに関する指標の内容と目標を設定し、引き続き事業活動を行っております。
環境問題、社会問題等サステナビリティに関わる諸課題をマネジメントし、企業価値の向上へつなげる為、2021年3月にESG委員会を設置いたしました。ESG委員会は、代表取締役を委員長とし、ESG推進室を推進組織として、全社にわたる事業のリスク・機会分析、マテリアリティ分析を行い、目標とプランを策定し、実施状況の管理と推進を行います。サステナビリティに関わる意思決定体制として、ESG委員会は取締役会への報告を年2回以上実施するものとしております。

当社グループでは、人材に関する意識を高める目的で「人財」という言葉を用いております。人財育成方針及び社内環境整備方針は、3つのカテゴリに分類し、それぞれ「価値向上の視点」と「リスク管理の視点」から項目を抽出しております。人財育成方針及び社内環境整備方針は、以下のとおりであります。
サステナビリティ関連のリスクを識別・評価・管理するためのプロセスとして、リスク及び機会となり得る項目を列挙し、事業へのインパクトを評価しました。そこから決定した当社グループのマテリアリティは、以下のとおりであります。
下図の右上が重要度の高い項目となっており、特に当社グループの特性から重要度が高いと思われる項目については、枠で囲っております。これらのマテリアリティに対し、シナリオ分析を行い、経営戦略に紐づいた対応方針を策定し、事業活動を行っております。

人材育成方針・社内環境整備方針(上記(2)に記載)の各項目に対する測定可能な指標と目標値・実績値を、以下の通りとなります。
(注) 1.ビジネススキルテスト受験率の低下を受け、人財教育体系の見直しを予定しております。
2.コンプライアンス教育は取りこぼしの無いよう未受講者に対するフォローを続け100%に達しています。新入社員には、入社時研修にて受講を義務付けています。
3.中堅層、若手層を対象とした集合研修については、今後実施の予定であります。
4.人財グランドデザイン『働き方の自由度づくり』に関連しております。
5.通勤量抑制によるCO2排出量削減Scope3-⑦に関連した目標値となります。
6.健康保険組合ウォーキングラリーへの組織的な参加、ウォーキングミーティングの実施、有志によるウォーキングイベントなど開催しております。
7.衛生委員会の刷新、定期開催とあわせ、熱中症対策に関する啓蒙活動を実施しております。
8.オフィス機能の拡充を目的として、西日本営業所を新オフィスに移転を実施しております(2025年7月移転)。社員一人ひとりがエンゲージメントを高め、活発なコミュニケーションと創造性を育める職場環境を実現しております。
9.当社グループの離職率は、毎年7/1~翌6/30間の退職・出向者数を7/1時点の在籍者数で割った値(年度の途中で入社した人数は除く)として算出しています。2023年日本の離職率15.4%(厚労省_雇用動向調査より)以下を目標値として設定しています。
10.本項目に関する事例については、下記にて公開しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。又、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。
(1) 景気動向及び産業動向の変動による影響
企業を取り巻く環境の動きにより、企業の景気による影響を受ける可能性があります。当社グループのHPC事業は大学官公庁や企業等に科学技術計算用コンピュータを販売しておりますが、顧客の研究開発投資需要等に影響を受けます。又、CTO事業が販売する産業用コンピュータは顧客の設備投資需要等に影響を受けます。米国の関税政策に不透明感が増す中、金融・経済の混乱により事業環境が悪化し、顧客企業の業績へ悪影響を及ぼした場合、顧客の研究開発に関する投資計画や、設備投資に関する投資計画が縮小し、両事業の売上が減少するなど当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(2) 内部管理体制
当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令順守の徹底が必要と認識しております。当社グループでは内部管理体制の充実に努めておりますが、今後の事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(3) 技術革新への対応
当社グループの事業領域であるコンピューティング関連市場は全世界で研究開発が進んでおり、技術革新の速度が極めて速いという特徴があります。当社グループはそうした技術革新に対応できる体制づくりに努めておりますが、今後において技術革新のスピードに適時に対応できない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(4) 特定の人物への依存
代表取締役である小野鉄平は、当社グループの事業推進に極めて重要な役割を果たしております。当社グループでは小野鉄平に過度に依存しない事業体制の構築を目指し人財の育成及び強化に注力しておりますが、何らかの理由により小野鉄平が業務執行できない事態となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(5) 特定仕入先への依存
当社グループのHPC事業の主要仕入先は、米国のSuper Micro Computer,Inc.であります。同社とは代理店契約を締結し、当該契約に基づき安定供給を受けているものの、同社の技術水準の相対的低下に伴う商品力低下等、取引関係が継続困難になった場合には、受注に対する仕入に関し、代替先を探すことになります。代替候補は存在するものの、必要な数量の確保、納期調整、仕入コストの増加等への対応にかかる時間コストが発生する可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(6) 部品の調達
