第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は、『MAXIMIZE CORPORATE VALUE』をスローガンに、「上場企業と投資家を繋ぐことにより効率的な資本市場の実現と上場企業の企業価値最大化を支援すること」をミッションとして掲げております。
 当社は、世界中の上場企業、機関投資家及び個人投資家がインターネットを経由してインタラクティブに情報の取得・交換を行うことで効率的な資本市場が形成されるものと考えており、当該ミッションを果たすべく、機関投資家マーケティングプラットフォーム「IR-navi」、個人投資家マーケティングプラットフォーム「プレミアム優待倶楽部」及び顧客企業毎に異なる株主優待ポイントの合算利用を可能とする株主優待共通コイン「WILLsCoin」の提供に注力しつつ、株主総会プロセスの電子化並びに電子議決権行使プラットフォーム事業「WILLsVote」を拡大させてまいりたいと考えております。

 

(2)経営戦略

 当社は、経営資源を「プレミアム優待倶楽部」、「IR-navi」の拡販及び「プレミアム優待倶楽部PORTAL」の利用拡大へ集中させ、上場企業の顧客基盤を背景に、2019年以降の会社法改正に伴って電子化が可能になる電子招集通知を普及させるべく、システム開発の準備を行っております。また、上場企業へのネットワークを有する他社との販売提携を推進し、「プレミアム優待倶楽部」の導入企業を増やすとともにシェアの拡大を目指しています。

 下記の経営環境及び業界動向を注視しつつ、「プレミアム優待倶楽部」、「IR-navi」の継続的な開発、優待商品の供給体制の強化、並びに営業体制の強化・構築を進めることにより、事業の拡大と高い成長を継続する方針であります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、より高い成長性、収益性及び資本効率を確保するために、売上高成長率、営業利益率及びROIC(※)を重要な経営指標として重視して考えております。

 売上高成長率は、現段階においては事業規模が大きくないことから、収益性の向上と同様に重視しております。

 営業利益率は、業務効率化・適正化により売上原価率や販管比率の改善を行う指標として重視しております。

 ROICは、資金調達コストを超過する収益に繋がる成長投資を継続的に行えているか、株主・債権者に対する収益期待に応え、単年度のみならず中長期的な企業価値向上に資する成長が出来ているか検証を行う指標として重視しております。

 ※ ROIC=税引き後営業利益 / 事業性投下資本

 

(4)経営環境

 当社を取り巻く環境として、日本国内の株式市場においては、上場企業における外国人株主比率の上昇などを背景にコーポレートガバナンス・コードへの関心が高まり、企業のIR・SR(※1)活動が活発になっているものの、個人株主比率は相対的に下落しております。具体的には、2019年3月末時点で外国人株主比率は29.1%、個人株主比率17.2%となっており、2009年3月末時点と比較すると外国人株主比率は5.6ポイント増加、個人株主比率は3.3ポイント減少しております(東京証券取引所「2018年度株式分布状況調査」)。

こうした中、個人株主に対して自社株式への投資の魅力を高めることにつながると考えられている株主優待制度を導入する企業は1,533社となり、過去最高を記録しております(2019年12月31日現在。大和インベスター・リレーションズ株式会社調べ)。その中でも中長期保有優遇型株主優待制度を設ける企業は500社を超えており、株主還元施策の一つとしての株主優待制度に対する需要は、今後も継続して拡大していくものと考えております。

 2014年に制定されたスチュワードシップ・コード、翌年に策定されたコーポレートガバナンス・コードにより、中長期的な企業価値向上と非財務情報の開示が進み、2018年1月から施行されたMiFID2(※2)によるコーポレートアクセス(※3)の縮小、金融商品取引法上のフェア・ディスクロージャー・ルールの実践的適用など機関投資家向けのIR活動の在り方自体も変化してきております。

一方で、仮想通貨やIoTを始めとしたFintechの中核技術であるブロックチェーンの普及により、決済や資金調達等の金融分野の変革、ビッグデータ解析に伴う高付加価値の創造、深層学習を牽引するAIの利活用が一層推進されております。

 

