第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 
(1) 経営方針及び経営環境

当社は、2014年11月の「再生医療等安全性確保法」及び「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「医薬品医療機器等法」)施行を踏まえ、再生医療関連事業の産業化推進と同業での新たな価値創出を目指し、2015年11月に創設され、当事業年度は第5期となります。

再生医療の市場規模は、世界では2020年に6,300億円、2030年には7.5兆円、2040年には12兆円まで達する見込みであり、その中で日本国内の売上は2020年に570億円、2030年には5,300億円、2040年には9,100億円までの成長が予測されております([参考] 令和2年9月. 第1回再生・細胞医療・遺伝子治療開発協議会. 議事資料より)。

当社は、下記のミッション及びビジョンのもと、課題解決型企業として、研究から治療の段階へと発展してきた再生医療分野における事業及び再生医療分野事業により獲得したノウハウ・ブランディングを活かしたその他関連事業を行っております。


 <ミッション ~当社の目指すべき社会貢献~>

 ●高齢化問題の解決

 ●少子化問題の解決

 ●財政赤字問題の解決(保険医療費削減)
 

 <ビジョン ~当社の在るべき姿~>

 ●社会課題に徹底的に向き合う会社

 ●医療の新しい常識を創る会社

 ●変化を恐れず前向きに挑戦する会社
 

事業推進にあたっての経営基本方針は下記のとおりであります。

① 再生医療等安全性確保法に基づく自由診療の分野に注力し、確固たる事業基盤を構築する。

② 提携医療機関との緊密な関係性を強みとし、自家細胞治療及びエクソソーム関連治療・開発に重点的に資源投入。他家細胞治療分野においては再生医療等製品を製造する他社に対し原料供給者として協働する。

③ 医療・患者データの収集やマーケティング支援等、提携医療機関ネットワークを駆使した再生医療の

  リアルプラットフォーマーとして周辺ビジネスに商圏を拡大する。

④ 他社との事業提携を有効に活かし、自社内基盤コストを抑え、高い価格競争力を維持する。

⑤ 人財への投資は最重要な経営課題と捉え、採用に妥協は許さない。

⑥ 将来的な海外グローバル展開を視野に、海外における再生医療に関する法令整備の動向を注視する。

⑦ 過剰な与信リスクを抱えぬよう、取引先の信用状況等を精査し取引先管理に努める。

⑧ 法的リスクのコントロール及びコンプライアンス遵守は経営及び業務遂行上の基本とし、業界全体の

  規範となる。

⑨ 最新のITを駆使して、コミュニケーションコストをミニマイズし、徹底したスピードを追求する。

⑩ 次の成長戦略を常に描き、足元の事業の拡大・安定化と並行して、次の布石を打つ努力を惜しまない。 

 

 (2) 経営戦略

  当社の経営戦略は以下のとおりであります。

① 再生医療関連事業における提携医療機関の増加と新たな治療分野の拡大

② 再生医療周辺の新規技術開発並びに共同研究への積極的参画による臨床応用の展開加速

③ 学会セミナーの本格展開とアカデミア・医師等との共同治験推進

④ 協業会社等との連携による国内営業力の強化と海外展開推進

⑤ 再生医療関連事業により蓄積されたデータ、ノウハウを活用した新たな事業展開

 
 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社が属する再生医療業界は端緒についたばかりであり、業界を取り巻く環境の今後の動向に不確実性が高く、本書提出日現在、当社では経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標及びその数値目標を定めておりませんが、経営指標の構成要素となり得る、売上高営業利益率(以下、「営業利益率」)、再生医療関連事業における加工受託サービス提供先の医療機関数及び加工受託件数を主要業務係数としてモニタリングしております。

 今後、業界動向及び当社の業績の推移等を勘案し、早期に経営指標及び数値目標を決定する予定です。 

 

 (4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 経営戦略を推進する上で、当社は対処すべき課題を以下のとおり認識し、その解決に向けた取り組みが必要であると考えております。


① 加工受託処理能力の向上

 再生医療等に係る国内外での有効臨床データの発表や当該治療方法の認知度の高まり等を背景に、当社の再生医療関連事業での脂肪由来幹細胞加工受託サービスと血液由来加工受託サービスを合わせた加工受託件数(受注ベース)は、前事業年度の5,228件に対して、当事業年度は8,056件と順調に増加しており、今後もこの傾向は継続するものと認識しております。当社は、加工受託件数の増加にあわせた処理能力の向上のため、加工業務に使用する培地や機器等の改良・増設などによる作業工程の効率化や外部事業者への一部加工業務再委託の実施などとともに、専門的な知識・技能を有する優秀な人材の採用と育成を進めております。


