文中の将来に関する事項は、本当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「知見と、挑戦をつなぐ」をミッションに掲げ、グローバルなナレッジ・シェア・プラットフォーム「知見プラットフォーム事業」を展開しております。具体的には、1時間単位でピンポイントに知見提供を受けることができる「ビザスクinterview」の提供等の多様なサービスを通じて、各業界のアドバイザーの知見を、新規事業やイノベーション、業務改善といったビジネス課題の解決のヒントを求める企業や個人へつなぐ、ビジネス知見に特化した知見プラットフォーム事業を運営しております。
当社は、2021年11月に、米国で同業を営むColeman Research Group, Inc.を買収し、完全子会社化いたしました。同社は、主に米国におけるコンサルティング・ファームや金融機関を対象にスポットコンサル設営サービスやサーベイを提供しており、当社と類似した事業を展開しております。本買収により、両社がそれぞれ持つアドバイザー登録者基盤、顧客基盤及びプロダクトを相互に活用することができ、これにより様々な事業シナジーを獲得することが可能であると考えており、本買収は、グローバル展開を加速させ、ナレッジプラットフォームの拡大と強化を目指す当社グループの戦略に沿うものであり、同社との事業の統合を通じて、短中期のシナジーの発揮を目指します。
また、グループ全体として、当社グループのミッションを実現していくため、知見データベースと顧客基盤の双方を拡充し、テクノロジーの力を活用して効率性やUI/UX(注)を改善しつつ、様々な形態の知見提供取引を利用者が安心して活用できるプラットフォームを構築することを目指し、優秀な人材の確保・育成や組織体制の整備・拡充に注力して参ります。
(注)UI(ユーザーインターフェース)とは、ユーザーとサービスの接点であり、両者の間で情報をやり取りするための仕組みのことです。UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザーがサービスを通じて受け取る体験やそれに伴う感情のことです。
(2)目標とする経営指標
当社グループは中長期的な企業価値の向上を達成するために、強固なプラットフォームを構築すべく、知見プラットフォームの規模を示す指標である取扱高の成長と、事業の本質的な収益力を示す調整後EBITDAを重視しております。
2027年2月期には取扱高200億円以上、調整後EBITDA20億円以上を目指しており、また、2030年2月期には、取扱高300億円以上を目指しております。
(注)調整後EBITDA:営業利益+減価償却費+株式報酬費用
(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
当社は、2012年3月の設立以来、一貫して知見プラットフォーム事業を展開してまいりました。この事業の中核となる「ビザスクinterview」は、当社が日本において有力な地位を築いており、このサービスの開発・発展を通じて、当社事業の市場を形成してまいりました。また、2021年11月には、米国で同業を営むColeman Research Group, Inc.を買収しております。これにより、日本と米国を中心とする顧客及びアドバイザーのデータベースを活用することが可能となっております。
当社の主力サービスである「ビザスクinterview」などを利用する主要な顧客層は、主に海外における同業他社のサービスを利用してきたコンサルティング・ファームやアクティブ投資家が従来型の顧客層である中、当社は日本の製造・IT・ヘルスケア等の企業に顧客層を拡大させ、これらの企業群の様々な調査ニーズや施策等の実行段階において必要となる専門的な人的リソースに関するニーズを満たすプロダクトを開発し、展開しております。さらに、人的リソースに関するニーズは近年において特に高まっており、当社のミッションである「知見と、挑戦をつなぐ」の実現のためには、新たなプロダクトを開発する必要性があると認識しており、昨今において検討を進めております。
こうした事業戦略の中、当社グループでは、知見プラットフォーム事業のサービスを活用する事業領域を、「国内法人事業」と「国内ENS事業」、「海外ENS事業」の3つに区分しており、それぞれの顧客特性に応じた事業戦略を展開しております。なお、ENSというのは、Expert Network Serviceの略称であり、前述した顧客層のうち、コンサルティング・ファームやアクティブ投資家のような従来型の顧客層が当社のようなサービスを利用する際の需要や市場性を意味しております。
①国内法人事業における事業戦略
国内法人事業の主要な顧客層は、国内の製造業、SIer、ベンチャー企業等であり、特に、研究開発や事業開発を行っている大手製造業が中心であります。これらの顧客は、当社グループのコア・サービスである「ビザスクinterview」のほか、「ビザスクexpert survey」、「ビザスクreport」、「ビザスクlite」、「ビザスクpartner」など、多くのサービスを活用しております。
国内法人事業の事業環境は、当社事業の関連市場である調査領域の市場規模が約3兆円(総務省統計局 2023年(令和5年)科学技術研究調査による社外研究費及び一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会によるインサイト産業売上高の合計)、コンサルティング市場の市場規模が約1兆円(IDC Japan, 2023年8月「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2023年〜2027年」(#JPJ49210623) (国内ビジネスコンサルティングとITコンサルティング支出額の合計))となっており、このほか、人件費や採用費に関する市場の一部に対して当社の知見プラットフォームを活用する新たなプロダクトを検討しており、大きな潜在市場が存在しております。なお、当社事業の市場規模については、当社グループが自ら市場を発展・形成してきている過程にあり、当社が有力な地位を築いているものと考えておりますが、投資者の投資判断に資する情報として、関連市場あるいは潜在市場を記載することとしております。
