第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「個のエンパワーメント」をミッション、また当連結会計年度においては「すべてのビジネスを『ランサーの力』で前進させる」、「誰もが自分らしく才能を発揮し、『誰かのプロ』になれる社会をつくる」というクライアント及びランサー向けの新ビジョンに刷新し、マッチングプラットフォームを通じた双方への価値提供を行っております。インターネットの力で、仕事をしたい個人には時間や場所に依存しない新しい働き方を提供し、また仕事を依頼したいクライアントにはプロフェッショナルな人材をフリーランスという柔軟な形で提供することで、「個」がより活躍できる新たな社会の仕組みを構築しています。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、当社グループのサービス経由で取引される金額の総額である流通総額と、クライアント及びランサーへ提供される付加価値を示す売上総利益(流通総額にテイクレート(注)1を乗じて算出されるもの)の最大化を重視した経営を行っております。クライアント及びランサーの利用促進をすべく機能拡充等を行うことでテイクレートを高めることを目指しております。 なお、過去5年間における売上総利益の推移は以下の通りであります。
 

回次

第10期

第11期

第12期

第13期

第14期

流通総額(億円)(注)2

53

64

81

92

103

売上総利益額(億円)

12

14

17

19

20

 

(注)1.テイクレートとは流通総額に対して課される手数料率になります。

(注)2.「Lancers AREA PARTNER」、「シェアフル」等の事業は含まれておりません。

 

(3)経営戦略

①当社グループの強みとプラットフォームの特徴

当社グループでは、運営するプラットフォームをより信頼性の高いものとするため、主に3つの取り組みを実施しております。

(ⅰ)信頼を可視化するテクノロジー

当社グループは実名、顔写真の入力を推奨しております。クライアントが、プラットフォームで得られるランサー情報は多岐にわたりますが、実名・顔写真が見えることで、信頼性の高いランサーが多数在籍していることを認識できると考えております。当社グループではこのように実名や顔写真を登録し、さらにプロジェクト完了率や評価等を含めた一定の基準をクリアしたランサーを「信頼ランサー」(注)と呼んでおり、当社グループ独自のアルゴリズムを用いてスコアの高いランサーからクライアントに候補者として表示される仕組みを構築しております。

(注)「Lancers」では、2018年8月よりランク制度を設けております。こちらのブロンズランク~認定ランサーランクまでを信頼ランサーと定義し、当社グループでは当該信頼ランサー数の拡大に注力しております。

 

(ⅱ)信頼を活かすマッチングアルゴリズム

クライアントがプラットフォーム上で依頼を行うと、AIによって依頼内容と金額を過去の類似案件データの成約率や独自に調査した市場データ等の情報から査定され、適正な価格の案件を識別できるようになっております。またランサーに関しても、上述した仕組みに則り、信頼ランサーでかつスキルがクライアントのニーズに合致したランサーが上位に表示される設定になっております。このように適正な依頼と適正なランサーとの効率的なマッチングをすることがプラットフォームにおける継続的な利用につながると考えており、現に、初めて「Lancers」で依頼するクライアントに信頼ランサーをマッチングさせることにより、信頼ランサー以外にマッチングした場合と比較して、該当クライアントの成約率や依頼金額は増加することが確認されております。

 

(ⅲ)信頼できるランサーを増加・定着させる仕組み

ランサーの中でも特に信頼ランサーを増加・定着させる仕組みとして、「MENTA」、「新しい働き方LAB」、「Lancer of the Year」等のサービス及び取り組みがあります。2020年10月にグループ化したイリテク株式会社(現MENTA株式会社)が運営している「MENTA」は、教えたい人と学びたい人を繋ぐオンラインメンターサービスであり、さらに国内外に18拠点を持つランサー向けのコミュニティ「新しい働き方LAB」ではフリーランス同士のコミュニティの活性化や教育機会の提供を行っております。このように「MENTA」や「新しい働き方LAB」を通じてスキル習得をし、そのスキルを活かして「Lancers」にて仕事を獲得するというサイクルを確立し、信頼できるランサーを育成・確保しております。次期連結会計年度においては、フリーランスのリスキリングニーズを満たし高スキル人材への育成と仕事獲得を連動させたサービスをリリースし、フリーランスの安定的な案件獲得と報酬単価の増加を支援してまいります。また2015年から毎年開催しているランサーを表彰するイベント「Lancer of the Year」では、ランサーのモチベーションの向上を図り、ランサーが「Lancers」のプラットフォームを通じて仕事を獲得できる知見の共有を行っております。このような取り組みを通じて、フリーランスになって一定以上収入を得るようになった場合でも継続的に当社グループのプラットフォームをご利用頂ける動機付けをしております。

