第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、1914年の創業以来、保温・断熱分野で事業を展開し、さらに1966年に世界で初めて1000℃の耐熱性を有するゾノトライト系けい酸カルシウム材の製造技術を開発した後は、耐火・耐熱分野へと進出し、製品開発と用途開拓に努めてまいりました。

当社の主たる事業である保温・断熱材、耐火・耐熱材の製造販売・施工は、各々SDGs7(クリーンなエネルギーをみんなに)及びSDGs13(気候変動に具体的な対策を)、SDGs11(住み続けられるまちづくり)に貢献するものであります。すなわち当社のパーパス(存在意義)は、サステナブルな社会の実現に貢献することそのものであります。

このことは1977年に定めた当社の社是(信頼を高め 付加価値を創造し 人間を豊かにする)に表現されており、すべてのステークホルダーに信頼され、独自の技術をもって新たな付加価値を持つ製品を提供することにより、広く社会に貢献する企業となることを目指しております。

 

(2) 経営戦略等

2021年6月には、「サステナビリティ経営の推進」を基本テーマに据えた中期経営計画(対象期間:2021~2023年度)を策定して開示しております。主要方策として、①脱炭素社会への実現への貢献、②レジリエントな社会実現への貢献、③ステークホルダーとのエンゲージメント深化、④ガバナンスの高度化によって、企業力の強化、信頼の醸成を図ることとしております。

    脱炭素社会への実現への貢献

プラントでは保温保冷工事が、今後においてもバイオマス発電やアンモニア混焼発電など、熱を扱うプラントの省エネルギーのために不可欠であります。特に高効率発電で必要となる高温領域での保温は、耐熱温度1000℃を誇る当社製造のけい酸カルシウム保温材の最も得意とするところで、日本はもとより、海外へも日本の優れた、けい酸カルシウム技術・製品を展開してまいります。ベトナム工場(ジェイ アイ シー ベトナム有限会社)で製造する保温材「ダイパライト-E」は、バイオマス由来で二酸化炭素排出量削減にも貢献してまいります。

さらに、エネルギー等の諸問題の解決に貢献するため、環境分野での新事業開発を推進しております。

(2022年度における取組み例)

・岐阜、北勢地区の事業場において使用しているすべての電気に対し、中部電力ミライズ株式会社が提供するCO2フリー電気を導入しました。これにより、CO2排出量を年間で約4800t-CO2削減できる見込みであります。

・もみ殻を燃料・原料に利用したけい酸カルシウム保温材「ダイパライト-E」は従来品と比較して炭酸ガス排出量を大幅に削減した低炭素製品ですが、2022年11月、バイオマスから製造したけい酸カルシウム保温材として初めてJIS A9510(無機多孔質保温材)認証を取得しました。

    レジリエントな社会実現への貢献

建物の耐火は、今後も都市防災に不可欠であり、インターネット通販の拡大などを背景に、大型物流施設やデータセンターなどの新設は、今後も需要が見込まれております。

今後も各地で計画が進む大規模再開発事業における高層オフィスビルでの需要は、堅調に推移すると見込まれます。防災関連商品の開発(煙突材、不燃内装材などの実績あり)をさらに推進し、新商品の開発を推進してまいります。

けい酸カルシウム材を、加工性のよい耐熱素材として、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)型材など建材以外への用途開発を推進してまいります。

(2022年度における取組み例)

・これまで採用が少なかった内装工事業者でも扱いやすい鉄骨耐火被覆工法の新認定を取得しました。

・既存の認定がカバーしていなかった免震装置向けの耐火構造認定を取得し、設計しやすさを向上させました。

    ステークホルダーとのエンゲージメント深化

取引先様、株主様、従業員、地域などすべてのステークホルダーに信頼される経営を実践してまいります。このために、ステークホルダーとのコミュニケーションを事業のあらゆる側面を通じて深めていきます。また、インナーコミュニケーション(社内広報など)を充実し、社員のベクトルをサステナブル(持続可能な)経営に合わせてまいります。

(2022年度における取組み例)

・従業員に対する譲渡制限付株式付与制度を導入しました。

・従業員の健康増進に資するため、健康アプリを活用したウォーキング大会を開催しました。

    ガバナンスの高度化

コーポレートガバナンス・コード(CGC)への適合性をより一層高め、公正性、透明性、客観性の向上に努めてまいります。

(2022年度における取組み例)

・業務執行と監督を分離するために執行役員制度を導入しました。

 


 

 (3) 経営環境

当社グループは、建築関連、プラント関連の工事、製品等の販売を主な事業として取り組んでおります。

建築事業の主力は耐火被覆材、プラント事業の主力は保温材であり、それぞれの需要は非住宅建設需要や企業の設備投資動向等に影響を受ける傾向にあります。

 また、近年では、ウクライナ紛争や円安の影響により、エネルギーや原材料の価格が高騰しております。

 当社のセグメントごとの経営環境の認識は、以下の通りであります。

・建築事業関連

鉄骨造建築物の柱・はりの耐火被覆、免震構造建築物の柱の耐火被覆、不燃性の内装用デザインパネル等の建築向け防火・耐火材料の提供、さらにその施工事業を展開し、オフィスビル、物流施設、商業施設、工場、駐車場等の火災安全性を高め、安全な都市づくりに貢献しています。このような非住宅建設需要は堅調に推移しておりますが、近年では資材価格の高騰等を受け、競合品との競争が激しくなる傾向にあります。

