文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「個のエンパワーメント」をミッション、「すべてのビジネスを『ランサーの力』で前進させる」、「誰もが自分らしく才能を発揮し、『誰かのプロ』になれる社会をつくる」をビジョンに、インターネットを通じてクライアントとランサー双方への価値提供を行っております。インターネットの力で、仕事を依頼したいクライアントにはプロフェッショナルな人材をフリーランスという柔軟な形で提供し、また仕事をしたい個人には時間や場所に依存しない新しい働き方を提供することで、「個」がより活躍できる新たな社会の仕組みを構築しています。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、当社グループのサービス経由で取引される金額の総額である流通総額と、クライアント及びランサーへ提供される付加価値を示す売上総利益(流通総額にテイクレート(注)1を乗じて算出されるもの)の最大化を重視した経営を行っております。クライアント及びランサーの利用促進をすべく機能拡充等を行うことでテイクレートを高めることを目指しております。なお、過去5年間における流通総額及び売上総利益の推移は以下の通りであります。
(注)1.テイクレートとは流通総額に対して課される手数料率になります。
(注)2.「Lancers AREA PARTNER」、「シェアフル」等の事業は含まれておりません。
①当社グループの強みとプラットフォームの特徴
当社グループでは、運営するプラットフォームをより信頼性の高いものとするため、主に3つの取り組みを実施しております。
(ⅰ)信頼を可視化するテクノロジー
当社グループは実名、顔写真の入力を推奨しております。クライアントが、プラットフォームで得られるランサー情報は多岐にわたりますが、実名・顔写真が見えることで、信頼性の高いランサーが多数在籍していることを認識いただけると考えております。当社グループではこのように実名や顔写真を登録し、更にプロジェクト完了率や評価等を含めた一定の基準をクリアしたランサーを「信頼ランサー」(注)と呼んでおり、当社グループ独自のアルゴリズムを用いてスコアの高いランサーからクライアントに候補者として表示される仕組みを構築しております。
(注)「Lancers」では、2018年8月よりランク制度を設けております。こちらのブロンズランク~認定ランサーランクまでを信頼ランサーと定義し、当社グループでは当該信頼ランサー数の拡大に注力しております。
(ⅱ)信頼を活かすマッチングアルゴリズム
クライアントがプラットフォーム上で依頼を行うと、AIによって依頼内容と金額を過去の類似案件データの成約率や独自に調査した市場データ等の情報から査定され、適正な価格の案件を識別できるようになっております。またランサーに関しても、上述した仕組みに則り、信頼ランサーでかつスキルがクライアントのニーズに合致したランサーが上位に表示される設定になっております。このように適正な依頼と適正なランサーとの効率的なマッチングをすることがプラットフォームにおける継続的な利用につながると考えており、現に、初めて「Lancers」で依頼するクライアントに信頼ランサーをマッチングさせることにより、信頼ランサー以外にマッチングした場合と比較して、該当クライアントの成約率や依頼金額は増加することが確認されております。
(ⅲ)信頼できるランサーを増加・定着させる仕組み
ランサーの中でも特に信頼ランサーを増加・定着させる仕組みとして、「MENTA」、「新しい働き方LAB」、「Lancer of the Year」等のサービス及び取り組みがあります。2020年10月にグループ化したイリテク株式会社(現MENTA株式会社)が運営している「MENTA」は、教えたい人と学びたい人を繋ぐオンラインメンターサービスであり、更に国内外に18拠点を持つランサー向けのコミュニティ「新しい働き方LAB」ではフリーランス同士のコミュニティの活性化や教育機会の提供を行っております。このように「MENTA」や「新しい働き方LAB」を通じてスキルを習得し、そのスキルを活かして「Lancers」にて仕事を獲得するというサイクルを確立し、信頼できるランサーを育成・確保しております。当連結会計年度においては、学びの先にある”プロフェッショナルとしての実務”を見据えた仕事連動型の教育サービス「Lancers Digital Academy」をリリースし、デジタル分野のトップエキスパートが監修・制作した教材を使用した最先端デジタルスキルの習得と、フリーランスの安定的な案件獲得と報酬単価の増加を支援しております。また2015年から毎年開催しているランサーを表彰するイベント「Lancer of the Year」では、ランサーのモチベーション向上を図り、ランサーが「Lancers」のプラットフォームを通じて仕事を獲得できる知見の共有を行っております。このような取り組みを通じて、フリーランスになって一定以上収入を得るようになった場合でも継続的に当社グループのプラットフォームをご利用頂ける動機付けをしております。
②短期的な成長戦略
当連結会計年度においては、昨今の生活様式の変化によって高まったDXニーズが経済活動の再開によって拡大し、それに伴う人材不足という市場課題が顕在化しました。このような中、マーケットプレイス事業はマーケティングやプロダクト等の各施策による新規クライアントの獲得、また各種機能充実等付加価値向上によるテイクレートの改善、エージェント事業は人員数を増加し営業力の強化と生産性改善を図ってまいりました。今後に向けては引き続き主力事業の成長戦略を推進し、「Lancers」は注力カテゴリーを中心としたマーケティング強化による認知拡大、「Lancers Agent」は、営業力強化による生産性向上及びマーケティング強化やターゲティング戦略によるクライアントの拡大、及び「Professionals On Demand」は当社との連携強化による成長土台の構築並びに経営の効率化を図り、更なる販売管理費の適正化によって、当社グループ全体での恒常的な黒字化を目指してまいります。
③中長期的な成長戦略
当社グループのサービス利用を通じて獲得したランサー及びクライアントの仕事の実績データを活かして、スコアリングを活用した周辺事業への拡大、仕事領域に限定されない新しい報酬機会や価値の提供を行いたいと考えております。更に、プロダクトでのマッチングの仕組みの多様化、カスタマーサクセスによる継続利用の促進等プラットフォームの進化によるクライアントLTVの拡大を目指してまいります。
また、市場ニーズを踏まえた新しいカテゴリーの立ち上げ、付加価値の高い領域を強化し、上流工程から運用までの一気通貫によるDX支援等、カテゴリーの拡大による新規クライアントの獲得を加速していきたいと考えております。
