当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、経営理念及び行動規範を次のとおり制定し、これらの実践をとおして、一層の企業価値向上を目指してまいります。
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[SPIRIT of Kantsu]
~働く人を大切にする~ ・業界No.1の報酬を目指す ・業界No.1の品質を目指す ・業界NO.1の生産性を目指す
~お客様を大切にする~ 最高のパートナーシップを目指す ・最高のスピード ・最高の品質 ・最高の提案
~より具体的な社会貢献~ ・多様性に対応した雇用機会の提供 国籍や文化、言語、そしてさまざまな生活背景を持つ人々に対し、平等な雇用機会を提供し、社会統合と経済的自立を支援することを目指す。 ・保育施設の提供または支援 社内保育施設の設置や、社外の保育サービスへの補助を通じて、従業員の育児負担を軽減する。 ・フレキシブルな勤務体制の導入 柔軟な勤務時間や在宅勤務制度を導入し、子育て中の従業員が仕事と家庭を両立しやすくする。 ・エコフレンドリーな輸送手段の利用 電気自動車やハイブリッド車など、環境に優しい輸送手段の積極的な利用。 輸送効率を最大化するための共同物流や時間指定なし配送などを推進し、CO2排出量の削減を図る。
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(2) 中長期的な経営戦略
当社グループは、経営者及び従業員等の「人的経営資源」、設備及び資金等の「物的経営資源」、並びに情報、ノウハウ等の「情報的経営資源」の展開を、当社グループの事業ドメインである「物流サービスを中心とした事業活動の改善サービスの提供」に集中的に展開する「集中戦略」を採用してきております。
当社は、持続的な成長の観点から、物流サービスの一層の市場開拓を図り、これらの改善や省人化活動をとおして獲得したノウハウ等を、ソフトウエアや新たなサービスとして商品化し、お客様の声を改善に活かして品質向上を推進することにより、より多くのお客様を獲得し、またより多くのサービスをご利用いただくことによって、事業の拡大を図ってまいります。
今後においても、「物流サービスを中心とした事業活動の改善サービスの提供」に経営資源を集中することにより、またM&Aによる事業拡大に積極的に取組むことにより、新しい経営資源を効率的に獲得し、有効に活用することによって、既存サービスとの相乗効果によるサービスの提供機会の増加を図り、異業種への事業多角化を図るよりも低リスクで利益貢献の可能性が高い事業展開を推進してまいります。
(3) 経営環境
当社グループは、物流サービスの提供を主たる事業とし、物流サービスの中でも、主にEコマース及び通信販売事業を営む企業様向けの配送センター代行サービス「EC・通販物流支援サービス」の提供に係る事業を展開しております。経済産業省がまとめた「令和5年度電子商取引に関する市場調査」によりますと、当社の主たるサービスにかかわりの深いEC市場について、2023年のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は24.8兆円(前年22.7兆円、前年比9.23%増)となった一方で、物販系分野におけるBtoCのEC市場規模は2022年の14.0兆円から2023年には14.7兆円(伸長率4.83%)に増加し、引続き物販系分野のBtoC-EC市場の規模が拡大基調となっております。しかしながら、物販系分野の成長率は鈍化傾向にあり、新型コロナウイルス感染症の影響が沈静化し、消費者の実店舗への回帰が進んでいることが要因と考えられます。
(4) 目標とする経営指標
2025年2月期の業績は売上高15,270百万円となりましたが、経常損失92百万円、親会社株主に帰属する当期純損失848百万円を計上する結果となりました。この主な要因は、2024年9月ランサムウェアによる第三者からの不正アクセスを受け、当社が開発・運営する入出庫に関わる複数のシステムが停止したことにより、物流サービス事業およびITオートメーション事業において入出庫処理の停止または遅延が発生したことによるものであります。また、情報セキュリティ対策費713百万円を特別損失として計上したことも業績に大きく影響いたしました。
物流業界では「2024年問題」として、2024年4月から働き方改革関連法によってトラックドライバーの時間外労働時間に上限規制(年間960時間)が設けられたことで発生するさまざまな課題に直面しております。この規制により物流業界全体の人手不足が深刻化し、物流コストが増加する環境下において、当社のシステム障害はさらに厳しい状況をもたらしました。
現在、当社グループは業務復旧のため、被害を受けた環境とは別に新環境を構築し、業務を再開しております。また、新たな環境においては常時監視する仕組みの導入など、今後の被害を防ぐための措置を講じております。
2026年2月期の連結業績につきましては、売上高15,965百万円(前期比4.6%増)、営業利益259百万円(前期は47百万円の営業損失)、経常利益260百万円(前期は92百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益187百万円(前期は848百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)を計画しております。情報セキュリティ体制の強化と効率的な物流サービスの提供、IT技術の活用による生産性向上を図り、業績の回復と安定化に取り組んでまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、長年にわたる物流サービス事業、並びにITオートメーション事業で蓄積したノウハウを活かし、今後においても持続的な成長を遂げるため、次の事項を対処すべき課題と認識しております。
1 人材の確保と育成
