第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

(1)連結経営指標等

回次

第40期

第41期

第42期

第43期

第44期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(百万円)

31,279

経常利益

(百万円)

3,017

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

2,039

包括利益

(百万円)

2,062

純資産額

(百万円)

13,289

総資産額

(百万円)

17,918

1株当たり純資産額

(円)

248.33

1株当たり当期純利益

(円)

39.39

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

38.95

自己資本比率

(%)

72.37

自己資本利益率

(%)

15.73

株価収益率

(倍)

24.32

営業活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

3,299

投資活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

1,078

財務活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

2,771

現金及び現金同等物の期末残高

(百万円)

9,904

従業員数

(人)

4,722

(注)1.第44期連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、それ以前については記載しておりません。

2.当社は、2023年12月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第44期の期首に

当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当

たり当期純利益を算定しております。

3.第44期の自己資本利益率は、連結初年度のため、期末自己資本に基づいて計算しております。

4.従業員数は、就業人員であります。なお、提出会社の臨時雇用者(嘱託社員、契約社員、登録型社員)は従

業員総数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

(2)提出会社の経営指標等

回次

第40期

第41期

第42期

第43期

第44期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(百万円)

32,115

27,728

26,914

28,751

31,279

経常利益

(百万円)

3,753

2,275

1,816

1,619

3,208

当期純利益

(百万円)

2,135

1,344

1,248

1,163

2,197

持分法を適用した場合の投資利益

(百万円)

資本金

(百万円)

105

117

117

117

117

発行済株式総数

(株)

26,673,900

26,709,600

26,709,600

26,709,600

53,419,200

純資産額

(百万円)

12,842

12,070

11,974

11,972

13,115

総資産額

(百万円)

17,059

20,893

20,768

17,700

17,714

1株当たり純資産額

(円)

240.73

233.93

232.71

231.92

251.18

1株当たり配当額

(円)

48.00

48.00

48.00

50.00

37.50

(うち1株当たり中間配当額)

-)

-)

-)

-)

-)

1株当たり当期純利益

(円)

40.09

25.40

24.32

22.57

42.43

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

40.02

25.24

24.16

22.43

41.96

自己資本比率

(%)

75.28

57.77

57.66

67.64

74.04

自己資本利益率

(%)

16.58

10.80

10.39

9.71

17.52

株価収益率

(倍)

7.62

20.88

16.76

18.68

22.58

配当性向

(%)

59.9

94.5

98.7

110.8

88.4

営業活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

2,893

2,695

1,456

1,515

投資活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

895

373

838

594

財務活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

2,359

2,806

1,405

4,215

現金及び現金同等物の期末残高

(百万円)

9,348

14,478

13,690

10,395

従業員数

(人)

4,832

4,311

4,143

4,377

4,662

株主総利回り

(%)

189.4

157.0

169.7

194.7

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

(-)

(142.1)

(145.0)

(153.4)

(216.8)

最高株価

(円)

1,048

1,155

1,104

998

1,040

(1,652)

最低株価

(円)

583

580

795

802

745

(820)

 (注)1.第44期より連結財務諸表を作成しているため、持分法を適用した場合の投資利益、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー及び現金預金同等物の期末残高は記載しておりません。

2.第40期から第42期までの持分法を適用した場合の投資利益については、子会社及び関連会社が存在していないため、記載しておりません。第43期の持分法を適用した場合の投資利益については、非連結子会社は存在しておりますが、利益基準及び利益剰余金基準からみて重要性が乏しいため、記載を省略しております。

3.従業員数は、就業人員であります。なお、臨時雇用者(嘱託社員、契約社員、登録型社員)は従業員総数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

4.2020年3月9日付をもって東京証券取引所市場第一部に株式を上場いたしましたので、第40期の株主総利回り及び比較指標については記載しておりません。

 

 

5.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所(プライム市場)におけるものであり、それ以前は東京証券取引所(市場第一部)におけるものであります。

