(1) 経営方針
① 企業理念について
当社グループの企業理念の根幹にある価値観は、「しなやかに変化し、独創の価値を生み出し提供する」ことにあります。
「しなやかに変化する」とは、
・既存の価値観に固執せず積極果敢に新しい価値観を取り込むこと、
・変化をいとわず変化の中にこそ勝機を見出せること、
・柔軟な軌道修正や大胆な創造的破壊ができ、それらに応じて自らを再定義できること
「独創の価値を生み出し提供する」とは、
・既成概念にとらわれることなく、顧客ニーズの本質を見極め、そこに一歩でも近づける商品サービスの創造と提供を追求し続けること、
・顧客の要望に応えるだけでなく、確信をもってその本質に顧客を導くこと
であります。
当社グループが企業理念に謳うこの「しなやかに変化しながら、独創の価値を生み出し提供する」という価値観は、当社グループの黎明期でこそ“生き残る術”でありましたが、それは“成長を支える人と組織のあり方”へ、そして“未来に受け継ぐべき企業文化”へと着実に進化してまいりました。
そして、この価値観を実践することによって当社グループが果たすべき使命は、事業を通じて人と社会の活力ある発展に貢献することと考えております。
創業以来、130年超の期間において、当初は染物業とその技術の海外輸出をもって、また近年においては収益不動産とそれを取り巻く付加価値の組み合わせの提供によって、当社グループはこの使命を果たし続けてきたと自負しております。そして今、すべての企業が向き合う新型コロナウイルス感染拡大による経営環境危機は、当社グループにとりましてまさに「しなやかに変化する」ことができるかどうかの試金石になるであろうと認識いたしております。
② 第1次中期経営計画で目指す姿
当社は、2021年5月13日付で「第1次中期経営計画」(2021年12月期~2023年12月期)を発表いたしました。その中で目指す将来に向けて次の4点を掲げております。
「SDGs経営」の推進
・主力の収益不動産販売事業は、「社会資本である不動産のポテンシャルを目利き力と商品企画力で最大化する」という社会的意義を有する
・収益不動産販売事業の積極拡大をもって、不動産市場でのESG投資の広がりに寄与し、まずはそれを通じて「SDGs経営」を推進する
「複利の経営」への転換
・これまでは、売上高や経常利益など「額」を増やす経営、また経常利益率など「率」を高める経営を推し進めてきた
・投下資本が生み出す利益を重要視する「利回りの経営」、さらに再投資のリターンを長期継続する「複利の経営」に転換する
「プライム市場」への上場※1
・2022年4月に予定されている東京証券取引所による市場再編において、「プライム市場」への上場を目指す
・基準に満たなければ経過措置を活用し、「第1次中期経営計画」を推進することでそのハードルを超えたい
「5年後3割」への通過点
・DXによる革新、コーポレート・ベンチャー・ビジネス事業(CVC事業)を通じた新たな価値創造、持株会社体制を活用したM&A・資本提携・業務提携を加速する
・“脱”不動産事業※2収益の割合を「5年後3割」に到達させる長期目標に向け、通過点の3ヶ年として積極的に機会獲得を行う
※1 2021年9月1日付でプライム市場を選択する申請をし、「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書を提出。
※2 “脱”不動産事業・・・将来的に第2の柱とする不動産領域以外の事業
その上で、次の3つの基本方針を明確化するとともに、それぞれに対応した12の重点施策を決定のうえ、鋭意推進しております。
Ⅰ.資本効率を高め、超過利潤を生み持続的に向上させる経営を目指す
・現在、ROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均資本コスト)を下回る状況であるが、2023年12月期にこれを逆転させて超過利潤を生み、さらに持続的に向上させる
Ⅱ.外部資源を積極活用し、創造性と先進性に富んだ組織力を育む
・DXなど高速展開する最新の知見を取り込むために、持株会社体制のもと、コーポレート・ベンチャー・ビジネス事業(CVC事業)によって先鞭を付け、M&A、資本提携、業務提携など外部資源の積極活用で変化に対応する
Ⅲ.顧客の対象を拡張し、商品・サービスを広く提供する
・個人富裕層顧客を主軸としつつ、顧客の裾野を拡げネットも活用して幅広い投資需要に応えるとともに、個人だけでなく事業法人や機関投資家へと対象顧客を拡張する
③ 資本コストについての考え方