当社グループの事業拡大には優秀な人材の獲得が不可欠であり、品質維持・向上には人材育成が不可欠であります。人材獲得では、高校・大学卒の新卒採用および外国人技能実習生の受け入れを継続的に実施し、現場スタッフを確保するとともに本社機能を充実させております。今後も同様の手法で人材を獲得する方針であります。
人材育成では、経営理念や社内方針等をまとめた『SPIRIT of Kantsu』を配布し、これに基づく勉強会を開催して基礎事項の徹底を図るほか、長年の物流サービス事業で培ったノウハウを反映した独自教育プログラムを計画的に実施しております。
人事評価制度では、毎月の上司面談を通じて達成意欲を喚起し、パート従業員を含む働きやすい環境を整備して戦力化を推進しております。物流品質を維持・向上させるため、教育プログラムの更新と結果・プロセス双方を評価する制度の充実により、高度化する顧客ニーズに対応できる人材を育成する方針であります。
2 持続的な事業規模の拡大
当社グループは、メーカーや輸入業者の製品在庫管理から卸売業者・EC事業者への流通、購入者への発送までを一拠点で管理運営する統合物流サービスの提案を強化し、BtoB・BtoC双方のニーズに応じた新サービスの創出により事業規模を拡大し企業価値を高める方針であります。
社内で実践し成果を確認した取り組みを新サービスとして顧客に提供することを基本とし、倉庫管理システム「クラウドトーマス」やチェックリストシステム「アニー」などのITオートメーション事業は代表例であり、現在も規模を拡大し当社の利益に貢献しております。
2023年12月に設立した子会社関通ネクストロジ株式会社が河出興産株式会社から出版物流サービスを譲受け、顧客基盤を拡大しております。今後もこれらの取り組みを継続するとともに、M&Aによる事業拡大にも積極的に取り組んでまいります。
3 継続した改善活動による物流品質・生産性の向上及び新しいノウハウの蓄積
当社グループは、環境整備活動を継続し、物流サービス事業で新たな概念を取り入れた高度な改善活動を推進しております。独自の知見に基づき新規設備の導入や業務改善を進め、物流品質・生産性の向上、新規ノウハウの蓄積および持続的なコスト最適化に取り組んでまいります。
(注)環境整備活動とは、「仕事をやりやすくする環境を整えて備える活動」であり、当社の教育・企業文化形成の柱としております。毎日決まった時間に全従業員が30分の時間を使って実施します。整理、整頓、清掃等を基本として、仕事とそのやり方を学び、気付く感性を育て、円滑なコミュニケーションを図る機会を生み出だすものです。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、物流サービス事業として、主にEコマースや通信販売で商品を販売されているお客様に、商品の入庫、在庫管理、並びに商品のピッキング、梱包等のEC・通販物流支援サービスを提供し、また、ITオートメーション事業として、倉庫管理システム「クラウドトーマス」の利用サービスを提供する等、商品を販売されるお客様に、物流関連を中心としたサービスを提供しております。
拡大するEコマース市場において、日々変動し続ける情勢に対応し、リスク低減と事業機会の創出によるレジリエンス強化に取り組んでまいりました。その一環として、従業員の幸福と成長を支え続ける取り組みを継続しております。
企業主導型保育園や放課後デイサービス、就労移行支援事業所の運営や外国人技能実習生の受け入れ、就労継続支援B型事業所の運営を活用した障碍者雇用の推進、女性管理職の増加等は、多様性と包摂性を促進する方針の具体的な表れであります。
今後も従業員の幸福と成長を支え続ける取り組みを、社員一丸となって継続してまいります。
(1)ガバナンス
ガバナンスに関して、サステナビリティ経営を推進するために部門間をこえたメンバーによるESG委員会を発足し、当社が取り組んでいる事業や強みを、ESGを切り口に再定義して推進活動に取組む方針であり、その活動内容については定期的に取締役会に報告してまいります。
取締役会はESG委員会に関するモニタリングを行い、その報告等も踏まえ、サステナビリティに関する課題や取組み等を議論・監督してまいります。
(2)戦略
当社グループは、環境と安全に配慮した価値ある物流サービスの提供と、新しい事業開発を通じて、真の顧客満足を実現し、企業の発展と社会への貢献を果たします。また、その目的を達成する為、2025年2月期より新たなミッションとして、『For Employee 業界ナンバーワンの報酬を目指す・業界ナンバーワンの品質を目指す・業界ナンバーワンの生産性を目指す』を掲げております。このミッションをバックボーンとし、「全体を捉え経営参画意識が高く、提案力を持った専門性の高い人材」や、「目標を掲げてチャレンジし、スピード感を持って仕事に取り組む人材」を当社グループが求める人材として育成及び採用活動を実施しております。
評価体系は、「目標達成のためのプロセス」「目標の達成度」から構成される人事考課を年2回実施、部門ごとにそれぞれ詳細な考課項目を設けて公正な評価に努め、従業員のスキルアップ、業績管理を充実させることはもちろんのこと、当社グループ全体の業績向上及び業務の効率化を目指しております。
教育体制は上司との面談を四半期に一度実施し、上司と部下が目標達成のための課題を克服するために個人ごとの達成目標を共有し、必要なスキルを獲得するための自己啓発目標等を設定、また各人の資格等級や役職に応じた研修・勉強会を行っております。
健康管理は毎年健康診断を実施すること等により、社員の疾病予防や健康づくりを行っております。
(3)リスク管理
サステナビリティに関するリスク及び機会は、ESG委員会の活動や各部門により識別されます。識別されたリスク及び機会は、顕在化した場合に当社グループに与える財務的影響、環境や社会に与える影響、発生確率を踏まえて重要性を評価され、重要な事項は取締役会へ報告されます。
