第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる」を企業ビジョンとし、雇用に依存しない働き方の選択肢を広げ、時間と場所にとらわれない新しい働き方を生みだしてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、当社グループのサービス経由で取引される金額の総額である流通総額と、クライアント及びランサーへ提供される付加価値を示す売上総利益(流通総額にテイクレート(注1)を乗じて算出されるもの)の最大化を重視した経営を行っております。現在は市場の黎明期であると考えているため、手数料率を高めることよりも、流通総額を最大化することを企図しており、流通総額を構成するクライアント数とクライアント単価を増加させることで継続的に成長を実現していくことを目指しております。なお、過去5年間における当該クライアント数及びクライアント単価の推移は以下の通りであります。

回次

第8期

第9期

第10期

第11期

第12期

流通総額(億円)(注2)

36

48

53

64

81

クライアント数(千社)

25

29

31

33

34

クライアント単価(千円)

141

165

167

194

240

 

(注1)テイクレートとは流通総額に対して課される手数料率になります。

(注2)「Lancers AREA PARTNER」及び「シェアフル」等のその他領域の事業は、含まれておりません。

 

 

(3)経営戦略

①当社グループの強みとプラットフォームの特徴

当社グループでは、運営するプラットフォームをより信頼性の高いものとするため、主に3つの取り組みを実施しております。

(ⅰ)信頼を可視化するテクノロジー

当社グループは実名、顔写真の入力を推奨しております。クライアントが、プラットフォームで得られるランサー情報は多岐にわたりますが、実名・顔写真が見えることで、信頼性の高いランサーが多数在籍していることを認識できると考えております。当社グループではこのように実名や顔写真を登録し、さらにプロジェクト完了率や評価等を含めた一定の基準をクリアしたランサーを「信頼ランサー」(注)と呼んでおり、当社グループ独自のアルゴリズムを用いてスコアの高いランサーからクライアントに候補者として表示される仕組みを構築しております。

 

(ⅱ)信頼を活かすマッチングアルゴリズム

クライアントがプラットフォーム上で依頼を行うと、AIによって依頼内容と金額を過去の類似案件データの成約率や独自に調査した市場データ等の情報から査定され、適正な価格の案件を識別できるようになっております。またランサーに関しても、上述した仕組みに則り、信頼ランサーでかつスキルがクライアントのニーズに合致したランサーが上位に表示される設定になっております。このように適正な依頼と適正なランサーとの効率的なマッチングをすることがプラットフォームにおける継続的な利用につながると考えており、現に、初めて「Lancers」で依頼するクライアントに信頼ランサーをマッチングさせることにより、信頼ランサー以外にマッチングした場合と比較して、該当クライアントの成約率や依頼金額は増加することが確認されております。

 

(ⅲ)信頼できるランサーを増加・定着させる仕組み

ランサーの中でも特に信頼ランサーを増加・定着させる仕組みとして、「Freelance Basics」、「新しい働き方LAB」、「Lancer of the Year」等の取り組みがあります。「Freelance Basics」はフリーランスになる、フリーランスを続ける、といった際に弊害となる、福利厚生の提供や、法務や経理等の管理業務をサポートするサービスです。「新しい働き方LAB」はランサー向けのコミュニティ拠点を国内外に18箇所持ち、フリーランス同士のコミュニティの活性化や教育機会の提供、及びチーム単位でクライアントからの依頼を受ける仕組みの提供を行っております。「Lancer of the Year」は2015年から始めたランサーを表彰するイベントで、年1回開催しており、ランサーのやる気の向上を図り、ランサーが「Lancers」のプラットフォームを通じて稼げる知見の共有を行っております。このような取り組みを通じて、フリーランスになって一定以上収入を得るようになった場合でも継続的に当社グループのプラットフォームをご利用頂ける動機付けをしております。

 

(注)「Lancers」では、2018年8月よりランク制度を設けております。こちらのブロンズランク~認定ランサーランクまでを信頼ランサーと定義し、当社グループでは拡大に注力しております。

 

