第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。本項目を含む、本書における当社に関連する見通し、計画、目標などの将来に関する記述は、当社が現在入手している情報に基づき、本書提出日時点における予測等を基礎としてなされたものであり、実際の結果は記載内容と大きく異なる可能性があります。

 

(1) 会社の経営の基本方針等

当社は、「仕事の成果の保証」と「新しい価値の提供」を通じて、お客様の課題を解決し、医療の未来に貢献することを経営理念としております。これが、当社が事業を通じて成したいことです。

当社が顧客とする日本国内の製薬業界においては、人口増加や国民皆保険制度等に支えられ大きく成長してまいりましたが、市場を取り巻く環境は昨今、大きな変化を迎えております。

AIやビッグデータといったデジタル化技術や、遺伝子治療や細胞医療などの医療技術が実用化を迎えるとともに、医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインの適用といった法令順守体制の整備・強化が求められるようになり、製薬企業が持続的に成長していくうえで大きな転機を迎えております。さらに、少子高齢化を背景とした社会保障費の抑制機運の高まりに伴い薬価制度の抜本改革のもとで薬剤費抑制政策が加速するとともに、政府方針で定められた後発医薬品使用促進が進み、製薬企業の収益構造が大きく変化をしております。

また、既にCROへの委託を活用している製薬企業においては、CROに対する期待も従来のような業務処理を行うだけの受け身な姿勢ではなく、コスト削減等の顧客ニーズを先回りして把握し、CRO自ら改善や課題解決提案を行うといったパートナーとしてより主体的な姿に変化をしています。

このような事業環境において、当社は、最新のテクノロジーと優れたビジネスモデルを用いて、顧客に最適な業務プロセスを提案・実施し、製薬企業にとって不可欠なパートナーとしてサービスの提供を行うよう努めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社は、売上高経常利益率を重要な経営指標と捉えております。今後も収益力の拡大に注力し、株主価値の向上に努めてまいります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

① 事業領域

安全性情報管理サービスを主軸に、ドキュメントサポートサービス、開発サポートサービス、臨床開発支援サービスを提供いたします。各サービスは、委受託契約によるサービス提供のみならず、一部、人材派遣契約によるサービス提供も行っております。

CROの歴史において最初に医薬品開発の委託対象となったのはモニタリング業務です。この業務は臨床開発において治験を実施している時期のみの期間限定的な業務であり、製薬企業が固定費を流動化するために、外部委託化した業務です。これにより、受託するCRO側には、案件終了後に待機社員を抱えるリスクが生じます。そのため、CROでは受託したモニタリング業務を、一握りの常用雇用社員がマネジメントを行い、実務は主に実務経験の豊富な派遣社員を中心とした有期雇用社員を配置することで実行する体制が作られました。しかし、実務経験豊富な人材が業務にあたることから業務実施やその品質は人に依存する形となり、また、委託期間が限定されていることから標準化など業務安定化の仕組みの構築は図られてきませんでした。

これに対し、当社では、従来は経験者が行っていた業務を標準化した上で分業が可能な状況に組み直し、新たに採用した未経験者を育成し、配置するという方針でサービスの提供を行います。また、人材の配置にあたっては、全て当社の直接雇用かつ常用雇用社員を中心とし、継続的な業務効率改善に取り組むことで高品質と低価格を両立したサービスの提供を行います。また、業務プロセスを常に最適化するための仕組みであるオプティマル・プロセス・マネジメント(OPM)※ の構築を進め、継続的な改善が図られる仕組みを整えています。業務プロセスの最適化は、豊富な業務実施経験によって蓄積されたノウハウの活用とRPA(Robotic Process Automation;ソフトウェア型のロボットが作業を代行、自動化する概念・手法)等最新の自動化テクノロジーの導入による抜本的な変革をはじめとした複数のアプローチを用いて実施します。このサービスの提供方法を活かし、安全性情報管理を中心に現在提供しているサービスと同様に、製薬企業特有かつ恒常的に実施されている他の業務についても、将来的にサービス範囲を広げていきます。なお、臨床開発支援サービスにおいては、臨床試験、医療機器の臨床開発の分野において実績を積むことを方針としております。

 

