(1) 経営環境と経営方針
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け、大変厳しい状況が継続いたしました。この間、感染対策と経済活動の両立を目途とした様々な政策や呼びかけが繰り返しなされてきましたが、第2波、第3波と感染はさらに拡大し、その影響は長期化・深刻化しております。各種政策の効果でいったんは持ち直したかに見えた実体経済ですが、株式市場のみが先行してバブル期以来の高値水準となるものの、先行きについては依然不透明かつ予断を許さない状況が続いております。
当社グループの主要な事業領域である都心部における収益不動産関連の事業環境は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって需給ともに動向が読みづらい状況が続いておりますが、厳選された商品に対する需要は底堅く、活発な動きを取り戻しつつあります。一方、当社グループの拠点がある米国のロサンゼルスにおいては、新型コロナウイルス感染拡大の影響が国内以上に深刻であり、市場の停滞が継続いたしました。
このような事業環境のもと、当社グループの事業は、第1四半期こそ緊急事態宣言の影響により主要な事業である収益不動産販売事業が大幅な落ち込みとなったものの、7月以降は本格的な営業活動を再開し、7月から12月においては、新型コロナウイルス感染拡大以前の水準に匹敵する成果を上げることができました。またかねてより注力してきた組織力強化が奏功し、商品企画力、販売力の向上に加え、仕入力の向上により、優良物件の仕入を行うことができました。
その他にも、下北沢の保有物件でコワーキングスペースの提供を開始するなど収益不動産としての新たな商品企画を試行したことや、米国ハワイ州での事業を本格的に推進すべくADW Hawaii LLCを新規設立したこと、様々な資金調達手法を検証すべく株式会社ジュピター・ファンディングを設立したこと、相乗的な価値創造を目指してコーポレート・ベンチャー・キャピタル事業への進出を決定したことなど、今後の新たな事業展開に繋がる布石を打つことができました。
(2) 経営の指標と問題意識
① 2021年12月期 通期連結業績計画について
2021年12月の連結業績計画については、厳選した収益不動産の仕入にさらに注力し、主要な事業である収益不動産販売事業による成長基盤の強化を図ります。一方販売については、投資ソリューションに対する需要の拡大をとらえ、事業法人や機関投資家への販売を増強するとともに、不動産小口化商品やクラウドファンディングでの販売を通じて、個人投資家層の裾野拡大にも努めてまいります。また、金融商品も含めた幅広い新商品・新サービスの開発を国内外において積極的に推進してまいります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大は、2021年1月には2度目の緊急事態宣言が発出されるなど、依然として収束が見えず、今後の経済動向は引き続き注視が必要です。当社グループの属する不動産業界においても、不透明な状況は続きますが、「2020年後半の市場環境が継続する」という前提で、翌連結会計年度(2021年12月期)の連結業績計画を下表のとおりといたします。
また主要事業である収益不動産販売事業は、商品企画の内容やバリューアップ工事の進捗など諸般の状況によって販売時期が前後するという特性があります。近時、商品ラインナップの大型化を戦略的に進めていることに伴い、全体収益における個々の物件収益のウェイトが増しているため、不動産市況等にかかわらず、これまで以上に四半期ごとの収益額の多寡が生じる可能性があります。
(注) 当社グループでは、当連結会計年度の経営目標を「業績計画」として開示しております。「業績計画」は経営として目指すターゲットであり、いわゆる「業績の予想」または「業績の見通し」とは異なるものであります。なお、業績の予想については、その時点におけるグループ全体の確度の高い情報および合理的であると判断される情報を基に、各四半期における進捗の見通しを「フォーキャスト」として適時更新し開示しております。
② 持株会社体制の活用について
当社グループは、2020年4月に持株会社体制に移行いたしました。その狙いは、
・M&A、業務提携、資本提携を積極的に活用する
・リスクを取った“攻め”と、手堅く堅実な“守り”を同時に追求する
・少数精鋭の組織を維持し、柔軟さと迅速さを持ち続ける
