文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「for Startups」という経営ビジョンを掲げ、挑戦者に対し必要な支援を行う成長産業支援インフラとなることを目指しております。企業成長を支える原動力は「人材」と「資金」であり、イノベーションを担うスタートアップ企業の成長やスタートアップエコシステムの継続的な発展には、人材と資金の確保がなければ成り立たたないことから、当社は、主に人材と資金の側面から成長企業を支援することで、成長スピードと成長確度を高め、社会に貢献してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的な事業拡大と企業価値向上のため、経営の効率化を図るとともに、売上高及び営業利益を重要指標としてとらえ、各種経営課題への対応を図っております。
(3)経営環境及び中長期的な経営戦略
・経営環境
近年、AI、IoT、ロボット、ビックデータ、ブロックチェーン等、第4次産業革命と呼ばれるデジタル技術の発展を背景に、新産業が創出され、「GAFAM(Google Apple Facebook Amazon Microsoftの総称)」と呼ばれるような巨大新興企業が世界で台頭しつつあります。また、米国・中国を中心に世界では新たな産業やユニコーン企業(注1)が続々と誕生しており、国際競争力の確保において新興企業は大変重要な存在となっております。
国際競争力において日本は、1990年代初頭には世界1位であったところ、直近の2020年では世界34位まで低下しております(注2)。国際競争力の低下には、様々な要因がありますが、一つの要因としてスタートアップエコシステム(注3)の構築が発展途上であることが挙げられます。グローバリゼーションを勝ち抜く国際的な競争力を有した企業を生み出すには、如何にイノベーションを創出できるかが重要であり、イノベーションの創出にはスタートアップエコシステムの構築・発展が必要不可欠と当社は考えております。
我が国においても、政府の成長戦略においてスタートアップ企業(注4)支援の重要性が叫ばれていることに加え、近年のオープンイノベーション機運の高まりもあり、スタートアップ企業の認知度や存在意義は高まりつつあります。
このような状況の中、政府の「成長戦略会議」においてイノベーションの創出基盤として、スタートアップ企業の資金調達支援策が検討されるなど、その重要性が提唱され、国や自治体を挙げた支援策が拡充されつつあります。スタートアップ企業の資金調達市場においても2019年7,010億円、2020年6,800億円(前事業年度比3.0%減)(注5)と新型コロナウイルスの影響で一時的な落ち込みはあったものの、引き続き力強さを見せております。
調達した資金を人材採用に充てるスタートアップ企業も多く、上記資金調達額の増加トレンドは、タレントエージェンシーにとって好環境であります。加えて、新型コロナウイルス感染症の流行により発出された緊急事態宣言などに対応するため、テレワークの導入や、DX(デジタルトランスフォーメーション)等へ、世の中の関心が急速に集まった昨今、当社が主戦場とするスタートアップ市場においては、関連技術を活用したサービスを提供するスタートアップ企業の人材ニーズが急速に増大しつつあります。
・経営戦略
上記経営環境の中、当社は、既存のタレントエージェンシーをより一層強化していくほか、オープンイノベーションの拡大により大手企業や、官公庁・自治体などと協力体制を築いてまいります。加えて、タレントエージェンシーのクライアント等に対して資金支援を開始することで、スタートアップ企業の更なる成長を加速させ、「成長産業支援」のインフラとなることを目指してまいります。
具体的な経営戦略については以下の通りです。
①成長産業における人材及び資金支援企業としてのポジショニング確立
我が国のスタートアップ企業への投資は増加傾向にありますが、GDP比で0.04%(注6)と諸外国と比較して未だ小さく、人材がスタートアップ企業へ流入する潮流も未だ発展途上であることから、当社が属するマーケットは成長余地が大きいと認識しております。このような中、日本を代表するグローバル企業を生み出すためには、人材と資金を質・量ともに提供する企業の存在が不可欠であると考えております。
既存のタレントエージェンシーサービスのより一層の規模拡大により、人材支援企業としてのポジショニング確立を図るとともに、今後進出する資金支援においても、ポジショニングの確立に努め、今後の収益機会の拡大を目指してまいります。
②持続的な競争優位の確保
当社は、事業運営を通じて、スタートアップ企業に関する定量・定性情報を蓄積しております。当該情報は、独自アルゴリズムを用いた「数値化されたスタートアップ企業情報」として可視化され、当社の競争優位の源泉となっております。スタートアップ業界は日々目まぐるしく変化していることから、一般的に情報が陳腐化しやすく、参入障壁が低い人材紹介やコンサルティングビジネスにおいて障壁として有効に機能するものと考えております。今後も、ベンチャーキャピタル・起業家等イノベーションに関わるプレイヤーとのより緊密な連携により、当該競争優位性の維持・確保に努めてまいります。
