文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「未来の予定を晴れにする」を経営理念として、天気予報専門メディア「tenki.jp」を一般財団法人日本気象協会との共同事業として運営しているほか、新規事業の開発に積極的に取り組んでおります。AIやビッグデータ等の技術革新を背景に、気象情報と現実社会を結びつけた新たな価値を提供する「天気3.0」へ向けて、事業拡大を図り、競争優位性を創出することで持続的な成長を目指しております。
(2) 経営戦略等
当社グループは、これまで「tenki.jp」運用に伴うインターネット広告分野に軸足を置き、気象に関する情報を収集・分析・蓄積し、テクノロジーを活用することで付加価値を生み、「未来の予定を晴れにする」という経営理念を実現してまいりました。
主たる事業であるtenki.jp事業においては、引き続きアドネットワーク広告関連市場に積極的な投資を行い、「tenki.jp」の競争力強化と市場からの認知・評価の獲得に努めてまいります。特にアドネットワークは日進月歩の高度な技術でありますが、当社グループには本分野の知見を有する者が所属しており、自社の強みを活かした経営資源の投入を継続してまいります。
また、当社グループは気象産業における法令の改正等を含めた過去の経緯、技術革新による状況を「天気1.0時代」「天気2.0時代」「天気3.0時代」の3つの時代に分けて捉えており、以下は当社グループが考えるそれぞれの時代の定義を記載しております。
<天気1.0時代>
限られた気象業務法の許可事業者が新聞・テレビをはじめとしたマスメディア、公共機関及び事業会社へ気象予報等の気象情報をBtoBで提供していた時代。
<天気2.0時代>
気象業務法の改正(1993年)及びインターネットの発展(1990年代後半から2000年代)によって民間事業会社でも気象情報を一般消費者へ、直接、提供することが可能(BtoC)となった時代。
<天気3.0時代>
IoT(Internet of Things)、人工知能(AI)及びビッグデータ解析等の技術革新を背景とした気象情報のリアルタイム解析等に伴う、気象情報と現実社会を結びつけて新たな価値を産業や社会へ提供することが可能となる時代。
当社グループは天気2.0時代において「tenki.jp」の発展を通じた事業拡大を行ってまいりました。今後到来すると当社が考える天気3.0時代においては、内閣府の提唱するSociety5.0(注1)に沿って、経済発展と社会的課題の解決を両立する社会の構築を担う事業会社が一般消費者から支持を受け、事業拡大を達成できるものと考えております。
このような認識のもと、当社グループは以下の事業を展開し、持続的な成長を目指します。
注1:「Society5.0」とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムに
より、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)を指します。(内閣府HPより)
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、より高い成長性及び収益性を確保する視点から、売上高成長率及び売上高営業利益率を重要な経営指標と捉えております。また、主要事業であるtenki.jp事業の売上高のKPIである「tenki.jp」のPV数についても重要な指標と位置付けております。
(4) 経営環境
2024年の広告費を媒体別にみると、日本のインターネット広告費は、3兆6,517億円(前年比109.6%)となり、前年より3,187億円増加しております(出典:株式会社電通「2024年日本の広告費 インターネット広告費」)。そのうち運用型広告は前年比111.1%の2兆6,095億円(出典:株式会社電通「2024年日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」)となっており、市場規模及び成長率ともに当社グループにとって好環境が継続しております。
当社グループは、「未来の予定を晴れにする」を経営理念として、天気予報専門メディア「tenki.jp」を一般財団法人日本気象協会との共同事業として運営しております。AIやビッグデータ等の技術革新を背景に、気象情報と現実社会を結びつけた新たな価値を提供する「天気3.0」へ向けて、事業拡大を図り、競争優位性を創出することで持続的な成長を目指しております。
この目的を実現させるため、当社グループは以下の事項を重要な課題と認識し、その対応に引き続き取り組んでまいります。
① 「tenki.jp」の認知度向上
当社グループは、tenki.jp事業を主たる事業としており、「tenki.jp」のPV数を継続的に成長させていくことが重要であると認識しております。そのためには、当該サービスの認知度を向上させ、継続的に利用するユーザー数を増加させていくことが必要不可欠であります。そのために、マーケティングや広報活動、「tenki.jp」の新しい機能やサービスの追加等の推進を図ってまいります。
② 技術革新への対応
当社グループの売上高の大半は、アドネットワークによる運用型広告収入が占めており、広告単価の維持・向上を図るため広告のトレーディングデスク機能を内製化しております。
インターネット広告市場においては、今後も技術革新や新たなアドテクノロジーの登場により市場環境の変化が起こると考えております。これらの変化に対応するために、市場動向を把握し、新たな技術情報にいち早く対応することで、市場における優位性を確保してまいります。
③ システムのセキュリティ管理体制について
