当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は、LSBMで開発された蛋白質発現技術、及びファージ抗体ライブラリを用いた抗体スクリーニング技術、並びにシーズ探索技術を駆使して、がん及びその他の疾患の治療用抗体医薬品の研究開発を進めることで、世界の医療に貢献していくことを基本方針としております。
(2)目標とする経営指標
当社における導出時の契約一時金とその後の継続的なマイルストーン等の収入は、当社又は導出先における研究開発の進捗に大きく左右されます。
そのため、当社では、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった数値的な目標となる経営指標は用いておりませんが、経営指標として、将来の売上に繋がるパイプラインの開発の進捗、パイプラインの拡充及び売上高を重要な目標と考え、事業活動を推進しております。
(3)中長期的な経営戦略
当社の中長期における重要課題は、継続的に新規抗体を創出することであり、そのために開発パイプライン充実に向けた探索研究を継続的に実施するとともに早期臨床開発を実施してまいります。当社の開発パイプラインにおいては、本書提出日現在、PPMX-T003で真性多血症を対象とする第Ⅰ相試験を進めているほか、アグレッシブNK細胞白血病を対象とする医師主導第I/II相試験を推進してまいります。また、PPMX-T002及びPPMX-T004は、いずれも新たな開発コードを付与し、薬効を高めた新しい医薬品候補として開発を進めてまいります。
創薬ベンチャーである当社は、これらの研究開発を継続して行っていくために、研究開発体制の強化と研究開発資金の調達が不可欠であります。そのために、新規提携先の確保、研究開発助成金の獲得とともに、必要に応じて、ライセンス契約の締結を始めとした国内外のパートナーとの提携や、資本市場からの資金調達を行いながら研究開発を推進してまいります。
(4)経営環境
当社の事業である抗体医薬はバイオ医薬品に属します。世界におけるバイオ医薬品市場の推移を見ると、年々バイオ医薬品の売上高は増加しており、2020年には約2,831億ドルに達しました。今後も売上の増加が見込まれており、2026年には約5,489億ドルに達するとも予測されています(出典:Evaluate®)。また、2022年度の世界の医薬品の売上高上位10品目のうち、抗体医薬品は1位も含めて5品目を占めております(出典:日経BP社 「日経バイオテクONLINE」2023年4月25日掲載https://bizboard.nikkeibp.co.jp/bp_bto/atcl/column/16/011900001/23/04/21/00341/)。このように当社の事業環境は成長基調にあり、その中にあって、当社は医療ニーズの高い抗体医薬品を継続的に開発することにより、事業の成長が見込まれると考えています。
当事業年度には新型コロナウイルス感染症拡大により停滞していた経済は復興の動きが見られ、抗体試薬販売においては、当該感染症拡大前の水準に回復しました。経済全体の先行きは、先進国におけるインフレやロシアによるウクライナ侵攻の長期化等により、依然として不透明であるものの、2024年3月期におきましても、売上高は増加すると見込んでおります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、「最先端の抗体技術で世界の医療に貢献する」ことを使命として、がん及びその他の疾患の治療用抗体医薬品の研究開発を進めております。この使命のもとで、当社は、次の対処すべき課題に取り組んでまいります。
① パイプラインの開発と拡充
・PPMX-T003の開発
PPMX-T003の開発は当社の重要課題であり、現在は真性多血症の患者さんを対象とした第Ⅰ相試験を実施しており、2024年3月期中の第Ⅰ相試験完了を目指します。また、超希少疾患であるアグレッシブNK細胞白血病(ANKL)の治療薬として、医師主導治験(第I/II相試験)を推進してまいります。さらに、他の血液がん及び固形がんへも展開するため、大学と共同で臨床効果に関する基礎研究を推進いたします。
・PPMX-T002及びPPMX-T004の開発
PPMX-T002及びPPMX-T004は、いずれもカドヘリン3(CDH3)を標的とするArmed抗体のパイプラインです。PPMX-T002は放射性同位元素(RI)を標識した抗がん剤候補であり、当社は今後、RIを変更して有効性を高めることを視野に、新たな協業先とともに、再開発計画の策定を進めてまいります。
PPMX-T004は、薬剤を結合した抗体薬物複合体(ADC)です。ADCは、近年各種のがん治療において注目されており、多くの薬剤の開発が世界で進められております。当社は、抗体に結合する薬剤を新たな薬剤に変更して開発を進めてまいります。
・次期抗体の探索研究
バイオベンチャー企業として、複数の大学研究機関とのコラボレーションによって継続的な共同研究を進めており、候補標的の評価データ収集を行っております。また、標的に対する抗体を創出するための新技術導入も積極的に行っており、新規抗体医薬品シーズの探索研究をさらに進めてまいります。
② 抗体研究支援及び抗体・試薬販売の拡大
抗体研究支援は、大学や研究機関との共同研究などを通じて得られた新たな顧客ニーズの発掘による支援メニューの拡充や、当社ならではの細やかな研究支援により売上増を図ってまいります。また、抗体・試薬販売は当社抗体の論文での使用例をホームページ上等で訴求することにより、研究者からの支持を拡大することで受注増を目指してまいります。
③ 研究開発資金の調達
当社のビジネスモデルは、多額の研究開発費用が先行して必要となるため、ライセンス契約の締結を始めとした国内外のパートナーとの提携や資本市場からの資金調達により、研究開発資金の調達に努めてまいります。
④ 優秀な人材の確保
当社は優秀な人材を積極的に採用し、パイプラインの開発と拡充を図ってまいります。また、働きやすく、やりがいのある職場づくりに継続的に取り組み、社員の成長を促すことで企業基盤の強化に努めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、経営戦略に大きな影響を与えると想定されるサステナビリティ関連の重要リスクを腐敗防止、災害・感染症の発生、従業員の安全及び優秀な人材の確保と定め、以下のとおり対応を図っております。
腐敗防止につきましては、コンプライアンス規程を定め、会社業務の遂行における不正又は違法行為等の防止に関する行動指針を明確化し、当社の社会的信頼度の向上と経営の安定化を図っております。
災害・感染症の発生への対応につきましては、事業継続計画(BCP)を定め、発生時には人命(従業員及びその家族等)の安全、事業の継続に向けた必要な対策を講じております。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、「緊急コロナウイルス対策方針」を定め、必要な措置を図ってまいりました。