将来的には、「労働人口の減少」、「IT人材不足」、「企業生産性の低迷」という日本の社会課題を、自社の強みや事業活動を通じて解決することで、さらなる価値創造を目指していきたいと考えております。
当社グループは、更なる事業拡大と収益基盤安定化のために、以下の事項を重要な課題として認識し、対処してまいります。
①広義のフリーランス市場の拡大と業界の健全な発展
「新・フリーランス実態調査2021‐2022年版」(注1)によると、広義のフリーランス(注2)人口は1,577万人、その経済規模は24兆円となりました。新型コロナウイルス感染症流行前の2020年2月に実施した調査と比較すると広義のフリーランス人口は約515万人、経済規模は約6兆円増加しております。国策としての働き方改革や、企業における新しい働き方に関する制度導入、新型コロナウイルス感染症流行による在宅勤務の増加等により、個人の働き方に関する価値観が変容してまいりました。隙間時間を活用して本業以外の仕事に取り組む人や働き方そのものを見直して独立を選択した人が増加し、フリーランス市場が拡大したと推察しております。こうした潮流を受け、2023年4月にはフリーランス保護を目的としたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が成立する等、今後も市場拡大が見込まれることと想定しております。
このような市場の中で、当社グループは国内における主要企業として、各種の業界団体での活動やフリーランスを支援する取り組み、品質向上委員会の活動等、市場の認知度拡大・啓蒙活動や業界の健全な発展に引き続き努めてまいります。
(注1)「新・フリーランス実態調査2021-2022年版」は、当社グループが株式会社マクロミルに依頼した、過去12か月に仕事の対価として報酬を得た全国の20歳以上の成人男女を対象にして2021年9月から10月にかけて実施した調査であり、3,094人から回答を得てまとめたものです。
(注2)「広義のフリーランス」とは、特定の会社に属さずに報酬を得ている「専業フリーランス」に加え、専業フリーランスではないが直近1年間にフリーランスとしての報酬を得たことがある人(副業をしている一般の会社員等)を含んだグループを示します。「新・フリーランス実態調査2021-2022年版」ではフリーランスを①副業系すきまワーカー、②複業系パラレルワーカー、③自由業系フリーワーカー、④自営業系独立オーナーの4つに分類しており、広義のフリーランスにはこの4タイプのフリーランスが含まれます。
②事業の継続的な成長と発展
当社グループが継続的に成長していくためには、既存クライアント利用社数及び1クライアントあたりの利用額を拡大すると同時に、新規事業や新市場の開拓にも取り組んでいく必要があると考えております。当連結会計年度においては、フリーランスのリスキリングニーズを満たし高スキル人材の育成を行う教育事業にも進出し、フリーランスの安定的な案件獲得と報酬単価の増加を支援してまいりました。当社グループは更なる発展に向けて、業界の主要企業としての実績を軸とした強固な顧客基盤やブランドの確立に努めつつ、これまでに蓄積された仕事実績のデータ資産やプラットフォーム運営ノウハウを活かした新規事業領域の開拓に積極的に取り組んでまいります。
③サイトの安全性と健全性の確保
当社グループのサイトにおいては、取引のプロセスにおいて、発注側の企業(クライアント)と受注側の個人(ランサー)の間で直接コミュニケーションが発生するため、双方のユーザーが安心して当社グループのサービスを利用できるように、サイトの安全性と健全性を確保する必要があります。そのため、専任の監視チームが24時間365日で全ての仕事依頼内容を確認しており、不適切な内容は非表示対応や修正していただくよう依頼をしております。また、当社グループは第三者機関によるシステム監査(ペネトレーションテスト)を実施し、脆弱性の是正・監視体制を強化しております。今後もこの取り組みを維持・継続し、サイトの安全性と健全性の確保に努めてまいります。
④システムの安定性強化と運用管理体制の構築
当社グループはインターネット上で重要な個人情報に係るサービスを展開しているため、サーバーレスポンスの観点のみならず、セキュリティの観点からも安定的なシステム体制を構築し運用していくことが重要であると考えております。そのため突発的なアクセス増加にも耐えられるサーバー設備強化を行っていくとともに、セキュリティ関連の規程・マニュアルを制定し、社員に対するセキュリティ研修を実施して、セキュリティ管理体制を強化しております。更に、個人情報関連法を厳格に遵守する体制を構築しております。なお、当社は、2017年4月に一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)からプライバシーマーク制度の認証を受けており、2023年4月に更新を行っております。このようにシステムの安定性強化と運用管理体制の構築と改善に努めてまいります。
⑤新技術への対応
当社グループが属するIT業界では技術革新が絶え間なく行われております。このような中、当社ではメタバースで学べる最先端学習サービスの提供や、生成AI技術を活用した新機能の実装、ブロックチェーンやAI技術を活用したプラットフォーム上でのマッチング精度向上、信頼ランサーのスコアリング等、新技術を積極的に取り入れた開発と各サービスの付加価値向上を目指しております。それらを実現するべくエンジニアの採用・育成・技術投資等を継続的に行ってまいります。
⑥優秀な人材の採用と企業文化の醸成
事業の継続的な成長を実現するためには、優秀な人材を採用すると同時に、全従業員が経営方針を理解して、強い企業文化を醸成していくことが重要であると考えております。当社グループは、「すべてはユーザーのために」「101をやり切る」「あるべきで考え、大胆に行動する」「アクション・アジャイル」「チームクリエイター」という行動指針を掲げ、ユニークな企業文化をグループ全体で更に浸透・発展させるべく、時代に沿った新たな人事制度の構築を行ってまいりました。今後も優秀な人材を確保すべく当社グループのブランド向上と企業文化の浸透に努めると同時に、次期連結会計年度においては収益性を向上させ、恒常的な黒字化と筋肉質な組織基盤を構築してまいります。
⑦経営管理と内部管理体制の強化
