第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営の基本方針

 当社グループは、企業理念として、「健康で豊かな人生をすべての人に」を掲げております。医療分野において社会課題として取りざたされている「医療費の増大(2025年問題)」「医療の地域格差」「生活習慣病の増大」「労働力不足」といった問題にデータとICTの力で解決に取り組むことで、持続可能な国民医療制度の実現を目指してまいります。

 

(2)経営環境

 上記のような社会問題がクローズアップされる中で、政府の最重要政策の1つに「全世代型社会保障への変革(※1)」が取り上げられております。その中でも当社のサービス提供先である健康保険組合を含めた保険者に対しては「病気予防や介護予防についての、保険者のインセンティブ強化」を通じて、予防による「健康寿命の延伸」や「個人のQOL(※2)の向上」を目指すことが掲げられており、これらはデータに基づくエビデンスにより活動評価を行うこととされております。このように、保険者には国家的課題である医療費の適正化に向けて大きな役割が期待されており、その達成のため予防を含めた医療全体に対するデータを活用したエビデンスに基づいた活動の重要性が高まっております。加えて、医療費の適正化に向けて医療ビッグデータの利活用をより促進させる観点から、2017年5月に「改正個人情報保護法」が、2018年5月に「次世代医療基盤法」がそれぞれ施行され、匿名加工医療情報作成事業等の開始に向けた動きが進んでおります。

 また、新型コロナウィルス感染症が人類に大きな影響を与えております。当社グループには、短期的には営業活動の鈍化や患者の来院控えが業績に影響を与えると考えております。これらは2021年3月期第1四半期累計期間にもっとも大きな影響を及ぼし、その後回復に向かっていくと仮定しております。

 一方で、医療・学術、行政における疫学解析の重要性は高まり、産業、個人の行動様式も変化し、ヘルスビッグデータの果たす役割は多様化することが想定されます。しかしながら、現時点においてその正確な予想は困難な状態となっております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 上記の経営の基本方針及び経営環境を踏まえた中長期的な経営戦略は以下のとおりであります。

 

Ⅰ.「高付加価値化」と「データ種類の拡充」を通じた医療ビッグデータ事業の取引額の最大化

 製薬企業や生損保企業に対して、データ利活用サービスの幅を拡げ、提供できる付加価値を上げていくことを目指しております。現在は、個別の要望事項に対して当該データベースから必要なデータを抽出・分析するサービス「アドホック販売」、汎用的なネットオンライン型のデータ検索・集計パッケージツール「JMDC Data Mart」、及び当社のデータベース自体の一部又は全部へのアクセス権の付与「データベース販売」を行っていますが、今後は医療ビッグデータを顧客が効率的かつ情報管理しやすい形で活用しうる分析環境を提供し、さらに、データベースを前提としたコンサルティングやアプリケーション開発を提供することで、サービスの付加価値を増やし、顧客あたりの取引額を高めていく方針であります。

 また、今後さらにデータの量及び種類を拡大していくことも目指しております。例えば、健康保険組合員向けの健康情報プラットフォーム「PepUp」の中で、すでに保有しているレセプトデータや健診データに加えて、活動量やゲノム(遺伝情報)等の情報を管理することにより、これらのインプットが健診データやレセプトデータが示すアウトカムにどのように影響するのかといった因果関係の解析が可能となります。このようにデータは1つ1つ単体で存在するのに比べて、組み合わさることで相乗的な価値を出しうる特性を有しており、その特性を活用することで健康・医療に関する様々な因果をデータで解析し、学術、事業での更なる利活用の機会につなげていく方針であります。

 

Ⅱ.データ利活用による医療における価値創出

 当社グループは、グループとして有するデータ、ICT及び医療現場でのサービス提供の力を医療の高度化及び効率化のために積極的に発揮し、医療費抑制に貢献してまいりたいと考えております。例えば、遠隔医療事業においては、遠隔読影マッチングサービスを通して、多くの画像診断データに日々アクセスしており、ディープラーニング(※3)を中心とするAIテクノロジー(※4)を用いた診断アシストエンジン(※5)を日々の読影の中で活用できるようにする診断アシストプラットフォーム「AI-RAD」の開発に取り組んでおります。また、データが非言語であり、国境を越えやすいという利点を活かし、読影ニーズが増加している中国に拠点を新設し、インバウンドでのセカンドオピニオンサービスの展開を推進してまいります。

