当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当中間会計期間における世界経済は、持ち直しが緩やかになっており、関税率引き上げの影響に伴う駆け込み需要の反動の影響や不透明感が見られました。国内経済は、米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられるものの緩やかに回復しておりますが、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども国内景気を下押しするリスクとなっております。また、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意を要する状況が続いております。
当社が属する医薬品業界におきましては、がんや認知症等、世界的に患者数が増えている疾患の治療法の確立が、継続的な重要課題になっております。当社におきましては、創薬領域を中心に、積極的な事業展開を図りました。各領域における成果は次のとおりです。
① 創薬
当社の抗体取得プラットフォームを活用し、主にがん領域で抗体開発を進めております。カドヘリン3(CDH3)を標的とするPPMX-T002及びPPMX-T004、トランスフェリン受容体1(TfR1)を標的とするPPMX-T003という3つの抗体の開発を進めているほか、これらに続く候補抗体の評価・検討を進めております。
次世代の創薬に向けて、効率的な抗体取得技術の整備を進めており、新たなPPMX抗体ライブラリ2を用いて当社のデータベースを整備し、当社が独自に開発を進めているAI創薬により、高難度抗原に対する抗体取得を進めております。
また、7月には国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が設立した「ニューモダリティコンソーシアム」に会員企業の1社として入会が承認されました。これにより、当社は大学や研究機関の持つ先進的な創薬シーズへ効率的かつ早期にアクセスできるようになり、当社が有する抗体技術などとの組み合わせにより、新たな医薬品候補(パイプライン)や革新的な創薬の創出が期待されます。
当社のパイプラインの開発状況は次のとおりです。
a.PPMX-T002
PPMX-T002は、がん細胞で多数発現しているCDH3を標的とする抗体に、イットリウム90(90Y)という放射性同位体(RI)を標識した抗がん剤候補です。がん細胞上の標的に抗体が集積し、90Yが放射線を照射してがん細胞を殺傷する仕組みです。導出先の富士フイルム株式会社の事業方針の変更により、2022年3月に実施権が返還され、新たな医薬品候補として開発を進めております。富士フイルム株式会社の子会社が米国で行った第I相試験においては、本抗体が標的のがん細胞へ集積することが確認されております。当社は、抗腫瘍効果をさらに高める目的でRIを90Yからアクチニウム225(225Ac)へ変更し、動物実験で効果を検証しました。これをもとに放射性医薬品開発会社を中心に早期の導出に向けて活動を継続しております。
b.PPMX-T003
PPMX-T003は、当社のファージライブラリの中から、ICOS法というスクリーニング技術を活用して取得したユニークな完全ヒト抗体です。標的となるTfR1は、細胞内への鉄の取り込みに関与し、増殖が盛んながん細胞に極めて多く発現しています。本抗体がTfR1に結合すると、がん細胞への鉄の取り込みが阻害され、それによってがん細胞は増殖が抑制され抗腫瘍効果が得られます。
TfR1は、がん細胞のほかに、赤芽球細胞(赤血球になる前の細胞)にも極めて多く発現しています。このため、まずは赤血球が異常に増える疾患である真性多血症(PV)を対象疾患と定めて第I相試験を国内で実施し、2024年6月に終了しました。
また、本抗体はアグレッシブNK細胞白血病(ANKL)という超希少疾患に対する有望な治療薬となる可能性が示されています。2022年3月及び2025年2月の二度にわたり、AMEDの「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」(以下「本事業」)に採択され、支援を受けています。本事業は、医師主導で第I/Ⅱ相試験(以下「本治験」)を実施しています。当初、本治験は本年度内の終了を予定していましたが、2025年9月末時点での登録症例数が4例にとどまっていることから、治験調整医師の判断により、治験期間を1年延長することを計画しています。さらに、今後の被験者登録を促進するため、治験実施施設の数を9か所から10か所に増やす予定です。
このほか、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫等の血液がん及び固形がんに対する治療薬としての作用機序を明確化するため、名古屋大学等と共同で創薬研究を推進しております。当社は、PPMX-T003の価値最大化に向けて研究開発を進めると共に、早期の導出に向けて活動を継続しております。
c.PPMX-T004
PPMX-T004は、CDH3を標的とする抗体に薬物を結合した抗体薬物複合体(ADC)です。ADCは、抗体ががん細胞に特異的に結合し、薬物をがん細胞内に直接取り込ませることで、従来の化学療法よりも副作用を抑えつつ、高い治療効果が期待できるとされています。
当社はPPMX-T004の抗体に結合させる最新の薬物及びリンカー等の最適な組み合わせを見出し、マウスによる実験でも高い抗腫瘍効果を認めました。これを受けて、現在は予備毒性試験を進めております。薬効と毒性のバランスの最適化は2026年3月期以降となる見込みです。
また、前事業年度にADCに関する共同研究契約を締結したUBE株式会社とは、PPMX-T004のみならず、様々な疾患に対するADCの探索研究を進めております。その成果として、第84回日本癌学会学術総会(2025年9月25日~27日)におきまして、PPMX-T004b-PGAP-1(注)の高い抗腫瘍効果や先行品との比較について、ポスター発表を行いました。
(注)PPMX-T004b-PGAP-1は、卵巣がん、胆道がん、頭頸部がんなどの固形がんに多数発現が見られるCDH3を標的とするADCで、PPMX-T004のひとつです。
② 抗体研究支援
抗体研究支援の売上高は6,510千円(前年同期比71.9%増)となりました。なお、ラクダ由来のVHH抗体ライブラリを用いた抗体スクリーニング・作製サービスの提供を、2025年5月に新たに提供を開始しております。
