本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針及び経営環境
当社は、2014年11月の「再生医療等安全性確保法」及び「医薬品医療機器等法」施行を踏まえ、再生医療関連事業の産業化推進と同業での新たな価値創出を目指し2015年11月に創設され、当事業年度は第9期となります。
再生医療の市場規模は、世界では2030年には7.5兆円、2040年には12兆円まで達する見込みであり、その中で日本国内の売上は2030年には5,300億円、2040年には9,100億円までの成長が予測されております([参考] 令和2年9月. 第1回再生・細胞医療・遺伝子治療開発協議会. 議事資料より)。
当社は、下記のパーパス、ミッション及びバリューのもと、課題解決型企業として、研究から治療の段階へと発展してきた再生医療分野における事業及び再生医療分野事業により獲得したノウハウ・ブランディングを活かしたその他関連事業を行っております。
<パーパス ~当社の社会的存在意義~>
●Change Our Future
未来を変える
<ミッション ~当社の社会的使命~>
●Freedom of Life with Medical Revolution
すべての人生に自由を 医療に革命を
●具体的には、以下3つの社会課題の解決を通じて、社会に新しい価値を創出します。
1 . 高齢化問題
2 . 少子化問題
3 . 財政問題
<バリュー ~当社の価値観~>
●Ideas Into Reality アイデアを現実へ
●Issue Driven 課題ドリブン
●ZERO-Based Decision ゼロベースで考える
●Simple and Clear シンプルで明確に
●Respect and Fun リスペクトと楽しさを
●Be Happy , Make Happiness 幸せになり 幸せにしよう
事業推進にあたっての経営基本方針は下記のとおりであります。
① 再生医療等安全性確保法に基づく自費診療の分野に注力し、確固たる事業基盤を構築する。
② 提携医療機関との緊密な関係性を強みとし、自家細胞治療及びエクソソーム関連治療・開発に重点的に資源投入。他家細胞治療分野においては再生医療等製品を製造する他社に対し原料供給者として協働する。
③ 医療・患者データの収集やマーケティング支援等、提携医療機関ネットワークを駆使した再生医療の
リアルプラットフォーマーとして周辺ビジネスに商圏を拡大する。
④ 他社との事業提携を有効に活かし、自社内基盤コストを抑え、高い価格競争力を維持する。
⑤ 人財への投資は最重要な経営課題と捉え、採用・育成に妥協は許さない。
⑥ 将来的な海外グローバル展開を視野に、海外における再生医療に関する法令整備の動向を注視する。
⑦ 過剰な与信リスクを抱えぬよう、取引先の信用状況等を精査し取引先管理に努める。
⑧ 法的リスクのコントロール及びコンプライアンス遵守は経営及び業務遂行上の基本とし、業界全体の
規範となる。
⑨ 最新のITを駆使して、コミュニケーションコストをミニマイズし、徹底したスピードを追求する。
⑩ 次の成長戦略を常に描き、足元の事業の拡大・安定化と並行して、次の布石を打つ努力を惜しまない。
(2) 経営戦略
当社の経営戦略は以下のとおりであります。
① 再生医療関連事業における提携医療機関の増加と新たな治療分野の拡大
② 再生医療周辺の新規技術開発並びに共同研究への積極的参画による臨床応用の展開加速
③ 学会セミナーの本格展開とアカデミア・医師等との共同治験推進
④ 協業会社等との連携による国内営業力の強化と海外展開推進
⑤ 再生医療関連事業により蓄積されたデータ、ノウハウを活用した新たな事業展開
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社が属する再生医療業界は端緒についたばかりであり、業界を取り巻く環境の今後の動向に不確実性が高く、本書提出日現在、当社では経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標及びその数値目標を定めておりませんが、経営指標の構成要素となり得る、売上高営業利益率(以下、「営業利益率」)、再生医療関連事業における加工受託サービス提供先の医療機関数及び加工受託件数を主要業務係数としてモニタリングしております。
今後、業界動向及び当社の業績の推移等を勘案し、早期に経営指標及び数値目標を決定する予定です。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
経営戦略を推進する上で、当社が対処すべき課題を以下のとおり認識し、その解決に向けた取組みが必要であると考えております。
① 新たな選択肢としての再生医療の認知拡大
当社が展開する再生医療関連事業が属する再生医療市場は、国内外で急速に成長しておりますが、医療機関並びに患者における新たな選択肢としての認知については更なる拡大の余地があります。当社はリーディングカンパニーとして再生医療の社会実装を牽引し、医療機関並びに患者に対するエビデンスに基づいた情報提供をはじめとした啓発活動を続けることが、当社の事業基盤の安定化につながると考えております。
② 拠点集約による加工受託処理能力の効率化と向上
再生医療等市場の成長を背景に、当社の再生医療関連事業での加工受託件数は、創業来着実に積み上がり、累計数を伸ばしてきました。当事業年度においては、加工受託件数の増加にあわせた処理能力の向上のため、製造拠点の拡大を実現しました。今後当社は、専門的な知識・技能を有する優秀な人材の活用を更に進め、拠点集約による加工業務の改良による作業工程の効率化と技術開発等による、加工受託処理能力の効率化と向上を進めてまいります。
