文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「for Startups」という経営ビジョンを掲げ、スタートアップ企業を主として人的資源の側面から支援することで新産業を創出し、社会に貢献してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的な事業拡大と企業価値向上のため、経営の効率化を図るとともに、売上高及び営業利益を重要指標としてとらえ、各種経営課題への対応を図っております。
(3)経営環境及び中長期的な経営戦略
・経営環境
近年、海外ではスタートアップ企業が大きな注目を集め、世界的にイノベーションの創出基盤としてのスタートアップ企業に期待が集まっております。我が国においても、「未来投資戦略」においてスタートアップ企業の重要性が提唱され、経済産業省主導による「J-Startup」プログラムの開始や、福岡市が国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」に指定される等、国や自治体を挙げたスタートアップ支援策が実施されております。また、徐々にではあるものの、人材がスタートアップ企業に流入するようになり、大手企業によるスタートアップ企業との連携(オープンイノベーション)事例も増加傾向にあります。
以上を背景に、我が国のベンチャーキャピタル等による投資額は2018年度で2,778億円(注1)と増加傾向にあります。スタートアップ企業において、調達資金の多くは人材採用に充当されるケースが多く、当事業年度も当社主力サービスのタレントエージェンシーにとって好環境が続いておりました。足元では新型コロナウイルス感染症の流行を背景に、CVCを中心としたスタートアップ企業に対する投資意欲が減退する可能性はあるものの、イノベーションの創出基盤としてのスタートアップ企業の存在意義は変わりなく、中長期的には投資金額の増加は継続するものと考えております。
・経営戦略
上記経営環境の中、当社は、主力であるタレントエージェンシーサービスをより一層強化するとともに、オープンイノベーションサービスの拡充により、スタートアップ企業の成長を加速させ、スタートアップ企業を支援する「成長産業支援」のリーディングカンパニーとなることを目指してまいります。具体的な経営戦略については以下のとおりです。
①スタートアップエコシステムの形成による自律的成長サイクルの構築
スタートアップエコシステムの形成においては、①起業家人材の創出、②リスクマネーの供給、③優秀人材の確保、④大手企業や研究機関の協力、⑤会計・法務・知財等の専門知識のサポート、⑥起業文化の醸成、⑦EXIT環境の整備等が必要と当社は考えております。当社は、このうち、特に「優秀人材の確保」が重要と考えております。
当社は「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおり、独自のアルゴリズムを用いて各スタートアップ企業を数値化し、当社が成長性の高いと考えるスタートアップ企業(有力スタートアップ企業)を選定し、優先的に支援サービスを提供する仕組みを構築しております。これは、有力スタートアップ企業に人的資源を最適配置することが、結果的に次のユニコーン企業を生み出し、新産業の創出につながると当社が考えていることに因ります。
当社は、成長性の高い有力スタートアップ企業に対し、経営幹部を中心とした人材をアサインすることで、更なる企業成長を促進し、その結果、更なる需要(人材・サービス)を生み出す、自律的な成長サイクルの構築を目指してまいります。
②成長産業の人材支援企業としてのポジショニング確立
売上高の大部分を占めるタレントエージェンシーサービスは、スタートアップ企業向けに人材支援サービスを提供しております。
我が国のスタートアップ企業への投資は増加傾向にありますが、GDP比で0.04%(注2)と諸外国と比較して未だ小さく、人材がスタートアップ企業へ流入する潮流も未だ発展途上であることから、当社が属するマーケットは成長余地が大きいと認識しております。スタートアップ企業の調達資金の多くが人材採用に充てられることから、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載した特徴の強化と、サービスクオリティのより一層の向上を図り、成長産業の人材支援企業としてのポジショニングの確立に努め、タレントエージェンシー・オープンイノベーションの両サービスの今後の収益機会の拡大を目指してまいります。
③持続的な競争優位の確保
当社は、事業運営を通じて、スタートアップ企業に関する定量・定性情報を蓄積しているほか、多数の経営幹部の支援によるノウハウを蓄積しております。当該情報やノウハウは、独自アルゴリズムを用いた「数値化されたスタートアップ企業情報」として可視化され、タレントエージェンシー・オープンイノベーション両サービスの競争優位の源泉となっております。スタートアップ業界は日々目まぐるしく変化していることから、一般的に情報が陳腐化しやすく、参入障壁が低い人材紹介やコンサルティングビジネスにおいて障壁として有効に機能するものと考えております。今後も、独自アルゴリズムの強化やベンチャーキャピタル・起業家とのより緊密な連携により、当該競争優位性の維持・確保に努めてまいります。
