文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する。」という経営理念のもと、不正アクセスやサイバー攻撃に対する対策としてのサイバーセキュリティを当たり前にするべく、「攻撃遮断くん」、「WafCharm」、「AWS WAF Managed Rules」等の提供により、高度情報社会におけるサイバー空間を支えることを通じ、企業価値の最大化を図ります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、売上高及び営業利益を重視しております。新規の課金額の増大及び低い解約率の水準の維持低減のための事業活動により、結果として売上高及び利益の成長を実現し、継続的な企業価値の向上を目指します。
なお、2025年に向けた財務目標として、売上高50億円、営業利益10億円を掲げております。
(3)経営環境及び中長期的な経営戦略
近年、インターネット技術やAI技術の進化によりWebシステムへのサイバー攻撃の手口が加速度的に高度化しております。不正アクセスによる情報漏洩や、企業のサービスの妨害や破壊を目的としたDDoS攻撃など、通信を媒介し、様々なアプリケーションの脆弱性が悪用されることにより深刻な被害につながっております。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴ってサイバー攻撃は増加傾向にあり、加えて、AIを悪用したより複雑な攻撃や、未知のサイバー攻撃が今後増加していくことも予想されております。
これらの脅威に対して、世界中の人々が使うサイバー空間を守り、安心安全に使えるサイバー空間を実現するために、当社グループは以下の事項を中長期的な経営戦略として、事業を推進してまいります。
①当社グループのサービスは、サイバーセキュリティに特化しているからこそ、サイバーセキュリティ技術による言語や文化の壁を越えたグローバル展開が可能となっております。日本発のグローバルサイバーセキュリティカンパニーとして、当社グループの技術力を活かした独自のプロダクトを提供し、世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間の創造の実現を目指してまいります。
②コア技術だけでは多くの利用者を満足させる製品づくりはできません。当社グループでは技術、サポート、販売が密な連携を行うことで、ユーザーの声を開発に反映した満足度の高い製品づくりを行ってまいります。
当社グループのサービスはクラウド型で提供することにより、当社グループに多くのアクセス及び攻撃データが集まります。そのデータをAI技術を用いて分析することで、新たな顧客課題の発見へとつながり、新たな製品を生み出してまいります。
③当社グループは、サイバーセキュリティ分野において、攻撃手法の研究技術、サイバーセキュリティ製品に搭載することを目的としたコア技術の開発力、大量のデータを知見に変えるAI技術を保有しております。
サイバーセキュリティは多層防御といわれ、それぞれの層において対処すべき事項が多岐に渡ります。現在の製品を軸足におきながらも、他分野におけるセキュリティ対策の製品化など、社会トレンドを踏まえたリサーチを基としたR&Dを実行する体制を構築することでトレンドに適した製品をサブスクリプションモデルで開発・提供してまいります。
サイバー攻撃の手法は日々進化しており、それに対応するための方法もまた日々進化させることが重要です。脅威インテリジェンス(注)を活用し、最新の攻撃手法の研究を行いプロダクトへの反映を瞬時に行っていきます。
また、ビッグデータを保持するサービスを多く提供していくことで、ビッグデータとAIの技術を組み合わせた新たな知見を生み出し、サイバー攻撃の防御への活用のみならず、ユーザーの利便性向上のための研究開発を行ってまいります。
(注)脅威インテリジェンス:Threat Intelligence(スレットインテリジェンス)を日本語に翻訳したもの。
新たな脅威の防止や検知に利用できる情報の総称。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(研究開発)
サイバー攻撃の手法が高度化している中、AIやBot(注)などを活用した複雑な攻撃や未知の攻撃に対しては検知が困難であり、また、正常なアクセスを誤って遮断してしまうなどの可能性があります。そのため、防御側にもAIのような柔軟性を持った技術の活用が求められております。当社グループでは、攻撃者の動機・目的・手口・行動などの分析を行う脅威インテリジェンスの活用や、当社グループが保有する膨大なデータをAIに学習させることで、様々なアクセスの中から未知のサイバー攻撃の可能性が高いアクセスを発見・検知することなど、最新のセキュリティ対策のための研究開発に取り組んでまいります。
(注)Bot:コンピューター・ウイルスや不正アクセスなどによって第三者のコンピューターに置かれたプログラムで、外部からのコントロールによって様々な破壊行為を行う機能を持ったもの
(サービス開発への積極的な投資)
今日のサイバー攻撃は多種多様化し、新たな脅威に対する対策が求められております。当社グループ事業の根幹となるサービス開発に対する投資は、より強固なサイバーセキュリティを実現し、結果として安心安全に使える信頼性のあるサービス開発へつながるのみならず、サービスの高付加価値化から更なる当社グループ業域の拡大を目指すものであります。
(人材の確保と育成)