② 治療・診療データの蓄積・エビデンスの確保

 再生医療関連事業での加工受託及び医療機関等との連携による治療・診療等の実績データの蓄積・エビデンスの確保は、学会やセミナー等での展開やアカデミア・医師等との協働推進、さらには新たな事業エリアへの布石に向けて必要不可欠なものであると認識しております。当社では、かかるデータ蓄積・エビデンス確保を重要な経営課題と認識するとともに、その手法についても強化、改善してまいります。


③ 内部統制、内部管理・法令順守・情報管理態勢の強化

 事業推進や外部との協業等において、当社の経営管理上の信用力向上が必要となります。そのためには、内部統制システム及びリスク管理・法令遵守・情報等に関する内部管理態勢の基盤構築が重要であると認識しております。当社ではかかる内部統制・内部管理態勢の強化を継続的に実施してまいります。


  ④ 人材の確保

 当社は社歴が浅く小規模組織であるため、今後の事業拡大や企業価値向上に向け、経営戦略策定から事業推進、内部管理等、すべての会社機能において人材の確保が重要な課題であると認識しております。そのため、積極的な採用と有効かつ効率的な社員教育・育成等により、優秀な人材の確保・拡充を図ってまいります。


  ⑤ 知財戦略

 当社の事業推進の過程や第三者との共同研究等で獲得した知的財産権の確保は、競争力の確保、将来の事業展開のために重要であると認識しております。当社では、かかる知的財産権を顧問弁理士との緊密な連携により維持・確保してまいります。


  ⑥ 財務安定性の向上及び株主還元

 当社は社歴が浅いため純資産の積上げが十分でなく、今後の事業拡大や必要な投資等に備えるため財務安定性の向上が必要であると認識しております。また同時に、株主還元も重要な課題であると認識しております。事業推進により利益剰余金の拡大を進めるとともに、かかる利益剰余金の活用に関し、内部留保と株主還元とをバランスをもって行っていくことが課題であると認識しております。
 

 

2 【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、投資家の投資判断にあたってリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、かかるリスク発生の回避及び発生した場合の当社事業、業績又は財務状態への悪影響をミニマイズするための対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

 (1)事業及び事業環境に関するリスク

   ① 加工受託サービスの市場環境について

 現在、当社が扱う加工受託サービスの主な疾患領域は変形性膝関節症としており、当該疾患に対して当社の加工受託サービスを利用して医療機関が行う自家による脂肪由来幹細胞や血液を用いた治療件数は、国内外での有効臨床データの発表や当該治療方法の認知度の高まり等を背景に増加してきており、当社では今後もこの傾向は継続するものと認識しております。しかしながら、自家による脂肪由来幹細胞や血液を用いた治療はいまだ黎明期であり不確実性が高く、今後の法令諸規則の制定・変更や治療効果等の動向によっては医療機関における治療件数の増加が鈍化する事もありえ、その場合には、今後の当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、委託者である医療機関においては患者に対する自由診療領域に関するものであり、当社は医療機関から加工受託サービスの対価として委託費を受領しておりますが、将来、当社が提供する加工受託サービスに関する医療機関による治療が保険診療の対象となった場合には、診療報酬の改定等に伴い医療機関から当社への委託費の価格引下げ圧力が生じる可能性があります。また、当社の加工受託サービス分野に今後、競業他社が参入し競争環境が激化した際にも、同様に委託費の価格引下げ圧力が生じ得ます。このような要因により当社の加工受託サービスの委託費の価格低下が生じる場合には、今後の当社の事業推進や経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

   ② 法的規制について

 当社の行う加工受託サービス及び医療機器の販売は、「再生医療等安全性確保法」、「医薬品医療機器等法」、「製造物責任法」、及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」等の法令の規制を受けております。また、化粧品販売事業で行う業務は、化粧品の仕入れ・販売に関する「医薬品医療機器等法」、自社製品の製造販売に関する「製造物責任法」、事業者の営業活動に関する「不正競争防止法」、製品の製造委託に関する「下請代金支払遅延等防止法」、一般消費者への直接販売に関する「消費者契約法」、「不当景品類及び不当表示防止法」、及び「特定商取引に関する法律」、並びに「個人情報保護法」等の法令の規制を受けております。