③スタートアップエコシステムの形成による自律的成長サイクルの構築
スタートアップエコシステムの形成においては、①起業家人材の創出、②資金の供給、③優秀人材の確保、④大手企業や研究機関の協力、⑤会計・法務・知財等の専門知識のサポート、⑥起業文化の醸成、⑦EXIT環境の整備等が必要と当社は考えております。当社は「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおり、独自のアルゴリズムを用いて各スタートアップ企業を数値化し、当社が成長性の高いと考えるスタートアップ企業(有力スタートアップ企業)を選定し、優先的に支援サービスを提供する仕組みを構築しております。これは、有力スタートアップ企業を優先的に支援することが、結果的に次のユニコーン企業を生み出し、新産業の創出につながると当社が考えていることに因ります。また、人材と資金の両側面から支援をすることで、更なる 企業成長を促進し、その結果、新たな需要(人材・サービス)を生み出す、自律的な成長サイクルの構築を目指してまいります。
④バリューを体現した人材採用及び育成
当社の最も重要な資産は「人」であり、企業成長には人材成長が欠かせないと認識しております。当社は、経営ビジョンである「for Startups」を実現するために、従業員の目指すべきバリュー(価値観)として、以下の3つを重視しております。
・「Startups First」
全ては日本の成長のために。スタートアップスのために。
※スタートアップス=『進化の中心』にいることを選択する挑戦者達
・「Be a Talent」
スタートアップスの最たる友人であり、パートナーであり、自らも最たる挑戦者たれ。そして、自らの生き様を社会に発信せよ。
・「The Team」
成長産業支援という業は、Teamでしか成し得られない。仲間のプロデュースが、日本を、スタートアップスを熱くする。
当社は、当該バリューを体現した「強い個人」を一人でも多く輩出することが、組織成長に寄与すると考えていることから、従業員に対し、社内外において様々な成長機会の提供を行っております。今後も、社内外での様々な教育研修機会の提供を通じて、人材の採用・育成を強化してまいります。
⑤コアコンピタンスを活用した事業領域の拡大
当社は、創業以来一貫してスタートアップ企業のサポートに特化した事業運営をしており、当該事業アセットを活用し、事業領域の拡大を図ってまいります。
・タレントデータベースを活かしたビジネスの多角的展開
当社は、成約情報を含めた様々な人材に関する情報を蓄積しております。当社が保有するタレントデータベース(人材データベース)を活かし、様々なニーズに対応した支援サービスを展開してまいります。
・データベースを活かした収益機会の拡大
我が国のスタートアップマーケットに関する情報は網羅的に一元化されていないことが課題と当社は考えております。当社が運営する「STARTUP DB(スタートアップデータベース)」はスタートアップ企業に関するデータベースとして13,000社(2021年4月末現在)以上を収録しているほか、独自のアルゴリズムを背景に「数値化されたスタートアップ企業情報」を有しております。当社が有するタレントデータベースとスタートアップデータベースの双方を活かし、収益機会の拡大を図ってまいります。
・当社ブランドの確立による収益機会の拡大
当社は、成長産業支援を事業目標としており、当社とスタートアップ企業、ベンチャーキャピタル、大企業、大学・研究機関、政府・自治体、メディア、専門組織等との連携を強めていくことで、スタートアップエコシステムの中心的存在になることを目指しております。成長産業支援の中核的企業としてのブランドを確立させ、収益機会の拡大を図ってまいります。
[脚注、用語の説明]
注1.ユニコーン企業
企業価値または時価総額10億ドル以上で、設立10年未満の未公開企業
2.出典:IMD World Competitiveness ranking 2020
(IMD:International Institute for Management Development)
3.スタートアップエコシステム
起業家・人材・投資家・大手企業・研究機関・起業風土等の社会的な環境が有機的に連携し、スタートアップ企業が自律的・持続的に創出される環境
4.スタートアップ企業
高い成長性を有し、社会にイノベーションをもたらす企業
5.出典:STARTUP DB
6.出典:ベンチャーチャレンジ2020「我が国ベンチャーを巡る課題と今後の対応の方向性」
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の対処すべき課題としては、既存事業の拡大、収益性の向上、内部管理体制の整備が重要であると認識しております。
①優秀人材の確保
企業成長にとって最も重要な要素は「ヒト」であり、タレントエージェンシーサービスにおけるヒューマンキャピタリスト(営業担当者)のみならず、全社において優秀人材の確保が課題と考えております。当社のヒューマンキャピタリストはリクルーティングチームとしても活動しており、当該課題の解消に努めております。
②マネジメント機能の強化