加重平均資本コストを引き下げる観点からは、社債に代表される負債性資金の調達が有効と判断しておりますが、一方で、投資適格となりうる格付けの取得には、一定の純資産額、時価総額が前提となるところであり、ガイダンスで示した規模感はその最低目安と当社では想定しております。
株主資本コストについては、自社で算定し把握に努める一方で、開示についての必要性は認めておりません。一方加重平均資本コストについては、2021年5月13日公表の「第1次中期経営計画(2021年12月期~2023年12月期)」の基本方針の1つ、「超過利潤を創出する経営」「時価総額の向上」を実現するため、一定の前提(株主資本コスト8%、有利子負債コスト1.5%、税率35%)をおきつつ開示しております。
長期的な企業経営の観点からは、ガイダンスで示した規模感へ至る成長過程において資金需要に応じて、柔軟にエクイティ・ファイナンスの検討、実施を必要とすることがあり、加重平均資本コストは一定ではありません。当社グループが投資家や株主の皆様の期待に応えるためには、中長期的な成長の実現が最も重要であると認識し、進捗を明瞭に開示し、当社への投資に際して期待できる収益の検討材料を提供してまいります。
なお、当社は、「(改訂)コーポレートガバナンス・コードに対する当社ガイドライン(方針及び取組み)」(2021年12月23日公表)の序章5の中で、以上の資本コストについての考え方を表明しております。
(2) 経営環境
① 当期の経営環境
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルスの断続的な感染拡大の影響を受け、概して不透明な状況に終始しました。期中においては、パンデミック下での東京オリンピック・パラリンピックの開催、新政権によるコロナ対策と経済施策への期待、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の解除、そしてワクチン接種率が約80%に達したことによる社会経済活動の正常化への期待の高まりなど、めまぐるしい変化が相次ぎました。期末にかけては、感染力の強い新たな変異株の急拡大が始まり、不確実性の高い状況は依然として続いております。
当社グループの主要な事業領域である都心部における収益不動産関連の事業環境は、低金利などの資金調達環境を背景にした根強い需要により、好調に推移しております。コロナ禍によるワークスタイルの変容を契機に、オフィスの規模や立地条件が見直され始めたことから、都心部の大規模オフィスビルの空室率の上昇は続いているものの、当社グループが注力している10億~40億円クラスの中規模オフィスビルには、堅実な需要が新たに発生しております。また、居住用の収益不動産につきましては、安定したキャッシュ・フローが得やすいことから、引き続き堅調となっております。一方、当社グループの拠点がある米国のロサンゼルスにおいては、停滞してきた不動産市場が徐々に再開を始め、居住用不動産に対する潜在需要が顕在化し、仕入れ競争が高まっております。
このような事業環境のもと、当社グループの主要な事業である収益不動産販売事業は、コロナ禍以前まで主力としてきた3~5億円クラスの居住用の物件に加え、オフィス物件の中でも需要の旺盛な10億~40億円クラスの中規模オフィス物件の仕入れ活動を積極的に取り組んだことが奏功し、不動産収益の期末残高は過去最高の水準となりました。この背景には、人材育成や組織力強化、不動産情報の取り扱いにおけるIT活用など、総じて仕入れ力向上のための各種施策の成果があります。また、フレキシブルオフィス戦略の成功に象徴されるように、トレンドとニーズを把握した的確な商品企画により、平均賃料を上回る利回りの確保につながりました。
さらに、不動産小口化商品販売事業においては、金融機関との提携を積極的に進め、販売ネットワークを強化してまいりました。2021年12月には、シリーズ第5弾の「ARISTO渋谷」が完売し、現在までに5物件、累計67億円を完売・運用するに至っております。不動産小口化商品は、都心部の優良不動産に対して比較的少額からの投資が可能であることから、全国の投資家から幅広い注目が高まっております。
海外不動産事業も積極的に展開しました。ロサンゼルス事業では、現地パートナーとの協業により現地向け開発・販売を新たに推進してまいりました。またハワイ事業では、社会問題となっている中低所得者向けの安価な住宅不足の解決のために制定された、2019年の現地法令(通称Bill7)に着目し、現地デベロッパーに先駆けて開発案件に着手しております。
② 今後の見通し