職場での従業員の安全を図るため、安全衛生委員会等目的に応じ委員会を設置し、災害の未然防止を図るとともに、従業員の健康及び職場における労働衛生対策を講じております。
優秀な人材の確保に対する対策につきましては、「
(2)戦略
当社は、「
また、優秀な人材の確保のための戦略として以下の施策を行っております。
a. 採用、昇進・昇格、賃金については性別による差異を設けない方針とし、「女性が働く」ということを支援する風土を醸成しております。
b. 「やりがいのある職場づくりに継続的に取り組む」に対応した施策として、人事評価結果に基づく賞与制度を新設いたしました。
(3)リスク管理
当社は、持続的な成長を確保するために、コンプライアンス委員会、安全衛生委員会等各種委員会を設け、各委員会にて、経営戦略に大きな影響を与えると想定されるサステナビリティ関連の重要リスクとその具体的な影響を分析し、リスクの把握、最適なリスク管理体制の提言を行い、それに基づき所管の部門が実施いたします。また、コンプライアンス委員会による社員研修を定期的に実施する等、従業員への周知等を通じ、リスクの低減及び適切な対応を図っております。
なお、重要なリスクとなる事象が発生した場合、対策を実施し、業務執行取締役から取締役会に報告します。取締役会は報告を受け、対策の適切性について検討します。
(4)指標及び目標
当社の事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。投資判断上、もしくは当社の事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。
当社はこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針であり、当社におけるリスク管理の体制として、問題があると認められる行為等については、コンプライアンス責任者から取締役会に適宜報告される体制としています。他方で、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項以外の記載もあわせて、慎重に検討した上で行っていただく必要があると考えます。また、以下では投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、さらにこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意いただく必要があると考えます。
当社は、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者が投資対象とするにあたり相対的にリスクが高い対象と考えられており、当社への投資はこれに該当します。
なお、文中の将来に関する記載は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)医薬品の研究開発、医薬品業界に関するリスク
① 新薬開発の不確実性
当社は、抗体医薬品開発を行っておりますが、一般に医薬品開発の成功確率は、他産業と比較して極めて低いものとされています。また、一般的に、医薬品開発は多額の研究開発投資と基礎研究段階から承認取得に至るまで長期間を要すると考えられています。
そのため、基礎研究及び非臨床試験において高い効果が期待される新規抗体医薬品候補が見つかったとしても、その後の臨床試験において、期待した効果が得られなかった場合、重篤な副作用が生じた場合、当局の審査において承認が得られなかった場合などには、研究開発に遅れを生じたり、研究開発計画が延期あるいは中止されたりする可能性があります。当社では、そのようなリスクを低減するために、当社で治験を実施する場合は、医師等の専門家の指導を受けて治験デザインの策定等を行っておりますが、医薬品の研究開発には多くの不確実性が伴い、当社の現在及び将来の開発品についても以上と同様の不確実性のリスクが内在しております。研究開発が遅れた場合や追加試験が必要となった場合には、計画外の追加資金が必要となり、追加資金確保のために新たな資金調達が必要となる可能性があり、その資金調達の実現自体にも不確実性があります。また仮に開発に成功し、ライセンス契約の締結に至っても、その存続期間を特許権の有効期間が終了するまでの期間とするものもあり、ライセンス契約中にマイルストーンを達成できずに、当初想定した投資回収額を回収できないリスクもあります。このようなリスクが顕在化した場合には、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 法的規制及び医療保険制度について
医薬品業界は、各国において薬事法をはじめとする事業規制法、医療保険制度並びにその他関係法令等により様々な規制を受けております。当社においては、現行の医薬品に関する日本をはじめとした先進国での承認基準や薬事規制を前提として事業計画を策定しておりますが、これらの基準及び規制は、技術の発展や市場の動向等に応じて適宜改定がなされる性質であります。
上述したとおり医薬品開発においては開発に長期間を要し、その期間内にこれらの基準及び規制、制度等が改定・変更される可能性があります。当社では、法令や制度等の変更に係る情報を収集し、適切に対応する方針ですが、それら制度等の改定・変更により既存の研究開発の体制(組織的な体制、製造方法、開発手法、臨床試験の進め方、追加試験を行う必要性の発生等)の変更が必要となり、それにも拘わらず速やかに対処できず研究開発が遅延・中止となるリスクが存在するだけでなく、人員確保や設備投資に計画外の追加資金が必要となり、追加資金確保のために新たな資金調達が必要となるリスクがあり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 抗体医薬品市場について
当社は、主に抗体医薬品の開発を行っております。当社は、医薬品業界動向を示すデータや予測などから抗体医薬品市場が安定的に成長すると見込んでおり、今後も継続的に業界動向の情報収集に努め、経営環境の変化に応じた事業運営を行う方針ですが、抗体医薬品と競合する低分子医薬品、中分子医薬品、核酸医薬品及び再生・細胞医療の開発・発展等により想定どおりに抗体医薬品市場が拡大しなかった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 技術革新について
当社が属する医薬品業界は、技術革新が著しく速いため、当社も創薬基盤技術を継続的に向上させるべく、研究開発を積極的に実施しております。