当社は、積極的な人材採用により急激な組織拡大を図ってまいりますが、リモートワークの開始も相まって、今まで以上に社員の育成やエンゲージメントの強化が必要になると認識しております。このため、上記を含めたマネジメント機能の強化に努めてまいります。
③タレントエージェンシーサービスにおける生産性の向上
タレントエージェンシーサービスの売上規模の拡大には、ヒューマンキャピタリストの増員のほか、一人当たりの生産性向上も必要であります。社員間のコミュニケーションの活性化や教育研修といった人材育成施策のほか、社内業務管理システムの機能強化や業務プロセスの改革による業務効率の改善を通じて、更なる生産性の向上に対応してまいります。
④新規事業における売上高の拡大
当社は、主力サービスであるタレントエージェンシーを中心に堅調に成長している一方で、タレントエージェンシーの収益力への依存度が高い状態にあります。長期的な会社の発展及び成長産業の支援インフラ構築のためにも、新規事業への進出・拡大に取り組んでまいります。
⑤内部管理体制の強化
当社は、ビジネス上、個人情報や企業情報を含め、機密性の高い情報を有しております。定期的な社内教育の実施や管理体制の強化に取り組んでおりますが、内部統制の整備と実効性ある運用を通じて、組織の健全なる発展に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
①市場環境について
当社は国内のスタートアップ企業向けまたはそれに関連したサービスを提供しており、潜在的に国内におけるスタートアップ企業の企業動向・求人需要等に影響を受けております。特に、当社の主力サービスであるタレントエージェンシーは、スタートアップ企業の求人ニーズに影響を受ける可能性があり、昨今の新型コロナウイルス流行に起因する国内外の経済情勢や景気動向の悪化等により、スタートアップ企業数やスタートアップ企業に対する資金供給が著しく減少した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②新型コロナウイルスの感染拡大における影響について
新型コロナウイルスの収束時期につきましては、度々の緊急事態宣言発出及びその延長がなされるなど、引き続き不透明な状態が続いております。当社の主力サービスであるタレントエージェンシーにおいては、先行き不透明な状況からクライアント企業における求人数減少等の影響が生じていましたが、現時点においては、感染症流行前の水準に戻っております。また、コロナ禍においてDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速しているように、今後の環境変化に対応した革新的なサービスを提供するスタートアップ企業からの求人需要は、拡大を続けていくと予測しております。さらに当社は、疫病が蔓延した場合であっても、時差出勤や在宅勤務等により柔軟に事業を継続できる体制を整えております。もっとも、今後、事態がさらに深刻化、長期化し、求人需要に深刻な影響を与えた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③競合について
当社の主力サービスであるタレントエージェンシーは、「有料職業紹介事業」に該当しております。「有料職業紹介事業」は許可事業ではあるものの、参入障壁が低く各分野にて多数の同業他社が存在し、厚生労働省の調査によれば、有料職業紹介事業の民営職業紹介事業所数は近年増加傾向にあります。当社は、既存の人材紹介サービスの多くを占める総合人材紹介型や業界特化型、広告型とは異なり、スタートアップ企業に特化したサービスを展開しておりますが、今後、同業他社が同様のサービスを展開し、競争が激化した場合等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容に関するリスク
①候補者の自己都合退職について
当社の主力サービスであるタレントエージェンシーでは、求人企業に候補者が入社後、一定期間内に自己都合退職した場合には成功報酬の一部を返金する契約を締結し、サービスを提供しております。当社は、クライアント企業との綿密な連携により、採用のミスマッチを防止する施策をとっておりますが、何らかの理由により、早期自己都合退職者が増加した場合には、収受した報酬の返金が発生し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②株式会社ビズリーチとの関係について
当社の主力サービスであるタレントエージェンシーは、自社媒体を有して求職者を確保する登録型ではなく、他社が運営する媒体を利用して求職者を確保するハンティング型を採用しております。当事業年度末現在において、株式会社ビズリーチが運営する「ビズリーチ」経由での取引が高い比率を占めております(当事業年度における売上高のうち、「ビズリーチ」経由での売上高は全体の51.0%を占めております)。当社は、今後も同社との良好な関係を保ちつつ取引を行うことに加え、複数媒体の利用推進によるリスク低減を図っておりますが、将来的に同社との取引関係において変化が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③法的規制について