今後の見通しにつきましては、急激に再拡大を続ける新型コロナウイルス感染症の影響により、不確実な経済環境が続くと考えられます。その一方で、当社グループの主力事業である収益不動産販売事業は、多様化する需要や低金利の状況を踏まえ活況な取引が継続しており、居住用物件及び中規模オフィスビルの需要は底堅さが続くと予想されるため、2021年5月に公表いたしました「第1次中期経営計画」の遂行に関し、その方針に変更はありません。
「第1次中期経営計画」最終年度の2023年12月期は、売上高306億円、EBITDA27億円、経常利益20億円、税引前当期純利益20億円という目標を掲げています(この目標は2021年5月時点の計画であり、今後更新される可能性があります)。2022年12月期はその達成に向けて、様々な観点において蓄積を進めることが肝要であると考えております。すなわち、収益不動産残高はもとより、商品企画力、マーケティング力、販売ネットワーク、DX、そして何より人材力など、来るべき飛躍のための蓄積を積極的に進めてまいります。
この他、SDGs経営を進めるべく、2021年10月に設置いたしました「サステナビリティ委員会」を中心に、社内の推進体制を構築してまいります。「不動産再生」という当社グループの事業は、不動産のもつポテンシャルを最大限に活かし、人々の生活や社会活動に活性化をもたらす意味において、社会的価値の高い事業です。これらの事業を通じて社会課題を解決し、経済的価値及び社会的価値の向上を実現すべく取り組んでまいります。
当社グループの属する不動産業界においても、依然として不透明な状況は続きますが、「2021年の市場環境が継続する」という前提で、翌連結会計年度(2022年12月期)の連結業績計画を下表のとおりといたします。
また主要事業である収益不動産販売事業は、商品企画の内容やバリューアップ工事の進捗など諸般の状況によって販売時期が前後するという特性があります。近時、商品ラインナップの大型化を戦略的に進めたことに伴い、全体収益における個々の物件収益のウェイトが増しているため、不動産市況等にかかわらず、これまで以上に四半期ごとの収益額の多寡が生じる可能性があります。
(注) 当社グループでは、当連結会計年度の経営目標を「業績計画」として開示しております。「業績計画」は経営として目指すターゲットであり、いわゆる「業績の予想」または「業績の見通し」とは異なるものであります。なお、業績の予想については、その時点におけるグループ全体の確度の高い情報および合理的であると判断される情報を基に、各四半期における進捗の見通しを「フォーキャスト」として適時更新し開示しております。
① 好循環事業サイクルへの転換
当社グループの主力事業である収益不動産販売事業は、一定量の優良な収益不動産残高を保有することにより、不動産の相場と顧客ニーズとの双方を睨みながらコントローラブルに販売を展開し必要な収益を確保すると同時に、保有する収益不動産から得る賃料収入によって収益の安定化を生み出すビジネスモデルです。これに対し現状は、「第1次中期経営計画」の達成に向けてアグレッシブな拡大基調にあるため、残高拡充のための仕入れが収益確保のための販売を追従する状態にあります。通常期にも増して積極的な仕入れを展開することにより、好循環の事業サイクルに転換する必要があります。
② 資金調達手段の多様化
当社グループは、収益不動産販売事業のバリエーションとして、不動産小口化商品販売事業や開発事業などを国内外において積極的にラインナップし、事業全体の拡大を図っております。いずれも旺盛な資金需要があるため、金融機関からの借入を中心としつつクラウドファンディングやSTO※を活用するなど、資金調達手段をさらに多様化する必要があります。また「第1次中期経営計画」の最終期に目途とする超過利潤の創出のためには、EquityとDebtの最適なバランスを検討しつつ資本効率を高める必要があることから、資金調達手段の多様化はますます重要となってまいります。
※ STO…Security Token Offering:ブロックチェーンを活用したデジタル証券による資金調達
③ 人材力の強化
複雑化する事業環境や加速する変化の中にあり、当社グループがさらなる成長を果たしていくためには、人材力の強化が必要不可欠です。当社は予てより新卒採用に注力してまいりましたが、こうしたファーストキャリア人材の早期戦力化をはじめ、中堅社員のマネジメント力強化、また幹部候補社員の選抜と育成など、すべての階層において適切な教育プログラムを導入し、成長を促進する必要があります。またそうした人材が力を発揮できる新しい人事制度の導入も必要です。同時に、自由と自律を両立した当社グループ独自のワークスタイルも希求してまいります。
④ DX推進の加速