Ⅲ.社会生活者に対する医療費の健全化につながるソリューションを提供

 当社は、保険者支援サービスを提供する取引先の健康保険組合の加入者数が1,000万人を超えることを目指しております。その1,000万人に対して、当社の健康情報プラットフォーム「PepUp」を通してつながることで、医療の個別化やアウトカムベースでの医療を実現し医療業界全体の効率化を図り、医療費抑制に貢献することを目指しております。具体的には、健康保険組合や企業と協力し、従業員個々人の健康状態に応じて高いリスクを持つ対象者を抽出し、その対象者に対してデータを用いた積極的な介入策を立案し、介入後のデータによる効果測定を行うことで、重症化予防活動において投資対効果という考え方を導入してまいります。また介入方法としては、名医紹介サービス「clintal」・重症化予防・保健指導等の医療的介入から、生活習慣病の予防のための健康コンテンツの提供・行動変容を促すポイントプログラムによるインセンティブ付けのような予防的介入まで様々なアプローチを当社グループ外部の事業者とも連携しながら提供していく方針であります。この事業においては、各介入方法の投資対効果を明確化し、向上させ、国家、保険者、企業からの適切な投資を促す中で、現在43兆円(出所:厚生労働省HP、平成30年度)の国民医療費の抑制に貢献することによる収益化を目指してまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社では、経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、EBITDAによる評価を行っております。EBITDAは営業利益+減価償却費及び償却費±その他の収益・費用で算出しております。EBITDAは当社グループ全体の評価の他、各報告セグメント利益に分解しております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは企業理念として、「健康で豊かな人生をすべての人に」を掲げており、データとICTの力で、持続可能なヘルスケアシステムの実現を目指しております。そのためのデータの蓄積・匿名化処理と統計解析情報の提供を推進するため、以下の課題を解決してまいります。

 

a. 母集団の拡大

データベースの母集団を拡大することにより、日本で民間利用可能な最大規模のデータベースとしての圧倒的な地位を堅持する。

b. 健康保険組合向けサービスの拡充

当社の有するデータ解析技術とPepUpを活用し、的確なターゲティングと効果予測に基づく個人アプローチを展開することで、健康保険組合が抱える医療費抑制という課題に対応する。

c. データの利活用のさらなる促進

従来のアドホック形式及びフルDB形式でのデータ提供に加え、解析・コンサルティングサービスを含めたデータ利活用を提案するなど、単なるデータ売りにとどまらない付加価値の高いサービス提供を促進することで顧客の満足度を高める。

 

《用語説明》

※1 全世代型社会保障への変革

アベノミクスにおける「成長戦略実行計画」(2019年6月21日に閣議決定)での文言。

※2 QOL

Quality Of Lifeの略であり、生活の質ともいわれる。治療や療養生活を送る患者の肉体的、精神的、社会的、経済的、すべてを含めた生活の満足度を示す指標。

※3 ディープラーニング

コンピュータによる機械学習の手法であり、深層学習ともいわれる。

※4 AIテクノロジー

Artificial Intelligence(人工知能)を活用することで学習・推論・判断のはたらきを人工的に実現する技術をいう。

※5 診断アシストエンジン

コンピュータを使用した医療における診断支援を実行する機構をいう。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業環境について

① 当社グループの事業について

 当社グループは、ヘルスビッグデータ、遠隔医療、調剤薬局支援の各セグメントを新たな成長領域ととらえ、事業機会の捕捉・拡大及び収益力の強化に取り組んでおります。事業計画策定及び投資にあたっては慎重かつ精緻に調査を行っておりますが、予期せぬ事態により計画どおり進捗しなかった場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の記載のとおり、中長期的な経営戦略を掲げております。しかしながら、当社グループがかかる目標を達成することができるか否かは、本「2 事業等のリスク」に記載された事項を含む多くのリスクや課題の影響を受けます。

 中長期的な経営戦略を策定する中で、当社グループは、産業動向、新規取引先数、取引額、コスト変動等の様々な前提を置いております。このような前提は必ずしも正しいという保証はなく、当社グループは前提が誤っていたことによる影響に対応して経営戦略又は事業運営を適時に変更することができない可能性があります。

 

② 他社との競合について

 当社グループの競合他社は、その資本力、サービス・商品、技術開発力、価格競争力、顧客基盤、営業力、知名度などにおいて、当社グループより優れている場合があります。競合他社がその優位性を現状以上に活用してサービスや商品の販売に取り組んだ場合、当社グループが販売競争で劣勢に立たされ、当社グループの期待通りにサービス・商品を提供できない、又は顧客を維持・獲得できないことも考えられ、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが競合他社より先駆けて導入した、又は高い優位性を有するサービス、商品又は販売手法に関して、競合他社がこれらと同等又はより優れたものを導入した場合や、競合他社が当社グループよりも低い価格でこれらを提供した場合、当社グループの施策が期待した効果を上げることができない場合、当社グループの優位性が低下し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 取引先の与信リスクについて

 当社グループは、新たな成長分野における事業機会を模索する中、各事業領域における新たな取引先の開拓を積極的に行っております。取引先の個別与信の判断及び各事業領域の取引慣行等の事業ノウハウを習得しておりますが、景気後退等による不測の取引先の倒産等が発生することで、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 情報システムへの依存について