④オペレーションの改革による生産性向上(タレントエージェンシーサービス)
タレントエージェンシーサービスにおいて当社は、同一のヒューマンキャピタリストがクライアント企業及び候補者を担当する両面型の運営方式を採用しております。両面型には、採用スピード向上といったメリットがある一方、業務管理プロセスにおいて、一定の工数が生じる等のデメリットも存在します。当社は、自社でエンジニアを抱え、当該プロセスの継続的な改善活動を実行することで、中長期的な生産性向上を図ってまいります。
⑤バリューを体現した人材採用及び育成
当社の運営するタレントエージェンシー及びオープンイノベーション両サービスの最も重要な資産は「人」であり、企業成長には人材成長が欠かせないと認識しております。当社は、経営ビジョンである「for Startups」を実現するために、従業員の目指すべきバリュー(価値観)として、以下の3つを重視しております。
・「Startups First」
全ては日本の成長のために。スタートアップスのために。
※スタートアップス=『進化の中心』にいることを選択する挑戦者達
・「Be a Talent」
スタートアップスの最たる友人であり、パートナーであり、自らも最たる挑戦者たれ。そして、自らの生き様を社会に発信せよ。
・「The Team」
成長産業支援という業は、Teamでしか成し得られない。仲間のプロデュースが、日本を、スタートアップスを熱くする。
当社は、当該バリューを体現した「強い個人」を一人でも多く輩出することが、組織成長に寄与すると考えていることから、従業員に対し、社内外において様々な成長機会の提供を行っております。今後も、社内外での様々な教育研修機会の提供を通じて、人材の採用・育成を強化してまいります。
⑥コアコンピタンスを活用した事業領域の拡大
当社は、創業以来一貫してスタートアップ企業のサポートに特化した事業運営をしており、当該事業アセットを活用し、事業領域の拡大を図ってまいります。
・タレントデータベースを活かしたビジネスの多角的展開
当社は、成約情報を含めた様々な人材に関する情報を蓄積しております。当社が保有するタレントデータベース(人材データベース)を活かし、様々なニーズに対応した支援サービスを展開してまいります。
・データベースを活かした収益機会の拡大
我が国のスタートアップマーケットに関する情報は網羅的に一元化されていないことが課題と当社は考えております。当社が運営する「STARTUP DB(スタートアップデータベース)」はスタートアップ企業に関するデータベースとして12,000社(2020年4月末現在)以上を収録しているほか、独自のアルゴリズムを背景に「数値化されたスタートアップ企業情報」を有しております。当社が有するタレントデータベースとスタートアップデータベースの双方を活かし、収益機会の拡大を図ってまいります。
・当社ブランドの確立による収益機会の拡大
当社は、成長産業支援を事業目標としており、当社とスタートアップ企業、ベンチャーキャピタル、大企業、大学・研究機関、政府・自治体、メディア、専門組織等との連携を強めていくことで、スタートアップエコシステムの中心的存在になることを目指しております。成長産業支援の中核的企業としてのブランドを確立させ、収益機会の拡大を図ってまいります。
(注)1.出典:一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター「ベンチャー白書2019」
2.出典:ベンチャーチャレンジ2020「我が国ベンチャーを巡る課題と今後の対応の方向性」
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の対処すべき課題としては、既存事業の拡大、収益性の向上、内部管理体制の整備が重要であると認識しております。
①サービスの認知度向上
当社は、創業以来、マスメディアを活用した広報活動は行っておらず、スタートアップ向けのイベント等のターゲットを絞った広報活動のみ実施してまいりました。一方で、当社の経営ビジョンである「for Startups」や、スタートアップエコシステムの形成、各サービスの継続的な高成長を実現するためには、タレントエージェンシー・オープンイノベーション両サービスともに、サービスの認知度向上が必要不可欠であると考えております。今後、費用対効果を慎重に検討した上で、より幅広い広告宣伝活動を検討してまいります。
②優秀人材の確保
日々目まぐるしく変化するスタートアップ業界において、顧客満足度を高めるには優秀人材の確保が欠かせないものとなっております。また、当社の成長に応じた組織体系の強化により、タレントエージェンシーサービスにおけるヒューマンキャピタリストのみならずエンジニアや高いスキルを有したトップタレント等の幅広い分野での人材の確保が課題と考えております。継続的に人材採用をするためにEVP(Employee Value Propositionの略。企業が従業員へ提供できる価値)を拡充させつつ、社内外の教育研修を通じた育成により当該課題に対応してまいります。
③タレントエージェンシーサービスにおける生産性の向上
タレントエージェンシーサービスの売上規模の拡大には、ヒューマンキャピタリストの増員のほか、一人当たりの生産性向上も必要であります。社員間のコミュニケーションの活性化や教育研修といった人材育成施策のほか、社内業務管理システムの機能強化や業務プロセスの改革による業務効率の改善を通じて、更なる生産性の向上に対応してまいります。