取締役会は、報告を受けた重要なリスク及び機会について議論し、その対応策の決定、実行を行います。
2025年2月期においては、当社グループがランサムウェアによる第三者からの不正アクセスを受け、当社が開発し利用、及び運営する入出庫に関わる複数のシステムが停止するという重大なセキュリティインシデントが発生しました。これにより、物流サービス事業およびITオートメーション事業において入出庫処理の停止または遅延が発生し、業績に大きな影響を及ぼすこととなりました。
当社グループは、この事態を重く受け止め、業務復旧のため被害を受けた環境とは別に新環境を構築し業務を再開しております。また、新たな環境においては常時監視する仕組みの導入など、今後の被害を防ぐための措置を講じるとともに、情報セキュリティ体制の強化に取り組んでおります。
このような取り組みを継続し、今後も安全・安心なサービスの提供と社会的責任の遂行に努めてまいります。
(4)指標及び目標
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の育成及び社内環境整備の内容として女性が活躍できる職場環境の構築を進めており、2025年2月期の女性管理職比率(部長以上の管理職に占める女性の割合)は21.4%となりました。今後も女性リーダーを積極的に育成し、役職の人数を増員し、目標として女性管理職の人数を2030年までに2025年2月時点の2倍とすることを掲げております。組織の活性化や女性がキャリアアップし易い環境作りに努めてまいります。
なお、管理職に占める女性労働者の割合は、「
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)公的規制強化のリスクについて
当社グループは、物流事業を中心とする3PL(企業物流の包括的受託)企業として、物流事業に関する各種事業法の規制を受けています。そのような中、当社は、法令遵守の徹底を図るため、代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会を設置し、事業活動の適法性の確保に努めておりますが、環境対策及び安全対策の規制強化などを遵守するために一層の費用負担を求められるリスクや、法令等違反した場合に事業の停止、許認可の取消等を受けるリスクがあります。したがって、これらの事象は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
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セグメント区分 |
許認可 事業 |
法律 |
監督官庁 |
許認可等 の内容 |
有効期限 |
取消事由 |
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物流サービス事業 |
倉庫業 |
倉庫業法 |
国土交通省 |
登録 |
- |
同法第21条 |
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第一種貨物 利用運送事業 |
貨物利用運送事業法 |
国土交通省 |
登録 |
- |
同法第16条 |
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その他の事業 |
指定障害児 通所支援事業 |
児童福祉法 |
厚生労働省 |
指定 |
6年 |
同法第21条の5の24第1項又は第33条の18第6項 |
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指定障害福祉サービス事業者 |
障害者総合支援法 |
厚生労働省 |
指定 |
6年 |
第36条の第3項又は第2条の第6項 |
(2)設備投資・投資成果・減損等のリスクについて
当社グループは顧客の物流業務を受託する際、物流センターや設備機器、情報システム等に対して先行的に設備投資を行う場合があります(新規顧客のセンター開設時など初期投資が必要となります)。投資にあたっては事業収支計画を策定し慎重に判断しておりますが、経済状況の悪化等により顧客の業績不振や支払停止が生じると、投下資金の回収が困難となり将来の成長や収益性が低下する可能性があります。また、継続的な設備投資やソフトウェア開発を行っておりますが、計画通りに実施しても期待した投資効果を得られない場合や、事業環境の変化により保有資産に減損損失が発生する場合があります。さらに、資本市場から調達した資金についても、状況の変化により当初予定とは異なる用途に充当する可能性があり、想定通りの成果を得られないリスクがあります。これらの場合、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。特に物流施設やITシステムへの投資額は多額であり、その減損が発生した場合には当社グループの財務指標に及ぼす影響も大きくなる可能性があります。
(3)コスト上昇リスクについて
当社グループは、物流業務において輸配送サービスを外部の専門業者に委託しておりますが、原油価格や為替レートの変動により燃料費が高騰した場合や、車両・ドライバー不足、関連法令の改正等により庸車費用が上昇した場合は、輸配送コストが上昇する可能性があります。輸配送コストの上昇分は、お客様にご理解いただき、値上げ対応させていただく方針であり、また輸配送サービスの委託先については、佐川急便株式会社及びヤマト運輸株式会社の占める割合が相対的に大きいため、他の輸配送サービス業者との関係構築等に努めております。加えて、物流センター運営等にかかわる水道光熱費等の経費のほか、従業員の賃金及び労働力の確保のためのコストが上昇する可能性があり、作業の効率化による残業の削減、空調設備の充実、リフレッシュ休暇(注)の取得促進、社員教育等をとおして働きやすい環境の構築に努めるとともに、新しい物流設備の導入等による生産性の向上に取組んでおります。しかしながら、これらの対策が奏功しない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(注)リフレッシュ休暇とは、社員若しくはパート社員として半年以上勤務した者が、半年に1度の頻度で5から6連休の休暇を取得できる制度です。
