(1) 経営方針
2024年2月8日付「第2次中期経営計画」の中長期的な取組みに「Corporate Agilityの獲得」を掲げ、「耐久性」&「機動性」&「柔軟性」の向上を目指してまいります。そのための指標として、自己資本利益率(30%程度の維持)、ノンアセット事業シェア(中長期的に30%を目指す)、固定費カバー率をモニタリングしてまいります。
(2) 経営環境
① 当期の経営環境
当連結会計年度における国内経済は、各種国内政策の効果もあり緩やかな回復基調が見られました。新型コロナウイルス感染症が感染症法上において「第5類感染症」へ移行したことによる社会経済活動の正常化や、構造的な賃金上昇機運の高まりなどの事象から、デフレーションからの脱却への兆しが見えつつあります。
国内の収益不動産売買市場においては、低金利の資金調達環境や海外投資家からの投資需要を背景に、引き続き活況を呈しました。
当社グループの拠点がある米国ロサンゼルスにおいては、政策金利の大幅な引上げにより資金調達環境が変化したことから、収益不動産売買市場においては価格の先安観が見られました。
世界規模では、金融引き締めに起因する金融資本市場の変動、物価上昇による原材料価格の高騰、急激な為替変動など、景気を下押しするリスクが依然として存在しております。
② 今後の見通し
2023年12月期は、当社の第1次中期経営計画の最終年度でしたが、計画どおり税前利益20億円に到達しました。
今後3か年については、2024年2月8日公表の「第2次中期経営計画」に掲載のとおり「事業成長を軌道に乗せ、同時に持続可能な社会への貢献を行う“Sustainable Business, Sustainable Growth”」の段階と位置付けています。
事業環境については、特に大都市部においては、引き続き不動産への資金流入が期待できる一方で、日銀によるマイナス金利政策解除の可能性も想定しておく必要があります。
当社グループからの視点においては、2024年1月末時点にて当社の株価はPBR1倍未満であり、課題と認識しております。PBRを上げる、すなわち株式時価総額を上げるためには「業績計画上の利益成長率」「計画実現の確度」の二点が肝要です。
前者の「業績計画上の利益成長率」については<表1>のとおり、3年後の2026年12月期に2023年12月期の約1.5倍となる「税前利益30億円」に到達し、ビジネスの成長の結果として、プライム市場上場企業に相応しい評価をいただくことを目指します。業績計画達成のキーとなる「人材生産性」を高めると同時に「財務健全性」の維持にも留意する中で、最終的なアウトプット指標であるEPS(一株当たり純利益)を毎期10%以上高め、株主及び投資家の皆様の期待に応えたく存じます。
後者の「計画実現の確度」について当社グループは<表2>のとおり、期初に公表した業績計画をほぼ100%達成してまいりました。<表1>掲載の業績計画も、不確定要素を出来るだけ織り込まない範囲で策定しております。ADワークスグループの業績計画の蓋然性の高さについては、今後積極的に公表資料等に掲載いたします。
<表1> (百万円)
(注)1.収益不動産残高:販売または賃料収入を目的として保有する不動産の合計残高
2.ROE:親会社株主に帰属する当期純利益÷平均株主資本(「自己資本当期純利益率」とは数値が異なる可能性があります)
3.ROIC:(親会社株主に帰属する当期純利益+支払利息+借入手数料)÷(平均株主資本残高+平均有利子負債残高)
4.PH総利益:売上総利益 ÷ 平均従業員数(Per Head 売上総利益)
5.EPS:親会社株主に帰属する当期純利益÷期中平均株式数(Earnings Per Share)
なお、<表1>における(計画)は経営として目指すターゲットであり、いわゆる「業績の予想」または「業績の見通し」とは異なるものであります。
<表2> (百万円)
(注)1.2014年3月期から2017年3月期は経常利益、2018年3月期から2023年12月期は税前利益
2.2017年3月期は、固定資産に区分された不動産売却益86百万円を特別利益に計上した。経常利益は748百万円であったが、税前利益835百万円は実態的に経常利益であると解釈し、経常利益計画800百万円(FY2016は税前利益計画を公表せず)に対する実績として掲載している。
① 第2次中期経営計画における課題
当社グループは、2024年2月8日付公表の「第2次中期経営計画」(2024年12月期~2026年12月期)において、収益不動産販売事業への収益依存度が高い現状に対し、以下の課題を認識しております。
- 不動産セクターの環境に、事業基盤が左右される。
- バランスシートリスク(市況リスク)が大きい。
- 期間損益がボラタイルである。
② 資本コストについての考え方
<主旨>
a. 資本コストの定義及び水準
資本コスト(株主資本コスト)とは、
「株主の皆様が、トータルリターン、つまりキャピタルゲイン(値上がり益)及びインカムゲイン(配当)にて期待する投資利回り」
である、と当社は認識しています。
当社の株主資本コストについて調査したところ、6%台~11%台との結果になりました。コーポレートガバナンス報告書で自社の株主資本コストを開示した企業の平均値が6%台であったとの2024年1月の報道なども踏まえ、成長過程にある当社の株主資本コストは従前通り8%を想定いたします。
よって、株主資本コストが8%である当社は、
「年間8%以上のトータルリターンを株主の皆様に提供する」
ことを目標といたします。