当社グループが中長期にわたって成長するにあたり、優秀な技術者を中心とした人材の確保と育成は重要であります。
成長性のあるセキュリティ市場の中でも、導入実績国内No.1のサイバーセキュリティメーカーとしての優位性があるため、現時点では優秀なエンジニア、営業、サポート要員が集まる環境が実現できておりますが、引き続き従業員が能力を最大限発揮できる体制を構築し、優秀な人材の採用と併せて、技術者の育成を進めてまいります。
(サービスの認知度向上、新規ユーザーの獲得)
当社グループが今後も高い成長率を持続していくためには、当社グループのサービス認知度を向上させ、新規ユーザーを獲得することが必要不可欠であると考えております。従来より、積極的な広報活動に加え、インターネットを活用したマーケティング・広告活動、大手企業との提携等により認知度向上に向けた取り組みを行ってまいりましたが、今後、これらの活動をより一層強化・推進してまいります。
(セキュリティ対策の認知向上)
多くの企業では、Webセキュリティ対策としての「WAF」が未だ導入されておりません。当社グループの経営理念である「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する。」を実現するためには、Webアプリケーションを取り巻く脅威の内容及びそれに対する対策の必要性を正しく理解していただくことが重要であると考えております。そのため当社グループは、通常の営業活動に加え、Webセキュリティに関するセミナーをはじめとしたサイバーセキュリティ対策の重要性の啓蒙活動、当社グループが所持するデータに基づく統計情報などを各種媒体を通じて情報発信することにより、正しいサイバーセキュリティ対策の認知向上と適切な対策を促す活動に取り組んでおります。
(海外展開)
世界の情報セキュリティ市場における日本発の製品シェアは少なく、海外製品が多くを占めておりますが、サイバーセキュリティ技術は世界共通であることから、日本国内へ海外企業のセキュリティ製品が浸透していることと同様に、当社グループによる海外市場へのサービス提供のハードルは高くないと考え、AWS WAF Managed Rulesの販売を足掛かりとして、既存サービスの海外市場への展開に取り組んでまいります。
(内部管理体制の強化)
当社グループは成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。従来より当社グループは監査役会の設置、社外取締役の選任、内部監査の強化などを通じて、コンプライアンス強化に努めております。内部統制の実効性を高め、当社グループのコーポレート・ガバナンス体制をより一層整備してまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
(事業環境の変化について)
当社グループが属するサイバーセキュリティの市場は、日々発生する新たな脅威や技術革新等による環境変化に伴い、ニーズが変化しやすい特徴があります。サイバーセキュリティに対する脅威の複雑化・多様化を背景に市場は今後拡大していくものと見込んでおりますが、市場の黎明期であるため不確定要素も多く、市場の成長スピードが当社グループの想定と異なる可能性があります。
このような中、当社グループは研究開発担当者による新技術の開発や、各種メディアへの情報発信などの取り組みにより、当社グループ製品及びサービスの競争力の維持向上に努めております。しかし、新たなサイバーセキュリティに関する技術や、サイバー攻撃の脅威に対する当社グループ製品及びサービスの開発が追い付かなかった場合を含め、当社グループを取り巻く事業環境の変化に有効な対抗策を講じる事ができなかった場合、当社のグループ事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(競争について)
当社グループが属するサイバーセキュリティの市場は、成長市場として注目され、市場が拡大傾向にあります。当社グループでは、これまで培ってきたサイバーセキュリティに関するノウハウと当社グループの保有するデータや技術を活かし、引き続き顧客のニーズを汲んだサービスの提供をできるよう進めていく方針であります。しかし、競合企業の新規参入や、競合企業が優れたサイバーセキュリティ機能を無償または安価でサービス提供した場合、当社グループの競争力が低下する可能性があります。また、このような競合企業の同機能が当社グループの各サービスの機能より劣っていたとしていても、ユーザーはより低い価格を求めて当該競合企業の製品を選択する可能性があり、そのような場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(海外展開について)
当社グループは、2018年9月に海外子会社(アメリカ)を設立し、海外展開を進めていく方針ですが、海外展開に際しては現地の法令・規制の変更、社会情勢、為替相場の変動、当社グループのサービスが市場に受け入れられない可能性等の様々な潜在的リスクが存在しております。それらのリスクに対処できなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容及び当社グループのサービスに関するリスク
(セキュリティサービスの提供について)