このような環境において、地方の内装工事業者でも扱いやすい工法や新しい耐火材料の開発など顧客のニーズに応える商品開発に加え、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)成形用型材の改良など優れた耐熱性能を活用した用途開発に取り組んでおります。

・プラント事業関連

発電所、石油精製プラント、石油化学プラント、製鉄所等のプラント向けに保温材の提供、さらにその施工事業を展開し、プラントの省エネルギーに貢献しています。このような保温工事の需要は堅調に推移しておりますが、ここ3年はIGCC(石炭ガス化複合発電)向けの大型保温工事の受注があり、受注額の増加がありました。今後は、顧客企業でのカーボンニュートラルに向けた新たな設備投資需要が増加するものと見込まれます。一方、製品販売では、近年の資材価格の高騰等を受け、安価な競合品との競争が激しくなる傾向にあります。

このような環境において、環境をテーマにした新規事業の開拓、新たな用途向けの新商品開発等による事業分野の拡大に取り組んでおります。

 

 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題としては、主に下記の8点があります。

1.市場の拡大、収益の確保

①国内事業の拡大

国内市場につきましては、建設投資を確実に受注につなげられるよう営業力の強化を図るとともに、更なる工事管理強化による採算性の向上を図り、また、新市場の開拓及び新規商品の開発を推進します。

1)建築事業においては、耐火被覆材のシェアアップ、新製品開発、既存製品の性能・機能の向上等を進めていきます。SDG'sを強く意識し、建物(物流施設、オフィス、商業施設、工場、データセンター等)の特徴に応じた提案を推進します。

2)プラント事業においては、保温材のシェアアップ、建設案件の営業強化等を行っていきます。SDG'sを強く意識し、新しい需要への対応を推進します。

3)生産事業部においては、エネルギー原単位とエネルギー購入コストの低減策に取り組みます。

4)技術本部においては、将来の収益の一翼を担うことを目指し、カーボンニュートラル・カーボンネガティブを意識した新規商品の開発を推進します。

 

②海外事業の推進

以下の対策等により海外事業の拡大を図ります。

1)ベトナム工場の安定稼働を維持すべく、全力で取り組みます。

2)ベトナム工場生産品の販路拡大のため、海外、とりわけ東南アジアにおける営業を、インドネシア駐在員事務所を核とし、各国の販売店と協調しながら一層強化します。

3)ベトナム工場については、生産性向上のため、海外需要等の事業環境を見極めながら、段階的に増設を進めます。

4)建築事業においては、市場拡大に向けてアジア地区での各国販売店との連携を推進します。

③建築・プラントに次ぐ第三の事業の創出

環境分野に焦点を当て、景気の波に左右されない強固な事業基盤の構築を目指し、第三の事業を創出していきます。

 

2.サステナビリティ経営の推進

マテリアリティ(重要課題)を特定し、将来あるべき目標とマイルストーン(中間目標)を設定し、サステナビリティ経営を推進します。政府方針である2050年におけるカーボンニュートラルの実現に向けての取り組みを進めます。

 

3.コンプライアンスの徹底

コンプライアンスは経営の根幹をなすものであり、これまで以上に役職員に対するコンプライアンス教育を徹底する他、コンプライアンスを推進するために必要な体制の整備及びその確実な運用を図ります。2022年度においては、コンプライアンス全般、ハラスメント防止、インサイダー取引規制、情報セキュリティ関連などについて、コンプライアンス委員会事務局より研修ツールを提供し、教育・啓蒙に努めてまいりました。

2023年度においては、こうした取り組みに加え、既に設置し運用している内部通報制度・ハラスメント相談窓口制度の運用改善、人権尊重に関する教育の実施等の取り組みを行います。

反社会的勢力とは関係を一切持たない経営を推進します。

 

4.ガバナンス体制の強化

コーポレートガバナンス・コードに適切に対応しガバナンス体制の強化に取り組みます。

 

5.危機管理への対応

・当社を取り巻く様々なリスクを事前に認識し、リスクが顕在化しないよう、適切な対策を実施していきます。リスク管理委員会を年に2回、取締役会メンバー及び執行役員により開催しており、当社を取り巻く潜在的なリスクの確認やその未然防止策等について審議を行っております。また、役職員に対する教育の実施により、リスクへの意識の涵養に努めます。

・地震や台風などの自然災害に伴うリスクに対し、適切に対応します。

・感染症が当社事業並びに当社役職員を含む全てのステークホルダーの安全・健康に及ぼす影響を適切に見極め、対応します。

・海外展開の推進に伴い増加するリスクに対し、適切に対応します。

・取引先を含む人権尊重の徹底に取り組みます。

・また、建設アスベスト損害賠償請求等の訴訟につきましては、今後とも弁護士と協議しつつ適切に対応します。

 

6.DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進

IoT、AI、RPA等の高度IT技術を活用した生産性の向上に引き続き取り組みます。電子帳簿保存法の施行に対応し、システムの開発・導入を推進します。

 