 ※1:SR

 Shareholder Relations( シェアホルダーリレーションズ)の略語で、上場企業が株主との対話を通じて、株主に正しく自社の企業価値を理解させ、信頼関係を醸成し、長期安定的な株主基盤を構築するために必要とされる活動で、既存株主を対象として行う情報配信その他コミュニケーション活動の全般をいいます。

 

 ※2:MiFID2

 欧州連合(EU)の金融・資本市場に係る包括的な新規制をいい、投資顧問会社が株式ブローカーに支払う売買手数料とリサーチ手数料を分離・明確化することなどを定める規制。株式リサーチサービスの受領者は、従来以上に費用対効果を意識することとなり、ブローカーその他外部に支払うリサーチ費用の圧縮やセルサイドのカバレッジ縮小も予想されております。

 

 ※3:コーポレートアクセス

 機関投資家と上場企業を含む事業会社とを結ぶコンサルティングとロジスティックスの一連のサービスであり、機関投資家と事業会社とのIRミーティングの設定、カンファレンスやロードショーのアレンジ業務を主たる内容とします。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

① 優秀な人材の採用と育成

 当社の事業拡大のためには、既存サービスの商品知識に加え、株式市場の理解を深め、新たな顧客ニーズを発掘できる人材の確保が重要となります。当社では、専門性の高い人材を採用するだけでなく、採用した人材に対しては、OJTによる人材の早期戦力化及び座学での教育(アナリスト、ファンドマネージャー、エコノミスト等、現役の資本市場参加者を招聘した講義や意見交換会等)を通した、金融市場への理解促進に取り組んでおります。また、従業員各人の役割と権限及び社内ルールを明確にすることで、従業員各人が積極的に挑戦ができる環境を整え、従業員にやりがいを提供するとともに、経営会議による厳正な人事評価によって人材の定着を図ってまいります。

 

② システムの安定性向上

 当社は、顧客に対しインターネット上のサービスを提供しており、システムの安定稼働は必要不可欠となっております。従いまして、安定性の高いサービスを提供する上で、顧客動向及びアクセス数増加に伴いサーバー増強等を考慮したシステム構築や設備投資を行っていくことが重要であると考えており、引き続きシステムの安定性の確保及び効率化に取り組んでまいります。

 

③ 情報管理体制の整備

 当社は、サービスの過程で、機密情報や個人情報を取り扱うため、情報管理の強化は重要事項の1つと認識しております。「個人情報保護規程」及び「情報セキュリティ規程」に基づき管理を徹底しておりますが、引き続き社内教育や研修の実施を継続して行うことでその質を強化してまいります。

 

④ コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制の強化

 当社は、成長段階にあり、コーポレート・ガバナンスの更なる強化と業務運営の効率化やリスク管理体制の強化が重要な課題となっております。営業管理体制やバックオフィス業務体制の整備を推進し、また同時に経営の公正性や透明性を確保するための内部統制の強化に取り組んでまいります。

 

⑤ 新規事業の立ち上げについて

 急速な進化を遂げる経営環境や資本市場において当社が企業価値を向上させていくためには、事業規模の拡大と収益源の多様化を図っていくことが必要と考えており、そのためには積極的な新規事業の立ち上げが課題と認識しております。このような環境下、当社ではブロックチェーンを活用した株主優待共通コイン、電子議決権行使などの株主管理サービスの提供を開始しておりますが、今後も継続的に次の柱となるビジネス創出に積極的に挑戦してまいります。

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性のあるリスクのすべてを網羅するものではありません。

 

(1)景気動向及び業界環境について

 当社サービスである「IR-navi」及び「プレミアム優待倶楽部」は、主に上場企業のIR担当部門や経営企画部門等の間接部門に対して提供されます。経済情勢や事業環境が悪化した際には、一般的に間接部門の経費が削減される傾向にあることから、経済情勢や事業環境が悪化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)業績変動について

 当社サービスである「プレミアム優待倶楽部」に係る売上は、主に上場企業の株主が株主優待ポイントを商品等に交換することで計上されます。当該売上は、顧客である上場企業の決算月や株主数、ポイント交換の時期や割合等の要因によって変動するため、株主優待ポイントの商品等の交換が特定の時期に集中し、業績が特定の四半期や事業年度に偏る可能性があります。