 

②短期的な成長戦略

当連結会計年度においては、昨今の生活様式の変化によって高まったDXニーズが経済再開によって拡大し、それに伴う人材不足という市場課題が顕在化しました。それにより当社の主力事業の一つであるテックエージェント事業は第4四半期には過去最高の新規成約数を達成し、前年同期比+21%で、再成長・拡大のフェーズとなりました。一方、前連結会計年度に急拡大したマーケットプレイス事業においては、プロダクト・マーケティング・新規サービス投資を強化したものの、投資効果が後ろ倒しとなり当会計年度における成長は限定的となりました。次期連結会計年度においては、マーケットプレイス事業は規律ある投資による新規クライアントの獲得、付加価値向上によるテイクレートの改善、エージェント事業は組織拡大による流通総額の拡大、新たな領域への職種拡大による付加価値向上で売上総利益の拡大を目指します。当2事業へ集中しより成長角度を上げていくとともに、マネージドサービス事業から完全撤退することで全社の収益性の改善を図り、第4四半期以降の恒常的な黒字化を目指してまいります。

 

③中長期的な成長戦略

当社グループのサービス利用を通じて獲得したランサー及びクライアントの仕事の実績データを活かして、スコアリングを活用した周辺事業への拡大、仕事領域に限定されない新しい報酬機会や価値の提供を行いたいと考えております。さらに、プロダクトでのマッチングの仕組みの多様化、カスタマーサクセスによる継続利用の促進等プラットフォームの進化によるクライアントLTVの拡大を目指してまいります。

また、市場ニーズを踏まえた新しいカテゴリーの立ち上げ、付加価値の高いコンサルティング領域への参入等、カテゴリーの拡大による新規クライアントの獲得を加速していきたいと考えております。
 将来的には、「労働人口の減少」や「超高齢化社会」という日本社会の課題と同様の課題を抱える国に対して、当社グループのサービスを提供するべく海外進出も検討してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、さらなる事業拡大と収益基盤安定化のために、以下の事項を重要な課題として認識し、対処してまいります。

①広義のフリーランス市場の拡大と業界の健全な発展

「新・フリーランス実態調査2021‐2022年版」によると、広義のフリーランス人口は1,577万人、その経済規模は24兆円となりました。新型コロナウイルス感染症流行前の2020年2月に実施した調査と比較すると広義のフリーランス人口は約515万人、経済規模は約6兆円増加しております。国策としての働き方改革や、企業における新しい働き方に関する制度導入、新型コロナウイルス感染症流行による在宅勤務の増加等により、個人の働き方に関する価値観が変容してまいりました。隙間時間を活用して本業以外の仕事に取り組む人や働き方そのものを見直して独立を選択した人が増加し、フリーランス市場が拡大したと推察しております。
 このような市場の中で、当社グループは国内におけるオンラインスタッフィングプラットフォーム及びクラウドソーシング領域の主要企業として、各種の業界団体での活動やフリーランスを支援する取り組み、品質向上委員会の活動等、市場の認知度拡大・啓蒙活動や業界の健全な発展に引き続き努めてまいります。

 

