第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社では「唯一無二の豊かさを創造する」を企業理念とし、富裕層顧客を対象としたサービス展開を行っています。主力事業は戸建住宅の売買および仲介であり、富裕層顧客ニーズを確実に捉える周辺領域への事業展開を成長戦略の方針としております。

主力となる不動産の売買および仲介事業においては、仕入れから販売、売買に係る仲介、注文住宅のマッチング、建築後のアフターフォローに至るまでのプロセスをワンストップで提供し、顧客からの高い信頼を獲得しています。高いデザイン性とコストパフォーマンスを両立する注文住宅の実現をコンセプトに、一般的な不動産売買事業者の事業領域に留まらない高品質なサービス提供を行っており、2023年には自社開発の個人富裕層向けの収益用不動産をシリーズ化し、既存事業にクロスセルする成長事業として強化しています。

2024年4月には不動産テックベンチャーのリンネ株式会社を完全子会社化し、東京エリアの中古マンション売買へ事業領域を拡大しました。当社からのノウハウ提供、財務基盤の強化によるリンネ社の事業成長だけでなく、同社の持つ独自のIT技術を用いた当社既存事業のDXによるグループ全体の事業効率向上にも取り組んでいます。

 

(2) 経営環境及び経営戦略

近年、リモートワークの広がりに伴う働き方とライフスタイルの変化等の影響を受け、「住まい」に人々が求める役割は多様化しております。一方で、物価上昇による建築資材の高騰や消費マインドの低下、金利や為替変動など経済情勢は非常に不透明な状況であります。このような経営環境の中、当社グループは、日本における従来型の「大量型住宅生産」では得られない顧客体験の創造と、家が本来持つ本質的価値を追求することで、東京エリアにおける富裕層向け不動産のトッププレイヤーを目指していきます。

今後のさらなる成長に向け、以下の事項を主要な課題として認識し、事業展開を図っていきます。

 

① 優秀な人材獲得と教育による強い営業組織の構築

人材獲得競争激化により、人材確保が困難な状況が今後も続くことが想定されますが、優秀な営業人員の確保とサービスレベルやスキルの向上は、事業の成長において非常に重要なファクターであると認識しています。そのため、積極的な人員採用と教育の実施に加え、成果主義に基づいた評価制度の運用や労務環境の整備により従業員満足度向上を図り、人員拡大を進めることで、企業価値向上へ繋げていきます。

 

② DX推進による営業オペレーションの効率促進 

会社の成長に伴い、創業以来獲得してきた富裕層顧客データや物件データが蓄積されております。引き続きDX化による営業活動の効率化を図り、営業の生産性と顧客満足度を向上させることで、当社の強みのひとつである紹介・リピート率を維持し、ストック型の不動産事業モデルを構築していきます。

 

③ クロスセル戦略の強化

個人向け1棟収益事業やサードプレイス事業の成長により、当社がターゲットとする富裕層顧客の新ニーズに対応し、既存顧客へのクロスセルアプローチが可能となります。1棟収益用不動産事業においては、売上構成比30%を上限に事業拡大を継続しつつ、コア事業である住宅用不動産事業で成約した既存顧客を見込み顧客として自社販売、かつ早期販売を行なっていきます。サードプレイス事業においては富裕層顧客の3次ニーズである「QOL向上」が実現可能な別荘を開発し、既存顧客を中心に提案していくことで、当社のメイン事業である戸建住宅事業領域から差別化された事業展開を行い、事業領域の拡大を進めていきます。

 

④ 事業エリア拡大の継続

利益水準の安定した東京城南エリア(世田谷・目黒・大田・品川・渋谷・港)を中心に事業を展開しており、営業支店は目黒、桜新町、自由が丘の3拠点体制となっています。「戸建+富裕層顧客」という当社の成功パターンを横展開できる文京区、杉並区、豊島区、中野区などのエリアにも注力し、東京都内の富裕層顧客のシェア拡大を目指すとともに、同エリアでの事業展開を加速させていきます。

 

⑤ 既存事業とのシナジーを重視したM&A

当社グループの成長スピードをさらに加速させるべく、M&Aに積極的に取り組んでいきたいと考えております。東京エリアの不動産が持つポテンシャルを最大限に引き出し、富裕層顧客のニーズに応えることができる事業領域への進出により、当社グループの事業間シナジーをさらに高め、クロスセル販売強化を進めていきます。