 当社はレセプトデータの分析をシステムに依存しております。また、当社の連結子会社である株式会社ドクターネットが提供しております遠隔読影マッチングサービスは、コンピュータシステム及びそのネットワークに多くを依存しております。そのため、当社グループとしてセキュリティの強化をはじめ、データのバックアップ体制の強化、データ量やアクセス数増加に応じたハードウェアの増強等、システムトラブル対策を講じております。しかしながら、これらの対策にも関わらず、人為的過誤、自然災害、第三者によるセキュリティ侵害や不正アクセス等によりシステムトラブルが発生した場合には、当社グループに直接損害が生じ、提供するサービスの低下を招く等の影響を及ぼす他、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 当社グループが提供するサービス及び製品に関するクレームについて

 当社グループが開発・販売を行うデータ情報、遠隔読影マッチングサービス、システム製品については、欠陥等の不具合を事前に回避するための十分な管理体制を確保しております。しかしながら、万が一不具合などの問題を回避できずユーザー等に損害を与えた場合は、損害賠償請求等が発生する可能性があり、当社グループの信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 遠隔画像診断サービスにおける誤診リスクについて

 当社の連結子会社である株式会社ドクターネットでは、医療機関と放射線診断専門医(契約読影医)をデジタル環境でつなぎ、医療機関に対して遠隔画像診断サービスを提供しており、サービスの提供を契約読影医に依存しております。契約読影医は当社グループの独自の基準に従い、それぞれの得意分野、専門分野ごとにカテゴライズされ、依頼に応じた最適なマッチングを行う他、当社グループによる独自の品質管理も実施しております。しかしながら、契約読影医による予期せぬ不法行為の発生やトラブルなどが生じ、それに当社グループに重大な過失が認められた場合には、損失補償および対外的な評価の悪化を通じて、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 売上収益の季節的変動の影響について

 当社が製薬企業、研究機関及び生損保企業に対し、個別の要望事項に対してデータベースから必要なデータを抽出・分析するサービス「アドホック販売」は下期にかけて需要が高まる傾向にあります。一方、当社が行っているデータビジネスのコスト構造は固定費中心であるため、結果として下期に利益が偏重する季節的変動があります。

ヘルスビッグデータセグメントの業績変動の状況は以下のとおりであります。

 

2019年3月期

2020年3月期

上期

下期

通期

上期

下期

通期

売上収益

1,669

2,695

4,364

2,375

3,379

5,754

(構成比)

38.2%

61.8%

100.0%

41.3%

58.7%

100.0%

セグメント利益

375

1,159

1,534

700

1,419

2,120

(構成比)

24.5%

75.5%

100.0%

33.0%

67.0%

100.0%

 

(2)法的規制について

⑧ 個人情報等の漏洩リスクについて

 当社グループは、個人情報取扱事業者として個人情報にかかる義務等の遵守を法令上求められております。

 当社グループでは情報セキュリティポリシーを制定し、安全性及び信頼性に万全の対策を講じるとともに、特に関連性の高い傘下のグループ会社では「プライバシーマーク」を取得する等個人情報保護に努めておりますが、人為的過誤、自然災害、第三者によるセキュリティ侵害や予測しない不正アクセス等により、個人情報その他の顧客情報や当社グループの機密情報が漏洩し、また、その漏洩した情報が悪用された場合、顧客の経済的・精神的損害に対する損害賠償等が発生する可能性があります。さらに顧客情報の漏洩等が当社グループの信用低下や企業イメージの悪化につながることで、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 特許及びその他の知的財産権について

 当社グループが研究開発及び生産活動を行う中で様々な知的財産権にかかわる技術を使用しており、それらの知的財産権は当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたもの等であると認識しておりますが、当社グループの認識の範囲外で第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが所有する知的財産権に関して第三者から侵害される可能性もあり、その場合においても当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 許認可等に関するリスクについて

 当社グループは、製薬の販売を営む子会社及び医療機器の販売を営む子会社を有しております。これらの子会社には、監督官庁の許認可等を受けて営業が可能となる事業が含まれているため、行政指導や許認可の取消し等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び事業計画に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 個人情報保護規制等の変化によるリスクについて

 個人情報保護法の改訂により、匿名加工情報の利活用手続きが厳格化した場合に、当社が匿名加工されたレセプトデータや健診データを取得するためのコストが上昇するリスクがあります。レセプトの仕様変更があった場合には、レセプトの取込システムや分析システムの改修が必要となります。提供しているソフトウエアを改修しなければない場合、ソフトウエアの変更作業に伴う業務量の増大が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ その他の法的規制の変更に関するリスクについて

 当社グループは医療保険制度、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)による法規制を受けております。上記の法令について大幅な制度変更が実施され、提供しているソフトウエアを改修しなければない場合、ソフトウエアの変更作業に伴う業務量の増大が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは海外での事業活動を行っておりますが、予期しえない法規制・許認可制度の変更の発生等が、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)事業体制に関するリスク