このような事業環境のもと、当社グループは、日本における圧倒的なアドバイザー網、多様なサービスラインナップ、海外調査ニーズに対応するグローバルな拠点網を強みとしており、他の国内プレイヤーのアドバイザー網が限定的であることや小規模なプレイヤーが多く、また、海外プレイヤーにおいては、国内事業会社へのリーチが限定的であること、国内アドバイザー網も限定的であること、インタビュー以外の主要サービスが十分発展していない状況であり、こうした他のプレイヤーと比較して、当社グループは競争優位性を発揮して事業を展開しております。
こうした状況のもと、国内法人事業の業績推移は以下の通りであります。
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取扱高 |
営業収益 |
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2022年2月期 |
1,837百万円 |
995百万円 |
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2023年2月期 |
3,143百万円 |
1,759百万円 |
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2024年2月期 |
4,043百万円 |
2,326百万円 |
(注)管理会計上の数値であり、会計監査の対象外
このように、近年において強い勢いで事業が成長しており、その要因として、当社グループが組織的に国内事業会社に対して営業活動を展開し、多様なニーズに応えるサービスを適時に開発・提供してきたことが挙げられます。その結果、クライアント口座数並びに1口座当たり取扱高がいずれも成長しております。今後も多様なプロダクトを展開し顧客のニーズに応えることで、クライアント口座数の拡大基調を維持するとともに、クライアント内の利用度を高めることで1口座当たり取扱高を成長させてまいります。
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取扱高 |
クライアント 口座数 (注)1、2 |
1口座あたり取扱高 |
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2022年2月期 |
1,266百万円 |
995 |
1.3百万円 |
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2023年2月期 |
2,433百万円 |
1,452 |
1.7百万円 |
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2024年2月期 |
3,159百万円 |
1,692 |
1.9百万円 |
(注)1.「クライアント」とは、法人契約を締結し、フルサポート形式「ビザスク」を活用する法人顧客をいい、「ビザスクlite」のみを活用する法人顧客は含まれません。
2.「クライアント口座数」とは、法人クライアントの中で、法人契約に基づき各集計時点から起算した過去1年間において「ビザスクlite」を除くサービスのチケットを消費もしくは請求をしたクライアントの合計であり、同一法人において複数の部署が別途契約を締結した場合には、複数カウントとなっております。
②国内ENS事業及び海外ENS事業
国内ENS事業の主要な顧客層は、日本におけるコンサルティング・ファーム、機関投資家及びプライベート・エクイティであり、これらの顧客は、当社グループの「ビザスクinterview」及び「ビザスクexpert survey」等を既に活用しております。
国内ENS事業の事業環境は、ビジネスコンサルティング市場の力強い成長のもと堅調に成長しております。これに関連する市場であるグローバルなマーケットリサーチ市場の規模は、2022年に約6,400億円に到達しており、こうした背景のもと、グローバルENSも拡大を継続しております(IDC Japan, 2023年8月「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2023年〜2027年」(#JPJ49210623)」)。
海外ENS事業の主要な顧客層は、海外におけるコンサルティング・ファーム、機関投資家及びプライベート・エクイティであります。グローバルENS市場規模は、2023年において2,285百万米ドルに達しておりますが、最大市場である米国におけるマクロ 環境悪化(M&A市況等)の影響を受け、2022年は前年対比 12%、2023年は同 1%の成長にとどまったと推定されています。
このような事業環境のもと、当社グループは、日・米をマザーマーケットとするエキスパート網、グローバルなリクエストに対応することのできる拠点網、並びに高度なオペレーションに基づくスピーディーな対応力を有している中、国内ではすでに強固なポジショニングがあり、海外では業界初期から活動していることによる知名度があります。特に国内では、他の欧米のプレイヤーが欧米市場を中心としたエキスパート網であることや日本に拠点が無い或いは小さいことと比較して、当社グループはユニークなポジションを築いております。
このような強みを活かし、国内では既存の強みを生かしていくとともに、海外エキスパートに対する需要を獲得してシェアを高めていく戦略としております。海外では、アクティブユーザー数の増加に向けた営業活動の再強化、生成AI活用のための投資、インセンティブ設計の見直しや生産性向上のためのトレーニング実施等を進めてまいります。
こうした状況のもと、国内ENS事業の業績推移は以下の通りであります。
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取扱高 |
営業収益 |
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2022年2月期 |
2,051百万円 |
1,412百万円 |
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2023年2月期 |
