第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、1914年の創業以来、保温・断熱分野で事業を展開し、さらに1966年に世界で初めて1000℃の耐熱性を有するゾノトライト系けい酸カルシウム材の製造技術を開発した後は、耐火・耐熱分野へと進出し、製品開発と用途開拓に努めてまいりました。

当社の主たる事業である保温・断熱材、耐火・耐熱材の製造販売・施工は、各々SDGs7(クリーンなエネルギーをみんなに)及びSDGs13(気候変動に具体的な対策を)、SDGs11(住み続けられるまちづくり)に貢献するものであります。すなわち当社の存在意義は、サステナブルな社会の実現に貢献することにあると考えております。

このことは1977年に定めた当社の社是(信頼を高め 付加価値を創造し 人間を豊かにする)に表現されており、すべてのステークホルダーに信頼され、独自の技術をもって新たな付加価値を持つ製品を提供することにより、広く社会に貢献する企業となることを目指しております。

 

(2) 経営戦略等

企業価値向上に向けた取り組みにつきましては、当社では、2021年6月に「サステナビリティ経営の推進」を基本テーマに据えた中期経営計画(対象期間:2021~2023年度。以下、前中期経営計画)を策定して開示しました。主要方策として、①脱炭素社会への実現への貢献、②レジリエントな社会実現への貢献、③ステークホルダーとのエンゲージメント深化、④ガバナンスの高度化によって、企業力の強化、企業への信頼の醸成を図ることを掲げて、方策を推進してまいりました。その実施状況につきましては、後述(P11参照)のとおりであります。

前中期経営計画の期間終了に伴い、当社では、創業110周年にあたる2024年度を始期とする中期経営計画(対象期間:2024~2026年度。以下、新中期経営計画)を策定し、その実現に向けて努めてまいります。長期的には、➀2030年までの7年間で約70億円の投資枠を設けること、②チャレンジ戦略枠を創設し、研究開発、人材育成分野を中心に社員に新事業や新規方策への挑戦を促すことを掲げております。

サステナビリティに取り組む当社の姿勢を明確にするために、これに併せて、サステナビリティ基本方針を定めました(P11参照)。

 

 (3) 経営環境

前中期経営計画の期間における事業環境の変化として、以下のような変化が生じていると認識しております。

① 過去2年において、ウクライナ戦争に端を発する都市ガス、LNG及び電力価格の高騰により、当社製品の製造コストが著しく上昇しました。また、原材料メーカーも同様の影響を受け、原材料価格も上昇しました。これを受けて、当社では価格転嫁を実施しましたが、今後については、地政学リスクもあり不透明な状況です。

② 地球温暖化防止の観点から、プラント事業の顧客(主に電力、石油、化学、鉄鋼分野)では、燃料や原料を化石燃料から非化石燃料由来に切り替える事業構造の転換が始まっています(SAF、アンモニア燃料、ケミカルリサイクル原料への切り替え等)。一方で、従来燃料とのコスト差が大きな課題であり、商用化のスピードは不透明な部分があります。

③ わが国における少子高齢化の影響が当社の採用活動にも影響を与え、希望通りの新卒採用ができない状態が続いています。喫緊の課題として、建設2024年問題への対応も求められます。

④ 1960年に操業を開始した岐阜工場は、操業開始60年余りを経過し、安定操業を確保するための対策を検討する時期になっています。

⑤ 資本コスト経営に対する要請が強まり、企業に対して資本を十分に活用した経営を行っているかの説明責任が求められるようになっています。

 

 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題としては、主に下記の8点があります。

① 市場の拡大、収益の確保

1)国内事業の拡大

国内市場につきましては、建設投資を確実に受注につなげられるよう営業力の強化を図るとともに、更なる工事管理強化による採算性の向上を図り、また、新市場の開拓及び新規商品の開発を推進します。

・建築事業においては、耐火被覆材のシェアアップ、新製品開発、既存製品の性能・機能の向上等を進めていきます。SDG'sを強く意識し、建物(物流施設、オフィス、商業施設、工場、データセンター等)の特徴に応じた提案を推進します。

・プラント事業においては、保温材のシェアアップ、建設案件の営業強化等を行っていきます。SDG'sを強く意識し、新しい需要への対応を推進します。

・生産事業部においては、エネルギー原単位とエネルギー購入コストの低減策に取り組みます。

・技術本部においては、将来の収益の一翼を担うことを目指し、カーボンニュートラル・カーボンネガティブを意識した新規商品の開発を推進します。

2)海外事業の推進

以下の対策等により海外事業の拡大を図ります。

・ベトナム工場の安定稼働を維持すべく、全力で取り組みます。

・ベトナム工場生産品の販路拡大のため、海外、とりわけ東南アジアにおける営業を、インドネシア駐在員事務所を核とし、各国の販売店と協調しながら一層強化します。

・ベトナム工場については、生産性向上のため、海外需要等の事業環境を見極めながら、段階的に増設を進めます。

・建築事業においては、市場拡大に向けてアジア地区での各国販売店との連携を推進します。

3)建築・プラントに次ぐ第三の事業の創出

環境分野(特に循環経済、廃棄物の再資源化)に焦点を当て、景気の波に左右されない強固な事業基盤の構築を目指し、第三の事業を創出していきます。

サステナビリティ経営の推進

マテリアリティ(重要課題)を特定し、将来あるべき目標とマイルストーン(中間目標)を設定し、サステナビリティ経営を推進します。政府方針である2050年におけるカーボンニュートラルの実現に向けての取り組みを進めます。

人的資本経営の推進

1)JIC版働きがい改革の推進を、経営トップの意識改革、経営戦略としての「人事戦略・方針」策定、人事施策・方針の見直し、社員との双方向の対話、を核として進めていきます。

2)「人的資本経営」の考え方に立ち、人への投資を進めていきます。

3)企業価値の向上及び社員の成長を目指し、社員の生産性向上、少数精鋭体制の確立のため、社員教育の強化、有能な人材の確保に努めてまいります。

4)健康経営の推進に一層努めてまいります。

5)次世代経営者及び次世代幹部候補者の育成に努めるとともに、女性社員、外国人、中途採用者を含めた多様な人材の育成(ダイバーシティの推進)を進めてまいります。

6)引き続き、海外生産体制並びに海外営業の強化を進め、さらにグローバル人材の確保のため、語学教育の強化、外国人の登用等を通じ、海外業務に対応できる体制を強化してまいります。