(4)甚大な災害発生のリスクについて
当社グループは、物流センターを運営する等、顧客の商品やそれらの管理にかかわる情報を取り扱っていること等から、BCPや災害発生時のマニュアル整備・火災予防対策など、事前対策の推進に取り組んでいます。しかしながら、地震・風水害などの天災地変により、停電・輸送経路の遮断などの事態が発生した場合、物流業務の停滞を招く恐れがあります。したがって、これらの事象は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5)情報セキュリティ・システム障害のリスクについて
当社グループは物流業務の受託およびソフトウエア提供に際し、顧客の機密情報を取り扱っております。社内規程の整備、内部監査および社員教育の徹底など情報資産の管理に努めておりますが、万が一情報の外部流出やデータ消失などが発生した場合、社会的信用の低下や顧客からの損害賠償請求に繋がる可能性があります。また、当社グループは物流センター業務やITサービスにおいて自社開発の倉庫管理システムを使用しており、外部からのサイバー攻撃に備えたセキュリティ対策やデータバックアップ等を講じております。それでもなお、災害やサイバー攻撃などによりシステムがダウンあるいは破壊された場合、業務に重大な支障が生じる可能性があります。これらの事象が発生した場合、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。さらに、業務委託先における情報管理の不備から機密情報が流出するリスクにも注意を払っておりますが、完全に排除することは困難であります。
(6)M&A及び資本業務提携等のリスクについて
当社グループは、持続的な成長のため、M&Aや資本業務提携等を行うことがあります。これらの実施にあたっては、事前に対象企業の財務内容や契約内容等審査を十分行い、リスクを検討したうえで決定していますが、実施後の事業環境の変化等により、当初想定していた成果が得られないと判断した場合や、資本業務提携等を解消・変更する場合、のれんや持分法で会計処理されている投資の減損損失等、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)金利変動および資金調達のリスク
当社グループは物流センター増設などの設備投資資金を主に金融機関からの借入金で調達しております。変動金利の借入は金利上昇リスクに晒されているため、低金利下での長期固定化など適切な固定・変動比率の管理に努めておりますが、予想を上回る金利上昇が発生した場合には調達コストが増大する可能性があります。なお、2025年2月期末現在、当社グループの有利子負債残高は約62億円(総資産比約60%)に上り、財務レバレッジが高い水準にあります。現時点では金融機関との関係は良好でありますが、将来、経営成績の悪化や金融情勢の変化等により金融機関からの融資姿勢が慎重化し、必要な資金調達に支障が生じた場合、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。借入金利の上昇は利払い負担増によるキャッシュフロー悪化を招き、新規投資余力の低下にも繋がる可能性があります。さらに、資金調達が逼迫した場合、資金確保のため不利な条件での借入や株式発行(株主価値の希薄化)を余儀なくされる可能性があります。
(8)人材確保のリスクについて
当社グループの展開する物流サービス事業は労働集約型産業の一面があり、人材の確保や管理職の育成強化が、ITオートメーション事業においてはソフトウエア開発者等の専門職の確保や専門職の育成強化が重要となります。当社の事業計画を遂行する上で必要な人材を継続的に採用し、労働環境の整備や教育体制の充実等により人材の定着を図ることが、当社グループの持続的な成長にとって必要となります。これらが達成できなかった場合、また、達成のために人件費等増加が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9)市場環境の変化および競合のリスク について
当社グループはアパレル、日用品、食品を扱うEC(通信販売)事業者を主要顧客としており、現在EC市場は拡大基調にあります。しかし、国内景気の悪化等によりEC市場の成長が停滞または縮小に転じた場合、当社グループの取扱業務量が減少する可能性があります。また、物流業界では大手企業による自動化・無人化倉庫の展開や業界再編など競争が激化しており、ITオートメーション事業においても同業他社との競合があります。当社グループは顧客のニーズに応じた柔軟なサービス提供や、自社現場で培ったノウハウを活かしたソフトウェアの改良等により競合他社との差別化を図っておりますが、これらの取り組みが奏功せず将来的に競争優位を維持できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、競合他社が低価格戦略やサービスの拡充を図った場合、当社グループの顧客が流出しシェアが低下する可能性があります。また、市場動向の変化に当社グループの対応が遅れた場合、ビジネスチャンスを逃し業績に影響が出る可能性があります。
(10)業績変動のリスクについて
当社グループが得意とするインターネット通販事業者向けのEC・通販物流支援サービスでは、お客様が開催する各種セールや、入学や進級等のライフイベントに伴う季節的な時期において、需要が増加し売上が集中する傾向にあります。そのため、当該時期における人材や資材等の確保が必要となり、また、それに伴う売上高及び営業利益の増加を見込んでおり、それらは当社グループの季節要因として経営成績に影響を与える傾向にあります。経済や業界の動向、取引先の業況による景気変動などにより、季節要因等影響が計画通り進捗しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(11)創業者への依存リスクについて