2,769百万円 |
1,982百万円 |
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2024年2月期 |
3,241百万円 |
2,426百万円 |
(注)1.ビザスクがこれまで取引を行ってきた海外機関投資家等の収益が含まれております
2.管理会計上の数値であり、会計監査の対象外
次に、海外ENS事業の業績推移は以下の通りであります。
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取扱高 |
営業収益 |
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2022年2月期 |
6,797百万円 |
4,901百万円 |
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2023年2月期 |
6,471百万円 |
4,639百万円 |
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2024年2月期 |
5,823百万円 |
4,215百万円 |
(注)1.上記に含まれるColeman社の業績は各会計期間における期中平均の為替レートを用いて日本円換算
2.管理会計上の数値であり、会計監査の対象外
直近では地政学リスクの高まり、金融市場のボラティリティの高まりや雇用環境の変化など、特に米国において事業環境が不透明であります。こうした中、サービスデリバリー体制の強化により中長期的な競走優位性を確保することを通じて、収益性を向上させてまいります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
① 人材獲得及び人材育成
人材の確保は当社グループの成長の基礎であり、優秀な経営陣及び従業員の獲得や、在籍しているメンバーのスキル向上は、高い事業成長を維持していくために必要かつ、重要な課題の一つであります。採用市場は近年逼迫しておりますが、知人紹介や人材紹介会社等の多様な採用チャネルを活用し、従業員の獲得を推進して参ります。また、人員の拡大とともに組織化を進め、事業における中核的な人材を育成すると共に、教育制度等を拡充し、人材の成長をサポートして参ります。
② 業務プロセスの改善と、これによる収益性の向上
当社グループの各業務は、プロセス・ルールの高度化やシステム投資を進めることにより、効率化できる余地があると考えております。今後、システム開発メンバーの採用、情報システムへの投資による各業務システムの機能向上と共に、内部統制を具備した業務の標準化を推進することで、各業務の効率化を進め、当社事業の収益性の向上を図って参ります。
③ 個人情報保護の対応
大規模プラットフォーム事業者の個人情報の取り扱いと保護に対し、近年世界中で高い関心が寄せられています。当社は、情報そのものの保護の観点から情報セキュリティ・システムを強化するとともに、欧州GDPR(注)に代表される各国の個人情報保護に対する法体制の整備に留意し、個人情報保護の社内体制整備を進めて参ります。
(注)「欧州GDPR」とは、EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)のことであり、これは欧州連合(EU)における新しい個人情報保護の枠組みであり、個人データ(personal data)の処理と移転に関するルールを定めた規則です。
④ 海外展開の対応
当社グループは、「知見と、挑戦をつなぐ」というミッションの実現に向け、今後、投資効率を意識しつつ、積極的に海外展開を図っていく方針であります。海外展開にあたっては、当社グループが国内で培ったオペレーションやシステム等のノウハウと、Coleman Research Group, Inc.の買収の経験を活かしつつ、各地域の文化や法規制等を踏まえてサービスをカスタマイズし、事業の拡大を図って参ります。
当社グループは「知見と、挑戦をつなぐ」というミッションmissionを掲げ、社会に存在する様々なミッションと世界中の知見を最も効果的につなぐグローバルプラットフォームを創ることで、事業活動を通してより良い未来へ貢献することができると考えております。
(1)ガバナンス
当社では、サステナビリティ全般に関するリスクおよび重要事項は、経営会議で協議された内容に基づき、取締役会にて議論することとしております。当社は事業活動を通して、持続可能な社会に貢献できるものと考えております。そのために、当社は、経営の健全性、透明性及びコンプライアンスを高めるために、コーポレート・ガバナンスの充実を図りながら、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる組織体制を構築することが重要な課題であると位置づけ、当社の所有者たる株主の視点を踏まえた効率的な経営を行っております。
(2)人的資本に関する戦略
当社グループは「組織、世代、地域をはじめとするあらゆる障壁を越え、様々なミッションと世界中の知見を最も効果的につなぐグローバルプラットフォームを創り、より良い未来へ貢献する」というビジョンを実現すべく、性別、国籍、人種、年齢等に関わらず、様々なスキルやバックグラウンドを持つ社員がその個性や強みを発揮し続けられる組織作りを大切にしております。当社は、グローバルに事業が急拡大しており、事業の成長とともに大きく成長したいと考えている社員をサポートしています。
具体的には下記に記載のような取り組みを行うことで、持続的に多様な価値を創造し続けることのできる組織を目指しております。
<施策>
① 人材育成
社員ひとりひとりの活躍と成長を支援するために、上司と定期的に相談・フィードバックを受ける1on1制度を実施しております。また、入社時のオンボーディングトレーニング、役職への積極登用とそれを支える管理職研修、それ以外にも定期的にセキュリティ研修など各種研修を実施するなど社員の成長を支援する制度を導入しております。
② 従業員エンゲージメント