以下、論旨を簡潔に示すため「非事業資産」「自己資本比率の増減」「負債の簿価と時価の差額」「株価変動とそれに伴う配当利回りの変動」等を考慮しない前提で記載いたします。
b. キャピタルゲイン(値上がり益)
株価を上げるためには、株式市場(株主及び投資家の皆様)から合理的に期待される一株当たり将来キャッシュ・フローの現在価値を引き上げる必要があり、当該現在価値の主要な構成要素は「業績計画上の利益成長率」「計画実現の確度」であると当社は考えます。
〇「株式市場から合理的に期待される利益成長率」の現状について

<ADモデル>
※ 直近の株式時価総額と財務諸表情報から定数を取得し、株主資本コストと利益成長率を互いに従属する関数にするモデル。
※ 論旨を極力簡潔にするため、当社の現況に鑑み、「非事業資産」「運転資本の増減」「自己資本比率の変動」「負債の簿価と時価の差額」等を考慮していません。
※ 継続成長モデル[将来キャッシュ・フローの現在価値=FCF÷(r-g)]を流用しています。
※ WACCは2024年12月期12ヶ月平均にて算出すれば3.1%となりますが、ここでは期末簿価にて算出した3.4%を採用しています。
株主資本コストを8%とした場合、利益成長率は約△0.2%となりました。安定的に利益を出している同業他社全般に当てはまることですが、金融情勢に伴う収益不動産市況の先安観の影響等から長期的には、自社が公表している中期計画を下回る成長率を見込まれていることを示すものであり、株主価値向上のためにも、この状況を払拭したく考えております。
〇当社が公表している「業績計画上の利益成長率」について
当社は、一株当たりキャッシュ・フローの近似指標としてEPS(一株当たり純利益)を重視し、(2)経営環境に掲載の<表1>のとおり「EPS毎期二桁成長」を掲げております。連結純利益についてもEPS同様、毎期二桁成長の計画です。
〇計画実現の確度について
(2)経営環境に掲載の<表2>掲載のとおり、10期以上連続して業績計画を達成している実績があります。
過去、公表した計画を達成してきた当社が今後3か年「利益二桁成長」の計画を公表する一方で、継続利益成長率△0.2%前提の株価がついている状況です。今後の業績進捗と、開示資料での計画達成蓋然性の説明を両輪に、株式市場からの期待利益成長率を高めることができれば株価には大きなプラスの影響があり、株主の皆様のご期待にキャピタルゲインの面から応えることは可能と考えます。
c. インカムゲイン(配当)
配当政策はトータルリターンに影響を与えない、との趣旨の理論もありますが、配当という形で利益を還元することは株主の皆様との信頼を繋ぐ意味があり、また、成長の見通しの強さを示すアナウンスメント効果も期待できます。よって、インカムゲインを増やす施策(当社にとって手元資金が減る施策)は、前述のプロセスで獲得したキャピタルゲインを打ち消さず、場合によってはアナウンスメント効果によりキャピタルゲインにプラスになる可能性もあります。財務健全性及び成長資金を確保したうえで、株主の皆様にご安心いただくに足る配当を今後も継続する方針です。
d. 補足
株主価値創造に際してのKPIについてはいくつかの考えがありますが、当社として以下のように整理し、株式市場からの期待成長率を上げていくことに取り組みます。(株主資本コストを下げる、というアプローチについては以下では記載しておりません)
③ 継続して対処すべき課題
a. 好循環事業サイクルへの転換
当社グループの主力事業である収益不動産販売事業は、一定量の優良な収益不動産残高を保有することにより、不動産の相場と顧客ニーズとの双方を睨みながらコントローラブルに販売を展開し必要な収益を確保すると同時に、保有する収益不動産から得る賃料収入によって収益の安定化を生み出すビジネスモデルです。これに対し現状は、収益の拡大基調にあるため、残高拡充のための仕入れが収益確保のための販売を追従する状態にあります。通常期にも増して積極的な仕入れを展開することにより、好循環の事業サイクルに転換する必要があります。
b. 資金調達手段の多様化
当社グループは、収益不動産販売事業のバリエーションとして、不動産小口化商品事業や開発事業などを国内外において積極的にラインナップし、事業全体の拡大を図っております。いずれも旺盛な資金需要があるため、金融機関からの借入を中心としつつクラウド・ファンディングやSTO※を活用するなど、資金調達手段をさらに多様化する必要があります。また継続的な超過利潤の創出のためには、EquityとDebtの最適なバランスを検討しつつ資本効率を高める必要があることから、資金調達手段の多様化はますます重要となってまいります。
※ STO…Security Token Offering:ブロックチェーンを活用したデジタル証券による資金調達
c. 人的資本投資の強化
複雑化する事業環境や加速する変化の中にあり、当社グループが更なる成長を果たしていくためには、経営戦略に合致した人的資本への投資が必要不可欠です。当社は予てより新卒採用に注力してまいりましたが、こうしたファーストキャリア人材の早期戦力化をはじめ、中堅社員のマネジメント力強化、また幹部候補社員の選抜と育成など、すべての階層において適切な教育プログラムを導入し、成長を促進する必要があります。また多様な人材が最大限の能力を発揮するための組織文化の醸成や職場環境の整備も、継続して実施する必要があります。
d. DX推進の加速
