第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、本書提出日時点において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

社名のアンビスは、AmbitiousとVision(大志ある未来像)の造語であります。そして、当社グループは「志とビジョンある医療・介護で社会を元気に幸せに」を企業理念(ミッション)に掲げています。

わが国では、これまで永らく病院に医療資源を集中させる構造をとってまいりました。従来の急性期患者を対象とした「病院完結型」から、高齢者や慢性疾患患者の機能維持・向上を対象とした「地域完結型」の社会保障体制(地域包括ケアシステム)への移行改革が行われようとする今、その構造による体制硬直が改革の障壁となっております。この現状を打破するべく推進される在宅医療は、医療を人々のくらしに還し、病院と地域を親和させるといった医療のパラダイムシフトをもたらすことを期待するものであります。

2013年の創業以来、当社グループは、住み慣れた地域で在宅療養を得られずに困っている高齢者ほかのニーズに応えるべく、医心館事業を提案し、実直に取り組むことを続けてまいりました。結果、医心館はこの展開地域で在宅療養を含めた地域包括ケアシステムや「地域医療」のプラットフォームとして受け入れられているものと認識しております。今後、医心館事業を拡大展開していくにあたり、当社グループとその事業に期待される役割はますます重要かつ大きなものになっていくと見通しております。

当社グループは、時流に即して行動することのみならず、時流を先読み、さらには自ら時流を生み、新市場を拓くことで成長する会社でありたいと考えております。これからも、既成概念にとらわれず、社会が直面する課題を解決していくことを通じて、企業理念(ミッション)「志とビジョンある医療・介護で社会を元気に幸せに」を実現してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループでは、主な経営指標として、企業の事業活動の成果を示す営業利益やその推移のほか、収益性の判断指標では安定稼動した場合の施設ごとの粗利益率や営業利益率の推移を、財務の安定性判断の指標では自己資本比率を用い、これら指標の向上に意識をおき、バランスよく、かつ持続的に企業価値を拡大していくことを目指しております。また、企業価値を測る指標として、売上、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益の前年比増による経営成長性を重視しています。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループの中長期ビジョンは以下の3点であります。

  a. 医療施設型ホスピス事業(医心館事業)を長期安定的な収益基盤とする

     当社グループは、医療過疎地をはじめとした「地域」の医療を強化再生するプラットフォーマー(プラットフォームホルダー)として、またパイオニアとして、好循環を維持強化するための各種戦略を選択できる競争優位と先駆者の優位性をもっていると考えており、安定的かつ持続的な成長、そして長期的利益へと繋げてまいります。このために、既存の医心館事業を一層深耕し、業務効率を改善させ、人材の採用や教育に注力していくなど、積極的な事業展開を図ります。

 

   b. 医療・看護介護のリーディングカンパニーになり、医療・福祉分野で新たな潮流を創生

       さらに当社グループは、設立時の事業テーマ「新たな医療・介護の仕組みによる地域医療の活性化」を「新しい医療・看護介護のリーディングカンパニーになり、医療・福祉の分野で新たな潮流を背負う」に昇華させ、このテーマ、換言すれば目標を達成するために、医心館事業のみならず、必要とする周辺事業や新規事業を展開してまいります。

 

   c. 医療財源の最適化を図り「地域医療の強化・再生」を推進し、未来医療の恩恵をひとりでも多くの人々に届ける

 

これらビジョンをふまえて、当社グループが設定した中長期戦略は以下の3点であります。

① 医心館事業規模(出店数)の拡大

② 医心館事業の利用対象者層の拡大(一気通貫化)

③ 地域医療(病院)強化再生事業への取組

 

 

① 医心館事業規模の拡大

当社グループは、今後も医心館事業を積極的に展開します。

展開地域では、より厚い信頼(質)とより高いシェア(量)の両方を獲得し維持することを目指します。

具体的な行動方針はつぎのとおりであります。

a.入居者獲得方針

入居者は医療保険対象者、特にがん末期状態にある方、神経変性疾患など難治性の病の方、人工呼吸器を装着・気管切開されている方ほかを主とし、入居者獲得において他の介護事業者よりも競争優位な立場(競争回避の状態)を保持する方針です。

b.開発方針

主には、大都市部でのドミナント戦略と閉鎖的地方都市での高シェア戦略を並行して進めます。

・各戦略については、本書の「第1 企業の概況 2 沿革」において、「表3 展開状況(その2)」

 の注記をご参照ください。

・2つの戦略を並行展開することによる効果
閉鎖的地方都市で確保した看護人材を、人材確保の競争環境にある大都市部へ補給することが可能となります。

 

また、当社グループでは、事業開始当初より、在宅療養において看護師をはじめ看護職員が果たす役割の重要性に着目してまいりました。国も訪問看護事業者を在宅医療における重要なプレーヤーとして位置づけ、訪問看護事業者に対して、規模の拡大による事業効率の向上と医療対応力の強化を求めています。現在、アンビスでは、訪問看護サービスの提供先が「医心館」内に留まっていますが、中長期的には自社の優れた医療対応力を「医心館」外や周辺事業で活かし、地域医療の強化再生にますます貢献できる企業となることを目指しております。