しかしながら、急激な技術革新等により新技術への対応に遅れが生じた場合、当社が保有する技術・ノウハウが陳腐化した場合、また、必要な技術進歩の常なる追求に伴い、想定を超える費用と時間を要した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 競合について
当社が携わる研究開発領域は、急激な市場規模の拡大が見込まれており、欧米を中心にベンチャー企業を含む多くの企業が参入する可能性があります。
当社では、早期の上市に向けた研究開発活動を続けており、特許の取得等によって競争優位性の確保に努めておりますが、競合他社の有する医薬品候補物質の研究開発が、当社の有する医薬品候補物質と同じ疾患領域で先行した場合、当社の事業の優位性は低下する可能性があります。競合他社による新薬の登場により、当社の臨床試験において被験者の登録が停滞し臨床試験が遅延する可能性、目標被験者数に届かず臨床試験が中止となる可能性があります。そうした場合、当社の事業戦略の変更などに伴い多額の資金が必要となる可能性があります。
さらに、競合する新薬の開発が先行し、又は競合新薬が上市されたことにより、事業性が大きく毀損されたと導出先製薬企業が判断する場合は、開発スケジュールが遅延する可能性があるだけでなく、ライセンス契約そのものの解消に至る可能性があります。上市に至った場合においても、他社が同様の効果や、より安全性のある製品を販売した場合、適切な薬価が付かず、当初想定したロイヤリティが得られない等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 医療費の抑制政策に伴う価格引き下げについて
日本政府は、今後の人口の高齢化及びそれに伴うさらなる医療費の増加を抑制するため、薬価の引き下げ、ジェネリック医薬品の使用推進等の施策を行っております。また、日本のみならず米国や諸外国においても、同様の傾向がみられます。当社は、引き続き政策動向を注視し、経営環境の変化に応じた事業運営を行う方針ですが、今後の医療費抑制の政策に関する動向によっては、上市した医薬品に想定した適切な薬価が付かず、想定したロイヤリティが得られないなどにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 副作用について
当社が研究開発を実施した治験薬及び上市後の医薬品で、臨床試験段階から製品上市後にかけて、予期せぬ重篤な副作用が発現する可能性があります。万が一重篤な副作用が発現した場合、製造物責任等を追求されることに伴い損害賠償リスクが発生する可能性があることから、保険の加入等により財政的な影響を回避又は最小限にしていくよう対応しております。
しかしながら、保険金の支払が、最終的に当社が負担すべきとされた損害賠償額の全額に満たない、又は保険金が支払われない可能性もあります。その場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これ以外にも、最終的に当社への損害賠償が認められなかった場合であっても、また、損害賠償額の全額が保険で補てんされた場合であっても、損害賠償請求がなされたという事実により、当社に対してネガティブなイメージをステークホルダーが持ち、その結果、研究開発中の医薬品候補物質及び上市後の医薬品に対する信頼性が損なわれるならば、その後の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 研究開発施設等における事故等の発生について
当社は、東京本社と名古屋ラボに研究開発施設を有しております。当社では、実験室安全委員会を設け、研究開発施設における危険物の管理、教育訓練等を実施し、事故防止のための対応を徹底しておりますが、不可抗力を含めた何らかの原因により火災や環境汚染事故、感染等が発生した場合、研究開発活動の中断、停止、又は、損害賠償や風評被害等重大な損失を招く可能性があり、その場合には当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、以下の⑨に記載のとおり、当社は、当社の研究開発業務の一部を専門機関である外部委託先(CRO-医薬品開発業務受託機関、治験実施施設、原薬・製剤の製造業者等)に委託しており、これら外部委託先において不可抗力を含めた何らかの原因により火災や環境汚染事故等が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社及び外部委託先において地震、水害等の自然災害・その他の避けることの困難な事態の発生により、設備・インフラが支障をきたし稼働できない状況、従業員等が出社できない状況等、一時的又は長期にわたり業務が停止し、臨床開発を一時的又は長期にわたり休止せざるを得ない状況が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 外部委託先との連携について
当社は、経営の機動性・効率性の観点、コスト低減や専門性の高い分野における協業等の観点から主に以下の業務の一部を専門機関に委託しております。
・原薬・製剤(治験薬)の製造・評価試験
・薬理効果試験・毒性試験等の非臨床試験
・臨床試験のモニタリング・データマネジメント・統計解析
・治験実施施設における臨床試験
現在、委託先との関係は良好であり、今後も取引を継続してまいりますが、委託先における自然災害及び重大な感染症の流行等の不測の事態等により、原薬の安定供給に支障が生じる、適時なサービス業務を受けられなくなる、治験を含む研究開発活動が遅れる等の可能性があります。この場合には当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
上述した委託及びそれ以外の業務に関する委託について、予期せぬ契約の終了や契約内容の変更が行われないよう、委託先の経営状況の把握と、良好な関係の維持に努めておりますが、当社にとって不利な内容で契約の改定が行われた場合又は予期せぬ事情により契約が終了した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、外部委託先は日本国内のみならず海外の企業にも及んでおります。今後も国内外を問わず、研究開発において最善かつ最適な企業・医療機関等を選択して業務の委託を行う予定であります。
海外の企業に業務を委託するに際して、国内外のコンサルタントを利用し、コミュニケーションを密にして情報収集に努めるなどトラブルを回避するための措置を講じておりますが、当該国における法令等及びその解釈等に伴い問題を生じる可能性、商取引慣行や買収等により現地の委託先と問題を生じる可能性、国際税務上の問題又は戦争・紛争等に伴う治安不安等により事業運営に制約を受ける可能性があります。この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業遂行上のリスク
① 経営上の重要な契約等について