②プラットフォーム事業の継続的な成長と発展

当社グループが継続的に成長していくためには、既存クライアント利用社数及び1クライアントあたりの利用額を拡大すると同時に、新規事業や新市場の開拓にも取り組んでいく必要があると考えております。次期連結会計年度においては、フリーランスのリスキリングニーズを満たし高スキル人材の育成を行う教育事業にも進出し、フリーランスの安定的な案件獲得と報酬単価の増加を支援してまいります。当社グループはさらなる発展に向けて、業界の主要企業としての実績を軸とした強固な顧客基盤やブランドの確立に努めつつ、これまでに蓄積された仕事実績のデータ資産やプラットフォーム運営ノウハウを活かした新規事業領域の開拓に積極的に取り組んでまいります。

 

③サイトの安全性と健全性の確保

当社グループのサイトにおいては、取引のプロセスにおいて、発注側の企業(クライアント)と受注側の個人(ランサー)の間で直接コミュニケーションが発生するため、双方のユーザーが安心して当社グループのサービスを利用できるように、サイトの安全性と健全性を確保する必要があります。そのため、専任の監視チームが24時間365日で全ての仕事依頼内容を確認しており、不適切な内容は非表示対応や修正していただくよう依頼をしております。また、当社グループは第三者機関によるシステム監査(ペネトレーションテスト)を実施し、脆弱性の是正・監視体制を強化しております。今後もこの取り組みを維持・継続し、サイトの安全性と健全性の確保に努めてまいります。

 

④システムの安定性強化と運用管理体制の構築
 当社グループはインターネット上で重要な個人情報に係るサービスを展開しているため、サーバーレスポンスの観点のみならず、セキュリティの観点からも安定的なシステム体制を構築し運用していくことが重要であると考えております。そのため突発的なアクセス増加にも耐えられるサーバー設備強化を行っていくとともに、セキュリティ関連の規程・マニュアルを制定し、社員に対するセキュリティ研修を実施して、セキュリティ管理体制の強化をしております。さらに、個人情報関連法を厳格に遵守する体制を構築しております。なお、当社は、2017年4月に一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)からプライバシーマーク制度の認証を受けており、2021年4月に更新を行っております。このようにシステムの安定性強化と運用管理体制の構築と改善に努めてまいります。

 
⑤新技術への対応

 当社グループが属するIT業界では技術革新が絶え間なく行われております。このような中、当社ではメタバースで学べる最先端学習サービスの提供や、ブロックチェーンやAI技術を活用したプラットフォーム上でのマッチング精度向上、信頼ランサーのスコアリング等、新技術を積極的に取り入れた開発と各サービスの付加価値向上を目指しております。それらを実現するべくエンジニアの採用・育成・技術投資等を継続的に行ってまいります。

 

⑥優秀な人材の採用と企業文化の醸成
 事業の継続的な成長を実現するためには、優秀な人材を採用すると同時に、全従業員が経営方針を理解して、強い企業文化を醸成していくことが重要であると考えております。当社グループは、「最高か最速」、「プロフェッショナル」、「チーム・ランサーズ」という行動指針を掲げ、ユニークな企業文化をグループ全体でさらに浸透・発展させるべく、時代に沿った新たな人事制度の構築を行ってまいりました。今後も優秀な人材を確保すべく当社グループのブランド向上と企業文化の浸透に努めると同時に、次期連結会計年度においては収益性を向上させ、恒常的な黒字化と筋肉質な組織基盤を構築してまいります。

 

⑦経営管理と内部管理体制の強化
 当社グループは、事業の継続的な成長を実現していくために、経営管理体制のさらなる強化・充実が必要不可欠であると考えております。事業成長に伴って組織が拡大していく中で、経営指標のモニタリングや会議体の設計・運用等を通して、組織の健全かつ効率的なマネジメントを推進してまいります。また、今後さらなる事業拡大を図るために、事業基盤を盤石にさせることが重要な課題であると認識しております。今後も継続してM&A等を実施しながら事業拡大を実施していくため、子会社管理体制の強化、連結グループとしての財務報告の信頼性確保並びにコンプライアンス体制や内部管理体制の強化を図ってまいります。そのために、従業員に対して業務フローやコンプライアンス、情報管理等を徹底認知させ、内部管理体制強化を図るとともに業務の効率化を行ってまいります