6.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第42期の期首から適用しており、第42期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

7.当社は、2023年12月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第40期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。なお、1株当たり配当額につきましては、当該株式分割前の実際の配当額を記載しております。

8.当社は、2023年12月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っておりますが、第44期の株価につきましては株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、()内に株式分割前の最高株価及び最低株価を記載しております。

 

2【沿革】

 

1981年4月

エンジニア派遣事業を目的として東京都千代田区に株式会社フォーラムエンジニアリング設立

1985年7月

横浜営業所(現、横浜フォーラム)を開設

1987年2月

大阪支社(現、大阪フォーラム)を開設

1987年10月

福岡営業所(現、福岡フォーラム)を開設

1988年2月

仙台営業所(現、仙台フォーラム)を開設

1988年11月

名古屋支社(現、名古屋フォーラム)を開設

1989年11月

金沢事業所(金沢フォーラム)を開設

1990年8月

宇都宮事業所(現、宇都宮フォーラム)を開設

1991年1月

広島営業所(現、広島フォーラム)を開設

1993年8月

本社を東京都港区(城山トラストタワー)に移転 本社内に東京営業所(現、東京フォーラム)を開設

1995年8月

横浜地区の拠点として設立されたフォーラムエンジニアリング株式会社を吸収合併

1995年10月

八王子事業所(現、八王子フォーラム)を開設

1997年2月

諏訪事業所(現、松本フォーラム)を開設

2001年4月

厚木営業所(現、厚木フォーラム)を開設

2001年7月

神戸営業所(現、神戸フォーラム)を開設

2003年1月

京都営業所(現、京都フォーラム)を開設

2003年2月

さいたま営業所(現、さいたまフォーラム)を開設

2007年12月

浜松事業所(現、浜松フォーラム)、千葉営業所(現、つくばフォーラム)を開設

2009年7月

一般派遣事業を行うフォーラム・スタッフ株式会社を吸収合併

2009年8月

青山のオフィスビル竣工により、オフィスビル賃貸事業を開始

2010年7月

エンジニア専門の自社専用人材採用サイト「エンジニアピット」(現「コグナビ 派遣」)を開設

2013年2月

 

100%子会社として株式会社フォーラムビルディング及び株式会社フォーラムビルディングホールディングスを設立

2013年3月

会社分割し、オフィスビル賃貸事業及び不動産事業を株式会社フォーラムビルディングに譲渡

オフィスビル賃貸事業再編のため、株式会社フォーラムビルディングの株式全てを、株式会社フォーラムビルディングホールディングスに譲渡

2013年6月

千葉営業所をつくば市に移転し、つくばフォーラムとして営業開始

2014年12月

資本関係の整理のため、資産管理会社であった株式会社フォーラムを吸収合併

2015年3月

エンジニア派遣事業に専念するため、株式会社フォーラムビルディングホールディングスの株式全てを株式会社ラテール・エンタプライズ(現、株式会社ラテールホールディングス)へ譲渡

2016年4月

AIを活用した人材マッチングプラットフォームのサービスを開始し、エンジニア派遣における効率化を推進

2018年7月

AIを活用した人材マッチングプラットフォームを基軸として、エンジニアのスキルを可視化した人材紹介サイト「コグナビ」(現「コグナビ 転職」)のサービスを開始

2019年2月

企業のスキルアップ研修を近隣大学で実施し、エンジニアのスキルアップを支援する「コグナビ カレッジ」のサービスを開始

2019年7月

AIを活用した人材マッチングプラットフォームを基軸として理工系学生の学びから就職を支援する新卒紹介サイト「コグナビ 新卒」のサービスを開始

2019年10月

社内のエンジニア人材配置最適化を支援する「コグナビ タレントマネジメント」のサービスを開始

2020年3月

東京証券取引所市場第一部に株式を上場

2020年4月

本社を東京都港区(オークラプレステージタワー)に移転

2020年7月

AIを活用し、ITエンジニアのスキルを可視化した人材紹介サイト「コグナビ 転職IT」のサービスを開始

2021年9月

金沢フォーラムを閉鎖し、名古屋フォーラムに集約

2022年4月

東京証券取引所プライム市場に移行

2022年10月

インド法人 Cognavi India Private Limited を設立

2023年6月

インドにジョブポータルサイト「Cognavi(コグナビ)」をオープン

2023年11月

オンライン就活フェアサイト「CogFest(コグフェス)」のサービスを開始

 