7.人材の確保・教育、健康経営・ダイバーシティの推進

・人材を企業の資本とみなす「人的資本経営」の考え方に立ち、人への投資を進めます。

・企業価値の向上及び社員の成長を目指し、社員の生産性向上、少数精鋭体制の確立のため、社員教育の強化、有能な人材の確保に努めます。

・「若者に選ばれる、存在感のある企業」を目指して、人事戦略、人事施策の見直しを行います。

・また、社員にとって働きやすい職場となるよう、働き方改革を推進し、その一環として健康経営の推進に一層努めます。

・次世代経営者及び次世代幹部候補者の育成に努めるとともに、女性社員、外国人、中途採用者を含めた多様な人材の育成(ダイバーシティの推進)を進めます。

・引き続き、海外生産体制並びに海外営業の強化を進め、さらにグローバル人材の確保のため、語学教育の強化、外国人の登用等を通じ、海外業務に対応できる体制を強化します。

・当社の工事分野における総合力の向上のため、協力業者の育成を図ります。

 

 

8.品質・安全維持への対応

労働災害、品質クレームゼロを目指し、日頃からの管理の徹底、発生時の原因追究及び対策実施を徹底します。

 

上記課題に対処し、これからも社会的責任を果たすため、コンプライアンス体制の強化を図り、事業環境の変化に対応したコーポレートガバナンスの一層の充実を推進し、取引先からの信頼の向上を図ります。また、技術力・開発力の強化、収益力の向上を図り、さらに企業価値を高めることにより株主からの支持を得られるよう全社を挙げ努力します。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、企業の成長並びに生産性向上を測定するうえで、売上高、営業利益及び配当水準を重視しております。成長性と収益性の観点から、2021年度を初年度とする中期経営計画(2021年度~2023年度)を策定し、目標達成に向けての取り組みを行っております。現時点での達成状況は以下のとおりです。2021年度まで大型保温工事の受注があり、売上高が計画を上回りましたが、2022年度は大型保温工事が一服するとともに、エネルギー価格の高騰を受けて営業利益が計画より減少しました。

 

(単位:百万円)


 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

2-1 全般

 

当社は、「サステナビリティ経営の推進」を基本テーマに据えた2021~2023年度を期間とする中期経営計画を策定して開示しております。その戦略及び目標等につきましては前述のとおりでありますので、以下に全般的な事項に関するガバナンス及びリスクと機会、人的資本経営の取組みについて示します。

 

(1) ガバナンス

当社は「サステナビリティ経営の推進」を経営方針に掲げていることもあり、サステナビリティに関する経営活動に対する監督体制については、経営会議、取締役会の各機関による経営計画の審議、実施状況の確認を行うこととしております。

 

(2) リスクと機会

① リスクに関しては、リスク管理委員会を設置して、経営全般にわたるリスクを検討認識し、リスクが顕在化しない様に対策を講じる中で、サステナビリティに関しても経営層による検討を実施しております。

② 気候変動を事業機会ととらえ、新事業や新製品の開発に向けた取組みを進めて行く中で、その前提となるマテリアリティの特定及びサステナビリティ基本方針の制定については、2024年6月に開示する予定であります。(昨年のコーポレートガバナンス報告書において、 2023年1月を開示予定としておりましたが、サステナビリティを含む各分野への中期的な投資計画案策定等に時間を要しており、このため当初予定よりも開示時期を延期いたしました)

③ トップダウンアプローチに加え、当社はサステナビリティ経営の推進に向けて、社員が問題意識を共有するため、社内でサステナビリティ経営に関する勉強会を実施するなど、ボトムアップアプローチによる取組みも行っております。

 

2-2 人的資本経営の取組

当社は創業以来、さまざまな危機や環境変化に直面する中で、社員一人ひとりが社会の変化を見極め、事業モデルを変化させてきました。さらに変化に対応できるスキルを一人ひとりが身に付けられる研修制度や人事制度を充実させることで、社員が安心して長く働き続ける環境を構築していきます。

 

(1) ガバナンス

当社は「サステナビリティ経営の推進」を経営方針に掲げていることもあり、サステナビリティに関する経営活動に対する監督体制については、2-1の通り、経営会議、取締役会の各機関による経営計画の審議、実施状況の確認を行うこととしております。

 

(2) リスク管理

リスクに関しては、2-1の通り、リスク管理委員会を設置して、経営全般にわたるリスクを認識し、リスクが顕在化しない様に対策を講じる中で、サステナビリティに関しても経営層による検討を実施しております。

中でも、将来見込まれる建設業界における人手不足は、当社においても重大なリスクであると認識しております。現場では主任技術者の配置が必須であり、今後の業容拡大のためには、優秀な人材の採用及び教育研修実施・内容の充実により、当社グループの成長を支える社員、特に専門的な知識を持った人材の確保・育成をすることが重要な経営課題であり、現在、有資格者の採用及び社員の資格取得の促進に注力しております。

 

(3) 戦略と目標

人的資本経営については、2023年2月に経営諮問委員会(経営全般について大所高所から取締役会に提言を行う機関)が人的資本経営、従業員エンゲージメントの観点から「JIC版働きがい改革実現のための提言」を行ったことを受け、今後より一層積極的な方策を検討し、推進することとしております。

 