当社グループが「第1次中期経営計画」を達成し、さらにそこから先も持続的に成長を果たしていくためには、事業や経営のスピードと効率化を格段に高めること、すなわち生産性の向上が喫緊の課題です。DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用はそのキーとなるものであり、優先度を高めかつ全社横断的に取り組む必要があります。またDXはスピードや効率化といったオペレーション改革に留まらず、それを活用した新たな事業機会の創出や獲得まで視野に入れるべきであり、「収益に寄与するDX」を掲げ積極的に取り組んでまいります。
⑤ 新たな事業の柱の構築
当社グループは国内における収益不動産販売事業を主力として成長をしてまいりましたが、今後それに匹敵する第二・第三の事業の柱を構築する必要があります。既存事業の延長においては、海外事業や不動産小口化商品販売事業の成長に期待し経営資源を相応に充当してまいります。加えて既存の不動産事業領域を超えた事業を構築するために、コーポレート・ベンチャー・キャピタル事業(CVC事業)やM&A等の手法を果敢に活用し、新たな事業機会の創出を企図します。そうした手法を活用しやすくするという狙いで、すでに持株会社体制への移行を実施しており、今後はその具現化を進めてまいります。
以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因になる可能性があると考えられる主な項目を記載しております。当社グループといたしましては、必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる場合には、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループが属する不動産業界は、景気動向、金利動向及び地価動向等の経済情勢の影響を受けやすく、当社グループにおいてもこれらの経済情勢の変化により各事業の業績は影響を受けます。当社グループでは、不動産にかかるリスクの軽減と同時に、収益の極大化を図ることができるよう経済情勢の動向に注意を払っておりますが、予測を上回る変化によって不動産市況に変調をきたし、想定した以上の資産価値の下落を生じるような事態になった場合、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(2)収益不動産所在地域の偏在及び自然災害やパンデミックの発生
当社グループが保有または管理している収益不動産は、経済規模や顧客ニーズを考慮に入れ、国内においては首都圏、海外においては主に米国ロサンゼルスを中心とする地域という、賃貸資産としての安定稼働性の高い地域に偏在しております。地震その他の自然災害やインフルエンザ等の感染症の感染拡大等、当該地域における局地的な事象の影響で、当該地域の経済活動に支障が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、管理業務を受託している賃貸マンションやオフィスビル、商業施設のオーナー及び入居者、収益不動産の売主及び買主等の顧客情報を保有しており、今後も当社グループの業容の拡大に伴い保有する情報が増加し精緻化することが予想されます。当社グループといたしましては、これら顧客情報を正確かつ最新の内容に保つよう努めるとともに、内部の情報管理体制の徹底により顧客情報の保護に注力しております。しかしながら、不測の事態により顧客情報の漏洩や詐取等の流出があった場合、損害賠償や信用低下等により、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループは金融機関からの資金調達に際して、特定の金融機関に依存することなく、案件ごとに金融機関に融資を打診し、融資実行を受けた後に各プロジェクトを進行させております。しかしながら、何らかの理由により計画どおりの資金調達ができなかった場合には、当社グループの事業展開が影響を受ける可能性があります。また、有利子負債の主な返済原資は収益不動産の売却代金ですが、売却時期や売却金額等の条件が想定から悪化した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、収益不動産の取得等のための資金を金融機関からの借入により調達しており、連結貸借対照表における有利子負債残高は、2021年12月期末において、連結総資産の54.9%を占めます。当社グループといたしましては、資金調達手段の多様化に積極的に取り組んでまいりますが、市場金利が上昇する局面においては支払利息等の増加により、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