当社の主力サービスであるタレントエージェンシーは、職業安定法に基づき、「有料職業紹介事業」として厚生労働大臣から許可を受けております。当該許可は5年毎の更新が必要なほか、職業安定法第32条の9に欠格事由が定められております。当事業年度末現在において、当社は欠格事由(法人であって、その役員のうちに禁固以上の刑に処せられている、成年被後見人もしくは被保佐人または破産者で復権を得ないもの等に該当する者がある、届け出違反等)に該当しておりませんが、将来的に職業安定法第32条の9に定められた欠格事項等に該当した場合には、許可の取り消し、業務停止命令または業務改善命令の対象となるおそれがあります。その場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社の許可番号及び許可期間は以下のとおりです。
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許可番号 |
13-ユ-307946 |
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許可期間 |
2019年9月1日~2024年8月31日 |
④個人情報保護について
当社の主力サービスであるタレントエージェンシーでは、多数の個人情報を取り扱っているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。当社は、個人情報の管理徹底を図るべく、「個人情報等管理規程」を制定するとともに、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が発行するプライバシーマークを取得し、プライバシーマークの運用規定に準拠し、社内教育の徹底を図っております。このような取り組みにもかかわらず、外部からの不正アクセスや、当社役職員の故意または過失により個人情報が流出した場合には、当社への損害賠償請求やブランド価値の毀損、社会的信用力の低下により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)組織体制に関するリスク
①人材確保及び育成について
当社事業のさらなる拡大及び企業価値の継続的な向上のためには、人材の確保や人材育成が重要と認識しております。特にタレントエージェンシーにおいては人材の確保が必要不可欠であるとともに、期待通りの効果を発揮するまでに、一定の育成期間を要することがあります。当社は、全社を挙げて人材採用・育成に取り組んでおりますが、当社が求める人材が適時適切に確保されなかった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②内部管理体制について
当社は、企業価値を継続的に向上させていくためには、適切な内部管理体制の構築が必要不可欠と判断しておりますが、当社は、設立からまだ間もなく、未だ発展途上にあると認識しております。内部統制システムの適切な整備・運用に努めておりますが、今後、事業の急激な拡大に応じた内部管理体制の整備・運用が行われなかった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③特定経営者への依存について
当社の代表取締役社長である志水雄一郎は、当社の前身である株式会社セントメディア(現 株式会社ウィルオブ・ワーク)のネットジンザイバンク事業部において事業部長を務め、分社化以降も継続して代表取締役を務めております。同氏は、当社の経営方針やブランディングにおいて重要な役割を果たしております。当社は、同氏に過度に依存しないよう、人員体制や権限委譲等の経営組織の強化等を適切に図っておりますが、今後、何らかの理由により、同氏の業務執行が困難な状況となった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)親会社に関するリスク
①親会社が株主総会の決議事項に関する支配権または重大な影響力を有することについて
当事業年度末現在において、当社発行済株式総数のうち61.5%は株式会社ウィルグループが保有しております。従って、当社取締役の選任・解任、合併その他組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社定款の変更及び剰余金の配当等の基本的事項決定権または拒否権に関して、他株主の意向にかかわらず株式会社ウィルグループが影響を与える可能性があります。なお、当社が株式会社ウィルグループに対し事前承認を必要とする事項はなく、当社は独自に経営の意思決定を行っております。
②役員の兼任について
当社の役員(取締役7名、監査役3名)のうち、大原茂氏は株式会社ウィルグループの代表取締役及びその主要な子会社の取締役を、澤田静華氏は株式会社ウィルグループ及びその主要な子会社の監査役を兼任しております。これは、当社の主力サービスであるタレントエージェンシーは、人材ビジネスであり、長年人材ビジネスを営んできた株式会社ウィルグループにおける両氏の経営・監査に係る知見を当社の経営体制強化に活かすことを目的としていることに因ります。
③取引関係について