3【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の連結子会社)は、当社(株式会社フォーラムエンジニアリング)、連結子会社1社により構成されております。当社は、1981年4月に主として人材派遣サービスを行う企業として設立されました。

エンジニア派遣サービスは、現在、当社グループの主業であり、2024年3月期売上高の99.3%を占めております。このエンジニア派遣サービスにおいて、2024年3月31日時点で1,368事業所に正社員として雇用しているエンジニアを4,224名派遣しております。また、当社グループは、その他に理工系新卒学生の就職支援から転職、教育、社内人材配置まで、エンジニアの全てのキャリアシーンを支援することを目的とした5つの「コグナビ」サービスを提供してまいりましたが、2023年3月31日をもって社内人材配置最適化サービス「コグナビ タレントマネジメント」をより顧客ニーズに合わせたサービス内容に刷新するために終了し、4つの「コグナビ」サービスを提供していくこととなりました。なお、当社グループはエンジニア派遣・紹介事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(1)エンジニア派遣

当社エンジニア派遣サービスの主なターゲットは、機械・電機系(以下、「機電系」という。)主要8業種(自動車、輸送用機械、産業用機械、精密機器、電気機器、家電、電子部品、情報通信)に属しており、従業員数が100名以上の約3,200事業所と、それらに属する部署になります。特定の企業や案件に偏ることなく、多くの取引先から受注を獲得出来ているため、取引基盤が広く安定しております。

当社は、これらの顧客企業に対し、設計・開発、実験・評価、生産技術、品質保証等の各職種にエンジニアを派遣しております。当社は、派遣エンジニアを原則正社員として雇用し、通勤可能範囲内の就業先を選定することで、安定した就業環境を提供しております。また、ITエンジニアも派遣エンジニアとして雇用しており、ソフトウエアの開発、IT機器や通信回線の監視等の業務に派遣しております。

当社のエンジニア派遣サービスの特長として、以下の3点があげられます。

①部署単位での顧客企業管理

当社の顧客企業は複数県にまたがって事業所を設置していることが多く、派遣契約に関する決裁権限も各事業所に付与されているケースが一般的です。この点を踏まえ、当社による顧客企業管理も企業単位ではなく事業所単位としております。さらに当社は、顧客企業の各事業所に属する部署までを把握して、その業務内容や必要とされるスキルなどの理解に努めております。このような部署単位での業務内容・人材ニーズ把握努力が、後述のエンジニア人材の人工知能(以下、「AI」という。)によるスキルをベースにしたダイレクトマッチングシステム「cognavi」(以下、「コグナビ」という。)開発の基となっております。

②「コグナビ」によるスキルをベースにしたダイレクトマッチング

当社は、顧客企業各部署の業務に必要なスキルをツリー構造で表した「テクニカルツリー」と、エンジニアが保有するスキルや経験をツリー構造で整理した「スキルツリー」をエンジニア派遣におけるマッチングにも利用しております。

当社は、顧客からの求人案件に対し、業務に必要なスキルの「テクニカルツリー」と当社派遣エンジニア社員の「スキルツリー」をマッチングさせ、それを可視化することで、求人企業から見ても求職人材から見ても主観に頼らないダイレクトマッチングシステムを提供しております。