・これらを活かすべく、時代を先取りした人事制度・報酬制度を導入する
としています。
しかるに、その直後に新型コロナウイルス感染拡大という世界規模のパンデミックに遭遇したため、この経営環境危機における当社グループの事業推進の在り方そのものの見極めを最優先の経営課題とする必要がありました。したがって、持株会社体制移行の狙いを具現化する施策については、少なくとも当会計期間の前半においては実施いたしておりません。
こうした不透明かつ厳しい状況において、第1四半期の大幅な経常損失を経て、第2・第3四半期は感染拡大以前の水準に匹敵する成果を上げることができ、既存事業の足場固めをいたしました。またDX(デジタルトランスフォーメーション)等の新しい潮流がコロナ禍の影響で加速していることも実感しております。そこで、上記4点のうち「M&A、業務提携、資本提携を積極的に活用する」ことを優先的に開始するべく、2020年12月に既存子会社の事業目的変更を通じたコーポレート・ベンチャー・キャピタル事業への進出を決定しております。
引き続き不透明な事業環境は継続するものと考えますので、その状況を見ながら、今後も持株会社体制の活用を継続的に推進してまいります。
③ 収益不動産事業の基盤強化:「REIT準備室」「資産運用事業本部」「開発事業」について
2021年1月に、株式会社エー・ディー・ワークスにおいて、主要事業である収益不動産事業の基盤強化を具現化する組織改正を実施いたしております。
「REIT準備室」を新設、将来的なREIT事業への参入を目指し、それを通じた収益不動産事業の規模拡大を図ります。
「資産運用事業本部」を新設、不動産小口化商品「ARISTO」シリーズの企画・販売事業を投資不動産事業本部から独立させ、主力事業のひとつとして育ててまいります。
「開発事業」をさらに推進するべく、既存機能を投資不動産事業本部内に機能統合し、相乗的な視点で本格的に事業育成を開始いたします。
④ 企業理念について
当社グループの企業理念の根幹にある価値観は、「しなやかに変化し、独創の価値を生み出し提供する」ことにあります。
「しなやかに変化する」とは、
・既存の価値観に固執せず積極果敢に新しい価値観を取り込むこと、
・変化をいとわず変化の中にこそ勝機を見出せること、
・柔軟な軌道修正や大胆な創造的破壊ができ、それらに応じて自らを再定義できること
「独創の価値を生み出し提供する」とは、
・既成概念にとらわれることなく、顧客ニーズの本質を見極め、そこに一歩でも近づける商品サービスの創造と提供を追求し続けること、
・顧客の要望に応えるだけでなく、確信をもってその本質に顧客を導くこと
であります。
当社グループが企業理念に謳うこの「しなやかに変化しながら、独創の価値を生み出し提供する」という価値観は、当社グループの黎明期でこそ“生き残る術”でありましたが、それは“成長を支える人と組織のあり方”へ、そして“未来に受け継ぐべき企業文化”へと着実に進化してまいりました。
そして、この価値観を実践することによって当社グループが果たすべき使命は、事業を通じて人と社会の活力ある発展に貢献することと考えております。
創業以来、130年超の期間において、当初は染物業とその技術の海外輸出をもって、また近年においては収益不動産とそれを取り巻く付加価値の組み合わせの提供によって、当社グループはこの使命を果たし続けてきたと自負しております。そして今、すべての企業が向き合う新型コロナウイルス感染拡大による経営環境危機は、当社グループにとりましてまさに「しなやかに変化する」ことができるかどうかの試金石になるであろうと認識いたしております。
(3) 資本コストについての考え方
加重平均資本コストを引き下げる観点からは、社債に代表される負債性資金の調達が有効と判断しておりますが、一方で、投資適格となりうる格付けの取得には、一定の純資産額、時価総額が前提となるところであり、ガイダンスで示した規模感はその最低目安と当社では想定しております。
株主資本コストの概念は、現実的なあり様として、個々の投資家、株主の皆様の中に自らの期待する収益水準が存在し、その期待に基づく個々の投資行動を通じて、総合的に集約された結果が、マーケットバリュー(時価総額)であると理解しております。投資家、株主の皆様の期待収益に対する考え方、価値基準は様々であると推測されることから、資本コストは単一、同一の数値として存在するものではなく、株式を取引する当事者としての、投資家、株主個々の皆様の内的主観に基づく概念であり、投資対象とされる企業は、形成された時価総額を通じて、投資家、株主の皆様の総合的な判断、評価を受けとめる立場にあるものと理解しております。