tenki.jp事業は、システムのセキュリティ管理体制の構築が重要であり、今後も、市場環境の変化に対応したセキュリティ管理体制の維持、構築、整備を進めてまいります。
④ 業務提携やM&Aの推進
当社グループは、tenki.jp事業の発展に加え、新たな収益軸を構築することは、重要な課題であると考えております。
2024年5月に連結子会社化した株式会社エンバウンドとのシナジーを早期に実現するとともに、引き続き、他企業との業務提携やM&Aを積極的に推進することで、非連続な成長を目指してまいります。
⑤ 人材確保及び組織体制の整備
当社グループの継続的な成長には、事業拡大に応じて多様なバックグラウンドを持った優秀な人材を採用し、組織体制を整備していくことが重要であると認識しております。
そのため、積極的な採用を推進していく一方で、中長期にわたり活躍できる環境作りに取り組むとともに、組織力の強化に取り組んでまいります。
⑥ 内部管理体制の強化
当社グループは、今後、更なる成長を実現するためには、事業規模拡大に応じた内部管理体制の強化が必要と認識しております。
そのため、事業規模に合わせバックオフィス機能を拡充していくとともに、経営の公正性・透明性を確保するための内部統制及びコンプライアンスの強化に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティを巡る課題への対応は経営の重要課題と認識しておりますが、現状、サステナビリティに係る基本方針を定めておりません。
また、当社グループにおいて、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するためのガバナンスに関しては、コーポレート・ガバナンス体制と同様となります。当社グループのコーポレート・ガバナンスの状況の詳細は、
当社グループの持続的な成長や中長期的な企業価値向上のためには、人材は最も重要な経営資源であり、高度な専門的知識、技能及び経験を有する多様な人材の確保及び育成が不可欠だと考えております。そのため、フレックスタイム制度やテレワーク勤務の導入などにより柔軟な働き方を可能とするとともに、挑戦する人を応援し、信頼し合える職場環境を大切にする組織風土を作り、中長期的な人材育成に努めております。
当社グループは、サステナビリティ関連のリスクを、その他の経営上のリスクと一体的に監視及び管理しております。詳細は、
当社グループでは、サステナビリティに関する基本方針を定めておりません。そのため、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する定量的な指標や目標は設定しておりませんが、指標や目標の設定要否及びその内容につきましては今後必要に応じて検討・協議してまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避、発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅したものではありません。
「tenki.jp」は、当社と日本気象協会との間で『「tenki.jp」の運営に関する業務提携契約書』(以下、本契約書という。)を締結の上、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおり、両者の役割分担を定め、一体化した事業運営を行っているサービスであります。「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、契約期間は契約締結日より3年間としており(以後1年間の自動更新)、本契約書でtenki.jp事業に関する売上高のレベニューシェア率(当社:日本気象協会=49.5:50.5)を定めております。
現時点において、当社と日本気象協会との関係は良好であり、tenki.jp事業の継続性に関し、懸念される事項はありません。しかしながら、当社または日本気象協会が、本契約を終了させようとする場合には、契約期間満了の1年前までに相手方へ通知し、両者の協議によって対応を定めることとしているため、協議の結果によっては本契約を解消することが可能となります。
本契約書において著作権の取扱いは以下と定めております。
・Webサイト、アプリを生成するプログラム及びシステム等(UI、UX(注1)等を含む。)の著作権は当社に帰属するものとする。
注1:「UI、UX」とは、UI(ユーザーインターフェース)はユーザーの目に触れる部分を指し、UX(ユーザーエクスペリエンス)はユーザーがサービスを通じて得られる体験を指します。
・日本気象協会の提供する気象情報及びこれに関連するコンテンツ等に係る著作権は日本気象協会に帰属するものとする。
また、上記の著作権以外の共有物及び権利については、レベニューシェア率に応じた割合で共有するものとし、共同事業開始後に登録した商標(「tenki.jp」のロゴマーク)等については別途共有割合を定めるものとしております。
日本気象協会との関係性に疑義が生じ、日本気象協会が当社ではない他のインターネットメディア運営会社と天気予報専門メディアを運営すると意思決定する等、当該契約が解除された場合、上述の権利関係の定めにより、当社及び日本気象協会は契約期間満了時点を持って、現行の「tenki.jp」及び「tenki.jp 登山天気」のWebサイト、アプリを継続できないこととなり、当社は現在のtenki.jp事業の収入はなくなることとなります。