7)当社の工事分野における総合力の向上のため、協力業者の育成を図ってまいります。

コンプライアンスの徹底

コンプライアンスは経営の根幹をなすものであり、これまで以上に役職員に対するコンプライアンス教育を徹底する他、コンプライアンスを推進するために必要な体制の整備及びその確実な運用を図ります。2023年度においては、コンプライアンス全般、ハラスメント防止、インサイダー取引規制などについて、コンプライアンス委員会事務局より研修ツールを提供し、教育・啓蒙に努めてまいりました。また、役職員のコンプライアンスに対する意識や法令遵守状況等の実態を把握するため、「コンプライアンス意識調査」を実施しました。

2024年度においては、こうした取り組みに加え、既に設置し運用している内部通報制度・ハラスメント相談窓口制度の運用改善、人権尊重に関する教育の実施等の取り組みを行います。

反社会的勢力とは関係を一切持たない経営を推進します。

「働き方改革関連法」の本格適用を受け、時間外労働の上限規制を遵守します。

ガバナンス体制の強化

コーポレートガバナンス・コードに適切に対応しガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。

危機管理への対応

1)当社を取り巻く様々なリスクを事前に認識し、リスクが顕在化しないよう、適切な対策を実施していきます。リスク管理委員会を年に2回、取締役会メンバー及び執行役員により開催しており、当社を取り巻く潜在的なリスクの確認やその未然防止策等について審議を行っております。また、役職員に対する教育の実施により、リスクへの意識の涵養に努めております。

2)地震や台風などの自然災害に伴うリスクに対し、適切に対応します。

3)感染症が当社事業並びに当社役職員を含む全てのステークホルダーの安全・健康に及ぼす影響を適切に見極め、対応します。

4)海外展開の推進に伴い増加するリスクに対し、適切に対応します。

5)取引先を含む人権尊重の徹底に取り組みます。

6)また、建設アスベスト損害賠償請求等の訴訟につきましては、今後とも弁護士と協議しつつ適切に対応します。

 

DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進

IoT、AI、RPA等の高度IT技術を活用した生産性の向上に引き続き取り組んでいくとともに、電子帳簿保存法に対応する帳票管理システムの拡張開発や、中長期的な取り組みとして基幹システムの刷新も進めてまいります。

 

品質・安全維持への対応

労働災害、品質クレームゼロを目指し、日頃からの管理の徹底、発生時の原因追究及び対策実施を徹底します。

 

上記課題に対処し、これからも社会的責任を果たすため、コンプライアンス体制の強化を図り、事業環境の変化に対応したコーポレート・ガバナンスの一層の充実を推進し、取引先からの信頼の向上を図ります。また、技術力・開発力の強化、収益力の向上を図り、さらに企業価値を高めることにより株主からの支持を得られるよう全社を挙げ努力します。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、企業の成長並びに生産性向上を測定するうえで、売上高、営業利益及び配当水準を重視しております。成長性と収益性の観点から、前中期経営計画(2021年度~2023年度)を2021年6月30日に開示し、目標達成に向けての取り組みを行ってまいりました。経営成績としては、下図のとおりであり、売上高は累計で目標を達成したものの、営業利益では累計目標の82%にとどまりました。

これは、エネルギー、原材料価格の高騰に起因する製造原価、工事原価の上昇に加え、建設資材価格の高騰に伴う建築着工量の減少等の影響によるものと考えております。

 

 

前中期経営計画(2021~2023年度)の達成状況                       (単位:百万円)

(連結)

2021年度

2022年度

2023年度

計画

実績

達成率

計画

実績

達成率

計画

実績

達成率

売上高

12,900

14,118

109.4%

12,950

12,320

95.1%

13,000

12,537

96.4%

営業利益

1,716

1,861

108,.5%

1,852

1,145

61.8%

1,863

1,458

78.2%

営業利益率

13.3%

13.2%

 

14.3%

9.3%

 

14.3%

11.6%

 

当期純利益

1,143

1,145

100.2%

1,266

723

57.2%

1,291

975

75.5%

当期純利益率

8.9%

8.1%

 

9.8%

5.9%

 

9.9%

7.8%

 

自己資本

12,148

12,080

99.4%

13,084

12,469

95.3

14,070

13,330

94.7%

ROE

9.8%

9.8%

 

10.0%

5.9%

 

9.5%

7.6%

 

 

 

上記前中期経営計画の達成状況とその間の経営環境の変化(P8「経営環境」参照)をふまえ、2024~2026年度を期間とする中期経営計画を策定し、推進してまいります。

次期中期経営計画では、サステナビリティ経営を推進し、社会に貢献する事業の拡大を図ってまいります。

これによって、以下を目標とします。

・ ROE 10%程度

・ PBR 1.0以上

この目標を早期に達成し、さらに高みを目指していきます。

 

中期経営計画(2024~2026年度)の目標               (単位:百万円)

(連結)

2023年度

2024年度

2025年度

2026年度

実績

計画

計画

計画

売上高

12,537

12,547

14,000

15,000

営業利益

1,458

1,186

1,550

1,750

営業利益率

11.6%

9.5%

11%

12%

ROE

7.6%

5.7%

7.0%

8.0%

 

 

 

 

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

2-1 全般

 

当社は、「サステナビリティ経営の推進」を基本テーマに据えた2021~2023年度を期間とする中期経営計画(以下、前中期経営計画)を2021年6月に策定して推進してまいりました。さらに2024年度から2026年度を期間とする中期経営計画(以下、新中期経営計画)を2024年6月に策定しました。これに合わせて、サステナビリティ基本方針を以下のとおり2024年6月に策定しました。特に気候変動、人的資本経営の取組みについては、別に項目立てをして示します。

 

(サステナビリティ基本方針)

①脱炭素社会の実現への貢献 (GX)

 ・当社商品・技術を活用して、お客様の事業活動におけるCO2排出削減に貢献

 ・サーキュラーエコノミーの推進への貢献

 ・自社の事業活動でのカーボンニュートラルに向けたCO2排出削減対策の推進

②レジリエントな社会実現への貢献 (SX)