③ 治療・診療データの蓄積・エビデンスの確保
加工受託の実績及び医療機関等との連携による治療・診療等の実績データの蓄積・エビデンスの確保は、学会やセミナー等での展開やアカデミア・医師等との協働推進、さらには新たな事業エリアへの布石に向けて必要不可欠なものであると認識しております。当社では、これまでに9万件超となる加工受託の実績がありますが、今後も、一層データ蓄積・エビデンス確保を重要な経営課題と認識するとともに、その手法についても強化、改善してまいります。
④ 内部統制、内部管理・法令遵守・情報管理体制の強化
事業推進や外部との協業等において、当社の経営管理上の信用力向上が必要となります。そのためには、内部統制システム及びリスク管理・法令遵守・情報等に関する内部管理体制の基盤構築が重要であると認識しております。当社では、かかる内部統制・内部管理体制の強化を継続的に実施してまいります。
⑤ 知財戦略
当社の事業推進の過程や第三者との共同研究等で獲得した知的財産権の確保は、競争力の確保、将来の事業展開のために重要であると認識しております。当社では、かかる知的財産権を顧問弁理士との緊密な連携により維持・確保してまいります。
⑥ デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
デジタルトランスフォーメーションの推進は当社の継続的なイノベーションの創出や競争優位の源泉となる無形資産投資であり、経営戦略の重要な課題と認識しております。業務プロセスやビジネスモデル、企業文化等の変革に向けて、担当部署のみならず全社員が当事者意識を持ち、デジタルトランスフォーメーションに向けての投資を推進してまいります。
当社は、社長が責任者を務めるコンプライアンス・リスク協議会にて、持続的な成長及び中長期的な企業価値向上に向けた方針、人材・多様性の確保、ならびに気候変動によるリスク機会への対応(TCFD)等のサステナビリティについての取組み方針を協議します。
また取締役会では、コンプライアンス・リスク協議会による協議内容についての報告を受け、かかる方針等に加え、ステークホルダーへの開示及び対話、長期視点での投資計画等の協議・検討を行い、決定するとともに、具体的な活動状況を監督する体制としております。
当社は、人=Human・社会=Social・未来=Futureにフォーカスした「HSF経営」を推進することにより、当社の社会的存在意義の体現や、社会的使命の実現に直結すると共に、持続可能な社会の実現に向けた社会課題の解決に繋がると考えております。つまり、当社の持続的成長が、持続可能な社会の成長と同期化する経営方針としてHSF経営を掲げ、推進して参ります。
(2)人材・多様性の確保
当社は社歴が浅く小規模組織であるため、今後の事業拡大や企業価値向上に向け、経営戦略策定から事業推進、内部管理等、すべての経営機能の維持・高度化において人材の確保が重要な課題であると認識しております。また当社が事業成長を継続するためには、従業員1人ひとりが成果を最大化し、持続的な成長を続けていくことが重要であると考えております。そのため全ての従業員に公平かつ透明性の高い評価制度を設け、優秀な人材は積極的に登用する方針です。また、人材採用も慎重かつ積極的に行って参ります。
多様性確保の状況については、2024年10月末現在における管理職に対する女性比率は23.0%となっております。また取締役に対する女性比率は14.3%となっております。当社は女性や外国人の具体的な目標比率を設定しておりませんが、今後も全ての属性に対して公平かつ積極的に採用及び登用してまいります。
採用においては優れた能力のみならず、人間性を重視した選考を心がけております。また、社内外での研修・教育の強化などを含む人材育成制度の整備を進めるとともに、機動的な人材活用を制度的にも実施し、人材が企業と共に、若しくはそれ以上のスピードで成長する態勢整備に努めております。これらの方針により獲得した唯一無二の人材同士が企業文化と経営理念を共有し、当社が各ステークホルダーに提供する付加価値の総和の最大化を実現する組織・態勢作りを図っております。
(3)気候変動によるリスク機会への対応(TCFD)
当社は、気候変動に伴う事業活動への影響を把握するため、リスクと機会の分析を行っています。金融安定理事会が提言する「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」のフレームワークを活用し、以下の項目について整理を行いました。
本書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、投資家の投資判断にあたってリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、かかるリスク発生の回避及び発生した場合の当社事業、業績又は財務状態への悪影響をミニマイズするための対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。
(1)事業及び事業環境に関するリスク
① 国内再生医療市場の拡大について
② 法的規制について
③ 品質・安全性の確保及び製造・生産体制について
④ 製造物責任について
⑤ 特定の取引先について
⑥ 再生医療等治療に対する風評リスクについて
⑦ 研究開発について
⑧ サイバーリスクについて
⑨ 個人情報の保護について