 当社は、事業に関連する法規制やリスク対応等について、隔月に1回定期的に開催する社内のコンプライアンス・リスク協議会において検討するとともに、社内管理体制の維持・強化を図ることにより、これら法令に基づく許可・登録の維持、法令及び関連する諸規則の遵守を徹底する経営基盤を構築しておりますが、当社がこれら法令諸規則に抵触しているとして、許可・登録の取消し処分等を受けた場合、営業停止や課徴金等の行政処分を受けた場合、製造物責任法等に基づく損害賠償責任が発生した場合又はそれらに伴う当社信用の失墜などにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、これら法令諸規則の予期しない制定・変更又は解釈の変更によって、当社において新たな対応が必要となり追加コストが発生する等の場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

   ③ 品質・安全性の確保及び製造・生産体制について

 「再生医療等安全性確保法」に基づく当社の脂肪由来幹細胞に関する加工受託サービスは、厚生労働大臣から「特定細胞加工物製造許可」を得た再生医療センターで行っており、当該加工受託サービスの工程は、同許可の前提となる「標準業務手順書」(SOP)に基づき実施し、品質確保に努めております。また、同法の規制を受けないPFC-FDの加工工程におきましても、同許可に準拠したSOPを作成し、その規定に沿った品質の確保に努めております。

 しかしながら、当社の管理不備により「標準業務手順書」(SOP)の規定に反する工程を実施し、その結果、当該加工受託サービスの品質に悪影響を与えた場合、当社の信用失墜を招き、当社の事業推進に支障が生じ、今後の当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、加工受託サービスにおける脂肪由来幹細胞の抽出・培養・保存及びPFC-FD加工の処理能力は、加工施設、各種加工機器、及び加工技術者それぞれの処理能力に依存します。当社では受託件数の増加を見込み、受託業務に使用する培地や機器等の改良・増設などにより作業工程を効率化や専門的な知識・技能を有する優秀な人材の採用と育成を進めている他、加工業務一部の外部事業者への再委託を進めております。さらには、受託件数の増加ペース加速化を想定し加工施設の増設や新設についても検討しております。しかしながら、これら処理能力の増強以上のスピードで医療機関からの委託ニーズが伸長し、当社の処理能力上そのすべてを受託する事ができず事業機会を逸失する場合、又は受託するための処理能力の増強に係る費用が想定以上に膨らんだ場合、計画どおりの人材の確保が行えない、若しくは当社の優秀な人材が流出した場合には、当社の再生医療関連事業の事業拡大に支障が生じ、今後の当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 「シグナリフト」ブランドの化粧品については、販売する製品の製造設備を自社で保有せず、すべての製造を株式会社シャロームに委託しています。そのため、何らかの理由で同社への製造委託が維持できない状況となった場合、同社の製造拠点が事故や自然災害などにより生産停止になった場合などには、製造委託の代替先が確保されるまでの間、当社製品の販売機会損失を招き、コンシューマー事業の売上減少を通じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、化粧品の製造・販売にあたっては、顧客の身体・衛生に危害が生じないよう細心の注意をもって品質と安全性の確認を行い、また、取扱い方法の適切な案内に留意しておりますが、当社が販売する化粧品及び美顔器により顧客の健康被害等が発生した場合には、賠償対応やリコール対応等による費用が発生し、また当社に対する信用が失墜するなどし、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

   ④ 製造物責任について

 当社の事業には、製造物責任賠償のリスクが内在しております。当社は細胞加工物及び医療機器並びに化粧品について製造物責任保険を一部付保しておりますが、最終的に当社が負担すべき賠償額を全額カバーできるとは限りません。従いまして、当社が加工受託サービスした細胞加工物が患者の健康被害を引き起こした場合、又は当社が販売する医療機器や化粧品の欠陥等による事故が発生した場合には、当社が製造物責任を負う可能性があり、当社の事業推進に支障が生じ、今後の当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、このような事例において結果として当社の責任が否定されたとしても、当社に対する信頼に悪影響が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