① 人材育成

・当社は、人材育成方針を以下のように定め、人材の育成に取り組んでおります。

「日本インシュレーションは、独自の製造技術を武器にけい酸カルシウム系の耐火被覆材及び保温断熱材の製造メーカーとして、お客さまに喜ばれる高い付加価値を提供できる従業員の育成と、一人ひとりが持つ能力を最大限発揮することができる社内環境の整備を推進してまいります。」

社是である「信頼を高め、付加価値を創造し、人間を豊かにする」を軸に、人材を人財と捉え、企業価値向上の重要な資本と位置づけ、「成長意欲にあふれる自立した人材の育成」に取り組みます。

 

・人材育成プログラムとして、当社では、将来を見据えた、人材への成長投資を推進し、必要なスキルを社員自ら選び、自発的な学びをサポートするリスキリングを拡大していきます。

新入社員、中堅社員、幹部社員など階層別に種々のカリキュラムを整備し、社員スキルの向上に努めています。


(注)上表の他、施工管理技士取得支援研修、RPA技能研修等の各事業部単位での人材育成も実施しています。

 

また、社内外の研修教育実績を集計したところ以下のとおりであり、今後、前年実績を上回る水準を確保しつつ、計画的な推進を行ってまいります。

 

2022年度

研修時間

研修費用

社内研修

965時間

10,124千円

外部研修

605時間

2,976千円

合   計

1,570時間

13,100千円

 

 

② 働き方改革

いきいきと働きやすい風土づくりを進めるため、以下のような目標と方策を実施しております。

《目指す姿》

・社員の個性を尊重し、お互いが支え合う風土の醸成

・心身共に健康で働きやすい職場作りの構築

・有給休暇取得率80%以上

 

 

 

《主な取り組み施策》

・仕事とライフイベント

・自己実現を支えるワークライフバランス

a)ノー残業デーの実施

残業時間削減を目的に、全社一斉のノー残業デーを設けて、社員に不要不急の残業をせずに帰宅するように呼び掛けています。

b)有給休暇の取得推進

計画的有給休暇の取得を年5日設定し、安心して働くことができる環境整備に力を入れています。また、有給休暇取得率の実績は下表のとおりであります。

 

2020年度

2021年度

2022年度

74%

72%

77%

 

 

・仕事と育児の両立支援

育児休暇取得後の育児短時間勤務を小学校卒業までとしています。

・JIC人材バンク制度

諸事情により、当社を退職された社員で、将来当社での再就業を希望する方を対象にキャリア登録を行い、再雇用を希望する方も積極的に採用しています。

・自己申告制度

従業員が現在の職場、担当業務や勤務地等について満足しているか調査し、配置転換の際に経営計画等の会社ニーズと従業員個人のニーズを出来るだけ合致させるための参考にしています。また業務を円滑に遂行するために、上司との面談を通じて、最も適切な部下の育成方向を明確にして能力開発を図ります。

 

③ 健康経営の推進

・当社は、「JIC健康経営宣言」を定め、目標を設定して方策の推進に取り組んでおり、その取り組みを「見える化」するため、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人2023」の認定を受けました。初めて認定された2022年に続き2年連続となります。

《JIC健康経営宣言》

日本インシュレーションは「働き方改革」を推進すると共に「会社の基盤は社員の健康」という認識のもと、従業員一人一人が心身ともに健康で個性や能力を発揮することが,会社の成長につながると考えています。

“従業員が活き活きと働くことができる職場環境と風土作り”をさらに発展させるため,社員の健康維持・増進を支援し、「健康経営」を積極的に推進してまいります。

《体制》

人事部に属する健康推進担当が中心となり、 産業医や安全衛生委員会等と連携して体制を整備するとともに、効果的な施策を実行していきます。また、健康に関する情報発信だけではなく、従業員が相互にコミュニケーションが図れる仕組みを積極的に取り入れながら、 従業員の健康づくりや病気の予防に活用しています。

《指標及び目標》

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

健康診断受診率

100%

100%

特定保健指導受診率

100%

62%

ストレスチェック受検率

100%

91%

有給休暇取得率

80%以上

77%

 

 

《主な取り組み施策》

・適切なワークライフバランスの維持

・一人ひとりの勤務時間をしっかりと把握・管理することで長時間労働を抑制

・有給休暇取得促進の取り組み

・健康増進イベントの開催

・健康アプリを活用したウォーキング大会を通じて、歩くことの習慣化を促進

・従業員の課題に応じて、各種セミナーを実施

・女性の健康管理セミナー

・健康管理サポート

・健康診断の受診促進や産業医によるケアなどサポート体制を構築

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

 

(1)景気変動、経済情勢等のリスク

当社グループの主要製品であるけい酸カルシウム製保温材の主な需要先は石油・石油化学、電力・ガス、鉄鋼等の幅広い業種に渡っており、これらの業種における設備投資動向に依存し、また、けい酸カルシウム製耐火被覆材についてはオフィスビルや物流施設等の建設需要の動向に依存し、いずれも最終的には内外の景気動向や経済情勢の影響を受けます。また、建築物やプラント全体の建設費用の高騰があった場合は、けい酸カルシウム製以外の保温材、耐火被覆材との価格競争を惹起する可能性があります。これらの価格競争リスクは、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料・エネルギー等価格の変動及び調達に関するリスク