従業員エンゲージメントの向上につきましても、組織運営にかかる重要な要素であると認識しております。当社はミッション、ビジョン、バリューを経営方針として掲げておりますが、そのバリューを最も体現している社員を表彰する全社参加型のイベントを実施するなど、社員がバリューを日頃から意識し、行動に活かせる文化作りを推進し、結果的に従業員の高いエンゲージメントに繋がっていると考えております。
また、社員個々人が成長するうえで、多様なバックグラウンドやライフスタイルを持つ個々人が最大限の力を発揮することも大事と考えており、リモートワークとオフィス勤務のハイブリッドやフルリモート勤務を部分的に認めるなどの勤務環境を提供しております。また、モニタリングの仕組みとして、エンゲージメントサーベイを実施し、回答を分析し全社的な社内制度・施策の立案等に活用し、改善プロセスを実践しております。
③ 組織風土
社員が楽しく長く働いてもらいながら活躍してもらえるような風土を醸成するために仕組みを構築しております。経営陣も含めた月次ミーティングを通じ、各事業部の進捗や重要事項を全社で共有できる場を設けており、ポジション・年齢に関係なく、フラットに議論できる環境を作っております。
(3)リスク管理
当社ではリスク・コンプライアンス委員会を原則四半期に一度(必要に応じて臨時機動的)開催しており、法令順守の状況や啓もう活動などのコンプライアンス体制の充実に向けて議論を実施しております。重要なリスクについては、取締役会にて報告、協議しております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、2024年4月に発表した「中期経営計画」の通り、人材の育成・強化に取り組み、成長戦略の実現及び企業価値向上に繋げてまいりますが、具体的な指標及び目標については、現在策定中であり記載を省略しております。
当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項について、以下に記載しております。また、必ずしも事業展開上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社グループはこれらのリスクの発生可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容を慎重に判断した上で行われる必要があると考えております。
なお、以下の記載事項は、本書提出日現在の事項であり、将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の事業等のリスクは、全ての事業活動上又は投資判断上のリスクを網羅しているものではありませんのでご留意下さい。
(1)経済環境について
当社グループの知見プラットフォーム事業においては、ビジネス領域の知見を求める顧客に対して、エキスパートの知見提供が行われるプラットフォームを国内外で展開しております。日本経済と当社事業の関係では、我が国における構造的な課題である少子高齢化に端を発する働き方改革の促進や、イノベーションなどの活発化を背景としたビジネス領域の知見へのニーズの高まりは今後も継続していくものと想定しております。米国経済と当社事業の関係においても、ビジネス領域の知見に対するニーズは高く、日本に比べて米国では当社と類する事業を営む企業が複数あり、すでに一定の市場性が確立しております。また、当社グループでは、登録者の増加やデータベースの拡充及び顧客体験の向上等により顧客満足度を高め、経済環境に左右されないように努めております。しかしながら、経済環境が急激に悪化した場合には、顧客の需要が想定以上に減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)知見プラットフォーム事業への依存について
当社グループの営業収益は、知見プラットフォーム事業のみによる収益となっております。今後も積極的な営業施策や広告宣伝による顧客や登録者の増加、提供サービスの拡充、事業規模拡大を通じた認知度向上等により、収益規模は拡大していくものと考えておりますが、新たな法的規制の導入や改正、その他予期せぬ要因によって、想定通りに知見プラットフォーム事業が発展しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)競合について
当社グループの知見プラットフォーム事業は、同種のビジネスを展開している国内外の企業と競合が生じております。
当社グループは、国内外を合わせて63万人超の各業界や各業務において実務経験を有しているエキスパート層を有し、その幅広い領域の知見やノウハウを取りまとめた更新頻度の高いデータベースを活用し、様々なサービスを提供しております。これは、こうした競合環境の中で、競争優位性の発揮につながっております。
特に、日本人エキスパートの知見のデータベース化は難易度が高く、当社グループが優位にあるものと考えております。こうした点から、日本における知見データベースの構築に関しては当社グループが先行しており、有意な参入障壁を築いているものと認識しております。また、海外で同種の事業を展開している企業は、当社グループ以上の収益規模を有する企業がありますが、当社グループが有する日本人エキスパート・日本企業の顧客基盤は当社グループに固有の経営資源であり、この点で当社グループが独自の価値提供を行うことが可能であります。そのほか、世界的規模で顧客の良好な体験に資する人的投資・システム開発投資を行っていることも、当社グループの市場における競争優位性につながるものと考えております。
しかしながら、今後、競合他社による新たな付加価値の提供等により当社グループの競争力が低下した場合には、価格競争や取引量の減少等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)サービスの安全性、健全性について