⑬ 人材の確保・育成について

 当社グループは、今後の事業拡大を進めていくにあたり、優秀な人材を確保するとともに人材育成が重要な課題であると認識しております。このため、採用活動の充実、人材流出の防止に努めておりますが、必要とする人材の確保ができなかった場合や中核となる優秀な人材の流出等が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ 親会社グループとの関係について

 当連結会計年度末現在、当社の親会社のノーリツ鋼機株式会社は、当社の議決権の62.9%を所有しております。これに伴い、ノーリツ鋼機株式会社は、株主総会の特別決議を要する事項(例えば、吸収合併、事業譲渡承認、定款変更等を含みますが、これらに限りません)に関する決定権又は拒否権を保有するとともに、株主総会の普通決議を必要とする事項(例えば、取締役の選解任、剰余金の処分や配当等を含みますが、これらに限りません)に関する決定権又は拒否権を保有しております。したがって、株主総会の承認を必要とする事項に関し、ノーリツ鋼機株式会社が影響を及ぼす可能性があります。

 また、ノーリツ鋼機株式会社との良好な関係は当社グループの事業の核であり、何らかの理由により関係が悪化した場合又は悪化したと受け取られた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社と当社の親会社の企業集団であるノーリツ鋼機グループとの間の主な関係等についての詳細は、下記に記載のとおりであります。

 

a.ノーリツ鋼機グループ内の他社との競合について

 ノーリツ鋼機グループ内において、ヘルスケア事業には、当社グループ以外に、バイオマーカー検査事業を行うNKメディコ株式会社、遺伝子検査事業を行うGeneTech株式会社、歯科医院に対する歯科材料の通信販売事業を行うフィード株式会社が属しております。これらの事業は、ヘルスケア関連事業ではありますが、ICTを活用したサービス提供を主としたものではなく、当社グループの行う医療ビッグデータ事業や医療機関や調剤薬局に対するICTを活用した支援事業とは、競合することはありません。

b.ノーリツ鋼機グループとの取引関係について

 当社グループは、ノーリツ鋼機グループ内の各社と一部業務委託等の取引がありますが、一般取引先と同様の条件となっております。当社グループの独立性の観点を踏まえ、関連当事者との取引については、当該取引の事業上の必要性と取引条件の妥当性等取引内容について審議し、社内規程に定められた承認を得ることとし、取引の健全性及び適正性を確保する体制を築いております。

 

(4)その他、経営成績に影響を及ぼす可能性のある事項について

⑮ 企業買収にかかるリスクについて

 当社グループは、成長戦略実現のため、積極的に企業買収を実施する予定であります。企業買収にあたり、対象となる企業の資産内容や事業状況についてデューディリジェンス(適正価値精査)を実施し、事前にリスクを把握しております。しかしながら、事業環境や競合状況の変化等に伴って当社グループが期待する利益成長やシナジー効果が目論見どおりに実現できない可能性があり、また今後予期しない債務又は追加投入資金等が発生する可能性があり、これらが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯ 投資に伴う減損リスクについて

 当社グループの所有する固定資産は将来の収益を生み出すことを前提に資産として計上しております。しかしながら、事業環境や競争状況の変化等により期待する成果が得られない場合、減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、企業買収に伴い発生した相当額ののれんを計上しております。当社グループは、当該のれんにつきまして、それぞれの事業価値及び事業統合による将来のシナジー効果が発揮された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られない場合、減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑰ 新株予約権による株式の希薄化について

 当社グループでは、役員、従業員等を対象として、業績向上に対する意欲・士気向上、及び優秀な人材の確保のため、ストック・オプション制度を採用しております。

 これらのストック・オプションの行使が行われた場合、発行済株式総数が増加することにより1株当たりの株式価値が希薄化し、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑱ 配当について

 当社グループは、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして認識しておりますが、内部留保の充実を図るため、配当を実施しておりません。将来的には、経営成績を勘案しながら株主への利益の配当を目指していく方針であります。現時点において配当実施の可能性及びその実施時期につきましては、未定であります。

 

⑲ 新型コロナウィルス感染症拡大の影響について

 新型コロナウィルス感染症が拡大した場合、各報告セグメントに以下の影響を与える可能性があります。

 ヘルスビッグデータセグメントについては健康保険組合・医療機関等に対する訪問抑制により営業活動が鈍化すること、及び医療ビッグデータにおけるアドホック販売(個別の要望事項に対して必要なデータを抽出・分析するサービス)の需要が一時的に抑制されることが当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 遠隔医療セグメントにおいては新型コロナウィルス以外の患者の来院控え、及び健康診断の受診控えによる画像診断依頼の減少が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 調剤薬局支援セグメントにおいては医療機関への来院控えに伴う調剤薬局への利用頻度の低下が、自社で営む調剤薬局の業績に影響を与える可能性があります。

 上記は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、今後の感染拡大の影響により、当社グループの業績に更なる影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当社は企業理念として、「健康で豊かな人生をすべての人に」を掲げており、医療ビッグデータを活用した社会生活者に向けた健康増進の取組み、デジタル化による医療の効率化、調剤薬局の情報化による薬局薬剤費の最適化を合わせ、グループ全体で国民医療費の健全化を目指すべく業務を進めております。