本契約書が解除されることとなった場合、当社は、本契約書の定めにより、「tenki.jp」及び「tenki.jp 登山天気」のWebサイト、アプリを生成するプログラム及びシステム等(UI、UX等を含む。)の著作権を保有しているため、契約期間満了までに気象情報に関するデータや指数情報等をはじめとした独自の気象・予報データを気象業務支援センターや日本気象協会ではない他の民間気象事業者から取得し、現在運用しているシステムをもとに別の天気予報専門メディアを開設する方針です。気象庁が情報開示の観点で観測データ等を無料で開放していることや、予報業務許可を受けている民間気象事業者は複数社存在するため、その中から気象情報に関するデータ等については、代替先を見つける方針です。また、「tenki.jp」の収入の大半を占める運用型広告に関しては、当社が過去から担っており、ノウハウは当社にのみ蓄積されていることを踏まえ、そのノウハウを用いて別の天気予報専門メディアのマネタイズを行う方針です。しかしながら、「tenki.jp」の名称は日本気象協会が保有しており、「tenki.jp」という名称が使用できなくなるため、当該メディアの認知度向上のために改めてマーケティング施策の検討や実行を行い、当該マーケティング施策の効果が現れるまでに時間を要することが想定されます。
上述のため、日本気象協会との関係性が悪化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
事業環境の変化等によって、日本気象協会との間で協議の上、本契約書の内容変更を行うことが考えられます。当該契約内容変更に伴い、当社の役割や日本気象協会の役割が変更された場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、レベニューシェア率の変更に関する議論を行う場合が考えられます。過去においては当社の業務負担を考慮してレベニューシェア率は徐々に上昇しておりますが、レベニューシェア率の定めが変更された場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<与信に関するリスク>
本契約書の定めにより、「tenki.jp」の売上高(広告収入)は、一旦日本気象協会に入金された後、定められたレベニューシェアの割合に応じて日本気象協会から当社へ配分されております。現時点までに日本気象協会からの売上高の配分に係る支払が滞ったことはありませんが、今後、日本気象協会の経営状態の悪化等により、日本気象協会から当社への支払いが遅延する、もしくは支払いが困難となる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<予報業務許可に関するリスク>
本契約書の定めにより、「tenki.jp」における各種データの提供は日本気象協会が担っております。気象庁以外の事業者が天気や波浪等の予報の業務を行おうとする場合、気象庁から気象業務法に基づく予報業務許可を受ける必要があり、日本気象協会は当該許可を受けた予報業務の許可事業者であります。日本気象協会は、法令を遵守した運営を行っており、また、過去において予報業務許可が取消しとなる事象は発生しておりませんが、今後、何らかの理由により、予報業務許可が取り消された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<意思決定に及ぼす影響に関するリスク>
当社と日本気象協会は、本契約書で定められた役割分担に則って、共同事業を行っております。日本気象協会は、当社の発行済株式20,400株(所有割合0.95%)を保有しておりますが、役員の招聘、出向者の受入等の人的交流は行っておらず、当社が保有しているシステム、技術及びノウハウ等の関与もなく、また、借入金等の当社事業運営上の資金的関係もございません。当社は日本気象協会との共同事業であるtenki.jp事業が売上高の大半を占めております。現時点では関係も良好であり、当該事業の事業方針及び事業計画は、両者の協議によって合意・決定しており、また、tenki.jp事業の日常業務について本契約書で定められた役割分担に則って業務を行っております。今後、万が一、日本気象協会との関係性に何らかの変化があった場合や、当社と日本気象協会の事業方針等に相違が発生した場合は、事業方針及び事業計画の策定にあたり、意見の齟齬が発生する可能性や、当社の日常業務に支障が発生する可能性があります。その場合、当社グループは売上の大半をtenki.jp事業が占めておりますので、当社グループの意思決定にも影響を及ぼし、その結果として当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
※当社と共同事業を行う日本気象協会の概要
日本気象協会は、「安全・安心・快適な社会づくり」のために、気象・環境・防災・情報サービスを通じて社会に貢献する使命を担い、1950年に財団法人日本気象協会として設立しております。日本における気象会社として、日本で初めて気象情報をオンライン提供する等、気象業務法に基づいた気象データの提供を気象業界の創生期より継続的に行っております。2009年より一般財団法人へ移行し、民間の気象会社として、現在は、気象・環境・防災等に関わる調査解析や気象に関わるリアルタイムの情報提供等、気象コンサルティングのプロフェッショナルファームとして活動しております。
当社グループの主力事業であるtenki.jp事業においては、異常気象や台風等の予測できない気象状況の変化が発生した際には、PV数が大幅に増加する傾向があります。したがって、予測できない気象状況の発生状況によっては、PV数の大幅な増減等により、tenki.jp事業の広告収入が増加又は減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