当社グループが持続的に成長を果たしていくためには、事業や経営のスピードと効率を格段に高めること、すなわち生産性の向上が喫緊の課題です。DX(デジタル・トランスフォーメーション)の活用はそのキーとなるものであり、優先度を高めかつ全社横断的に取り組む必要があります。またDXはスピードや効率化といったオペレーション改革に留まらず、それを活用した新たな事業機会の創出や獲得まで視野に入れるべきであり、「収益に寄与するDX」を掲げ積極的に取り組んでまいります。
e. 新たな事業の柱の構築
当社グループは国内における収益不動産販売事業を主力として成長をしてまいりましたが、今後それに匹敵する第二・第三の事業の柱を構築する必要があります。既存事業の延長においては、海外事業や不動産小口化商品事業の成長に期待し経営資源を相応に充当してまいります。加えて既存の不動産事業領域を超えた事業を構築するために、CVC事業やM&A等の手法を果敢に活用し、新たな事業機会の創出を企図します。そうした手法を活用しやすくするという狙いで、すでに持株会社体制への移行を実施しており、今後はその具現化を進めてまいります。
当社グループは、企業活動を通じてサステナブルな社会の実現に貢献すべく、サステナビリティ方針を包含する「企業行動憲章」を定め、取締役会及びサステナビリティ委員会を中心とした推進体制を整備しております。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。当社グループのサステナビリティに関する詳細情報はコーポレートサイトをご確認ください。
(https://www.adwg.co.jp/sustainability/)
(1)サステナビリティ全般
当社グループでは、事業活動を通じた気候変動を始めとする社会課題解決への寄与と長期的な企業価値の向上を目指し、持続可能な社会の発展に貢献することを目的として「サステナビリティ委員会」を設置しております。
サステナビリティ委員会は代表取締役社長CEOを委員長とし、サステナビリティ担当役員、当社取締役及び委員長が指名する当社グループの役職員を構成メンバーとしながら、サステナビリティ推進のための活動方針の策定や取り組みを行っております。
サステナビリティ委員会は、年4回を原則として、その他必要な場合に開催されます。委員会で審議・決定された内容は、取締役会に報告され、必要に応じて取締役会でも審議・決議されます。その内容は、サステナビリティ推進室を通じて当社グループ間に連携され、事業活動に活かします。また、サステナビリティ推進室では、取締役会並びにサステナビリティ委員会において決定された方針に基づき、具体的な取り組みの立案や各部門・グループ会社から抽出されたサステナビリティ関連事項を検討し、委員会へ上申を行っております。
<サステナビリティ推進体制図>

なお、2023年12月期におけるサステナビリティ委員会の開催状況は以下のとおりです。(審議内容はすべて取締役会にて報告または決議がされています。)
当社グループは、サステナブルな社会の実現への貢献と企業価値の向上に向けた重要な経営課題として、下記マテリアリティ4項目を特定しております。

各マテリアリティの考え方及び目指す姿及び主な取り組み方針は以下のとおりです。
a.活かしてつなぐ不動産再生
世界的な社会環境の変化や危機に対し、当社グループが主力とする収益不動産販売事業を通じた社会課題の解決を目指します。
<目指す姿>
・不動産と地域社会の活性化に寄与し、ステークホルダーの期待に応える。
・不動産の再生事業を通じて、より環境と社会にやさしい不動産へ昇華させ、循環型社会に寄与する。
b.働きがいとイノベーションの創出
人的資本の強化や革新的技術の追求によって競争優位の源泉を確立し、当社グループの持続的かつ加速度的な成長の促進と、社会への提供価値の最大化を目指します。
<目指す姿>
・多様な人材が個性を発揮し、自ら進化し続けられる組織文化を醸成することで、企業成長を加速する。
・社内外の多様な知見やテクノロジーを柔軟に組み合わせることで、社会に価値を提供し続ける。
c.安心と安全の提供
時代とともに変化するステークホルダーのニーズへ適合し、信頼を獲得し続けることを目指します。
<目指す姿>
・ステークホルダーとの適切なコミュニケーションを継続し、社会的信頼を構築し続ける。
・高い防災性を備えた不動産の提供によって、安心・安全な地域社会の実現に寄与する。
d.企業価値を高めるガバナンス強化
激しい変化に柔軟に適応し、持続的に企業価値を向上させるべく、ガバナンス体制の継続強化とステークホルダーとのパートナーシップの発揮を目指します。
<目指す姿>
・意思決定の迅速化と透明性向上を図り、社会・環境変化に柔軟に対応していくことをもって企業の持続性を高め、あらゆるステークホルダーの期待に応える。
・人権尊重を含めたコンプライアンス意識の高い組織風土を醸成し、ステークホルダーから信頼を獲得し続ける。

当社グループでは、事業活動の推進及び企業価値の維持・向上を阻害する可能性のあるリスクを最小にするために、計画的に対策を立案・検証する体制を整備しています。
当社グループではサステナビリティを含む一元的かつ横断的なリスク管理を、当社のリスク管理担当役員を委員長とし、当社の常勤取締役及び委員長が指名した当社グループの役職員を構成メンバーとする「リスク管理委員会」が担い、グループ共通または各社ごとのリスク管理に対する施策の実行を通じて、当社グループを取り巻く様々なリスクを統括管理するほか、リスクが顕在化した場合には、同委員会が中心となって対応を行います。