④スタートアップエコシステム形成へ向けた外部パートナーとの連携(オープンイノベーションサービス)
当社が持続的に成長するためには、スタートアップエコシステムの形成が必要不可欠であります。オープンイノベーションサービスの業容拡大に向け、ベンチャーキャピタルや大手企業、プロフェッショナルファーム等と提携し、新サービスの開発を図ってまいります。
⑤内部管理体制の強化
当社は、ビジネス上、個人情報や企業情報を含め、機密性の高い情報を有しております。定期的な社内教育の実施や管理体制の強化に取り組んでおりますが、内部統制の整備と実効性ある運用を通じて、組織の健全なる発展に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
①市場環境について
当社が運営しているタレントエージェンシー・オープンイノベーションの両サービスは国内のスタートアップ企業向けサービスまたはそれに関連したサービスを提供しており、潜在的に国内におけるスタートアップ企業の企業動向・求人需要等に影響を受けております。特に、当社の主力サービスであるタレントエージェンシーサービスは、スタートアップ企業の求人ニーズに影響を受ける可能性があり、昨今の新型コロナウイルス流行に起因する国内外の経済情勢や景気動向の悪化等により、スタートアップ企業数やスタートアップ企業に対する資金供給が著しく減少した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②新型コロナウィルスの感染拡大における影響について
当社は、疫病が蔓延した場合であっても、時差出勤や在宅勤務等により柔軟に事業を継続できる体制を整えております。しかしながら、先行き不透明な状況からクライアントにおける採用ニーズが低下しており、これに伴う受注高の一時的な減少の影響が出ております。提出日現在では採用ニーズに回復の兆しが見えておりますが、今後、事態がさらに深刻化、長期化した場合には、タレントエージェンシーサービスの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③競合について
当社の主力サービスであるタレントエージェンシーサービスは、「有料職業紹介事業」に該当しております。「有料職業紹介事業」は許可事業ではあるものの、参入障壁が低く各分野にて多数の同業他社が存在し、厚生労働省の調査によれば、有料職業紹介事業の民営職業紹介事業所数は近年増加傾向にあります。当社は、既存の人材紹介サービスの多くを占める総合人材紹介型や業界特化型、広告型とは異なり、スタートアップ企業に特化したサービスを展開しておりますが、今後、同業他社が同様のサービスを展開し、競争が激化した場合等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容に関するリスク
①株式会社ビズリーチとの関係について
当社の主力サービスであるタレントエージェンシーサービスは、自社媒体を有して求職者を確保する登録型ではなく、他社が運営する媒体を利用して求職者を確保するハンティング型を採用しております。本書提出日現在において、株式会社ビズリーチが運営する「ビズリーチ」経由での取引が高い比率を占めております(当事業年度における売上高のうち、「ビズリーチ」経由での売上高は全体の50.9%を占めております)。当社は、今後も同社との良好な関係を保ちつつ取引を行うことに加え、複数媒体の利用推進によるリスク低減を図っておりますが、将来的に同社との取引関係において変化が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②紹介者の自己都合退職について
当社の主力サービスであるタレントエージェンシーサービスでは、求人企業に候補者が入社後、一定期間内に自己都合退職した場合には成功報酬の一部を返金する契約を締結し、サービスを提供しております。当社は、クライアント企業との綿密な連携により、採用のミスマッチを防止する施策をとっておりますが、何らかの理由により、早期自己都合退職者が増加した場合には、収受した報酬の返金が発生し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③法的規制について
当社の主力サービスであるタレントエージェンシーサービスは、職業安定法に基づき、「有料職業紹介事業」として厚生労働大臣から許可を受けております。当該許可は5年毎の更新が必要なほか、職業安定法第32条の9に欠格事由が定められております。本書提出日現在において、当社は欠格事由(法人であって、その役員のうちに禁固以上の刑に処せられている、成年被後見人もしくは被保佐人または破産者で復権を得ないもの等に該当する者がある、届け出違反等)に該当しておりませんが、将来的に職業安定法第32条の9に定められた欠格事項等に該当した場合には、許可の取り消し、業務停止命令または業務改善命令の対象となるおそれがあります。その場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社の許可番号及び許可期間は以下のとおりです。
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許可番号 |
