文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「for Startups」という経営ビジョンを掲げ、挑戦者に対し必要な支援を行う成長産業支援インフラとなることを目指しております。企業成長を支える原動力は「人材」と「資金」であり、イノベーションを担うスタートアップ企業の成長やスタートアップエコシステムの継続的な発展には、人材と資金の確保がなければ成り立たたないことから、当社グループは、主に人材と資金の側面から成長企業を支援することで、成長スピードと成長確度を高め、社会に貢献してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な事業拡大と企業価値向上のため、経営の効率化を図るとともに、売上高及び営業利益を重要指標としてとらえ、各種経営課題への対応を図っております。
(3)経営環境及び中長期的な経営戦略
・経営環境
近年、AI、IoT、ロボット、ビッグデータ、ブロックチェーン等、第4次産業革命と呼ばれるデジタル技術の発展を背景に、新産業が創出され、「GAFAM(Google Apple Facebook Amazon Microsoftの総称)」と呼ばれるような巨大新興企業が世界で台頭しております。また、米国・中国を中心に世界では新たな産業やユニコーン企業(注1)が続々と誕生しており、国際競争力の確保において新興企業は大変重要な存在となっております。
国際競争力において日本は、1990年代初頭には世界1位であったところ、直近の2021年では世界31位まで低下しております(注2)。国際競争力の低下には、様々な要因がありますが、一つの要因としてスタートアップエコシステム(注3)の構築が発展途上であることが挙げられます。グローバリゼーションを勝ち抜く国際的な競争力を有した企業を生み出すには、如何にイノベーションを創出できるかが重要であり、イノベーションの創出にはスタートアップエコシステムの構築・発展が必要不可欠と当社グループは考えております。
我が国においても、政府の成長戦略において、産業競争力強化の観点からスタートアップ企業の支援及びスタートアップエコシステム強化の重要性が提唱され、各種取組みが実行されています。そのような状況の中、2021年(暦年)における我が国のスタートアップ企業(注4)への投資額は過去最高値を記録したほか、ディープテックベンチャーへの民間融資に対する債務保証制度やファンドによる海外投資規制の緩和など、制度面の拡充についても積極的に図られています。加えて、政府よりスタートアップ企業の育成のための5か年計画の策定が発表されるだけでなく、経団連より「スタートアップ躍進ビジョン~10X10Xを目指して~」が提言されるなど、従来と比較して官民を挙げての支援の拡充が見込まれています。
当連結会計年度末現在における我が国のスタートアップ・成長企業を取り巻く環境は、マクロ環境の変化(国内外の地政学リスクや金融資本市場の変動)を受け、注視が必要な状態が続いております。
考えうるリスク要因としては、アセットオーナーのベンチャーキャピタルへの資金配分の減少、未上場企業の評価額低下によるスタートアップ企業側の調達額の規模の減少、並びにそれらに伴う人材採用活動の停滞が挙げられます。ただし、国内のベンチャーキャピタルは、過去のファンド組成状況からみて投資余力が存在すると考えられることから、投資者側の投資判断は厳格化するものの、成長性の高いスタートアップ企業へは引き続き積極的な投資が行われると考えております。当社グループは、スタートアップ・成長企業のうち、成長性の高い企業にフォーカスして支援を行っていることや、多少の需要減少は支援ポートフォリオの変更により対応が可能であることから、上記マクロ環境変化の影響は軽微と考えております。
・経営戦略
上記経営環境の中、当社グループは、既存のタレントエージェンシーをより一層強化していくほか、オープンイノベーションの拡大により大手企業や、官公庁・自治体などと協力体制を築いてまいります。加えて、タレントエージェンシーのクライアント等に対して資金支援を開始することで、スタートアップ企業の更なる成長を加速させ、「成長産業支援」のインフラとなることを目指してまいります。中期的な定量目標としては、主にタレントエージェンシーサービスにおいて、人材の採用及び育成の強化を図り、既存領域における支援人数の増加を図るだけでなく、中長期を見据え支援領域拡大への投資も実行することで、2025年3月期に連結売上高50億円を目指してまいります。
具体的な経営戦略については以下のとおりです。
①成長産業支援インフラとしてのポジショニング確立
我が国のスタートアップ企業への投資は増加傾向にありますが、ベンチャーキャピタル投資額の対GDP比は0.03%(注5)と諸外国と比較して未だ小さく、人材がスタートアップ企業へ流入する潮流も未だ発展途上であることから、当社グループが属するマーケットは成長余地が大きいと認識しております。このような中、日本を代表するグローバル企業を生み出すためには、人材と資金を質・量ともに提供する企業の存在が不可欠であると考えております。
既存のタレントエージェンシーサービスのより一層の規模拡大により、人材支援企業としてのポジショニング確立を図ります。また、当連結会計年度から開始したベンチャーキャピタル事業を通じた資金支援企業としてのポジショニングの確立にも努め、今後の収益機会の拡大を目指してまいります。
②持続的な競争優位の確保
当社グループは、事業運営を通じて、スタートアップ企業に関する定量・定性情報を蓄積しております。当該情報は、独自アルゴリズムを用いた「数値化されたスタートアップ企業情報」として可視化され、当社グループの競争優位の源泉となっております。スタートアップ業界は日々目まぐるしく変化していることから一般的に情報が陳腐化しやすく、参入障壁が低い人材紹介やコンサルティングビジネスにおいて、当該「数値化されたスタートアップ企業情報」は障壁として有効に機能するものと考えております。今後も、ベンチャーキャピタル・起業家等イノベーションに関わるプレイヤーとのより緊密な連携により、当該競争優位性の維持・確保に努めてまいります。