   ⑤ 特定の取引先について

 当事業年度の売上高1,855,475千円のうち、医療法人社団活寿会(以下、「活寿会」)及び活寿会が運営するクリニックに対する売上の合計額は810,776千円と売上高総額の43.7%となっており、活寿会に対する当社の売上依存度は高い水準となっております。活寿会は、主に変形性膝関節症の治療を専門とするクリニックを経営しており、当事業年度末日において、東京ひざ関節症クリニック銀座院、東京ひざ関節症クリニック新宿院、大宮ひざ関節症クリニック、大阪ひざ関節症クリニック、横浜ひざ関節症クリニック、札幌ひざ関節症クリニック、名古屋ひざ関節症クリニック、福岡ひざ関節症クリニックの8院を傘下にしております。当社は、活寿会傘下の各院とは、それぞれの開院以来、加工受託サービスを中心に再生医療関連事業の各サービスを提供するなどし、当社事業拡大にあたり活寿会とは極めて緊密かつ重要な取引関係を築いてまいりました。当社及び活寿会は、今後もこの関係を維持、発展させる方針であり、また当社といたしましては、活寿会以外の取引先の新規開拓、取引深耕図ってまいりますが、何らかの理由で将来、両者の関係が悪化し、あるいは活寿会の経営環境が悪化した場合などには、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、当社で販売する医療機器の一部は、Medikan Co.,Ltdからの仕入れに依存しており、本書提出日現在において当該医療機器の代替製品は確保できておりません。当社では、代替品の確保に向けての施策を検討しておりますが、何らかの理由でMedikan Co., Ltdからの仕入れが実施できない状況となった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

   ⑥ 再生医療等治療に対する風評リスクについて

 再生医療に関する規制の枠組みは、「再生医療等安全性確保法」及び、旧薬事法から改定された「医薬品医療機器等法」により整備されましたが、両法は2014年11月に施行された新しい法律であります。今後、両法に基づき再生医療を行う医療機関や関連サービスを提供する事業会社が増えるに従い、再生医療等に関して法令違反行為や医療過誤の発生、又は想定外の治療結果などが起こり得ます。

 当社の再生医療関連事業は、主に、他人の細胞等を利用する他家治療に比べ患者の健康リスクの少ない自家による脂肪由来幹細胞や血液を用いた治療に関する加工受託サービスの提供であり、また、当社は、当社の加工受託サービスを利用して治療を実施する医療機関に対し、加工受託サービスの適切な利用法に関するサポートを行っており、また、当社の再生医療等法規対応サポートサービスを利用して、自家による脂肪由来幹細胞や血液を用いた治療を行う医療機関に対し「再生医療等安全性確保法」に基づき必要な法規対応に関するサポートを実施しておりますが、医療機関等による法令違反行為等や患者にディメリットとなるような治療、また違法な治療や医療過誤等により重篤な症状を引き起こす事象等が発生した場合には、再生医療全体に対する風評被害となり、結果として当社の事業推進に支障が生じ、今後の当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

   ⑦ 研究開発について

 当社では、様々な細胞が分泌する小型の膜小胞であるエクソソームに着目し、再生医療関連事業における新たな製造・加工受託分野の開拓や創薬事業への参入に向けエクソソームの研究開発を進めております。また、既に当社が加工受託を実施している脂肪由来幹細胞やPFC-FDを用いた治療についても各種診療領域での有効性評価などを継続に実施しております。これら研究開発活動は大学等のアカデミアや他事業者との共同研究を中心に推進しており、当事業年度における研究開発費10,817千円の売上高に対する比率は0.6%と多額な費用とはなっておりません。ただし、今後の研究方法や具体的な事業化の内容によっては、将来的には多額の研究開発費を投じる事により当社の経営成績や財政状態が現状と大きく変化する可能性があります。また、研究開発費に見合うだけの事業化等の成果が得られなかった場合等には、当社の事業拡大に支障が生じ、今後の当社の事業戦略や経営成績に影響を与える可能性があります。


   ⑧ 個人情報の保護について

 当社の化粧品販売事業では、インターネット等の媒体を利用した個人顧客への直接販売を実施しており、購入者の個人情報を保有しております。また、加工受託サービスを行う際、取引先の医療機関から患者の個人情報を入手する機会があります。

 当社では、入手した個人情報の管理を徹底していますが、何らかの理由で個人情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合には、当社の社会的信頼の失墜や賠償金の支払い等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

   ⑨ 知的財産権について

 当社は、研究開発活動等により得た技術・ノウハウ等について、顧問弁理士の助言に基づき積極的に特許等をはじめとした知的財産権を確保するよう努めております。また、当社が他社の知的財産権を侵害しないよう十分に留意し疑義ある場合には顧問弁理士に調査を依頼するようにしております。