 

 

2 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項をリスク要因として以下に記載しております。

また、必ずしもリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

1.事業環境に由来するリスク

①景気動向の影響

 当社グループが展開しているプラットフォーム事業はオンライン上で企業と個人がマッチングするサービスです。当社グループは、今後も市場の成長が継続するものと見込んでおり、クライアントのニーズに応じて機能を追加する等により事業展開をより一層進める計画であります。

 しかしながら、今後、国内外の経済情勢や景気動向等の理由により市場の成長が鈍化、もしくは市場環境が変化する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクシナリオが顕在化する可能性は比較的低いものと考えておりますが、かかるリスクに対応するため、当社グループでは市場の動向についての情報収集に努めており、当該リスクが当社グループに実際に大きな影響を及ぼす可能性は限定的と考えられます。

 

②労働関連法規制及び労働人口の動向

 当社グループはプラットフォーム事業を主たるサービスとしておりますが、当社グループ事業の発展のためには、主にインターネットを利用して働くフリーランス(副業・複業含む)の労働人口の増加や関連市場の拡大が必要であると考えております。国内の労働人口は2030年には現在の6,600万人から5,900万人と約10%の減少が見込まれる中、広義のフリーランス人口は新型コロナウイルス感染症流行前の2020年2月に実施した調査と比較し49%増の1,577万人にのぼったという調査結果が出ております(「新・フリーランス実態調査2021‐2022年版」)。

 しかしながら、今後、国内の労働に係る法規制や人口動向等の理由によりフリーランス人口の増加が鈍化、副業が浸透しない、もしくは市場環境が変化する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクシナリオが顕在化する可能性は比較的低いものと考えておりますが、かかるリスクに対応するため、当社グループでは労働関連法規制についての情報収集に努めております。

 

③関連法規制

 当社グループは「すべてのビジネスを『ランサーの力』で前進させる」、「誰もが自分らしく才能を発揮し、『誰かのプロ』になれる社会をつくる」というビジョンのもと、事業主として働くフリーランスを支援するサービスを各種展開しておりますが、雇用の斡旋による収入はわずかであり、労働者派遣法の適用を受けるような事業も行っておりません。また、オンラインスタッフィング領域においては、ユーザー間の商取引の円滑な決済のため、エスクロー方式により当社グループが報酬を受け取るべきフリーランスの代理として仕事の依頼者から一時的に報酬を受領する等、決済の領域でもユーザーへの価値を提供しておりますが、出資法及び資金決済法の適用を受けてはおりません。当社グループでは事業運営に当たり、これら法令に抵触することが無いよう、顧問弁護士等の外部専門家と協議し、法改正等の情報収集を行い、従業員教育等を徹底するとともに法令順守体制の構築と強化を図っております。
 しかしながら、これらの法令の改正や新たな法令の制定、監督官庁の見解の変更、社会構造の変化等想定外の事態の発生等により当社グループの展開する事業が法令に抵触した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクシナリオが顕在化する可能性は比較的低いものと考えておりますが、かかるリスクに対応するため、当社グループでは法規制についての情報収集に努めております。

 

 

④技術革新への対応

 当社グループが事業展開しているインターネット関連市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に早く、インターネット関連事業の運営者はその変化に柔軟に対応する必要があります。
 しかしながら、当社グループにおいて技術革新やユーザーニーズの変化に対応できない場合、または変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、急速な技術革新に対応すべく優秀な技術者の採用・育成等に積極的に取り組むほか、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築することにより、ユーザーニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。

 

2.事業内容に由来するリスク

①競争環境の変化

 当社グループはプラットフォーム事業を主たる事業領域とし、インターネットを活用した新しい働き方の創出を目指しておりますが、労働の分野においては昨今のクラウドソーシング領域のサービスを含め多くの企業が事業展開をしております。