インターネット広告市場は、スマートフォンの普及・利用拡大等を背景に、データ連携可能な運用型広告やスマートフォン向け広告等へのニーズが引き続き高まっております。わが国の2024年の総広告費、7兆6,730億円(前年度比104.9%)のうち、「インターネット広告費」は、全体の47.6%、3兆6,517億円(前年比109.6%)を占めております。そこから「インターネット広告制作費」を除いた「インターネット広告媒体費」は、2兆9,611億円(前年比110.2%)(出典:株式会社電通「2024年日本の広告費」)となっており、順調に成長を続けております。
このようにインターネット広告市場は拡大しておりますが、インターネット広告市場の環境整備や新たな法的規制の導入等、何らかの要因によってインターネット広告市場の発展が阻害される場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また当社グループは、広告のトレーディングデスクに注力してtenki.jp事業のマネタイズを展開しておりますが、インターネット広告市場においては、広告配信手法や販売メニューが多様化し、競争が激化する傾向にあり、インターネット広告において革新的な販売メニューや広告配信技術が出現した場合、ネイティブ広告への需要が縮小することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
インターネット業界においては、急速な技術革新が進んでおり、これに合わせるようにユーザーのニーズも著しく変化しております。そのような状況下で、これまで当社グループは、サイト本体のサービス拡充にとどまらず、スマホWebやアプリの対応、X(旧:Twitter)やFacebookといったSNSアカウントの開設運用、キュレーションメディア向けの情報配信等、市場トレンドやユーザーニーズをいち早く取り入れて事業を展開してまいりました。しかしながら、今後、予期しない技術革新等があった場合、その技術革新に対応できるスキルを有した技術者の確保が想定どおりに進まない場合、もしくはユーザーのニーズの把握が困難となり、十分な機能拡充が提供できない場合、ユーザーに対する訴求力が弱まり、メディアとしての価値が相対的に低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、インターネット市場の中の、気象や生活情報を用いたBtoC向けメディアを主たる事業領域としておりますが、昨今、気象情報を用いたソリューションやビックデータ解析は世界的に注目されており、参入企業が増加する傾向にあります。天気予報専門サイトという特殊な分野ではあるものの、今後当社グループサービスが十分な差別化や機能向上等ができなかった場合や、さらなる新規参入により競争が激化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、広告のトレーディングデスクを中心にtenki.jp事業を展開しております。このため、新しい技術習得に対し、人的・資本的投資を継続してまいりますが、新たな技術やサービスへの対応が遅れた場合や、競合する他社において革新的な技術が開発された場合、当社グループの競争力が低下する要因となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが共同運営している「tenki.jp」では、Webサイトやアプリを介してユーザーへ情報を提供しており、主な収入はそれらに掲載される広告で得られる収入であります。したがって、Web検索エンジンやアプリを提供するApple Inc.、Google LLC等、プラットフォーム事業者の事業方針が変更され、新たな規制等が行われた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはtenki.jp事業において、運用型広告及び純広告を掲載して広告収入を得ております。これらの広告は、不当景品類及び不当表示防止法、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、等の各種法令で一定の制約が掛けられております。そのため、当社グループでは、「tenki.jp」における適切な広告表示体制を構築するためのマニュアルを定め、各種法令に違反するような広告掲載を行わないよう努めております。しかしながら、何らかの要因によってこれらの対応に不備が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの売上は、tenki.jp事業による収益が大部分を占めております。前述のとおり、インターネットの普及や同広告市場は年々拡大傾向にありますが、マーケティング活動は全般的に景気動向の影響を受けやすく、顧客企業における広告マーケティング費の支出が縮小する場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主な収益源は、日本気象協会から定められたレベニューシェアの割合に応じて配分される「tenki.jp」で得られる広告収入であります。「tenki.jp」の重要な取引先(第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容 [事業系統図]における「アドネットワーク」)であるグーグル合同会社への売上高が当社グループの売上高全体に占める割合は、当連結会計年度において35.2%、前事業年度は45.2%となっております。今後も当社グループ及び日本気象協会は当該企業との良好な関係を続けてまいりますが、当該企業の事情や施策の変更等、何らかの理由により当該企業との取引が大幅に減少する場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