当社グループは、事業の継続的な成長を実現していくために、経営管理体制の更なる強化・充実が必要不可欠であると考えております。事業成長に伴って組織が拡大していく中で、経営指標のモニタリングや会議体の設計・運用等を通して、組織の健全かつ効率的なマネジメントを推進してまいります。また、今後更なる事業拡大を図るために、事業基盤を盤石にさせることが重要な課題であると認識しております。今後も継続してM&A等を実施しながら事業拡大を実施していくため、子会社管理体制の強化、連結グループとしての財務報告の信頼性確保並びにコンプライアンス体制や内部管理体制の強化を図ってまいります。そのために、従業員に対して業務フローやコンプライアンス、情報管理等を徹底認知させ、内部管理体制強化を図るとともに業務の効率化を行ってまいります。
(5)事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、現時点において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
それに対し、当社グループは当該重要事象等を解消するべく、以下の対応策を講じることにより収益改善及び財務基盤の安定に取り組んでまいります。
当社グループの事業ポートフォリオの見直しを行っております。具体的には、当連結会計年度においてマネージドサービス事業の完全撤退をすることで当社グループの収益性改善を図り、成長性・収益性の高いマーケットプレイス事業とエージェント事業の主力2事業への投資に集中し今後も成長を加速させてまいります。更に、2022年6月に子会社化した株式会社ワークスタイルラボとの連携や協業を強化していくことで事業シナジーを創出し、当社グループの競争力を強化してまいります。
②主力2事業の収益性の改善
マーケットプレイス事業においては、前連結会計年度にプロダクト・マーケティング・新規サービス投資を強化したものの、投資効果が後ろ倒しとなっております。そのため、当連結会計年度においては、より規律ある投資を推進しておりました。具体的には、前連結会計年度において効果のあった施策への集中や、テイクレート改善等、当該事業の売上総利益の拡大及び収益安定化に向けた投資を行ってまいりました。2022年10月の手数料改定実施やプロダクトアップデートにより一定の効果が現れております。
また、エージェント事業については、組織拡大や付加価値の高いコンサルティング領域への職種拡大等売上総利益の拡大を推進するとともに、営業活動の効率化による一人あたり売上総利益を拡大することで収益性の改善も進めております。更に、2023年4月に主要サービス「Lancers Agent」を運営するランサーズエージェンシー株式会社を吸収合併し、マーケティング・営業組織の強化を図り成長を加速させるとともに、経営資源の効率化による収益性改善にも着手してまいります。
③販管費の更なる適正化
当社グループは、事業拡大のための先行投資が続いたことにより、販管費が増加しております。このような状況を鑑み、当社グループでは、当連結会計年度において、すべての販管費の見直しを行い、適正なコストコントロールができる状態に改善をしております。また、稟議等のワークフローのプロセス改善や組織体制の適正化・強化等の改善策も行い、生産性高く事業運営ができるようプロセス及び組織の整備を進めております。
④資金の確保
現金及び預金については、前連結会計年度末1,600,779千円から当連結会計年度末は、1,295,573千円と減少しております。しかしながら、従来より主要取引銀行との当座貸越契約を締結することで、安定的な資金調達枠を確保し、それに加えてコミットメントライン契約も締結し、機動的な資金調達枠も確保しております。その結果、総額1,210,000千円の資金調達枠を確保しており、当社グループの事業運営資金について充分な水準を維持することが可能な状態となっております。
当社グループでは、「個のエンパワーメント」をミッションに掲げ、すべての人が自分らしく才能を発揮し、誰かのプロになれる社会の実現に貢献し、自社の持続的成長を図ることを経営理念としています。そのために、以下のサステナビリティ方針を掲げます。
<サステナビリティ方針>
・労働力人口の減少に伴う人材不足の解消に貢献します。
・IT人材不足の解消に貢献します。企業生産性の向上に貢献します。
・環境負荷の低減に努め、地球環境の保全に貢献します。
・社会課題の解決に取り組むとともに、より豊かで安心・安全な社会の実現に貢献します。
・多様性を尊重し、すべての人にとって働きやすい職場環境をつくります。
・法令および社会規範を遵守し、公正な事業活動を行います。
私たちは、これらの方針に基づいて、サステナビリティに関する取り組みを推進し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループのサステナビリティを推進する社内体制としては、取締役会によって選任されたサステナビリティ推進担当役員による管轄のもと、当社のサステナビリティに関わる活動方針の立案や活動の推進と共に、各種報告書の情報発信等対外的なコミュニケーションを行います。更にステークホルダーとの対話を実施し、外部より受けた様々な意見や活動を通じて特定された課題を取締役会に報告すると共に関連部署にフィードバックし経営施策に反映させていきます。サステナビリティ推進担当役員は、原則として年に一度、取締役会において当社グループのサステナビリティ全般に関する活動状況を報告し、レビューを受けます。
当社グループのガバナンスに関する基本的な考え方は、
また、当社グループのリスク管理については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項」に記載しておりますので、ご参照ください。
<気候変動に対する考え方及び取組>
当社グループは、インターネットを通じてクライアント・ランサーが取引するサービスを展開していることもあり、気候変動による直接的影響は僅少であると考えております。しかしながら、当社グループは、多くの人に価値と成長機会を提供し、個人の生活・働き方・在り方の変革を提示することで、未来世代に向けた地球環境保全への取り組みを継続的に実現してまいります。また、持続可能な地球環境を実現し、未来の世代へ引き継いでいけるよう、事業活動で生じる環境負荷の低減や持続可能な環境維持への取り組み及び継続的な改善に努めてまいります。
具体的には、オンライン上でのサービス運営により従来の紙媒体が主流の工程のぺーパレス化や通勤時間・移動時間の削減とサービス運営を通じた環境負荷低減に貢献しております。また、当社オフィスにおいても廃棄物の削減や空調機器の電力使用量削減に努め省エネルギー化を遂行しております。
当社グループの環境に対する基本的な取り組みについては、
(注) 1.Scope2はオフィスにおける電気使用にかかる二酸化炭素排出量を示しております。
2.対象は本社オフィスになります。
3.CO2排出係数は0.456kg-CO2/kwhを使用しております。