当社グループは、電話や対面での面談等を通じてビジネス知見の提供を受けることができるプラットフォームを提供しておりますが、エキスパートが意図せず、守秘義務に服している情報(注)を顧客に提供してしまう可能性があります。そのため当社では、当社の担当者が顧客から依頼を受領した際に、依頼内容において不適切と思われる事項があれば指摘・確認する等の対応を行うとともに、エキスパートへの定期的なトレーニングを行い、知見提供取引において取扱いに留意すべき情報について注意喚起をし、さらに、マッチング時には守秘義務の遵守に留意するようエキスパートに申し添える等の対策を講じることで、不適切な情報の授受の未然防止に努めております。また、「ビザスクlite」のスポットコンサル設営では、掲示板への投稿により顧客とエキスパートが直接コミュニケーションを図りマッチングが行われておりますが、キーワードによる自動検出を含め、当社の担当チームがすべての投稿内容を事後的に検閲し、不適切な投稿を発見した場合には削除を行う等、健全なサービス運営に努めております。その他のサービスにおいても、サービスの安全性や健全性を維持するために必要と思われる体制を整備しております。
また、当社グループでは、サイト上に掲示する利用規約において、第三者の権利を侵害する行為や虚偽の情報の登録、エキスパートが所属する企業・団体等の内部規則等に違反する行為の禁止を明記するとともに、違反者に対してはサービスの利用停止や登録の抹消等の厳正な対応を講じる方針であることを明確にしております。さらに、健全なプラットフォームの維持・運用にあたり、謝礼はエキスパートの実名で登録された本人名義の銀行口座へ振込を行うこととしております。
上記のように当社グループでは、提供するサービスの安全性、健全性を維持するために十分な体制を整えていると考えており、また、サービスの構築時においては外部の弁護士を通じて関連する法規制への該当性に関して検証して参りました。しかしながら、これらの施策を講じたにもかかわらず、ルールを逸脱したコミュニケーションが行われることにより情報漏洩や不適切な情報の授受等が行われた場合には、当社サービスの信用力低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(注)一般的には、就業規則や秘密保持契約等で定められている情報や、秘密として管理することが明示されている情報等が該当すると考えられます。例えば、事業戦略、事業計画、財務情報、取引先情報、顧客名簿、及び個人情報等があげられます。
(5)特定の取引先への集中等について
当社グループの販売先については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④ 生産、受注及び販売の実績 c.販売実績」に記載のとおり、2024年2月期の当社総販売実績に占めるマッキンゼー・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド・ジャパン及びボストン・コンサルティング・グループ合同会社への販売比率が10%超となっております。
両社と当社グループの取引関係は良好かつ安定的に推移しており、引き続き更なる関係強化に努める方針です。一方で今後も、法人クライアント当たりの取扱高の増加を図ると共に、新規顧客への営業活動を通じて、更なる顧客基盤の拡充を進めております。
しかしながら、何らかの要因により、想定通りに顧客基盤の維持や拡充が進まなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6)システムトラブルについて
当社の事業は、インターネット接続環境の安定的な稼働を前提として行われております。当社グループでは、継続的かつ安定的な事業運営を行うため、システム強化及びセキュリティ対策を行っておりますが、自然災害や事故等何らかの理由によりシステムトラブルが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)法的規制について
当社グループは、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」等の法的規制を受けております。
当社グループは、これらの法規制等を遵守した運営を行ってきており、今後も法令等の遵守を徹底する体制及び社内教育を行って参りますが、今後、新たな法令の制定や既存法令における規制強化等がなされ、当社の事業が制約を受ける場合、もしくは万が一法令等遵守体制が機能しなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)個人情報について
当社グループは、事業運営にあたり多くの個人情報を保有しております。それを踏まえ、「個人情報の保護に関する法律」(平成17年4月施行)の規定に則って作成したプライバシーポリシー等の社内規程に沿って個人情報を管理し、また、従業員に対する個人情報の取り扱いに関する教育を行い、個人情報の適切な取り扱いに努めております。
しかしながら、何らかの原因により個人情報が外部に流出した場合は、当社グループの信用低下を招くとともに損害賠償請求訴訟の提起等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9)知的財産権について
当社グループは、現在、他社の知的財産権を侵害している事実は認識しておりません。しかしながら、当社の認識していない知的財産権が既に成立していることにより当社の事業運営が制約を受ける場合や第三者の知的財産権侵害が発覚した場合などにおいては、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10)人材の確保・育成について
当社グループは、今後の事業拡大のために優秀な人材の確保及び育成が重要な課題であると認識しており、積極的に人材を採用するとともに人材の育成に取り組んでいく方針であります。
しかしながら、当社グループが求める人材を適切な時期に確保、育成できなかった場合、また、社外流出等何らかの事由により既存の人材が業務に就くことが困難になった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(11)特定の経営者への依存について
当社の代表取締役CEO端羽英子は、当社の創業者であり、経営方針や事業戦略等について、当社の経営の重要な役割を果たしております。現在、当社グループでは同氏に過度に依存しないよう、内部管理体制の整備、人材の育成を行うなど体制の整備に努めておりますが、現在の状況においては、何らかの理由により、同氏が当社グループの業務を遂行することが困難となった場合には、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)社歴が浅いことについて