 第三者により当社の知的財産権が侵害された場合や権利侵害を当社が行ったとして係争を起こされた場合、又は、当社が獲得した知的財産権が当社の想定に反し有効に活用できない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 

   ⑩ 自然災害等について

 大地震等の自然災害及び火災等の事故等により、自社及び委託先の製造・加工設備の損壊、配送網の分断、多くの役職員の就業不可状況の長期化等の不測の事態が発生した場合、当社事業の継続に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 

   ⑪ 新型コロナウイルス感染症の感染拡大について

  2020年3月以降、新型コロナウイルス感染症第一波拡大に伴い、当社の提携医療機関への患者来院数の減少により当社の加工受託数も減少しておりましたが、同年5月の緊急事態宣言解除以後、加工受託数は順調に回復・伸長してきており、またその後の第二波、第三波拡大時においても加工受託数に大きな影響はでておりません。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う社会への影響が一層深刻化・長期化し当社の提供医療機関への患者来院に大きな支障が発生するなどした場合には、加工受託サービスの収益悪化を引き起こし、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

  (2) 会社組織に関するリスク

① 社歴が浅い事について

 当社は2015年11月に設立、2020年10月期は第5期となる社歴の浅い会社であります。当社は設立第1期から黒字決算を達成、その後も業績を拡大してまいりましたが、過年度の経営成績は期間比較を行うための十分な材料とはならず、今後の経営成績を判断するための情報としては不十分である可能性があります。


② 小規模組織に応じた内部管理体制である事について

 当社の人員体制は、2020年10月期期末日現在、取締役4名(常勤の業務執行取締役は3名)、従業員68名と小規模な組織であります。このうち管理部門は常勤取締役1名、従業員11名であり、現在の当社の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっております。今後も内部管理体制の強化を図るべく、人材の採用と育成を積極的に進めてまいりますが、計画どおりに人員体制の強化が進まない場合には、内部管理体制の強化や当社の業務推進に支障が生じ、今後の事業拡大に影響を及ぼす可能性があります。


   ③ 特定の事業推進者への依存について

 当社の代表取締役社長である裙本理人は、当社の創業者であり、設立以来、代表取締役として経営方針や事業戦略の立案・決定及び事業推進において重要な役割を果たしております。当社では事業担当取締役や執行役員を配置、人員拡充による権限移譲を進めるなどし、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を行っており、今後も優秀な人材の確保・教育に努めてまいりますが、何らかの理由により、同氏が当社の業務を推進する事が困難となった場合、当社の事業推進に支障が生じ、今後の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。


   ④ 人材の確保と育成について

 「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移」及び「第5 経理の状況」に記載したとおり、当社の業績は過年度において拡大しております。今後の更なる業績拡大のためには、各部門において優秀な人材の確保は重要な経営課題と認識しており、人員の採用・教育を進めております。しかしながら、人材の確保・育成が計画どおりに進まず、又は優秀な人材の流出等が発生した場合には、当社の事業拡大に支障が生じ、当社の事業や経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 

 

  (3) 財産状況等について

   ① 配当について

 当社は、創業以来株主に対する剰余金の配当実績はありません。剰余金配当など株主への利益還元は重要な経営課題と認識しておりますが、当面は、財務の安定性と将来の成長に向けた投資等に備え、内部留保の確保を優先する事が企業価値向上を通じた株主利益の最大化につながるものと考えております。将来的には、事業環境、当社の経営成績や財務状況、及びそれらを踏まえた投資計画等を総合的に勘案しながら株主への剰余金配当を検討してまいりますが、現時点においてはその実施時期や配当方針については未定であります。

 

   ② 新株予約権による希薄化について

 当社は、長期的な企業価値向上へのインセンティブや優秀な人材の確保等を目的に、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、当社取締役、従業員及び社外協力者に対し新株予約権を付与しております。2020年10月期期末日現在、これら新株予約権の未行使残である潜在株式数は87,000株であり、発行済株式総数2,048,800株の4.2%に相当します。当社では、今後も、役職員等へのインセンティブ付与等を目的に、新株予約権又はそれに類するエクイティ・インセンティブプランを実施する可能性があります。現在の潜在株式及び将来に付与・発行される新株予約権等の権利行使が行われた場合には、当社株式の1株当たりの価値が希薄化し、さらに、かかる行使により交付された当社株式が市場で売却された場合には、当社株式の株価形成に影響を与える可能性があります。