 ヘルスビッグデータセグメントは、健康保険組合の保健事業を推進するため、健康保険組合が保有するデータの分析サービスの他、当社開発のPHRサービスを提供しております。また、こうした業務の付帯として受領した匿名加工情報をデータベース化し、学術・産業利用を進めております。その他、医療機関に対しても医療機関が保有するデータ分析サービスの他、薬剤DBの提供等を行っております。

 遠隔医療セグメントは、放射線診断専門医が不足している医療機関と契約読影医を遠隔読影システムでつなぐマッチングサービスの他、医療機関と放射線診断専門医をクラウドでつなぎ、遠隔での画像診断を可能としたASPサービスを提供しております。

 調剤薬局支援セグメントは、保険薬局に対してレセコン及び電子薬歴システムなどのシステム開発・販売事業を行う他、自らも調剤薬局を運営する中で、自社システムのオペレーションテストを実施しております。

 当連結会計年度の業績は、以下のとおりであります。なお、当連結会計年度における新型コロナウィルス感染症の影響は限定的でありました。

 

(当期の業績)                                    (単位:百万円)

区  分

第6期

(自 2018年4月1日

 至 2019年3月31日)

第7期

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

比較増減

売上収益

10,064

 

12,158

 

+2,094

+20.8%

営業利益

1,470

 

2,215

 

+745

+50.7%

EBITDA(マージン)

2,358

(23.4%)

3,245

(26.7%)

+887

+37.6%

 

(セグメントの業績)                                 (単位:百万円)

区  分

第6期

(自 2018年4月1日

  至 2019年3月31日)

第7期

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

比較増減

ヘルスビッグデータ

セグメント売上収益

4,364

 

5,754

 

+1,390

+31.9%

セグメント利益(率)

1,534

(35.2%)

2,120

(36.8%)

+586

+38.2%

遠隔医療

セグメント売上収益

3,516

 

3,885

 

+369

+10.5%

セグメント利益(率)

867

(24.7%)

980

(25.2%)

+113

+13.0%

調剤薬局支援

セグメント売上収益

2,296

 

2,709

 

+413

+18.0%

セグメント利益(率)

69

(3.0%)

335

(12.4%)

+266

+385.5%

調整額

セグメント売上収益

△113

 

△190

 

△77

-

セグメント利益

△113

 

△191

 

△78

-

合計

売上収益

10,064

 

12,158

 

+2,094

+20.8%

EBITDA(マージン)

2,358

(23.4%)

3,245

(26.7%)

+887

+37.6%

(注)当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、EBITDAがあります。当社グループは、EBITDAを用いて各セグメントの業績を測定しており、当社グループの業績評価をより効果的に行うために有用かつ必要な指標であると考えております。EBITDA及びEBITDAマージンの計算式は以下のとおりです。

・EBITDA    :営業利益+減価償却費及び償却費±その他の収益・費用

・EBITDAマージン:EBITDA/売上収益×100

 

ヘルスビッグデータ]

当連結会計年度においては、引き続き取引先健康保険組合の拡大を行った他、健康保険組合員向けの健康情報プラットフォーム「PepUp」(ペップアップ)の導入を進めました。また、製薬企業及び生損保企業でのデータ利活用も進み、1顧客あたりの取引額も増加しております。一方で、データの量及び種類の増加等による将来の成長に向けて、人件費を中心に積極的な先行投資を実施しております。

この結果、当連結会計年度のセグメント売上収益は、5,754百万円となり、セグメント利益(セグメントEBITDA)は2,120百万円となりました。

 

[遠隔医療]

当連結会計年度においては、引き続き契約読影医数及び契約医療機関数が成長しております。また、画像診断をアシストする人工知能エンジンプラットフォーム「AI―RAD」の開発や中国での事業展開を本格化するための準備を進めております。

この結果、当連結会計年度のセグメント売上収益は、3,885百万円となり、セグメント利益(セグメントEBITDA)は980百万円となりました。

 

[調剤薬局支援]

当連結会計年度においては、既存顧客の買換え(リプレース)需要を確保しつつ、新規顧客の開拓に努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度のセグメント売上収益は、2,709百万円となり、セグメント利益(セグメントEBITDA)は335百万円となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上収益は12,158百万円、営業利益は2,215百万円、EBITDAは3,245百万円の増収増益となりました。なお、EBITDAから営業利益への調整は以下のとおりであります。

 

(EBITDAから営業利益への調整表)                           (単位:百万円)

 

第6期

(自 2018年4月1日

 至 2019年3月31日)

第7期

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

EBITDA

2,358

3,245

減価償却費及び償却費

△707

△889

その他の収益

7

5

その他の費用

△187

△145

営業利益

1,470

2,215

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末と比べ7,979百万円増加し26,944百万円となりました。これは主に、東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う新株発行等により現金及び現金同等物が4,058百万円増加したこと、企業結合によりのれんが1,525百万円増加したこと、投資の取得等によりその他の金融資産が1,319百万円増加したことによるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比べ973百万円増加し13,821百万円となりました。