当社グループの製品の主な原材料は石灰石、珪石等であり、また、製造工程において熱源として天然ガス等を使用しています。原材料及びエネルギー価格の上昇があった場合や、地政学リスク等により需給のひっ迫により安定的調達が困難となった場合、あるいは、物流業界の労働時間管理強化による製品・商品の運賃の上昇があった場合には、当社グループの製造コストを上昇させ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの調達する多くの原材料において高い純度を求めていること等により仕入先は限定されることが多く、これに伴い調達先の確保が困難となるリスクがあります。

 

(3) 為替変動に伴うリスク

当社グループでは、海外事業展開をしており、今後も注力していく方針です。そのため、輸出入取引において為替の変動によって影響が生じます。為替変動リスクの軽減に努めておりますが、完全に回避できるものではありません。また、当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、在外連結子会社の財務諸表を円貨換算しており、為替変動による期間損益の円貨換算額が増減するリスクが存在します。これらの為替変動リスクは、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 人材の確保・育成に係るリスク

建設事業においては、優秀な有資格者の確保が、事業を継続していくための基盤となっております。また、現場では主任技術者の配置が必須であり、今後の業容拡大のためには、優秀な人材の採用及び教育研修実施・内容の充実により、当社グループの成長を支える社員、特に専門的な知識を持った人材の確保・育成をすることが重要な経営課題であると認識しております。現在、有資格者の採用及び社員の資格取得の促進に注力しておりますが、急激に業容が拡大し、必要な人材の確保が追いつかない場合や、採用した人材の教育が計画通りに実施できなかった場合もしくは採用に係るコストが上昇した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、有資格者に限らず従業員一般での人材確保ができない場合には、適正な労働環境の確保が困難となるリスクがあります。

 

(5) 建設アスベスト(石綿)損害賠償請求訴訟のリスクについて

過去に建設現場等において石綿に曝露し、これが原因で肺癌等の疾病に罹患した作業員及びその遺族等が、集団で国及び建材メーカー多数を相手に損害賠償請求の裁判を提起しております。当社もその建材メーカー多数の中の1社として現在係争中であります。当社はこれまで当社製品と原告の発病との明確な因果関係が認められなかったこと、及びロックウール等を含めた保温材、防耐火建材全体の市場に占める当社製品のシェアが低いこと等から集団訴訟において敗訴となったことはありません。但し、当社製品と原告の発病との明確な因果関係が認められた場合等は敗訴となる可能性があります。今後の判決において損害賠償支払いが言い渡された場合、損害賠償支払に備えて、合理的な方法で訴訟損失引当金の計上の要否を検討してまいります。また、判決内容によっては今後同様の訴訟を提起され、訴訟損失引当金の計上や損害賠償支払いにより当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、アスベスト健康被害に関し、個別訴訟として損害賠償請求の提訴を受けた場合においても、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) アスベストによる健康障害者への補償のリスク

当社グループは、当社起因のアスベスト疾病により死亡または療養されている従業員及び元従業員に対して、社内規定に基づき補償金を支払っており、今後もアスベストによる健康障害者への補償費用等の負担が継続していく可能性があります。なお、補償金支払の対象者が発生した都度、検討し、健康被害補償引当金を計上しています。

 

(7) 労働災害に関わるリスク

当社グループが関与する工事現場においては、労働災害の防止や労働者の安全と健康管理のため、労働安全衛生法等に則り安全衛生体制の整備、強化を行っております。当社では、社内に安全衛生委員会を設置し、日常的な安全衛生教育を実施している他、経営幹部等による安全パトロールを実施する等、事故の未然防止を図るための安全管理を徹底しております。しかしながら、万が一重大な労働災害が発生した場合には、当社に対する社会的信用が毀損し、ひいては受注活動に影響が及ぶ等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) 経営成績の季節変動性に関するリスク

当社グループの製品の販売については、大きな季節変動はありませんが、工事については、工事完了時期が年度末付近に集中することから、下期に偏重する傾向があります。万一、比較的大きな案件で何らかの事情で工事の完了が遅れることになる場合には、予定の売上が上がらずに翌期にずれるなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 海外事業に伴うリスク

当社グループは、連結子会社の立地するベトナムをはじめとした、東南アジア地域において、事業展開を行っております。中には政治的、地政学的に不安定な地域があります。これらの地域におけるテロ、戦争、疫病等社会的混乱の発生、社会インフラの未整備による停電や物流の停滞等予期せぬ事象、商慣習の違いから生じる取引先との予期せぬリスクの顕在化等によって、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが拠点を持つ各国において、税法をはじめとした法令改正、経済の減速、貿易障壁の発生、反日デモや不買運動等が発生した場合、あるいは、移転価格税制等に基づく課税等が生じた場合にも当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、東南アジア地域では、もみ殻を原料・燃料に使用したバイオマス事業として、けい酸カルシウム保温材の市場展開を図っておりますが、計画通りに進まなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

これらの事象については、当社グループの取引先において発生した場合も、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)協力会社の確保に関するリスク

当社グループは、工事の施工管理を行っており、優秀な協力会社の確保が必要不可欠であります。現状は、長年取引を行っている協力会社を中心として受注工事に対応できる十分な施工能力を有しておりますが、万が一主要な協力会社との協力関係に不測の事態が発生し、施工能力に問題が生じた場合もしくは外注コストが上昇した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)固定資産の減損に関わるリスク