③ 資金調達手法の多様化の遅延または頓挫
当社グループは、事業拡大に伴う旺盛な資金需要に対応するべく、過去に4回のライツ・オファリングを実施するなど、直接金融市場における資金調達を積極的に実施してまいりました。一方で「第1次中期経営計画」で述べているように、超過利潤を創出する経営に転じるためには、EquityよりもDebt性の調達に比重を置く必要があり、クラウドファンディングを用いた調達や、STOなど多様な調達手法の研究を進めておりますが、経験値や情報あるいは専門人材等の観点から、それらが遅延または頓挫した場合、資金調達力が大きく低下する可能性があります。その場合、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける他、超過利潤創出ができない可能性があります。
当社グループの各事業は、不動産及びその周辺事業はもとより、各種事業領域における専門性の高い知識と豊富な経験を有する人材によって成り立っており、人材こそが当社グループの経営資源の核となるものであります。したがいまして、代表取締役をはじめ各部門を管掌する取締役、部門業務を執行する部門長等の特定の幹部人材、及び各部門の中枢を担う人材が、何らかの理由により業務遂行が不可能または困難となり適切な人材が適時に代替できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、人事制度の充実を図ることやリモートワークの活用、フレキシブルな時間管理など働き方改革への適切な対応等を実施することで、新卒・中途入社に関わらず、採用市場における競争力を高めることを目指しておりますが、当社グループが求める人材の確保が充分にできない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、国内外において、法令に基づく許認可や、各種の税法及び外国為替管理の規制等の適用を受けております。当社グループは、法的規制の遵守を徹底しており、現時点において当該許認可の取消し等の事由は発生しておりませんが、何らかの理由により、当該許認可が取消され又はそれらの更新が認められない場合等には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに、業績が影響を受ける可能性があります。また、今後の法律改正又は規制の動向によっては、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
なお、当社グループが取得している許認可等は次のとおりです。
(7)米国事業を取り巻く法規制等の諸要因の変更
当社グループは、米国のロサンゼルスに拠点を置き、主に日本国内の投資家を対象顧客として、不動産販売事業行っております。ロサンゼルスの不動産業界は、米国の着実な景気回復に伴い、中古住宅の価格は引き続き高水準でありますが、日本国内の投資家が所有する海外不動産に対する税制の見直しや、米国現地での法規制の影響等で投資に対する合理性が低下する他、新型コロナ感染の再拡大によって賃料の滞納が発生し、当社グループの米国での事業に影響が及ぼす可能性があります。
(8)コーポレート・ベンチャー・キャピタル事業(CVC事業)における投資先企業の業績低下
当社グループのコーポレート・ベンチャー・キャピタル事業(CVC事業)は、DXなど当社グループの事業を相乗的に成長発展させる可能性を獲得すべく、業種業界を限定せず、独自の技術・サービスを持つ国内外のスタートアップ企業等に対して投資を行うものであります。したがいまして、実質的な投資リターンを求めるというよりも、マーケティングコストあるいは研究開発費用に近しい位置付けと考えております。ただし、投資であることに変わりはないため、事前には当該企業の詳細なデューデリジェンスを、投資実施後は当該企業の事業進捗に対する定期的にモニタリングを徹底し、可能な限りリスクを回避するよう努めております。しかしながら、投資先企業の業績によっては、投資の回収ができなくなること及び減損損失の計上が必要になる可能性があります。
(9)新型コロナウイルス感染拡大の直接的・間接的影響
当社グループでは、新型コロナウイルス感染拡大のリスクに対応するため、従業員及びその家族、取引先やステークホルダーの健康・安全確保と感染拡大防止を最優先事項とし、在宅勤務や時差出勤の活用、出張・対面営業においても感染防止対策を講じて新型コロナウイルスの影響の極小化を図っておりますが、当社グループの役職員において重大な感染クラスターが発生した場合、また政府による緊急事態宣言等が再度発出され営業活動に支障をきたすような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