 

② 医心館事業の利用対象者層の拡大

 これまで、医心館では、医療依存度が高い方、例えばがん末期状態にある方、神経変性疾患等を患っている方、人工呼吸器を装着されている方ほかを積極的に受け入れ、特化して慢性期や終末期における看護ケアを提供してまいりました。結果として利用対象者層の中心は「要介護度の高い後期高齢者」となっております。医心館で実際に受け入れてきた対象者は概ね高齢者(一部で重度障害者)でありますが、受け入れることができる(受け入れるべき)対象者は高齢者に限らず、より低年齢の(超)重症心身障害児や医療的ケア児※をも含むものと考えております。2019年7月、「医心館 東戸塚」内において、(超)重症心身障害児(者)支援事業を試験的に開始しましたが、今後、当社グループでは、利用年齢層の拡大により一気通貫化を図ってまいります(図5)。

 医療技術の進歩などにより、従来では難しかった小児の救命がかない、退院後も引き続いて人工呼吸器の装着、痰の吸引や経管栄養等の医療的ケアや医療機器を必要とする、(超)重症心身障害児及び医療的ケア児が年々増加しております。例えば、厚生労働省(保険局医療課調べ)では、小児の訪問看護の利用者数のうち、難病や医療的ケアに該当する者の割合は2011年(20.7%)に比べて2017年(56.3%)は約2.7倍であったとしています(出所:中央社会保険医療協議会総会(第370回)資料、2017年11月15日)。そこで当社グループでは、医療依存度が高い高齢者のみならず、(超)重症心身障害児や医療的ケア児とその家族もまた退院後の行き先に不安や心配を覚える状況にあると判断しております。

 

  ※(超)重症心身障害児と医療的ケア児について

   <(超)重症心身障害児>

    重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複している子どもたちのことであります。

    国は(超)重症心身障害児の在宅での療育支援を推進しておりますが、これを行うための社会的資源が十分に

    整備されておらず、家族の負担が大きいといった社会課題があります。この社会課題に対応するため、

    児童発達支援や放課後等デイサービス等の供給における量的拡大と質的向上が必要であると当社グルー

    プは考えております。

 

   <医療的ケア児>

    医学の進歩を背景として、NICU(新生児集中治療管理室)等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃

    ろう等を使用し、たんの吸引等の医療的ケアが日常的に必要な子どものことであります。

    厚生労働省(同省ホームページ「医療的ケア児等とその家族に対する支援施策」)によれば、その数は 

    18,000人を超えているとされております。

 

図5 利用者年齢層の拡大による一気通貫化

 


 

③ 地域医療(病院)強化再生事業への取組

前述のとおり、医療過疎地では、病院の多くが医師の慢性的な不足と経営赤字という課題を抱え、病床の休廃止や廃院の危機に瀕しております。そこには、それらの病院に勤務する医師らは、病棟管理から救命対応までのすべてを少ない人員で行わざるを得ない結果としての過密な労働環境があります。医心館事業の本質は、病院の機能を大胆に切り分け、医師を外部化し、質の高い看護体制を施設に整え、慢性期・終末期を対象としたケアに特化して運営することにあります。これは医師の労働環境を、及び地域における病院(病床)の存在を危機から救う方策であります。当社グループの創業者である代表取締役の柴原慶一は、研究者から事業家へと転身した際には、この「本質」を地域医療再生へのアプローチのひとつとして構想し、当初はこれをそのまま事業目的化することになりました。地域の医療機関や医療従事者の専門性や役割を活かした連携によって地域医療を支える仕組みであり、それぞれが役割に特化することで一層の機能強化を促し、地域では医療資源が効果的かつ効率的に利用される姿を期待するものであります。

中長期的には、「医心館 名張」で病院(病床)の再活用を果たしたように、地域の病院(病床)の強化再生に係る事業へ積極的に参入していくことを視野に入れております。地域医療の需要と供給に係る体制や質量の急激な変化を緩衝し、地域医療が安定的かつ持続的に運営存続できるよう当社グループが一丸となって対応していく目論見であります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

医療や介護など健康福祉に関する業界は、もともと慢性的な人材不足の不安が存在しておりますが、2025年問題(団塊世代のすべてが後期高齢者となり、医療や介護の過剰な需要を生じ、社会保障費の急増が懸念されている問題)に向かって人材不足の不安がより深刻な状況となります。さらに在宅療養に携わる看護人材を確保することの難しさを説明するには及びません。当社グループが医心館とその先にある事業に取り組み、持続的な成長と発展を遂げるためには人材確保と育成が課題となります。また、今後は人材を確保するにあたり必要となる採用フィーが高騰する恐れがあり、この低減に努める必要があると考えております。

 