 

③ 資金使途について

 株式上場時の公募増資等による調達資金の使途については、今後の事業拡大に備えた設備拡充に伴う投資資金、ソフトウエア等の拡充資金、人件費・採用費、及び再生医療関連事業における学会運営費用や研究開発費に充当する予定です。しかし、事業環境や当社の事業戦略の変化によっては、現在予定している計画以外の使途へ充当する可能性があり、また現在の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定どおりの投資効果が得られない可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の分析

当社は、2014年11月の「再生医療等安全性確保法」及び「医薬品医療機器等法」施行を踏まえ、再生医療業の産業化推進と同業での新たな価値創出を目指し、2015年11月に創設され、当事業年度は第5期となります。

当事業年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大により一時的な低迷こそあったものの、提携医療機関の一層の開拓などにより加工受託サービスの受託件数が伸長したことなどから売上は順調に拡大いたしました。一方、人員の増強や内部管理体制の強化を図ったことなどから人件費や業務手数料が増加したものの、コンシューマー事業の販売戦略見直しにより広告宣伝費を削減した結果、販売費及び一般管理費の増加は抑制されたものとなりました。

以上の結果、当事業年度の業績は、売上高は1,855,475千円(前事業年度比15.1%増)、売上総利益は1,258,956千円(前事業年度比9.1%増)、営業利益は415,551千円(前事業年度比27.1%増)、当期純利益は274,082千円(前事業年度比37.3%増)となり、創業以来4期連続の増収増益を達成いたしました。

 

報告セグメント別の実績は、以下のとおりです。

 

(再生医療関連事業)

再生医療関連事業では、加工受託サービス又はコンサルティングサービスの契約を締結した提携医療機関数が前事業年度末から254院増加し当事業年度末には550院と順調に増加いたしました。また、有効な治療結果などを受け既存提携医療機関の受託サービス利用の稼働率も上昇いたしました。その結果、脂肪由来幹細胞加工受託サービスと血液由来加工受託サービスとを合計した加工受託件数が前事業年度の5,228件から当事業年度は8,056件に増加するなどし、加工受託サービス、コンサルティングサービス、医療機器販売ともに順調に売上が拡大いたしました。提携医療機関数や加工受託数の増加を受け変動費や人件費などは増加いたしましたが、当事業年度のセグメント利益率は50.3%(前年度は50.2%)と引き続き高い水準を維持しております。

これらの結果、本報告セグメントの当事業年度の売上高は、1,685,031千円(前期比40.5%増)、セグメント利益は847,353千円(前期比40.7%増)となりました。

 

(コンシューマー事業)

コンシューマー事業では、化粧品等のEC広告環境の変化を受け、自社Webサイトでの広告出稿手法や価格戦略の大幅な展開を図るとともに、大手ドラッグストアやコンビニエンスストア等店舗や中国向け越境ECなどでの販売強化も段階的に進めてまいりましたが、これら販売戦略変更に伴う明確な成果は当事業年度においては具現化いたしませんでした。

これらの結果、本報告セグメントの当事業年度の売上高は170,444千円(前期比58.6%減)、セグメント損失は13,607千円(前事業年度は80,932千円の利益)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末の総資産は2,352,136千円と前事業年度末から509,893千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が423,463千円及び売掛金91,783千円それぞれ増加したことを主因に流動資産が前事業年度末から511,481千円増加2,165,911千円となったことによります。

(負債)

当事業年度末の負債は、309,629千円と前事業年度末から75,090千円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が60,936千円増加したことによります。

(純資産)

当事業年度末の純資産は、資本金79,394千円の増加及び資本準備金79,394千円増加したことに加え、当期純利益の計上274,082千円により、前事業年度末から434,803千円増加し、2,042,507千円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は1,757,015千円となり、前事業年度末と比較して423,463千円の増加となりました。