また、全社リスクの中でも重要性が高く、TCFD提言の枠組みに基づき管理すべき気候関連のリスク及び機会については、サステナビリティ委員会にて識別・評価・管理を行っております。サステナビリティ委員会ではSASBなどの国際的なフレームワークや業界動向を元に、気候関連のリスク・機会を洗い出すとともに、将来的にどのような影響を自社にもたらすかを把握するために、シナリオ分析を実施しております。シナリオ分析実施時にはIEA(国際エネルギー機関)や官公庁が発行するレポート及び将来予測値も参考にし、その影響を評価いたします。
また、気候関連のリスクについては、リスク管理委員会にも内容を共有し、当社グループ全体のリスクとの相対的評価及び管理を行っております。
サステナビリティ委員会及びリスク管理委員会にて評価された当社グループ全体のリスク管理状況は取締役会に報告され、リスクの共有を図るとともに、リスクの低減に努めております。
<リスク管理体制図>

(2)気候変動
当社グループは、気候変動問題が自然環境と社会構造に大きな変化をもたらし、当社グループの経営とビジネスに多大な影響を及ぼす重要課題であり、自然災害による不動産価値の低下や政府の環境規制強化等により、当社グループの事業活動や戦略、財務計画に大きな影響を与える可能性があると考えております。
なお、当社は2023年1月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同を表明するとともに、2023年12月にTCFD提言に基づく情報開示を行っております。
(https://contents.xj-storage.jp/xcontents/32500/eac5ee98/925f/416e/a2a8/d6eae7f9e504/
20231218095726686s.pdf)
上記(1)サステナビリティ全般「ガバナンス」を参照ください。
当社グループは、将来世界において、気候変動に起因する事象が自社事業活動にどのような影響をもたらすのかを検討するため、以下のようにシナリオ分析を行っております。2050年時点を想定し、現状を上回る気候変動対策が行われず、異常気象の激甚化が想定される「4℃シナリオ」と、脱炭素に向けて野心的な気候変動対策の実施が想定される「1.5℃シナリオ」を参照し、リスク及び機会を考察しました。(2023年10月実施)
また、シナリオ分析実施時には環境省が発行する「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ(2023年3月発行)」を参考に、下記手順に沿って定性的な分析を行っております。

<想定されたリスク及び機会一覧>
シナリオ分析の結果、リスクとして、異常気象の激甚化によるサプライチェーンの寸断や、物件損傷による修復費用の増加や売上の減少が主なリスクとして想定されました。一方、機会として、脱炭素社会への移行に伴い環境配慮型の「収益不動産」の需要増加が想定されました。今後、財務的なインパクトをより把握するため、定量的な分析を実施することを検討しております。
(時間軸の定義)
(影響評価の定義)
<特定したリスク・機会への対応>
特定したリスクと機会への対応方針を4つのカテゴリーに区分し、現時点で考えられる具体的な取り組みを以下のとおり検討しております。

③リスク管理
上記(1)サステナビリティ全般「リスク管理」を参照ください。
当社グループでは自社事業活動による環境負荷を把握するため㈱ADワークスグループ及び国内連結子会社を対象とし、温室効果ガス排出量(Scope1,2)の算定に取り組んでおります。
今後は、2050年カーボンニュートラル及び2030年30%削減(2022年度比)を目標とし、再エネ電力メニューの活用や省エネ施策を講じるとともに、算定範囲の拡大及び、それに伴う目標の再検討を予定しております。
なお、2030年時点の目標は当連結会計年度末時点の事業環境及び業容に基づいており、今後の業容変化に応じて適宜目標設定の見直しを検討いたします。
<当社グループ温室効果ガス(GHG)排出量>
※「産業用蒸気(2023年12月期)」及び「冷水・温水(2023年12月期)」は本有価証券報告書作成時点における暫定値です。
※今後、国外連結子会社の算定やScope3算定など、算定範囲拡大を検討しております。
(3)人的資本
①方針及び戦略
当社グループでは、企業理念に基づくステートメントである「しなやかに変化し 独創の価値を生み出す」を追求し、変化が激しく課題が複雑化する社会においても持続的な成長を実現するべく「働きがいとイノベーションの創出」をマテリアリティの一つと定め、取り組みを進めております。
そのために、当社グループは全社横断的で自由闊達なコミュニケーションが可能な組織風土の醸成、及び従業員一人ひとりが自律的に挑戦できる機会と環境の提供に努めるとともに、研修・育成制度を通じて従業員のスキルアップを支援してまいります。
a.従業員エンゲージメント
2023年7月より、当社グループの社会的な存在意義や提供価値を再定義する「北極星PJ」を推進しております。本プロジェクトを通じて、長期的な視点で当社グループのありたい姿を描き、その実現に向けた施策を推進してまいります。また、本プロジェクトはそのプロセス自体をもって従業員エンゲージメント向上を目指しております。メンバー選定は、全従業員からの公募による手挙げ制を採用し、メンバークラスからマネジメントクラスまで多様な従業員で構成されている他、全従業員を対象に複数回のワークショップを実施しながらプロジェクトを推進し、当社グループの方針策定に係る議論をグループ全役職員で実施しております。ワークショップでは、従業員一人ひとりが会社のありたい姿と現状やそのギャップを考え、会社の課題に対する認識を深める場や会社のありたい姿と個人のパーパスとの結合を図る場、会社の存在意義に対する解釈を深める場などを設けており、今後も同様の取組みを継続することで、会社の長期的な視点での成長と従業員のエンゲージメント向上を一体的に取り組んでまいります。