2 【事業等のリスク】

本書の「事業の状況」及び「経理の状況」等に関する事項のうち、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識したうえで、リスクの回避、低減、並びに発生した場合の対応に努める方針であり、当社株式等に関する投資判断は本項及び本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日において当社グループが判断したものでありますが、以下の記載は当社グループの事業等及び株式への投資に係るリスクをすべて網羅するものではありません。また、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1) 施設(事業所)の新規開設(店舗開発)に関するリスク

当社グループでは、施設「医心館」の出店地域を選定するにあたり、不動産仲介業者等まかせにせず、また当社担当者の経験や勘のみに頼らず、十分な時間をかけて多角多面的なマーケットリサーチを行っております。また、当社担当者が独断で案件進行してしまうことがないよう、一般従業員から経営層まで各職位による複数人対応を原則としております。医療・介護業界に限らず、出店型ビジネスではいずれも好立地から優先的に需要、消費されていくため、同業他業の他社との競合により好立地に案件を確保できないとき、また自治体等の各種規制において出店できないとき、そして様々な要因、例えば工事期間中の台風や大雪といった不可抗力の事由、景況感や各種相場や需給の変化といった予測困難な事由などが発生するとき、これらは出店計画の実現性における不確定要素となっております。ここに記載した不確定要素をはじめ、何らかの事由で開設時期に遅れや事業計画に大幅な乖離を生じたとき、利益機会を逸失し、当社グループの業績及び利益計画や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(2) 人材の確保、育成及び管理に関するリスク

当社グループが事業の規模、範囲並びに内容を安定的かつ持続的に、さらには発展的に開発するためには、それに見合った人材を確保、育成する必要があります。特に、医心館事業は看護職員の配置人数(体制)に強みをおく事業であり、適切な有資格者の確保と育成は事業の根幹であると言えます。また、経営資源としてのこれら人材を効果的かつ効率的に利用するために管理することも必要となります。医心館の展開が進むほどに人材の確保は有利となっている状況にありますが、医療・介護業界での慢性的な人材不足とこれに続く求人競争激化の環境は予断を許さない状況であります。当社グループでは、(他社と同様に)求人サイトやメディアを利用しておりますが、これを漫然と利用し続けることを避け、常に効果検証しながら積極的な採用活動を行い、必要とする質量の人材が確保できないリスクの低減に努めております。しかしながら、万が一、そのリスクが生じた際には、既存施設ではサービス提供の規模縮小、新規施設ではオープン時期の順延などの影響を生じ、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(3) 内部管理体制に関するリスク

当社グループでは、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であると認識しております。その認識のもと、当社グループは内部管理体制の一層の充実を図る必要があると認識しておりますが、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(4) 特定人物への依存に関するリスク

当社グループの創業者であり代表取締役である柴原慶一は、設立以来、当社グループの事業に深く関与してまいりました。同氏は、当社グループの経営戦略の構築やその実行に際して重要な役割を担っております。また、当社の発行済株式総数のうち70.0%を保有する株式会社IDEA,Incは、同氏が同社のすべての株式を保有しております。

当社グループでは、特定の人物に依存しない体制を構築するべく、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏の当社グループにおける業務執行が困難になった場合、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(5) 競合出現に関するリスク

 当社グループが行っている「医心館事業」では、一般的な介護施設では受け入れることが困難な、がんの末期状態にある方、特定疾患等の難治性の病を患う方、人工呼吸器の装着や気管切開で呼吸管理が必要な方、看取り対応の方、入退院を繰り返さざるを得ない方、重度障害により「在宅」での日常生活が困難な方など、いずれも医療依存度が高く「在宅」で看護・介護を十分に得ることが難しい方々をその利用対象者層とし、ここに他社との差別化要因のひとつを求めております。利用対象者層の限定を含め、事業スキーム(モデル)そのものには特許等は存在せず、他社からの模倣に対して権利関係での保護策を講じることは困難であり、当該事業と同様のサービス提供を行う事業者が出現するリスクがあります(差別化戦略に対する同質化戦略による応酬)。しかしながら、表面化していない事柄(例えば、医療機関や行政機関の当社に対する「共感」、展開先各地の医療/介護ニーズに合わせて臨機応変に運営するノウハウ、看護職員の採用力など)があることから、競合他社が当社のビジネスモデルの仕組みだけを模倣したところで当社と同様の業績を得ることは困難であると認識しております。

 現状、前述の開発方針(主には、大都市部でのドミナント戦略と閉鎖的地方都市での高シェア戦略)で対応しておりますが、今後は利用対象者層の拡大や周辺事業の付加により競争優位性の獲得を継続してまいります。競合の出現状況により、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(6) 利用者の健康や安全に関するリスク