当社の代表取締役社長である達城久裕は、当社設立以来の代表取締役社長であります。同氏は経営方針や経営戦略等、当社の事業活動において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社の依存度は高くなっております。当社グループにおいては、同氏に過度な依存をしない経営体制を構築すべく、担当役員や本部長等に権限委譲を進めておりますが、何らかの理由で同氏の業務遂行が困難になった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(12)物流拠点の賃借に関するリスクについて
当社グループは物流サービスの提供にあたり、多くの物流センターを賃借しております。自社で保有する物流施設は限られており、大部分を外部からの賃借に依存している状況であります。契約形態によっては、貸主の都合による中途解約や契約満了時の更新拒絶等により、想定外に当該拠点が使用できなくなる場合があります。その際は他の施設の活用や新規拠点の確保等で業務継続に努めますが、適切な代替施設を迅速に確保できなければサービス提供に支障が生じる可能性があります。また、近隣の賃料相場上昇等に伴い契約更新時に賃料が大幅に引き上げられる場合もあります。当社グループはその妥当性を検証の上で貸主と協議し、必要に応じて顧客にも理解を求めますが、新拠点への移転には時間と費用を要するため、賃料負担が増大し取引継続が困難になった場合には当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。重要拠点の閉鎖は当社グループの物流ネットワーク全体に支障をきたし、サービスレベルの低下や顧客離れを招く可能性があります。
(13)訴訟等のリスクについて
当社グループは、サービス提供に関して品質等のトラブルや問題が発生した場合、当社グループに過失の有無を問わず、顧客等から損害賠償請求や訴訟(以下「訴訟等」といいます。)を提起される可能性があります。当社グループでは、トラブル発生時には迅速な対応を図り、また事前に取引基本契約書を締結する等でリスクを低減しておりますが、万一、重大な訴訟等が生じた場合には、社会的信用の低下や高額の損害賠償負担が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)サービス品質の低下リスクについて
当社グループは、EC・通販物流支援サービスの提供に当たり、環境整備活動や従業員教育、作業ミスに関するアセスメント(事故報告アセスメント)による改善の横展開等によりサービス品質の維持・向上に努めております。しかし、これらの取組みが不十分であった場合やオペレーションに不備が生じた場合には、お客様満足度が低下し、ひいては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)事故報告アセスメントとは、誤出荷等の業務上のミスの原因究明を行い、対策や改善内容を役員が直接従業員へ教育し、全社で共有するための定期的な教育機会であります。
(15)株式価値の希薄化および大株主に関するリスクについて
当社グループは役員および従業員の士気向上を目的として新株予約権(ストックオプション)を発行しております。これらが権利行使され新たに株式が発行された場合、既存株主の持株比率および議決権割合が希薄化する可能性があります(2025年2月期末現在、潜在株式数367,900株・発行済株式数の約3.57%)。また、当社創業者である代表取締役社長およびその親族などが当社株式の約50%(議決権所有割合50.74%)を保有しており、経営方針の決定に大きな影響力を有しております。同社長は株主全体の利益に配慮した経営に努めておりますが、何らかの事情で同グループが大量の株式を市場で売却した場合、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。このため、経営意思決定において少数株主の意見が十分に反映されない事態が起こる可能性があります。さらに、経営方針の相違から支配株主と一般株主との間で利益相反が生じるリスクも存在します。支配株主と一般株主の利益相反が顕在化した場合、当社株式の市場評価にも影響が及ぶ可能性があります。
(16)配当方針にかかるリスクについて
当社グループは、株主に対する利益還元を経営上の重要な課題と認識しており、剰余金の配当については、将来の事業展開及び財務体質の強化のために必要な内部留保金を確保しつつ、安定した剰余金の配当を実施していく方針であります。
しかしながら、剰余金の配当につきましては、長期的な視野に立った事業展開の中で、設備投資資金の確保及び財務体質の強化のための内部留保の充実を優先する考えであり、当社グループの業績が何らかの理由で悪化した場合は、安定した剰余金の配当を継続できない可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2024年3月1日から2025年2月28日まで)における我が国経済は、緩やかな回復基調が続く一方で、グローバルな供給網の不安定さや円安傾向による輸入コスト増が懸念材料です。物流業界においては、EC市場の成長に伴う物量増加はあるものの、輸送力不足による配送遅延リスクを内在しており、これに対し倉庫代行業者は柔軟な在庫配置や多様な輸送手段の活用を通じて、安定供給を目指すこととなりました。政策面では、政府が推進する「物流革新緊急パッケージ」などの支援策が段階的に効果を発揮しつつありますが、具体的な成果が業界全体に波及するには時間を要します。また、環境規制の強化に伴い、カーボンニュートラルに向けた取り組みも進展しており、倉庫運営における省エネルギー化や再生可能エネルギーの活用が今後の競争力に影響を及ぼすと予測されております。また、人手不足は依然として深刻な課題でございます。厚生労働省のデータによれば、物流関連職種の有効求人倍率は高止まりしており、倉庫内作業員の確保が全体として困難な状況が続いております。このため、人件費の上昇圧力が高まり、企業は省力化投資や自動化技術の導入を加速させざるを得ない状況です。一方で、自動化設備の導入には初期投資が必要であり、中小規模の事業者にとっては財務的な負担となる可能性があります。