③スタートアップエコシステムの形成による自律的成長サイクルの構築
スタートアップエコシステムの形成においては、①起業家人材の創出、②資金の供給、③優秀人材の確保、④大手企業や研究機関の協力、⑤会計・法務・知財等の専門知識のサポート、⑥起業文化の醸成、⑦EXIT環境の整備等が必要と当社グループは考えております。当社グループは「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおり、独自のアルゴリズムを用いて各スタートアップ企業を数値化し、当社グループが成長性の高いと考えるスタートアップ企業(有力スタートアップ企業)を選定し、優先的に支援サービスを提供する仕組みを構築しております。これは、有力スタートアップ企業を優先的に支援することが、結果的に次のユニコーン企業を生み出し、新産業の創出につながると当社グループが考えていることに因ります。また、人材と資金の両側面から支援をすることで、更なる企業成長を促進し、その結果、新たな需要(人材・サービス)を生み出す、自律的な成長サイクルの構築を目指してまいります。
④バリューを体現した人材採用及び育成
当社グループの最も重要な資産は「人」であり、企業成長には人材成長が欠かせないと認識しております。当社グループは、経営ビジョンである「for Startups」を実現するために、従業員の目指すべきバリュー(価値観)として、以下の3つを重視しております。
・「Startups First」
全ては日本の成長のために。スタートアップスのために。
※スタートアップス=『進化の中心』にいることを選択する挑戦者達
・「Be a Talent」
スタートアップスの最たる友人であり、パートナーであり、自らも最たる挑戦者たれ。そして、自らの生き様を社会に発信せよ。
・「The Team」
成長産業支援という業は、Teamでしか成し得られない。仲間のプロデュースが、日本を、スタートアップスを熱くする。
当社グループは、当該バリューを体現した「強い個人」を一人でも多く輩出することが、組織成長に寄与すると考えていることから、従業員に対し、社内外において様々な成長機会の提供を行っております。今後も、社内外での様々な教育研修機会の提供を通じて、人材の採用・育成を強化してまいります。
⑤コアコンピタンスを活用した事業領域の拡大
当社グループは、創業以来一貫してスタートアップ企業のサポートに特化した事業運営をしており、当該事業アセットを活用し、事業領域の拡大を図ってまいります。
・データベースを活かした収益機会の拡大
我が国のスタートアップマーケットに関する情報は網羅的に一元化されていないことが課題と当社グループは考えております。当社グループが運営する「STARTUP DB(スタートアップデータベース)」はスタートアップ企業に関するデータベースとして13,000社(2022年4月末現在)以上を収録しているほか、独自のアルゴリズムを背景に「数値化されたスタートアップ企業情報」を有しております。当社グループが有するタレントデータベースとスタートアップデータベースの双方を活かし、収益機会の拡大を図ってまいります。
・当社グループブランドの確立による収益機会の拡大
当社グループは、成長産業支援を事業目標としており、当社グループとスタートアップ企業、ベンチャーキャピタル、大企業、大学・研究機関、政府・自治体、メディア、専門組織等との連携を強めていくことで、スタートアップエコシステムの中心的存在になることを目指しております。成長産業支援の中核的企業としてのブランドを確立させ、収益機会の拡大を図ってまいります。
[脚注、用語の説明]
注1.ユニコーン企業
企業価値または時価総額10億ドル以上で、設立10年未満の未公開企業
2.出典:IMD World Competitiveness ranking 2021
(IMD:International Institute for Management Development)
3.スタートアップエコシステム
起業家・人材・投資家・大手企業・研究機関・起業風土等の社会的な環境が有機的に連携し、スタートアップ企業が自律的・持続的に創出される環境
4.スタートアップ企業
高い成長性を有し、社会にイノベーションをもたらす企業
5.出典:内閣官房成長戦略会議第8回(令和3年3月17日開催)配布資料「基礎資料」
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの対処すべき課題としては、既存事業の拡大、収益性の向上、内部管理体制の整備が重要であると認識しております。
①優秀人材の確保
企業成長にとって最も重要な要素は「ヒト」であり、タレントエージェンシーサービスにおけるヒューマンキャピタリスト(営業担当者)のみならず、全社において優秀人材の確保が課題と考えております。積極的な採用活動(全社的な採用KPIの設定・採用部門の人員強化・採用関連費用の増加)により、人材確保に努めてまいります。
②人材育成の強化
積極的な人材採用により急激な組織拡大が予測され、今まで以上に社員の育成やエンゲージメントの強化が必要になると認識しております。このため、組織の拡大に応じた人事制度を設計することや、教育制度等を拡充することにより、人材育成に努めてまいります。
③タレントエージェンシーサービスにおける生産性の向上
タレントエージェンシーサービスの売上規模の拡大には、ヒューマンキャピタリストの増員のほか、一人当たりの生産性向上も必要であります。社員間のコミュニケーションの活性化や教育研修といった人材育成施策のほか、社内業務管理システムの機能強化や業務プロセスの改革による業務効率の改善を通じて、更なる生産性の向上に対応してまいります。
④新規事業における売上高の拡大
当社グループは、主力サービスであるタレントエージェンシーを中心に堅調に成長している一方で、タレントエージェンシーの収益力への依存度が高い状態にあります。長期的な会社の発展及び成長産業の支援インフラ構築のためにも、既存サービスの周辺領域の開拓や新規事業への進出に取り組んでまいります。