当社グループが、投資家や株主の皆様のご期待に応えるためには、中長期的な成長の実現が最も重要であると認識し、最善を尽くしております。当社グループは中期経営計画等で将来の成長計画を示し、進捗を都度、明瞭に開示することで、投資家や株主の皆様に、当社への投資に際して期待できる収益の検討材料を提供してまいります。
なお、当社は、「(改訂)コーポレートガバナンス・コードに対する当社ガイドライン(方針及び取組み)」(2020年4月1日公表)の序章5の中で、以上の資本コストについての考え方を表明しております。
① 「アフターコロナ」に向けた事業構造の変革
新型コロナウイルス感染拡大が及ぼす影響は甚大であり、企業は未曽有の経営環境危機に取り巻かれていると言っても過言ではありません。これに対し、緻密な情報収集と臨機応変な判断で危機を乗り切ることはもちろん重要でありますが、さらに重要なことは、いわゆる「アフターコロナ」に向けた事業構造の変革であると認識いたします。すなわち、危機が収束して元に戻るのではなく、この事態を経験して、経済活動や社会システムをはじめ人々の行動原則や生活習慣などに及ぶまで、すべての原理原則に構造的な変化をもたらす可能性があります。当社グループといたしましても、こうした新しい価値観を先取りした事業構造の変革を試み、持続的な成長と社会貢献を果たせる経営戦略構築を目指してまいります。
② 既存事業及び新規事業による収益基盤の強化・確立
当社グループにとりまして、収益不動産ビジネスが収益基盤の柱であることは言うまでもありませんが、その戦略の根幹である収益不動産残高の拡充にさらに注力する必要があります。さらに不動産ビジネス以外の収益の柱を育てるべく、新規事業領域への進出と取組みが必要不可欠です。当社グループが2020年4月1日より持株会社体制に移行したのは、こうした新規事業を具現化するためのM&Aや事業提携、資本提携等を活用しやすくするための事業基盤の整備であり、これを活かした施策に注力します。また国内の収益不動産事業のみならず、米国事業、不動産小口化商品販売事業を通じた顧客基盤も重層化されてきており、富裕層ビジネスへの展開の足掛かりも有効に活用してまいります。
③ 資金調達手段の多様化と資本基盤のさらなる増強
当社グループの経営戦略実現のためには、収益不動産残高の戦略的拡充はもとより、持株会社体制を活用したM&A等の実行、さらには「アフターコロナ」における新たな戦略推進などにおいて、いずれも成長資金の調達が必要不可欠です。当社グループはこれまで4回のライツ・オファリングを実施し、成長資金の調達と資本基盤の増強を同時に実現してまいりました。今後はさらに多様な資金調達手段を積極的に検討し導入してまいります。また当社グループは、収益力だけでなく純資産の増強を重要視しております。これは将来的に、リスクがなくかつ資金使途の自由度が高い社債の発行を目指しているためであります。
④ 市場競争力の高い人材の育成と組織力の強化
経営環境が激しく変化する状況下にあり、持続的な成長と社会貢献を果たして行くためには、市場競争力が高くかつ多様な人材の育成、そして組織力の強化が喫緊の課題です。既存の主力である不動産ビジネスやプロパティ・マネジメントはもとより、M&Aも含めた新規ビジネス、グローバル戦略、顧客マーケティング、経営管理など、多彩な能力を必要とします。同時にそうした人材が力を発揮できる新しい人事制度の導入も検討します。また、「アフターコロナ」は従業員の働き方という原理原則にも、新しい価値観をもたらすと考えられ、そうした中でも高い競争力を発揮できるよう、自由と自律を両立した当社グループ独自の「働き方改革」にも着手いたします。
以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因になる可能性があると考えられる主な項目を記載しております。当社グループといたしましては、必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる場合には、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループが属する不動産業界は、景気動向、金利動向及び地価動向等の経済情勢の影響を受けやすく、当社グループにおいてもこれらの経済情勢の変化により各事業の業績は影響を受けます。当社グループでは、不動産にかかるリスクの軽減と同時に、収益の極大化を図ることができるよう経済情勢の動向に注意を払っておりますが、予測を上回る変化によって不動産市況に変調をきたし、想定した以上の資産価値の下落を生じるような事態になった場合、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(2)収益不動産所在地域の偏在及び自然災害やパンデミックの発生