当事業年度末現在において、株式会社ウィルグループ及びその子会社との継続的な取引はなく、今後も実行する予定はありませんが、関連当事者との取引については、当該取引の経済合理性について社内規程に定められた承認を得ることとし、取引の健全性及び適正性を確保する体制を構築しております。
④人材ビジネスにおける関係について
株式会社ウィルグループと当社は「人材ビジネス」という広義のビジネス領域では共通しますが、株式会社ウィルグループは派遣ビジネスを主要事業としており、有料職業紹介事業を行っている他のグループ会社は、製造業やセールスアシスタント等の業界・職種に特化したビジネスモデルで、当社のようにスタートアップ企業を対象にした有料職業紹介事業を営む会社はなく、競合関係はありません。しかし、今後、当社の経営方針及び事業展開を変更した場合、または、株式会社ウィルグループまたはその子会社が経営方針及び事業展開を変更した場合には、将来的に競合する可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスク
①訴訟について
当社は、当事業年度末現在において、訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、当社の事業運営上、提供サービスの不備や個人情報・機密情報の漏洩、契約違反等により、訴訟を提起された場合には、当社ブランドの毀損や社会的信用力の低下により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②情報システムについて
当社の事業運営上、情報ネットワークやコンピューターシステムを多岐にわたり利用しており、データベースはクラウド上に保存しております。災害・事故等によるネットワーク障害やサーバーダウン等のシステム障害、第三者による不正アクセスが生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③新株予約権の行使による株式価値希薄化について
当社は、当社役職員に対して業績向上に対するインセンティブ付与を目的として、新株予約権方式によるストックオプションを付与しております。当事業年度末現在、これらの新株予約権による潜在株式数は、247,800株であり、発行済株式総数に潜在株式数を加えた合計の3,659,000株の6.8%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合は、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
④配当政策について
当社は、設立以降、配当実績がありません。株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つとして位置づけておりますが、財務体質の強化に加えて、事業拡大、収益力強化のための必要投資に充当し、企業価値を向上させることが当面の優先課題と考えております。現時点において、配当の実施及びその実施時期等については未定でありますが、将来的には、経営成績、財政状態及び内部留保とのバランス等を統合的に勘案しながら配当の実施を目指していく方針であります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は1,400,957千円となり、前事業年度末に比べ270,332千円増加しました。これは、主として借入の実行に伴い現金及び預金が226,599千円増加、売掛金が72,794千円増加した一方で、投資有価証券が30,779千円減少したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は358,930千円となり、前事業年度末に比べ110,898千円増加しました。これは、主として1年内返済予定の長期借入金が66,664千円、長期借入金が83,338千円増加した一方で、未払法人税等が
50,245千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,042,026千円となり、前事業年度末に比べ159,434千円増加しました。これは、主として新株の発行による資本金32,300千円、資本剰余金32,300千円の増加の他、当期純利益95,168千円を計上したことによる利益剰余金の増加によるものです。
②経営成績の状況
(全般的概況)
当事業年度におけるわが国経済は、長引く新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、政府の各種施策による下支えがありながらも先行きの見通せない厳しい状況が続きました。新型コロナウイルス感染症は、経済だけでなく、人と人とのコミュニケーションの在り方、働き方、行動様式、空間の在り方等、様々な分野に多大な影響をもたらしました。
そのような環境の中、当事業年度の経営成績は、新型コロナウイルス感染症の影響を上期に強く受けたものの、その影響は限定的であり、下期以降は徐々に安定的な回復を示しました。
また、新型コロナウイルス感染症の流行により発出された緊急事態宣言などに対応するため、テレワークの導入や、DX(デジタルトランスフォーメーション)等へ、世の中の関心が急速に集まった結果、当社が主戦場とするスタートアップ市場においては、関連技術を活用したサービスを提供するスタートアップ企業の人材ニーズが急速に増大しつつあります。