当連結会計年度においては、既存借入金のリファイナンス(借換え)等により、流動負債の借入金は1,782百万円の減少となりましたが、一方で非流動負債の借入金は、1,557百万円の増加となりました。その他、EBITDAの増加に伴う未払法人所得税の増加444百万円、新規連結子会社の加入等に伴うその他の流動負債の増加564百万円が主な理由となります。

(資本)

 当連結会計年度末における資本は、前連結会計年度末と比べ7,006百万円増加し13,123百万円となりました。これは主に、東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う新株発行等により資本金が2,766百万円、資本剰余金が2,700百万円増加したこと及び当期利益1,528百万円を計上したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,058百万円増加し、7,692百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ1,390百万円増加し3,146百万円となりました。資金の増加の主な要因は、税引前利益2,178百万円、減価償却費及び償却費889百万円となっております。資金の減少の主な要因は、法人所得税の支払額245百万円となっております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ3,617百万円増加の3,947百万円となりました。当連結会計年度は主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,478百万円、投資の取得による支出1,302百万円、有形固定資産の取得による支出343百万円、無形資産の取得による支出812百万円を計上しております。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ3,626百万円増加の4,858百万円となりました。これは主に、東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う株式の発行による収入5,487百万円を計上したことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、ヘルスビッグデータ、遠隔医療、調剤薬局支援の3つのセグメントから構成されております。いずれも、受注生産形態をとらない事業であるため、セグメントごとに生産の規模及び受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 当連結会計年度の販売の状況については下記のとおりであります。

セグメントの名称

第7期

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

ヘルスビッグデータ

5,723

32.0

遠隔医療

3,885

10.5

調剤薬局支援

2,549

15.3

合計

12,158

20.8

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.総販売実績に対する割合が10%を超える相手先はありません。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積り及び判断を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りの不確実性により実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針、及び重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」に記載しております。

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 経営成績の状況

 当連結会計年度のセグメントごとの状況は以下となります。

 

[ヘルスビッグデータ]

 当セグメントは、(1)保険者・生活者向け事業、(2)医療機関向け事業、(3)データ利活用事業から構成されます。当セグメントの事業別売上は以下となります。

(単位:百万円)

事業

第6期

(自 2018年4月1日

 至 2019年3月31日)

第7期

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

比較増減

保険者・生活者向け事業

703

1,193

+490

+69.7%

医療機関向け事業 ※1

968

1,289

+321

+33.2%

データ利活用事業

2,897

3,422

+525

+18.1%

上記の合計

4,568

5,904

+1,336

+29.2%

連結調整額 ※1、2

△204

△150

+54

報告セグメントの売上収益

4,364

5,754

+1,390

+31.9%

(注)1.医療機関向け事業には2018年5月より連結財務諸表に取り込んでいるメディカルデータベース株式会社の連結前の期間の数値が含まれているため、報告セグメントの売上収益の作成にあたって調整をしております。

2.連結調整額には、上記の調整の他、IFRS調整・内部取引消去などが含まれております

3.事業の進捗に伴い、ヘルスビッグデータセグメントの主な事業の名称を次のとおり変更しております。

・「保険者支援及びPHR事業」は「保険者・生活者向け事業」に変更

・「薬剤DB事業」、「その他事業」は「医療機関向け事業」に統合

・「医療ビッグデータ事業」は「データ利活用事業」に変更

上記変更に伴い、従来「その他(新規事業等)」の区分に表示されていた項目は「医療機関向け事業」に含めて再表示しております。

・保険者・生活者向け事業

 保険者・生活者向け事業では、取引先健康保険組合の拡大及び「Pepup」IDの発行数の増加に注力しております。

 2016年3月末時点で全国の健康保険組合は1,405組合、加入者数が約2,900万人(出所:厚生労働省HP)とされている中、当連結会計年度においては、継続契約している取引先健康保険組合数が207組合から252組合へと増加し、その加入者数は703万人から854万人へと増加いたしました。

(取引健保数と加入者数の推移)

 

2016年4月末

2017年4月末

2018年4月末

2019年4月末

2020年4月末

取引健保数(組合)

97

116

172

207

252

取引健保の加入者数(万人)

359

397

578

703

854

(注)前事業年度の営業活動の結果として4月1日に開始する契約が多数存在すること、及び、当社として加入者数を集計できるのが月末であることから、4月末を集計基準月としております。取引健保の加入者数は、各基準月において当社と継続契約を締結している(単発取引を除く)取引健康保険組合の組合員数を推計して算出しております。

 

 また、上記の取引健保の組合員に対して「Pepup」及びウェアラブル端末の導入を進めております。2020年3月末時点において取引健康保険組合の加入者等の164万人に対してIDを付与しており、急速にユーザー数が拡大しております。