当社の経営上重要な契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載しております。現在、これら重要な契約の継続に支障はなく、当社としては予期せぬ契約の終了や契約内容の変更が行われないよう、委託先の経営状況の把握と、良好な関係の維持に努めておりますが、当該契約が期間満了、又は契約の相手方の経営状態の悪化や経営方針の変更に基づく契約解除その他の理由による終了、もしくは当社にとって不利な内容で改定が行われた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 大学との共同研究に係る費用負担について
当社は、医薬品シーズの探索を目的として、複数の大学との共同研究を行っておりますが、共同研究に係る費用の一部については当社が負担しております。また、共同研究の進捗状況に応じて、追加的な費用を負担する場合もあります。
当社は、今後も大学との共同研究に積極的に取り組む方針であり、相応の共同研究費を負担する予定であります。共同研究費については、大学との話し合いの上決定しておりますが、共同研究に係るテーマ等の状況により、当社が予定していない費用負担が発生することになった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 会社組織について
当社は、本書提出日現在、従業員が30名に満たない小規模な組織であり、内部管理体制も当該規模に応じたものであります。今後の事業拡大に伴い、内部管理体制の充実を図る方針でありますが、必要な人員を確保できない場合、当社の今後の組織的な事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
④ 人材育成・確保について
当社が成長を続けていくために不可欠な要素の一つが、優秀な人材の確保育成であります。今後も、特に研究開発分野における専門的な知識・技能をもった優秀な人材の確保育成が必要であると考えており、引き続き優秀な人材の確保育成を進めていく方針ですが、当社の想定する人材の確保に支障が生じた場合、又は優秀な人材が社外に流出した場合には、当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 特許について
当社は、様々な知的財産権を実施しており、これらは当社の保有する権利であるか、又は権利者から適法に使用許諾を受けた権利であると認識しております。また、これらの知的財産権については登録済みとなっているものと出願・審査中のものがあります。
本書提出日現在、当社としては権利化されることを念頭に出願しておりますが、出願済みの発明について、その全てにつき特許が成立するとは限らないだけでなく、出願中の特許全てが権利化に至らない可能性があります。また、優れた技術が出現した場合には、当社が実施する特許権に包含される技術が陳腐化する可能性があります。これらの結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、特許の出願は、発明の内容、対象国等について費用対効果を考慮して行いますので、研究開発で得られたすべての発明につき出願するものではありません。また、出願費用・維持費用等のコストを回収できない可能性があります。
他社において優れた特許発明がなされ、権利化される可能性は常に存在していることから、当社の特許が成立しても、他社の特許発明により、当社の特許が無力化される可能性は潜在的に存在します。天然物に関連する特許については、日本・米国・欧州の特許庁において共通したガイドライン等が合意され、運用されておりますが、これとは別のガイドライン等に基づき運用している国があり、国によって法令・ガイドラインが異なり複雑な状況となる場合があります。また国によってその法令・ガイダンス等が同一でも解釈や事実認定の方法・解釈が異なる場合があり、他国において当社が出願した特許が事前の想定どおりに取得・登録されない可能性があります。日本を含め他国においても、解釈等の違いに基づいて、第三者が当社に通知・補償・支払いをすることなく当社の特許及びそれに関連すると考えられている技術を利用し、研究開発、医薬品・薬剤の製造販売をする可能性があります。
なお、現在、当社のパイプラインにおいて、その実施に支障となる、又は支障をきたす可能性のある特許権等は、調査した限りにおいて確認されておりません。
また、当社が実施許諾を受けた権利の契約が期間満了、又は契約の相手方の経営状態の悪化や経営方針の変更に伴い契約解除その他の理由による終了、もしくは当社にとって不利な内容での改定が行われる可能性があり、それらは当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 訴訟及び請求について
当社は、その事業が第三者の特許権等に抵触することを未然に防止するため、特許事務所と連携の上、特許調査を適時実施しております。また、本書提出日現在において、当社の事業に関する特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟係属を含め、何らかの請求・主張を受けている事実はありません。
しかしながら、万が一、第三者との法的紛争が生じた場合には、この解決に時間及び多大な費用を要する可能性があります。特に第三者の特許権等に抵触する形で事業を行っていた場合、当該第三者からの差止請求や損害賠償請求、高額な実施料の請求等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物関連、環境関連、労務関連その他に関する訴訟が提起された場合には、その結果、当社の社会的信用が失墜を招き、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 職務発明について
当社における職務発明の取扱いに関しては、発明・考案に関する規程を制定・運用し、当該規程に従い発明者に対して相当の対価を支払うこととしております。また、本書提出日現在、当社において職務発明の対価の請求・主張を受けている事実はありません。
しかしながら、発明者との間で職務発明の対価の相当性についての係争やトラブル等が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 風評上の問題の発生について
当社は、開発における安全性の確保、法令遵守、知的財産権管理、個人情報管理等に努めており、本書提出日現在、以上に関して第三者から請求・主張を受けている事実はありません。しかしながら、当社に関してマスコミ報道等において事実と異なる何らかの風評上の問題が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、主にホームページでのタイムリーな発表等により、適時に適切な情報の提供をすることとして、こうした風評の発生の予防に努めております。