 ・建築物の防災への貢献 -耐火建材による建築の資産価値向上

 ・耐熱材料で産業分野への貢献

③持続可能な研究・生産の活動の確保

 ・生産体制の整備

 ・品質管理、労働安全管理の徹底

 ・研究開発の推進

④ステークホルダーとのエンゲージメント深化

 ・人権の尊重

 ・ダイバーシティーの重視

 ・人材の育成 -リスキリングを含む教育訓練等の推進

 ・健やかに働くことのできる職場実現-健康経営、労働時間管理、福利厚生の充実

 ・DXの推進による生産性向上

 ・ステークホルダーとのコミュニケーション

⑤信頼あるガバナンス構築

 

(1) ガバナンス

当社は、前中期経営計画で「サステナビリティ経営の推進」を経営方針に掲げてきたことでもご理解いただけますように、中長期的な企業価値の向上を実現するためには、サステナビリティを巡る課題への対応が必要不可欠と認識しております。サステナビリティに関する経営活動に対する監督体制については、取締役会、経営会議の各機関による経営計画の審議、実施状況の確認を行うこととしております。その詳細につきましては、「コーポレート・ガバナンスの概要」(P29)に記載しておりますので、ご参照ください。

また、当社グループの事業は、お客様の事業活動における省エネルギーや防災に貢献するものであり、当社の企業活動がそのままSDGs(特にSDGs7、11、12、13)に貢献するものであり、事業活動における廃棄物や資源のリサイクル及び省エネルギーの推進等と相まって、当社事業の拡大を通じて、持続可能な社会の構築への貢献と中長期的な企業価値の向上の両立を実現できるものと考えており、上述の「サステナビリティ基本方針」にサステナビリティを巡る方向性と課題を示し、適切に対応してまいります。

2024年6月20日付で策定したサステナビリティ基本方針は、当社グループのサステナビリティに関連する規定・方針類を束ねる上位方針として位置付けており、関連する方針として、環境方針、健康宣言等を定めています。サステナビリティ基本方針は、今後、当社ウェブサイトに掲載して広く周知に努めてまいります。

 

(2) リスク管理

サステナビリティ課題に関する事項の認識については、代表取締役社長を議長とするリスク管理委員会を設置して、リスクを抽出・評価し、管理するため、年に2回、取締役会メンバー及び執行役員により開催しております。  

リスク管理委員会は、当社を取り巻く潜在的なリスクを事前に具体的に想定し、経営における重要度、影響度、発生可能性を評価しております。

リスク管理委員会では、予防的な取り組みとして、その未然防止策等について審議を行っており、それぞれについて対応担当部署を指定し、その対応策の策定等を指示しています。サステナビリティ関連のリスクの抽出・評価については、リスク管理委員会において、全社のリスクとの統合が図られています。

また、役職員に対する教育の実施により、リスクへの意識の涵養に努めます。さらにトップダウンアプローチに加え、当社はサステナビリティ経営の推進に向けて、社員が問題意識を共有するため、社内でサステナビリティ経営に関する勉強会を実施するなど、ボトムアップアプローチによる取組みも行っております。

 

(3) 戦略と目標

企業価値向上に向けた取り組みにつきましては、当社では、2021 年6月に「サステナビリティ経営の推進」を基本テーマに据えた前中期経営計画(2021~2023年度)を策定して開示しました。主要方策として、①脱炭素社会への実現への貢献、②レジリエントな社会実現への貢献、③ステークホルダーとのエンゲージメント深化、④ガバナンスの高度化によって、企業力の強化、企業への信頼の醸成を図ることを掲げて、方策を推進してまいりました。期間中(2021~2023年度)の主な実施内容は以下のとおりであります。

 

① 脱炭素社会への実現への貢献

当社は、前中期経営計画(2021~2023年度)においても、脱炭素社会実現への貢献を主要方策と位置付けて取り組みをしてまいりました。詳細につきましては「2-2 気候変動への対応」の項をご参照ください(P14)

② レジリエントな社会実現への貢献

都市防災に不可欠であり、今後も需要が見込まれる大型物流施設、データセンターや高層オフィスビル等の建物に向けて耐火建材や関連商品の開発を推進してまいりました。

(2021~2023年度における取組み例)

1)CFRP(炭素繊維強化プラスチック)型材「アルティ―ボード」及び不燃内装意匠材 「タイカライトウッド」の生産設備を増強しました

2)建築分野で、顧客のニーズに対応した耐火構造認定の取得を行いました

③ ステークホルダーとのエンゲージメント深化

当社は、前中期経営計画(2021~2023年度)においても、取引先様、株主様、従業員、地域などすべてのステークホルダーに信頼される経営を実践してまいりました。特に、従業員とのエンゲージメント深化の詳細につきましては、「2-3 人的資本経営への取組」の項をご参照ください(P15)

④ ガバナンスの高度化

当社は、コーポレート・ガバナンス・コード(CGC)への適合性をより一層高め、公正性、透明性、客観性の向上に努めてまいりました。

(2021~2023年度における取組み例)

1)2021年に指名・報酬等検討委員会を設置しました

2)執行役員制度を導入しました

3)取締役及び執行役員に対する譲渡制限付株式を導入しました

 

・新中期経営計画(2024~2026年度)

上記の前中期経営計画の実施状況、事業環境の変化等を踏まえ、新中期経営計画(2024~26年度)では以下の事項に力点を置いて進めてまいります。

①  カーボンニュートラル(CN)を商機に、既存事業の拡大、新事業展開を本格化してまいります。

1)電力、石油、化学、鉄鋼等業界における顧客で検討が進む燃料、原料の化石燃料由来から非化石燃料由来へ切り替える事業構造の転換に保温保冷工事を通じて貢献してまいります。

・水素、アンモニア等の次世代燃料への燃料転換における保温材需要が見込まれ、保冷事業への参入を企図します。

・メタネーション、ケミカルリサイクル等の導入に伴い、新たな保温工事需要の増加が見込まれます。

2)新事業として、サーキュラーエコノミー関連の事業・製品の開発を推進してまいります。

・廃棄物の再資源化事業への参入

・バイオ由来原料の製品開発(研究開発段階)

②  顧客の多様なニーズに応える製品開発を実現してまいります。

1)耐熱性の高い素材を活かした製品開発・普及等を推進してまいります(当社独自のゾノトライト技術を基礎としつつ、他の素材開発にも取組み)