当社グループは、固定資産の減損に関わる会計基準を適用しております。経営環境の著しい悪化による収益性の低下等により、保有する固定資産に減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)自然災害等に関わるリスク

当社グループは、国内外に複数の生産拠点などを有しております。万一、当該拠点のいずれかにおいて大規模な地震、風水害、疫病等の自然災害が発生した場合には、保有設備の復旧活動に関する安全確認、施工中物件の工事の遅延、一時的な生産の停止による出荷の遅延等により多額の費用が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)不採算工事の発生に対するリスク

当社グループは、工事にあたり適切な積算を行っておりますが、想定外の追加原価等により、万一不採算工事が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(14)収益及び費用の計上基準に関わるリスク

工事契約において、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗に基づく収益を計上しております。なお、進捗度の見積りの方法は、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合(インプット法)で算定しております。

工事原価総額等の見積りは、工事の完成引渡しまでに必要となるすべての工事内容に関する原価を見積って算定しており、工事着手後に工事内容の変更が生じた場合は、適時・適切に再見積りを行っております。当該見積りは、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に発生した工事原価及び工事収益総額が見積りと異なった場合や、異なる結果になると見込まれた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(15)瑕疵のリスク

当社グループが関与する工事の施工には、施工ミス等により瑕疵が生じるリスクがあります。建設事業には、高度な技術による施工が求められております。万一、施工ミスによる瑕疵が発覚し、損害賠償責任を問われるなど、当社グループの社会的信用が毀損するリスクが発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)情報セキュリティに関わるリスク

当社グループは、事業活動を通じて、取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、また、営業上・技術上の機密情報を保有しています。当社グループでは、これらの情報についての厳格な管理体制を構築し、情報の取扱い等に関する諸規定等の整備・充実や従業員等への周知・徹底を図るとともに、サイバー保険に加入するなど、情報セキュリティ対策を強化しておりますが、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入等により、万一これらの情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの信用低下や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(17)債権管理のリスク

当社グループでは、取引先に対して、売掛金、受取手形や差入保証金などの債権を有しております。取引先の与信管理については細心の注意を払っておりますが、取引先の業績悪化や倒産等により、売上債権の回収に支障が出た場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)法的規制、コンプライアンス等についてのリスク

当社グループは、建設業法に基づき国土交通省より特定建設業・一般建設業の許可を得ているほか、建築基準法、消防法、労働安全衛生法、環境基本法等、幅広い法規による規制を受けており、それらに従って事業を行う必要があります。また、当社グループの工場は、環境関連、労働安全衛生関係で、国内外の政府や自治体の監督を受けております。

当社グループでは、事業継続のため、これらの法令等を含めたコンプライアンスが遵守されるよう、役職員に対して研修等を通じて周知徹底を図ることで、これらの適用法令等に対応できる体制を構築しております。現時点で事業継続に支障を来す事項はありませんが、今後、何らかの理由により適用法令等の違反が発生した場合には、処罰、処分その他の制裁を受け、損害賠償等の責を負い、当社グループの社会的信用やイメージが毀損することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法令等に将来改正が行われた場合、当社グループの事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。

なお、適用法令等について、その有効期間やその他の期限等が法令等により定められているものは下表のとおりであります。下表のとおり2025年7月11日に許可の有効期限が到来する予定であります。

 

取得・登録者名

当社

取得年月

2020年7月

2020年7月

許認可等の名称

一般建設業(許可)

特定建設業(許可)

所管官庁等

国土交通省

国土交通省

許認可等の内容

管工事業、機械器具設置工事業

国土交通大臣 許可(般-2)第4567号

建築工事業、とび・土工工事業、内装仕上工事業、左官工事業、塗装工事業、熱絶縁工事業、解体工事業

国土交通大臣 許可(特-2)第4567号

有効期限

2020年7月12日から2025年7月11日

2020年7月12日から2025年7月11日

法令違反の要件及び主な許認可取消事由

不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は許可の取消(建設業法第29条)

不正入札等不誠実な行為があった場合は業務停止等の処分(建設業法第28条)

不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は許可の取消(建設業法第29条)

不正入札等不誠実な行為があった場合は業務停止等の処分(建設業法第28条)

 

当社グループは、2020年6月に施行された改正労働施策総合推進法の趣旨に則り、パワーハラスメント防止に向けた相談窓口の設置等の制度を構築し、運用しております。今後、パワーハラスメントを含むハラスメントに係る事案が発生した場合には、当社グループの社会的信用やイメージが毀損することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)製品の品質維持のリスク

当社グループは、ISO9001の品質保証規格やJISに基づく認証を受けており、厳しい品質管理体制のもとに生産活動を行っておりますが、製品の開発・製造における不具合等の品質上の全てのリスクを完全に排除することは非常に困難であります。今後、当社グループの製品に予期しない重大な欠陥が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)知的財産権についてのリスク

当社グループは、事業活動に有用な知的財産権の取得に努めると共に、他社の知的財産権の調査を行うことにより、問題発生を回避する様に努めておりますが、万一、他社から訴訟等を提起された場合、その結果によっては当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(21)繰延税金資産の回収可能性に係るリスク

当社グループは、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号)を適用しております。

課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収可能性の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純利益が変動する等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(22)他社との競合に関わるリスク