当社グループのサービスは、サイバーセキュリティというサービスの性質上、サイバー攻撃の技術向上その他の原因により、第三者からのあらゆる不正なアクセスを当社グループのサービスにより遮断できるものではなく、当該サイバーセキュリティの目的が100%実現することを保証するものではありません。当社グループのサービスの利用約款や契約には免責事項及び当社グループの責任の及ぶ範囲についての条項を明記しておりますが、顧客の情報資産に対するサイバー攻撃や情報資産漏洩等のセキュリティインシデントが生じた場合、当社グループの責に帰すべき事由の有無に関わらず、当社グループのサービスに対する信頼性の喪失や、何らかの事情による損害賠償責任の追及を受ける可能性を否定できず、この場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループのサービスの一部には、当社グループ以外の第三者がその著作権等を有する複数のオープンソースソフトウェア(以下「OSS」という。)を組み込んでおります。当社グループでは、サービスにOSSを組み込む場合、各OSSライセンスに則って組み込むほか、開発元によるアップデート情報の収集、代替となるソフトウェアの利用や自社開発の検討等の対応を行っております。しかし、各OSSライセンスの内容が大幅に変更されたり、利用するOSSが第三者の権利を侵害するものであることが発見された場合、プログラムの瑕疵(バグ)があった場合には、当該プログラムの修正や、かかる第三者への対応による費用負担の発生、当社グループサービスの提供が困難となることにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(当社グループが提供するサービスの瑕疵について)
サービスを提供する際には、開発過程におけるプログラムのバグや欠陥の有無の検査、ユーザーの使用環境を想定した動作確認などの品質チェックを行い、サービス提供におけるトラブルを未然に防ぐ体制をとっております。しかしながら、サービスの特性上、これらを完全に保証することは難しいものとなっております。
万が一、プログラムにバグや欠陥が発見された場合の対策として、当社グループではプログラムの修正対応や、サービスの利用約款への免責条項の設定などにより損失を限定する体制をとっておりますが、これらの対策はリスクを完全に回避するものではなく、バグや欠陥の種類、発生の状況によっては補償費用が膨らみ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(システム障害について)
当社グループの事業はインターネット通信網に依存しており、ホスティングサービス業者のサーバを利用しております。当社グループでは、システム障害の発生防止のために、システムの冗長化、脆弱性検査、不正アクセス防御等の対策を講じておりますが、これらの対策を講じているにも関わらず、ホスティングサービス業者に障害が生じ、代替手段の調達ができずにサービスが長時間にわたり中断する等の事象が発生した場合や、自然災害、事故、不正アクセス等によって通信ネットワークの切断、サーバ等ネットワーク機器に作動不能等の障害が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(サイバーセキュリティ事業に特化していることによる影響について)
当社グループは、サイバーセキュリティ事業に特化したサービス提供をしております。今後、経済環境の悪化その他の要因により、サイバーセキュリティ事業の需要が低迷した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(解約について)
当社グループサービスを継続利用することで生じる月額課金額につきましては、顧客満足度を高めることで解約率を低く維持するための施策を行っておりますが、顧客企業の利用状況や経営環境の変化などの理由により、毎年一定の解約が発生しております。当社グループの予算及び経営計画には、実績を基に一定の解約を見込んでおりますが、競合他社に対する競争力の低下や、トラブル等の何らかの要因により当社グループの想定を超える解約が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(研究開発について)
当社グループでは、最新のサイバー攻撃の脅威に対応するべく、システム開発におけるセキュリティのニーズやシーズ把握のための基礎研究を進めております。しかしながら、研究開発には多くの不確実性が伴い、当初想定した研究開発による成果が得られない場合、又は成果が十分に収益に繋がらない場合も想定されます。当社グループでは研究開発の成果とのバランスを鑑みながら、費用が大きく増加するリスクを低減しておりますが、研究開発が計画どおりに推移しない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)組織体制に関するリスク
(情報管理体制について)
当社は、情報セキュリティマネジメントの国際規格である「ISO/IEC 27001」の認証を取得しており、顧客、役員及び従業員の個人情報をも含めた社内の情報管理には十分な注意を払っております。また、セキュリティ管理策の実施と従業員のモラル教育の徹底、セキュリティシステムの導入、ネットワークやデータベースへのアクセス制御やログ管理、サイバー攻撃や当社グループ従業員による情報漏洩等の情報セキュリティインシデントの未然防止などの管理策を実施しております。
このような対策にも関わらず当社グループにおいて、サイバー攻撃による被害発生、情報漏洩への関与または当社グループ技術の犯罪行為等への悪用等が行われた場合、漏洩した機密情報を使用されることによる損害や、適切な対応を行うための相当なコストの負担、当社グループの信用が失墜するなどにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(小規模組織であることについて)