当社グループが行っている「医心館事業」は、医療及び介護サービスの提供が中心であり、その利用者は医療依存度が高い高齢者や障害者となっており、転倒や誤嚥のほか、医療依存度が高いことそれ自体によって、利用者の生命に関わる重大な事故に発展する可能性があります。また、食事提供を含む集合住宅の特性を有することから、火災、食中毒や集団感染等が発生する危険度は相対的に高いと考えられます。当社グループの施設「医心館」では、施設内での着火物の取扱いを原則禁止し、食事は調理済み食材(チルド食)を加温提供する等、火災の発生リスクの低減に努めております。また、利用者と従業員の健康管理を基本とし、日ごろ手洗いや手指消毒を励行、定期的に社内研修では感染(症)の予防、流行及び対応を学ばせ、マニュアルを整備し、これを適切に運用することで食中毒や集団感染の発生リスクの低減に努めています。これらのほか、地震や風水害への備えを行い、防犯環境を整える等の対応により利用者の安全管理などに細心の注意を払っております。しかしながら、万が一、事故や食中毒などが発生し、当社グループの管理責任が問われた際には、事故等が発生した施設の運営のみならず、当社グループ全体へ影響が及び事業や企業の存続に重大な影響を受け、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(7) 大規模な自然災害・感染症等に関するリスク

当社グループでは、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害及び新型インフルエンザ等の感染症が想定を大きく上回る規模で発生及び流行し、当該地域の事業所の稼働が長期に渡って困難になった場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(8) 施設(事業所)の稼働率が想定どおりに進捗しないリスク

当社グループでは、新規施設の開設にあたり、十分なマーケットリサーチを行っており、行政や医療機関との連携により、安定的な利用者の確保に努めております。また、施設の運営にあたっては、稼働率の上昇のみにこだわらず、出店地域の医療ニーズへの対応や、現場看護師等の施設運営のし易さ等も勘案し、受入れ入居者を決定しております。しかしながら、出店後にリサーチ時には想定していなかった事態の発生により入居者が想定どおりに獲得できなかった場合や、医心館の利用対象者の多くは慢性期・終末期の患者であることから、想定以上の入居者の逝去や退去があった場合には、施設の稼働率が想定どおりに上がらず、当社グループの業績や財政状況に影響を与える可能性があります。

 

(9) 事業に係る法的規制に関するリスク

当社グループが行っている「医心館事業」は、老人福祉法、高齢者住まい法、健康保険法、介護保険法及び障害者総合支援法ほかに基づく医療及び介護サービスの提供が中心となっており、これら法律及び関連諸法令の規制を受けます。また、当社グループでは売上高に対するそれら保険収入割合が9割(2019年9月 90.0%)となっており、保険収入に依存した収益構造となっております。

健康保険制度及び介護保険制度は、2年毎及び3年毎に制度全般の見直しや報酬の再設定が行われ、特に6年毎の同時改定のタイミングにおいて社会保障制度及び医療介護福祉政策の方向性が示されます。従いまして、医療保険収入と介護保険収入の割合が高い同事業では、法令、制度及び報酬の改定等があり、経営上不利な内容があった場合には、当社グループの業績や財政状況に影響を与える可能性があります。

 

(10) 事業に必要な指定等に関するリスク

当社グループが行う「医心館事業」は、事業所単位で、都道府県知事又は政令指定都市市長から各種指定等(表6)を受けるものであります。特に訪問看護事業(医療保険売上、介護保険売上)と訪問介護事業(介護保険売上)では、これら2事業による売上高は売上全体の9割を占めることから、これら事業に係る指定等の許認可取消があった場合には、後述する事由により当社グループの業績や財政状況に重大な影響を与える可能性があります。

該当する根拠法で許認可取消事由がそれぞれ定められておりますが、主な内容は以下のとおりであります。

 

・不正請求   … 実態のないサービス提供に対する請求、実態のない加算請求

・人員基準違反 … 人員欠如による運営、無資格者によるサービス提供、実在しないスタッフによる記録

                  作成、勤務時間の虚偽

・運営基準違反 … 記録の未整備、計画未作成、重要事項や計画の説明未実施

・虚偽報告   … 自治体への届出や報告、実地指導対応における事実とは違う書類提出や答弁

 

当社グループの特定の施設が許認可取消を受けた場合、その施設の介護報酬等が請求できなくなり、また、その施設では5年間は新規事業所の開設を禁止されます。さらに、取消事案が法人全体で(組織的に)関与していると判断された場合は、関係法人の新規指定・更新が拒否される場合もあります。一事業所でも許認可取消を受けた場合、法人(当社グループ)が不正又は著しく不当な行為をした者と判断され、5年間は新規指定も指定更新もできないこととなります。介護保険法等に基づく事業については、6年ごとに指定更新を受ける必要があるため、一事業所でも許認可取消を受ける事は、新規施設開発の停止と共に、ほとんどの既存施設が更新できずに撤退となりますので、医心館事業から撤退せざるを得なくなります。

 

表6 医心館事業で提供するサービスの名称及び根拠法等

a.訪問系サービス

サービス名

根拠法等

主な許認可取消事由

訪問看護

介護予防訪問看護

・介護保険法(厚生労働省)
指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要となります。
都道府県、政令指定都市及び中核市が事業の指定権者となります。