その他、当社グループは、Unipos株式会社が開発・提供するサービス「Unipos」を2024年1月より導入しております。従業員同士の相互的な称賛・感謝を促進することで、称賛・感謝と挑戦行動の好循環を基礎とした組織文化の構築に努めております。
これらの施策により、会社と従業員のエンゲージメントが高まることで、役職員による自律的な価値創造が可能となる組織を目指しております。
b.DE&I
当社グループにおいては海外への事業展開や、海外顧客との取引も増加している点から、従来にも増して多様な属性を持つステークホルダーと円滑にコミュニケーションが取れる人材の育成が重要となります。加えて、女性の社会進出を始めとした多様化の進む社会において、男女格差を解消し、あらゆるライフステージにある人々が働きやすく、それぞれのニーズに合った働き方を実現できる環境の整備が重要と認識し、ダイバーシティに関する社内発信や研修の実施、柔軟な勤務形態の導入や産前・産後・育児休暇の推進など、各種施策に取り組んでおります。
また、こうした多様な価値観のもと成り立つ社会において当社グループは、「ADWGグループ人権方針」を策定して人種、民族、国籍、出身、性(性的指向・性自認を含む)、年齢、社会的身分、障がいの有無、身体的特徴、信条、宗教など多様なバックグラウンドを持つ、従業員を含むあらゆるステークホルダーの多様性を尊重することを宣言しております。
c.健康経営
従業員は一個人として、また社会の一員としてそれぞれの健康を守り高める権利と責務を有しており、また当社グループとしても、従業員がその能力を最大限発揮できるよう心身の健康の維持促進を支援することは極めて重要であると考えております。そのため当社グループでは、グループ健康宣言として「社員の健康は、私たちがしなやかに変化し独創の価値を生み出すための、大切な源です」を掲げ、健康経営を推進しており、人事担当部署及び当社グループの従業員を中心に構成される健康推進委員会が中心となって取組みを実施しております。具体的には、定期健康診断の受診及び保健指導・二次健診受診の促進、ヘルスリテラシー向上を目的とした社内セミナーの開催、運動環境の提供、オフィス内飲食環境の整備、ストレスチェック・ケア等に取り組んでおります。その結果、当社は経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人認定制度」において2023年に続き「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)」の認定を受けております。
②指標及び目標
人的資本に関する指標と目標については、「コーポレートガバナンス・コードに対する当社ガイドライン(方針及び取組み)」に記載の通り、女性管理職比率を30%とすることを目標にしております。その実績につきましては、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載の通りです。
また、当社は、健康経営の推進における指標として「健康経営優良法人」の認定を位置付けており、今後も認定維持に取り組んでまいります。
その他、上記方針に基づく指標と目標については今後設定を進め、モニタリングに努めてまいります。
以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因になる可能性があると考えられる主な項目を記載しております。当社グループといたしましては、必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる場合には、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループが属する不動産業界は、景気動向、金利動向及び地価動向等の経済情勢の影響を受けやすく、当社グループにおいてもこれらの経済情勢の変化により各事業の業績は影響を受けます。当社グループでは、不動産にかかるリスクの軽減と同時に、収益の極大化を図ることができるよう経済情勢の動向に注意を払っておりますが、予測を上回る変化によって不動産市況に変調をきたし、想定した以上の資産価値の下落を生じるような事態になった場合、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(2)収益不動産所在地域の偏在及び自然災害やパンデミックの発生
当社グループが保有または管理している収益不動産は、経済規模や顧客ニーズを考慮に入れ、国内においては首都圏、海外においては主に米国ロサンゼルスを中心とする地域という、賃貸資産としての安定稼働性の高い地域に偏在しております。地震その他の自然災害やインフルエンザ等の感染症の感染拡大等、当該地域における局地的な事象の影響で、当該地域の経済活動に支障が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、管理業務を受託している賃貸マンションやオフィスビル、商業施設のオーナー及び入居者、収益不動産の売主及び買主等の顧客情報を保有しており、今後も当社グループの業容の拡大に伴い保有する情報が増加し精緻化することが予想されます。当社グループといたしましては、これら顧客情報を正確かつ最新の内容に保つよう努めるとともに、内部の情報管理体制の徹底により顧客情報の保護に注力しております。