⑩ 知的財産権について
⑪ 自然災害等について
⑫ 地球温暖化等の気候変動について
⑬ 資材調達について
(2) 会社組織に関するリスク
① 最適な組織構築について
② 人材の確保と育成について
(3) 財務状況等について
① 新株予約権による希薄化について
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社は、2014年11月の「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(以下、「再生医療等安全性確保法」という。)」と「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」施行を踏まえ、再生医療関連事業の産業化推進と同業での新たな価値創出を目指し2015年11月に創設され、当事業年度は第9期となります。
当社は、血液由来加工受託サービス、脂肪由来幹細胞加工受託サービス、滑膜由来幹細胞加工受託サービス、FatBankサービス及び卵子凍結保管受託サービスで構成される「組織・細胞の加工受託・保管サービス」、医療機関に対し再生医療等安全性確保法に関連する書類作成等のサポートを行う再生医療等法規対応サポートや経営管理支援サービスで構成される「コンサルティングサービス」、医療機関が患者から脂肪等を採取するために必要となる機器を販売する「医療機器販売」、並びに「化粧品販売その他」から構成される「再生医療関連事業」を行っております。
当事業年度(2023年11月1日から2024年10月31日まで)におきましては、主事業である血液由来加工受託サービス、脂肪由来幹細胞加工受託サービスにおいて、受託件数が前事業年度比減少しました。また、業容拡大及び企業価値の最大化に向けた製造拠点拡大関連コストに加え、新たに卵子凍結保管受託サービス「卵子凍結あんしんバンク™」のサービス提供の開始に伴い、戦略的なコストを投下しました。これに加え、当事業年度において、当社が提供している滑膜由来幹細胞加工受託サービスについて社会実装の難易度を再評価し、当初見込まれた売上達成が困難であると判断しました。これに基づき、滑膜由来幹細胞加工受託サービスにおいて合理的に算出可能な関連費用を2024年10月期に契約損失引当金として計上しました。これらにより、売上原価、販売費及び一般管理費についても大幅に増加しました。
以上の結果、当事業年度の業績は、売上高は4,355,063千円(前事業年度比3.4%減)、売上総利益は2,417,411千円(前事業年度比24.1%減)、販売費及び一般管理費は2,288,253千円(前事業年度比16.5%増)、営業利益は129,158千円(前事業年度比89.4%減)、経常利益は236,652千円(前事業年度比80.2%減)、当期純利益は237,940千円(前事業年度比74.2%減)となりました。
各サービス別の概況は、以下のとおりです。なお、当社は「再生医療関連事業」の単一セグメントを採用しております。
(加工受託サービス・コンサルティングサービス)
加工受託サービス又はコンサルティングサービスの契約を締結した提携医療機関数が前事業年度末から206院増加し、当事業年度末には1,955院に拡大いたしました。一方、医療機関あたりの受託件数は伸び悩み、血液由来加工受託サービスと脂肪由来幹細胞加工受託サービスを合計した加工受託件数が前事業年度の26,633件から当事業年度は22,944件に低下するなど、加工受託サービス・コンサルティングサービスの売上高は減少しました。
上記の結果、当事業年度の加工受託サービスの売上高は2,743,569千円(前事業年度比12.8%減)、コンサルティングサービスの売上高は185,797千円(前事業年度比57.3%減)となりました。
(医療機器販売)
医療機器販売は、主に美容クリニック等の医療機関に脂肪吸引機器等の医療機器を販売しております。当事業年度の売上高は、取引先への販売の拡大に伴い918,566千円(前事業年度比30.3%増)となりました。
(化粧品販売その他)
化粧品販売はBtoCモデルとBtoBモデルがあります。BtoCモデルは、主に自社Webサイトを中心に自社の化粧品を販売しております。またBtoBモデルは、自社で開発した化粧品原料を販売会社に提供、及び販売会社の委託を受けて自社化粧品原料を用いたOEM製造・販売をしております。当事業年度は、BtoBモデルによる化粧品販売が増加し、売上高は507,130千円(前事業年度比126.1%増)となりました。
当社が経営上の主要係数としてモニタリングしている加工受託サービス又はコンサルティング契約を締結した「提携医療機関数」、血液由来加工受託サービスと脂肪由来幹細胞加工受託サービスを合計した「加工受託件数」及び「営業利益率」の各数値、並びにサービス分類別売上高の四半期(3カ月)推移は以下のとおりとなっております。
(金額単位:千円)
当事業年度末における総資産は7,074,909千円と前事業年度末から195,172千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が460,106千円減少した一方で、建物が352,899千円増加、工具、器具及び備品が168,702千円増加、関係会社株式が131,500千円増加したことによるものであります。
当事業年度末における負債は1,037,807千円と前事業年度末から360,070千円増加いたしました。これは主に、固定負債の契約損失引当金が243,099千円増加したこと及び資産除去債務が146,546千円増加したことによるものであります。