2)建物用途に応じた製品仕様の開発や耐火構造認定の自由度を高める等、ユーザー本位の製品設計に努めてまいります。(はり・柱の耐火被覆、免震装置耐火被覆システムの認定取得、範囲拡大等)

③ 自社生産設備のカーボンニュートラル化、設備生産性の向上を図ってまいります。2050年までのカーボンニュートラル化を目指してまいります。

・生産設備の集約、老朽設備の更新によるGHG排出量の削減、生産性向上の検討

・省エネ設備の導入によるGHG排出量削減

・工程で排出される廃材のリサイクルの徹底

④  無形資産投資(R&D、人的資本等)を積極化してまいります(人的資本への投資はP15を参照)。

1)研究開発の積極的な推進を行ってまいります。

・若手研究人材の採用、組織の整備

・最新設備の導入

・R&Dマネジメント手法の活用

・産学連携の活用

2)チャレンジする企業文化を育み、成長基盤を構築することを目指して、社内ベンチャー的な取り組み(チャレンジR&D戦略枠)の制度を設けて、新たな事業の創造を推進します。

3)企業成長のために人的資本に投資してまいります(人的資本への投資はP15を参照)。また、社員自ら発案し、自発的な学びをサポートするリスキリング(チャレンジ人的資本戦略枠)を拡大してまいります。

4)DXによる生産性向上を目的として必要な投資を行ってまいります。

・基幹システムの更新検討

・RPA、現場帳票電子化ツールの業務への適用拡大

・AI導入による省力化

・EDIシステムの強化拡充

・その他ワークフロー化等

⑤  真に必要な投資を見極め、資本効率の向上を図る

・資本コストをふまえたハードルレートを設定し、事業性を見極めながらも、サステナビリティ経営の方向性に合致する事業案件に積極的に投資する姿勢を明確にしてまいります。このため、環境価値織り込みも検討してまいります。

 


 

 

 


 

 

2-2 気候変動への取組

当社は、気候変動を事業機会ととらえ、気候変動対策に貢献する新事業や新製品の開発に向けた取組みを進めております。

 

(1) ガバナンス

当社は「サステナビリティ経営の推進」を経営方針に掲げていることもあり、気候変動への取組に関する経営活動に対する監督体制については、2-1の通り、取締役会、経営会議の各機関による経営計画の審議、実施状況の確認を行うこととしております。

 

(2) リスク管理

気候変動に関するリスクについては、2-1の通り、リスク管理委員会を設置して、経営全般にわたるリスクを認識し、リスクが顕在化しない様に対策を講じる中で、サステナビリティに関しても経営層による検討を実施しております。

 

(3)当社における削減目標と前中期経営計画期間における実績

(削減目標)

 わが国政府目標に準拠して、

・2030年までに、2013年比でGHG排出量を46%削減するように努めます。

・2050年までに、カーボンニュートラルを実現できるように努めます。

(実績)

① 脱炭素社会への実現への貢献

(2021~2023年度における取組み例)

1) プラントでは保温保冷工事が、今後においてもバイオマス発電やアンモニア混焼発電など、熱を扱うプラントの省エネルギーのために不可欠であります。特に高効率発電で必要となる高温領域での保温は、耐熱温度1000℃を誇る当社製造のけい酸カルシウム保温材の最も得意とするところで、需要に応じて保温材の共有を実施してまいりました。

2) 日本はもとより、海外向けに日本の優れた、CO2排出量を半減できるバイオマス由来保温材「ダイパライト-E」の普及に努めました

・日本LCAフォーラム奨励賞を受賞しました

・バイオマス由来保温材「ダイパライト-E」のJIS認定を取得しました

・SDGs勉強会を全社員を対象にグループワーク形式で実施しました

 


 

3) 自社でのCO2排出量削減

・CO2フリー電気を岐阜・北勢地区で導入しました

・CO2排出量(Scope1・2)は2013年度比で27%減少しました(右図参照)

・リサイクルでのCO2削減として、これまでの通常品のリサイクルに加え、岐阜工場ではっ水処理製品のリサイクルを開始しました。

 

 

2-3 人的資本経営の取組

当社は創業以来、さまざまな危機や環境変化に直面する中で、社員一人ひとりが社会の変化を見極め、事業モデルを変化させてきました。さらに変化に対応できるスキルを一人ひとりが身に付けられる研修制度や人事制度を充実させることで、社員が安心して長く働き続ける環境を構築していきます。

 

(1) ガバナンス

当社は「サステナビリティ経営の推進」を経営方針に掲げていることもあり、人的資本経営に関する経営活動に対する監督体制については、2-1の通り、取締役会、経営会議の各機関による経営計画の審議、実施状況の確認を行うこととしております。

 

(2) リスク管理

人的資本経営に関するリスクについては、2-1の通り、リスク管理委員会を設置して、経営全般にわたるリスクを認識し、リスクが顕在化しない様に対策を講じる中で、サステナビリティに関しても経営層による検討を実施しております。

中でも、将来見込まれる建設業界における人手不足は、当社においても重大なリスクであると認識しております。現場では主任技術者の配置が必須であり、今後の業容拡大のためには、優秀な人材の採用及び教育研修実施・内容の充実により、当社グループの成長を支える社員、特に専門的な知識を持った人材の確保・育成をすることが重要な経営課題であり、現在、有資格者の採用及び社員の資格取得の促進に注力しております。

 

(3) 戦略と目標

人的資本経営については、2023年2月に経営諮問委員会(経営全般について大所高所から取締役会に提言を行う機関)が人的資本経営、従業員エンゲージメントの観点から「JIC版働きがい改革実現のための提言」を行ったことを受け、今後より一層積極的な方策を検討し、推進することとしております。

 

① 人材育成

1)当社は、以下の方針により、人材の育成に取り組んでおります。

「日本インシュレーションは、独自の製造技術を武器にけい酸カルシウム系の耐火被覆材及び保温断熱材の製造メーカーとして、お客さまに喜ばれる高い付加価値を提供できる従業員の育成と、一人ひとりが持つ能力を最大限発揮することができる社内環境の整備を推進してまいります。」

 社是である「信頼を高め、付加価値を創造し、人間を豊かにする」を軸に、人材を人財と捉え、企業価値向上の重要な資本と位置づけ、「成長意欲にあふれる自立した人材の育成」に取り組みます。