当社は2013年10月にサービスを正式リリースした社歴の浅い会社であります。当社は現在、成長過程にあると認識しており、今後も当社の成長のための投資が必要となり、一時的に損益が悪化する可能性があります。その過程で、第6期(2018年2月期)以前の業績は、事業の立ち上げ段階であったことなどから当期純損失を計上しており、また、第10期(2022年2月期)ではColeman Research Group, Inc.の買収に伴い生じた買収関連費用等により、第12期(2024年2月期)では同社に関するのれん等の無形資産を減損したことにより当期純損失を計上しております。当社は、今後もIR活動などを通じて経営状態を積極的に開示していく方針でありますが、過年度の経営成績のみでは、今後の当社グループの業績や成長性を判断するためには不十分である可能性があります。
(13)配当政策について
当社グループは、現在成長過程にあると認識しており、事業の拡充や組織体制の整備への投資のため、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来配当を実施しておらず、現時点において配当の実施時期等については未定であります。
しかしながら、株主への利益還元を経営上の重要な課題として認識しており、事業基盤の整備状況や投資計画、業績や財政状態等を総合的に勘案しながら、継続的かつ安定的な配当を行うことを検討していく方針であります。
(14)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は当社グループの役員及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権を付与しております。今後においてもストック・オプション制度を活用することが考えられることから、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。また、Coleman Research Group, Inc.の買収を目的として発行する種類株式の普通株式への転換及び新株予約権の行使が行われた場合にも、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。
なお、当連結会計年度末現在、Coleman Research Group, Inc.の買収を目的として発行する種類株式及び新株予約権並びに当社役職員向けに発行している新株予約権を含む潜在株式数は3,275,558株であり、発行済株式総数(種類株式及び自己株式を含む)9,293,667株の26.2%に相当しております。
(15)新規サービスについて
当社グループは、知見プラットフォーム事業において、知見を提供しているエキスパートの経歴や知見等のデータベースを構築しており、そのデータベースを活かして、新たなサービスを開発し、顧客の多様なニーズを取り込み、収益源の複線化を進めております。具体的には、2018年1月より「ビザスクexpert survey」、2019年6月より「ビザスクweb展示会」、2020年12月より「ビザスクboard」、2022年4月より「ビザスクnow」の提供を開始いたしました。また、当社グループは、今後も事業規模の拡大と収益の多様化を図るため、同様に当社グループのデータベースを活用し、積極的に新規サービスに取り組んでいく方針であります。
しかしながら、新規サービスが計画通りに進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16)海外展開について
当社グループは国内、米国、英国、シンガポール、香港において事業を展開しておりますが、今後も継続してこれらの国における事業成長を企図した取り組みを進め、また、他の国または地域における事業展開も検討して参ります。海外展開においては、為替変動、進出国の経済動向、政情不安、法規制の変更など多岐にわたるリスクが存在し、当社グループはこれらのリスクを最小限にすべく十分な対策を講じたうえで事業展開を進めていく方針ですが、予測困難なリスクが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)M&A等の投資について
当社グループは、今後の事業拡大等を目的として、国内外を問わずM&A、出資、子会社設立等の投資を事業展開の選択肢の一つとして考えております。これらの投資の実行に際しては、ビジネス・財務・法務等に関する詳細な検討を行い、各種リスクの低減に努める方針であります。
これらの投資の実行のための検討費用が発生する場合、または、これらの調査で確認・想定されなかった事象がこれら投資の実行後に判明あるいは発生することや、市場環境の変化等により投資先の事業展開が計画どおりに進まないことにより投資を回収できない場合や、減損を計上することになる場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
特に、Coleman Research Group, Inc.の買収においては、同社の取締役に当社代表取締役の端羽が就任しており、同社へのガバナンスに十分に留意しています。なお、買収時に計上したのれん等の無形資産について、2024年2月期においてその全額を減損損失により減額しております。
(18)継続企業の前提に関する重要事象等
当社は、当連結会計年度末において、2021年11月に買収した米国のColeman Research Group, Inc.(以下「Coleman社」という。)について、買収後に米国における株式市場やM&A市場が変化したことで買収当初に策定した事業計画を実績値が下回っている状況が継続し、同社の収益性が低下したことから、回収可能価額をゼロとして、Coleman社に関するのれん及び無形資産等に係る減損損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失12,635,778千円を計上しております。この結果、当連結会計年度末の連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額302,195千円が、前連結会計年度末における連結貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額12,078,532千円の65%を下回り、これにより、取引銀行と締結している長期借入金契約に付されている財務制限条項に抵触しております。また、上記減損損失の計上と同様の理由により、単体の貸借対照表に計上されているColeman社株式について評価損を計上したことにより、当期純損失10,626,622千円を計上しております。これらにより、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しております。