 そのため、当社グループと同様のサービスを展開する企業等との競合激化や、十分な差別化が図られなかった場合、あるいは事業領域の構造自体に革新的な変化が発生した場合に、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、適切なユーザビリティを追求したサービスの構築、サイト利用時の安全性の確保やカスタマーサポート機能の充実、またフリーランスの活躍を第一に考えた行動規範に基づいた事業展開等に取り組み、競争力の向上を図っております。

 

②新規事業の不確実性

 当社グループの今後の事業展開として、「個のエンパワーメント」というミッションを達成するため、事業規模の拡大と高収益化を目指し、既存事業に留まらず新規事業開発に積極的に取り組んでいく方針ですが、とりわけ新規事業の立ち上げについては、既存事業よりリスクが高いことを認識しております。今後新たに展開する可能性のある各種サービスにおいて、入念な市場分析や事業計画の構築にも関わらず、予測とは異なる状況が発生し、計画通りに進まない場合には、投資資金を回収できず当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 このような、新規事業の立ち上げに伴って当該リスクが顕在化した場合であっても、当社グループの事業及び業績への影響を最小限とするべく、モニタリング体制を強化しております。

 

③サービスの収益性

 当社グループにおいては、IT技術の進展に伴う新たな機能の追加を継続して行い、サービスの活性化及びユーザビリティの強化等に積極的に取り組むとともに、常にユーザーにとって価値ある新しいサービスが提供できるよう努めております。
 しかしながら、予期せぬ事象の発生等により、想定していた収益が見込まれなくなった場合、あるいは当該開発におけるシステム投資費用及びそれに付随する人件費等のコストが想定以上に必要となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 そのため、新しいサービスの開発を行う際には、当該新サービスの収益性について十分検討した上で進める体制を構築しております。

 

 

④サイトの安全性・健全性

当社グループが運営するサイトでは、ユーザー間の取引が円滑に行われるために仕事の依頼や提案を行う際、及び取引が実際に行われたユーザー間で評価を行う際に、自由に情報を発信できる機能を提供しておりますが、事実でない情報、誹謗中傷にあたるような情報等が記載されるリスクがあります。また、不適当な書き込みを当社グループが発見できなかった、あるいは発見が遅れたことにより、当社グループが責任を問われる可能性があるほか、インターネット上の悪意のある口コミ投稿などにより、当社グループの運営するサイトまたはサイト運営者としての当社グループについて、信用低下・イメージが悪化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

これらに対して、当社グループでは、利用規約やガイドラインを制定するとともに、仕事依頼及び投稿内容の監視を行い、事実でない情報、誹謗中傷等、当社グループが不適当と判断した場合にはその内容を、事前あるいは事後に削除し、サイトの健全性の維持を図っております。

 

⑤情報セキュリティ

 当社グループは、運営するプラットフォーム事業において個人情報及び機密情報を保有しております。当社グループでは、個人情報及び機密情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、情報の管理を事業運営上の重要事項と捉えております。
 しかしながら、外部からの不正アクセスや社内管理体制の瑕疵等により個人情報または機密情報が外部に流出し、当社グループへの損害賠償請求があった場合、社会的信用が失墜した場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクが顕在化しないために、当社グループでは、情報セキュリティポリシーを制定し、個人情報及び機密情報を厳格に管理するとともに、セキュリティ関連の規程及びマニュアルを制定して役員及び従業員を対象とした社内教育を実施する等、情報管理を徹底する体制を構築しておりますなお、当社は、2017年4月に一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)からプライバシーマーク制度の認証を受けており、2021年4月に更新を行っております。

 

⑥システム障害

 当社グループが運営するプラットフォーム事業は、「Lancers.jp」というシステムを通してサービスを提供しており、システム及びインターネット接続環境の安定的稼働は事業を行っていく上での大前提となっております。
 しかしながら、自然災害や事故、ユーザー数やトラフィックの急増、ソフトウエアの不具合、ネットワーク経由の不正アクセスやコンピュータウイルスの感染等の予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、サーバーの不測の事態による停止や蓄積されたデータの消失による事業への影響を防ぐため、データをクラウド上に保存しリスク回避を行っております。また、外部からの不正なアクセスを防ぐため、必要なセキュリティ体制を確保しております。