<人的資本・多様性に対する考え方及び取組>
当社グループは、多くの人に価値と成長機会を提供し、個人の生活・働き方・在り方の変革を提示することでより豊かな社会づくりに貢献します。創業以来掲げているミッション「個のエンパワーメント」こそが我々のサステナビリティ・ステートメントであり、持続可能な社会の実現に貢献していると考えております。
(1)従業員に対する取組
当社グループは、ミッションである「個のエンパワーメント」の実現のため、次世代の働き方の変革者として、従業員に対して、ミッション・ビジョン・行動指針に共感した仲間を従業員として採用、ランサーズの事業をリードできる人材の確保に努めています。
◆価値創造の源泉である全従業員と共創ランサーに対する考え方
当社グループは、変化や多様性が高い社会において継続的に価値創造していくためには、価値創造の源泉である当社グループの従業員と共創しているランサー(以下「共創ランサー」)を含む広義の人的資本の強化が重要であると考えております。
当社グループでは、行動指針Lancers Way(以下「L-way」)として「すべてはユーザーのために」「101をやりきる」「あるべきで考え、大胆に行動する」「アクション・アジャイル」「チームクリエイター」を掲げ、全てのメンバーが理解し実行することを推奨しております。従業員の中からL-wayを体現している人材を「101リーダー」として積極的に登用して機会提供すると共に、L-way浸透研修を実施する事で、専門性と多様性を活かしたマネジメント力の強化を図っております。
また、当社グループの仕事を従業員と共に担っている「共創ランサー」との仕事機会やフリーランスからのインプットを得る機会等を通じ、従業員がランサーと同一のスタンスや仕事基準、更にサービスに対する愛着・誇りを持つことを目指しております。このような取り組みを通じて、組織のケイパビリティを向上させ、中小企業の生産性向上への寄与や個人をプロデュースできる人材要件の充足を図り、最終的に当社グループの一人当たり売上総利益が向上することを目指しております。当社グループでは、人的資本の中心となる従業員及びランサーに対する働きがいを促進する目標値として、3年後に101リーダー及び共創ランサーの働きがいスコアを80%にすることを定めております。
(注) 働きがいスコアとは、101リーダー及び当社と仕事機会のあるランサー(共創ランサー)に調査した働きがいのスコアを示しております。
◆多種多様な働き方・制度
雇用形態の垣根を作らず、ランサーと共創した事業展開や正社員からランサー、ランサーから正社員の雇用切り替えも柔軟に行える「オールランサーズ」という考え方や、副業やリモートワーク制度やボランティア等自由なことに使用できるX休暇制度などすべての従業員が活躍できる制度の導入及び活用し易い環境作りを行っております。
(注) 正社員(一般職)を対象とした従業員1人あたりの所定外労働時間の年間平均を12ヶ月で除したものになります。
◆女性の活躍・ダイバーシティの推進
当社グループでは、性別・国籍・宗教・雇用形態に関係なく、誰もが自分らしく活躍でき、そしてお互いに称賛するカルチャー及び制度が浸透しています。取締役においての女性比率は20%、また、執行役員・部長職・マネージャー職の女性管理職割合は35%以上となっており、出産・育児のための休暇・休業制度の活用など性別に関係ない組織環境を推進しております。昨今は、特別休暇制度の対象範囲(事実婚、同性婚)を広げるなど各種制度をダイバーシティ観点から見直しております。
当社グループでは、事業だけではなく社内組織においても、社外人材を活用をしており、そのため、社内だけでなく社外に対しても、性別・国籍・宗教・雇用形態に関係なく、お互いに共創・称賛するカルチャーを浸透できるように日々全従業員で取り組んでいます。
(2)ランサー(個人)に対する取組
当社グループは、ミッションである「個のエンパワーメント」の実現のため、ランサーに対して「誰もが自分らしく才能を発揮し、『誰かのプロ』になれる社会をつくる」をビジョンとして掲げております。当社グループは、好きな場所に住み、好きな時間に働き、自分らしく稼ぐことができる社会をインターネットの力によって創造したいと考えています。現在、当社グループのプラットフォームに登録しているランサーの約7割が地方に居住されています。当社グループのサービスを利用することによって、居住地、出産、介護、リタイア等でやむ得ず働くことを制限された方へ新しい働き方や生きがいを提供し、また多様性を生み出しやすくする取り組みを通じて、個人が自由に満足して働ける社会環境を構築してまいります。
◆価値創造の源泉である信頼ランサーに対する考え方
当社グループでは、信頼性が担保され、高品質や高単価なプラットフォームを目指しております。この実現においては、多くの信頼できるランサーを確保し、継続的にご利用いただくことが重要と考えております。そのためには、フリーランスに生じる課題を解決していくことや信頼性を可視化することによってランサー価値を高めていくサイクルをサービスを通じて図ってまいります。
◆フリーランスに生じる課題と解決に向けた取組
フリーランスとして働いている方に多く生じる課題として、「人と人との繋がり(コミュニティ)が希薄」、「教育・成長機会が不足」等があります。当社グループでは、この課題はフリーランスとして活躍する上での障壁になりうると考え、個人の働きがいの基礎となる、信頼スコア・報酬・スキルを向上させる機会を提供することで、課題解決を図っております。具体的には、人と繋がるコミュニティの提供や年1回の祭典「Lancer of the Year」の開催、スキル習得・成長機会を促すサービスとして「Lancers Digital Academy」や「MENTA」のサービス提供等を通じて解決を図っております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項をリスク要因として以下に記載しております。
また、必ずしもリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に由来するリスク
①景気動向の影響
当社グループはオンライン上で企業と個人をマッチングするプラットフォーム事業を展開しております。当社グループでは、今後も市場の成長が継続するものと見込んでおり、クライアントのニーズに応じて機能を追加する等により事業展開をより一層進める計画であります。
しかしながら、今後、国内外の経済情勢や景気動向等の理由により市場の成長が鈍化、もしくは市場環境が変化する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクシナリオが顕在化する可能性は比較的低いものと考えておりますが、かかるリスクに対応するため、当社グループでは市場の動向についての情報収集に努めており、当該リスクが当社グループに実際に大きな影響を及ぼす可能性は限定的と考えられます。