① 収益不動産販売事業への影響
経済の停滞によるオフィス需要の停滞などの影響から、今後の不動産市況が再び不透明に転じた場合、当社グループの主要な顧客である個人富裕層を中心とした投資家不動産オーナー、事業法人・機関投資家等の投資マインドが低下する可能性があります。
② 金融機関からの融資の影響
不動産融資に対する金融機関の方針の変化などにより、当社グループ及び当社顧客の資金調達に影響を及ぼす可能性があります。
③ リノベーション・改修事業に係る工事への影響
物流の停滞による資材の遅れや、コロナウイルス感染症拡大抑制のための工事中断、工事時間短縮などの施策により、リノベーション・改修工事が遅延する可能性があります。
④ 賃料収入への影響
(国内)
当社グループが保有する不動産のテナントからの家賃収入が滞る可能性があります。また、テナント撤退に伴う空室率の上昇、テナント入替による賃料減額など賃料収入に影響を及ぼす可能性があります。一方、政府による家賃支援給付金などの政策効果で、当社グループの賃料収入への影響が軽微となる可能性もあります。
(米国)
米国事業においては、投資家に不動産を販売後、当社グループでマスターリースし、管理運営すると同時に賃料収入を得ているケースがあります。コロナウイルス感染症に伴い米国政府により発出された立ち退き訴訟停止措置(実質的な賃料支払い猶予)により、テナントの賃料に延滞等がある場合には影響を受ける可能性があります。
当社は、2020年4月1日に持株会社として設立されたため、当連結会計年度の前年にあたる2020年4月1日から2020年12月31日までの第1期が9ヵ月決算となっております。これに伴い単純な前年同期比較ができないため、前年同期比較は記載しておりません。
当連結会計年度における売上高は24,961百万円(通期計画達成率108.5%)、EBITDAは1,073百万円(通期計画達成率97.6%)、経常利益は650百万円(通期計画達成率108.4%)、税引前利益は650百万円(通期計画達成率108.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は312百万円(通期計画達成率82.2%)となり、「第1次中期経営計画」の達成に向け、その初年度として大きく成長するための基盤となる1年となりました。
(単位:百万円)
(注)1.(不動産販売)は「収益不動産販売事業」、(ストック)は「ストック型フィービジネス」、「税引前利益」は「税金等調整前当期純利益」、「純利益」は「親会社株主に帰属する当期純利益」をそれぞれ省略したものです。
2.EBITDA(償却等前営業利益):営業利益+償却費等
償却費等には減価償却費、ソフトウエア償却費、のれん償却費等のキャッシュアウトを伴わない費用を含みます。
《ご参考:前年同期間との比較》
当社は、2020年4月1日付での持株会社体制への移行に伴い、決算期を12月としたことから、前年同期との比較において対象となる期間にずれが生じております。
以下の表は、前年同期間における比較を行ったものとなります。
(単位:百万円)
(注)上表の2020年1月1日~2020年12月31日の業績数値は、2020年3月期の第4四半期及び2020年12月期を単純合算した数値となります。なお、純利益については、各期の税金計算根拠が異なり、単純合算では比較できないため掲載しておりません。
セグメントの概況は次のとおりです。なお、当社グループでは営業利益をセグメント利益としております。
(収益不動産販売事業)
売上高20,318百万円、EBITDA1,498百万円、営業利益1,496百万円となりました。
収益不動産を取り巻く活況な環境の下、需要を見極めた的確な商品企画を軸にした仕入れから販売までの好サイクルにより競争力が高まったこと、また不動産小口化商品販売事業において金融機関との提携による販売ネットワークの拡充が奏功したことにより、好調に推移しました。
仕入高は18,579百万円となりました。かねてより注力してきた組織力強化が奏功し積極的な仕入活動を行った結果、優良物件の仕入を行うことができました。
その結果、収益不動産残高は28,914百万円((注)2.参照)となり、前連結会計年度末より4,231百万円上回りました。