2)人材育成プログラムとして、当社では、将来を見据えた、人材への成長投資を推進し、必要なスキルを社員自ら選び、自発的な学びをサポートする取組みを拡大していきます。

 新入社員、中堅社員、幹部社員など階層別に種々のカリキュラムを整備し、社員スキルの向上に努めています。


(注)上表の他、施工管理技士取得支援研修、RPA技能研修等の各事業部単位での人材育成も実施しています。

 

また、社内外の研修教育実績を集計したところ以下のとおりであり、今後、前年実績を上回る水準を確保しつつ、計画的な推進を行ってまいります。

 

   提出会社

2023年度

研修時間

研修費用

社内研修

1,228時間

14,515千円

外部研修

524時間

2,668千円

合   計

1,752時間

17,183千円

 

(注)ジェイ アイ シーベトナム有限会社は海外子会社であり、研修形態が異なるため含めておりません。

 

② 働き方改革

いきいきと働きやすい風土づくりを進めるため、以下のような目標と方策を実施しております。

《目指す姿》

・社員の個性を尊重し、お互いが支え合う風土の醸成

・心身共に健康で働きやすい職場作りの構築

・有給休暇取得率80%以上

《主な取り組み施策》

・仕事とライフイベント

・自己実現を支えるワークライフバランス

1)ノー残業デーの実施

 残業時間削減を目的に、全社一斉のノー残業デーを設けて、社員に不要不急の残業をせずに帰宅するように呼び掛けています。

2)有給休暇の取得推進

 計画的有給休暇の取得を年5日設定し、安心して働くことができる環境整備に力を入れています。また、有給休暇取得率の実績は下表のとおりであります。

提出会社

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

74%

72%

77%

75

 

    (注)ジェイ アイ シーベトナム有限会社は海外子会社であり、労働形態が異なるため含めておりません。

 

 

・仕事と育児の両立支援

育児休暇取得後の育児短時間勤務を小学校卒業までとしています。

・JIC人材バンク制度

諸事情により、当社を退職された社員で、将来当社での再就業を希望する方を対象にキャリア登録を行い、再雇用を希望する方も積極的に採用しています。

・自己申告制度

従業員が現在の職場、担当業務や勤務地等について満足しているか調査し、配置転換の際に経営計画等の会社ニーズと従業員個人のニーズを出来るだけ合致させるための参考にしています。また業務を円滑に遂行するために、上司との面談を通じて、最も適切な部下の育成方向を明確にして能力開発を図ります。

 

③ 健康経営の推進

・当社は、「JIC健康経営宣言」を定め、目標を設定して方策の推進に取り組んでおり、その取り組みを「見える化」するため、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人2024」の認定を受けました。初めて認定された2022年、2023年に続き3年連続となります。

《JIC健康経営宣言》

日本インシュレーションは「働き方改革」を推進すると共に「会社の基盤は社員の健康」という認識のもと、従業員一人一人が心身ともに健康で個性や能力を発揮することが,会社の成長につながると考えています。

“従業員が活き活きと働くことができる職場環境と風土作り”をさらに発展させるため,社員の健康維持・増進を支援し、「健康経営」を積極的に推進してまいります。

《体制》

人事部に属する健康推進担当が中心となり、 産業医や安全衛生委員会等と連携して体制を整備するとともに、効果的な施策を実行していきます。また、健康に関する情報発信だけではなく、従業員が相互にコミュニケーションが図れる仕組みを積極的に取り入れながら、 従業員の健康づくりや病気の予防に活用しています。

 

《指標及び目標》

  提出会社

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

健康診断受診率

100

100

特定保健指導受診率

100

81

ストレスチェック受検率

100

95

有給休暇取得率

80以上

75

 

    (注)ジェイ アイ シーベトナム有限会社は海外子会社であり、労働形態が異なるため含めておりません。

 

《主な取り組み施策》

・適切なワークライフバランスの維持

・一人ひとりの勤務時間をしっかりと把握・管理することで長時間労働を抑制

・有給休暇取得促進の取り組み

・健康増進イベントの開催

・健康アプリを活用したウォーキング大会を通じて、歩くことの習慣化を促進

・従業員の課題に応じて、各種セミナーを実施

・女性の健康管理セミナー

・健康管理サポート

・健康診断の受診促進や産業医によるケアなどサポート体制を構築

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

 

(1)景気変動、経済情勢等のリスク

当社グループの主要製品であるけい酸カルシウム保温材の主な需要先は石油・石油化学、電力・ガス、鉄鋼等の業種における設備投資動向に依存し、また、けい酸カルシウム耐火被覆材についてはオフィスビルや物流施設等の建設需要の動向に依存し、内外の景気動向や経済情勢の影響を受けます。また、建築物やプラント全体の建設費用の高騰があった場合は、けい酸カルシウム以外の保温材、耐火被覆材との価格競争を惹起する可能性があり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料・エネルギー等価格の変動及び調達に関するリスク

当社グループの製品の主な原材料は石灰石、珪石等であり、また、製造工程において熱源として天然ガス等を使用しています。原材料及びエネルギー価格の上昇があった場合や、地政学リスク等により需給のひっ迫により安定的調達が困難となった場合、あるいは、物流業界の労働時間管理強化による製品・商品の運賃の上昇があった場合には、当社グループの製造コストを上昇させ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの調達する多くの原材料において高い純度を求めていること等により仕入先は限定されることが多く、これに伴い調達先の確保が困難となるリスクがあります。

 

(3) 人材の確保・育成に係るリスク

従業員一般での人材確保ができない場合には、適切な労働環境の確保が困難となるリスクがあります。特に建設事業においては、有資格者の確保が事業を継続していくための基盤となっており、建設現場では主任技術者の配置が必須であり、今後の業容拡大のためには、人材の採用及び教育研修実施・内容の充実により、専門的な知識を持った人材の確保・育成をすることが重要な経営課題であると認識しております。有資格者の採用及び社員の資格取得の促進に注力しておりますが、急激に業容が拡大する等して必要な人材の確保が追いつかない場合や、採用に係るコストが上昇した場合には、事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) アスベストによる健康障害者への補償のリスク