 

⑥ 内部管理体制の強化

継続的に当社グループが成長を遂げていくためには、経営上のリスクを適切に把握し、当該リスクをコントロールするための内部管理体制の強化が重要な課題と考えております。具体的には、監査役と内部監査担当者との積極的な連携、定期的な内部監査の実施、有効かつ効果的な監査役監査の実施、社内経営陣によるコンプライアンス委員会の開催を通じて内部管理体制を強化します。

 

(3) 目標とする経営指標

当社グループにおいては、下記の数字を重要な経営指標としています。

① グループ社員1人あたりの売上高

 当社グループの主力事業である「sumuzu」事業においては、仕入れから販売までグループ内で一貫して行うことができるという強みを有しており、連結グループにおける社員1人あたりの「sumuzu」事業売上高(不動産の開発分譲、不動産売買・仲介、オーダーメイド住宅のマッチング、収益用不動産の開発・販売)を重要な指標としており、当連結会計年度のグループ社員1人あたりの売上は180,963千円となっております。

 

② グループ社員1人あたりの営業利益

 当社グループにおいては、「sumuzu」事業における仕入れから販売、オーダーメイド住宅のマッチングまでを包括的に行うこと、及び紹介顧客・リピート顧客の成約を特に重視した営業戦略をとっており、高利益体質の構築に重点をおいております。そのため、連結グループにおける社員1人あたりの営業利益を重要な指標としており、当連結会計年度のグループ社員1人あたりの営業利益は20,168千円となっております。

 

③ 土地成約案件に占める建物請負紹介成約比率

 当社グループは、建築業者と注文住宅希望者との請負マッチングコンサルティングを当社の重要なサービスとして位置付けております。土地選定の段階から、建築請負先の決定までサポートする営業手法は、当社グループの高い顧客満足の源泉の一つと考えております。そのため、当社では土地成約案件に占める建物請負紹介成約比率を重要な指標としており、当連結会計年度の建物請負紹介成約比率は20.5%(注)となっております。

(注)建物請負紹介成約比率については、当社内の成約データをもとに、当連結会計年度における建築請負紹介件数を、同期間における一般顧客への土地売却件数で除して算出したものです。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに関する考え方

 当社グループにとってのサステナビリティとは、より美しい街並みと安心して暮らせる魅力的な街づくりに寄与し、ステークホルダーの皆様との信頼関係を築くことで、将来にわたって社会と共に成長していくことです。

 

(2) 具体的な取組

国内外のサステナビリティ開示で広く利用されている「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の4つの構成要素(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標)に基づき、取組を開示いたします。

①ガバナンス

当社グループでは、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しております。2023年4月14日開催の取締役会において「サステナビリティ委員会」を設置することを決議いたしました。

サステナビリティ委員会は、代表取締役社長及び各部門長で構成し、気候変動及び人的資本に関するリスクや事業機会、目標や具体的な取組施策について協議・決定・進捗管理・モニタリングを定期的に実施し、重要なものを取締役会に報告いたします。取締役会は、サステナビリティ委員会で協議・決定された内容の報告を定期的に受け、論議・監督を行います。なお、代表取締役社長は、サステナビリティ委員会の委員長を担っており、環境課題に係る経営判断の最終責任を負います。

 

②戦略

当社グループの戦略は、自社の事業及び財務に影響を及ぼすと考えられるリスクと機会の把握及び国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の実現という社会課題からサステナビリティ重要課題を設定し、課題解決をとおして持続可能な社会と企業の持続的成長を目指します。気候変動課題に焦点を当てた戦略については、リスク評価の仕組みを構築できておらずリスクと機会の検討に至っておりません。社会的課題については、健康と福祉、質の高い教育を重要課題といたしました。その理由は、安心して暮らせる魅力的な街づくりにおいて、そこで生活する人々が身体的に健康であることはもちろん、精神的にも、社会的にも満たされている状況であることが望ましいからです。そのため、地域活性やスポーツ振興として「世田谷246ハーフマラソン」への協賛、東日本大震災時には震災孤児のための寄付、コロナの影響で大学受験を目指すことが難しくなった子供たちへの受験勉強サポートとして2020年度から3年間「認定NPO法人キッズドア基金」を通じた奨学金の支援活動に取組みました。そして、2023年度はトルコ・シリア地震に被災された方々の救援や被災地の復興支援に役立てていただくため、「認定NPO法人REALs」が募集する義援金への支援、2024年4月からは「一般社団法人ピースボート災害支援センター(PBV)」が募集する支援金への寄付を行っております。