しかしながら、不測の事態により顧客情報の漏洩や詐取等の流出があった場合、損害賠償や信用低下等により、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループは金融機関からの資金調達に際して、特定の金融機関に依存することなく、案件ごとに金融機関に融資を打診し、融資実行を受けた後に各プロジェクトを進行させております。しかしながら、何らかの理由により計画どおりの資金調達ができなかった場合には、当社グループの事業展開が影響を受ける可能性があります。また、有利子負債の主な返済原資は収益不動産の売却代金ですが、売却時期や売却金額等の条件が想定から悪化した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、収益不動産の取得等のための資金を金融機関からの借入により調達しており、連結貸借対照表における有利子負債残高は、2023年12月期末において、連結総資産の59.1%を占めます。当社グループといたしましては、資金調達手段の多様化に積極的に取り組んでまいりますが、市場金利が上昇する局面においては支払利息等の増加により、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
③ 資金調達手法の多様化の遅延または頓挫
当社グループは、事業拡大に伴う旺盛な資金需要に対応するべく、過去に4回のライツ・オファリングを実施するなど、直接金融市場における資金調達を積極的に実施してまいりました。一方で「第1次中期経営計画」で述べているように、超過利潤を創出する経営に転じるためには、EquityよりもDebt性の調達に比重を置く必要があり、クラウドファンディングを用いた調達や、STOなど多様な調達手法の研究を進めておりますが、経験値や情報あるいは専門人材等の観点から、それらが遅延または頓挫した場合、資金調達力が大きく低下する可能性があります。その場合、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける他、超過利潤創出ができない可能性があります。
当社グループの各事業は、不動産及びその周辺事業はもとより、各種事業領域における専門性の高い知識と豊富な経験を有する人材によって成り立っており、人材こそが当社グループの経営資源の核となるものであります。したがいまして、代表取締役をはじめ各部門を管掌する取締役、部門業務を執行する部門長等の特定の幹部人材、及び各部門の中枢を担う人材が、何らかの理由により業務遂行が不可能または困難となり適切な人材が適時に代替できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、人材が最大限の能力を発揮するための組織文化の醸成を図ることやリモートワークの活用、フレキシブルな時間管理など働き方改革への適切な対応等を実施することで、新卒・中途入社に関わらず、採用市場における競争力を高めることを目指しておりますが、当社グループが求める人材の確保が充分にできない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、国内外において、法令に基づく許認可や、各種の税法及び外国為替管理の規制等の適用を受けております。当社グループは、法的規制の遵守を徹底しており、現時点において当該許認可の取消し等の事由は発生しておりませんが、何らかの理由により、当該許認可が取消され又はそれらの更新が認められない場合等には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに、業績が影響を受ける可能性があります。また、今後の法律改正又は規制の動向によっては、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
なお、当社グループが取得している許認可等は次のとおりです。
(7)米国事業を取り巻く法規制等の諸要因の変更
当社グループは、米国のロサンゼルスに拠点を置き、主に日本国内の投資家を対象顧客として、不動産販売事業を行っております。ロサンゼルスの不動産業界は、米国の着実な景気回復に伴い、中古住宅の価格は引き続き高水準でありますが、日本国内の投資家が所有する海外不動産に対する税制の見直しや、米国現地での法規制の影響等で投資に対する合理性が低下する他、新型コロナ感染の再拡大によって賃料の滞納が発生し、当社グループの米国での事業に影響が及ぼす可能性があります。
(8)コーポレート・ベンチャー・キャピタル事業(CVC事業)における投資先企業の業績低下
当社グループのコーポレート・ベンチャー・キャピタル事業(CVC事業)は、DXなど当社グループの事業を相乗的に成長発展させる可能性を獲得すべく、業種業界を限定せず、独自の技術・サービスを持つ国内外のスタートアップ企業等に対して投資を行うものであります。したがいまして、実質的な投資リターンを求めるというよりも、マーケティングコストあるいは研究開発費用に近しい位置付けと考えております。ただし、投資であることに変わりはないため、事前には当該企業の詳細なデューデリジェンスを、投資実施後は当該企業の事業進捗に対する定期的にモニタリングを徹底し、可能な限りリスクを回避するよう努めております。しかしながら、投資先企業の業績によっては、投資の回収ができなくなること及び評価損の計上が必要になる可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における売上高は41,342百万円(通期計画達成率103.4%)、EBITDAは2,790百万円(通期計画達成率102.2%)、経常利益は1,978百万円(通期計画達成率105.8%)、税前利益は2,066百万円(通期計画達成率103.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,419百万円(通期計画達成率118.3%)となりました。また、投下資本利益率(ROIC)は4.0%、加重平均資本コスト(WACC)3.1%となり、第1次中期経営計画での宣言どおり、ROICがWACCを上回ることができました。