②労働関連法規制及び労働人口の動向
当社グループはプラットフォーム事業を主たるサービスとしておりますが、当社グループ事業の発展のためには、主にインターネットを利用して働くフリーランス(副業・複業含む)人口の増加や関連市場の拡大が必要であると考えております。国内の労働力人口は減少が見込まれる中、広義のフリーランス人口は新型コロナウイルス感染症流行前の2020年2月に実施した調査と比較し49%増の1,577万人にのぼったという調査結果が出ております(「新・フリーランス実態調査2021‐2022年版」)。また、2023年4月にはフリーランス保護を目的としたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が成立する等、今後も市場拡大が見込まれることと想定しております。
しかしながら、今後、国内の労働に係る法規制や人口動向等の理由によりフリーランス人口の増加が鈍化、副業が浸透しない、もしくは市場環境が変化する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクシナリオが顕在化する可能性は比較的低いものと考えておりますが、かかるリスクに対応するため、当社グループでは労働関連法規制等についての情報収集に努めております。
③関連法規制
当社グループは「すべてのビジネスを『ランサーの力』で前進させる」、「誰もが自分らしく才能を発揮し、『誰かのプロ』になれる社会をつくる」というビジョンのもと、事業主として働くフリーランスを支援するサービスを各種展開しておりますが、雇用の斡旋による収入はわずかであり、労働者派遣法の適用を受けるような事業も行っておりません。また、ユーザー間の商取引の円滑な決済のため、エスクロー方式により当社グループが報酬を受け取るべきフリーランスの代理として仕事の依頼者から一時的に報酬を受領する等、決済の領域でもユーザーへの価値を提供しておりますが、出資法及び資金決済法の適用を受けてはおりません。当社グループでは事業運営に当たり、これら法令に抵触することがないよう、顧問弁護士等の外部専門家と協議し、法改正等の情報収集を行い、従業員教育等を徹底するとともに法令順守体制の構築と強化を図っております。
しかしながら、これらの法令の改正や新たな法令の制定、監督官庁の見解の変更、社会構造の変化等想定外の事態の発生等により当社グループの展開する事業が法令に抵触した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクシナリオが顕在化する可能性は比較的低いものと考えておりますが、かかるリスクに対応するため、当社グループでは法規制についての情報収集に努めております。
④技術革新への対応
当社グループが事業展開しているインターネット関連市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に早く、インターネット関連事業の運営者はその変化に柔軟に対応する必要があります。
しかしながら、当社グループにおいて技術革新やユーザーニーズの変化に対応できない場合、または変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、急速な技術革新に対応すべく優秀な技術者の採用・育成等に積極的に取り組むほか、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築することにより、ユーザーニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。
(2)事業内容に由来するリスク
①競争環境の変化
当社グループはプラットフォーム事業を主たる事業領域とし、インターネットを活用した新しい働き方の創出を目指しておりますが、労働の分野においては昨今のクラウドソーシングサービスを含め多くの企業が事業展開をしております。
そのため、当社グループと同様のサービスを展開する企業等との競争激化や、十分な差別化が図られなかった場合、あるいは事業領域の構造自体に革新的な変化が発生した場合に、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、適切なユーザビリティを追求したサービスの構築、サイト利用時の安全性の確保やカスタマーサポート機能の充実、またフリーランスの活躍を第一に考えた行動規範に基づいた事業展開等に取り組み等により、競争力の向上を図っております。
②新規事業の不確実性
当社グループの今後の事業展開として、「個のエンパワーメント」というミッションを達成するため、事業規模の拡大と高収益化を目指し、既存事業に留まらず新規事業開発に積極的に取り組んでいく方針ですが、とりわけ新規事業の立ち上げについては、既存事業よりリスクが高いことを認識しております。今後新たに展開する可能性のある各種サービスにおいて、入念な市場分析や事業計画の構築にも関わらず、予測とは異なる状況が発生し、計画通りに進まない場合には、投資資金を回収できず当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
このように、新規事業の立ち上げに伴って当該リスクが顕在化した場合であっても、当社グループの事業及び業績への影響を最小限とするべく、モニタリング体制を強化しております。
③サービスの収益性
当社グループにおいては、IT技術の進展に伴う新たな機能の追加を継続して行い、サービスの活性化及びユーザビリティの強化等に積極的に取り組むとともに、常にユーザーにとって価値ある新しいサービスが提供できるよう努めております。
しかしながら、予期せぬ事象の発生等により、想定していた収益が見込まれなくなった場合、あるいは当該開発におけるシステム投資費用及びそれに付随する人件費等のコストが想定以上に必要となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
そのため、新しいサービスや機能の開発を行う際には、当該新サービスの収益性について十分検討した上で進める体制を構築しております。
④サイトの安全性・健全性