13-ユ-307946 |
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許可期間 |
2019年9月1日~2024年8月31日 |
④個人情報保護について
当社の主力サービスであるタレントエージェンシーサービスでは、多数の個人情報を取り扱っているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。当社は、個人情報の管理徹底を図るべく、「個人情報等管理規程」を制定するとともに、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が発行するプライバシーマークを取得し、プライバシーマークの運用規定に準拠し、社内教育の徹底を図っております。このような取り組みにもかかわらず、外部からの不正アクセスや、当社役職員の故意または過失により個人情報が流出した場合には、当社への損害賠償請求やブランド価値の毀損、社会的信用力の低下により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)組織体制に関するリスク
①特定経営者への依存について
当社の代表取締役社長である志水雄一郎は、当社の前身である株式会社セントメディア(現 株式会社ウィルオブ・ワーク)のネットジンザイバンク事業部において事業部長を務め、分社化以降も継続して代表取締役を務めております。同氏は、個人としても当社のトップヘッドハンターであり、タレントエージェンシーサービスにおける人材紹介売上高のうち、一定の売上高を占めているほか、当社の経営方針やブランディングにおいて重要な役割を果たしております。当社は、同氏に過度に依存しないよう、人員体制や権限委譲等の経営組織の強化等を適切に図っておりますが、今後、何らかの理由により、同氏の業務執行が困難な状況となった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②人材確保及び育成について
当社事業のさらなる拡大及び企業価値の継続的な向上のためには、人材の確保や人材育成が重要と認識しております。特にタレントエージェンシーサービスにおいては人材の確保が必要不可欠であるとともに、期待通りの効果を発揮するまでに、一定の育成期間を要することがあります。当社は、全社を挙げて人材採用・育成に取り組んでおりますが、当社が求める人材が適時適切に確保されなかった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③内部管理体制について
当社は、企業価値を継続的に向上させていくためには、適切な内部管理体制の構築が必要不可欠と判断しておりますが、当社は、設立からまだ間もなく、未だ発展途上にあると認識しております。内部統制システムの適切な整備・運用に努めておりますが、今後、事業の急激な拡大に応じた内部管理体制の整備・運用が行われなかった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)親会社に関するリスク
①親会社が株主総会の決議事項に関する支配権または重大な影響力を有することについて
当事業年度末現在において、当社発行済株式総数のうち66.9%は株式会社ウィルグループが保有しております。従って、当社取締役の選任・解任、合併その他組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社定款の変更及び剰余金の配当等の基本的事項決定権または拒否権に関して、他株主の意向にかかわらず株式会社ウィルグループが影響を与える可能性があります。なお、当社が株式会社ウィルグループに対し事前承認を必要とする事項はなく、当社は独自に経営の意思決定を行っております。
②役員の兼任について
当社の役員(取締役7名、監査役3名)のうち、大原茂氏は株式会社ウィルグループ及びその主要な子会社の代表取締役を、澤田静華氏は株式会社ウィルグループ及びその主要な子会社の監査役を兼任しております。これは、当社の主力サービスであるタレントエージェンシーは、人材ビジネスであり、長年人材ビジネスを営んできた株式会社ウィルグループにおける両氏の経営・監査に係る知見を当社の経営体制強化に活かすことを目的としていることに因ります。
③取引関係について
本書提出日現在において、株式会社ウィルグループ及びその子会社との継続的な取引はなく、今後も実行する予定はありませんが、関連当事者との取引については、当該取引の経済合理性について社内規程に定められた承認を得ることとし、取引の健全性及び適正性を確保する体制を構築しております。
④人材ビジネスにおける関係について
株式会社ウィルグループと当社は「人材ビジネス」という広義のビジネス領域では共通しますが、株式会社ウィルグループは派遣ビジネスを主要事業としており、有料職業紹介事業を行っている他のグループ会社は、製造業やセールスアシスタント等の業界・職種に特化したビジネスモデルで、当社のようにスタートアップ企業を対象にした有料職業紹介事業を営む会社はなく、競合関係はありません。しかし、今後、当社の経営方針及び事業展開を変更した場合、または、株式会社ウィルグループまたはその子会社が経営方針及び事業展開を変更した場合には、将来的に競合する可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社としては、我が国の成長産業支援の中心的な役割を担うためには、知名度や社会的信用度のより一層の向上を図り、スタートアップマーケットにおける人材支援企業の中心的存在としてのポジショニングを確立させる必要があると考えており、そのために上場を選択しております。