⑨ 災害、感染症等の発生に関する不確実性について
当社が事業活動を行っている地域において、自然災害や火災等の事故災害等が発生した場合、当社の設備等に大きな被害を受け、その一部又は全部の稼働が中断し、研究開発が遅延する可能性があり、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、重大な感染症の流行等が発生した場合や、研究開発部門の一時閉鎖等の不測の事態が発生した場合には、研究開発が遅延する可能性があり、その遅延の結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行拡大に対しては、『緊急コロナウイルス対策方針』を定めて、当該リスクの発生防止に努めてまいりました。今後も同様の感染症の流行が発生した場合には、当該方針をベースとした対策を適宜講じてまいりますが、従業員又は従業員の家族等に感染者が発生し、当社全体に及んだ場合、研究開発や試薬販売等、事業の推進が困難になり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 地政学上のリスクについて
当社が開発している医薬品候補について、治験薬の製造や保管等を海外の企業に依頼しております。当社は、複数の国で依頼先候補を選定しており、こうしたリスクの低減を図っておりますが、依頼する国において政情不安等が発生した場合、治験薬の供給が途切れ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ ITセキュリティ及び情報管理について
当社は、ITセキュリティ及び情報管理について、情報セキュリティ管理規程、個人情報保護方針に沿って運用を行っておりますが、役職員、外部委託先の不注意又は故意の行為、又は第三者による意図的な攻撃(サイバーアタック)などにより、当社のシステムの停止、中断などセキュリティ上の問題や、秘密情報や個人情報の漏洩が発生する可能性があります。当社は、研究開発を目的の中心に据えていることから、こうした問題点に対応し、できる限りリスクを低減するべく規程や手続を整備するとともに、内部監査、監査や必要に応じた外部専門家の関与により、セキュリティの強化に努めておりますが、システムの停止やセキュリティ上の問題が発生した場合、当社の研究開発への悪影響、個人情報や知的財産等にかかる重大な機密情報の流出・漏洩が、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ コンプライアンスについて
当社の事業遂行にあたっては、薬事法の規制、製造物責任、環境に関する規制など、各種の法令の規制の適用下にあります。当社は、内部統制評価基本方針、コンプライアンス管理規程等に基づき、全社において事業活動が法令及び内規を遵守して実施されるよう、コンプライアンス責任者の活動、内部監査、監査等を通じて検証しておりますが、当社の役職員、外部委託先等の第三者が、これらの法令等に違反した場合や、仮に法令違反に該当しなくとも社会的に不適切とみなされる行為に及んだ場合には、法令による処分、処罰などの制裁、訴訟の提起を受ける可能性があり、当社の社会的信頼・名誉が毀損するだけでなく、金銭的損害を被ることにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 配当政策について
当社は創業以来、株主に対する剰余金の分配を実施しておりません。
株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の配当を検討する所存でありますが、当面は研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針であります。
⑭ ベンチャーキャピタル及び投資事業組合の株式保有比率について
当事業年度末現在、当社の発行済株式のうちベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下総称して「VC等」という。)が保有している株式の所有割合は23.9%であります。一般的に、VC等が未公開株式に投資を行う目的は、株式公開後に当該株式を売却してキャピタルゲインを得ることであり、現在VC等の保有している株式も、今後売却することが想定されます。当該株式売却により、短期的な需給のバランスの悪化が生じる可能性があり、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。
⑮ 新株予約権について
当社は、優秀な人材を確保するため、また当社事業及び研究開発活動へのモチベーションの維持・向上を目的として、新株予約権(ストック・オプション)を役員及び従業員に付与しております。今後においても上述した目的のため新たに新株予約権を付与していく予定であります。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
なお、当事業年度末現在、当社が発行した新株予約権にかかる潜在株式の数は844,100株であり、発行済株式総数11,759,400株に対する潜在株式数の割合は7.2%であります。新株予約権の状況及び内容につきましては、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。
⑯ 資金使途について
2021年6月の株式上場において公募増資により調達した資金の使途につきましては、主として既存パイプラインの研究開発費用に充当するほか、新規のパイプラインの研究開発・導入にも充当していく方針であります。ただし、急激な外部環境の変化等を生じた場合、それに対応するために現時点における資金使途以外の使途に充当する、又は資金使途の充当時期が変更される可能性があります。また、当社の計画どおりに使用したとしても、計画どおりの効果を上げられない可能性もあります。
(3)パイプラインに関するリスク
当社の開発するパイプラインは、上市までに数多くの開発課題を解決していく必要があります。各パイプラインが抱えるリスクは以下のとおりです。
① PPMX-T002について
当社及び富士フイルムRIファーマ株式会社(現 富士フイルム富山化学株式会社)は、PPMX-T002に関する権利を富士フイルム株式会社に使用許諾し、富士フイルム株式会社が使用許諾後の研究開発費を負担しておりましたが、2022年3月に同社の事業方針の変更により、当該権利が返還されました。
富士フイルム株式会社が実施している米国での拡大第Ⅰ相試験において現在進行中の治験を終了した後、PPMX-T002の開発は中止されます。現在、より高い有効性が期待される放射性同位体に変更することも視野に、新たな医薬品候補として開発を進めておりますが、以下に記載する理由により、開発が遅延又は中止となる可能性があります。