(注)投下資本利益率(ROIC)および加重平均資本コスト(WACC)は以下の計算式にて算出しております。
投下資本利益率(ROIC):(親会社株主に帰属する当期純利益+支払利息)÷(平均株主資本残高+平均有利子負債残高)
加重平均資本コスト(WACC):株主資本コスト8%、有利子負債コスト1.5%、税率35%として算出
(単位:百万円)
(注)1.(不動産販売)は「収益不動産販売事業」、(ストック)は「ストック型フィービジネス」、「税前利益」は「税金等調整前当期純利益」、「純利益」は「親会社株主に帰属する当期純利益」をそれぞれ省略したものです。
2.CVC事業における保有株式の売買が今後見込まれることから、当連結会計年度よりEBITDAの算出方法を変更しております。なお、変更後の算出方法による前連結会計年度におけるEBITDAは1,582百万円、変更前の算出方法による当連結会計年度におけるEBITDAは2,596百万円であります。
変更前
EBITDA:営業利益+償却費等
償却費等には減価償却費、ソフトウエア償却費、のれん償却費等のキャッシュアウトを伴わない費用を含みます。
変更後
EBITDA:税金等調整前当期純利益+特別損益+借入等に伴う金融関連費用+償却費等
償却費等には減価償却費、ソフトウエア償却費、のれん償却費等のキャッシュアウトを伴わない費用を含みます。
3.当連結会計年度において、投資新株予約権売却益38百万円、投資有価証券売却益49百万円を特別利益として計上しております。
セグメントの概況は次のとおりです。なお、当社グループでは営業利益をセグメント利益としております。
(収益不動産販売事業)
売上高35,660百万円、EBITDA2,955百万円、営業利益2,766百万円となりました。
収益不動産を取り巻く活況な事業環境の下、需給を見極めた的確な商品企画を軸にした仕入から販売までの好サイクルにより競争力が高まったこと、また不動産小口化商品事業において、金融機関・税理士等との提携による販売ネットワークの拡充や、天神/大名エリアへの初進出が奏功したことにより、好調に推移しました。
仕入高は29,374百万円となりました。かねてより注力してきた組織力強化と戦略的な仕入単価上昇が奏功し、積極的な仕入活動を行った結果、優良物件の仕入を行うことができました。
今期の仕入活動により、今後の利益の源泉となる収益不動産残高(販売または賃料収入を目的として保有する不動産の合計残高)は44,798百万円となり、前連結会計年度末より3,321百万円上回りました。
好調な収益不動産事業が当社グループの業績を牽引した結果、「第1次中期経営計画」の最終年度である今期は、当初掲げておりました税前利益20億円を達成し、投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を上回る結果となりました。また数値面のみならず、仕入、商品企画、販売連携強化による組織力の向上や、商品ラインナップの拡充など、定性的な面での成果も得られたと認識しております。
(ストック型フィービジネス)
売上高6,122百万円、EBITDA1,424百万円、営業利益1,289百万円となりました。
ストック型フィービジネスは、当社グループが保有する収益不動産からの賃料収入を収益の柱とする他、株式会社エー・ディー・パートナーズ及びADW Management USA. Inc.の不動産管理収入、株式会社スミカワADDの工事・改修収入などがあります。
10億~20億円規模の収益不動産の積極的な取得が寄与した結果、物件単価が上昇し、収益不動産の期中平均残高は、前連結会計年度の34,876百万円に対し、当連結会計年度は44,894百万円に増加しております。
ストック型フィービジネスは当社グループの業績の安定性を担保するという重要な位置づけであります。販売目線での商品価値の向上は、同時に当社グループ保有時の賃料収入の確保につながると認識しております。また、株式会社エー・ディー・パートナーズのプロパティ・マネジメントも、物件単価上昇に伴い顧客層の変化があったため、更なる効率化と対応力を高めていく必要があります。
(注)1.各セグメントの営業利益は、全社費用等のセグメントに配賦しない費用及びセグメント間の内部取引による営業費用控除前の数値であり、その合計は連結営業利益と一致しません。
2.「ストック型フィービジネス」のうち、中長期保有用もしくは短期販売用の収益不動産からの賃料や、販売済みの収益不動産のプロパティ・マネジメント受託によるフィー収入等を「ストック型」、内装・修繕工事フィー、顧客リレーションから派生的に得られる仲介収入を「フロー型」と位置付けております。