当社グループは、けい酸カルシウムを基材とした製品を用いた、非常にニッチな領域で施工、販売を行っておりますが、この先競合他社が現れてくることも考えられます。万一、当社製品の性能を凌駕するような類似製品やけい酸カルシウム製品を製造するようなメーカーが現れる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(23)サプライチェーンにおける人権侵害により、信用が毀損されるリスク

当社グループは、海外から原料の一部を輸入するとともに、製品の一部を海外へ輸出しております。原料調達に当たっては、人権侵害の有無に留意して調達先を選定しており、原料の多くは別の供給先に代替可能なものでありますが、万一、原料調達先で人権侵害や紛争が発生した場合、原料調達に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症が収束に向かう中で、活動制限が緩和され、景気の持ち直しの動きが見られております。しかし、ウクライナ紛争の長期化等に伴う原材料価格、エネルギー価格などの国内企業物価は、燃料油価格激変緩和補助金等の政策支援もあって、落ち着きを取り戻してきているものの、依然として高い水準で推移しております。

このような状況の中、建築関連においては、販売部門では需要増加、価格転嫁等の影響で売上が増加しましたが、工事部門は耐火被覆工事の大型工事案件の受注が振るわなかったため、対前年比で売上高は微減となりました。プラント関連では、ここ数年続いていた電力プラント等の大型建設工事案件の受注が一服したこと等から、対前年比で売上高は減少しました。

損益面では、原材料、エネルギー価格が高騰し製造原価を押し上げている状況に対応すべく、顧客等への製品価格の値上げを実施しましたが、工事部門では資材価格高騰前の契約における値上げ対応が難しかったことや販売部門での価格転嫁の遅れがあったこと等から減益を余儀なくされました。当社といたしましては、引き続き、業績改善に向けて価格転嫁等の営業努力に努めてまいります。

その結果、当社グループにおける当連結会計年度の売上高は12,320,101千円(前年同期比12.7%減)、営業利益1,145,449千円(前年同期比38.5%減)、経常利益は1,142,525千円(前年同期比39.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は723,583千円(前年同期比36.8%減)となりました。

 

セグメント別の経営成績は以下の通りであります。

<建築関連>

工事部門において、オフィス、データセンター、工場等の耐火被覆工事の受注が比較的堅調に推移したものの、物流関係の大型工事案件の受注が減少したことにより、対前年比で売上高は減少となりました。一方、販売部門においては、住宅向け耐火被覆材、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)用型材、内装仕上げ材等の需要が回復したこと、価格転嫁が浸透してきたことから売上増につながり、対前年比で売上高は増加しました。

以上の結果、工事及び販売を合わせた建築関連全体の売上高は4,937,936千円(前年同期比1.3%減)となりました。

<プラント関連>

工事部門において、電力、化学、鉄鋼等向けの定期修繕工事、常駐現場工事の需要が堅調に推移しましたが、想定してはいたものの上述のように電力プラント等の大型建設工事案件が減少し、対前年比で売上高は減少しました。一方、販売部門においては、国内一般顧客のメンテナンス向け製品、海外向け販売が持ち直しの傾向にあったことにより、売上高は前年比で増加となりました。

以上の結果、工事及び販売を合わせたプラント関連全体の売上高は7,382,164千円(前年同期比19.0%減)となりました。

 

当連結会計年度末の財政状態は、次のとおりであります。

当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べて126,934千円減少し、16,323,796千円となりました。

 

(流動資産)

流動資産については前連結会計年度末に比べて291,306千円減少し、10,234,079千円となりました。これは主に、現金及び預金が905,155千円、仕掛品が172,796千円増加した一方で、電子記録債権が96,024千円、完成工事未収入金が746,947千円、契約資産が568,147千円減少したことによるものであります。

(固定資産)

固定資産については前連結会計年度末に比べて164,372千円増加し、6,089,716千円となりました。これは主に、機械装置及び運搬具が75,558千円、建設仮勘定が31,133千円、繰延税金資産が41,937千円減少した一方で、建物及び構築物が238,090千円、投資有価証券が102,991千円増加したことによるものであります。

(流動負債)

流動負債については前連結会計年度末に比べて392,473千円減少し、2,701,214千円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が84,000千円増加した一方で、未払法人税等が236,141千円、賞与引当金が91,619千円、その他が125,888千円減少したことによるものであります。

(固定負債)

固定負債については前連結会計年度末に比べて123,620千円減少し、1,152,583千円となりました。これは主に、長期借入金が169,548千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

純資産については前連結会計年度末に比べて389,159千円増加し、12,469,998千円となりました。これは主に、利益剰余金が402,061千円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末と比較して949,156千円増加し、3,451,810千円となりました。

 

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、1,933,001千円(前年同期は1,523,664千円の獲得)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額214,111千円、その他187,035千円、法人税等の支払額552,143千円により減少した一方で、税金等調整前当期純利益1,078,934千円、減価償却費315,326千円、売上債権及び契約資産の減少額1,479,776千円により増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により支出した資金は、536,838千円(前年同期は307,914千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出459,108千円により減少したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は、457,828千円(前年同期は312,147千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金による収入350,000千円により増加した一方で、長期借入金の返済による支出414,306千円、配当金の支払額321,522千円により減少したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