・放射性医薬品の開発協業先を選定できない可能性
・臨床試験実施中に疾患領域において競合する新薬が上市されるなどの理由により、必要となる被験者数を適時に獲得できなかった場合
・主に安全性等に起因する理由に基づく規制当局による当該試験の中断又は中止命令が出た場合
・医薬品候補物質の有効性及び安全性が認められる臨床試験成績が得られなかったと判断した場合
・外部環境の変化
この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、追加の資金調達の必要性が生じる可能性があります。
② PPMX-T003について
PPMX-T003は、当社が研究開発費を負担し、真性多血症治療薬としての第Ⅰ相試験を日本で実施中です。第Ⅰ相試験完了後、製薬企業へ導出し、開発を委ねる予定です。現時点で導出の臨床試験のフェーズ、導出先及び契約内容は未定であり、上市までに長期間を要すると考えられます。
今後、以下に記載する理由により、開発が遅延又は中止となる可能性があります。
・臨床試験実施中に疾患領域において競合する新薬が上市されるなどの理由により、必要となる被験者数を適時に獲得できない場合
・主に安全性等に起因する理由に基づき、規制当局による当該試験の中断又は中止命令が出た場合
・臨床試験において期待する有効性及び安全性を示すデータが得られなかった場合
・研究開発の後期を担う導出先が見つかるまでに想定を大幅に越える時間がかかった場合、又は見つからなかった場合
・外部環境の変化
この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、追加の資金調達の必要性が生じる可能性があります。
③ PPMX-T004について
PPMX-T004に関する権利を富士フイルム株式会社に使用許諾し、富士フイルム株式会社が使用許諾後の研究開発費を負担しておりましたが、2022年3月に同社の事業方針の変更により、実施権が返還されました。
今後、結合する薬物を、より高い有効性が期待される薬物に変更することも視野に、新たな医薬品候補として開発を進めてまいりますが、以下に記載する理由により、開発が遅延又は中止となる可能性があります。
・臨床試験実施中に疾患領域において競合する新薬が上市されるなどの理由により、必要となる被験者数を適時に獲得できない場合
・主に安全性等に起因する理由に基づき、規制当局による当該試験の中断又は中止命令が出た場合
・臨床試験において期待する有効性及び安全性を示すデータが得られなかった場合
・医薬品候補物質の有効性及び安全性が認められる臨床試験成績が得られなかったと判断した場合
・導出先が見つかるまでに想定を大幅に越える時間がかかった場合、又は見つからなかった場合
・外部環境の変化
この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、追加の資金調達の必要性が生じる可能性があります。
(4)業績等に関するリスク
① 収益の変動及びその不確実性について
当社の収入は、主に抗体研究支援及び抗体・試薬販売に伴う比較的安定した収入と、導出する抗体の医薬開発に向けた製薬企業等との契約に基づく契約一時金等の収入の2つに分かれております。製薬企業からの収入は、研究や開発の進捗に大きく左右されることから、当社又は導出先における研究開発の進捗に遅れが生じた場合や、導出先の研究開発方針に変更等が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の期間損益は、製薬企業への導出契約に基づく契約一時金及び研究開発の進捗に伴うマイルストーン等により大きく変動する可能性があります。
② 資金繰りについて
当社のような研究開発型の企業においては、開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社においても営業キャッシュ・フローのマイナスが続いているため、増資による調達のほか、研究開発の進捗に合わせて提携先からの一時金やマイルストーンの形などで資金の確保に努める方針でありますが、何らかの理由によりこうした資金の確保が進まなかった場合においては、今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 税務上の繰越欠損金について
当社は当事業年度末現在において、税務上の繰越欠損金を有しており、現在は所得を課税標準とする法人税、住民税及び事業税が課されておりません。しかしながら、当社の業績が順調に推移することで繰越欠損金を上回る課税所得が発生した場合、あるいは税制改正に伴い所得を課税標準とする法人税、住民税及び事業税が発生した場合には、計画している当期純利益又は当期純損失並びにキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
④ 為替レートの変動について
当社は、抗体・試薬の海外への販売及び治験薬の製造等の海外への委託を実施しており、海外の取引先との間で外貨建取引を行っております。当社の今後の事業規模の拡大に伴い、外貨建取引の規模が大きくなった場合や支払サイトの長い外貨建取引を行う場合には、為替レートの変動により当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、上述したリスクは、当社が事業を行う上で予想される主たるリスクであり、既に述べましたとおり、リスクがこれらに限定されるものではありません。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要、及び経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による経済停滞からの復興の動きがみられた一方、ロシアによるウクライナ侵攻や、先進国におけるインフレの影響を受けました。国内経済は徐々に持ち直しの動きが見られましたが、先行き不透明な状況が続きました。
当社が属する医薬品業界におきましては、こうした新たな感染症への対策とともに、がんや認知症等、世界的に患者数が増えている疾患の治療法の確立が、継続的な重要課題になっております。当社におきましては、創薬領域を中心に、積極的な事業展開を図りました。
各領域における当事業年度の成果は次のとおりです。
a.創薬
当事業年度における創薬事業の売上はありませんでしたが、当社の効率的な抗体取得プラットフォームを活用し、主にがん領域で抗体開発を進めております。カドヘリン3(CDH3)及びトランスフェリン受容体(TfR)を標的とする3つの抗体の開発を進めているほか、これに続く多くの候補抗体が研究開発段階にあります。当社のパイプラインの開発状況は次のとおりです。
(a)PPMX-T002