当社グループが運営するサイトでは、ユーザー間の取引が円滑に行われるために、仕事の依頼、提案、及び取引が実際に行われたユーザー間で評価を行う際には、自由に情報を発信できる機能を提供しておりますが、事実でない情報、誹謗中傷にあたるような情報等が記載されるリスクがあります。また、不適当な書き込みを当社グループが発見できなかった、あるいは発見が遅れたことにより、当社グループが責任を問われる可能性があるほか、インターネット上の悪意のある口コミ投稿等により、当社グループの運営するサイトまたはサイト運営者としての当社グループについて、信用低下・イメージが悪化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
これらに対して、当社グループでは、利用規約やガイドラインを制定するとともに、仕事依頼及び投稿内容の監視を行い、事実でない情報、誹謗中傷等、当社グループが不適当と判断した場合にはその内容を、事前あるいは事後に削除し、サイトの健全性の維持を図っております。
⑤情報セキュリティ
当社グループは、運営するプラットフォーム事業において個人情報及び機密情報を保有しております。当社グループでは、個人情報及び機密情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、情報の管理を事業運営上の重要事項と捉えております。
しかしながら、外部からの不正アクセスや社内管理体制の瑕疵等により個人情報または機密情報が外部に流出し、当社グループへの損害賠償請求があった場合、社会的信用が失墜した場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクが顕在化しないために、当社グループでは、情報セキュリティポリシーを制定し、個人情報及び機密情報を厳格に管理するとともに、セキュリティ関連の規程及びマニュアルを制定して役員及び従業員を対象とした社内教育を実施する等、情報管理を徹底する体制を構築しております。なお、当社は、2017年4月に一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)からプライバシーマーク制度の認証を受けており、2023年4月に更新を行っております。
⑥システム障害
当社グループが運営するプラットフォーム事業は、「Lancers.jp」というシステムを通してサービスを提供しており、システム及びインターネット接続環境の安定的稼働は事業を行っていく上での大前提となっております。
しかしながら、自然災害や事故、ユーザー数やトラフィックの急増、ソフトウエアの不具合、ネットワーク経由の不正アクセスやコンピュータウイルスの感染等の予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、サーバーの不測の事態による停止や蓄積されたデータの消失による事業への影響を防ぐため、データをクラウド上に保存しリスク回避を行っております。また、外部からの不正なアクセスを防ぐため、必要なセキュリティ体制を確保しております。
⑦知的財産権の侵害
当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性については、専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、損害賠償請求や使用差止請求等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(3)その他のリスク
①継続的な投資
当社グループは、継続的な成長のため、認知度の向上、ユーザー数の拡大、及び新規サービスの拡充に努めてまいりました。具体的には、当社グループの知名度を高めるためのマーケティングや新規ユーザー獲得のための広告宣伝費の投資、及び新規サービス開発に向けた人件費の増加や外注費の発生があります。
今後も新規サービス及び機能の開発・拡充に向けた投資や広告宣伝費の投資を行っていく予定ですが、想定通りに投資効果が得られず費用負担が拡大した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、予実管理体制を強化し、適宜投資効果をモニタリングしております。
②特定人物への依存
当社の代表取締役社長 CEOである秋好陽介は、当社の創業者であり、創業以来の最高経営責任者であります。同氏は、当社グループの経営方針や事業戦略の決定のみならず、営業、技術、財務の各方面の事業推進において極めて重要な役割を果たしております。
しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、取締役会等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
③少人数編成の組織
当社グループは業務執行上必要最低限の人数での組織編成となっております。
しかしながら、施策が適時適切に遂行されなかった場合、又は従業員の予期せぬ退職があった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
このような状況に陥らないためにも、今後は事業の拡大に応じて人材の確保及び育成を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針であります。
④人材の獲得と育成
当社グループは、今後の継続的な成長及び事業規模拡大を実現するために当社グループのミッション及びビジョンに共感し、高い意欲を持った優秀な人材を継続的に採用し、強固な組織を構築していくことが必要であると考えております。
しかしながら、当社グループの求める人材が十分に確保・育成できない場合や人材流出が進んだ場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
そのため、当社グループでは、継続的な事業拡大を見据えた人事制度の導入等、優秀な人材を確保し、適切に育成・配置していくための施策を実行し、当該リスクシナリオの顕在化の可能性を低減させることに努めております。
⑤内部管理体制の強化
当社グループの継続的な成長のためには、内部管理体制について更なる強化・充実を図る必要があると認識しておりますが、事業が急拡大することにより、事業規模に合った内部管理体制の構築に遅れが生じた場合には、適切な業務運営が困難になり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクを低減させるため、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令順守を徹底してまいります。また、今後も継続してM&A等を実施しながら事業拡大を実施していくため、子会社管理体制の強化、連結グループとしての財務報告の信頼性確保等、グループとしてのコンプライアンス体制や内部管理体制の強化を図ってまいります。
⑥ストック・オプション行使による株式価値の希薄化