当社グループが保有または管理している収益不動産は、経済規模や顧客ニーズを考慮に入れ、国内においては首都圏、海外においては主に米国ロサンゼルスを中心とする地域という、賃貸資産としての安定可動性の高い地域に偏在しております。地震その他の自然災害やインフルエンザ等の感染症の感染拡大等、当該地域における局地的な事象の影響で、当該地域の経済活動に支障が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、管理業務を受託している賃貸マンションやオフィスビル、商業施設のオーナー及び入居者、収益不動産の売主及び買主等の顧客情報を保有しており、今後も当社グループの業容の拡大に伴い保有する情報が増加し精緻化することが予想されます。当社グループといたしましては、これら顧客情報を正確かつ最新の内容に保つよう努めるとともに、内部の情報管理体制の徹底により顧客情報の保護に注力しております。しかしながら、不測の事態により顧客情報の漏洩や詐取等の流出があった場合、損害賠償や信用低下等により、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループは金融機関からの資金調達に際して、特定の金融機関に依存することなく、案件ごとに金融機関に融資を打診し、融資実行を受けた後に各プロジェクトを進行させております。しかしながら、何らかの理由により計画どおりの資金調達ができなかった場合には、当社グループの事業展開が影響を受ける可能性があります。また、有利子負債の主な返済原資は収益不動産の売却代金ですが、売却時期や売却金額等の条件が想定から悪化した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、収益不動産の取得等のための資金を金融機関からの借入により調達しており、連結貸借対照表における有利子負債残高は、2020年12月期末において、連結総資産の52.9%を占めます。当社グループといたしましては、資金調達手段の多様化に積極的に取り組んでまいりますが、市場金利が上昇する局面においては支払利息等の増加により、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、過去に4回のライツ・オファリングを実施するなど、直接金融市場における資金調達も積極的に実施してまいりました。当社グループといたしましては、ライツ・オファリング以外にも新株予約権の第三者割当や各種社債の発行、クラウドファンディングを用いた調達等、多様な調達手法を実施しておりますが、世界経済に影響を及ぼすような政治的あるいは軍事的な緊張の発生や、世界規模でのパンデミックが発生した場合、資本市場及び金融機関が一斉にリスクオフとなり、当社の直接金融市場における資金調達力が大きく低下する可能性があります。その場合、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループの各事業は、不動産及びその周辺事業はもとより、各種事業領域における専門性の高い知識と豊富な経験を有する人材によって成り立っており、人材こそが当社グループの経営資源の核となるものであります。したがいまして、代表取締役をはじめ各部門を管掌する取締役、部門業務を執行する部門長等の特定の幹部人材、及び各部門の中枢を担う人材が、何らかの理由により業務遂行が不可能または困難となり適切な人材が適時に代替できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、人事制度の充実を図ることやリモートワークの活用、フレキシブルな時間管理など働き方改革への適切な対応等を実施することで、新卒・中途入社に関わらず、採用市場における競争力を高めることを目指しておりますが、当社グループが求める人材の確保が充分にできない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、国内外において、法令に基づく許認可や、各種の税法及び外国為替管理の規制等の適用を受けております。