当社グループのビジネスにおいて、十分な品質の部品等をタイムリー且つ必要数量入手する事は不可欠であります。急激な部品価格の高騰(例えばメモリー等)や供給不足等が発生した場合、原価上昇リスクや部品確保が困難となり製品出荷の遅延リスクが生じることがあり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 製品の欠陥等、製造物責任
当社グループは、製品の品質安定に細心の注意を払っておりますが、予測不能な製品及び使用している部品等の欠陥又は不具合により、納入先顧客から損害賠償を請求される可能性があります。一定額の損害保険に加入し、リスク回避策を講じておりますが、補償額を超える損害が発生した場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 業績の偏重
当社グループの販売動向には次の理由により季節変動があります。科学技術計算用コンピュータの主要顧客は、大学公官庁又は大企業であり、受注が急増する年度末の1月~3月に売上高及び営業利益が集中する傾向にあります。従いまして、四半期連結会計期間毎の業績について、第3四半期連結会計期間の比重が高くなる傾向にあります。
なお、2025年6月期の当社グループの売上高及び営業利益の四半期連結会計期間毎の推移は、以下のとおりとなります。
(注)上記の売上高及び営業利益は、太陽有限責任監査法人の期中レビューを受けております。
(9) 法的規制
当社グループが事業活動を行うに際して、会社法・金融商品取引法・税法・外為法を含む貿易関連諸法、下請法等の各種法的規制の適用を受けております。当社グループの事業に関連する法的規制等が新設や改正された場合、当社グループの現在又は将来の事業活動が大きく制約される可能性や、コストの増加を招く可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 減損損失の可能性
当社グループは、国内に工場や新製品のベンチマーク取得の為のサーバ設備など事業用資産の他、投資有価証券を保有しております。事業用資産については、事業環境の変化等の事由により、これら資産の経済価値が低下し減損処理を行った場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。又、投資有価証券については、市場価格のあるものは相場価格の変動により、市場価格のない非上場株式等は当該会社の純資産、将来の事業計画等を総合的に勘案することにより、減損処理を行った場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 自然災害、事故等
当社グループでは、自然災害、事故等に備え、サーバデータの定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、大地震等の自然災害が発生した場合、当社グループ設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(12) 小規模組織であること
当社グループは小規模な組織であり、内部管理や業務執行についてもそれに応じた体制となっております。当社グループでは、今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の増強及び内部管理体制や業務執行体制の一層の充実を図っていく方針ではありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
(13) 配当政策
当社グループは、株主に対し成長に応じた利益還元を重要な経営課題として認識しております。中長期の経営視点から、獲得した資金は内部留保の充実化と将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当しつつ、財務の健全性、及び株価水準等を総合的に判断した上で自己株式の取得を機動的に実施することを基本方針としております。配当につきましては、成長投資を優先し、企業価値の最大化を目指す中で、経営全般を総合的に勘案した上で、DOE(株主資本配当率)4%を目安として実施を判断しておりますので、配当が実施されない可能性があります。
(14) 訴訟等
当社グループでは、これまでに訴訟は発生しておりません。しかしながら、将来において当社グループの取締役、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、予期せぬトラブルや訴訟等が発生する可能性は否定できません。係る訴訟が発生した場合には、その内容や賠償金額によって、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
(15) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化
当社グループは取締役、監査役及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社グループの株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権が希薄化する可能性があります。
(16) カントリーリスク/為替変動
当社グループは製品の大部分を海外から購入しており、主な仕入先は台湾であります。そのため、当該地域に関係する市場リスク、信用リスク及び地政学的リスクや為替レートの大幅な変動等が当社の仕入れに影響を与え、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(17) 情報セキュリティ
当社グループのコンピュータ及びネットワークシステムは、適切なセキュリティ対策を講じて外部からの不正アクセス等を回避するよう努めております。
しかしながら、各サービスへの急激なアクセス増加に伴う負荷や自然災害等に起因するデータセンターへの電力供給の停止等、予測不可能な要因によってシステムが停止した場合や、コンピュータ・ウイルスやハッカーの侵入によりシステム障害が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は4,170,900千円となり、前連結会計年度末と比べ242,070千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が248,217千円増加したものの、電子記録債権が257,746千円、棚卸資産が151,749千円、売掛金が68,447千円減少したことによるものであります。固定資産は353,318千円となり、前連結会計年度末と比べ1,074千円増加いたしました。これは主に機械及び装置が9,731千円減少したものの、繰延税金資産が6,349千円、ソフトウエアが5,938千円増加したことによるものであります。