広告主の広告宣伝活動は、自然災害、大規模な事故、電力その他の社会インフラの障害等の影響を受けやすい傾向にあります。従って、これらの災害・事故等が発生した場合、広告需要減退等により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの今後の事業展開としまして、事業規模の拡大と高収益化を目指して、既存事業に留まらず新規事業開発に積極的に取り組んでいく方針でありますが、とりわけ新規事業の立ち上げについては、既存事業よりもリスクが高いことを認識しております。入念な市場分析や事業計画構築にも関わらず、予測とは異なる状況が発生し、新規事業の立ち上げが計画どおりに進まない場合は、投資資金を回収できず当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自社で取り組む新規事業開発に加えて、M&A及び他社との業務提携を通じた事業展開を推進しております。M&A及び提携にあたっては、経営戦略との整合性やシナジー効果を勘案して対象企業の選定を行い、当該企業の財務内容、契約関係、事業の状況等についてデューデリジェンスを実施した上で、取締役会において慎重な判断を行うよう努めております。しかしながら、これらのM&Aや業務提携が期待どおりの効果を生まず戦略目的が達成できない場合、投資後に未認識の債務や問題が判明した場合等には、対象企業の株式価値や譲り受けた事業資産の減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、企業買収の際に生じたのれんを計上し、一定期間で償却を行っております。当該のれんについては、将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、連結総資産に占める割合が11.8%と高く、事業環境の変化等により期待する成果が得られなかった場合には、当該のれんについて減損損失を計上し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループのサービスは24時間稼働での運用を前提に提供されております。従ってシステムに障害が発生することはサービスの停止を意味するため、システムの安定性、安全性には細心の注意を払っております。また、インプレッション数(広告の表示回数)の増加を考慮したサーバー設備の強化や、負荷分散を施すための冗長構成を実現しております。
当社グループはさくらインターネット株式会社が提供するデーターセンターを利用し、大量のデータを安全かつ迅速に処理することができ、かつ一時的な過負荷や部分停止にもトラブルを回避できるようなサーバー構成を施しております。
しかしながら、災害のほか、コンピューターウィルスやハッキング等の外的攻撃やソフトウェアの不具合、その他予測できない重大な事象の発生により、万一当社設備やネットワークが利用できなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループである株式会社ALⅰNKインターネットの代表取締役である、池田洋人(以下、「同氏」という。)は、インターネット広告業界に関する知識と経験を有しているだけでなく、気象予報士を取得する等、気象に関する知識を保有しております。
そのため、同氏は当社グループの経営戦略の構築等に際して重要な役割を担っております。当社グループは、特定の人物に依存しない体制を構築すべく経営体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、現状では何らかの理由により同氏の当社グループにおける業務執行が困難になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは小規模な組織(2025年2月末現在、従業員35名)であり、業務執行体制及び管理体制もこれに応じたものとなっております。当社グループは今後の急速な事業拡大に応じて、業務執行体制及び管理体制の充実を図っていく方針ではありますが、これらの施策が適時適切に進行していかなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは現時点において小規模な組織であるため、当社グループの事業活動においては人材への依存度が大きく、今後更なる事業拡大に対応するためには、継続して優秀な人材を確保・育成することが必要であると考えております。しかしながら、必要な人材の確保及び育成が想定どおりに進まない場合、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
現時点において、当社グループの主力事業であるtenki.jp事業に関連して、事業継続に重要な影響を及ぼす法的規制はないものと認識しております。しかしながら、当社グループの属するインターネット広告市場を含めインターネットの利用者や事業者を規制対象とする法令や行政指導、その他の規制等が制定された場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題であると認識しております。当社の配当の基本的な方針は、事業基盤の整備状況、業績や財政状態等を総合的に勘案し、配当の実施を決定することとしております。
当面は、事業基盤の整備を優先することが株主価値の最大化に資するとの考えから、その原資となる内部留保の充実を基本方針とさせていただく所存であり、当事業年度において配当は行っておりません。
内部留保資金につきましては、将来の事業展開のための財源として利用していく予定であります。
なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、期末配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当制度を採用しており、中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。
当社グループでは、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、当社グループの役職員に対して新株予約権を付与しております。
本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は201,700株であり、発行済株式総数2,136,900株の9.44%に相当します。
これらの新株予約権が行使された場合には、当社グループの1株当たりの株式価値が希薄化し、当社グループの株価に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の分析は、以下のとおりであります。
当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当連結会計年度のtenki.jp事業では、安定的なPV(ページビュー)数の増加とPV当たり広告単価の維持に取り組み、台風発生数が過去10年平均を下回るなどの厳しい環境下でも、PV数は前期比105.8%の60億PVを達成しました。また、Google Chrome 3rd Party Cookie利用廃止の撤回により、PV当たり広告単価も前年同期比100.4%を維持しました。
2024年5月には株式会社エンバウンドを子会社化し、「IPプロデュース事業」を開始しました。また、将来の成長に向けた人件費や開発費など先行投資を積極的に実施しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は888,430千円、営業利益43,396千円、経常利益62,226千円、親会社株主に帰属する当期純利益57,254千円となりました。
セグメントごとの経営成績は、以下のとおりです。
(tenki.jp事業)
東日本太平洋側の記録的な多雨により、8月に単月では最高PVを記録するなど好調な月もあったものの、冬季(12月から2月)の関東甲信地方の降水量が平年の23%と統計開始以降で最も少なく、第4四半期のPV数は前年同期比80.2%にとどまりました。テレビドラマとの番組連動CM等の認知度向上施策も実施し、売上高645,512千円、セグメント利益283,975千円となりました。
(IPプロデュース事業)
「温泉むすめ」のコンテンツプロデュースを行う株式会社エンバウンドを連結子会社化しました。温泉地限定グッズ販売は計画に対して好調に推移しましたが、取得関連費用25,000千円、のれん償却額25,260千円の計上により、売上高147,191千円、セグメント損失75,048千円となりました。
(その他の事業)
その他の事業では、主力であるtenki.jp事業以外の事業領域の拡大のため新規事業への参入を図っており、太陽光コンサルティング事業及びダイナミックプライシング事業を進めております。
太陽光コンサルティング事業では太陽光発電設備の一時保有による売電収入を獲得し、ダイナミックプライシング事業ではPoC(実証実験)として首都圏レンタルスペース運営を行いました。結果、売上高95,726千円、セグメント利益44,622千円となりました。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は1,834,866千円となりました。
流動資産は1,506,385千円となり、主な内訳は、現金及び預金743,377千円、短期貸付金590,318千円、売掛金及び契約資産146,953千円であります。
固定資産合計は、328,480千円となりました。主な内訳は、のれん217,360千円、敷金及び保証金40,599千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は173,720千円となりました。
流動負債は157,734千円となり、主な内訳は、買掛金26,362千円、未払法人税等40,972千円及び契約負債16,634千円であります。
固定負債は15,985千円となり、内訳は資産除去債務であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、1,661,145千円となりました。
主な内訳は、利益剰余金1,675,655千円であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、743,377千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は255,281千円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が114,061千円となり、長期前払費用の減少額が41,023千円、未払又は未収消費税等の増減額が78,223千円であったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は350,467千円となりました。
これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が205,656千円、短期貸付金の純増加が99,444千円であったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローはありません。