当連結会計年度においても引き続き、事業規模拡大に向けて収益不動産の仕入を意欲的に行い、併せて仕入に際しての借入も積極的に行いました。結果として収益不動産残高(販売または賃料収入を目的として保有する不動産の合計残高)は前期末から3,321百万円増加し44,798百万円、有利子負債は前期末から2,295百万円増加し34,810百万円となりました。それに伴い総資産は前期末から5,495百万円増加し58,854百万円となりましたが、それと同時に自己資本も、当期に1,419百万円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことを背景に前期から1,318百万円増加し17,106百万円となったため、自己資本比率は前期と同水準の29.1%となりました。
当期連結貸借対照表の詳細は以下のとおりです。
「構成比」は、資産合計(負債純資産合計)に対する比率を示しています。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は58,854百万円となりました。うち、販売用不動産及び仕掛販売用不動産が38,414百万円(構成比65.3%)、現金及び預金が9,810百万円(構成比16.7%)、賃料収入を目的として保有する不動産(有形固定資産に含む)が6,383百万円(構成比10.8%)を占めています。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、41,688百万円となりました。うち、有利子負債が34,810百万円(構成比59.1%)を占めています。
(純資産)
純資産合計は、17,166百万円となりました。うち、資本金及び資本剰余金が11,609百万円(構成比19.7%)を占めています。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、9,727百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果、資金は683百万円減少しました。これは、税金等調整前当期純利益2,066百万円を計上した一方で、棚卸資産の取得により、資金が3,079百万円減少したことが主な要因です。
当連結会計年度の営業活動においては、全ての利益項目において通期計画を上回る業績を計上しつつ、商品企画を軸とした仕入活動の遂行と物件の大型化が営業効率を向上させたことで、優良な棚卸資産の仕入れを行うことができました。
投資活動の結果、資金は146百万円減少しました。これは、収入面では、投資有価証券の売却による収入250百万円、及びサブリース事業の地位承継に伴う預り敷金による収入260百万円があった一方で、支出面ではサブリース事業の地位承継に伴うのれんの取得352百万円及び敷金保証金の差入による支出201百万円があったことが主な要因です。
当連結会計年度の投資活動においては、コーポレート・ベンチャー・キャピタル事業(CVC事業)及びファイナンス・アレンジメント事業を継続して推進しました。また、将来の安定収入の獲得を企図し、サブリース事業の地位承継を開始しました。
財務活動の結果、資金は3,007百万円増加しました。これは、収入面では、新たな借入金、クラウドファンディングによる収入、社債の発行による収入が合計30,640百万円あった一方で、支出面では借入金の返済、クラウドファンディングの返済、社債の償還による支出が合計27,283百万円あったことに加えて、配当金の支払い390百万円を行ったことが主な要因です。
当連結会計年度の財務活動においては、好調な仕入活動に連動し不動産担保融資を軸として負債性資金調達を行った他、クラウドファンディングや銀行保証付きSDGs私募債を活用し、多様な資金調達手法を有効に活用してまいりました。
当社グループは、収益不動産販売事業、ストック型フィービジネスが主要な事業であり生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
当社グループは、収益不動産販売事業、ストック型フィービジネスが主要な事業であり受注活動を行っていないため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されております。その作成に当たり、会計方針は原則として前連結会計年度と同一の基準を継続して適用するほか、引当金等につきましても過去の実績等を勘案し合理的に見積りを行っておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)の主たる研究開発活動の方針、概要は以下のとおりです。
「しなやかに変化しながら、独創の価値を生み出し提供することによって、人と社会の活力ある発展に貢献」するという企業理念に基づき、「ノンアセット事業シェア30%」を中長期的な目標とし、プロジェクト当たり利益額と事業スピードを長所とする当社グループ主力である収益不動産販売事業における「不動産市況の影響を受けやすい」「資金投下額が大きい」という課題への対策を基本方針として、研究開発を推進しております。
当社グループは、2020年12月に、完全子会社である株式会社エンジェル・トーチを通じてコーポレート・ベンチャー・キャピタル事業(CVC事業)に進出し、DX(デジタルトランスフォーメーション)加速を背景に、投資ソリューションを大きく拡張する可能性を持つような知見、独自の技術・サービスを持つ国内外のスタートアップ企業に対して投資を行うことで、投資ポートフォリオの拡大とともに、CVC事業活動体制の最適化と拡大を図り、当社グループの独創の価値を生み出し提供することを目指してまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額につきましては、当社グループの研究開発活動が業務の一環として行われているものであることから、区分計上しておりません。