 当社としては持続的な成長及び業績の平準化を企図し、新規顧客の開拓を継続的に実施する方針ではありますが、当該方針が将来にわたり奏功しない場合には、業績の季節変動性を通じて当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)競合及び当社の優位性を失わせる技術革新について

 当社の属するIRコンサルティング業界は、許認可等の制限がないため、基本的に参入障壁は高くない業界といえます。当社がこれまでに築き上げた豊富な経験、実績及び社内ノウハウや教育システムは容易に模倣されるものではないと認識しております。また、当社は、投資家マーケティングツールの提供に関しては、多くの実績を有しているばかりではなく、既存サービスの品質及び利便性向上を目的としたシステム改修を継続して実施しております。しかしながら、当社の競合優位性を失わせるような競合会社におけるサービス品質の向上や革新的技術の出現等により、競争環境が激化した場合には、当社の競争優位性が薄れ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)システム障害等について

 当社が提供しているサービスは、インターネット通信網に依存しております。したがって、自然災害や事故によりインターネット通信網が遮断された場合には、サービスの提供が困難となります。また、想定外の急激なアクセスの増加等による一時的な過負荷や重大なバグ、その他予期せぬ事象によるサーバーダウン等でサービスが停止する可能性があります。当社では、そのような事態を想定し、外部のデータセンターにてサーバーをクラウド上で分散管理することによりバックアップ及び可及的速やかな復旧が可能な体制を構築するとともに、システム障害の発生防止のために、システムの冗長化、負荷分散装置の装着、不正アクセス対策、脆弱性調査等を実施しております。しかしながら、こうした対策を講じているにもかかわらず、障害が発生し、安定的なサービス提供を行うことができない事態が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)個人情報及び機密情報の管理について

 当社の事業特性上、多数の顧客企業に関する機密情報や個人情報を取り扱っております。当社は、過去に個人情報漏洩事故を起こしており、その後徹底した事実調査・原因究明を行うとともに、漏洩防止対策を実施し、その後も改善を継続しております。また、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が運営するプライバシーマーク、並びに一般社団法人情報マネジメントシステム認定センターよりISMSの認証を取得して情報資産の保護に注力するとともに、重要な情報の機密性・完全性・可用性の確保を図っております。加えて、個人情報の閲覧・管理は仮想環境上で行うなど業務フローの厳格化を行っておりますが、何らかの理由により外部に漏洩するような場合には、当社の社会的信用の失墜、訴訟又は損害賠償請求の発生等により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、IRコンサルティングやコミュニケーションツールの作成業務にあたっては、顧客企業の未公表の重要事実(インサイダー情報)を知りうる立場にあります。そのため当社は「インサイダー情報等の管理及びインサイダー取引の未然防止に関する規程」に基づき、役員及び従業員教育を徹底するなど機密保持に努めておりますが、法令等違反行為や機密情報の漏洩が起きた場合には、顧客等からの信用を失うことによる取引関係の悪化や訴訟等が発生する可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)商品の安全性について

 当社が「プレミアム優待倶楽部」にて提供する商品については、関連法規の遵守の徹底とともに品質向上に取り組んでおります。しかし、将来にわたり販売した商品及びその広告表現等において、安全上の問題や表示の問題が発生する可能性があります。当社では、独自の商品取扱基準を設け、必要に応じて取扱予定商品の事前確認を実施しておりますが、このような問題が発生した場合には、返品に伴う追加のコスト、信用を失うことによる取引関係の悪化、訴訟等が発生する可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)知的財産権について

 当社では、当社が運営する事業に関する知的財産権を確保するとともに、第三者の知的財産権侵害の可能性については、周辺調査を実施することでその予防に努めておりますが、第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社が認識せずに他社の知的財産権を侵害した場合には、ロイヤリティや損害賠償金等の支払い、訴訟等が発生する可能性があり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)ソフトウエア資産の減損について