※ OPMとは、Optimal Process Managementの略。業務プロセスを継続的に最適化していく当社独自の仕組み。法規制の変化や最新のテクノロジーやビジネスモデルの調査、それらを基にした業務プロセス開発、業務プロセスの実施、実施されている業務の集中管理、の4つの機能から構成される。

 


 

② 戦略

RPAやAI等の自動化テクノロジーの進展は、現在の労働集約的なCROの業務処理方法を短期間で変革する可能性があります。しかし、当社は、そのテクノロジーそのものを生み出し、提供する会社ではありません。今までも、これからも製薬企業の業務の一部あるいは全てを担うサービス会社としてあり続ける方針です。

当社は、あくまでも業務プロセスに着目して事業を展開していきます。その理由は、「業務プロセスを最適化する」ということが、事業環境が変化したとしても、当社の価値としてあり続けると考えているからです。よって、現状や特定の業務の実施方法にとらわれることはありません。世の中の変化を捕捉し、テクノロジーを柔軟に取り入れながら常に最適な業務実施方法を構築・提案・実施していき、製薬企業の課題を解決するために現在のやり方に固執することなく柔軟に変化していく方針です。

当社は、「最新のテクノロジーと優れたビジネスモデルを用いて、最適な業務プロセスを提案し、実施までする会社」として、製薬企業から最も必要とされる、なくてはならない会社になり、成長を続けていくために以下のような戦略を実施していきます。

・RPA等の自動化テクノロジーを用いた、業務の自動化

・顧客の利便性を高めるサービスプラットフォームの安全性情報管理サービスへのリリースと、他サービスセグメントへの応用展開

・問題解決とプロセス構築ができる人材の育成による製薬企業へのサービス提供

・当社の進みゆく方向性、組織の考え方、企業カルチャーといったコーポレートアイデンティティの確立と浸透

 

(4) 会社の対処すべき課題

当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。デジタル化技術や医療技術の実用化、診療報酬制度や薬価制度の抜本的な改革、さらに新型コロナウイルス感染症の影響を受け、製薬業界を取り巻く経営や創薬の環境は大きく変化しており、製薬企業が抱える課題の内容や難易度は高度化、複雑化しています。これらの課題に対しては、従来の手法ではなく、抜本的な業務プロセスの変更や組織横断的な対応策が求められる状況となっています。

このような状況の中、当社は、「仕事の成果の保証」と「新しい価値の提供」、すなわち、業務品質の保証と、最適なプロセスの構築・提案導入を通じて、製薬企業が抱える課題解決に貢献することで成長を期してまいります。具体的には以下の取り組みを行います。

 

① 業務の品質の向上・維持

既存の仕組みの強化に加え、ICT(情報通信技術)を用いた業務の効率化に積極的に取り組みます。更に、業務の進捗、品質や効率等の成果指標について可視化することにより、課題の把握、改善のサイクルを高め、業務の品質の向上・維持に努めてまいります。

 

② サービスプラットフォームの開発

顧客の課題を解決し、より付加価値のあるサービスを提供するために、業務プロセスそのものを変革し顧客の利便性を高めるサービスプラットフォームの開発を推進します。

 

③ 人材の確保・育成

上記の取り組みに伴い、業務効率化のためのITツールや業務プロセスの検討、より難易度の高い非定型受託業務、顧客が抱える課題の抽出と解決提案といった付加価値の高い職種の増員、育成に努めてまいります。

 

④ 原価の削減

RPA等の自動化テクノロジーを用いて各種業務の自動化等を推進し、受託業務の原価をはじめとした社内コスト削減を徹底してまいります。

 

⑤ CRO事業領域の拡大と差別化

経営資本の「選択と集中」を行い、医薬品開発の安全性情報管理サービスに特化していくとともに、安全性情報管理と同様に競争力が発揮できるサービス領域の拡大も継続して進めてまいります。

 

2 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において当社が独自に判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

1.事業環境に関するリスク

(1) 業界及び顧客動向について

当社は、製薬企業を対象とした事業を行っているため、製薬業界の事業環境及び製薬企業の経営方針の影響を強く受けることが考えられます。取引中の製薬企業が合併・統合する場合、取引を行うCRO事業者の選別が行われる可能性があります。また、その他の理由による製薬企業の経営方針の転換によりCRO事業者の選定方針が変更になる可能性もあります。これらのような製薬企業の経営方針等の変更が行われた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) CRO事業にかかる法規制、行政動向について