建築関連

3,328,693

107.2

プラント関連

5,738,317

84.4

合計

9,067,010

91.6

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.金額は、工事原価、製造原価によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

建築関連

4,595,629

92.6

1,729,458

83.5

プラント関連

7,689,242

85.4

2,006,039

118.1

合計

12,284,872

88.0

3,735,498

99.1

 

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

建築関連

4,937,936

98.7

プラント関連

7,382,164

81.0

合計

12,320,101

87.3

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.総販売実績に占める割合が10%以上である販売先は、該当ありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表に影響を及ぼします。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。

a. 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。

将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収可能額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益が変動する可能性があります。

b. 健康被害補償引当金

アスベスト(石綿)健康被害を受けた元従業員等に対する支払に備えるため、将来発生すると見込まれる補償額を計上しております。

対象者が増加した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

c. 完成工事高及び完成工事原価の計上

工事契約において、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗に基づく収益を計上しております。なお、進捗度の見積りの方法は、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合(インプット法)で算定しております。想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、完成工事高及び完成工事原価が影響を受け、当社グループの業績を変動させる可能性があります。

d. 投資の減損

当社グループは、長期的かつ戦略的な取引関係維持を目的に特定の取引先の株式を所有しております。これら株式には上場株式と非上場株式が存在します。当社グループは投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、減損処理を行っております。上場株式については、時価が取得原価の50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。非上場株式及び関係会社株式については、実質価額が取得原価の50%以上下落した場合に、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。将来、株式市場の悪化または投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。

e. 固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、収益性が著しく低下した場合は、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析

売上高については、建築事業、プラント事業とも販売が増収、工事が減収となり、全体として当社グループの売上高は前年同期と比較して1,798,742千円減少し、12,320,101千円となりました。

売上原価については、前年同期と比較して1,057,312千円減少し、9,112,332千円となりました。

この結果、当連結会計年度における売上総利益は、前年同期と比較して741,430千円減少し、3,207,768千円となりました。これは主にウクライナ情勢に起因する原材料価格、エネルギー価格等の高騰に伴う利益率低下によるものであります。

販売費及び一般管理費については、物流費、役職員賞与、貸倒引当金繰入額等の減少により、前年同期と比較して25,725千円減少し、2,062,319千円となりました。これにより営業利益については、前年同期と比較して715,704千円減少し、1,145,449千円となりました。

営業外収益については、為替差益が発生したことなどにより、前年同期と比較して3,778千円増加し、76,321千円となりました。営業外費用については、健康被害補償引当金繰入額が増加したことなどにより、前年同期と比較して36,654千円増加し、79,245千円となりました。

これにより経常利益については、前年同期と比較して748,580千円減少し、1,142,525千円となりました。

特別利益については、投資有価証券売却益3,286千円を計上しました。特別損失については、減損損失等を計上し66,877千円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期と比較して422,109千円減少し、723,583千円となりました。

また、セグメントごとの経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

b. 財政状態の分析

当連結会計年度末における総資産は、売上債権及び契約資産の回収が進んだことなどにより前連結会計年度末と比較して126,934千円減少16,323,796千円となりました。

当連結会計年度末における負債は、未払法人税等及び賞与引当金等が減少したことなどにより、前連結会計年度末と比較して516,093千円減少3,853,797千円となりました。

当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して389,159千円増加の12,469,998千円となりました。

 

 

c. キャッシュ・フローの分析並びに、資本の財源及び資金の流動性に係る情報

1.キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2.資金需要について

運転資金のうち主なものは、当社グループの製品製造のための原材料購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いによるものです。

設備投資資金のうち主なものは、不燃内装材の生産設備増設等のための支払いであります。

3.財務政策について

運転資金として必要な資金は、営業活動により得られるキャッシュ・フローにより賄い、設備投資については、自己資金及び資本市場から得られた資金により実施しております。なお、設備資金及び長期運転資金として金融機関から調達した長期借入金につきましては、約定通りの返済を行い、金融機関との関係維持の為に一定の借入を実施する予定です。

また、金融上のリスクに対応するために取引金融機関との間で当座貸越契約を締結することで、手元流動性を確保しております。当座貸越契約とその借入実行残高(短期借入金)の状況は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  注記事項 (連結貸借対照表関係)3」に記載のとおりであります。

d.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の進捗について

当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の進捗については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における研究開発活動は、①既存の製品の改良、②けい酸カルシウムにこだわらない材料・工法の技術の開発、③新規用途の開発、④建築、プラント分野に次ぐ、第三の事業分野の開発に向けた研究開発等であります。

研究開発体制は、技術本部を中心に、4つの部門(建築事業部、プラント事業部、生産事業部、技術本部)の連携により行っています。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は、142,333千円であります。

当連結会計年度における研究成果は次の通りであります。

(1) 建築関連

既存のけい酸カルシウム耐火被覆板の評価等による新規耐火ライセンス取得、けい酸カルシウム以外の建材による新規耐火板の開発等に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費の金額は89,526千円であります。

(2) プラント関連

施工後の保温材の熱測定による検証、石綿検査等の業務支援、保温材の品質改善、既存のプラント用けい酸カルシウム耐火被覆板の評価等による耐火ライセンス取得、新規用途向けの材料や工法の開発、検討中の環境対応新規事業に関する開発研究等に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費の金額は52,806千円であります。