PPMX-T002はがん細胞で多数発現しているCDH3を標的とする抗体に、イットリウム90(90Y)という放射性同位元素(RI)を標識した抗がん剤候補です。がん細胞上の標的に抗体が集積し、90Yが放射線を照射してがん細胞を殺傷する仕組みです。導出先の富士フイルム株式会社(以下「富士フイルム社」)が、子会社の放射性医薬品事業をPDRファーマ株式会社(以下「PDRファーマ社」)に譲渡したことから実施権が返還されたものです。PDRファーマ社と今後の開発について協議した結果、2022年12月に、当社主導で開発及び導出活動を進めていくことが決まりました。なお、富士フイルム社の子会社が米国で行った拡大第I相試験においては、本抗体が標的のがん細胞へ集積することが確認されております。当社は現在、90Yから、さらに有効性の高いRIへの変更も視野に、RI医薬品開発会社とのコラボレーションに向けて取り組んでおります。
(b)PPMX-T003
PPMX-T003は、当社独自のファージライブラリの中から、当社が特許を保有するICOS法というスクリーニング技術を活用して取得したユニークな完全ヒト抗体です。標的は、細胞内への鉄の取り込みに関与し、増殖が盛んながん細胞に極めて多く発現するTfRです。本抗体がTfRに結合すると、がん細胞内への鉄の取り込みを阻害し、それによってがん細胞の増殖を抑制する抗腫瘍効果が得られます。PPMX-T003は、その増殖抑制効果から様々ながんに対する治療効果が期待できると考えられ、鋭意開発を進めております。
TfRは、がん細胞の他に、赤芽球細胞(赤血球になる前の細胞)にも極めて多く発現しています。このため、赤血球が異常に増える疾患である真性多血症(PV)に対して、赤血球数を正常化する効果が期待できることから、まずはPVの治療薬を目指して、国内で第I相試験(以下「本治験」)を実施しております。PV患者さんでの本治験では6名を組み入れ対象としておりますが、組み入れが当初の想定より難航しております。このため、組み入れ基準を実臨床に即して見直した結果、当事業年度には3名への投与を開始しました。これまでのところ重大な副反応もなく、順調に推移しております。残る3名をできる限り早期に組み入れるため、治験実施施設の追加を進めており、本資料提出日時点で7か所に増やしております。さらに1か所の手続を進めており、2024年3月期中に本治験を完了させる予定です。
また、アグレッシブNK細胞白血病(ANKL)という超希少疾患に対する有効な治療薬となる可能性も見出されており、東海大学との共同研究を進めております。2022年3月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」に採択されており、2023年3月に予定どおり医師主導第I/II相試験の治験計画届の提出が完了し、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の調査も終了しました。今後は被験者登録の後、患者さんへの投与を開始する予定です。
この他、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫等の血液がん及び固形がんに対する治療薬としての作用機序を明確化するため、名古屋大学及び群馬大学と共同で臨床効果に関する創薬研究を推進しております。
(c)PPMX-T004
PPMX-T004は、CDH3を標的とし、薬剤を結合した抗体薬物複合体(ADC)です。現在、最新の薬物と、これを結合させるためのリンカー等の最適な組み合わせを検討しております。試験管での試験で有望な組み合わせが見出されており、今後は動物実験で検証を進めてまいります。
ADCは、抗体に結合した薬物を細胞内に取り込ませることで、対象とした細胞を特異的に殺傷することができるため、患者さん自身の免疫機能の状態に関わらず高い臨床効果が期待できます。また、RIを用いていないため、使用する施設の制約も受けません。このため、PPMX-T002との棲み分けが可能と考えております。
(d)PPMX-T001
PPMX-T001は、肝臓がんで高い発現率が見られるGPC3を標的としています。2006年に特許を受ける権利等を譲渡した中外製薬株式会社によって、肝臓がん等の治療薬として「GC33」及び「ERY974」という2種類の異なった形態での薬剤開発が進められていますが、2022年6月21日をもって同社との契約の対象特許が期間満了となるため、同社との契約も同日に満了しました。PPMX-T001が今後の当社の収益に与える影響はなく、当社計画にも見込んでおりません。
これらのパイプラインの他、当社は富山大学及び富山県とともに、新型コロナウイルス感染症ウイルスの様々な変異株に対する治療薬候補であるスーパー中和抗体UT28Kの評価を進めております。本案件は、政府等の助成金を得て開発を進める方針を採っており、現在は富山大学において治療効果を検証する動物実験の解析を行っております。
b.抗体研究支援
前事業年度よりも案件が増加したことや、規模が大きい案件を受注したことにより、売上高は12,039千円となり、前事業年度に比べて47.2%増加しました。
c.抗体・試薬販売
研究用抗体・試薬の販売は引き続き回復基調を維持し、海外取引は新型コロナウイルス感染症拡大前の水準に回復しました。海外の主要な顧客との外貨建て取引につきましては、販売数量の増加及び期中の円安進行により、売上高が増加した結果、売上高は82,161千円となり、前事業年度に比べて28.9%増加しました。また、新型コロナウイルス感染症による肺炎等、血管炎症を伴う各種疾患の重症化を予測するためのPTX3迅速計測キットの開発に向けて、湧永製薬株式会社と共同研究契約を締結し、現在開発を進めております。
以上の結果、当事業年度の売上高は、計画を上回る94,201千円(前事業年度比31.0%増)となりました。
損益につきましては、PPMX-T003の第I相試験の遅延により、研究開発費が想定よりも減少したものの、営業損失は697,769千円(前事業年度は営業損失472,195千円)となり、ほぼ計画どおりに進捗しました。経常損失は為替差益等による営業外収益8,183千円及び営業外費用19千円の計上により、689,604千円(前事業年度は経常損失481,681千円)となり、当初計画より損失額が減少しました。また、当社が保有する固定資産につきまして「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき86,070千円を、本社移転に際し、現在のオフィスの原状回復に充当する資産除去債務として9,397千円を、それぞれ減損損失として特別損失に計上したものの、当期純損失は786,999千円(前事業年度は当期純損失599,023千円)となり、当初計画より損失額は減少しました。
また、当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
財政状態については、次のとおりであります。