項目ごとの経営成績の状況は以下のとおりです。
(売上高)
当事業年度の売上高は1,273,285千円(前年同期比0.8%増)となりました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により、タレントエージェンシーにおける売上高が微減となった一方、大手企業や官公庁・自治体に対し営業強化を行い、オープンイノベーションにおける売上高が大幅に増加したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は214,034千円(前年同期比16.2%増)となりました。これは、主としてオープンイノベーションの売上高増加に伴う外注費の増加であります。この結果、売上総利益は1,059,250千円(前年同期比1.8%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は901,161千円(前年同期比17.1%増)となりました。これは、主としてタレントエージェンシー部門の採用強化に伴う業容拡大により、人件費が増加したことによるものであります。この結果、営業利益は、158,089千円(前年同期比48.8%減)となり、経常利益は161,231千円(前年同期比44.0%減)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は、95,168千円(前年同期比53.1%減)となりました。これは主として投資有価証券評価損22,278千円を計上したことによるものです。
当社は、成長産業支援事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりませんが、サービス別の経営成績は次のとおりであります。
・タレントエージェンシー
タレントエージェンシーは、スタートアップ企業向けに人材紹介を中心とした人材支援サービスを提供しております。上期は、新型コロナウイルス感染症によりクライアントであるスタートアップ企業の多くにおいて採用計画の見直しが図られ、感染症流行前と比較して求人案件数が減少しましたが、下期において徐々に回復を示し、2021年3月時点では流行前の水準に戻っております。
このような状況下において、当社は採用ニーズの強い企業や経営幹部層・エンジニアなど、需要の高いポジションの支援強化に継続的に取り組みました。上期受注高は求人案件数の減少の影響により大きく減少したものの、下期受注高は求人案件数の回復傾向及び上記取り組みのより一層の強化により、上期と比べ大きく増加(50.9%増)となりました。その結果、当事業年度における通期受注高においては、前年同期比で1.9%の増加となりました。ただし、受注から売上までのリードタイムが概ね2ヶ月程度存在することから、当事業年度における売上高は1,201,251千円(前年同期比2.9%減)となりました。
タレントエージェンシー全体の主要な業績評価指標は以下のとおりです。
|
期間 |
前事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
|
人材紹介取引数(人) |
432 |
404 |
|
人材紹介平均単価(千円) |
2,575 |
2,762 |
(注)1.人材紹介取引数は、特定期間における人材紹介数であり、業務委託契約を除いております。
紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した紹介手数料の一定割合を契約に基づき返金しますが、当該返金対象取引も取引数に含めております。
2.人材紹介平均単価は、特定期間における売上計上対象となった経営管理上の人材紹介売上高(業務委託契約を除く成功報酬型のコンサルティングフィー)のみを上記の人材紹介取引数で除した数値です。
紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した報酬の一定割合を契約に基づき返金しますが、上記の経営管理上の人材紹介売上高では当該返金額を控除せず、集計しております。
3.成功報酬型以外のコンサルティングサービスは上表には含めておりません。
・オープンイノベーション
オープンイノベーションは、当社が運営するデータベース「STARTUP DB」を活用し、大手企業や官公庁・自治体とスタートアップ企業の連携を促進するサービスを提供しております。新型コロナウイルス感染症の流行を契機に、従来の大手企業のオープンイノベーション関連投資は全般的に見直しが図られてはいるものの、新規事業創出や既存事業変革を優先度高く向き合う大手企業の予算は引き続き底堅く推移しております。このような状況下において、大手企業や官公庁・自治体に対し営業強化を行った結果、当事業年度における売上高は72,033千円(前年同期比176.3%増)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は1,042,949千円(前期比226,599千円増)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は28,482千円(前事業年度は209,827千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益138,952千円を計上した一方で、売上債権の増加額67,002千円に加え、法人税等の支払額83,077千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は13,974千円(前事業年度は48,952千円の使用)となりました。