当社グループでは、役員及び従業員並びに事業支援者に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は787,100株であり、発行済株式総数15,836,503株の4.9%に相当します。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。
⑦税務上の繰越欠損金
当社グループは、税務上の繰越欠損金を有しており、当社グループの業績が順調に推移することにより期限内にこれら繰越欠損金の繰越控除を受けられる可能性があります。
しかしながら、当社グループの業績の下振れ等により繰越期限の失効する繰越欠損金が発生した場合には、課税所得からの控除が受けられなくなり、課税所得に対して通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課されることとなり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑧M&A
当社グループは、事業の成長加速のため、必要に応じてM&Aを実施しております。M&A前の段階において、対象会社の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行い、リスクを吟味した上で判断及び実行しております。
しかしながら、投資後に偶発債務や未認識債務の判明等、事前の調査において認識できていなかったリスクが生じた場合や、投資後の事業の統合が計画通り進まない場合は、対象会社の株式価値や譲り受けた事業資産の減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を与える可能性があります。
また、当社グループが過去に実行したM&Aに伴い、のれんを計上しておりますが、今後、株式取得時の業績計画が達成できない見込みとなり減損処理が必要となった場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループでは適切なデューデリジェンスの実施及び各事業の戦略目的を達成するために適切な人材を配置し組織体制を整備してまいります。
⑨継続企業の前提に関する重要事象について
当社グループは、前連結会計年度において営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、また営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しております。当連結会計年度においても営業損失を計上し、また営業キャッシュ・フローのマイナスを計上していることから、現時点において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。しかしながら、3四半期連続で営業損失は縮小し、当第4四半期(2023年1月~2023年3月)においては営業利益を計上しております。また、来期においても通期黒字化の予定であり順調に進捗しております。更に、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(5)事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策」に記載のとおり、当社グループは、当該重要事象等を解消するための対応策を推進しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
⑩新型コロナウイルス感染症
当社グループでは、全従業員に対して感染疑いや体調不良時の就業に関する対応方針を周知徹底し、事業活動を継続しつつ感染拡大防止のための措置を講じております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症による影響については、今後の広がりや収束時期等を予測することは困難な状況にあります。現時点では、同感染症による当社グループの事業に与える影響は限定的でありますが、今後収束が思うように進捗せずに長期化した場合には、国内経済の停滞等により当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は緩和され、経済活動の正常化が期待されたものの、資源価格の上昇や物価高により金融市場の見通しは未だ先行き不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受け大きく変容しました。2023年1月に当社グループが実施した「働き方調査2023」(注1)によると、フリーランスの約4割、副業者の約6割が2020年以降に活動を開始しており、新型コロナウイルス感染症の流行が働き方に変化をもたらしたと言えます。また、収益を得ることのみならず、スキルアップといった自己実現を目的にそのような働き方を選択する人材が増えていることも特徴的です。一方、経済活動の再開に伴い企業側の人手不足の問題もより深刻化しています。特に2030年にはデジタル人材が最大79万人不足すると言われており、日本政府はデジタル人材の育成に投資することを表明しております。そういった状況下で、デジタルスキルを習得したフリーランスや副業人材の活躍がより一層期待されるとともに、企業側の外部人材の受け入れや多様な働き方ニーズへの対応が進み、人材の流動性が増していくことが予測されます。また「働き方調査2023」によれば、フリーランスや副業人材の案件獲得方法として当社のようなプラットフォームを利用しての獲得が半数を占め、獲得や依頼におけるオンライン化が進行していることが窺えます。それらは人材の流動性を加速させる後押しとなっており、今後更なる市場拡大が見込まれることと想定しております。
当社グループはこのような環境において「個のエンパワーメント」をミッション、「すべてのビジネスを『ランサーの力』で前進させる」、「誰もが自分らしく才能を発揮し、『誰かのプロ』になれる社会をつくる」をビジョンとして、マッチングプラットフォームを通じた双方への価値提供を強化してまいりました。オンライン上でクライアント(企業)とランサー(個人)を直接マッチングするサービスである「Lancers」、クライアントのエンジニア・デザイナー・マーケター等の求人ニーズに対応して、エージェントを介してフリーランス人材を紹介するサービスである「Lancers Agent」、それと同様の形でコンサルタントを紹介する「Professionals On Demand」を当社グループの主力事業に位置付け、堅調に事業を拡大しております。