・健康保険法(厚生労働省)
介護保険法に基づく指定を受けた際には、健康保険法の指定があったものとみなされますので、有効期間は介護保険法に基づく指定の有効期間に準じます。
地方厚生局が事業の指定権者となります。

・訪問看護
介護保険法第77条
(指定の取消し等)

 

・介護予防訪問看護
介護保険法第115条の9
(指定の取消し等)

訪問介護

居宅介護支援

・介護保険法(厚生労働省)
指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要となります。
都道府県、政令指定都市及び中核市が事業の指定権者となります。なお、居宅介護支援については、2018年4月以降の指定権者は市区町村になっております。

・訪問介護
介護保険法第77条
(指定の取消し等)

 

・居宅介護支援
介護保険法第84条
(指定の取消し等)

介護予防・日常生活支援総合事業

・介護保険法(厚生労働省)
指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要となります。
市区町村が事業の指定権者になります。

介護保険法第115条の45の9

(指定事業者の指定の取消し等)

居宅介護

重度訪問介護

・障害者総合支援法(厚生労働省)
指定の有効期間は6年間で、以後6年毎の更新が必要となります。
都道府県、政令指定都市及び中核市が事業の指定権者になります。

障害者総合支援法第50条

(指定の取消し等)

 

 

b.施設系サービス

サービス名

根拠法等

主な許認可取消事由

住宅型有料老人ホーム

老人福祉法(厚生労働省)

届出制であり、届出後の有効期間の設定はありません。

都道府県、政令指定都市及び中核市が届出先となります。

老人福祉法第29条14項

(届出等)

※事業の制限又は停止に関する定めあり

サービス付き高齢者向け住宅

高齢者住まい法(国土交通省)

登録制であり登録の有効期間は5年間で、以降5年毎に更新が必要となります。

都道府県、政令指定都市及び中核市が登録先となります。

高齢者住まい法第26条

(登録の取消し)

 

 

なお、新規に事業所を開設する際には、開設予定地の自治体との事前相談や事前協議において、当社グループが行う事業を十分に説明し、自治体からの施設及び人的に係る基準等の指導があれば、これに対応した上で開設準備を開始しております。また、事業所の開設後も法律、規則や基準等並びに指導を遵守し事業を運営しております。

開設前、開設後ともに細心の注意を払って準備・運営しており、本書提出日において、各事業所における指定等の取消しや営業停止は発生しておりませんが、今後、何らかの原因によりこれらの指定等が取り消された場合や営業停止となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 情報管理に関するリスク

当社グループが行っている「医心館事業」では、多数の利用者の情報を取り扱っており、特に病歴や治療状況など一層厳重に管理することが要求される情報を含んでいることに特徴があります。また、当社グループの管理部門では様々な経営情報等の内部情報を保有しております。当社グループでは、情報管理に係る従業員教育を行うほか、従業員(退職者を含む。)に対して機密保持の宣誓書の提出を求め、またそれら情報を取り扱うエリアを区分し、サーバ及びディスクへのアクセス制限等を実施することにより情報漏えいリスクの低減に努めております。しかしながら、万が一、情報漏えいが発生した際には、当社グループの社会的信頼が失墜し、あるいは損害賠償支払い、体制整備及びシステム改修に係るコストが発生することにより、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(12) 信用や評判等に関するリスク

当社グループが行っている「医心館事業」は、利用者や家族ほか、近隣住民、地域の医療機関、在宅医療の主治医や薬剤師、ケアマネジャー、各種取引先など当該事業に関わる方々からの信用や評判が大きな影響力を有していると認識しております。企業理念にはじまり、サービス提供や関係者とのコミュニケーションに至るまで従業員教育や内部監査で細心の注意を払って施設及び事業を運営しております。しかしながら、何らかの理由により当該施設、事業や当社グループの信用が損なわれ、また評判が低下した際、あるいは好ましくない風評を得た際には、当社グループ全体へ影響が及び事業や企業の存続に重大な影響を受け、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(13) 訴訟等に関するリスク

当社グループは、本書提出日において提起されている訴訟はありません。今後も、細心の注意を払ってリスク管理体制の整備・改善を継続的に図ってまいります。ただし、訴訟等による請求を受ける可能性を完全に回避することは困難であり、訴訟の内容及び金額、訴訟が提起されることによる社会的な評価の低下、事業の全部又は一部の継続が困難となる等により、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(14) 地域との関係に関するリスク

医療・介護サービスの提供という事業の性格上、事業の収益性に不利を生じた際に即時撤退を行うことが困難な場合があります。これは、主に撤退後の利用者の行き先確保、医療機関や行政機関との関係性維持を事由とします。この場合、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(15) 長期賃貸借契約に関するリスク