当社のCRO事業は、主に製薬企業となる依頼者から医薬品の開発にかかわる業務を受託しておりますが、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称:医薬品医療機器等法)及びそれに関連する厚生労働省令等により規制されます。臨床試験においては、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」、「医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令」(GCP;Good Clinical Practice)、「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(GPSP;Good Post-marketing Study Practice)、「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令」(GVP;Good Vigilance Practice)を確実に実施していることが求められます。当社の事業計画は、これらの現行の薬事関連法規等を前提に作成しておりますが、法規制の強化や、行政施策が変更される可能性があります。これにより既存の受託事業の組織体制の変更が必要となる場合、その変更に速やかに対処できず受託が中止となるリスク、人員確保や設備投資に計画外の追加資金が必要となるリスクがあり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 人材派遣事業にかかる法規制、行政動向について

当社が提供する各サービスは、製薬企業から受託して業務を行うことを主軸としていますが、製薬企業に当社の人材を派遣して製薬企業の指揮命令において業務を行う形態も取っています。この場合、1986年7月施行の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(現:「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」以下、「労働者派遣法」という。)の適用を受けます。労働者派遣法では、労働者派遣事業者に対し適正な事業運営の確保を求めていますが、事業主としての欠格事由に該当した場合や、法令に違反する場合は、事業認可の取り消しや業務停止命令を命じる旨を求めています。現在までに欠格事由に該当する事実や業務停止命令を受ける法令違反の事実はありませんが、万一これに該当することがあれば、労働者派遣事業を行えない等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 競合について

当社の事業領域であるCRO事業において、競合企業が存在しております。また、当該事業分野が成長市場であること及び参入障壁が必ずしも高いとは言えないことから、今後、さらなる他社の新規参入により競争が激化する可能性があります。

当社では、引き続き顧客のニーズを汲んだサービスの提供を進める方針でありますが、競合企業の営業方針、価格設定及び提供するサービス等は、当社が属する市場に影響を与える可能性があり、これらの競合企業に対して効果的な差別化を行うことができず、当社が想定している事業展開が図れない場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) システム障害について

当社では、情報管理の社内システムのセキュリティ対策やシステムの監視等を行い、安定的に運用できるように対策を講じておりますが、ITインフラ機器の障害、コンピューターウイルスへの感染、その他不測の事態が生じることにより、システムトラブルが発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 自然災害について

当社は、東京、神戸、沖縄の3か所に事業所を設けております。これらの地域で地震等の大規模な災害が発生した場合には、不測の事態の発生により事業活動が停滞する可能性があります。どこかの事業拠点で大規模な災害が発生した場合でも、その他の拠点で業務を継続できる体制を取っておりますが、自然災害の規模、状況によっては、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(7)新型コロナウイルス感染症について

当社は、医療機関から収集された副作用情報の評価・報告に関して支援を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症により、製薬企業のMR(医薬情報担当者)の医療機関への訪問自粛といった企業活動低下による既存契約の受託業務量が減少する可能性があります。また、製薬企業の業務の委託化、委託先の再選定が先延ばしとなり、当社の新規契約獲得の機会が減少する可能性があります。さらに、従業員が新型コロナウイルス感染症に大量に感染し、代替の従業員を用意できない等により、サービスの提供に支障をきたす可能性があり、今後の感染症の拡大規模、状況によっては、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。ただし、現時点において業績等に重要な影響をきたす状況は識別しておりません。

 

2.事業内容及び当社サービスに関するリスク

(1) 特定のサービスへの依存について

当社のCRO事業は、特定のサービス「安全性情報管理」が中核となっており、当社の2021年3月期における売上高は72.0%となっています。さらなる成長を図るにあたっては、今後も安全性情報管理サービスの取引の拡大に努めると同時に、安全性情報管理サービスへのプラットフォームの導入による利便性向上を図っていく方針です。また、ドキュメントサポート、開発サポートのサービスにおいても、同様のビジネスモデルで新規顧客の獲得を目指しています。しかし、これらの事業の競合企業のサービスとの差別化が想定通りに進まなかった場合や安全性情報管理サービスにおける競合企業との競合激化等が、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 特定の顧客への依存について