③独自のルートによる人材採用

当社は、求人・求職情報サイトに広告を掲載して応募者を募る一般的な手法に加え、下記5つの派遣エンジニア人材採用ルートを構築しております。採用にあたっては、地域性を重視し、応募者の書類選考から採用に至るまで全てのプロセスを各営業拠点で行っております。通勤可能範囲や地域特性を考慮し、地元での就業を希望するエンジニア人材の意向に沿った就業機会の場を数多く、迅速に提案できる体制を整えております。

a.居住エリア内の求人案件への応募促進

当社は、自社専用人材採用サイトである「コグナビ 派遣」(旧エンジニアピット、2019年9月改称)を運用しておりましたが、2023年3月31日をもってサイトを閉鎖し、「コグナビ 派遣」の登録会員に向けて、会員が居住するエリアの当社顧客の派遣求人案件情報をメール配信し、応募を促すサービスへと変更いたしました。

b.カムバック採用

   当社で派遣エンジニアとして就業経験のある退職者に対して、当該人材が居住するエリアの派遣求人案件

  情報を定期的にメールで配信することで再応募を促進しております。

c.社員紹介制度

   当社社員から紹介された人材を派遣エンジニアとして採用する制度です。紹介者と求職者それぞれに報奨

  金を支払うことで応募を促進しております。

d.過去の就業辞退者

当社の派遣求人案件に応募されたものの選考過程で辞退された人材に対して、当該人材が居住するエリアの派遣求人案件情報を定期的にメール配信することで再応募を促進しております。

 

 

e.理工系大学からの紹介

当社は、理工系学生が将来エンジニアを目指すきっかけづくりとして、全国の大学でエンジニア経験者による「エンジニア職セミナー」を無料で開催しております。この取組みは、理工系学部の教授からも高く評価され、2024年3月期には機電系学部のある大学(144校)のうち、125校でセミナーを実施いたしました。

当社は、通常の新卒採用に加え、このようにエンジニア職セミナーを通して当社の取組みを評価していただいた教授等から当社を推薦いただき、理工系学生を当社エンジニアとして採用しております。

 

(2)エンジニア紹介及びその他

当社は、設立以来エンジニア派遣サービスを主業としてきましたが、以下の3点に配慮し、市場動向を先取りした新しいビジネスモデルを追求しております。

・当社の顧客企業・エンジニアについて、明確な選択と集中を行う。

・人材派遣ビジネスで一般的な「求人企業の需要」に対する営業活動ではなく、「求職人材」を起点とした営業活動を推進する。

・採用活動における労働集約的な業務のあり方からの脱却を目指して、業務プロセスの効率化を追求する情報通信テクノロジー(以下、「ICT」という。)を活用し、これらの特長を具現化したものが、エンジニアのスキルをベースにしたダイレクトマッチングシステム「コグナビ」です。

 

「コグナビ」の主な特長は以下のとおりです。

①エンジニアのスキルをツリーで体系化

「コグナビ」では、AIを活用し、エンジニアのスキル、顧客企業の各部署における業務内容の双方を、わかりやすく可視化して把握するために、「技術・ツール」「製品・部品」「職種・工程」「学問」の4分野から構成された技術要素に係る用語を、ツリー構造で体系的に整理しております。「製品・部品」を例にとると、「自動車関連」⇒「自動車」⇒「ボディ」⇒「内装部品」⇒「エアバッグシステム」のように、ツリーの階層が深くなるほど細分化されます。選択肢となる技術用語は、2024年3月末時点で約178,000語が登録されております。

②「スキルツリー」と「テクニカルツリー」

エンジニアが保有するスキルや経験を、ツリー構造で登録したものを「スキルツリー」と称しております。登録したスキルにはそれぞれ5段階の習熟度を設定することで、保有スキルの幅と深さを体系化、可視化しております。ツリーを構成する技術用語は、それぞれ「関係線」で結ばれております。ひとつの技術用語を選択すると、その関係線が関係する他の技術用語にも結び付きます。これにより、「このスキルを持っていれば、この製品も扱えるのでは?」といった、業界や職種の枠にとらわれない、それまで見えていなかった新たな可能性を見出すことが可能です。