過去に建設現場等において石綿に曝露し、これが原因で肺癌等の疾病に罹患した作業員及びその遺族等が、集団で国及び建材メーカー多数を相手に損害賠償請求の裁判を提起しております。当社もその建材メーカー多数の中の1社として現在係争中であります。当社はこれまで当社製品と原告の発病との明確な因果関係が認められなかったこと等から集団訴訟において敗訴となったことはごく一部の事案を除きありません。但し、当社製品と原告の発病との明確な因果関係が認められた場合等は敗訴となる可能性があり、必要な場合、合理的な方法で訴訟損失引当金の計上の要否を検討してまいります。このように、アスベスト健康被害に関し、個別に損害賠償請求の提訴を受けた場合も含めて、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、当社起因のアスベスト疾病により死亡または療養されている従業員及び元従業員に対して、社内規定に基づき補償金を支払っており、今後もアスベストによる健康障害者への補償費用等の負担が継続していく可能性があります。なお、補償金支払の対象者が発生した都度、検討し、健康被害補償引当金を計上しています。

 

(5) 労働災害に関わるリスク

当社グループが関与する工事現場においては、労働災害の防止や労働者の安全と健康管理のため、労働安全衛生法等に則り安全衛生体制の整備、強化を行っております。当社では、社内に安全衛生委員会を設置し、日常的な安全衛生教育を実施している他、経営幹部等による安全パトロールを実施する等、事故の未然防止を図るための安全管理を徹底しております。しかしながら、万が一重大な労働災害が発生した場合には、当社に対する社会的信用が毀損し、ひいては受注活動に影響が及ぶ等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 経営成績の季節変動性に関するリスク

当社グループの製品の販売については、大きな季節変動はありませんが、工事については、工事完了時期が年度末付近に集中することから、下期に偏重する傾向があります。万一、比較的大きな案件で何らかの事情で工事の完了が遅れることになる場合には、予定の売上が上がらずに翌期にずれるなど、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 海外事業に伴うリスク

当社グループは、連結子会社の立地するベトナムをはじめ東南アジア地域において、事業展開を行っております。これらの地域におけるテロ、戦争、疫病等社会的混乱の発生、社会インフラの未整備による停電や物流の停滞等予期せぬ事象、商慣習の違いから生じる取引先との予期せぬリスクの顕在化等によって、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが拠点を持つ各国において、税法をはじめとした法令改正、経済の減速、貿易障壁の発生、反日デモや不買運動等が発生した場合、あるいは、移転価格税制等に基づく課税等が生じた場合にも当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、東南アジア地域では、もみ殻を原料・燃料に使用したバイオマス事業として、けい酸カルシウム保温材の市場展開を図っておりますが、計画通りに進まなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

これらの事象については、当社グループの取引先において発生した場合も、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) 協力会社の確保に関するリスク

当社グループは、工事の施工管理を行っており、優秀な協力会社の確保が必要不可欠であります。現状は、長年取引を行っている協力会社を中心として受注工事に対応できる十分な施工能力を有しておりますが、万が一主要な協力会社との協力関係に不測の事態が発生し、施工能力に問題が生じた場合もしくは外注コストが上昇した場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 固定資産の減損に関わるリスク

当社グループは、固定資産の減損に関わる会計基準を適用しております。経営環境の著しい悪化による収益性の低下等により、保有する固定資産に減損損失が発生し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)自然災害等に関わるリスク

当社グループは、国内外に複数の生産拠点などを有しております。万一、当該拠点のいずれかにおいて大規模な地震、風水害、疫病等の自然災害が発生した場合には、保有設備の復旧活動に関する安全確認、施工中物件の工事の遅延、一時的な生産の停止による出荷の遅延等により多額の費用が発生し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)収益及び費用の計上基準に関わるリスク

工事契約において、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗に基づく収益を計上しております。なお、進捗度の見積りの方法は、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合(インプット法)で算定しております。

工事原価総額等の見積りは、工事の完成引渡しまでに必要となるすべての工事内容に関する原価を見積って算定しており、工事着手後に工事内容の変更が生じた場合は、適時・適切に再見積りを行っております。当該見積りは、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に発生した工事原価及び工事収益総額が見積りと異なった場合や、異なる結果になると見込まれた場合には、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(12)不採算工事の発生に対するリスク

当社グループは、工事にあたり適切な積算を行っておりますが、想定外の追加原価等により、万一不採算工事が発生した場合には、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(13)情報セキュリティに関わるリスク

当社グループは、事業活動を通じて、取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、また、営業上・技術上の機密情報を保有しています。これらの情報について、情報の管理に関する諸規定等の整備・充実や従業員等への周知・徹底を図るとともに、サイバー保険に加入するなどの対策を強化しておりますが、サイバー攻撃、不正アクセス等により、情報流出や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの信用低下や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 

 

 

(14)債権管理のリスク

当社グループでは、取引先に対して、売掛金、受取手形や差入保証金などの債権を有しております。取引先の与信管理については細心の注意を払っておりますが、取引先の業績悪化や倒産等により、売上債権の回収に支障が出た場合は、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)法的規制、コンプライアンス等についてのリスク

当社グループは、建設業法に基づき国土交通省より特定建設業・一般建設業の許可を得ているほか、建築基準法、消防法、労働安全衛生法、環境基本法等、幅広い法規による規制を受けており、それらに従って事業を行う必要があります。また、当社グループの工場は、環境関連、労働安全衛生関係で、国内外の政府や自治体の監督を受けております。

当社グループでは、事業継続のため、これらの法令等を含めたコンプライアンスが遵守されるよう、役職員に対して研修等を通じて周知徹底を図ることで、これらの適用法令等に対応できる体制を構築しております。現時点で事業継続に支障を来す事項はありませんが、今後、何らかの理由により適用法令等の違反が発生した場合には、処罰、処分その他の制裁を受け、損害賠償等の責を負い、当社グループの社会的信用やイメージが毀損することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法令等に将来改正が行われた場合、当社グループの事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。

なお、適用法令等について、その有効期間やその他の期限等が法令等により定められているものは下表のとおりであります。下表のとおり2025年7月11日に許可の有効期限が到来する予定であります。

 

取得・登録者名

当社

取得年月

2020年7月

2020年7月

許認可等の名称

一般建設業(許可)

特定建設業(許可)