収益不動産販売事業は、当社グループ全体の業績をけん引する重要な事業ですが、「第1次中期経営計画」の初年度にあたり、概ね計画通りの実績となったほか、収益不動産残高の水準を過去最高値に高めることができ、計画達成に向け堅調な滑り出しとなったと判断しております。また数値面のみならず、仕入れのための組織力や商品企画力など、次につながる定性面での成果も得ることができたと認識しております。
(ストック型フィービジネス)
売上高4,942百万円、EBITDA743百万円、営業利益652百万円となりました。
当社グループが保有する収益不動産からの賃料収入を収益の柱としているため、好調な収益不動産販売事業に連動し安定的な売上・利益を確保することができました。また工事受注等についても、期末にかけて大型の案件を獲得するなどの成果を上げることができました。
なお、同ビジネスにおける「ストック型」の主な売上としては、株式会社エー・ディー・パートナーズの管理収入、ADW Management USA, Inc.の賃料収入など、また「フロー型」の主な売上としては、株式会社エー・ディー・デザインビルドの工事・改修収入、株式会社澄川工務店の工事収入などがあります。
収益不動産の期中平均残高は、大型物件の積極的な取得が寄与したことから物件単価が上昇し、前連結会計年度の24,390百万円に対し当連結会計年度は27,796百万円に増加しております。
ストック型フィービジネスは、当社グループの業績の安定性を担保するための重要な位置づけであります。その観点においては、まずはエー・ディー・パートナーズのプロパティ・マネジメントが今以上に収益力を高める必要があると認識しております。特に、収益不動産販売事業で取り扱う商品が大型化し、かつオフィス物件のウェイトが高まっている昨今にあり、それらに対する対応力を、効率化と並行して高めて行く必要があります。
(注)1.各セグメントの営業利益は、全社費用等のセグメントに配賦しない費用及びセグメント間の内部取引による営業費用控除前の数値であり、その合計は連結営業利益と一致しません。
2.収益不動産残高28,914百万円には、東京国税局から過年度の消費税に関する更正通知を受領したことに伴い資産計上している消費税等引当見積額(11百万円)を含めておりません。
3.「ストック型フィービジネス」のうち、中長期保有用もしくは短期販売用の収益不動産からの賃料や、販売済みの収益不動産のプロパティ・マネジメント受託によるフィー収入等を「ストック型」、顧客リレーションから派生的に得られる仲介収入、管理物件等の修繕工事フィーを「フロー型」と位置付けております。
当連結会計年度においては、主に第三者割当増資などにより、現金及び預金が1,033百万円増加し、また販売用不動産及び仕掛販売用不動産は4,359百万円増加しました。有利子負債(短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、社債及び長期借入金)は、優良な収益不動産の仕入れを積極的に進めたことにより4,061百万円の増加となりました。
これらの要因等から、前連結会計年度と比較し、純資産は1,600百万円増加しました。配当により利益剰余金106百万円の減少がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益312百万円の計上の他、第三者割当増資による新株予約権の行使が進み、977百万円の資金の増加、為替換算調整勘定363百万円の増加がありました。
資産合計と負債純資産合計は、前連結会計年度末と比較し、6,196百万円増加しました。
当期連結貸借対照表の詳細は以下のとおりです。
「構成比」は、資産合計(負債純資産合計)に対する比率を示しています。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は42,047百万円となりました。うち、販売用不動産及び仕掛販売用不動産が28,926百万円(構成比68.8%)、現金及び預金が8,433百万円(構成比20.1%)を占めています。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、27,229百万円となりました。うち、有利子負債が23,078百万円(構成比54.9%)を占めています。
(純資産)
純資産合計は、14,817百万円となりました。うち、資本金及び資本剰余金が11,185百万円(構成比26.6%)を占めています。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金という)は、8,403百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度において営業活動の結果、4,435百万円減少しました。これは、税金等調整前当期純利益650百万円を計上した一方で、たな卸資産の取得及び営業出資金の支払いにより、資金が5,096百万円減少したことが主な要因です。