 

⑦知的財産権の侵害

 当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性については、専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、損害賠償請求や使用差止請求等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

3.その他のリスク

①継続的な投資

 当社グループは、継続的な成長のため、認知度の向上、ユーザー数の拡大、及び新規サービスの拡充に努めてまいりました。具体的には、当社グループの知名度を高めるためのマーケティングや新規ユーザー獲得のための広告宣伝費の投資、及び新規サービス開発に向けた人件費の増加や外注費の発生があります。

 今後も新規サービス及び機能の開発・拡充に向けた投資や広告宣伝費の投資を行っていく予定ですが、想定通りに投資効果が得られず費用負担が拡大した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、予実管理体制を強化し、適宜投資効果をモニタリングしております。

 

②特定人物への依存

 当社の代表取締役社長である秋好陽介は、当社の創業者であり、創業以来の最高経営責任者であります。同氏は、当社グループの経営方針や事業戦略の決定のみならず、営業、技術、財務の各方面の事業推進において極めて重要な役割を果たしております。
 しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、取締役会等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。

 

③少人数編成の組織

 当社グループは業務執行上必要最低限の人数での組織編成となっております。

 しかしながら、施策が適時適切に遂行されなかった場合、又は従業員の予期せぬ退職があった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 このような状況に陥らないためにも、今後は事業の拡大に応じて人材の確保及び育成を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針であります。

 

④人材の獲得と育成

 当社グループは、今後の継続的な成長及び事業規模拡大を実現するために当社グループのミッション及びビジョンに共感し、高い意欲を持った優秀な人材を継続的に採用し、強固な組織を構築していくことが必要であると考えております。

 しかしながら、当社グループの求める人材が十分に確保・育成できない場合や人材流出が進んだ場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 そのため、当社グループでは、継続的な事業拡大を見据えた人事制度の導入等、優秀な人材を確保し、適切に育成・配置していくための施策を実行し、当該リスクシナリオの顕在化の可能性を低減させることに努めております。

 

⑤内部管理体制の強化

 当社グループの継続的な成長のためには、内部管理体制についてさらなる強化・充実を図る必要があると認識しておりますが、事業が急拡大することにより、事業規模に合った内部管理体制の構築に遅れが生じた場合には、適切な業務運営が困難になり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 当該リスクを低減させるため、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令順守を徹底してまいります。また、今後も継続してM&A等を実施しながら事業拡大を実施していくため、子会社管理体制の強化、連結グループとしての財務報告の信頼性確保等、グループとしてのコンプライアンス体制や内部管理体制の強化を図ってまいります。

 

⑥ストック・オプション行使による株式価値の希薄化

 当社グループでは、役員及び従業員並びに事業支援者に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は1,007,300株であり、発行済株式総数15,745,144株の6.4%に相当します。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。

 

⑦税務上の繰越欠損金

 当社グループは、税務上の繰越欠損金を有しており、当社グループの業績が順調に推移することにより期限内にこれら繰越欠損金の繰越控除を受けられる可能性があります。
 しかしながら、当社グループの業績の下振れ等により繰越期限の失効する繰越欠損金が発生した場合には、課税所得からの控除が受けられなくなり、課税所得に対して通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課されることとなり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧M&A

 当社グループは、事業の成長加速のため、必要に応じてM&Aを実施しております。M&A前の段階において、対象会社の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行い、リスクを吟味した上で判断及び実行しております。

 しかしながら、投資後に偶発債務や未認識債務の判明等、事前の調査において認識できていなかったリスクが生じた場合や、投資後の事業の統合が計画通り進まない場合は、対象会社の株式価値や譲受けた事業資産の減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を与える可能性があります。

 また、当社グループが過去に実行したM&Aに伴い、のれんを計上しておりますが、今後、株式取得時の業績計画が達成できない見込みとなり減損処理が必要となった場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を与える可能性があります。当該リスクに対応するため、当社グループでは適切なデューデリジェンスの実施及び各事業の戦略目的を達成するために適切な人材を配置し組織体制を整備してまいります。