このような環境のもと、当社は2024年9月に当社サーバーがランサムウェアによる第三者からの不正アクセスを受け、さらなる攻撃予防のため取引先様及び外部とのネットワークを遮断する等、各種業務に支障をきたす事態となりました。下期の業績に大きな影響を与えると同時に、被害を受けた環境で開発や使用していたソフトウエア、工具、器具及び備品等の除却や、再度のサイバー攻撃を回避するべく新たに強化されたセキュリティ体制の構築のため情報セキュリティ対策費用、当連結会計年度の戦略の一つとしていた、関連会社と共同開発する最中だった発注自動化システム「ECOMS」の開発を、本件により中止したことに伴う損失が発生する等、想定し得ない費用が発生し特別損失を計上することとなりました。
これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高が15,270,075千円(前期比27.9%増)、営業損失は47,406千円(前期は410,384千円の営業利益)、経常損失は92,090千円(前期は406,135千円の経常利益)、セキュリティ対策費用として713,024千円を特別損失として計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純損失は848,221千円(前期は49,693千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
なお、各セグメントの売上高は外部顧客への売上高を表示し、セグメント損益は連結損益計算書における営業利益又は営業損失をベースとしております。
(物流サービス事業)
物流サービス事業におきましては、上記ランサムウェアによる第三者からの不正アクセスを受け、当社が開発し利用、及び運営する入出庫に関わる複数のシステムが停止したことにより、当社及び当該システムを利用されている取引先様の入出庫処理の停止または遅延が発生しました。業務復旧のため、被害を受けた環境とは別に新環境を構築し、業務を再開しておりますが、この影響は売上高・セグメント損益ともに大きな影響を及ぼすこととなりました。
これらの結果、物流サービス事業に係る当連結会計年度の売上高は14,524,022千円(前期比29.7%増)、セグメント損失は328,503千円(前期は100,796千円のセグメント利益)となりました。
(ITオートメーション事業)
ITオートメーション事業におきましても、倉庫管理システム「クラウドトーマス」及び「クラウドトーマス Pro」においてシステムが停止する事態となり、当該システムを利用されている取引先様の入出庫処理の停止または遅延が発生しました。新たな環境においては常時監視する仕組みの導入など、今後の被害を防ぐための措置を講じております。
これらの結果、ITオートメーション事業に係る当連結会計年度の売上高は638,677千円(前期比0.7%増)、セグメント利益は333,852千円(前期比6.1%増)となりました。
(その他の事業)
その他の事業におきましては、障がい者のお子様向けの放課後等デイサービスが堅調に推移しました。
この結果、その他の事業に係る当連結会計年度の売上高は107,376千円(前期比1.1%増)、セグメント損失は52,755千円(前期は5,058千円のセグメント損失)となりました。
[2025年2月期 セグメント別連結経営成績] (単位:千円,%)
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セグメント区分 |
売上高 |
セグメント損益(営業損益) |
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サービス区分 |
実績 |
百分比 |
前期 増減率 |
実績 |
売上高営業利益率 |
前期 増減率 |
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EC・通販物流支援サービス |
14,295,686 |
93.6 |
30.5 |
- |
||
|
|
受注管理業務代行サービス |
184,777 |
1.2 |
5.4 |
- |
||
|
|
その他 |
43,558 |
0.3 |
△34.8 |
- |
||
|
物流サービス事業 |
14,524,022 |
95.1 |
29.7 |
△328,503 |
△2.3 |
- |
|
|
ITオートメーション事業 |
638,677 |
4.2 |
0.7 |
333,852 |
52.3 |
6.1 |
|
|
その他の事業 |
107,376 |
0.7 |
1.1 |
△52,755 |
△49.1 |
- |
|
|
セグメント合計 |
15,270,075 |
100.0 |
27.9 |
△47,406 |
△0.3 |
- |
|