一方、顧客企業における各部署の業務内容や必要とするスキルを、ツリー構造で登録したものを「テクニカルツリー」と称しております。「スキルツリー」同様、選択した技術用語に対し、それぞれ5段階の重要度を設定することで、必要とするスキルの幅と深さを体系化、可視化しております。なお、エンジニアが選択する「スキルツリー」と、顧客企業が選択する「テクニカルツリー」の項目は、同一のものとなっております。

③ツリーの技術用語を結ぶ「関係線」

ツリーの技術用語は分野ごとに繋がり、体系化されておりますが、各技術用語はそれぞれの分野を超えて技術的、学術的に関連し合っております。当社では、これらの関係性を線で繋ぐ「関係線」によって、エンジニアが気づかなかった職種や製品分野で活躍する可能性を提案できるようになりました。また、顧客企業においても、他業種で活躍したエンジニアの採用や、ジョブローテーションのための自社エンジニアの異動部署選定などに活用できる仕組みを提供しております。2024年3月末時点で、約150,000本の関係線が登録されております。

 

 

0101010_001.png

ツリーの技術用語間を結ぶ関係線イメージ図

 

 

④「マッチングスコア」と「マッチングツリー」

顧客企業における各部署の「テクニカルツリー」と、エンジニアや理工系学生の「スキルツリー」を重ね合わせてマッチングを行い、それを数値化した結果(「100」を完全マッチングとした場合の比率)を「マッチングスコア」と称しております。「マッチングスコア」のスコアは、エンジニアの持つスキルと顧客企業が求めるスキルが多くマッチするほど高くなります。

スキルのマッチングに際し、「スキルツリー」と「テクニカルツリー」を重ね合わせ、マッチングした箇所をハイライトしたものを「マッチングツリー」と称しております。「マッチングスコア」での判断に加え、「マッチングツリー」では具体的にどの技術要素がマッチしているかを視覚的に判りやすく把握できるため、顧客企業の各部署が重要視するスキルをエンジニアがどの程度保有しているかなど、より双方のニーズに合致した、客観的な意思決定を可能としております。

 

 

0101010_002.png

     テクニカルツリー・スキルツリー・マッチングツリー(例)

 

⑤「マッチングマップ」

上記の「マッチングスコア」は、「マッチングマップ」と称する地図上に表示されます。顧客企業側の画面には事業所を中心として、通勤圏内に居住するエンジニアとの「マッチングスコア」が表示されます。通勤可能範囲内にどのようなスキルを保有するエンジニアがいるのかを地図上で確認できます。一方、エンジニア人材側の画面には自宅を中心として、通勤圏内にある顧客企業における各部署との「マッチングスコア」が表示されます。通勤可能範囲内にどのような企業の求人があるのかを同様に地図上で確認し、応募することが可能です。

 

0101010_003.png

0101010_004.png

顧客企業側のマッチングマップ(例)

エンジニア人材側のマッチングマップ(例)

 

⑥ダイレクトマッチング支援機能

顧客企業の担当者は、上記の「マッチングマップ」上の転職・就職希望者を確認したうえで、着目したエンジニア人材に対して応募を促すためのオファーメールを送信することが可能です。また、エンジニアは、「マッチングマップ」上の興味のある企業に対して、採用を働きかけるアピールメールを送信することが可能です。

応募やオファーメール、アピールメール送信後における、エンジニアと顧客企業担当者とのやりとりは、「コグナビ」上にてチャット形式で行います。書類選考から面接の設定、面接結果の連絡まで、全て「コグナビ」上で完結させることが可能です。

当社は、上記の「コグナビ」の6つの特長を活かした人材サービスとHRマネジメントサービスを提供しております。「コグナビ」をベースとして、エンジニア人材市場における全ての人材流動パターンを捕捉するため、以下の5つの「コグナビ」サービスをラインアップしております。これにより、当社は全てのエンジニア採用ルートを備えたビジネスモデルを構築しております。