③ 抗体・試薬販売
抗体・試薬販売の売上高は54,453千円(前年同期比2.1%減)となりました。2025年4月に、ADC研究開発用抗体として抗Exatecan抗体及び疾患研究用抗体として抗GPR87抗体を発売しております。さらに10月には疾患及び代謝研究に利用可能な抗S1PR3抗体の販売も開始しております。また、湧永製薬株式会社と共同で開発しているPTX3迅速計測キットについては、心血管疾患の一種(非公開)を対象とした体外診断用医薬品としての臨床性能試験が完了し、現在製造販売承認へ向けた準備を進めております。PTX3は、血管炎だけでなく、種々の炎症によっても血中濃度が上がることが知られており、今後多様な炎症性疾患の予後を予測する体外診断用医薬品としての研究開発を進めてまいります。
以上の結果、当中間会計期間の売上高は60,963千円(前年同期比2.6%増)となりました。販売費及び一般管理費は457,175千円(前年同期比2.6%減)となり、営業損失は399,766千円(前年同期は営業損失414,460千円)となりました。経常損失は、為替差損等による営業外費用1,241千円を計上した一方、助成金収入等による営業外収益55,415千円を計上した結果、345,592千円(前年同期は経常損失427,243千円)となりました。また、当社が保有する固定資産につきまして「固定資産の減損に係る会計基準」に基づく減損損失として32,838千円を特別損失に計上したこと等により、中間純損失は379,395千円(前年同期は中間純損失495,433千円)となりました。
なお、当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(売上原価、売上総利益)
当中間会計期間の売上原価は、3,554千円となりました。この結果、当中間会計期間の売上総利益は、57,409千円(前年同期比4.3%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
当中間会計期間の販売費及び一般管理費は、457,175千円となりました。そのうち、研究開発費は310,816千円となりました。
この結果、営業損失は、399,766千円(前年同期は営業損失414,460千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当中間会計期間の営業外収益は、55,415千円となりました。主なものは、助成金収入52,426千円であります。
当中間会計期間の営業外費用は、1,241千円となりました。主なものは、為替差損1,211千円であります。
この結果、経常損失は、345,592千円(前年同期は経常損失427,243千円)となりました。
(特別利益、特別損失)
当中間会計期間の特別利益はありません。
当中間会計期間の特別損失は、32,838千円となりました。これは、固定資産の減損損失を計上したためであります。減損損失は、当社の事業の特性上、現段階では、将来の収入の不確実性が高いことから医薬品事業に係る固定資産の回収可能額をゼロとし、帳簿価額と備忘価額との差額及び差入保証金に含まれる原状回復費用の見積額について回収不能と判断した金額の合計32,838千円を減損損失として特別損失に計上したものであります。
これらの結果を受け、当中間会計期間の中間純損失は、379,395千円(前年同期は中間純損失495,433千円)となりました。
(2)財政状態の状況
(資産)
当中間会計期間末の総資産は、前事業年度末に比べ356,962千円減少し、1,461,875千円となりました。主に、研究開発費の支払い等により現金及び預金が282,642千円減少したことによるものであります。
(負債)
当中間会計期間末の負債は、前事業年度末に比べ22,432千円増加し、408,864千円となりました。主に、AMEDの「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」への採択により交付された助成金である長期預り金が50,000千円増加した一方、未払金が9,365千円、未払費用が10,582千円、未払法人税等が13,797千円それぞれ減少したことによるものであります。
(純資産)
当中間会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べ379,395千円減少し、1,053,011千円となりました。これは、中間純損失379,395千円によるものであります。なお、純資産の合計金額への影響はありませんが、減資及び欠損填補により資本金が1,937,908千円、資本剰余金が1,870,593千円減少し、一方で利益剰余金が3,808,501千円増加しております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ282,642千円減少し、1,385,278千円となりました。
当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、275,623千円の支出となりました。主に、AMEDからの助成金である長期預り金等による増加があった一方、税引前中間純損失378,431千円の計上等による減少があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、5,688千円の支出となりました。これは、研究開発用の固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、30千円の支出となりました。これは、株式の発行による支出によるものであります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更を行っております。詳細は「第4 経理の状況 1 中間財務諸表の注記事項(会計上の見積りの変更)」をご参照ください。
(5)経営方針・経営戦略等
当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間会計期間において、当社が対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当中間会計期間における研究開発活動の金額は、310,816千円であります。
なお、当中間会計期間において、当社の主な研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
該当事項はありません。