② 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は10,319,484千円(前連結会計年度末比10,011千円の増加)、負債は8,227,921千円(前連結会計年度末比943,426千円の増加)、純資産は2,091,563千円(前連結会計年度末比933,415千円の減少)となりました。主な増減要因は、次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は4,941,932千円(前連結会計年度末比113,227千円の増加)となりました。主な要因は、売掛金が189,188千円増加したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は5,377,552千円(前連結会計年度末比103,215千円の減少)となりました。主な要因は、投資有価証券が189,334千円減少したほか、物流センターの新設にともなう敷金の支出により敷金及び保証金が187,796千円増加したことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は2,544,045千円(前連結会計年度末比586,415千円の増加)となりました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が324,255千円増加したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は5,683,875千円(前連結会計年度末比357,011千円の増加)となりました。主な要因は、長期借入金が451,375千円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の部の残高は2,091,563千円(前連結会計年度末比933,415千円の減少)となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失848,221千円を計上した等により利益剰余金が955,163千円減少したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ144,064千円減少し、1,984,176千円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は96,147千円(前連結会計年度は54,305千円の資金を使用)となりました。主な要因は、減価償却費355,622千円及び固定資産除却損335,764千円及び法人税等の還付額198,068千円を計上した一方で、税金等調整前当期純損失965,283千円、売上債権の増加額275,535千円及び損害賠償金の支払額152,091千円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は700,173千円(前連結会計年度は2,120,759千円の資金を使用)となりました。主な要因は、定期預金の払戻による収入240,616千円を計上した一方で、有形固定資産の取得による支出327,766千円、無形固定資産の取得による支出329,204千円及び敷金及び保証金の差入による支出260,228千円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は652,256千円(前連結会計年度は1,089,084千円の資金を獲得)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出1,124,370千円及び配当金の支払額95,710千円があった一方で、長期借入れによる収入1,900,000千円があったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社のサービス提供の実績は、販売実績とほぼ一致しておりますので、受注実績に関しては販売実績の項をご参照ください。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
前年同期比(%) |
|
物流サービス事業(千円) |
14,524,022 |
29.7 |
|
ITオートメーション事業(千円) |
638,677 |
0.7 |
|
報告セグメント計(千円) |
15,162,699 |
28.1 |
|
その他の事業(千円) |
107,376 |
1.1 |
|
合計(千円) |
15,270,075 |
27.9 |
(注)1.セグメント間の取引については該当事項はありません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、次の通りであります。なお前連結会計年度の㈱ライフドリンクカンパニーに対する販売実績はありません。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
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|
金額 (千円) |
割合 (%) |
金額 (千円) |
割合 (%) |
|
|
㈱ライフドリンクカンパニー |
- |
- |
1,787,591 |
11.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績等の状況に関する認識及び検討内容
当社グループは物流サービス事業を主たる事業としておりますが、これらのサービスにかかわる分野は競合他社との競争に優位性を獲得する必要があり、サービスラインアップ、サービスレベル、サービス品質及び価格等の面において、お客様に常に新しい価値を提供することが求められます。当社グループは、新しい価値の創造のため、継続的な教育を通じた物流サービスの品質向上はもとより、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)への取組み、物流ロボットをはじめとする自動化機器の導入、倉庫管理システム「クラウドトーマス」のバージョンアップ等の省人化を目的とした設備投資を積極的に推進し、人と物流ロボットとの組み合わせの最適化を推進するほか、M&Aによる事業の拡大を図ることで、当社グループの持続的な発展を図ってまいります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
③ 財政状態の分析
財政状態の分析に関する情報については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の分析」に記載のとおりです。