また、人的資本に関する課題は、魅力的な街づくりやステークホルダーの皆様との信頼関係を構築するために、人材価値を最大限に引き出すことであると考えております。そこで、当社グループにおける人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境性に関する方針は、以下のとおりといたしました。

 

a.人材育成方針

当社グループでは、持続可能性の観点から企業価値を向上させるために、多様性ある人材の育成が重要事項であると考え、教育研修の提供、キャリア形成と能力開発の支援、チャレンジ精神の重視と実行者への評価に取組んでおります。

 

(教育研修の提供)

従業員自らがキャリアを描き、自律的に能力・技術を磨いて、成長へとつなげられる教育研修の機会を提供します。

 

(キャリア形成と能力開発の支援)

従業員が新しいスキルを身に付け、新たな価値を創出するためのキャリア形成と能力開発を支援します。

 

(チャレンジ精神の重視と実行者への評価)

従業員のチャレンジ精神を大切にします。チャレンジ精神のある社員を評価するため、異なる考え方や価値観を否定せず、フラットな目線で評価できる環境を確保し、成果を出した従業員が更なる挑戦ができるような体制を構築します。

 

b.社内環境整備方針

当社グループでは、従業員1人ひとりの主体性と創造力、安全と心身の健康を守ることが重要事項であると考え、人格・個性の尊重、安全で健康な職場環境に取組んでおります。

 

(人格・個性の尊重)

従業員1人ひとりに寄り添い、各々のライフステージに応じた仕事が選択できる環境を整備することで雇用を維持し、企業の持続的な成長につなげることを目指します。思想、信条、宗教、国籍、人種、性別、身体的特徴、財産、出身地等の理由で嫌がらせや差別のない健全な職場環境を確保します。

 

(安全で健康な職場環境)

当社グループは、全事業活動において人の安全、健康確保を最優先します。特に、人権を侵害し職場環境を害するハラスメントの一切を禁じ、見逃しません。問題発生時には、迅速に調査し、被害者の救済と再発防止に向けた断固たる処置を取ります。

 

③リスク管理

当社グループは、気候変動及び人的資本に関するリスクを低減し事業機会を確実なものとするため、優先的に対応すべき事項の絞り込みについて、当社グループに与える財務的影響及び当社グループの活動が環境・社会に与える影響を踏まえて実施いたします。なお、気候変動に焦点を当てたリスク評価については、現時点で仕組みを構築できておりません。

人材に焦点を当てた場合に当社グループにとって財務的影響が大きいリスクは、経験豊富な従業員が離職すること及び採用競争力の低下により新卒などの若手又は即戦力となる中堅の確保が困難となることであると判断しております。そのため、従業員に成長の機会を提供し、更なる挑戦ができるように、安心・安全に働けるように環境を整えることでリスク低減に努めます。

この取組に関する実施状況については、サステナビリティ委員会で進捗管理・モニタリングを実施し、重要なものを取締役会に報告いたします。取締役会は、サステナビリティ委員会で協議・決定された内容の報告を定期的に受け、論議・監督を行うことで、全社的なリスクとして統合的に管理します。

 

④指標及び目標

前述のとおり、当社グループでは、サステナビリティ戦略において人材に焦点を当てたリスク管理は最重要課題であります。そこで、「(2)具体的な取組 ②戦略」で記載した、人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境性に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標数値

実績(当連結会計年度)

グループ社員1人当たり営業利益

20,000千円

20,168千円

内部登用率  (※1)

80%

75.0% (※2)

管理職に占める女性の割合

30%

12.5% (※2)

 

 

 

a.グループ社員1人当たり営業利益

従業員1人当たりでどれだけ効率的に本業の利益を上げているかを示すものであります。人材の成長(教育研修やOJTによる能力開発支援が結果に結びついているか)、定着率の向上(従業員が定着し、スキルを身につけた人員が活躍しているか)を示す指標でもあるため、若手を中心とした組織の拡大化を図りながらも、グループ社員1人当たりの営業利益は現在の水準を維持・向上できるように努めます。