②短期的な成長戦略

当社グループは、日本においてオンラインスタッフィングプラットフォーム領域の主力企業に成長し、ユニークなポジションを築いていると考えており、現在、当社グループの流通総額全体におけるオンラインスタッフィングプラットフォーム領域の流通総額の割合は約9割となっております。短期的には、当社グループを取り巻く事業環境を好機として、日本におけるオンラインスタッフィングプラットフォーム市場(領域)を定着・拡大させ、当該市場における圧倒的なポジショニングを獲得することを目指しております。そのために、従来フリーランスを活用していなかった企業に対するセールス活動を強化し、積極的な社外人材活用の必要性を広く啓蒙し、当社グループのサービスの利用を促進してまいります。

 

③中長期的な成長戦略

当社グループのサービス利用を通じて獲得したランサー及びクライアントの仕事の実績データを活かして、直接雇用も含めた雇用、人材活用及び人材管理領域におけるサービスの提供や、スコアリングを活用した周辺事業への進出等を検討してまいります。また、当社グループのミッションを実現するために必要となるサービスやユーザーの獲得等を引き続き積極的に行うことを予定しており、M&A等も行っていきたいと考えております。さらに将来的には、労働人口の減少や超高齢化社会という日本社会の課題と同様の課題を抱える国に対して、当社グループのサービスを提供するべく海外進出も検討してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、さらなる事業拡大と収益基盤安定化のために、以下の事項を重要な課題として認識し、対処してまいります。

 

①広義のフリーランス市場の拡大と業界の健全な発展

2020年における広義のフリーランスは1,034万人となり、その経済規模は17兆円にのぼります。これは国策としての働き方改革や、企業における新しい働き方に関する制度導入、個人の働き方に対する価値観の変化等が影響していると考えられます。
 このように急成長を続ける市場の中で、当社グループは国内におけるオンラインスタッフィングプラットフォーム及びクラウドソーシング領域の主要企業として、各種の業界団体での活動やフリーランスを支援する取り組み、品質向上委員会の活動等、市場の認知度拡大・啓蒙活動や業界の健全な発展に引き続き努めてまいります。

 

 

②プラットフォーム事業の継続的な成長と発展

 当社グループが継続的に成長していくためには、既存サービスのクライアント数及び単価を拡大すると同時に、新規事業や新市場の開拓にも取り組んでいく必要があると考えております。当社グループはさらなる発展に向けて、業界の主要企業としての実績を軸とした強固な顧客基盤やブランドの確立に努めつつ、これまでに蓄積された仕事実績のデータ資産やプラットフォーム運営ノウハウを活かした新規事業領域の開拓に積極的に取り組んでまいります。

 

③サイトの安全性と健全性の確保

 当社グループのサイトにおいては、取引のプロセスにおいて、発注側の企業(クライアント)と受注側の個人(ランサー)の間で直接コミュニケーションが発生するため、双方のユーザーが安心して当社グループのサービスを利用できるように、サイトの安全性と健全性を確保する必要があります。当社グループは、取引における明確なガイドラインを設定するとともに、取引内容の監視を常時行っており、今後もこの取り組みを維持・継続し、サイトの安全性と健全性の確保に努めてまいります。

 

④システムの安定性強化と運用管理体制の構築
 当社グループはインターネット上で重要な個人情報に係るサービスを展開しているため、サーバーレスポンスの観点のみならず、セキュリティの観点からも安定的なシステム体制を構築し運用していくことが重要であると考えております。そのため、突発的なアクセス増加にも耐えられるサーバー設備強化を行っていくとともに、当社グループが提供するサービスを支える人員の確保、社員教育の実施を行いながらセキュリティ管理体制の構築と改善に努めてまいります。
 

⑤新技術への対応
 当社グループが属するIT業界では技術革新が絶え間なく行われており、近年では、ブロックチェーン技術やAIによる機械学習、ビッグデータ分析等の技術進化が目覚ましい状況です。このような技術発展の著しいIT業界において継続的に成長し、新規事業を創出していくためには、新しい技術を取り込んでいくことが重要であると認識しております。近年実用化に向け各社が取り組んでいるブロックチェーン技術やAI等の技術をプラットフォームでのマッチング精度向上や信頼ランサーのスコアリング等に活かすべく、エンジニアの採用・育成や技術投資等を積極的に行ってまいります。