当社グループが行っている「医心館事業」では、施設(事業所)として「医心館」の開設に供する土地又は建物もしくはその両方を各所有者から借り受けております。賃貸借により投資リスクは抑制されるものの、一定期間は撤退の制約が課せられ、これに反した場合は中途解約による違約金等の支払いが生じます。有料老人ホームの開設に係る自治体からの指導等もあり、20~30年間の長期賃貸借契約を締結することが一般的であります。また、土地及び建物の所有者である法人又は個人が破綻等の状況に陥り、継続的な使用や債権の回収が困難となることがあります。当社グループでは、契約において条件設定するとともに、施設の開設後も所有者とのコミュニケーションを密に状況変化の兆しを初期の段階で捉えること等により、リスクの低減に努めております。前述の状況となった際には、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(16) 固定資産の減損等に関するリスク

業績動向によっては、固定資産の減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社の業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、減損処理が発生しないよう各事業所の収益管理を徹底し、採算性に優れない事業所があれば積極的に対策を講じておりますが、万一不採算施設(事業所)の増加や閉鎖が集中した場合、多額の減損損失が発生し、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(17) 有利子負債に関するリスク

当社グループでは、運転資金及び新規出店の設備投資資金を金融機関からの借入金で調達しており、2019年9月期末の有利子負債残高は5,050百万円、有利子負債自己資本比率は471.9%となっております。そのため、現行の金利水準が変動した場合や計画どおりの資金調達ができなかった場合、また、新規出店のための開設資金を借入金で調達した場合には、当社グループの業績、財務状況及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

(18) M&Aに関するリスク

当社グループでは、同業他業の他社に対するM&A(子会社化や事業譲受等)を実施することにより、当社グループの事業を補完強化することが可能であると考えております。その実施にあたっては、対象企業や対象事業の状況及び財務、税務、法務、業務ほか各種デューデリジェンスを行うなど、意思決定に必要な情報を十分な時間をかけて収集、分析、精査及び検討することで、可能な限りリスクの低減に努めております。しかしながら、M&Aではこの実施後に当社グループが事前には認識し得なかった事項が判明、また問題が明らかになった場合や、何らかの理由で取得した企業や事業の経営や展開が計画どおりに進まない場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(19) 機器及びシステム運用に関するリスク

当社グループが行っている「医心館事業」では、特殊かつ高度な情報技術や通信技術に依存するものではありませんが、パーソナルコンピュータや無線LANといった一般に普及している情報技術や通信技術を日常的に用います。また、介護事業者向け経営支援サービス(ソフト)を利用し、報酬請求では請求書をファイル伝送(オンライン請求)しておりますので、これらの機器やシステムの故障や不具合により、業務が停滞し、また請求に遅れを生ずることがあります。当社グループでは、日ごろ機器メンテナンスを行うほか、情報のバックアップを行う等、リスクの発生及び発生時の影響を低減することに努めております。しかしながら、万が一、機器及びシステムの重大な故障等が発生した際には、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(20) 利益還元に関するリスク

当社は、好調に成長している「医心館事業」への経営資源の積極的な投下(利益の内部留保及び活用)を行うものとし、2019年9月期は配当性向10%とし、今後は事業の成長と株主への還元とのバランスを十分考慮し、中長期的な視野での業績動向、上場企業各社での配当状況等を踏まえて配当性向を高めていく方針とし、毎事業年度で確実に利益を計上することを前提として財務体質の強化を図り、財政状態及び経営成績を勘案しながら、配当の実施を行ってまいります。しかしながら、当社グループの業績が計画どおり進展しない場合等、当社グループの業績が悪化した場合には、継続的に配当を行えない可能性があります。

 

(21) コンプライアンスに関するリスク

当社グループでは、法令遵守及び倫理に基づき誠実に行動することを経営上の最重要課題のひとつとして位置付けております。事業の実施に直接関係する法令等ほか、社会的責任のある企業のひとつとして遵守すべき法令等の全般につき当社グループのすべての役職員が法令等や倫理から逸脱しないよう、日ごろコンプライアンスに係る意識と行動の徹底を図っております。なお、内部での不正を抑止するため、当社グループでは内部通報制度を整備、運用しております。

また、昨今、他社において従業員のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での倫理観を欠く不適切な発信行為が企業の社会的信用の失墜、訴訟の提起、監督官庁等からの処分を引き起こす例が少なからずあります。当社グループでは、このことに鑑み、入社時及びその後の定期的な社内教育研修等で従業員に対する意識の向上を求めております。

万一コンプライアンス上の問題に直面した場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(22) その他のリスク

上記のほか、外部からの犯罪行為、事務手続きの不備などにより直接的又は間接的もしくはその両方のコストが発生し、適正な施設運営や事業展開に支障を生ずること、行政処分等により営業停止となること、加えて当社グループの社会的信頼が失墜する等のリスクがあります。また、新株予約権の行使による需給関係の変化が当社グループ株式の株価形成に及ぼす影響を生ずる等のリスクもあります。これらの場合、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」と言います。)の状況の概要は、以下のとおりであります。

 