 

b.内部登用率

空きが出た又は新設されたポストに対して内部からの登用でそのポストが埋まった割合であり、グループ内で有能な人材を育成又は確保できているかどうかを測る指標となります。内部登用率の高さは、当社グループがより革新的・創造的な組織となるために従業員1人ひとりの能力を最大限に引き出した結果としての側面があると捉えております。更なる強化のために、多様なチャレンジを認め、従業員1人ひとりの成長を支援します。

 

 c.管理職に占める女性の割合

指導的立場(※3)にある人材に占める女性の割合を示すもので、女性活躍の推進度合いを表す指標となります。意思決定の場に多様な視点を取り入れるべく、性別を問わず多様な背景を持つ人材の活躍を推進します。

 

(※1)内部登用率は、基準日の管理職に占める内部登用数を同日の管理職総数で除して算定しております。

(※2)2025年4月1日現在の当社グループの状況を反映させております。

(※3)当社グループでは指導的立場を課長職以上と定義しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を、以下のとおり記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関するすべてのリスクを網羅しているものではありません。当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。本文における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業を取り巻く経営環境について

当社グループが属する不動産業界は、景気動向、金利水準、地価の水準等のマクロ経済要因の変動と企業業績が密接に関係しており、とりわけ当社グループにおいては、市場金利や消費税増税の動向、不動産に係る税制の改正や住宅取得希望者の心理動向等が、当社グループの業績及び事業の展開に影響を与える可能性があります。

また、このような経済情勢の変化は、土地の購入代金、建築費等の変動要因ともなり、価格の上昇・下落等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 棚卸資産について

当社グループは、不動産販売を行っており、2025年3月末時点で、棚卸資産として12,198,486千円計上しております。当社グループでは、見込んでいた販売価格での販売が困難な場合には、在庫リスクを軽減するため、販売価格の値引きにより販売を促進させる施策をとることがあります。その際、値引きによる利益の減少が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、販売不振のために滞留する販売用不動産が発生した場合には評価損が発生する可能性があり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 瑕疵担保責任又は契約不適合責任について

当社グループでは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、当社グループが売主となる場合には新築住宅の構造上主要な部分及び雨水の浸水を防止する部分について10年間、中古住宅の場合には2年間の瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負います。よって、万が一当社グループの販売した物件に重大な瑕疵があるとされた場合には、その直接的な原因が当社グループ以外の責任によるものであっても、当社グループは売主としてその責任を負うことがあります。その場合、補償工事費の増加や当社グループの信用力低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 法的規制について

当社グループは、事業運営上、宅地建物取引業法、建築基準法、都市計画法、建設業法、国土利用計画法等による法的規制を受けております。

当社グループは、以下の主要な許認可を含めこれらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現状において当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりませんが、今後、これらの関連法規が改廃された場合や新たな法的規制が設けられる場合、又はこれらの法令等の規制について遵守できなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

会社名

免許・許可等

有効期限

関係法令

取消条項

株式会社ランディックス

宅地建物取引業者免許

東京都知事(5)第81306号

自 2022年10月26日

至 2027年10月25日

宅地建物取引業法

同法第5条及び第66条

株式会社グランデ

宅地建物取引業者免許

東京都知事(5)第82738号

自 2024年1月17日

至 2029年1月16日

宅地建物取引業法

同法第5条及び第66条

 

 

 

(5) 仕入れについて

当社グループは、不動産の仕入れに際して、立地条件、面積、地盤、周辺環境及び仕入れ価格等について事前に十分調査し、その結果を踏まえて仕入れを行っております。他社との競争激化や地価の上昇等により、不動産の仕入れが計画通りとならない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 不動産の販売進捗について

当社グループで行っている不動産の販売については、顧客への引渡時に売上計上されることから、市場動向、顧客の事情、天候の影響等によって想定通りに販売が進まず、引渡時期の変更等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 個人情報の管理について

当社グループは、各事業において、見込顧客情報及び取引顧客情報等、当社グループ事業を通して取得した個人情報を保有しており、個人情報の保護に関する法律等による規制を受けております。

これらの個人情報については、個人情報を有する当社グループの各社にて細心の注意を払って管理しておりますが、万が一、外部漏洩等の事態が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)  有利子負債の依存及び資金調達について