⑥優秀な人材の採用と企業文化の醸成
 事業の継続的な成長を実現するためには、優秀な人材を採用すると同時に、全従業員が経営方針を理解して、強い企業文化を醸成していくことが重要であると考えております。当社グループは、「最高か最速」、「プロフェッショナル」、「チーム・ランサーズ」という行動指針を掲げ、ユニークな企業文化をグループ全体でさらに浸透・発展させるべく、時代に沿った新たな人事制度の構築を行ってまいりました。今後も優秀な人材を確保すべく当社グループのブランド向上と企業文化の浸透に努めてまいります。

 

⑦経営管理と内部管理体制の強化
 当社グループは、事業の継続的な成長を実現していくために、経営管理体制のさらなる強化・充実が必要不可欠であると考えております。事業成長に伴って組織が拡大していく中で、経営指標のモニタリングや会議体の設計・運用等を通して、組織の健全かつ効率的なマネジメントに取り組んでおります。また今後さらなる事業拡大を図るために、事業基盤を盤石にさせることが重要な課題であると認識しております。そのために、従業員に対して業務フローやコンプライアンス、情報管理等を徹底認知させ、内部管理体制強化を図るとともに業務の効率化を行ってまいります。

 

2 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項をリスク要因として以下に記載しております。

また、必ずしもリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。

なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

1.事業環境に由来するリスク

①景気動向の影響

 当社グループが事業を展開しているプラットフォーム市場はオンライン上での仕事の受発注が中心にあります。当社グループは、今後もオンライン上での仕事の受発注の成長傾向は継続するものと見込んでおり、クライアントのニーズに応じて機能の追加等により事業展開をより一層進める計画であります。

 しかしながら、今後、国内外の経済情勢や景気動向等の理由によりオンライン上での仕事の受発注の成長が鈍化、もしくは市場環境が変化する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 直近では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、「Lancers Agent」や「Lancers Outsourcing」等の事業において顧客側の活動スピードの低下や経済活動の縮小等による一定の影響が生じており、本影響が長期間にわたり継続した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

②労働関連法規制及び労働人口の動向

 当社グループはプラットフォーム事業を主たるサービスとしておりますが、当社グループ事業の発展のためには、主にインターネットを利用して働くフリーランス(副業・複業含む)の労働人口の増加や関連市場の拡大が必要であると考えております。国内の労働人口は2030年には現在の6,600万人から5,900万人と約10%の減少が見込まれる中、広義のフリーランス人口は2015年の913万人から2020年には1,034万人へと増加するという調査結果が出ており(「フリーランス実態調査2020年版」)、更には、国策として推進されている「働き方改革」の外部環境変化を受けて、会社員の約4割以上が副業に意欲的であるという結果が出ております(「フリーランス白書2018」)。
 しかしながら、今後、国内の労働に係る法規制や人口動向等の理由によりフリーランス人口の増加が鈍化、副業が浸透しない、もしくは市場環境が変化する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③関連法規制

 当社グループは「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる」というビジョンのもと、事業主として働くフリーランスを支援するサービスを各種展開しておりますが、雇用の斡旋による収入はわずかであり、労働者派遣法の適用を受けるような事業も行っておりません。また、オンラインスタッフィングサービスにおいては、ユーザー間の商取引の円滑な決済のため、エスクロー方式により当社グループが報酬を受け取るべきフリーランスの代理として仕事の依頼者から一時的に報酬を受領する等、決済の領域でもユーザーへの価値を提供しておりますが、出資法及び資金決済法の適用を受けてはおりません。当社グループでは事業運営に当たり、これら法令に抵触することが無いよう、顧問弁護士等の外部専門家と協議し、法改正等の情報収集を行い、従業員教育等を徹底するとともに法令順守体制の構築と強化を図っております。
 しかしながら、これらの法令の改正や新たな法令の制定、監督官庁の見解の変更、社会構造の変化等想定外の事態の発生等により当社グループの展開する事業が法令に抵触した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④技術革新への対応