当社グループは、法的規制の遵守を徹底しており、現時点において当該許認可の取消し等の事由は発生しておりませんが、何らかの理由により、当該許認可が取消され又はそれらの更新が認められない場合等には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに、業績が影響を受ける可能性があります。また、今後の法律改正又は規制の動向によっては、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
なお、当社グループが取得している許認可等は次のとおりです。
(7)米国事業を取り巻く法規制の変更
当社グループは、米国のロサンゼルスに拠点を置き、主に日本国内の投資家を対象顧客として、不動産販売事業行っております。ロサンゼルスの不動産業界は、米国の着実な景気回復に伴い、中古住宅の価格は引き続き高水準であり、在庫も安定しておりましたが、日本国内の投資家が所有する海外不動産に対する税制の見直しや、米国現地での法規制の影響等で投資に対する合理性が低下し、当社グループの米国での事業に影響が及ぼす可能性があります。
(8)コーポレート・ベンチャー・キャピタル事業における投資先企業の業績低下
当社グループのコーポレート・ベンチャー・キャピタル事業は、DXなど当社グループの事業を相乗的に成長発展させる可能性を獲得すべく、業種業界を限定せず、独自の技術・サービスを持つ国内外のスタートアップ企業等に対して投資を行うものであります。したがいまして、実質的な投資リターンを求めるというよりも、マーケティングコストあるいは研究開発費用に近しい位置付けと考えております。ただし、投資であることに変わりはないため、事前には当該企業の詳細なデューデリジェンスを、投資実施後は当該企業の事業進捗に対する定期的にモニタリングを徹底し、可能な限りリスクを回避するよう努めております。しかしながら、投資先企業の業績によっては、投資の回収ができなくなること及び減損損失の計上が必要になる可能性があります。
(9)新型コロナウイルス感染拡大の直接的・間接的影響
当社グループでは、新型コロナウイルス感染拡大のリスクに対応するため、従業員及びその家族、取引先やステークホルダーの健康・安全確保と感染拡大防止を最優先事項とし、在宅勤務や時差出勤の活用、出張・対面営業においても感染防止対策を講じて新型コロナウイルスの影響の極小化を図っておりますが、当社グループの役職員において感染者が発生した場合、また政府による緊急事態宣言が再度発出され営業活動に支障をきたすような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
① 収益不動産販売事業への影響
経済の停滞によるオフィス需要の停滞などの影響から、今後の不動産市況が不透明であることから、当社グループの主要な顧客である個人富裕層を中心とした投資家不動産オーナー、事業法人・機関投資家等の投資マインドが低下する可能性があります。
② 金融機関からの融資の影響
不動産融資に対する金融機関の方針の変化などにより当社グループ及び当社顧客の資金調達に影響を及ぼす可能性があります。
③ リノベーション・改修事業に係る工事への影響
物流の停滞による資材の遅れや、コロナウイルス感染症拡大抑制のための工事中断、工事時間短縮などの施策により、リノベーション・改修工事が遅延する可能性があります。
④ 賃料収入への影響
(国内)
当社グループが保有する不動産のテナントからの家賃収入が滞る可能性があります。また、テナント撤退に伴う空室率の上昇、テナント入替による賃料減額など賃料収入に影響を及ぼす可能性があります。一方、政府による家賃支援給付金などの政策効果で、当社グループの賃料収入への影響が軽微となる可能性もあります。
(米国)
米国事業においては、投資家に不動産を販売後、当社グループでマスターリースし、管理運営すると同時に賃料収入を得ているケースがあります。コロナウイルス感染症に伴い米国政府により発出された立ち退き訴訟停止措置(実質的な賃料支払い猶予)により、テナントの賃料に延滞等がある場合には影響を受ける可能性があります。