(人材サービス)

a.コグナビ 派遣(エンジニア派遣サービス)

b.コグナビ 転職(機電系エンジニア人材紹介サービス)

c.コグナビ 新卒(新卒理工系学生就職紹介サービス)

(HRマネジメントサービス)

d.コグナビ タレントマネジメント(企業内人材最適化配置サービス、2023年3月31日サービス終了)

e.コグナビ カレッジ(企業内エンジニア向け研修仲介サービス)

これら「コグナビ」各サービスの概要は以下のとおりです。

 

a.コグナビ 派遣

上記(1)に記載のとおりです。

 

b.コグナビ 転職

顧客企業と機電系エンジニアの転職希望者を「コグナビ」の根幹となるツリーと「マッチングマップ」によって結びつける人材紹介サービス「コグナビ 転職」を2018年7月に立ち上げました。このサイトは「エンジニアの転職はAIの時代へ。」をコンセプトとし、「コグナビ」の仕組みを活用して求人企業と求職人材をダイレクトマッチングする機能を有しております。

ターゲットとなる顧客企業と機電系エンジニアは「コグナビ 派遣」と共通であり、2024年3月末時点で、24,872名の登録会員を有し、求人案件掲載事業所数は204となっております。

なお、2020年7月から、ITエンジニアに特化した人材紹介サービス「コグナビ 転職IT」を立ち上げましたが、2023年6月30日をもちまして、機電系エンジニア人材紹介サービス「コグナビ 転職」に統合し、単独でのサービスを終了しております。

 

c.コグナビ 新卒

「コグナビ 転職」における、ツリーと「マッチングマップ」を核としたマッチングの仕組みを、顧客企業と新卒理工系大学・大学院学生の就職希望者とのマッチングに応用する理工系学生専門の就職支援サービス「コグナビ 新卒」を2019年7月に立ち上げました。このサービスは「好きな科目が仕事につながる」をコンセプトとし、「学生が自分にどんな仕事が合っているかよくわからないため、知名度のある企業に応募が集中してしまう」という従来型就職活動の課題を解決し、自分の学んだ科目を生かして就職先企業を見つけることができるサービスです。求人企業にとっても、大学名や成績で判断するのではなく、各部署に応じた業務に必要な知識を備えた学生の採用につながるものと考えております。

基本的な仕組みは「コグナビ 転職」と同じですが、「コグナビ 転職」における「スキルツリー」の代わりに、就職を希望する学生が大学で学んできた「履修科目」と「実験実習」に関する「履修ツリー」を作成して利用します。また、「コグナビ 転職」における5段階のスキル「習熟度」の代わりに3段階の実験実習「習得度」を設定し、さらに好きな履修科目に対して「好きな科目」マークを付すことができる仕組みになっております。

また、「コグナビ 新卒」は、文系・理工系双方の学生を対象としている既存の総合型求人・求職情報サイトと異なり、理工系学生が就職後の環境がイメージしやすい独自コンテンツを掲載しております。企業単位ではなく事業所単位でコンテンツを準備し、それぞれの事業所でどのような製品を扱い、どのような部門があるのかを紹介しております。また、実際のオフィスや実験設備、就業している若手エンジニアへのインタビュー等を、写真や動画、360度パノラマ動画にて掲載しております。

これらの企業紹介コンテンツは、当該企業が「コグナビ 新卒」の管理画面上で作成及び更新できるようになっております。この機能により、掲載企業は常に最新の情報を維持することができ、当社は掲載コンテンツの作成及び更新に関する工数負担を削減することが可能と考えております。なお更新にあたっては、当社管理担当者による内容確認を経て公開される流れとなっております。