④ 経営成績の分析
(売上高)
物流サービス事業においては、既存のお客様に係る売上高が前年同期を約25%上回って推移する中、サイバー攻撃を受けた影響で新規のお客様獲得作業が中断した影響は大きく、前年同期を約74%下回る結果となりました。またITオートメーション事業においても、倉庫管理システム「クラウドトーマス」についてサイバー攻撃の影響で解約も発生する中、当連結会計年度の売上高は前年同期比27.9%増の15,270,075千円となりました。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は、前年同期比34.8%増の14,138,639千円となりました。
これは主に、労務費2,946,052千円、発送運賃及び運送費用5,074,177千円、賃借料3,629,399千円を計上したことによるものです。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前年同期比13.2%増の1,178,843千円となりました。
これは主に、人件費426,840千円、広告宣伝費71,446千円、賃借料80,717千円、租税公課87,934千円、減価償却費32,354千円、支払手数料75,046千円を計上したことによるものです。
(営業外収益)
当連結会計年度の営業外収益は、前年同期比6.8%増の55,854千円となりました。
これは主に、受取利息17,524千円、助成金収入12,448千円を計上したことによるものです。
(営業外費用)
当連結会計年度の営業外費用は、前年同期比77.9%増の100,538千円となりました。
これは主に、支払利息48,797千円、持分法による投資損失42,996千円を計上したことによるものです。
(特別利益)
当連結会計年度の特別利益は358,570千円となりました。
これは、サイバー攻撃で発生した損害賠償への受取保険金358,570千円を計上したことによるものです。
(特別損失)
当連結会計年度の特別損失は1,231,763千円となりました。
これは主に、サイバー攻撃で発生した損害賠償金358,570千円、セキュリティ体制の構築のための情報セキュリティ対策費等713,024千円、関連会社と新たに共同開発していた発注自動化システム「ECOMS」の開発を本件により中止したことに伴う損失として関係会社株式評価損146,337千円を計上したことによるものです。
⑤ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析に関する情報については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における運転資金の主なものは、発送運賃費及び運送費用、賃借料等があります。また、設備投資需要としては、物流センターの新設または増床、ソフトウエア開発及びマテハン機器の導入等があります。
当社グループは、これらの資金需要に機動的に対応するため、内部留保を蓄積すること、資本市場からの資金調達並びに金融機関からの借入を行うことで、流動性を確保することとしております。
⑦ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、ROE(自己資本利益率)を持続的な企業価値増大に関わる中核的な指標と捉え、ROE15%以上を維持し、かつ中長期的に向上させることを目標としております。
最近3事業年度におけるROEの推移は次のとおりです。
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指 標 |
2023年2月期 |
2024年2月期 |
2025年2月期 |
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ROE(自己資本利益率)[連結] |
21.0% |
1.6% |
- |
(注)当連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益がマイナスとなったため、自己資本利益率の記載は行っておりません。
(1) 資本提携に係る契約
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約内容 |
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楽天株式会社 (現 楽天グループ株式会社) |
投資契約書 |
2019年1月31日 |
当社が実施の第三者割当増資を楽天株式会社(現 楽天グループ株式会社)が引受け |
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キヤノンITソリューションズ株式会社 |
資本業務提携契約書 |
2022年4月14日 |
当社代表取締役である達城久裕が所有する当社普通株式125,000株を、キヤノンITソリューションズ株式会社へ譲渡 |
(2) 業務提携に係る契約
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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キヤノンITソリューションズ株式会社 |
資本業務提携 契約書 |
2022年4月14日 |
以下の各項目に関する業務提携 a.当社が提供する「クラウドトーマスPro」の製品力強化とキヤノンITソリューションズ株式会社が提供する「AvantStage」との連携強化 b.両社での共同プロモーションの実施 c.両社の顧客基盤を活用した製品・サービスの相互提案 |
2022年4月14日から 2026年4月13日まで 上記期間中は当事者間の合意解約、期間経過後は3か月前に書面で相手方に通知することにより解約可能としております。 |
該当事項はありません。