当事業年度末の純資産は6,037,101千円と前事業年度から164,897千円減少いたしました。これは主に、当期純利益を237,940千円計上したことと、配当金の395,210千円支払があったため、利益剰余金が157,269千円減少したことによるものです。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は4,320,915千円となり、前事業年度末と比較して460,106千円減少となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は591,723千円(前年同期は846,691千円の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益294,941千円の計上及び補助金の受取額134,529千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は614,961千円(前年同期は624,080千円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出493,256千円及び関係会社株式の取得による支出131,500千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の減少は437,244千円(前年同期は1,449,123千円の増加)となりました。これは主に、配当金の支払額393,608千円等があったことによるものであります。
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
再生医療関連事業のうちコンサルティングサービスに関する、当事業年度における受注実績は以下のとおりとなります。
なお、その他のサービス・事業につきましては、受注から売上計上までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。
c.販売実績
当社は再生医療関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの情報は記載しておりません。当事業年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
2. 前事業年度末日において、医療法人社団活寿会は傘下に16院のクリニックを開設しており、上表の販売高には同法人及び傘下16院の販売額を合算して記載しております。
3.前事業年度末日において、医療法人社団THE CLINIC Instituteは傘下に6院のクリニックを開設しており、上表の販売高には同法人及び傘下6院の販売額を合算して記載しております。
4.当事業年度末日において、医療法人社団活寿会は傘下に15院のクリニックを開設しており、上表の販売高には同法人及び傘下15院の販売額を合算して記載しております。
5.当事業年度末日において、医療法人社団THE CLINIC Instituteは傘下に6院のクリニックを開設しており、上表の販売高には同法人及び傘下6院の販売額を合算して記載しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計方針)」に記載されているとおりであります。
当社は、過去の実績や取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産、負債の帳簿価額及び収益、費用の全般に反映して財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社で推進する事業の主要サービスは、血液由来加工受託サービス及び脂肪由来幹細胞加工受託サービスであり、主要業務係数として「提携医療機関数」と両サービスの「加工受託数」をモニタリングしております。当事業年度末の提携医療機関数は1,955院であり、前事業年度末の1,749院から206院増加した一方、加工受託数は前事業年度の26,633件から22,944件に低下しました。今後は整形外科を重点領域とし、血液由来加工受託サービス等の既存サービスに経営資源を集中させて、業績の改善に努めてまいります。
当社では、当社の企業価値向上と将来に向けての投資等の原資の確保のため、コストコントロールが極めて重要と認識し、そのための主要業務係数として営業利益率を重視しております。当事業年度は、販売管理の予算内コントロールに努めましたが、人件費、広告宣伝費を中心にコストが前事業年度比増加しております。これに加え、当事業年度において、滑膜由来幹細胞加工受託サービスに関連する契約損失引当金を計上したことにより、営業利益率は前事業年度の27.1%から大幅に低下し、3.0%となりました。
今後も、収益拡大とあわせ営業利益率の推移を重要な業務係数としてモニタリングし、コストコントロールに努めてまいります。
当事業年度末の純資産額は6,037,101千円、現金及び現金同等物の残高は4,320,915千円となっております。流動比率は1,147.8%、自己資本比率は84.7%であり、多額な資本的支出の予定はなく、また金融機関の当座貸越枠を確保している事から流動性の問題はないものと認識しております。強固な財務基盤を維持しつつ、将来の事業拡大やそのための投資を含めた資金配分の最適化を目指してまいります。
当社の研究開発活動は、主に自家細胞・組織を用いた再生医療に関する臨床応用について、大学や事業会社との共同で実施しております。
当事業年度における研究開発費の金額は