⑤内部管理体制の強化
当社グループは、ビジネス上、個人情報や企業情報を含め、機密性の高い情報を有しております。定期的な社内教育の実施や管理体制の強化に取り組んでおりますが、内部統制の整備と実効性ある運用を通じて、組織の健全なる発展に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
①市場環境について
当社グループは国内のスタートアップ企業向けまたはそれに関連したサービスを提供しており、潜在的に国内におけるスタートアップ企業の企業動向・求人需要等に影響を受けております。特に、当社グループの主力サービスであるタレントエージェンシーは、スタートアップ企業の求人ニーズに影響を受ける可能性があり、国内外の経済情勢や景気動向の悪化、地政学リスク、金融資本市場の変動の影響等により、スタートアップ企業数やスタートアップ企業に対する資金供給が著しく減少した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②競合について
当社グループの主力サービスであるタレントエージェンシーは、「有料職業紹介事業」に該当しております。「有料職業紹介事業」は許可事業ではあるものの、参入障壁が低く各分野にて多数の同業他社が存在し、厚生労働省の調査によれば、有料職業紹介事業の民営職業紹介事業所数は継続的に増加傾向にあります。当社グループは、既存の人材紹介サービスの多くを占める総合人材紹介型や業界特化型、広告型とは異なり、スタートアップ・成長企業に特化したサービスを展開しておりますが、今後、同業他社が同様のサービスを展開し、競争が激化した場合等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容に関するリスク
①候補者の自己都合退職について
当社グループの主力サービスであるタレントエージェンシーでは、求人企業に候補者が入社後、一定期間内に自己都合退職した場合には成功報酬の一部を返金する契約を締結し、サービスを提供しております。当社グループは、クライアント企業との綿密な連携により、採用のミスマッチを防止する施策をとっておりますが、何らかの理由により、早期自己都合退職者が増加した場合には、収受した報酬の返金が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②株式会社ビズリーチとの関係について
当社グループの主力サービスであるタレントエージェンシーは、自社媒体を有して求職者を確保する登録型ではなく、他社が運営する媒体を利用して求職者を確保するハンティング型を採用しております。当連結会計年度末現在において、株式会社ビズリーチが運営する「ビズリーチ」経由での取引が高い比率を占めております(当連結会計年度における人材紹介売上高のうち、「ビズリーチ」経由での売上高は46.9%を占めております)。当社グループは、今後も同社との良好な関係を保ちつつ取引を行うことに加え、複数媒体の利用推進によるリスク低減を図っておりますが、将来的に同社との取引関係において変化が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③法的規制について
当社グループの主力サービスであるタレントエージェンシーは、職業安定法に基づき、「有料職業紹介事業」として厚生労働大臣から許可を受けております。当該許可は5年毎の更新が必要なほか、職業安定法第32条の9に欠格事由が定められております。当連結会計年度末現在において、当社グループは欠格事由(法人であって、その役員のうちに禁固以上の刑に処せられている、成年被後見人もしくは被保佐人または破産者で復権を得ないもの等に該当する者がある、届け出違反等)に該当しておりませんが、将来的に職業安定法第32条の9に定められた欠格事項等に該当した場合には、許可の取り消し、業務停止命令または業務改善命令の対象となるおそれがあります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループの許可番号及び許可期間は以下のとおりです。
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許可番号 |
13-ユ-307946 |
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許可期間 |
2019年9月1日~2024年8月31日 |
④個人情報保護について
当社グループの主力サービスであるタレントエージェンシーでは、多数の個人情報を取り扱っているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。当社グループは、個人情報の管理徹底を図るべく、「個人情報等管理規程」を制定するとともに、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が発行するプライバシーマークを取得し、プライバシーマークの運用規程に準拠し、社内教育の徹底を図っております。このような取り組みにもかかわらず、外部からの不正アクセスや、当社グループ役職員の故意または過失により個人情報が流出した場合には、当社グループへの損害賠償請求やブランド価値の毀損、社会的信用力の低下により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)組織体制に関するリスク
①人材確保及び育成について
当社グループ事業のさらなる拡大及び企業価値の継続的な向上のためには、人材の確保や人材育成が重要と認識しております。特にタレントエージェンシーにおいては人材の確保が必要不可欠であるとともに、期待通りの効果を発揮するまでに、一定の育成期間を要することがあります。当社グループは、全社を挙げて人材採用・育成に取り組んでおりますが、当社グループが求める人材が適時適切に確保されなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②内部管理体制について