所管官庁等

国土交通省

国土交通省

許認可等の内容

管工事業、機械器具設置工事業

国土交通大臣 許可(般-2)第4567号

建築工事業、とび・土工工事業、内装仕上工事業、左官工事業、塗装工事業、熱絶縁工事業、解体工事業

国土交通大臣 許可(特-2)第4567号

有効期限

2020年7月12日から2025年7月11日

2020年7月12日から2025年7月11日

法令違反の要件及び主な許認可取消事由

不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は許可の取消(建設業法第29条)

不正入札等不誠実な行為があった場合は業務停止等の処分(建設業法第28条)

不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は許可の取消(建設業法第29条)

不正入札等不誠実な行為があった場合は業務停止等の処分(建設業法第28条)

 

また、当社グループは、2020年6月に施行された改正労働施策総合推進法の趣旨に則り、パワーハラスメント防止に向けた相談窓口の設置等の制度を構築し、運用しております。現時点で事業継続に支障を来す事項はありませんが、今後、万一法令違反やハラスメントに係る事案が発生した場合には、当社グループの社会的信用やイメージが毀損することにより、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)製品及び工事の品質の瑕疵のリスク

当社グループは、ISO9001の品質保証規格やJISに基づく認証を受けており、厳しい品質管理体制のもとに生産活動を行っておりますが、製品の開発・製造における不具合や工事の施工での施工ミス等の品質上の全てのリスクを完全に排除することは困難であります。今後、当社グループの製品に予期しない重大な欠陥が発生した場合や施工ミスによる瑕疵が発覚した場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)為替変動に伴うリスク

当社グループでは、海外事業展開をしており、輸出入取引において為替の変動によって影響が生じます。当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、在外連結子会社の財務諸表を円貨換算しており、為替変動による期間損益の円貨換算額が増減するリスクが存在します。これらの為替変動リスクは、事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)知的財産権についてのリスク

当社グループは、事業活動に有用な知的財産権の取得に努めると共に、他社の知的財産権の調査を行うことにより、問題発生を回避する様に努めておりますが、万一、他社から訴訟等を提起された場合、その結果によっては経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)繰延税金資産の回収可能性に係るリスク

当社グループは、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号)を適用しております。課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収可能性の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純利益が変動する等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)サプライチェーンにおける人権侵害に伴うリスク

当社グループは、海外から原料の一部を輸入するとともに、製品の一部を海外へ輸出しております。原料調達に当たっては、人権侵害の有無に留意して調達先を選定しており、原料の多くは別の供給先に代替可能なものでありますが、万一、原料調達先で人権侵害や紛争が発生した場合、原料調達に影響を及ぼす可能性があります

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、景気は緩やかな回復基調で推移したものの、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念、また物価上昇やウクライナ・中東地域をめぐる情勢など、先行き不透明な状況が続いております。

当社グループの業績につきましては、建築関連では、販売部門で価格転嫁の効果に加え、需要量回復により増加したものの、大型の耐火被覆工事の受注の減少により工事部門の売上高が減少したため、建築関連セグメントの売上高は前年同期比で減少しました。プラント関連では、販売部門で、国内一般顧客メンテナンス向け、建設案件向け販売ともにやや振るわず、売上高が減少したものの、メンテナンス工事等の受注が堅調に推移したことにより、工事部門売上高が増加したため、プラント関連セグメントの売上高は前年同期比で増加しました。加えて両セグメントともに、原料・燃料費の高騰に対応して昨年より行ってきた価格転嫁の浸透により、損益面でも改善しております。

その結果、当社グループにおける当連結会計年度の売上高は12,537,772千円(前年同期比1.8%増)、営業利益1,458,110千円(前年同期比27.3%増)、経常利益は1,460,749千円(前年同期比27.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は975,182千円(前年同期比34.8%増)となりました。

 

セグメント別の経営成績は以下の通りであります。

<建築関連>

工事部門においては、データセンター、工場等の耐火被覆工事が比較的堅調に推移したものの、物流関係の大型工事案件の受注が振るわず、工事売上高は前年同期比で減少となりました。一方、販売部門においては、住宅向け耐火被覆材、炭素繊維強化プラスチック複合材料(CFRP)型材の販売量が堅調に推移したことに加え、価格転嫁の浸透により、販売売上高は前年同期比で増加しましたが、工事売上の減少を販売売上の増加でカバーするには至りませんでした。

以上の結果、工事及び販売を合わせた建築関連全体の売上高は4,603,413千円(前年同期比6.8%減)となりました。

<プラント関連>

工事部門においては、メンテナンス工事等の受注が堅調に推移したことにより、工事売上高としては前年同期比で増加しました。販売部門においては、当期間においては、国内一般顧客メンテナンス向け、建設案件向けともに振るわず、販売売上高は前年同期比で減少しましたが、工事売上の増加が販売売上の減少をカバーする形となりました。

以上の結果、工事及び販売を合わせたプラント関連全体の売上高は7,934,358千円(前年同期比7.5%増)となりました。

 

当連結会計年度末の財政状態は、次のとおりであります。

当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べて1,793,018千円増加し、18,116,814千円となりました。

 

(流動資産)

流動資産については前連結会計年度末に比べて1,644,737千円増加し、11,878,817千円となりました。これは主に、売掛金が195,976千円、完成工事未収入金が62,506千円減少した一方で、現金及び預金が1,394,053千円、電子記録債権が202,014千円、契約資産が279,821千円、仕掛品が68,081千円増加したことによるものであります。

(固定資産)

固定資産については前連結会計年度末に比べて148,280千円増加し、6,237,997千円となりました。これは主に、建物及び構築物が56,165千円、機械装置及び運搬具が83,296千円、繰延税金資産が14,172千円減少した一方で、建設仮勘定が12,047千円、投資有価証券が285,636千円増加したことによるものであります。

(流動負債)

流動負債については前連結会計年度末に比べて805,609千円増加し、3,506,824千円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が117,408千円減少した一方で、支払手形及び買掛金144,583千円、未払法人税等が334,958千円、賞与引当金が146,288千円、その他が153,903千円増加したことによるものであります。

(固定負債)

固定負債については前連結会計年度末に比べて126,592千円増加し、1,279,176千円となりました。これは主に、健康被害補償引当金が28,716千円減少した一方で、長期借入金が147,860千円増加したことによるものであります。