 当社グループが事業展開しているインターネット関連市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に早く、インターネット関連事業の運営者はその変化に柔軟に対応する必要があります。当社グループにおいては、急速な技術革新に対応すべく優秀な技術者の採用・育成等に積極的に取り組む他、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築することにより、ユーザーニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。
 しかしながら、当社グループにおいて技術革新やユーザーニーズの変化に対応できない場合、または変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 

 

2.事業内容に由来するリスク

①競争環境の変化

 当社グループはプラットフォーム事業を主たる事業領域とし、インターネットを活用した新しい働き方の創出を目指していますが、労働の分野においては昨今のクラウドソーシング領域のサービスを含め多くの企業が事業展開をしております。当社グループは適切なユーザビリティーを追及したサービスの構築、サイト利用時の安全性の確保やカスタマーサポート機能の充実、またフリーランスの活躍を第一に考えた行動規範に基づいた事業展開等に取り組み、競争力の向上を図っております。
 しかしながら、当社グループと同様のサービスを展開する企業等との競合激化や、十分な差別化が図られなかった場合、あるいは事業領域の構造自体に革新的な変化が発生した場合に、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

②新規事業の不確実性

 当社グループの今後の事業展開として、「個のエンパワーメント」というミッションを達成するため、事業規模の拡大と高収益化を目指し、既存事業に留まらず新規事業開発に積極的に取り組んでいく方針ですが、とりわけ新規事業の立ち上げについては、既存事業よりリスクが高いことを認識しております。前期に立ち上げた「Lancers Enterprise」や今後新たに展開する可能性のある各種サービスにおいて、入念な市場分析や事業計画の構築にも関わらず、予測とは異なる状況が発生し、計画通りに進まない場合には、投資資金を回収できず当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③サービスの収益性

 当社グループにおいては、IT技術の進展に伴う新たな機能の追加を継続して行い、サービスの活性化及びユーザビリティーの強化等に積極的に取り組むとともに、常にユーザーにとって価値ある新しいサービスが提供できるよう努めております。新規サービスの開発を行う際には、当該新サービスの収益性について十分検討した上で進める体制を構築しております。
 しかしながら、予期せぬ事象の発生等により、想定していた収益が見込まれなくなった場合、あるいは当該開発におけるシステム投資費用及びそれに付随する人件費等のコストが想定以上に必要となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④サイトの安全性・健全性

当社グループが運営するサイトでは、ユーザー間の取引が円滑に行われるために仕事の依頼や提案を行う際、及び取引が実際に行われたユーザー間で評価を行う際に、自由に情報を発信できる機能を提供しておりますが、事実でない情報、誹謗中傷にあたるような情報等が記載されるリスクがあります。これに対し当社グループでは、利用規約やガイドラインを制定するとともに、仕事依頼及び投稿内容の監視を行い、事実でない情報、誹謗中傷等、当社グループが不適当と判断した場合にはその内容を、事前あるいは事後に削除し、サイトの健全性の維持を図っております。

しかしながら、不適当な書き込みを当社グループが発見できなかった、あるいは発見が遅れたことにより、当社グループが責任を問われる可能性があるほか、インターネット上の悪意のある口コミ投稿などにより、当社グループの運営するサイトまたはサイト運営者としての当社グループについて、信用低下・イメージが悪化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤情報セキュリティ

 当社グループは、運営するプラットフォーム事業において個人情報及び機密情報を保有しております。当社グループでは、個人情報及び機密情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、情報の管理を事業運営上の重要事項と捉えております。そのため、情報セキュリティポリシーを制定し、個人情報及び機密情報を厳格に管理するとともに、役員及び従業員を対象とした社内教育を実施する等、情報管理を徹底する体制を構築しています。
 しかしながら、外部からの不正アクセスや社内管理体制の瑕疵等により個人情報または機密情報が外部に流出し、当社グループへの損害賠償請求があった場合、社会的信用が失墜した場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥システム障害

 当社グループが運営するプラットフォーム事業は、主にインターネットを通してサービスを提供しており、システム及びインターネット接続環境の安定的稼働は事業を行っていく上での大前提となっております。当社グループは、サーバーの不測の事態による停止や蓄積されたデータの消失による事業への影響を防ぐため、データをクラウド上に保存しリスク回避を行っております。また、外部からの不正なアクセスを防ぐため、必要なセキュリティ体制を確保しております。
 しかしながら、自然災害や事故、ユーザー数やトラフィックの急増、ソフトウエアの不具合、ネットワーク経由の不正アクセスやコンピュータウイルスの感染等の予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦知的財産権の侵害