① 財政状態

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産合計は1,796,500千円となり、前連結会計年度末に比べ492,204千円の増加となりました。これは主に、売掛金が519,781千円増加したこと等によります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産合計は5,200,744千円となり、前連結会計年度末に比べ3,166,293千円の増加となりました。これは主に、リース資産が2,091,206千円増加、土地が524,909千円増加、敷金及び保証金が186,462千円、建物及び構築物が90,258千円増加したこと等によります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債合計は1,265,307千円となり、前連結会計年度末に比べ341,911千円の増加となりました。これは主に、短期借入金が109,940千円増加、未払金及び未払費用が95,361千円増加、賞与引当金等が60,486千円増加したことによります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債合計は4,661,685千円となり、前連結会計年度末に比べ2,713,950千円の増加となりました。これは主に、長期借入金が617,155千円増加、リース債務が2,075,822千円増加したことによります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は1,070,252千円となり、前連結会計年度末に比べ602,636千円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が602,636千円増加したことによります。

 この結果、自己資本比率は15.3%(前連結会計年度末は14.0%)となりました。

 

② 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、地震のほか、暴風雨及び豪雨による災害の発生があり各方面へ影響を及ぼしました。その後、影響収束により生産活動は緩やかに持ち直し、力強さを取り戻しております。

 当社グループの主軸事業が属する医療・介護業界におきましては、医療計画、診療報酬及び介護報酬などが同時に改定される重要な年となり、地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化に向けて、在宅医療・訪問看護を推進する評価(算定、加算)がさまざま新設されたところであり、当社グループには正に「追い風」の環境となっております。

 このような状況の中、綿密なマーケティングと出店戦略(主には、大都市部でのドミナント戦略と閉鎖的地方都市での高シェア戦略)に基づいて積極的に出店し、併せて医療機関ほかに対する精力的な営業活動を行った結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高 5,369,689千円(前年同期比73.0%の増加)、営業利益 909,739千円(前年同期比113.0%の増加)、経常利益 864,737千円(前年同期比110.0%の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益 602,636千円(前年同期比109.7%の増加)となりました。

 なお、当社グループの報告セグメントは、医心館事業のみの単一セグメントであります。

 

(単位:千円)

 

2018年9月期

(前連結会計年度)

2019年9月期

(当連結会計年度)

増減額

増減率

売上高

3,104,160

5,369,689

2,265,529

73.0%

営業利益

(営業利益率)

427,121

(13.8%)

909,739

(16.9%)

482,618

113.0%

経常利益

(経常利益率)

411,684

(13.3%)

864,737

(16.1%)

453,052

110.0%

親会社株主に

帰属する当期純利益

(当期純利益率)

287,328

(9.3%)

602,636

(11.2%)

315,308

109.7%

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ33,860千円減少の452,904千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは445,184千円の資金増加(前連結会計年度は328,148千円の資金増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が858,300千円、減価償却費が170,454千円、未払金及び未払費用の増加95,361千円が生じた一方で、売上債権の増加519,781千円が生じたこと等によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは1,139,054千円の資金減少(前連結会計年度は657,764千円の資金減少) となりました。これは主に、新規施設を開設したことに伴い有形固定資産の取得による支出1,184,528千円、敷金及び保証金の差入による支出192,145千円、「医心館盛岡」を対象としたセール&リースバック取引を実行したことに伴い有形固定資産の売却による収入233,617千円が生じたこと等によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは660,010千円の資金増加(前連結会計年度は242,313千円の資金増加)となりました。これは主に、新規施設を開設したことに伴い長期借入れによる収入1,273,000千円、短期借入金の純増額109,940千円が生じた一方で、長期借入金の返済による支出679,982千円が生じたこと等によります。

 

④ 生産・受注及び販売の実績

当社グループの報告セグメントは、医心館事業のみの単一セグメントであります。

a.生産実績

当社グループでは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

b.受注実績

当社グループでは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

医心館事業

5,369,689

73.0

合計

5,369,689

73.0

 

 

 

(注)1. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高

(千円)

割合(%)

販売高

(千円)

割合(%)

神奈川県国民健康保険団体連合会

425,279

13.7

978,577

18.2

社会保険診療報酬支払基金

309,882

10.0

607,150

11.3

岩手県国民健康保険団体連合会

374,020

12.0

558,163

10.4

三重県国民健康保険団体連合会

511,133

16.5

539,275

10.0

埼玉県国民健康保険団体連合会

386,546

12.5

481,722

9.0

愛知県国民健康保険団体連合会

331,720

10.7

435,931

8.1

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3.当連結会計年度における開設時点別の稼働率(※)の推移は、次のとおりであります。

  ただし、当表では各施設別の稼働率を単純平均しております。

 

開設時点

区別

定員数

(名)

当連結会計年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

既設施設

(~2018.9.30開設)

520

76.4%

77.4%

78.5%

76.7%

76.5%

78.6%

80.2%

80.3%

81.3%

80.2%

81.8%

82.6%

新設施設

(2018.10.1~開設)