(純資産)

純資産については前連結会計年度末に比べて860,815千円増加し、13,330,814千円となりました。これは主に、利益剰余金が655,454千円、その他有価証券評価差額金が189,751千円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末と比較して1,194,947千円増加し、4,646,758千円となりました。

 

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、1,915,910千円(前年同期は1,933,001千円の獲得)となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の増加額188,514千円、棚卸資産の増加額116,389千円、法人税等の支払額185,306千円により減少した一方で、税金等調整前当期純利益1,415,951千円、減価償却費309,259千円、賞与引当金の増加額146,371千円、その他262,598千円により増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により支出した資金は、447,001千円(前年同期は536,838千円の支出)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出211,105千円、有形固定資産の取得による支出215,655千円により減少したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は、274,526千円(前年同期は457,828千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金による収入550,000千円により増加した一方で、長期借入金の返済による支出504,798千円、配当金の支払額319,727千円により減少したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

建築関連

2,973,639

89.3

プラント関連

5,876,411

102.4

合計

8,850,051

97.6

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.金額は、工事原価、製造原価によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

建築関連

4,730,055

102.9

1,856,100

107.3

プラント関連

7,407,277

96.3

1,478,959

73.7

合計

12,137,333

98.8

3,335,059

89.3

 

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

建築関連

4,603,413

93.2

プラント関連

7,934,358

107.5

合計

12,537,772

101.8

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.総販売実績に占める割合が10%以上である販売先は、該当ありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表に影響を及ぼします。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。

a. 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。

将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収可能額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益が変動する可能性があります。

b. 健康被害補償引当金

アスベスト(石綿)健康被害を受けた元従業員等に対する支払に備えるため、将来発生すると見込まれる補償額を計上しております。

対象者が増加した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

c. 完成工事高及び完成工事原価の計上

工事契約において、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗に基づく収益を計上しております。なお、進捗度の見積りの方法は、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合(インプット法)で算定しております。想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、完成工事高及び完成工事原価が影響を受け、当社グループの業績を変動させる可能性があります。

d. 投資の減損

当社グループは、長期的かつ戦略的な取引関係維持を目的に特定の取引先の株式を所有しております。これら株式には上場株式と非上場株式が存在します。当社グループは投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、減損処理を行っております。上場株式については、時価が取得原価の50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。非上場株式及び関係会社株式については、実質価額が取得原価の50%以上下落した場合に、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。将来、株式市場の悪化または投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。

e. 固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、収益性が著しく低下した場合は、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析

売上高については、建築事業は販売が増収、工事が減益、プラント事業は工事が増収、販売が減益となり、全体として当社グループの売上高は前年同期と比較して217,671千円増加し、12,537,772千円となりました。

売上原価については、前年同期と比較して206,387千円減少し、8,905,945千円となりました。

この結果、当連結会計年度における売上総利益は、前年同期と比較して424,058千円増加し、3,631,827千円となりました。これは製品価格への原材料、エネルギー価格上昇分の転嫁が浸透したことによるものであります。

販売費及び一般管理費については、物流費、役職員賞与が減少したものの、賞与手当、求人費、支払手数料、試験研究費が増加などにより、前年同期と比較して111,397千円増加し、2,173,717千円となりました。

これにより営業利益については、前年同期と比較して312,660千円増加し、1,458,110千円となりました。

営業外収益については、受取利息及び受取配当金、受取保険金が増加したものの、健康被害補償引当金戻入額の減少などにより、前年同期と比較して10,900千円減少し、65,420千円となりました。営業外費用については、健康被害補償引当金繰入額が減少したことなどにより、前年同期と比較して16,464千円減少し、62,781千円となりました。

これにより経常利益については、前年同期と比較して318,224千円増加し、1,460,749千円となりました。

特別損失については、減損損失を計上し44,798千円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期と比較して251,598千円増加し、975,182千円となりました。

また、セグメントごとの経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

b. 財政状態の分析

当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金及び投資有価証券が増加したことなどにより前連結会計年度末と比較して1,793,018千円増加18,116,814千円となりました。

当連結会計年度末における負債は、支払手形及び買掛金、未払法人税等、賞与引当金、長期借入金等が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して932,202千円増加4,786,000千円となりました。

当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して860,815千円増加の13,330,814千円となりました。

c. キャッシュ・フローの分析並びに、資本の財源及び資金の流動性に係る情報

1.キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2.資金需要について

運転資金のうち主なものは、当社グループの製品製造のための原材料購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いによるものです。

設備投資資金のうち主なものは、不燃内装材の生産設備増設等のための支払いであります。

3.財務政策について

運転資金として必要な資金は、営業活動により得られるキャッシュ・フローにより賄い、設備投資については、自己資金及び資本市場から得られた資金により実施しております。なお、設備資金及び長期運転資金として金融機関から調達した長期借入金につきましては、約定通りの返済を行い、金融機関との関係維持の為に一定の借入を実施する予定です。

また、金融上のリスクに対応するために取引金融機関との間で当座貸越契約を締結することで、手元流動性を確保しております。当座貸越契約とその借入実行残高(短期借入金)の状況は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  注記事項 (連結貸借対照表関係)3」に記載のとおりであります。

d.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の進捗について

当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の進捗については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における主な研究開発活動は、①既存の製品の改良、②けい酸カルシウムにこだわらない材料・工法の技術の開発、③新規用途の開発、④第三の事業分野の開発に向けた研究開発等であります。

研究開発体制は、技術本部を中心に、4つの部門(建築事業部、プラント事業部、生産事業部、技術本部)の連携により行っています。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は、154,570千円であります。

当連結会計年度における研究成果は次の通りであります。

(1) 建築関連

けい酸カルシウム耐火被覆板等の評価等による新規耐火ライセンス取得、けい酸カルシウム以外の建材による新規耐火板の開発、推奨副資材の研究、建物用途に応じた各種性能の改良研究、新規用途向けの材料や工法の開発等に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費の金額は94,002千円であります。

(2) プラント関連

保温材の品質改善、プラント用けい酸カルシウム耐火被覆板の評価等による国内外の耐火ライセンス取得、新規用途向けの材料や工法の開発、検討中の環境対応(廃棄物有効利用)新規事業に関する開発研究等に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費の金額は60,567千円であります。