 

新型コロナウイルス感染症

 当社グループでは、全従業員に対して感染疑いや体調不良時の就業に関する対応方針を周知徹底し、事業活動を継続しつつ感染拡大防止のための措置を講じております。今後新型コロナウイルス感染症の収束が思うように進捗せずに再度緊急事態宣言の発出による外出自粛や営業自粛で国内経済の停滞が長期化した場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の分析

 当連結会計年度においては、生活様式の変化により高まったDX需要が経済活動の再開によって拡大し、それに伴うIT人材不足という市場課題が顕在化しました。それによりテックエージェント事業の主要サービスである「Lancers Agent」においては、再成長・拡大のフェーズとなりました。一方で、前連結会計年度急拡大したマーケットプレイス事業の主要サービスである「Lancers」においては、プロダクト・マーケティング・新規サービス投資を強化したものの、投資回収が後ろ倒しとなり、当連結会計年度における成長は限定的となりました。マネージドサービス事業については、一部撤退(受託型サービス「Lancers Outsourcing」の撤退)を予定しておりましたが、成長性と収益性を鑑み定額型サービスを含むマネージドサービス事業の完全撤退に方針を変更いたしました。このような事業撤退及び継続的な投資活動を行った背景から、当連結会計年度は営業損失となりました。

 以上の取り組みの結果、当連結会計年度の売上高は4,073,447千円(前年同期比5.3%増)となり、営業損失は367,013千円(前年同期は営業利益36,722千円)、経常損失は358,491千円(前年同期は経常利益48,545千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は672,369千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益37,109千円)となりました。

 特別損益においては、当社のマネージドサービス事業の完全撤退に伴い当社が運営している定額型サービス「Lancers Assistant」「Lancers Creative」を撤退し、当該サービスの一部顧客資産を当社の既存サービスへ移管するため、「Lancers Creative」に関するのれん及びソフトウエアに関して減損損失220,873千円を計上いたしました。また当社が保有する投資有価証券のうち、簿価に比べて実質価格が著しく下落したものについて投資有価証券評価損10,951千円を計上しました。


②財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度における総資産につきましては、前連結会計年度末と比較して592,881千円減少し、2,840,459千円となりました。これは主に、流動資産において現金及び預金が437,124千円減少したこと、固定資産においてソフトウエア仮勘定が106,171千円増加したものの、のれんが256,734千円減少したこと等によるものです。

 

(負債)

当連結会計年度における負債につきましては、前連結会計年度末と比較して55,964千円増加し、1,652,032千円となりました。これは主に、流動負債において未払消費税等が36,285千円減少したものの、未払金が73,914千円、預り金が38,191千円増加したこと等によるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して648,846千円減少し、1,188,427千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により利益剰余金が671,252千円減少したこと等によるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して445,257千円減少し、1,654,274千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、313,237千円の支出(前年同期は241,016千円の収入)となりました。これは主に、減損損失の計上220,873千円があったものの、税金等調整前当期純損失の計上655,569千円、未払消費税等の減少額55,413千円があったこと等によるものです。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、145,284千円の支出(前年同期は279,635千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が167,402千円あったこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、14,883千円の収入(前年同期は85,665千円の収入)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入が14,883千円あったことによるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております

 

b.受注実績

当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、当該記載を省略しております

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

(単位:千円)

事業の名称

金額(千円)

前年同期比(%)

プラットフォーム事業

4,073,447

+5.3

合計

4,073,447

+5.3

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、当社グループのサービス経由で取引される金額の総額である流通総額と、クライアント及びランサーへ提供される付加価値を示す売上総利益の最大化を重視した経営を行っております。

当連結会計年度の売上総利益につきましては2,003,270千円(前年同期比4.0%増)と順調に推移しております。

なお、当社グループの流通総額の推移は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

④資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要としては、事業の拡大に伴う人件費、外注費、クライアント獲得や認知度向上のための広告宣伝費に加え、M&A等の投資を実施する方針であります。当社グループは、財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。