以上の結果、総資産は4,524,219千円となり、前連結会計年度末に比べ240,996千円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,638,745千円となり、前連結会計年度末と比べ112,956千円減少いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が171,308千円、未払法人税等が82,521千円増加したものの、短期借入金が350,000千円減少したことによるものであります。固定負債は281,250千円となり、前連結会計年度末と比べ244,432千円減少いたしました。これは長期借入金が244,432千円減少したことによるものであります。
以上の結果、負債合計は1,919,995千円となり、前連結会計年度末に比べ357,388千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,604,223千円となり、前連結会計年度末と比べ116,392千円増加いたしました。これは主に自己株式の取得を199,995千円実施したものの、利益剰余金が316,487千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大もあり景気の緩やかな回復の動きがみられたものの、食料品など物価上昇が個人消費の重しとなりました。海外経済においては、地政学リスクの高まりや中国経済の減速の他、米国通商政策の不確実性によるグローバル経済の減速懸念など、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属するコンピューティング業界においては、人工知能(AI)技術の進展によりデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し、少子高齢化など様々な社会課題を解決すべく、コンピューティング技術のより一層の活用が求められております。科学技術計算など研究分野で活用されている他、さまざまな産業用途で活用されており、引き続き市場規模の拡大が見込まれております。
このような環境において当社グループは、「スーパーコンピュータからエッジコンピュータ」まで網羅するコンピューティングソリューションを提供することで、顧客の様々な要望に応えるべく最適なシステムをワンストップで提供できる体制を構築しております。事業部間で異なるコンピューティング分野の連携強化に努め、差別化を図り、競争優位性の向上に取り組んでおります。
当社グループが重視している人財面については、人的資本に関する基本的な考え方として「人財グランドデザイン」を策定し、戦略的に技術系人財の充実に努め、多様な技術系人財を集結し、高度化する顧客の課題や要望に対する製品・サービスを提供する体制を構築しております。強みである大学公官庁や民間企業など幅広い顧客基盤に対して、高付加価値の製品・サービスを提供することで、さらなる収益力強化を図っております。又、グローバル戦略として海外向けソフトウエアライセンスビジネスの強化に取り組み、国内市場中心のビジネスモデルから海外事業の基盤強化を進めております。一方、円安進行による輸入コストの上昇、米国通商政策の不確実性の高まりによる電子部品のサプライチェーン混乱懸念などマイナスの外部要因はありますが、「人とコンピューティングの力で世界平和に貢献する」という経営理念のもと、新たに「中期経営計画 Vision2027」を策定し企業価値の向上に取り組んでおります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は7,064,432千円(前年同期比1.7%増)、営業利益636,243千円(前年同期比49.4%増)、経常利益644,129千円(前年同期比51.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益423,852千円(前年同期比41.7%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(HPC事業)
大学等公的研究機関向けは堅調に推移したものの、民間企業向けが低調に推移し、前年にあったベトナム現地法人による大型案件の反動減もあり、売上高は前年同期比で減少しました。円安による輸入コストは増加傾向にあるものの、案件毎に採算管理を徹底し、一定の利益率を確保することで採算が改善しました。人財採用が一服したこと、及び営業経費等販売管理費の抑制に努めたことで、セグメント利益は前年同期比で増加となりました。
以上の結果、HPC事業の売上高は4,568,789千円(前年同期比3.4%減)、セグメント利益は459,636千円(前年同期比33.1%増)となりました。
(CTO事業)
継続顧客向け、新規顧客向けともに好調に推移したことで、売上高は前年同期比で増加となりました。一部の継続顧客においてコスト削減要求により採算悪化したものの、その他の顧客向けで利益確保に努めたことで、利益率は若干改善しました。売上増加と営業経費の抑制に努め販売管理費が前年同期に対して減少したこともあり、セグメント利益は前年同期比で増加となりました。