当社グループは、物件取得及び建築等の事業資金を金融機関からの借入金により調達しております。市場金利が上昇する局面においては、支払利息等の増加により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは有利子負債の返済原資を主に取得した物件の売却代金としており、物件の売却時期が計画から遅延した場合、又は、売却金額が当社の想定を下回った場合には、当社グループの資金繰りに影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 減損会計の適用について

当社グループが所有する固定資産において、急激な経済情勢の変化や金融情勢の悪化等により事業の恒常的なキャッシュ・フローの将来にわたる収益性の著しい低下や保有資産の時価の著しい下落が認識された場合、減損会計を適用することで当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 偶然不測の事故・自然災害について

火災、破裂爆発、落雷、風、ひょう雪災、水災、地震火災、地震破裂、地震倒壊、噴火及び津波並びに電気的事故、機械的事故その他偶然不測の事故並びに戦争、暴動、騒乱、テロ等の災害により、当社グループが保有する物件について滅失、劣化又は毀損し、その価値が影響を受ける可能性があります。また、偶然不測の事故・自然災害により不動産に対する投資マインドが冷え込んだ結果、不動産需要が減り、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 訴訟等の可能性について

当社グループが売却した物件における瑕疵の発生、当社グループが行う開発工事にかかる近隣トラブル、当社グループが請け負った工事に対する顧客からのクレーム、入退去時のテナント等とのトラブル等を起因とする、又はこれらから派生する訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 保有物件の賃借人との賃貸借契約について

収益物件の賃借人との賃貸借契約の期間満了時に契約が更改される保証はないこと、また賃借人が一定期間前の通知を行うことにより賃貸借期間中であっても賃貸借契約を解約できることとされている場合もあるため、賃貸借契約の解約が増加した場合、後継賃借人が見つかるまでの間、賃貸収入が減少する等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) レピュテーションリスクについて

当社グループは、法令遵守、サービスの品質・安全性の確保、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社グループを取り巻く環境や競合他社及び競業他社を取り巻く環境において何らかの問題が発生した場合、取引先からの評価に悪影響を与え、それにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) システムトラブルについて

当社グループの運営する「sumuzu」は、インターネット環境が必要なサービスであり、自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合やサーバーに不具合があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取組んでおりますが、何らかの理由によりシステムトラブルが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は役員及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権を付与しております。

新株予約権の権利行使が行われた場合、当社株式が新たに発行され、既存株主が有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末現在、新株予約権による潜在株式数は34,000株であり、発行済株式総数2,834,793株の1.20%に相当しております。

 

(16) 会計上の見積りについて

当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、資産及び負債の計上、収益及び費用の計上、偶発債務の開示等に関して、必要に応じて経営者による会計上の見積りや仮定を用いることが必要となります。当社は合理的な基準に基づいて会計上の見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性に起因して会計上の見積りや仮定が実際の結果と異なる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼすことがあります。

重要な会計上の見積りの詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、2025年3月の景気動向指数(DI)は43.5と2024年4月からほぼ横ばいに推移し、食品や原材料などの価格の高止まり、人材確保の困難さは引き続き幅広い業種の収益を圧迫し、景況感を下押ししました。他方、インバウンドや再開発需要、人出の増加は景気を押し上げました(注1)。また、日本の不動産投資市場については、2025年10月から12月の不動産投資額が前年同期比166%増の1兆6,308億円、通年(1月から12月)では、前年比63%増の5兆4,875億円となり、9年ぶりに5兆円を超えるなど、堅調に推移しており、都市別にみても東京は同期間の都市別投資額ランキングで首位となっております(注2)。住宅用不動産についても、東京23区においては、マンションよりは戸建ての方が緩やかとはいえ、両者ともに価格は継続して上昇傾向にあります。一方、日銀による政策金利上げの影響は限定的であったものの、今後の金利上昇懸念、物価上昇による建築資材の高騰、為替相場の上下動による輸入資材価格の変動など、不動産取引の予測が難しい局面ではありますが、東京の不動産に対する国内外の富裕層、投資家からの購買意欲は継続しており、当連結会計年度においても活発な取引が続いております。

このような環境下、当社グループは、「唯一無二の豊かさを創造する」の経営理念のもと、積極的な若手人材採用と充実した社員育成により、新規顧客へのアプローチの量と質の向上、及び既存顧客に対する長期的なサポート、提案を行うことで約30%という高い紹介・リピート率を維持し、売上・利益ともに大きく成長しております。