当社は、当該事象又は状況への対応策として、期末日後において、当該財務制限条項への抵触を理由として1年内返済予定長期借入金425,687千円及び長期借入金2,873,562千円に関する期限の利益喪失請求を行わないことにつき取引銀行より書面により承諾を得ております。また、当該株式評価損はColeman社の業績が買収時計画を下回ったために計上されたものであり当社の営業活動から生じたものではなく、当社事業は順調に推移しております。継続企業の前提に関する不確実性の解消の観点から、翌期の事業計画に基づく今後1年間の資金繰りについて現在の手元現預金も踏まえて検討したところ、2025年2月末まで十分な資金を有することが可能と判断しております。以上から、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当社グループは、「知見と、挑戦をつなぐ」をミッションに掲げ、知見プラットフォーム事業を展開しております。
当連結会計年度における我が国経済は、内需を中心に緩やかに回復しており、企業の収益環境は良好に推移しており、企業は好業績を背景に投資に対して積極的な姿勢にあります。大企業と中小企業ともにソフトウエアや情報機器などへの投資需要が強く、人手不足が続いていることからも、省力化のためのデジタル投資、また、環境への意識の高まりから脱炭素化の推進など、中長期視点の投資が着実に進むだろうとみられています。欧米経済は、物価高や金融引き締めの影響から減速しております。
グローバルENS(グローバルなコンサルティング・ファーム、金融機関等を主要顧客層とする事業領域)においては、米国では、見通しにくい金融環境が原因となって事業環境の不安定さが継続しており、収益の低下とのれん等の無形資産の償却費負担等によって赤字となっておりますが、オペレーション改善や規律的なコスト管理、また、Colemanとのマーケティング施策及びデータベース連携の推進、Life Science領域の開拓、米国アリゾナ州フェニックスで拠点の開設、また、新たにHead of Americasが就任するなど、規律を持ちながら事業を展開しております。国内のENS領域においては、引き続き堅調に成長しております。
国内事業会社向けプラットフォームにおいては、マーケティング施策の推進に伴う法人クライアント口座数の拡大基調の継続と、顧客内での利用度の高まり、また、複数商材の展開が顧客のニーズに合致していることなどにより、事業の成長が継続しております。
以上の結果、当連結会計年度末時点で登録者数は63万人超となり、取扱高は知見プラットフォーム事業全体で13,106百万円となりました。
また、当連結会計年度における営業収益は8,967,692千円(前年同期比7.0%増)、営業損失59,145千円(前年同期は4,406千円の営業利益)、経常利益112,418千円(前年同期は51,169千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失12,635,778千円(前年同期は75,857千円の親会社株主に帰属する当期純利益)、調整後EBITDA(※)は1,254,570千円(前年同期比8.7%増)となりました。
なお、当社グループは知見プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。※調整後EBITDAは営業利益+減価償却費+のれん償却費+株式報酬費用
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は6,968,148千円となり、前連結会計年度末に比べ978,577千円増加いたしました。これは主に事業規模の拡大により現金及び預金並びに売掛金及び契約資産が増加したこと等により流動資産が増加したことによるものであります。
また、当連結会計年度末における固定資産は325,718千円となり、前連結会計年度末に比べ14,569,068千円減少いたしました。これは主に、Coleman Research Group, Inc.に属する固定資産の減損損失を計上したこと等により有形固定資産及び無形固定資産が減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、7,293,867千円となり、前連結会計年度末に比べ13,590,490千円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は4,114,039千円となり、前連結会計年度末に比べ592,066千円増加いたしました。これは主に、事業規模の拡大により法人クライアントから収受する契約負債が423,619千円増加したこと等によるものであります。