 当社は「IR-navi」及び「プレミアム優待倶楽部」等のシステムを開発・提供しております。それらの開発コストについて、資産性のあるものは自社利用目的のソフトウエアとして無形固定資産に計上し、資産性のないものについては費用計上しております。システム開発においては、プロジェクト推進体制を整備し、慎重な計画の立案・遂行に努めておりますが、当該開発が市場のニーズに合わないことにより利用価値が低下する場合や、重大なバグ等の発生によりシステムが機能しなくなった場合には、これらを減損処理するなど、一時に多額の費用が発生する可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)人材の確保について

 当社の主要な顧客である上場企業に対し、システム提供やIRコンサルティング等のサービス提供を行うためには、高い専門能力を有する人材の確保及び育成が不可欠と認識しております。当社は、高い専門能力を有する人材の確保及び育成、並びに人材の流出を防止するため、ストックオプションの付与や従業員持株会における奨励金給付、当社が認めた特定資格の取得者に対する資格手当による給与加算や人事評価システムの導入による公正な人事評価の実施等の施策を講じておりますが、これらの施策が奏功せず、人材の確保及び育成が進まない場合、あるいは人材が流出した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)小規模組織について

 当社組織は、従業員数が2019年12月末現在で46名(臨時従業員を除く)と規模が小さく、現在の社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。当社では、今後の事業強化、拡大に対応して人材の採用・育成と管理体制の強化を進めてまいりますが、必要な人材の確保や社内教育等が順調に進まなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)代表取締役への依存について

 当社創業者であり代表取締役である杉本光生は、当社全体の経営方針や経営戦略の立案をはじめ、取引先との関係構築等、当社の事業活動上重要な役割を担っております。代表取締役に対して、過度に依存しない組織的な経営体制の構築を進めておりますが、不測の事態により代表取締役が職務を執行することが困難になった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)自然災害、事故等について

 当社は、本店所在地が東京都にあり、事業拠点が、地震、津波、台風等の自然災害、事故、火災、テロ等の被害をうけた場合には、交通網の混乱、営業活動の停止、システム障害により事業活動に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、当社役員及び従業員に対し、意欲と士気の向上を目的として新株予約権を付与しております。また、一部社外協力者に対しても協力関係の維持強化を目的として新株予約権を付与しております。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式は663,000株あり、株式総数(潜在株式を含む)の14.4%に相当します。

 これらの新株予約権が行使された場合には、当社株式の1株当たりの価値が希薄化し、将来における株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)配当政策について

 当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しております。しかしながら、現在当社は成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、収益基盤の強化のための投資に充当することにより更なる事業拡大及び企業価値の向上を目指すことが株主に対する利益還元に繋がると考えております。

 現時点においては、配当実施の可能性及びその実施時期については、未定であります。

 

(15)資金使途に関するリスク

 当社の株式上場に伴う公募増資による調達資金については、「プレミアム優待倶楽部」、及び「IR-navi」のシステム開発に充当する計画であります。しかしながら、当社を取り巻く外部環境や経営環境の変化によって、調達資金を計画通りの使途に充当しなかった場合や、予定どおりに充当されたにも関わらず想定どおりの効果を上げることができなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)M&Aについて

 当社では、企業買収や資本提携によるサービスの向上及び顧客層の拡大を今後の経営戦略の1つと認識しております。当該投資活動の実施に当たっては、相手先企業等の経済的価値の調査を行う方針でありますが、当社がこれら投資活動等により想定した成果が得られる保証はありません。買収や資本提携により想定したシナジーが得られなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在において、具体的な企業買収や資本提携等の案件はありません。

 

(17)システム開発について

 当社は、ブロックチェーン技術を筆頭とした最新技術等やシステムの基盤となるデータベース等を含めたシステム全般に係る投資を継続的に行っております。当社ではシステム開発に当たり、プロジェクト及びタスク管理に関する会議を毎週開催し、必要に応じて代表取締役及び管掌役員が会議に同席して進捗状況を把握するとともに、プロジェクト進行上の重要なポイント等においては関連部門によるレビューを実施しておりますが、システム開発の遅延・トラブル等が発生した場合には、開発コストが増加するなど、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)法的規制について