 

(注1)株式会社帝国データバンク調べ(2025年4月「2025年3月の景気動向調査」)

(注2)ジョーンズラングラサール株式会社調べ(2025年4月「日本インベストメントマーケットダイナミックス」)

 

 以上の結果、連結売上高が20,267,874千円(前年同期比18.9%増)となり過去最高を更新いたしました。連結営業利益は2,258,830千円(前年同期比76.5%増)、連結経常利益は2,112,604千円(前年同期比78.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,404,730千円(前年同期比77.8%増)となるなど、利益についても過去最高を更新いたしました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 ①sumuzu事業

 sumuzu事業においては、自社メディアの強化による集客力の向上に加え、約30%という高い紹介・リピート率の維持により安定した集客が確保できたことで、不動産販売件数を着実に増やすことが出来ました。また、住宅用物件の利益水準の改善により、売上・利益を大幅に伸ばしております。その結果、売上高は20,150,672千円(前年同期比19.0%増)となりました。また、セグメント利益は2,612,060千円(前年同期比64.6%増)となりました。

 

 ②賃貸事業

 賃貸事業においては、複数テナントの入替、保有目的の変更による棚卸資産への振替え等があったものの市況も安定しており、テナント入居率もほぼ100%を維持しているため、賃料収入は堅調に推移しておりますが、外壁の防水工事等の大型修繕をおこなったため、利益が前年同期比で減少しております。その結果、売上高は116,407千円(前年同期比14.1%増)、セグメント利益は36,509千円(前年同期比20.1%減)となりました。

 

 財政状態の状況

当連結会計年度末の資産合計は21,794,259千円となり、前連結会計年度末に比べ6,508,687千円増加いたしました。また、当連結会計年度末の負債合計は13,448,281千円となり、前連結会計年度末に比べ5,309,003千円増加いたしました。その結果、当連結会計年度末における純資産合計は8,345,977千円(前連結会計年度末に比べ1,199,684千円の増加)となり、自己資本比率は38.3%(前連結会計年度末は46.8%)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末と比べ、583,766千円増加し、4,959,807千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果支出した資金は3,408,382千円(前連結会計年度は776,021千円の支出)となりました。主な資金の増加要因としましては、税金等調整前当期純利益2,106,920千円の計上であります。他方、主な資金の減少要因としましては、棚卸資産の増加額5,308,806千円及び法人税等の支払額376,080千円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は529,905千円(前連結会計年度は303,037千円の支出)となりました。主な資金の変動要因としましては、定期預金の預入による支出400,560千円及び有形及び無形固定資産の取得による支出148,194千円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は4,522,522千円(前連結会計年度は1,051,199千円の収入)となりました。主な資金の増加要因としましては、短期借入金の純増減額2,843,722千円及び長期借入れによる収入2,492,295千円であります。また、主な資金の減少要因としましては、長期借入金の返済による支出608,455千円及び配当金の支払額206,772千円であります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは生産を行っていないため、生産実績の記載はしておりません。

 

b.仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

sumuzu

21,171,446

139.1

合計

21,171,446

139.1

 

(注)セグメント間の取引を相殺消去した後の金額を記載しております。

 

c.受注実績

当社グループは受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。

 

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

sumuzu

20,150,672

119.0

 仲介手数料

1,025,856

171.1

 不動産販売

19,091,030

117.0

 その他

33,785

146.6

賃貸

116,407

114.1

その他

794

79.0

合計

20,267,874

118.9

 

(注)1.セグメント間の取引を相殺消去した後の金額を記載しております。

     2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

個人

2,481,811

12.2

 

     3. 主な相手先の氏名は、金融商品取引法第25条第4項の規定による承認を受けて非縦覧としております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

① 経営成績の分析

(売上高、売上原価及び売上総利益)