当社のこれまでの成長は、当社サービスが顧客である製薬企業から評価されることで、取引の拡大を伴う形で長年にわたり継続してきた結果であると考えております。売上高は、上位2社の合計で34.5%を占めているため、結果として特定の製薬企業への依存度が高くなっております。これらの製薬企業が、合併・統合及びその他の理由で経営方針を転換した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

相手先

第38期事業年度

販売高(千円)

割合(%)

中外製薬㈱

608,741

23.7

グラクソ・スミスクライン㈱

278,267

10.8

合計

887,008

34.5

 

 

(3) 継続契約の満了について

当社のサービスを導入した企業が、当社サービスを継続利用することで生じる受注残及び更新売上げにつきましては、増加傾向にありますが、当社サービスの市場競争力の低下や大手製薬企業のグローバル本社による委託先選定方針の変更等によって契約の満了が増加し、受注残及び更新売上が減少した場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4) 顧客情報の管理について

当社は、提供するサービスに関連して顧客及び受託業務に係わる機密情報を取り扱っております。保有する情報資産についてのセキュリティ管理については、情報管理規程を定め、全従業員を対象として社内教育を徹底するなど厳格な管理体制を確立しています。しかしながら、こうした管理体制が機能せず、何らかの理由でこれらの情報が流出した場合には、委託者である製薬企業から損害賠償請求を受ける可能性があるとともに、当社に対する業務上の信用の低下等によって、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 受託サービスについて

当社は、製薬企業の業務を受託する際の見積額に関して、各工程や人員の適正性を十分検討して決定しておりますが、受託時に適正な採算が見込まれると判断した受託案件であっても、管理の問題、想定外の作業工数の増加等の理由により不採算案件となることがあり、その場合、受注損失の計上や納期遅延に伴う損害の賠償等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.組織体制に関するリスク

(1) 人材の確保や育成について

当社は、継続的な事業拡大のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が重要であると考えています。しかしながら、当社が求める優秀な人材が適時に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、安定した業務運営及び事業拡大等に支障が生じることや、採用コストが計画から乖離すること等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 内部管理体制について

当社は今後の事業拡大に対応するため、人員増加を図り、内部管理体制を更に強化する必要があると認識しております。しかしながら、事業の拡大や人員の増加に対して適切かつ十分な組織対応がとれず、内部管理体制の構築に遅れが生じた場合には、事業遂行及び拡大に制約が生じ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) コンプライアンスについて

当社は、コンプライアンスマニュアルを定め、役職員に対して定期的に教育研修を行うなど、法令遵守の周知徹底を図っております。またコンプライアンス・リスク管理委員会を置き、発生しうるリスクの発生防止と発生したリスクへの対応等を定期的に協議し共有化を図っておりますが、役職員の故意又は過失による法令違反が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償を負うこととなり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 特定の人物への依存について

代表取締役社長である谷口晴彦は、当社の事業展開において経営方針や事業戦略の決定等、当社の事業活動全般において重要な役割を果たしております。現在、当社では経営体制の強化、人材の育成を行う等により、同氏への過度な依存の脱却に努めておりますが、何らかの理由により同氏による当社の業務遂行が困難となった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4.その他 

(1) 親会社が支配権を有することに伴うリスク

当社は、自らの経営責任を負って独立した事業経営を行っておりますが、当社の親会社であるWDBホールディングス株式会社(東京証券取引所市場第一部に上場)は当社の議決権の68.9%(2021年3月31日現在)を所有しており、当社は同社の連結子会社となっております。親会社においては、連結関係を維持するために必要となる当社株式を継続的に所有する方針であります。

親会社は当社の株主総会における取締役の任免等を通じて当社の経営判断に影響を及ぼし得る立場にあることから、議決権の行使にあたり、親会社の利益は当社の他の株主の利益と一致しない可能性があります。また、親会社の経営方針の変更や経営状態の悪化等により、問題が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)親会社グループとの関係について