(「PepUp」ID発行数推移)

 

2016年12月末

2017年12月末

2018年12月末

2020年3月末

ID発行数実績(万人)

9

44

108

164

(注)当連結会計年度より3月末時点のID発行数を集計・開示しております。なお、2019年12月末におけるID発行数は152万人であります。

 

 以上の結果、当連結会計年度の保険者・生活者向け事業の売上収益は、前連結会計年度703百万円から69.7%増の1,193百万円となりました。

 

・医療機関向け事業

 当事業では、医療機関向けサービスの拡大・強化に注力しております。薬剤DB事業を中心に順調に事業は拡大しており、当連結会計年度における医療機関向け事業の売上は前連結会計年度968百万円から33.2%増の1,289百万円となりました。

(医療機関向け事業の取引推移)

 

2016年3月末

2017年3月末

2018年3月末

2019年3月末

2020年3月末

薬剤DB事業売上高

661

708

787

849

1,111

医療機関向け及びその他売上高

99

28

69

120

178

合計

751

736

856

968

1,289

(注)上記の売上は経営管理上の単純合算数値であります。また、上記の数値には2018年5月に子会社化したメディカルデータベース株式会社の子会社化前の数値を含んで記載しております。なお、2016年3月期の数値はメディカルデータベース株式会社において決算期変更を実施したことから、2015年3月~2016年2月の数値を記載しております。

 

・データ利活用事業

 当社は、レセプトデータ、健診データ、台帳データ等を匿名加工したデータ(匿名加工情報)等から医療ビッグデータを構築しており、2020年3月末時点で750万人規模のデータを時系列で追跡可能となっております。

 データ利活用事業においては、製薬企業及び生損保企業に対し、付加価値アップ(アップセル)と提供するデータ種類の拡充(クロスセル)による施策を講じることを通じて、取引先1企業あたりの取引額の増加に注力しております。当連結会計年度においては上位5顧客の平均取引高が119百万円から174百万円へ増加し、1企業あたりの取引額は31百万円から37百万円へと増加いたしました。

 以上の結果、当連結会計年度の事業売上収益は、前連結会計年度2,897百万円から18.1%増の3,422百万円となりました。

(データ利活用事業の取引推移)

 

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

上位5顧客の平均取引額(百万円)

85

95

106

119

174

全顧客の平均取引額(百万円)

21

24

26

31

37

(注)上位5顧客の平均取引額は、各年度の取引額の上位5社の平均取引額であります。

 

 上記の結果、当連結会計年度におけるヘルスビッグデータセグメントのセグメント売上収益は、前連結会計年度の4,364百万円から31.9%増の5,754百万円となりました。

 

[遠隔医療]

 当セグメントは、主として(1)遠隔読影マッチングサービス事業、(2)遠隔読影インフラ事業から構成されます。当セグメントの事業別売上は以下となります。

(単位:百万円)

事業

第6期

(自 2018年4月1日

 至 2019年3月31日)

第7期

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

比較増減

遠隔読影マッチングサービス事業

2,711

3,146

+435

+16.0%

遠隔読影インフラ事業

353

367

+14

+4.0%

その他(新規事業等)

418

422

+4

+1.0%

上記の合計

3,482

3,935

+452

+13.0%

連結調整額 ※1

34

△50

△83

報告セグメントの売上収益

3,516

3,885

+369

+10.5%

(注)1.連結調整額には、IFRS調整・内部取引消去などが含まれております。

 

・遠隔読影マッチングサービス事業

当事業では、遠隔画像診断の提供先となる医療機関数と遠隔画像診断を委託する契約読影医数の双方を伸ばすことでシェアを拡大することに注力しております。2020年3月末時点で、契約読影医が740名、契約医療機関が800施設の規模にまで成長しております。また、過去の契約顧客からの売上が安定して推移しており、契約医療機関の増加がそのまま売上の増加に貢献しております。

今後も、遠隔読影のリーディングカンパニーとして、オペレーション改善によるコスト競争力強化、24時間365日対応、専門性の高い読影医のマッチング等のサービス品質向上といった規模を活かした差別化要因を強化してまいります。

以上の結果、当連結会計年度の遠隔読影マッチングサービス事業の売上収益は、前連結会計年度2,711百万円から16.0%増の3,146百万円となりました。

 

・遠隔読影インフラ事業

遠隔読影インフラ事業では医療機関と放射線診断専門医をクラウドでつなぎ、遠隔での画像診断を可能としたASPサービスを提供しております。遠隔読影インフラは月額基本料と1件あたりのデータセンター利用料に基づく課金体系となっており、売上は安定しております。

 当連結会計年度における事業売上は367百万円となりました。

 

 上記の結果、当連結会計年度における遠隔医療セグメントのセグメント売上収益は、前連結会計年度の3,516百万円から10.5%増の3,885百万円となりました。

 

[調剤薬局支援]