当連結会計年度においては、主力事業の成長戦略の推進、撤退事業からの顧客移管、販管費の適正化により、恒常的な黒字化へ向けた基盤構築を行ってまいりました。マーケットプレイス事業の主要サービスである「Lancers」においては、プロダクト及びマーケティングの各施策が奏功し、新規クライアント獲得課題が改善に向け前進しました。2022年10月には手数料改定を実施し、テイクレートの向上を実現しました。また、エージェント事業においては、人員拡大を行ったものの戦力化が遅延している状況が続いており、組織体制の見直し及び営業戦略の再構築と営業力の強化により一人当たり生産性の拡大を目指してまいります。更に、2023年4月に、当事業を運営するランサーズエージェンシー株式会社を当社へ吸収合併することで、経営の効率化と成長を加速してまいります。また、第1四半期に子会社化した高度プロフェッショナル人材のマッチングプラットフォームを運営する株式会社ワークスタイルラボにおいても、ランサーズプラットフォームとの連携等を開始し、今後の更なるシナジーの創出を目指し、エージェント事業の成長性及び収益性の改善に努めてまいります。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は4,808,345千円(前年同期比18.0%増)となり、営業損失は249,830千円(前年同期は営業損失367,013千円)、経常損失は244,304千円(前年同期は経常損失358,491千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は238,625千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失672,369千円)となりました。
なお、当社グループはプラットフォーム事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりません。
(注1)「働き方調査2023」は、当社グループが「ランサーズ」にランサー(受注者)として登録している個人(フリーランス)を対象に、2023年1月30日~2月5日までの期間に実施した調査であり、209名からの回答を得てまとめたものです。
②財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末と比較して233,058千円増加し、3,073,518千円となりました。これは主に、流動資産において現金及び預金が305,205千円減少したものの、無形固定資産においてのれんが236,434千円、ソフトウェアが300,654千円増加したこと等によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債につきましては、前連結会計年度末と比較して464,089千円増加し、2,116,122千円となりました。これは主に、流動負債において買掛金が152,412千円、固定負債において長期借入金が359,770千円増加したこと等によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して231,031千円減少し、957,395千円となりました。これは主に、譲渡制限付株式報酬としての新株式発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ2,294千円増加したものの、親会社株主に帰属する当期純損失を238,625千円計上したこと等によるものです。
③キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ305,494千円減少し、1,348,779千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、324,589千円の支出(前年同期は313,237千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失が234,304千円があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、298,645千円の支出(前年同期は145,284千円の支出)となりました。これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出159,479千円、ソフトウェア開発等にかかる投資支出が149,070千円があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、317,740千円の収入(前年同期は14,883千円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入330,000千円があったこと等によるものです。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループは、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、当該記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
(単位:千円)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」に記載のとおりであります。
当社グループは、当社グループのサービス経由で取引される金額の総額である流通総額と、クライアント及びランサーへ提供される付加価値を示す売上総利益の最大化を重視した経営を行っております。
当連結会計年度の売上総利益につきましては2,270,015千円(前年同期比13.3%増)と順調に推移しております。
なお、当社グループの流通総額の推移は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照ください。
④資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要としては、事業の拡大に伴う人件費、外注費、クライアント獲得や認知度向上のための広告宣伝費に加え、M&A等の投資を実施する方針であります。当社グループは、財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。
⑤経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当社は、2023年2月13日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるランサーズエージェンシー株式会社を吸収合併することを決議し、2023年4月1日付で吸収合併いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。