① 親会社の影響力について

親会社であるWDBホールディングス株式会社は「関係会社管理規程」に基づき、業務執行における報告事項及び事前承認事項を定めておりますが、当社は当社株主としての権利を除き、当該「関係会社関連規程」の適用除外とする旨の覚書を締結しております。

 

② 親会社グループにおける当社の位置付けについて

親会社グループは、化学・バイオ分野を中心とした理学系研究職、機械・電子分野を中心とした工学系技術職、一般事務職の人材派遣・人材紹介を行う「人材サービス事業」、医薬品・医薬部外品、化粧品、医療機器等の開発業務の代行・支援を行う「CRO事業」、ガスアシスト装置やバイオ関連機器の開発・販売や、プラットフォームの開発受託サービスを行う「その他事業」からなります。

当社は、親会社グループにおけるCRO事業に属しており、安全性情報管理サービスを主軸とした医薬品・医療機器の開発支援を行っております。グループ全体の中核事業は人材サービス事業(売上高構成 88.4% 2021年3月期)であり、CRO事業は11.0%(2021年3月期)で中核事業には当たりません。また、グループの兄弟会社でCRO事業に属するWDB臨床研究株式会社、株式会社コーブリッジ、WDBケミカルラボラトリー株式会社は、医薬品開発の流れに対して、各社の専門領域の分野に特化してそれぞれ独立した業務展開を行っており、当社はグループ内の一事業部門としての位置づけではなく、CRO事業各社とは棲み分けを行った展開をしております。現時点において、これら親会社グループ、CRO事業各社との間に競合関係は生じておらず、今後も競合等が想定される事象はないものと当社は認識しております。

しかしながら、将来において親会社の事業戦略や当社の位置付け等に著しい変更が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社としては、医療業界、製薬企業の変化、市場、競合他社の変化に対して対応した事業展開を行うにあたって、自社独自の判断による機動的な投資と資金調達力の強化、社会的信用力の獲得による顧客層の拡大と優秀な人材の確保の機会の増大が重要であると判断し、上場を選択しております。

 

③ 取引関係について

当社はWDB株式会社の事務センター・保険センターに、社員の給与計算等の業務を、ネゾット株式会社には、システム関連等の業務の委託を行っています。WDB工学株式会社からは工学系人材の派遣社員を受け入れています。これら取引については、WDBグループ各社からの独立性確保の観点も踏まえ、第三者である他社と同等の条件により、取引を行っております。

今後も継続する取引及び新たに取引を行う場合は、その取引の合理性及び条件の妥当性については、取締役会の諮問機関である関連当事者取引検証委員会において、事業上の必要性及び他社との取引条件等を比較しその妥当性の検証を行なった上で、その意見表明に基づいて、当社にとって不利益となる場合は条件の見直し、解約を親会社と交渉を行い、取締役会で承認を行うこととしています。本書提出日時点において親会社との取引方針や取引条件に変化は生じておりませんが、今後の取引条件に変更が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。なお、主な取引については、「第5 経理の状況」に記載しております。

 

 

④ 人的関係について

本書提出日現在、取締役(非常勤)である中野敏光は、親会社代表取締役社長及びWDB株式会社代表取締役社長を兼務しております。同氏については、長年の事業経験における豊富な経験をもとに、その知見の活用及び当社の事業に関する助言を得ることを目的として就任しており、当社独自の経営判断を妨げるものではなく、当社の経営執行に与える影響は限定的であると認識しております。

また、取締役会の諮問機関として関連当事者取引検証委員会及び指名報酬委員会を設置し、独立性の確保に努めるとともに、より一層の経営監視体制の強化、経営の透明性の確保が必要であると認識しており、独立役員の資格を満たす社外取締役の増員を検討しています。

また、当社はWDB株式会社から1名の出向者を受け入れております(本書提出日現在)が、いずれも当社の重要な役職には就いておりません。

 

(3) 新株予約権にかかる事項

当社は、当社役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は42,000株であり、発行済株式総数2,363,000株に対する割合は1.8%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化することになり、将来における株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 売上の計上について