以上の結果、CTO事業の売上高は2,495,643千円(前年同期比12.5%増)、セグメント利益は176,606千円(前年同期比118.7%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益や売上債権の減少等により、前連結会計年度末に比べ237,708千円増加し、1,970,239千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が644,889千円、売上債権の減少による収入326,193千円、仕入債務の増加による収入171,299千円、棚卸資産の減少による収入151,749千円等により、1,336,982千円の収入となり、前連結会計年度に比べ2,738,595千円減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出38,590千円、定期預金の増加による支出9,687千円等により55,205千円の支出となり、前連結会計年度に比べ46,543千円減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金及び長期借入金の返済による支出932,228千円、自己株式の取得による支出199,995千円等により、1,038,322千円の支出となり、前連結会計年度に比べ2,324,850千円増加しました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) HPC事業については生産を行っておりませんので、該当事項はございません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.受注残高については、システムによる集計が困難のため、記載を省略しております。
C.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(棚卸資産(原材料)の評価)
製品の受注見込みに基づいて一定数量の原材料を調達することを原則としておりますが、急激な原材料価格の高騰や供給不足等に備えて先行して調達することもあります。当該原材料については、技術革新により陳腐化する可能性や滞留により収益性が低下する可能性があります。これらの不確実性に対し連結貸借対照表価額を正味売却価額まで切り下げる方法に代えて、原材料の更新サイクルに係る仮定による社内ルールに基づき一定の保有期間を超える場合、規則的に帳簿価額を切り下げる方法により、収益性の低下の事実を適切に連結貸借対照表に反映しております。
HPC事業においては、民間企業向けが低調だった他、前年のベトナム現地法人による海外案件の反動減もあり減収となったものの、案件管理の徹底により利益率が改善し、増益を達成することができました。CTO事業においては、新規顧客向け、継続顧客向けともに売上が好調に推移したことで増益となりました。
連結財務諸表ベースでの売上高は7,064,432千円、販売費及び一般管理費が1,466,864千円となり、営業利益は636,243千円となりました。
当社グループは売上高成長率と営業利益成長率を重要な経営指標としており、当連結会計年度の売上高成長率は、前連結会計年度に対し1.7%のプラス成長となりました。一方、営業利益成長率につきましては、49.4%の大幅なプラス成長となりました。売上高は海外大口案件の反動等もあり、小幅な伸びとなったものの、営業利益率は案件毎の管理を徹底したことで利益率が改善した他、販売管理費の抑制に努めたことで、大幅なプラス成長を達成することができました。
当連結会計年度末における借入金の残高は、525,682千円となっております。当連結会計年度は新規の長期借入を実行せず、借入金の返済が進んだことで借入金残高は減少となりました。
季節的な変動に伴う資金需要に機動的に対応する為、取引先金融機関5行と当座貸越契約を締結しております。当座貸越枠の合計は1,250,000千円であり、大口案件を受注するなどで運転資金が急増する場合でも、迅速に資金確保ができる体制となっております。
当社グループの研究開発活動は、顧客が求める製品及びサービスを提供するため、従来どおり顧客に信頼される「製品」を開発することに加え、新しい技術を取得し、製品及びサービスに展開する事を目的とし、日々研究を積み重ねております。又、今後もHPC事業及びCTO事業が属する市場における設備投資の増加が期待できることから、引き続きそれぞれの事業において研究開発活動を行ってまいります。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は、
セグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。
HPC事業が属する科学技術計算用コンピュータ(HPC計算機)分野は、最先端の技術を求められる分野であります。又、HPC計算機の基盤技術をもとに、AIやビッグデータ処理等の技術を応用して、自動運転や生命科学・創薬開発、新素材研究、ロボット、モノ作りの高度化など続々と新たな事業創造活動が急速に広がっています。
このような環境の下、水冷方式のコンピュータ開発、量子コンピュータ向け化学計算プログラムの他社との共同実証開発、及びHPCシステムインテグレーション標準化のためのHPC-AIプラットフォームの開発を継続し、利便性を各段に向上させた他、オンプレとクラウドとの連携を視野にいれた拡張機能の開発着手、定期的に更新される化学計算用ソフトウェアの最新バージョンについて、HPC計算機上で正常に動作可能かどうかの検証作業を継続的に行っております。又、大学研究室との共同研究を通して最先端の研究開発動向の把握に努め、顧客の最先端のニーズや課題に最適なソリューションを提供しております。
大学研究室との共同研究費やHPC-AIプラットフォームの継続開発に伴う費用等により、当連結会計年度における研究開発費の金額は、
CTO事業では、顧客のご要望に応じてカスタマイズされた産業用コンピュータを開発しております。顧客のご要望に応じたコンピュータを設計するだけではなく、そのご要望を上回る品質等の提供のため、構成する部品毎の単品検証を行うとともに、当該部品の組合せ時においても動作検証を実施しております。これらコンピュータの設計及び検証を、設計チームと検証チームが相互に綿密なコミュニケーションを取りながら、試作機を開発し、顧客へ提案しております。
顧客の要求仕様に基づき試作機の設計及び検証、HPC事業と共同で実施した水冷式コンピュータの実用機の試作、及びオリジナルモデルの試作等を行った結果、当連結会計年度における研究開発費の金額は、