(5)その他のリスク
①訴訟について
当社は、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、当社の事業運営上、提供サービスの不備や個人情報・機密情報の漏洩、契約違反等により、訴訟を提起された場合には、当社ブランドの毀損や社会的信用力の低下により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②情報システムについて
当社の事業運営上、情報ネットワークやコンピューターシステムを多岐にわたり利用しており、データベースはクラウド上に保存しております。災害・事故等によるネットワーク障害やサーバーダウン等のシステム障害、第三者による不正アクセスが生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③新株予約権の行使による株式価値希薄化について
当社は、当社役職員に対して業績向上に対するインセンティブ付与を目的として、新株予約権方式によるストックオプションを付与しております。当事業年度末現在、これらの新株予約権による潜在株式数は、525,000株であり、発行済株式総数に潜在株式数を加えた合計の3,662,000株の14.3%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合は、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
④配当政策について
当社は、設立以降、配当実績がありません。株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つとして位置づけておりますが、財務体質の強化に加えて、事業拡大、収益力強化のための必要投資に充当し、企業価値を向上させることが当面の課題と考えております。現時点において、配当の実施及びその実施時期等については未定でありますが、将来的には、経営成績、財政状態及び内部留保とのバランス等を統合的に勘案しながら配当の実施を目指していく方針であります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は1,130,624千円となり、前事業年度末に比べ554,011千円増加しました。これは、主として新株発行や売上高の増加に伴う現金及び預金の増加474,600千円、投資有価証券の増加39,203千円によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は248,032千円となり、前事業年度末に比べ24,529千円増加しました。これは、主として未払金が10,648千円、賞与引当金が26,761千円増加した一方で、未払法人税等が16,409千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は882,591千円となり、前事業年度末に比べ529,482千円増加しました。これは、主として新株の発行等による資本金163,192千円、資本剰余金163,192千円の増加の他、当期純利益203,096千円を計上したことによる利益剰余金の増加によるものです。
②経営成績の状況
(全般的概況)
当事業年度におけるわが国経済は、堅調な雇用・所得環境を背景に個人消費は底堅く推移し、企業業績においても回復の兆しが見えていたものの、通商問題を巡る景気減速懸念や、新型コロナウイルス感染症が内外経済に与える影響への懸念など、先行き不透明な状況が続いております。
わが国では、政府の「未来投資戦略」においてイノベーションの創出基盤としてのスタートアップ企業の重要性が提唱される等、国や自治体を挙げた支援策が実施されつつあるほか、スタートアップ企業への投資額も2018年度で2,778億円(出典:一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター「ベンチャー白書2019」)と高水準を維持しております。
このような環境のもと、当社は主力であるタレントエージェンシーサービスの業容拡大に向け、ヒューマンキャピタリストの採用及び育成強化や、生産性向上のためのシステム開発への投資等の施策を実行してまいりました。
各項目ごとの経営成績の状況は以下のとおりです。
(売上高)