 本書提出日現在において、当社の事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、当社事業運営上、個人情報の保護に関する法律、電気通信事業法、特定商取引に関する法律、不正アクセス行為の禁止等に関する法律等による法的規制を受けております。また、今後、当社サービスの必要性を喪失させるような法改正や既存法令等の解釈変更等があった場合には、当社の事業運営が制約を受け、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、貿易摩擦等の影響により、製造業を中心に景況感は悪化したものの、企業のIT投資は増加基調となりました。人手不足を背景とした好調な雇用及び所得環境を背景に底堅く推移いたしました。また、家計の金融資産残高は、過去最高の1,864兆円(2019年9月末。日本銀行『資金循環統計(2019年6-9月期(速報))』)となるとともに、個人株主数(延べ人数)は、5年連続で増加し5,473万人(東京証券取引所『2018年度株式分布状況調査の調査結果』)となりました。

 当社を取り巻く環境におきましては、自社PRのニーズ等を背景に、2019年12月末現在、株主優待制度を導入する企業が過去最多の1,533社(大和インベスター・リレーションズ株式会社調べ)と引き続き増加しております。日本版スチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コードに加え、2018年1月から施行されたMiFID2の影響も相まって、株主・投資家と上場企業との対話がより一層促進されました(一般社団法人日本IR協議会『IR活動の実態調査』2019年4月)。

 この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産)

 当事業年度末における総資産は、1,430,135千円(前事業年度末は827,373千円)となり、602,761千円増加いたしました。

 流動資産は、1,141,644千円(前事業年度末は554,897千円)となり、586,746千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が444,374千円、受取手形が15,977千円、売掛金が128,531千円増加したこと等によるものであります。

 固定資産は、288,490千円(前事業年度末は272,475千円)となり、16,014千円増加いたしました。これは主に、ソフトウエアが45,003千円増加したこと、のれんが6,633千円、顧客関連資産が2,436千円、繰延税金資産が13,215千円、保険積立金が10,269千円減少したこと等によるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債は、731,148千円(前事業年度末は575,071千円)となり、156,077千円増加いたしました。これは主に、買掛金が84,977千円、未払法人税等が81,116千円、未払消費税等が26,529千円、前受金が51,937千円増加したこと、1年内返済予定の長期借入金が10,702千円、未払金が24,667千円、長期借入金が60,704千円減少したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は、698,987千円(前事業年度末は252,302千円)となり、446,684千円増加いたしました。これは主に、当期純利益を201,484千円計上したことにより利益剰余金が増加したこと、新株の発行及び新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ123,645千円増加したことによるものであります。

 

b.経営成績

 当事業年度の経営成績は、売上高は1,793,163千円(前事業年度比54.4%増)、営業利益は310,891千円(同181.7%増)、経常利益は309,725千円(同187.6%増)、当期純利益は201,484千円(同65.4%増)となりました。

 なお、当社の事業は株主管理プラットフォーム事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりません。製品・サービス別業績の概要は以下のとおりであります。

 「プレミアム優待倶楽部」は、「ポイント制株主優待」と株主の「電子化」(株主の電子メールアドレスを取得して法定書類を電磁的に提供し、また株主専用サイトにおける上場企業と株主との双方向コミュニケーションを実現すること)を組み合わせたサービスです。2018年末より契約社数が17社増加し、43社になったこと等により堅調に推移いたしました。また、顧客企業の株主数の増加により、1社当たりのポイント売上高の平均単価が増加いたしました。

 これらの結果、「プレミアム優待倶楽部」の当事業年度の売上高は1,225,481千円(同82.4%増)となりました。

 「IR-navi」は、上場企業へ提供している機関投資家マーケティングプラットフォームです。2018年末より契約社数が50社増加し、281社になったこと等により、売上高は260,013千円(同11.7%増)となりました。

 「ESGソリューション」は、統合報告書やアニュアルレポートなどの投資家とのコミュニケーションツールを企画、制作するサービスです。2018年にアレックス・ネット株式会社と吸収合併した影響が通期で寄与したことにより、売上高は286,757千円(同24.1%増)となりました。