当社グループは小規模な組織であり、現在の人員構成において最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。当社グループは、今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の増強、内部管理体制及び業務執行体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(人材の確保について)
当社グループが開発するサービスは、従業員(エンジニア)の技術力に拠るところが大きく、優秀なエンジニアを安定的に確保することが重要と認識しております。当社グループは継続的に従業員の採用及び教育を行っておりますが、従業員の採用及び教育が計画通りに進まないような場合や人材流出が進むような場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)法的規制及び知的財産等に関するリスクについて
(法的規制について)
当社グループは企業活動に関わる各種法令の規制を受けておりますが、当社グループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす特有の法的規制は、本書提出日時点において存在しないと考えております。しかしながら、今後、既存法令等の改正や新たに当社グループ事業を規制する法的規制が適用されることになり、当社グループの事業展開が制約を受けたり、対応措置をとる必要が生じたりする場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(知的財産権について)
当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性につきましては、専門家と連携しながら調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。この場合、使用料の請求や損害賠償請求等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループに対する知的財産権の使用料の請求や損害賠償請求等が発生することや、当社グループが保有している知的財産権が第三者により侵害された場合には、法的措置を含めた対応を要するなど、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他
(配当政策について)
当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、当社は成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。今後の配当については、内部留保の確保とのバランスを考慮したうえで実施していくことを基本方針としていますが、当面は内部留保を優先させる方針であり、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
(新型コロナウイルス感染症について)
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、短期ではお客様のセキュリティ投資マインドの低下や商談の長期化といった影響が顕在化しました。在宅勤務が広がったことによるインターネットを活用したビジネスが拡大している一方、サイバー攻撃による情報漏洩は日々増え続けていることもあり、中長期ではセキュリティ投資を拡大する企業が増えることが見込まれます。しかし、新型コロナウイルスの影響が長期にわたり継続した場合には、当社グループの業績並びに中期的な成長ペースに影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、従業員の新型コロナウイルスの感染リスクへの対策として、新型コロナウイルス感染拡大以降、出社とテレワークを組み合わせたハイブリッド勤務など、感染の状況に応じた勤務を行っており、従業員の健康を守りつつ、生産性の向上につなげるための施策を実施しております。中長期的にはこれまでの常識に囚われない、新たな働き方を模索し、最適解を見つけ出してまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当社グループはサイバーセキュリティ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
①財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,253,269千円となり、前連結会計年度末に比べ154,854千円の増加となりました。これは主に現金及び預金が153,129千円、売掛金が29,191千円増加したものによるものであります。
固定資産は456,754千円となり、前連結会計年度末に比べ55,984千円の増加となりました。これは主にのれんが25,325千円減少した一方、その他が106,161千円増加したものによるものであります。