これは有形固定資産の取得による支出7,058千円、敷金及び保証金の差入による支出6,916千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は212,090千円(前事業年度は313,725千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる200,000千円の収入、新株予約権の行使による株式の発行による収入64,278千円に加え、長期借入金の返済による支出49,998千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
当社は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。また、受注から役務提供完了までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております。
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社は成長産業支援事業の単一セグメントでありますが、特徴が異なるため、サービス別に記載をしております。
|
サービスの名称 |
前事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
タレントエージェンシー(千円) |
1,236,818 |
1,201,251 |
97.1 |
|
オープンイノベーション(千円) |
26,071 |
72,033 |
276.3 |
|
合計(千円) |
1,262,890 |
1,273,285 |
100.8 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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株式会社アンドパッド |
129,702 |
10.3 |
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- |
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3.株式会社アンドパッドは、2020年5月13日で株式会社オクトより社名変更しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営成績等の状況に関する分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。また、経営成績等に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に含めて記載しております。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。当社では売上高及び営業利益を重要な指標としております。
当事業年度における売上高は前事業年度と比べて10,395千円増加し、1,273,285千円(前事業年度比0.8%増)となりました。また、営業利益は前事業年度に比べ150,698千円減少し、158,089千円(前事業年度比48.8%減)となりました。引き続きこれらの指標について増加するよう取り組んでまいります。
④資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要は、事業規模の拡大に伴う人件費や営業管理システムの機能拡充に伴うシステム投資資金等があります。当社は、事業運営上必要な資金の流動性と財源を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金は自己資金及び金融機関からの借入及び必要に応じてエクイティファイナンスによる資金調達を中心に考えております。
求職者向けプラットフォーム運営事業者との契約
当社は、求職者獲得のため、複数のプラットフォーム運営事業者のサービス利用約款に同意して各事業者のサービスを利用しており、そのうち主要な事業者との契約を記載しております。
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相手方の名称 |
国名 |
契約の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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株式会社ビズリーチ |
日本 |
サービス利用約款 |
株式会社ビズリーチが運営するハイクラス人材データベース、各種サービスの利用に関する規約 |
2016年9月1日~ 2016年12月31日 |
該当事項はありません。