当社グループは、企業価値を継続的に向上させていくためには適切な内部管理体制の構築が必要不可欠と判断しておりますが、当社グループは、設立からまだ間もなく、未だ発展途上にあると認識しております。内部統制システムの適切な整備・運用に努めておりますが、今後、事業の急激な拡大に応じた内部管理体制の整備・運用が行われなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③特定経営者への依存について
当社グループの代表取締役社長である志水雄一郎は、当社グループの前身である株式会社セントメディア(現 株式会社ウィルオブ・ワーク)のネットジンザイバンク事業部において事業部長を務め、分社化以降も継続して代表取締役を務めております。同氏は、当社グループの経営方針やブランディングにおいて重要な役割を果たしております。当社グループは、同氏に過度に依存しないよう、人員体制や権限委譲等の経営組織の強化等を適切に図っておりますが、今後、何らかの理由により、同氏の業務執行が困難な状況となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)親会社に関するリスク
①親会社が株主総会の決議事項に関する支配権または重大な影響力を有することについて
当連結会計年度末現在において、当社発行済株式総数のうち54.6%は株式会社ウィルグループが保有しております。従って、当社グループ取締役の選任・解任、合併その他組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社グループ定款の変更及び剰余金の配当等の基本的事項決定権または拒否権に関して、他株主の意向にかかわらず株式会社ウィルグループが影響を与える可能性があります。なお、当社グループが株式会社ウィルグループに対し事前承認を必要とする事項はなく、当社グループは独自に経営の意思決定を行っております。
②役員の兼任について
当社グループの役員(取締役8名、監査役3名)のうち、大原茂氏は株式会社ウィルグループの代表取締役及びその主要な子会社の取締役を、澤田静華氏は株式会社ウィルグループ及びその主要な子会社の監査役を兼任しております。これは、当社グループの主力サービスであるタレントエージェンシーは、人材ビジネスであり、長年人材ビジネスを営んできた株式会社ウィルグループにおける両氏の経営・監査に係る知見を当社グループの経営体制強化に活かすことを目的としていることに因ります。
③取引関係について
当連結会計年度末現在において、株式会社ウィルグループ及びその子会社との継続的な取引はなく、今後も実行する予定はありませんが、関連当事者との取引については、当該取引の経済合理性について社内規程に定められた承認を得ることとし、取引の健全性及び適正性を確保する体制を構築しております。
④人材ビジネスにおける関係について
株式会社ウィルグループと当社グループは「人材ビジネス」という広義のビジネス領域では共通しますが、株式会社ウィルグループは派遣ビジネスを主要事業としており、有料職業紹介事業を行っている他のグループ会社は、製造業やセールスアシスタント等の業界・職種に特化したビジネスモデルで、当社グループのようにスタートアップ企業を対象にした有料職業紹介事業を営む会社はなく、競合関係はありません。しかし、今後、当社グループの経営方針及び事業展開を変更した場合、または、株式会社ウィルグループまたはその子会社が経営方針及び事業展開を変更した場合には、将来的に競合する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスク
①訴訟について
当社グループは、当連結会計年度末現在において、訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、当社グループの事業運営上、提供サービスの不備や個人情報・機密情報の漏洩、契約違反等により、訴訟を提起された場合には、当社グループブランドの毀損や社会的信用力の低下により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②情報システムについて
当社グループの事業運営上、情報ネットワークやコンピューターシステムを多岐にわたり利用しており、データベースはクラウド上に保存しております。災害・事故等によるネットワーク障害やサーバーダウン等のシステム障害、第三者による不正アクセスが生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③新株予約権の行使による株式価値希薄化について
当社グループは、当社グループ役職員に対して業績向上に対するインセンティブ付与を目的として、新株予約権方式によるストックオプションを付与しております。当連結会計年度末現在、これらの新株予約権による潜在株式数は、182,200株であり、発行済株式総数に潜在株式数を加えた合計の3,711,000株の4.9%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合は、当社グループの1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
④配当政策について
当社グループは、設立以降、配当実績がありません。株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つとして位置づけておりますが、財務体質の強化に加えて、事業拡大、収益力強化のための必要投資に充当し、企業価値を向上させることが当面の優先課題と考えております。現時点において、配当の実施及びその実施時期等については未定でありますが、将来的には、経営成績、財政状態及び内部留保とのバランス等を統合的に勘案しながら配当の実施を目指していく方針であります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。
当社グループは、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。)等を適用しております。