この結果、総資産は1,710,024千円となり、前連結会計年度末に比べ210,839千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は543,397千円となり、前連結会計年度末に比べ102,074千円の減少となりました。これは主に未払金が57,081千円増加した一方、短期借入金が240,000千円減少したことによるものであります。固定負債は221,730千円となり、前連結会計年度末に比べ32,556千円の増加となりました。これは主に長期借入金が35,339千円増加したものによるものであります。この結果、負債合計は765,127千円となり、前連結会計年度末に比べ69,518千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は944,896千円となり、前連結会計年度末に比べ280,357千円の増加となりました。これは主に、当期純利益169,741千円によるものであります。
②経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が長期化するなか、ワクチン接種が進み、経済活動に改善の動きがみられました。しかしながら、変異株発生等による感染再拡大の動きなどもあり、依然として不透明な状況が続いております。
サイバーセキュリティを取り巻く環境においては、あらゆる経済活動のオンライン化、テレワークの拡大にともなって社会・経済のITへの依存度が高まりました。2021年9月に閣議決定した「サイバーセキュリティ戦略」においては、DX化とサイバーセキュリティ確保に向けた取組を同時に推進することが掲げられたものの、企業におけるサイバー攻撃被害は後を絶ちません。2021年12月には、世界中の企業で広く利用されている「Apache Log4j」の脆弱性を狙う攻撃が観測され、その影響範囲の大きさや悪用のしやすさから、脆弱性の深刻度は最高レベルに位置づけられ、大きな話題となりました。利便性の向上とともにサイバーセキュリティリスクが増大しており、企業はより一層のサイバーセキュリティ対策が求められております。
このような状況において、当社グループは「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する」という経営理念を掲げ、サイバーセキュリティに関する社会課題を解決し、社会へ付加価値を提供すべく事業に取り組んでおります。
当連結会計年度において、採用活動の強化による人員増加、社内体制を変更し効率的な営業体制への移行、また多くのセミナーを開催するなどのマーケティング活動に注力いたしました。様々な施策の結果、当社グループが提供する主要プロダクトの「攻撃遮断くん」と「WafCharm」において、ユーザー数が順調に増加いたしました。更に、2020年12月に子会社化した脆弱性管理サービス「SIDfm」と「脆弱性診断」を提供する株式会社ソフテックの業績が当第1四半期連結累計期間から寄与したことにより、売上高は大幅に増加いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の当社の経営成績は、売上高1,817,470千円(前年同期比52.2%増)、営業利益297,268千円(同57.8%増)、経常利益297,700千円(同72.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益169,741千円(同26.4%増)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は1,052,180千円(前連結会計年度末比153,129千円の増加)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は382,044千円(前年同期は133,920千円の獲得)となりました。その主な内訳は、税金等調整前当期純利益267,781千円の計上、減損損失23,900千円、のれん償却額25,325千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用した資金は59,020千円(前年同期は242,522千円の使用)となりました。その主な内訳は、敷金の差入による支出51,882千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用した資金は169,894千円(前年同期は650,737千円の獲得)となりました。その主な内訳は、短期借入金の純減少額240,000千円、長期借入れによる収入100,000千円であります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をサービス別に示すと次のとおりであります。
|
サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|
|
|
販売高 |
前年同期比(%) |
|
攻撃遮断くん(千円) |
1,083,861 |
117.83 |
|
WafCharm(千円) |
394,516 |
182.59 |
|
その他(千円) |
339,092 |
584.08 |
|
合計(千円) |
1,817,470 |
152.22 |
(注)1.当社グループはサイバーセキュリティ事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。上記ではサービス別の販売実績を記載しております。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