当社は、2020年4月1日付で単独株式移転により株式会社エー・ディー・ワークスの完全親会社として設立され、当連結会計年度は設立第1期となりますが、連結の範囲に実質的な変更はありません。そのため、前連結会計年度末と比較を行っている項目については、株式会社エー・ディー・ワークスの第94期連結会計年度末(2020年3月31日)と比較しております。ただし、当社は12月決算として設立され、当期は9ヵ月間の変則決算となるため、株式会社エー・ディー・ワークスの第94期連結累計期間(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)との比較は行っておりません。
当連結会計年度における売上高は16,840百万円(通期計画達成率105.3%)、EBITDAは759百万円(通期計画達成率111.7%)、経常利益は427百万円(通期計画達成率106.8%)、税引前利益は432百万円(通期計画達成率108.2%)、当期純利益は264百万円(通期計画達成率103.9%)となり、第1四半期での厳しい業績を補い、全ての指標で当初計画を上回って着地することができました。
(単位:百万円)
(注)1.(不動産販売)は「収益不動産販売事業」、(ストック)は「ストック型フィービジネス」、「税引前利益」は「税金等調整前当期純利益」、「純利益」は「親会社株主に帰属する当期純利益」をそれぞれ省略したものです。
2.EBITDA(償却等前営業利益):営業利益+償却費等
償却費等には減価償却費、ソフトウエア償却費、のれん償却費等のキャッシュアウトを伴わない費用を含みます。
3.2020年12月期通期計画の対象期間は2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヵ月間となります。
セグメントの概況は次のとおりです。なお、当社グループでは営業利益をセグメント利益としております。
(収益不動産販売事業)
売上高13,534百万円、EBITDA1,050百万円、営業利益1,048百万円となりました。
第1四半期こそ最初の緊急事態宣言の影響により収益不動産販売事業は大幅な落ち込みとなったものの、7月以降は本格的な営業活動を再開し、7月から12月においては、新型コロナウイルス感染拡大以前の水準に匹敵する成果を上げることができました。また、下北沢の保有物件でコワーキングスペースの提供を開始するなど新たな商品企画を試行したことや、米国ハワイ州での事業を本格的に推進すべくADW Hawaii LLCを新規設立したことなど新たな取り組みにも注力しております。
一方、仕入高は11,789百万円となり、かねてより注力してきた組織力強化が奏功し、仕入力の向上により、優良物件の仕入を行うことができました。
結果として収益不動産残高は24,682百万円((注)2.参照)となり、前連結会計年度末より1,564百万円上回りました。
(ストック型フィービジネス)
売上高3,480百万円、EBITDA647百万円、営業利益568百万円となりました。
当社グループが保有する収益不動産からの賃料収入を収益の柱としているため、新型コロナウイルス感染拡大の影響は小さくほぼ計画通りの売上・利益を確保することができました。また工事受注等についても、期末にかけて大型の案件を獲得するなどの成果を上げることができました。
なお、同ビジネスにおける「ストック型」の主な売上としては、株式会社エー・ディー・パートナーズの管理収入、ADW Management USA, Inc.の賃料収入など、また「フロー型」の主な売上としては、株式会社エー・ディー・デザインビルドの工事・改修収入、株式会社澄川工務店の工事収入などがあります。
収益不動産の期中平均残高は、前期からの大型物件の積極的取得が寄与し、前連結会計年度の22,216百万円に対し当連結会計年度は24,390百万円と増加しております。
(注)1.各セグメントの営業利益は、全社費用等のセグメントに配賦しない費用及びセグメント間の内部取引による営業費用控除前の数値であり、その合計は連結営業利益と一致しません。
2.収益不動産残高24,682百万円には、東京国税局から過年度の消費税に関する更正通知を受領したことに伴い資産計上している消費税等引当見積額(14百万円)を含めておりません。
3.「ストック型フィービジネス」のうち、中長期保有用もしくは短期販売用の収益不動産からの賃料や、販売済みの収益不動産のプロパティ・マネジメント受託によるフィー収入等を「ストック型」、顧客リレーションから派生的に得られる仲介収入、管理物件等の修繕工事フィーを「フロー型」と位置付けております。