321

10.6%

30.4%

39.1%

54.7%

39.1%

46.6%

56.0%

65.0%

64.1%

60.4%

62.5%

 

 

※本書では、稼働率を次のとおり定義しております。

 

          各施設の各月ごと入居日数の総和

   稼動率 = ―――――――――――――――――

                   各施設の定員数×各月の日数

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

また、当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、一定の会計基準の範囲内で経営者による見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。この連結財務諸表の作成にあたって重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

①財政状態に関する認識及び分析・検討内容

「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態」に記載のとおりであります。

 

 

  ②経営成績に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは「志とビジョンある医療・介護で社会を元気に幸せに」を企業理念(ミッション)に掲げております。わが国は2010年に超高齢社会※1へと突入し、2025年に団塊の世代がすべて75歳以上となることを契機に、高齢化の様相は今後一層強くなり、医療や看護・介護の需要はさらに高まるとされています。一方で、医療や看護・介護の制度を経済的に、また人的に支える労働人口の減少が予測されており、今後の高齢化の進展に対応し得る医療や看護・介護の持続可能な制度設計がわが国の根本的、かつ緊要な課題のひとつであることは論をまちません。

 当社グループでは、この課題に対して、有料老人ホーム「医心館」とこれに関連するサービス(以下、「医心館事業」と言います。)の提供を通じて、在宅療養のプラットフォーム※2を充実させ、地域の医療や看護・介護資源を効果的かつ効率的に利用できる仕組みづくりを行うことで応えてまいります。地域では、病床削減とこれに伴って療養の場を病院から「在宅(自宅や施設等)」へ移すとする政策を受けて、特に慢性期や終末期における医療や看護・介護の需要が高まっております。このことは、当社グループにとって有利な事業環境であり、引き続き事業を積極的に展開していく背景となっております。

 

※1  超高齢社会とは、65歳以上の人口割合が全人口の概ね20%を超えている社会を指します。

※2  医心館事業では、医療依存度が高い方を積極的に受け入れ、看護師の人員体制を強固にすることで、その方々の慢性期や終末期の療養において充実した看護ケアを提供しています。

   さらに、原則として医師とケアマネジャーを外部化することで、事業の透明性と公正性を担保し、限られた医療資源が最大限に活用されるために、地域医療(地域包括ケア)のプラットフォームのひとつとなることを目指しています。

 

当連結会計年度において、医心館事業では新たに7施設(山形県山形市「医心館 山形」、東京都板橋区「医心館 成増」、神奈川県横浜市戸塚区「医心館 東戸塚」、埼玉県さいたま市浦和区「医心館 北浦和」、埼玉県さいたま市南区「医心館 武蔵浦和」、栃木県宇都宮市「医心館 宇都宮Ⅱ」、新潟県新潟市中央区「医心館 新潟」)を開設、全国20施設(定員841名。期間末日現在)でサービスを提供、これまでの入居者数は累計で2,506名(期間末日現在)に達しました。

 

(売上高)

当連結会計年度の売上高は5,369,689千円となり、前連結会計年度より2,265,529千円の増加となりました。これは主に、既存の医心館での施設及びサービスの利用率が向上し、また新規に医心館を開設(7施設)、サービス提供が開始されたことにより医療保険収入及び介護保険収入が生じたこと等によります。

 

 (売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は3,221,208千円となり、前連結会計年度より1,382,087千円の増加となりました。これは主に、新規に医心館を開設したことに伴い採用した施設従業員の給与手当が生じたこと等によります。この結果、売上総利益は2,148,481千円となりました。

 

 (販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,238,741千円となり、前連結会計年度より400,823千円の増加となりました。これは主に、新規に医心館を開設したことに伴い施設従業員の採用費用、また業務の規模拡大に伴い採用した本社従業員の採用費用及び給与手当が生じたこと等によります。この結果、営業利益は909,739千円となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益は10,960千円となり、前連結会計年度より2,618千円の増加となりました。これは主に、補助金収入が増加したこと等によります。また、当連結会計年度の営業外費用は55,963千円となり、前連結会計年度より32,183千円の増加となりました。これは主に、支払利息が増加したこと等によります。この結果、経常利益は864,737千円となりました。

 

 

(特別損失)

当連結会計年度の特別損失は6,436千円となり、前連結会計年度より25,606千円の減少となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の法人税等合計は255,664千円となり、この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は602,636千円(前年同期比109.7%の増加)となりました。

 

  ③経営成績に重要な影響を与える要因

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

  ④資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要の主なものは、新規施設の開設資金(土地や建物の取得等)及び運転資金であります。運転資金のうち主なものは、売上原価に計上している施設従業員の人件費等であります。新規施設の開設資金は金融機関からの借入及び市場からの調達、運転資金は自己資金を基本としております。借入金につきましては、長期資金と短期資金の均衡を保ちつつ、財務健全性の維持を図っております。総じて、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

4 【経営上の重要な契約等】

   該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。