 当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性については、専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、損害賠償請求や使用差止請求等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

3.その他のリスク

①継続的な投資と赤字

 当社グループは、継続的な成長のため、認知度の向上、ユーザー数の拡大、及び新規サービスの拡充に努めてまいりました。具体的には、当社グループの知名度を高めるためのマーケティングや新規ユーザー獲得のための広告宣伝費の投資、及び新規サービス開発に向けた人件費の増加や外注費の発生があります。これらの取り組みを積極的に進めた結果、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 1主要な経営指標等の推移」に記載の通り、2016年3月期(第8期)から最近事業年度である2020年3月期(第12期)において、継続的な投資により、損失が発生しております。

 今後も積極的な広告宣伝費の投資や新規サービス拡充に向けた投資を行っていく予定ですが、想定通りに投資効果が得られず費用負担が拡大した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 なお、2019年3月期連結会計年度における広告宣伝費は236,004千円、人件費(注)は569,839千円、外注費は193,022千円、営業損失は202,441千円であり、2020年3月期連結会計年度における広告宣伝費は601,347千円、人件費は623,438千円、外注費は175,552千円、営業損失は307,284千円であります。

(注)人件費は、当社グループの給料手当及び賞与並びに賞与引当金繰入額の合計額であります。

 

②特定人物への依存

 当社の代表取締役社長である秋好陽介は、当社の創業者であり、創業以来の最高経営責任者であります。同氏は、当社グループの経営方針や事業戦略の決定のみならず、営業、技術、財務の各方面の事業推進において極めて重要な役割を果たしております。当社グループでは、取締役会等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
 しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③少人数編成の組織

 当社グループは業務執行上必要最低限の人数での組織編成となっております。また、今後は事業の拡大に応じて人材の確保及び育成を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針であります。

 しかしながら、施策が適時適切に遂行されなかった場合、又は従業員の予期せぬ退職があった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④人材の獲得と育成

 当社グループは、今後の事業規模拡大に伴い、当社グループのミッション及びビジョンに共感し、高い意欲を持った優秀な人材を継続的に採用し、強固な組織を構築していくことが必要であると考えております。

 しかしながら、当社グループの求める人材が十分に確保・育成できない場合や人材流出が進んだ場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
 

⑤内部管理体制の強化

 当社グループの継続的な成長のためには、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しており、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令順守を徹底してまいります。

 しかしながら、事業が急拡大することにより、事業規模に合った内部管理体制の構築に遅れが生じた場合には、適切な業務運営が困難になり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
 

⑥ストック・オプション行使による株式価値の希薄化

 当社グループでは、役員及び従業員並びに事業支援者に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は1,262,500株であり、発行済株式総数15,505,100株の8.14%に相当します。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。

 

⑦税務上の繰越欠損金

 当社グループは、税務上の繰越欠損金を有しており、当社グループの業績が順調に推移することにより期限内にこれら繰越欠損金の繰越控除を受けられる可能性があります。
 しかしながら、当社グループの業績の下振れ等により繰越期限の失効する繰越欠損金が発生した場合には、課税所得からの控除が受けられなくなり、課税所得に対して通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課されることとなり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧減損会計適用に関するリスク

 当社グループは、事業の成長加速のためM&Aを必要に応じて実施しております。買収前の段階において、対象会社の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行い、リスクを吟味した上で買収を実行しております。

 しかしながら、買収後に偶発債務や未認識債務の判明等、事前の調査において認識できていなかったリスクが生じた場合や、買収後の事業の統合が計画通り進まない場合は、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の分析