当事業年度の売上高は1,262,890千円(前年同期比20.8%増)となりました。これは、主としてタレントエージェンシーサービスにおけるヒューマンキャピタリストの採用強化や生産性向上施策による取引数の増加に加え、採用支援サービスの売上増加によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は184,260千円(前年同期比3.8%増)となりました。これは、主としてタレントエージェンシーサービスの売上高増加による媒体手数料の増加によるものであります。一方で、採用支援サービスの売上増加に加え、利用媒体の多角化や媒体以外の流入経路の開拓が進み、売上原価率は前年同期の17.0%から14.6%に改善しております。この結果、売上総利益は1,078,629千円(前年同期比24.3%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は769,841千円(前年同期比29.1%増)となりました。これは、主としてタレントエージェンシー部門の採用強化に伴う業容拡大により、人件費が増加したことによるものであります。この結果、営業利益は、308,787千円(前年同期比13.7%増)となり、経常利益は287,797千円(前年同期比5.0%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は、203,096千円(前年同期比5.7%増)となりました。
当社は、成長産業支援事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりませんが、サービス別の経営成績は次のとおりであります。なお、オープンイノベーションサービスは、2019年4月よりサービスを開始したため、前事業年度については記載しておりません。
・タレントエージェンシーサービス
タレントエージェンシーサービスはスタートアップ企業向けに人材支援サービスを提供しております。当事業年度においては、更なる業容拡大のため、ヒューマンキャピタリストの採用及び育成強化を主軸として、競争優位であるベンチャーキャピタル/起業家との連携をより一層図るための営業強化、有力スタートアップ企業へのより一層の支援集中を図りました。また、前事業年度より「人材紹介サービス」に加えて、原則として毎月定額報酬を収受し、採用支援を実施する「採用支援サービス」を開始しました。
「採用支援サービス」は、特に採用ニーズの強いクライアントからの受注が好調に推移した結果、売上高が大きく増加しました。「人材紹介サービス」においては、有力スタートアップ企業への支援強化に伴い、取引数・平均単価ともに増加上昇し売上高が増加しました。以上により、売上高は1,236,818千円(前年同期比18.3%増)、売上総利益は1,058,151千円(前年同期比22.0%増)と増収増益となりました。
タレントエージェンシーサービスの業績推移は下表のとおりです。
(単位:千円)
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期間 |
売上高 |
|
|
前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
|
|
人材紹介サービス |
988,488 |
1,091,332 |
|
採用支援サービス |
55,494 |
145,486 |
|
その他 |
1,100 |
- |
|
合計 |
1,045,083 |
1,236,818 |
(注)1.その他はタレントエージェンシーサービスに付随した人事紹介・採用支援サービス以外の売上高であります。
2.起業支援サービスは少額のため、人材紹介サービスに含めております。
3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
タレントエージェンシーサービス全体のKPI(主要な業績評価指標)として、当社が経営管理上、重視しているものは以下のとおりです。
|
期間 |
前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
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人材紹介取引数(人) |
385 |
432 |
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人材紹介平均単価(千円) |
2,573 |
2,575 |
(注)1.人材紹介取引数は、特定期間における人材紹介数であり、業務委託契約を除いております。
紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した紹介手数料の一定割合を契約に基づき返金しますが、当該返金対象取引も取引数に含めております。
2.人材紹介平均単価は、特定期間における売上計上対象となった経営管理上の人材紹介売上高(業務委託契約を除く)を上記の人材紹介取引数で除した数値です。
紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した紹介手数料の一定割合を契約に基づき返金しますが、上記の経営管理上の人材紹介売上高では当該返金額を控除せず、集計しております。
・オープンイノベーションサービス