当社グループが提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社グループが提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社グループの当連結会計年度における販売実績をセグメント別に記載すると以下のとおりです。
なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.上記の金額は、日本気象協会が取りまとめた上で、レベニューシェアとして当社に分配される形となっております。
3.日本気象協会との共同事業である天気予報専門メディア「tenki.jp」における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、下表記載の金額については、日本気象協会が取りまとめた上で、レベニューシェアとして当社に分配される形となっております。
経営者は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載されている様々な課題に対処し、ユーザーにより良いサービスを継続的に提供していくことが必要であると認識しております。そのため、経営者は、外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を把握する中で課題を抽出し、それに対する対応策を実施していく方針であります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に含めて記載しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費等の営業費用であり、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
(注)1.本書提出日現在において、契約終了に関する通知は相互になされておりません。
2.契約内容の詳細は以下のとおりです。
・「tenki.jp」という名称にてWebサイト、アプリケーション(iOS、Android)を運営。
・共同事業の業務分担は「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおりです。
・「tenki.jp」に関する収益は、当該契約書で定めたレベニューシェア率(当社:日本気象協会=49.5:50.5)にて配分される。
・「tenki.jp」に関する費用は、業務の主担当が負担するものとするが、当社と日本気象協会が協議により同意した費用等は、当該契約書で定めたレベニューシェア率にて負担する。
・当社及び日本気象協会は協議の上、「tenki.jp」に関する事業方針・事業計画、仕様及び運営方法等を定めるものとする。
・当社及び日本気象協会は、相手方に対して本契約に定めた業務提携事項の遂行状況、及び業務提携そのものの遂行状況について定期的に報告しなければならない。
・本契約に関連した事項の公表について、当社及び日本気象協会は、事前に協議の上、公表する時期、内容及び方法を定めた後に行うものとする。なお、適時開示事項については当社の判断で公表できることとする。
・当社及び日本気象協会のいずれかの当事者が、契約に定めのある契約解除要件(契約違反の状態が解消されない場合や破産手続開始・民事再生手続開始・会社更生手続開始の申立、清算に入った場合等)に該当するときは、相手方は催告なくして、直ちに本契約を解除し、損害賠償の請求をすることができるものとする。
・商標等は共同で出願する。著作権の取扱いについて、「tenki.jp」に関するWebサイト、アプリケーションを生成するプログラム及びシステム等は当社に帰属し、日本気象協会の提供する気象情報及びコンテンツは日本気象協会に帰属する。また、日本気象協会が使用を許諾した著作物を利用して当社が制作した図形、プログラム等の著作権は、当社及び日本気象協会の共有とし、持分はレベニューシェア率に応じた割合とする。
・「tenki.jp」の運営の過程で生じた発明等が、当社又は日本気象協会のいずれか一方のみによって行われた場合、当該発明等に関する産業財産権は、当該発明等を行ったものが属する当事者に帰属する。また、発明等が当社及び日本気象協会の共同で行われた場合、当該発明時に関する産業財産権は当社及び日本気象協会の共有とし、産業財産権の持分はレベニューシェア率に応じた割合とする。
・当社及び日本気象協会は、本契約が、期間の満了または解除等理由の如何に関わらず終了した場合、本契約に関する全ての共有物及び権利等につき、レベニューシェア率に応じた割合にて分配するものとする。ただし、著作権及び産業財産権については、先述のとおり、当社又は日本気象協会に帰属する。
・当社及び日本気象協会は、相手方の責に帰すべき契約不履行により現実に損害を被った場合には、相手方に対して当該損害の賠償を請求できるものとする。
・当社及び日本気象協会は、本契約上の地位及び本契約から生じる権利、義務を第三者に譲渡し、承継又は担保に供してはならない。また、当社は、日本気象協会が提供した情報を第三者に再提供してはならない。但し、書面により相手方の承諾を得た場合は、この限りでない。
・当社及び日本気象協会は、本契約に基づいて知った相手方の技術上、販売上その他業務に関する事項を、本契約期間中及び本契約が事由の如何を問わず終了した後は、契約に定める一部の情報を除いて、第三者に開示しない。
・当社及び日本気象協会は、「tenki.jp」の名称を用いて関連サービス等を共同して新たに事業化する場合においては、当社及び日本気象協会間でその条件等を協議し、別途契約を締結するものとする。
当連結会計年度における研究開発活動の金額は