①財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は2,569,038千円となりました。その主な内訳は現金及び預金1,717,761千円、売掛金272,034千円、営業投資有価証券154,685千円、投資その他の資産262,904千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1,083,493千円となりました。その主な内訳は、未払金614,457千円、1年内返済予定の長期借入金116,664千円、未払法人税等81,530千円、未払消費税等68,980千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,485,544千円となりました。その主な内訳は、資本金224,331千円、資本剰余金224,331千円、利益剰余金869,354千円、非支配株主持分165,463千円であります。
②経営成績の状況
(全般的概況)
我が国においては、政府の成長戦略において、産業競争力強化の観点からスタートアップ企業の支援及びスタートアップエコシステム強化の重要性が提唱され、各種取組みが実行されています。そのような状況の中、2021年(暦年)における我が国のスタートアップ企業への投資額は過去最高値を記録したほか、ディープテックベンチャーへの民間融資に対する債務保証制度やファンドによる海外投資規制の緩和など、制度面の拡充についても積極的に図られています。
また、直近においても、政府においてスタートアップ企業の育成のための5か年計画の策定が発表されるだけでなく、2022年3月15日に提言された経団連の「スタートアップ躍進ビジョン~10X10Xを目指して~」において、5年後までに起業数10倍、ユニコーン企業数100社・デカコーン企業2社以上が成長目標に据えられるなど、より一層スタートアップ企業の支援及びスタートアップエコシステム強化に向けた取り組みが実行されつつあります。
項目ごとの経営成績の状況は以下のとおりです。
(売上高)
タレントエージェンシーサービス及びオープンイノベーションサービスが好調に推移し、当連結会計年度の売上高は2,348,687千円となりました。タレントエージェンシーサービスは、採用ニーズの強い企業や需要の高いポジションの支援強化、採用支援サービスの営業強化が功を奏しました。また、オープンイノベーションサービスは、「Public Affairs」やスタートアップ企業の資金調達を支援する「資金調達支援」等の営業を強化しました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は474,067千円となりました。これは主にタレントエージェンシーサービスにおける求人媒体への支払手数料及びオープンイノベーションサービスにおける外注費です。結果として、売上総利益は1,874,619千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,386,095千円となりました。これは主に人件費及び地代家賃です。結果として、営業利益は488,524千円、経常利益は492,376千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、382,574千円となりました。
当社グループは、当連結会計年度より、投資事業開始に伴う社内管理体制の変更により、報告セグメントを従来の「成長産業支援事業」の単一セグメントから「タレントエージェンシー&オープンイノベーション事業」と「ベンチャーキャピタル事業」の2区分に変更しております。
各セグメント及びサービス別の経営成績は下記のとおりであります。
(タレントエージェンシー&オープンイノベーション事業)
・タレントエージェンシー
タレントエージェンシーサービスは、スタートアップ・成長企業向けに人材紹介を中心とした人材支援サービスを提供しております。当連結会計年度においては、スタートアップ・成長企業の資金調達額の増加を背景とした人材需要の高まりにより、求人ニーズが高水準で推移するとともに、新規取引の引き合いも強い状況が継続しました。
このような中、採用ニーズの強い企業や経営幹部・エンジニアなどの需要の高いポジションの支援強化や採用ニーズの高いクライアントの採用をより強力に支援する採用支援サービスの営業強化が功を奏した結果、当連結会計年度における売上高は2,156,780千円となりました。
タレントエージェンシー全体の主要な業績評価指標は以下のとおりです。
|
期間 |
前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
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人材紹介取引数(人) |
404 |
685 |
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人材紹介平均単価(千円) |
2,762 |
2,816 |
(注)1.人材紹介取引数は、特定期間における人材紹介数であり、業務委託契約を除いております。
紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した紹介手数料の一定割合を契約に基づき返金しますが、当該返金対象取引も取引数に含めております。
2.人材紹介平均単価は、特定期間における売上計上対象となった経営管理上の人材紹介売上高(業務委託契約を除く成功報酬型のコンサルティングフィー)のみを上記の人材紹介取引数で除した数値です。
紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した報酬の一定割合を契約に基づき返金しますが、上記の経営管理上の人材紹介売上高では当該返金額を控除せず、集計しております。
3.成功報酬型以外のコンサルティングサービスは上表には含めておりません。
・オープンイノベーション