 当セグメントの売上は以下となります。

 

第6期

(自 2018年4月1日

 至 2019年3月31日)

第7期

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

比較増減

報告セグメントの売上収益

2,296

2,709

+413

+18.0%

 

調剤薬局支援事業は、2018年5月に株式会社ユニケソフトウェアリサーチが当社グループに加入したことによって、前連結会計年度に新しく加わったセグメントであり、2019年3月期の報告セグメントの売上収益は11か月分の売上が計上されております。

 当セグメントでは、調剤薬局に対する業務システム(レセコン、電子薬歴など)の提供を含めたデジタルソリューションの提供及び自社開発ソリューションの企画・開発・テストのための調剤薬局の運営を行っており、自社開発ソリューションを提供する調剤薬局数を拡大することに注力しております。

一方、保険薬局市場は既に成熟市場に至っており、保険薬局数の伸び率はこの数年1%程度(出所:厚生労働省「衛生行政報告例」、平成30年度末現在)に留まっております。このため、同事業のシステム販売は、全体の約8割が既存顧客の買換え(リプレース)、約1割が既存顧客の新店開局、残る約1割が他社メーカーからのリプレース及び既存顧客以外の新店開局という構成比となっており、顧客数は安定して推移しております。

 

 現在、調剤薬局向けの業務システムをクラウド化した新商品の開発に取り組んでおります。加えて、業務システムの提供先である調剤薬局では、日々レセプトデータや薬歴データが蓄積されていることから、今後適切な手続きを経て、当社グループの他のデータベースと組み合わせることで、より付加価値の高いデータベースの構築と調剤薬局向けソリューションの開発に取り組んでまいります。

 

 上記の結果、当連結会計年度における調剤薬局支援セグメントのセグメント売上収益は、前連結会計年度の2,296百万円から18.0%増の2,709百万円となりました。

 

 その他の経営成績の状況につきましては、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照下さい。

 

(b) 財政状態の状況

 財政状態の状況につきましては、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載したとおりであります。

 

(c) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

a. キャッシュフローの状況

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b. 財務政策

 当社グループでは、運転資金及び設備資金については、内部留保により調達することを基本としております。しかしながら、企業買収を目的とした投資有価証券の取得による資金需要が発生した場合には、必要に応じて外部からの資金調達を行うことがあります。第7期連結会計年度末において、短期借入金はなく、1年以内返済予定の長期借入金は373百万円、長期借入金は4,677百万円であります。

 なお、子会社につきましては、当社を通じての資金調達を原則としております。

 

(d) 経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について

 当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、EBITDAがあります。達成・進捗状況については、「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 

(e) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

(f) 経営者の問題意識と今後の方針に関して

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。

 

4【経営上の重要な契約等】

(資金の借入)

当社は、2019年7月19日開催の取締役会において、資金の借入を実施することを決議し、実行しております。

① 使途 既存借入金のリファイナンス

② 貸出人 株式会社みずほ銀行、株式会社三井住友銀行、三井住友信託銀行株式会社

③ 借入実行日 2019年7月31日及び同年8月30日

④ 借入総額 1,700百万円及び3,485百万円

⑤ 借入利率 固定金利及び基準金利にスプレッドを加算した利率

⑥ 最終返済期日 2024年7月31日及び8月30日

⑦ 担保提供資産の有無 無担保、無保証

上記の借入実行に伴い、関連当事者(当社の親会社)であるノーリツ鋼機株式会社からの借入金485百万円を2019年7月31日付で、4,700百万円を同年8月30日付で返済しております。また、2019年8月30日付でノーリツ鋼機株式会社の銀行借入に係る当社グループの子会社株式の担保を解除しております。

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループは企業理念として、「健康で豊かな人生をすべての人に」を掲げており、この企業理念の実現のため、人材やテクノロジーに積極的に投資し、医療ビッグデータを活用した新しい取組みやサービス開発にチャレンジし続けます。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は206百万円であります。セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(1)ヘルスビッグデータ

 当セグメントでは、現在は下記をテーマにした開発を進めております。

・超重症化予防      :生活習慣病等の重症化予防のための個別介入サービス

・ポリファーマシー対策  :安全性、効率性に問題のある多剤併用の抑制

・Big Data for Children  :難病を含めた小児医療の発展に対するデータを活用した支援

・健康経営        :企業における従業員の健康管理や健康への投資の支援

当連結会計年度における研究開発費の金額は102百万円であります。

 

(2)遠隔医療

 当セグメントでは、ディープラーニングを中心とするAIテクノロジーを用いた診断アシストエンジンを日々の読影の中で活用できるようにする診断アシストプラットフォーム「AI-RAD」の開発に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費の金額は102百万円であります。

 

(3)調剤薬局支援

 調剤薬局支援事業では、新製品の開発及び保険調剤薬局向けパッケージシステム関連の研究開発活動をしております。当連結会計年度における研究開発費の金額は1百万円であります。