当事業年度のキャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動による資金の増加は330,225千円(前事業年度は195,287千円の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益412,807千円(前事業年度は303,346千円)及び長期前払費用償却額36,285千円(前事業年度は40,795千円)の計上があった一方、売上債権91,783千円の増加(前事業年度は3,840千円の増加)及び法人税等の支払76,909千円(前事業年度は159,860千円の支払)などがあった事によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動による資金の減少は57,832千円(前事業年度は107,871千円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出30,072千円(前事業年度は50,075千円の支出)及び長期前払費用の取得による支出25,110千円(前事業年度は31,105千円の支出)などがあった事によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動による資金の増加は152,648千円(前事業年度は993,198千円の増加)となりました。これは主に、株式の発行による収入157,887千円(前事業年度は1,003,074千円の収入)によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

再生医療関連事業のうちコンサルティングサービスに関する、当事業年度における受注実績は以下のとおりとなります。

 

なお、その他のサービス・事業につきましては、受注から売上計上までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。

事業の名称

受注実績(千円)

前年同期比(%)

コンサルティングサービス

17,840

137.3

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

再生医療関連事業

1,685,031

140.5

コンシューマー事業

170,444

41.4

合計

1,855,475

115.1

 

(注) 1.セグメント間取引は、ありません。

2.最近2事業年度及び当事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

医療法人社団活寿会

513,822

31.9

810,776

43.7

メトラス株式会社

187,169

11.6

299,826

16.2

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4. 前事業年度期末日において、医療法人社団活寿会は、東京ひざ関節症クリニック銀座院、東京ひざ関節症クリニック新宿院、大宮ひざ関節症クリニック及び大阪ひざ関節症クリニックの4院を傘下にしており、前事業年度の販売高は4院の数値を合算して記載しております。

5.当事業年度期末日において、医療法人社団活寿会は、東京ひざ関節症クリニック銀座院、東京ひざ関節症クリニック新宿院、大宮ひざ関節症クリニック、大阪ひざ関節症クリニック、横浜ひざ関節症クリニック、札幌ひざ関節症クリニック、名古屋ひざ関節症クリニック及び福岡ひざ関節症クリニックの8院を傘下にしており、当事業年度の販売高は8院の数値を合算して記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計方針)」に記載されているとおりであります。

当社は、過去の実績や取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産、負債の帳簿価額及び収益、費用の全般に反映して財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.事業の主要業務係数について

当社で推進する事業の主要サービスは、脂肪由来幹細胞加工受託サービス及び血液由来加工受託サービスであり、主要業務係数として「提携医療機関数」と両サービスの「加工受託数」をモニタリングしております。当事業年度末の提携医療機関数は550院であり、前事業年度末の296院から254院増加、加工受託数は8,056件と前事業年度の5,228件から2,828件増加と順調に事業を拡大しております。今後も提携医療機関数と加工受託数の増加を図り、事業売上の一層の拡大を目指してまいります。

 

b.収益性について

当社では、当社の企業価値向上と将来に向けての投資等の原資の確保のため、コストコントロールが極めて重要と認識し、そのための主要な業務係数として営業利益率を重視しております。当事業年度は、事業拡大に伴い人件費や業務手数料が増加する一方、広告宣伝費を削減した結果、売上の増加率に比し販売費及び一般管理費が抑制され、営業利益率は22.4%と前事業年度の20.3%から改善いたしました。今後も、収益拡大とあわせ営業利益率の推移を重要な業務係数としてモニタリングし、適宜、的確な対応を実施する事で高収益性の確保に努めてまいります。

 

c.資本の財源及び流動性の確保について

当事業年度末の純資産額は2,042,507千円、現金及び現金同等物の残高は1,757,015千円となっております。流動比率は702.0%、自己資本比率は86.7%であり、多額な資本的支出の予定はなく、また金融機関の当座貸越枠を確保している事から流動性の問題はありませんが、将来の事業拡大やそのための投資を想定しますと、財務基盤の継続的な増強が必要であると認識しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 独占販売店契約

相手先の名称

相手先の
所在地

契約品目

契約期間

契約内容

Medikan Co., Ltd

韓国

医療機器商品

2020年4月1日から
2023年3月31日まで

指定医療機器商品の日本国内独占販売契約

 

 

(2) OEM基本契約書

相手先の名称

契約期間

契約内容

株式会社シャローム

2017年1月1日から
2021年12月31日まで
(以降1年毎自動更新)

化粧品及び医薬部外品の製造委託

 

 

5 【研究開発活動】

当社の研究開発活動は、主に自家細胞・組織を用いた再生医療に関する臨床応用について、大学や事業会社との共同で実施しております。

当事業年度における研究開発費の金額は10,817千円であり、全額が再生医療関連事業における研究開発費用であります。