なお、「コグナビ 新卒」のターゲットとなる顧客企業は、「コグナビ 派遣」のターゲットとほぼ同様となります。

 

d.コグナビ タレントマネジメント

「コグナビ タレントマネジメント」は、「コグナビ」の根幹となるツリーを核としたマッチングの仕組みを応用し、「テクニカルツリー」による部署ごとの業務に必要なスキル情報と、「スキルツリー」による在籍エンジニアの保有スキル情報を登録することで、顧客企業における在籍エンジニアの流動化を促進するような人材配置システムを実現できないかという発想から、2019年10月よりサービスを開始しておりましたが、2023年3月31日をもちましてサービスを終了いたしました。今後は、顧客企業のニーズを再検討し、サービスを刷新することを考えております。

 

e.コグナビ カレッジ

顧客企業内の各部署における不足したスキルをカバーするためには、人材を社内もしくは社外からの補充、又は在籍エンジニアへの教育が必要となります。教育の受け皿として、機電系製造業の自社エンジニア向けリスキリング研修を近隣の大学で実施するために両者の仲介を行うサービスを「コグナビ カレッジ」という名称で2019年2月より提供しております。

これまで企業の研修は、外部研修業者の施設で実施するか、企業内でのOJT、Off-JTという形が殆どでしたが、より専門的な知識の習得や、技術革新に伴う企業の業態変換等に対応するにあたっては、選択肢の少なさや講師の不在が課題となっていました。また採用環境が厳しい中、設計部門に理工系以外の学生を採用してから育成するといったニーズも発生しております。

一方、大学にとっては少子化に伴って学生の確保が年々困難となる中、施設や教授の稼働率向上、競合となる近隣大学との差別化、近隣企業との関係強化による就職率の向上等、様々な課題を抱えております。

専門知識を持った大学教授と充実した大学の設備を活用し、企業のニーズに沿った研修を当社がカスタマイズして提供することで、双方の課題を解決すると共に、企業と大学とのコミュニケーションが強化されることで、将来の新卒採用や共同研究の可能性を広げ、地域活性化にも貢献し得るサービスです。

また、2024年3月末時点で、11大学と基本契約を締結しております。2024年3月期においては、655名が受講しております。

 

以上のほか、当社から派遣されているエンジニアを顧客が直接雇用したい場合に、本人の希望を確認のうえ、一定の手数料を受け取り、雇用関係を変更する場合があり、これを「転籍」としております。

以上で述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。

 

[事業系統図]

 

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4【関係会社の状況】

名称

住所

資本金

(百万インドルピー)

主要な事業の内容

議決権の所有割合又は被所有割合

(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

Cognavi India Private Limited(注)

Austin Town,

Bengaluru, Karnataka,

India

1,100

インド向けジョブポータルサイトの運営及びHRテックサービスの開発運営

81.82

当社グループのサービスを主としてインドで販売している。

役員の兼任あり。

(注)特定子会社に該当しております。

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

区分

従業員数(人)

株式会社フォーラムエンジニアリング

4,662

Cognavi India Private Limited

60

合計

4,722

(注)Cognavi India Private Limitedの従業員数には、同社のDirector及びConsultantを含んでおります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(百万円)

4,662

37.8

7.7

4.7

当社は、エンジニア派遣・紹介事業の単一セグメントですが、技術社員と管理部門等のスタッフ社員に区分して記載しております。

名称

従業員数(人)

技術社員

4,340

スタッフ社員

322

合計

4,662

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者(嘱託社員、契約社員)は従業員総数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.技術社員とは当社の顧客企業の事業所に勤務する従業員であり、スタッフ社員とは当社事業所に勤務する従業員であります。

4.従業員数は前事業年度に比べ285名増加いたしました。これは主に技術社員の経験者採用数が増加したことによるものであります。

 

(3)労働組合の状況

 当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異(注)1.

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)2.

男性労働者の育児休業取得率(%)

 (注)3.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)2.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

46.3

46.3

87.4

88.2

61.6

-

(注)1.Cognavi India Private Limitedは、現在安定的な事業運営の推進と拡大に向けた取組みを進めており、人的資本に係る実績の集計は行っておりません。そのため上記の記載は、株式会社フォーラムエンジニアリング単体の数値です。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。