当社の中核サービスである「安全性情報管理サービス」においては、安全性情報管理データベースへの安全性情報の入力のみならず、業務実施のためのマニュアル作成や、トレーニングが含まれるなど、顧客ごとに多種多様にわたる場合があります。そのため、顧客との契約に基づき履行義務を識別・整理し収益認識時期及び売上計上金額を判断する際には、複雑かつ高度な会計処理上の判断を必要とし、当社の財政状態及び経営成績を正しく把握できない可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の分析は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(流動資産)

当事業年度における流動資産は1,921百万円と前事業年度末と比べ347百万円(22.1%増)の増加となりました。これは主として現金及び預金の増加249百万円、売上債権の増加94百万円によるものであります。

 

(固定資産)

当事業年度における固定資産は213百万円と前事業年度末と比べ12百万円(6.5%増)の増加となりました。これは主としてリース資産の増加等による有形固定資産の増加6百万円、繰延税金資産の増加6百万円によるものであります。

 

(流動負債)

当事業年度における流動負債は472百万円と前事業年度末と比べ3百万円(0.7%増)の増加となりました。これは主として未払金の減少34百万円、未払法人税等の減少17百万円、未払消費税等の増加21百万円、受注損失引当金の増加16百万円、人員増に伴う賞与引当金の増加14百万円によるものであります。

 

(固定負債)

当事業年度における固定負債は91百万円と前事業年度末と比べ24百万円(35.7%増)の増加となりました。これは主として退職給付引当金の増加12百万円、リース債務の増加8百万円によるものであります。

 

(純資産)

当事業年度における純資産は1,570百万円と前事業年度末と比べ333百万円(27.0%増)の増加となりました。これは、ストック・オプションの行使に伴う増資38百万円、繰越利益剰余金の増加295百万円によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、売上が好調に推移したことなどにより、1,280百万円(前事業年度末比249百万円増加)となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動による資金の増加は、293百万円となりました。これは、主に税引前当期純利益527百万円、未払金の減少額32百万円、法人税等の支払いによる減少額175百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動による資金の減少は、1百万円となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出2百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動による資金の減少は、42百万円となりました。これは、主に配当金の支払いによる支出77百万円、ストック・オプションの行使に伴う株式の発行による収入38百万円によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社はCRO事業(医薬品開発業務受託事業)を営んでおり、生産活動は行っておりませんので、該当事項はございません。

 

b. 受注実績

当社の提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載しておりません。

 

c. 販売実績

当社はCRO事業の単一セグメントであり、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

CRO事業

2,570,747

112.5

合計

2,570,747

112.5

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

中外製薬㈱

602,736

26.4

608,741

23.7

グラクソ・スミスクライン㈱

218,449

9.6

278,267

10.8

日本イーライリリー㈱

279,475

12.2

272,918

10.6

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。ただし、将来に関する事項には不確実性があるため、実際の結果は、これら見積りと異なる可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は、原則として財務諸表に基づいて分析した内容であり、将来に関する事項にはリスクと不確実性を内在しており、将来生じる実際の結果と異なる可能性もありますのでご留意ください。なお、以下の記載のうち、将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(売上高)

当事業年度における売上高は2,570百万円(前事業年度比12.5%増)となりました。これは、既存案件においては新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、安全性情報管理、ドキュメントサポート、および臨床開発支援の各サービスにて、稼働開始した複数の新規受託案件が売上に寄与したことによります。

 

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は主に案件の増加に伴う人員増による労務費の増加により1,667百万円(前事業年度比17.9%増)となり、売上総利益は903百万円(同3.6%増)となりました。

 

(販売費および一般管理費、営業利益、営業外収益、営業外費用、経常利益)

当事業年度における販売費および一般管理費は378百万円(前事業年度比5.0%減)、営業利益は524百万円(同10.8%増)、経常利益は527百万円(同14.4%増)、売上高経常利益率は20.5%となりました。これは主に、販売費及び一般管理費において受託案件の自動化や業務効率化の促進を行うためのシステム開発人員の増加により人件費が増加したことが主な原因です。

 

(特別損益、当期純利益)

当事業年度における法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額は154百万円となり、当期純利益は373百万円(前事業年度比21.7%増)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2事業の状況2.事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

当社の主な資金需要となる、運転資金及び設備投資等につきましては、市場からの調達及び自己資金を基本としております。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針については、「第2事業の状況1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。