当連結会計年度の営業活動は、税金等調整前当期純利益において通期計画を上回る業績を計上しましたが、かねてより注力してきた組織力向上が奏功し、優良なたな卸資産の仕入れを行うことができました。
当連結会計年度において投資活動の結果、151百万円減少しました。これは、投資有価証券の取得による支出130百万円があったことが主な要因です。
当連結会計年度は、コーポレート・ベンチャー・キャピタル事業(CVC事業)の推進において多数の投資案件が寄せられ、様々な領域のベンチャー企業などとコンタクトを行い慎重に吟味し投資活動を行いました。
当連結会計年度において財務活動の結果、5,259百万円増加しました。これは、配当金の支払い106百万円、借入金の返済及び社債の償還13,102百万円があった一方、新株予約権の発行・行使による収入970百万円があったこと、新たな借入金により17,078百万円の収入に加えクラウドファンディングによる収入440百万円があったことが主な要因です。
当連結会計年度において財務活動は、第三者割当により発行した新株予約権の行使が行われました。また、新たな調達手法としてクラウドファンディングを活用しました。
当社グループは、収益不動産販売事業、ストック型フィービジネスが主要な事業であり生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
当社グループは、収益不動産販売事業、ストック型フィービジネスが主要な事業であり受注活動を行っていないため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されております。その作成に当たり、会計方針は原則として前連結会計年度と同一の基準を継続して適用するほか、引当金等につきましても過去の実績等を勘案し合理的に見積りを行っておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社の完全子会社である、株式会社エー・ディー・デザインビルド及び株式会社澄川工務店は、2021年12月23日付で2022年4月1日を効力発生日(予定)とする合併契約を締結しております。
その主な内容は次のとおりです。
(1)結合当事企業の名称及びその事業の内容
結合企業の名称 株式会社エー・ディー・デザインビルド
事業の内容 リノベーション工事、改修工事
被結合企業の名称 株式会社澄川工務店
事業の内容 建設事業、内装工事
(2)合併契約締結日
2021年12月23日
(3)企業結合日
2022年4月1日(予定)
(4)企業結合の法的形式
株式会社エー・ディー・デザインビルドを存続会社とし、株式会社澄川工務店を消滅会社とする吸収合併
(5)結合後企業の名称
株式会社スミカワADD(予定)
(6)その他取引の概要に関する事項
当社グループにおける人材・経営資源の有効活用を推進し、経営の効率化を図り、企業価値の向上を目指すことを目的としております。
両社とも、当社の100%子会社の合併であるため、合併による一切の対価の交付はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)の主たる研究開発活動の方針、概要は以下のとおりです。
「しなやかに変化しながら、独創の価値を生み出し提供することによって、人と社会の活力ある発展に貢献」するという企業理念に基づき、「"脱"不動産事業収益3割」を中期的な目標として、プロジェクト当たり利益額と事業スピードを長所とする当社グループ主力である収益不動産販売事業における「不動産市況の影響を受けやすい」「資金投下額が大きい」という課題対策を基本方針として、研究開発を推進しております。
当社グループは、2020年12月に、完全子会社である株式会社エンジェル・トーチを通じてコーポレート・ベンチャー・キャピタル事業(CVC事業)に進出し、DX(デジタルトランスフォーメーション)加速を背景に、投資ソリューションを大きく拡張する可能性を持つような知見、独自の技術・サービスを持つ国内外のスタートアップ企業に対して投資を行うことで、投資ポートフォリオの拡大とともに、CVC事業活動体制の最適化と拡大を図り、当社グループの独創の価値を生み出し提供することを目指してまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額につきましては、当社グループの研究開発活動が業務の一環として行われているものであることから、区分計上しておりません。