②経営成績の分析
a.売上高
当連結会計年度の売上高は、1,817,470千円となり、前連結会計年度に比べ623,464千円増加いたしました。これは主に、マーケティング活動による当社サービスの認知度向上や、新規顧客開拓に努めた結果、「攻撃遮断くん」及び「WafCharm」の受注が増加したことに加え、「攻撃遮断くん」の2021年の月次平均解約率が1.21%と低い数字を維持したためであります。また、2021年12月期より、株式会社ソフテックの提供する脆弱性管理ツール「SIDfm」と、脆弱性診断サービスが加わったことにより、大幅な売上が増加しております。
b.売上原価、売上総利益
当連結会計年度における売上原価は、組織拡大のため中途採用を積極的に行ったことによる人件費の増加や、株式会社ソフテックの売上原価計上等により、535,877千円となり、前連結会計年度に比べ158,595千円増加いたしました。
この結果、売上総利益は1,281,592千円となり、前連結会計年度に比べ464,869千円増加いたしました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、組織拡大のため、中途採用を積極的に行ったことによる採用費、人件費の増加及び積極的な広告宣伝活動による広告宣伝費の増加などにより、984,324千円となり、前連結会計年度に比べ356,022千円増加いたしました。
この結果、営業利益は297,268千円となり、前連結会計年度に比べ108,846千円増加いたしました。
d.営業外損益、経常利益
当連結会計年度における営業外収益は、為替差益などにより、4,983千円となりました。
当連結会計年度における営業外費用は、支払利息などの計上により、4,551千円となりました。
この結果、営業外損益は431千円の利益となり、経常利益は297,700千円となりました。
e.特別損益、当期純利益
当連結会計年度における特別利益はなく、特別損失として本社移転に伴う減損損失及び本社移転費用29,918千円を計上し、税金等調整前当期純利益は267,781千円となり、前連結会計年度に比べ95,211千円増加いたしました。また、法人税、住民税及び事業税92,800千円、法人税等調整額を5,239千円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は169,741千円となり、前連結会計年度に比べ35,405千円増加いたしました。
③財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」をご参照下さい。
④キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、通信費、人件費、広告宣伝費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は本社移転に伴う敷金の差入等によるものであります。
当社グループは、事業活動に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金及び投資資金は、自己資金及び金融機関からの借入により調達しております。
なお、当連結会計年度末における借入金残高は266,283千円となっております。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,052,180千円であり、流動性を確保しております。
⑦経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長を遂げるためには、様々な課題に対処する事が必要であると認識しております。
それらの課題に対応するために、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施しさらなる事業拡大を図ってまいります。
(連結子会社の吸収合併)
当社は、2021年11月12日開催の取締役会において、当社の完全子会社である株式会社ソフテックを吸収合併することを決議し、同日付で合併契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
サイバーセキュリティ製品の開発は、今までの専門家の知識をもとにした製品開発だけでなく、新規技術を活用した製品開発を進めることが重要になっております。そのため当社グループでは、日々収集される大量のデータを活用するAIの活用や、システム開発におけるセキュリティのニーズやシーズ把握のための基礎研究を進めております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、
① ビッグデータ・機械学習・AIを活用した精度向上の研究
AI を用いたサイバー攻撃の検知精度向上および攻撃分類、通信識別等に関する研究開発を行いました。
② システムに関連する様々な要素技術の研究
コンテナ技術・サービスメッシュ、分散技術やオーケストレーション環境下におけるセキュリティ対策に関する研究開発を行いました。また、自社サービスの運用自動化、高度化に向けた研究開発を行いました。
③ 新たな脆弱性のリサーチ及びサイバー攻撃の基礎研究
新たな脆弱性情報をいち早く収集し、新たな攻撃手法と防御手法に関する研究開発を行いました。
④ データ活用・連携に関する調査研究
当社保有のWAFログと、改ざん検知やサーバログ等の他データとの連携による分析の高度化および他業種データとの活用に関する研究開発をおこないました。