オープンイノベーションサービスは、当社グループが運営するデータベース「STARTUP DB」を活用し、大手企業や官公庁・自治体とスタートアップ企業の連携を促進するサービスを提供しております。新規事業創出や既存事業変革、既存オペレーションのDX化に対して優先度高く向き合う大手企業の予算は引き続き底堅く推移している中、「Public Affairs」やスタートアップ企業の資金調達を支援する「資金調達支援」等の営業強化により、当連結会計年度における売上高は191,907千円となりました。
(ベンチャーキャピタル事業)
当連結会計年度においては2社に投資を実行しております。ただし、設立初年度であり、管理費用のみが発生していることから、セグメント損失は4,318千円となりました。
なお、当セグメントには、子会社であるフォースタートアップスキャピタル合同会社、及び同社を通じて新たに組成したフォースタートアップス1号投資事業有限責任組合が含まれております。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は1,717,761千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は605,502千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益492,376千円を計上した一方で、営業投資有価証券の増加額154,685千円に加え、売上債権の増加額81,367千円、未払金の増加額233,419千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は168,161千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出48,508千円、敷金及び保証金の差入による支出97,554千円、投資有価証券の取得による支出30,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、増加した資金は237,470千円となりました。これは主に、長期借入れによる収入100,000千円、非支配株主からの払込みによる収入176,000千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入27,537千円に加え、長期借入金の返済による支出66,664千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループは、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。また、受注から役務提供完了までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております。
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
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サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比 (%) |
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タレントエージェンシー&オープンイノベーション事業 |
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タレントエージェンシーサービス(千円) |
2,156,780 |
- |
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オープンイノベーションサービス(千円) |
191,907 |
- |
|
|
小計(千円) |
2,348,687 |
- |
|
ベンチャーキャピタル事業(千円) |
- |
- |
|
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合計(千円) |
2,348,687 |
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(注)1.主な相手別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がいないため記載を省略しております。
2.当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「成長産業支援事業」の単一セグメントから「タレントエージェンシー&オープンイノベーション事業」と「ベンチャーキャピタル事業」の2区分に変更しているため、前年同期比の記載はしておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営成績等の状況に関する分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。また、経営成績等に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に含めて記載しております。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。なお、当社グループでは売上高及び営業利益を重要な指標としております。
④資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、人員規模拡大に伴う、人件費や採用費をはじめとする人材関連投資等が中心であります。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と財源を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金は自己資金及び金融機関からの借入及び必要に応じてエクイティファイナンスによる資金調達を中心に考えております。