当連結会計年度において、当社グループは、オンライン上で企業と個人が直接マッチングするサービスである「Lancers」、「Lancers」での直接依頼が困難なクライアントや大量・複雑な案件を一括で依頼(発注)したいクライアントに対して、当社グループが直接依頼(発注)を引き受ける法人向けのサービスである「Lancers Outsourcing」、クライアントのエンジニア、デザイナー、マーケター等の常駐ニーズに対応して、フリーランス人材を紹介するサービスである「Lancers Agent」及び、クライアントによるBPOニーズもしくは定額での業務委託ニーズに対応して、当社グループが厳選したフリーランスチームに一括で依頼(発注)していただけるサービスである「Lancers Assistant」等を運営し、堅調に事業を拡大してまいりました。また、多数のフリーランスを自社独自の要件に併せて発注管理したいという大企業のニーズにこたえた新サービスである「Lancers Enterprise」を2019年5月にリリースし、大企業に対する営業活動を積極的に実施するとともに、サービスの機能改善に努めてまいりました。さらに、「Lancers Assistant」の成長を加速すべく、2019年5月にはシクロマーケティング株式会社を買収し、同サービスの事業規模拡大に注力いたしました。

以上の取り組みの結果、当社グループの売上高は、3,474,652千円(前年同期比37.7%増)となりました。認知獲得やブランドイメージの確立を目的とした新聞広告やTVCM等の大規模プロモーションを実施したことによる広告宣伝費をはじめとした販売費及び一般管理費の増大に伴い、営業損失は307,284千円(前年同期は営業損失202,441千円)、経常損失は328,706千円(前年同期は経常損失93,681千円)となり、損失が拡大しておりますが、先行投資をかけながらも着実に利益体質への転換を図っております。結果として、親会社株主に帰属する当期純損失は353,269千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失17,629千円)となりました。

 

②財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産につきましては、前連結会計年度末に比べ534,981千円増加し、2,777,301千円となりました。これは主に、現金及び預金が324,113千円、売掛金が158,468千円、未収入金が39,919千円、未収消費税を含むその他が20,586千円増加したこと等によるものです。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ262,206千円増加し、368,091千円となりました。これは主に、のれんが265,656千円増加したこと等によるものです。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債につきましては、前連結会計年度末に比べ69,914千円増加し、1,424,787千円となりました。これは主に、未払金が137,214千円、買掛金が97,745千円増加したこと、短期借入金が150,000千円減少したこと等によるものです。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ6,000千円増加し、6,000千円となりました。これは、長期未払金が6,000千円増加したことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ721,273千円増加し、1,714,605千円となりました。これは主に、東京証券取引所マザーズへの上場に伴う公募増資による新株発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ537,280千円増加したこと、利益剰余金が353,269千円減少したこと等によるものです。

 

 

③キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ323,610千円増加し、2,052,384千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、353,399千円の支出(前年同期は156,147千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失338,706千円の計上、売上債権が154,017千円、未払金が116,565千円増加したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、225,051千円の支出(前年同期は96,310千円の収入)となりました。これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が133,583千円、子会社株式の条件付取得対価の支払額が88,000千円あったこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、902,018千円の収入(前年同期は150,000千円の収入)となりました。これは主に、株式の発行による収入が1,064,426千円、短期借入金の減少150,000千円があったこと等によるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております

 

b.受注実績

当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、当該記載を省略しております

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

(単位:千円)

事業の名称

金額(千円)

前年同期比(%)

プラットフォーム事業

3,474,652

+37.7

合計

3,474,652

+37.7

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積もりは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、当社グループのサービス経由で取引される金額の総額である流通総額と、クライアント及びランサーへ提供される付加価値を示す売上総利益の最大化を重視した経営を行っております。

流通総額の増加に向けた主要KPIとしては、クライアント数及びクライアント単価の増加が重要であると考えており、当連結会計年度においても、各KPIについては順調に増加しております。また、今後も同様に、KPIの拡大を通じた成長を図ってまいります。

当連結会計年度の売上総利益につきましては1,794,723千円(前年同期比20.8%増)と順調に推移しております。

なお、当社グループの流通総額の推移は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要としては、事業の拡大に伴う人件費、外注費、クライアント獲得や認知度向上のための広告宣伝費に加え、M&A等の投資を実施する方針であります。当社グループは、財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

開発活動全般は既存サービスの付加価値向上、新サービスの開発による新たなビジネスチャンス獲得のために行っております。当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,978千円であります。