当連結会計年度においては、収益不動産の販売と並行して優良な収益不動産の仕入を積極的に進めた結果、現金及び預金が1,582百万円減少し、一方で販売用不動産及び仕掛販売用不動産が1,430百万円増加しました。有利子負債(短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、社債及び長期借入金)は81百万円の微増となりました。
純資産は210百万円増加しました。当期純利益264百万円の計上、第三者割当増資による資金調達171百万円、株式報酬のための自己株式交付等109百万円による増加の一方、配当による利益剰余金137百万円の減少、為替換算調整勘定198百万円が減少いたしました。
前述のことなどから、資産合計と負債純資産合計は、前連結会計年度末と比較し、381百万円増加しました。
当期連結貸借対照表の詳細は以下のとおりです。
「構成比」は、資産合計(負債純資産合計)に対する比率を示しています。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は35,850百万円となりました。うち、販売用不動産及び仕掛販売用不動産が24,566百万円(構成比68.5%)、現金及び預金が7,400百万円(構成比20.6%)を占めています。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、22,633百万円となりました。うち、有利子負債が19,017百万円(構成比53.0%)を占めています。
(純資産)
純資産合計は、13,216百万円となりました。うち、資本金及び資本剰余金が10,191百万円(構成比28.4%)を占めています。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金という)は、7,362百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度において営業活動の結果、1,058百万円減少しました。これは、税金等調整前当期純利益432百万円を計上した一方で、たな卸資産の取得により、資金が1,627百万円減少したことが主な要因です。
当連結会計年度の営業活動は、税金等調整前当期純利益において通期計画を上回る業績を計上しましたが、かねてより注力してきた組織力向上が奏功し、優良なたな卸資産の仕入れを行うことができました。
当連結会計年度において投資活動の結果、625百万円減少しました。これは、私募REITへの出資を目的とした投資事業有限責任組合への出資や、投資有価証券の取得による支出345百万円があったこと、ADW Lending LLCによる米国住宅債権投資事業の短期貸付316百万円が主な要因です。
当連結会計年度の投資活動は、様々な資金調達手法のマーケティング、研究を積極的に行い、コーポレート・ベンチャー・キャピタル事業の進出を企図した投資活動を行いました。
当連結会計年度において財務活動の結果、162百万円増加しました。これは、配当金の支払い139百万円、借入金の返済及び社債の返還10,619百万円があった一方、新株予約権の発行・行使による収入184百万円があったこと、新たな借入金により10,736百万円の収入があったことが主な要因です。
当連結会計年度において財務活動は、たな卸資産の販売に伴う借入金の返済と、新たな仕入れのための借入れが同程度ありました。また2020年9月に第三者割当により発行した新株予約権の行使が行われました。
当社グループは、収益不動産販売事業、ストック型フィービジネスが主要な事業であり生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
当社グループは、収益不動産販売事業、ストック型フィービジネスが主要な事業であり受注活動を行っていないため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されております。その作成に当たり、会計方針は原則として前連結会計年度と同一の基準を継続して適用するほか、引当金等につきましても過去の実績等を勘案し合理的に見積りを行い、またたな卸資産のうち重要な長期滞留物件等が認められる場合には、回収可能性の検討を行い必要な評価減を行なっております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。