また、当連結会計年度末における固定負債は2,877,632千円であり、前連結会計年度末に比べ2,406,220千円減少いたしました。これは主に、繰延税金負債が1,980,532千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、6,991,671千円となり、前連結会計年度末に比べ1,814,154千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は302,195千円となり、前連結会計年度末に比べ11,776,336千円減少いたしました。これは主に、在外子会社に属する資産及び負債の換算替えに伴い、為替換算調整勘定が824,292千円増加したこと、また、親会社株主に帰属する当期純損失△12,635,778千円を計上したことに伴う利益剰余金の減少等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は4,307,529千円となり、前連結会計年度末と比べ432,139千円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果による収入は932,746千円(前連結会計年度は1,518,665千円の収入)となりました。収入の主な内容は、税金等調整前当期純損失の計上14,392,986千円、減価償却費818,642千円、のれん償却額446,746千円、減損損失14,472,936千円、売上債権及び契約資産の増加額356,094千円、契約負債の増加額373,773千円、仕入債務の増加額44,536千円、法人税等の支払額470,023千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果による支出は285,603千円(前連結会計年度は433,928千円の支出)となりました。これは主に、人員増加に伴い備品等を取得したことに伴う有形固定資産の取得による支出58,594千円、無形固定資産の取得による支出217,428千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果による支出は290,288千円(前連結会計年度は468,756千円の支出)となりました。これは、主に、新株予約権の行使及びPSUに基づく株式の発行による収入35,148千円と、長期借入金の返済による支出325,437千円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの行う事業は提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略いたします。
b.受注実績
当社グループの行う事業は提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略いたします。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
知見プラットフォーム事業 |
8,967,692 |
107.0 |
|
合計 |
8,967,692 |
107.0 |
(注)1.当社グループの事業セグメントは、知見プラットフォーム事業の単一セグメントであります。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年3月1日 至 2023年2月28日) |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
マッキンゼー・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド・ジャパン |
1,138,529 |
13.6 |
1,168,339 |
13.0 |
|
ボストン・コンサルティング・グループ合同会社 |
1,118,343 |
13.3 |
1,029,528 |
11.5 |
3.主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成において、会計方針の選択・適用及び損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。
② 経営成績等に関する認識及び分析・検討内容
(営業収益)
当連結会計年度における営業収益は、8,967,692千円となりました。主な要因は、当社のメインサービスであるフルサポート形式「ビザスク」のスポットコンサル設営サービス「ビザスクinterview」や「ビザスクexpert survey」、「ビザスクpartner」などが大きく成長したことにより、取扱高が増加したことによるものであります。その背景には、プロフェッショナル・ファームや事業法人の既存クライアントを中心とした平均的な取扱高の増加や、法人クライアント口座数の増加があります。
(営業費用)
当連結会計年度における営業費用は、9,026,838千円となりました。主な要因は、事業の拡大に伴う積極的な採用活動による人件費の増加や、これによる採用費の増加、及びマーケティング活動の拡大による広告宣伝費及び関連ツールの利用料による支払手数料等の増加によるものであります。
(営業外損益)
当連結会計年度における営業外収益は、221,955千円となりました。主な要因は、補助金収入が98,988千円、受取保険金が31,297千円、受取還付金が59,691千円発生したことによるものであります。また、当連結会計年度における営業外費用は、50,390千円となりました。主な要因は、借入金による支払利息が37,127千円発生したことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、12,635,778千円となりました。これは主に、経常利益が112,418千円であったこと、Coleman社に関するのれん等の無形資産等に関する減損損失が14,472,936千円発生したこと、法人税、住民税及び事業税が407,834千円発生し、また、繰延税金負債が減少したことにより法人税等調整額△2,165,043千円を計上したことによるものであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、アドバイザーへの謝礼のほか、人件費、採用費、広告費及び支払報酬などの営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、基本的には業務に利用する情報関連機器です。
運転資金及び投資資金は、自己資金のほか、増資、金融機関からの借り入れにより調達しております。当連結会計年度末の借入金の合計残高は3,299,250千円となっており、このうち、1年内返済予定の長期借入金は425,687千円であります。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は4,307,529千円であり、十分な短期流動性を確保しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。