 「その他」は、決算説明会の企画及び運営サポートサービスです。このサービスによる売上高は20,910千円(同18.3%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べると、444,374千円増加し、788,050千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローにより獲得した資金は、358,071千円(前事業年度は153,318千円の獲得)となりました。主な増加の要因は、税引前当期純利益304,525千円、減価償却費39,096千円、のれん償却額6,633千円、支払手数料3,783千円、固定資産除却損5,200千円、仕入債務の増加額84,977千円があったこと等によるものであります。一方、減少の要因として、売上債権の増加額144,923千円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローにより流出した資金は、83,706千円(前事業年度は264,447千円の流出)となりました。主な増加の要因として、保険積立金の解約による収入16,722千円があったことによるものであります。一方、主な減少の要因は無形固定資産の取得による支出97,464千円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローにより獲得した資金は、170,010千円(前事業年度は170,296千円の獲得)となりました。主な増加の要因として、新株予約権の行使による株式の発行による収入156,880千円、株式の発行による収入88,320千円があったことによるものであります。一方、主な減少の要因として、長期借入金の返済による支出71,406千円があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社は受注活動を行っておりますが、受注実績は販売実績と近似しているため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

なお、当社は株主管理プラットフォーム事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

販売額(千円)

前年同期比(%)

株主管理プラットフォーム

1,793,163

154.4

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

当事業年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

株式会社夢真ホールディングス

188,900

10.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。

 また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 売上高

 当事業年度における売上高は、前事業年度と比べて631,920千円増加し、1,793,163千円(対前期比54.4%増)となりました。その主な内訳は、「第2 事業の状況3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b 売上総利益

 当事業年度における売上原価は、366,299千円増加し、957,874千円(同61.9%増)となりました。その主な内訳は、プレミアム優待倶楽部売上高の増加に伴い商品仕入が増加、ESGソリューション売上高の増加に伴い制作原価が増加したこと等によるものであります。

 これらの結果、売上総利益は835,289千円(同46.6%増)となりました。

 

c 販売費及び一般管理費、営業利益

 当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度と比べて65,097千円増加し、524,397千円(同14.2%増)となりました。その主な内訳は、人員増加に伴い人件費86,826千円増加、接待交際費6,304千円、研究開発費15,000千円減少したこと等によるものであります。

 これらの結果、営業利益は310,891千円(同181.7%増)となりました。

 

d 経常利益

 当事業年度における営業外収益は、前事業年度と比べて5,706千円増加し、7,646千円(同294.3%増)となりました。その主な内訳は、補助金収益996千円、保険解約返戻金6,157千円増加、賃貸料収入が1,377千円減少したこと等によるものであります。営業外費用は、前事業年度と比べて4,215千円増加し、8,812千円(同91.7%増)となりました。その主な内訳は、上場関連費用6,814千円増加、支払手数料2,380千円減少したこと等によるものであります。

 これらの結果、経常利益は309,725千円(同187.6%増)となりました。

 

e 特別損益

 当事業年度における特別利益は計上しておりません。特別損失は、前事業年度と比べて2,195千円増加し、5,200千円(同73.1%増)となりました。その内訳は、固定資産除却損が5,200千円によるものであります。

 

f 税引前当期純利益

 当事業年度における税引前当期純利益は、304,525千円(同190.8%増)となりました。
 

g 法人税等

 当事業年度における法人税等合計は、103,040千円(前事業年度は△17,115千円)となりました。

 

h 当期純利益

 当事業年度における当期純利益は、201,484千円(対前期比65.4%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

 当社の運転資金需要のうち主たるものは、「プレミアム優待倶楽部」の優待商品仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

 当社は、事業活動に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金及び設備投資は、自己資金及び金融機関からの長期借入により調達しております。

 なお、当事業年度における借入金の残高は164,370千円となっております。また、当事業年度における現金及び現金同等物の残高は788,050千円となっております。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、高い成長性、収益性、及び資本効率を達成するために、売上高成長率20%、営業利益率20%、及びROIC20%の達成を中期的に目指す経営指標として捉えております。

これらの目標に対し、当事業年度の達成状況は次のとおりです。

経営指標

目標値

2019年12月期

目標差異

売上高成長率

20%以上

54.4%

34.4ポイント

営業利益率

20%以上

17.3%

△2.7ポイント

ROIC

20%以上

24.2%

4.2ポイント

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。