2019年4月よりオープンイノベーションサービスを開始しております。当事業年度においては、オープンイノベーションサービスサービスの業容拡大のため、主として大手企業に対する営業強化に取り組みました。その結果、受注は堅調に推移し、売上高は26,071千円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、税引前当期純利益287,440千円の獲得や株式の発行による312,925千円の収入等により、前事業年度末に比べ474,600千円増加し、当事業年度末には816,350千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は209,827千円(前事業年度は258,708千円の収入)となりました。これは主として、税引前当期純利益287,440千円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は48,952千円(前事業年度は43,857千円の使用)となりました。これは主として、本社移転に伴う有形固定資産の取得による支出8,452千円、投資有価証券の取得による支出40,500千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は313,725千円(前事業年度は116千円の収入)となりました。これは主に、株式の発行による収入312,925千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
当社は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。また、受注から役務提供完了までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております。
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社は成長産業支援事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載をしております。
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サービスの名称 |
当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
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タレントエージェンシーサービス(千円) |
1,236,818 |
118.3 |
|
オープンイノベーションサービス(千円) |
26,071 |
- |
|
合計(千円) |
1,262,890 |
120.8 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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株式会社メルカリ |
108,276 |
10.4 |
- |
- |
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株式会社オクト |
- |
- |
129,702 |
10.3 |
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3.株式会社オクトは2020年5月13日、株式会社アンドパッドに社名変更しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営成績等の状況に関する分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。また、経営成績等に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に含めて記載しております。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。当社では売上高及び営業利益を重要な指標としております。
当事業年度における売上高は前事業年度と比べて217,806千円増加し、1,262,890千円(前事業年度比20.8%増)となりました。また、営業利益は前事業年度に比べて32,271千円増加し、308,787千円(前事業年度比13.7%増)となりました。引き続きこれらの指標について増加するよう取り組んでまいります。
④資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要は、事業規模の拡大に伴う人件費や営業管理システムの機能拡充に伴うシステム投資資金等があります。当社は、事業運営上必要な資金の流動性と財源を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金は自己資金及び金融機関からの借入及び必要に応じてエクイティファイナンスによる資金調達を中心に考えております。
求職者向けプラットフォーム運営事業者との契約
当社は、求職者獲得のため、複数のプラットフォーム運営事業者のサービス利用約款に同意して各事業者のサービスを利用しており、そのうち主要な事業者との契約を記載しております。
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相手方の名称 |
国名 |
契約の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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株式会社ビズリーチ |
日本 |
サービス利用約款 |
株式会社ビズリーチが運営するハイクラス人材データベース、各種サービスの利用に関する規約 |
2016年9月1日~ 2016年12月31日 |
該当事項はありません。