当連結会計年度の売上高は、不動産販売の販売件数の増加に伴い前連結会計年度比18.9%増の20,267,874千円となりました。また、売上原価につきましても、住宅用物件の一戸あたりの利益水準は改善したものの、売上高の増加により前連結会計年度比14.7%増の15,890,256千円となりました。この結果、売上総利益は前連結会計年度比37.6%増4,377,617千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費並びに営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比11.4%増の2,118,786千円となりました。主な要因は事業拡大に伴う人員増強などによる人件費の増加、及び棚卸資産増加に伴う物件取得関連費用の増加であります。この結果、営業利益は前連結会計年度比76.5%増2,258,830千円となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は前連結会計年度比32.0%減6,006千円、営業外費用は前連結会計年度比47.0%増152,232千円となりました。営業外収益の主な変動要因は前期に計上された違約金収入によるものであり、営業外費用の主な変動要因は棚卸資産増加に伴う物件取得時に発生する借入金の支払利息の増加であります。この結果、経常利益は前連結会計年度比78.3%増2,112,604千円となりました。

 

(特別損益及び税金等調整前当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度比92.0%減3,826千円、特別損失は前連結会計年度比67.8%減9,510千円となりました。特別利益の主な変動要因は、固定資産売却益の減少であり、特別損失の主な変動要因は、損害賠償損失引当金繰入額の減少であります。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比75.1%増2,106,920千円となりました。

 

(法人税、住民税及び事業税並びに親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計)は、前連結会計年度比70.0%増702,189千円となりました。これは、主に利益の増加に伴う課税所得の増加によるものであり、この結果、当期純利益は前連結会計年度比77.8%増1,404,730千円となりました。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因分析について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としましては、瑕疵担保責任、法的規制などが挙げられます。詳細につきましては、「第2 事業等の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③ 財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ、6,508,687千円増加の21,794,259千円となりました。 流動資産は、前連結会計年度末に比べ、6,382,221千円増加の18,737,997千円となりました。これは主に現金及び預金が984,327千円増加したことに加え、sumuzu事業における不動産売買の拡大に伴い販売用自社物件の在庫を積み増すことができた結果、棚卸資産が12,198,486千円と前連結会計年度末と比べ5,350,960千円増加したことによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ、126,466千円増加3,056,261千円となりました。これは主に保有目的の変更による棚卸資産への振替えに伴い43,936千円減少した一方で、賃貸用不動産の取得により101,017千円増加したほか、建設仮勘定が29,844千円、投資その他の資産のその他に含まれる繰延税金資産が47,699千円増加したことによるものであります。

 

(負債の部)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ、5,309,003千円増加13,448,281千円となりました。 流動負債は、前連結会計年度末に比べ、5,722,210千円増加10,487,250千円となりました。これは主に棚卸資産の積み増し等に伴い短期借入金が2,843,722千円、1年内返済予定の長期借入金2,341,873千円増加したほか、未払法人税等が372,266千円、流動負債その他に含まれる契約負債が79,716千円増加したことによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ、413,206千円減少2,961,031千円となりました。これは主に長期借入金が423,002千円減少したことによるものであります。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ、1,199,684千円増加の8,345,977千円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が1,404,730千円増加した一方で、利益配当金の支出により利益剰余金が206,781千円減少したことによるものであります。

 

④ キャッシュ・フローの分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.資金需要の主な内容

当社グループの資金需要は、営業活動に関しては、仕入れのための費用と人件費等の一般管理費が主な内容となっており、投資活動に関しては、事業用設備の取得が主な内容となっております。

 

b.財政政策

当社グループは、運転資金、投資資金についてまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について銀行借入による資金の調達を実施しております。

 

⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成にあたっては、経営者による見積りや仮定を用いることが必要となります。当社は合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性の存在により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当社グループにおいては、「棚卸資産の評価」における会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が特に重要であると考えております。これらの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

⑦ 経営指標に照らした分析

a.グループ社員1人あたりの売上高

当連結会計年度のグループ社員1人あたりの売上高は、グループ全体の売上高は増加しましたが、積極的な新卒採用による人員増加もあり、前連結会計年度比8.3%増の180,963千円となりました。

 

b.グループ社員1人あたりの営業利益

当連結会計年度のグループ社員1人あたりの営業利益は、安定した集客の確保により不動産販売件数が着実に増加したことに加え、住宅用物件の利益水準が改善したことにより前連結会計年度比60.7%増の20,168千円となりました。

 

c.土地成約案件に占める建物請負紹介成約比率

当連結会計年度の土地成約案件に占める建物請負紹介成約比率は、前連結会計年度比45.2%減の20.5%となりました。引続き、建築業者との請負マッチングを強化し、不動産販売件数の増加に伴う建物請負紹介成約比率の増加に取組んでいます。

 

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。