(資産)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ733,879千円減少し、2,566,650千円となりました。主に、研究開発費等の支払い及び固定資産取得に係る未払金の支払い等により現金及び預金769,918千円が減少したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債は、前事業年度末に比べ21,729千円増加し、170,105千円となりました。主に、AMEDの「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」への採択により交付された助成金である長期預り金58,987千円、資産除去債務12,800千円を当事業年度より計上した一方、未払金や未払法人税等の支払いにより67,508千円が減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ755,608千円減少し、2,396,545千円となりました。主に、新株予約権が31,411千円を当事業年度に新たに計上した一方、当期純損失786,999千円の計上により減少したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ769,918千円減少し、2,444,934千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、564,274千円の支出となりました。主に、非資金項目である減損損失やAMEDからの助成金である長期預り金等によるキャッシュ・フローの増加があった一方、税引前当期純損失785,072千円の計上等による減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、212,989千円の支出となりました。主に、研究開発用の有形固定資産の取得による支出163,870千円や差入保証金の差入による支出41,934千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、20千円の支出となりました。これは、自己株式の取得によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当社は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。当事業年度における販売実績は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
医薬品事業 |
94,201 |
131.0 |
|
合計 |
94,201 |
131.0 |
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
R&D Systems, Inc. |
20,279 |
28.2 |
27,033 |
28.7 |
|
Pierce Biotechnology, Inc. |
16,548 |
23.0 |
23,894 |
25.4 |
|
Abcam plc |
11,029 |
15.3 |
14,316 |
15.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。
特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産のうち営業活動から生ずる損益が継続してマイナスになっている資産について、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
(繰延税金資産)
繰延税金資産の回収可能性の判断については、将来の課税所得を合理的に見積り、将来の税金負担を軽減する効果を有すると考えられる範囲内で繰延税金資産を計上することになります。当社は、税務上の欠損金が継続しており、繰延税金資産の回収可能性を合理的に見積もることは困難と判断し、繰延税金資産を計上していません。
② 財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
③ 経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は、94,201千円(前事業年度71,932千円、前年同期比31.0%増)となりました。当事業年度における創薬の売上はありませんでしたが、抗体・試薬販売及び抗体研究支援はいずれも売上高が前事業年度から増加し、計画を達成しました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、7,668千円(前年同期比45.4%増)となりました。
この結果、当事業年度の売上総利益は、86,532千円(前年同期比21.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、784,302千円(前年同期比31.2%増)となりました。
販売費及び一般管理費の増加の主な要因は、PPMX-T003の第Ⅰ相試験費用の増加であります。なお、研究開発費は494,494千円(前事業年度308,424千円、前年同期比37.6%増)となりました。
この結果、営業損失は697,769千円(前事業年度は営業損失472,195千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当事業年度の営業外収益は、8,183千円(前年同期比14.8%減)となりました。主なものは、為替差益7,809千円であります。
当事業年度の営業外費用は、19千円(前事業年度は18,878千円)となりました。
この結果、経常損失は、689,604千円(前事業年度は経常損失481,681千円)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純損失)
当事業年度の特別損失は、95,468千円(前年同期比23.4%減)となりました。当社の事業の特性上、現段階では、将来の収入の不確実性が高いことから、医薬品事業に係る資産の帳簿価額の回収可能額をゼロとし、帳簿価額と備忘価額との差額86,070千円と、本社移転に際し、移転前オフィスの原状回復に充当する資産除去債務として9,397千円を、それぞれ減損損失として特別損失に計上しました。
これらの結果を受け、当事業年度の当期純損失は、786,999千円(前事業年度は当期純損失599,023千円)となりました。
(パイプライン)
パイプラインの状況については、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)当社の開発品」をご参照ください。
④ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」に記載したとおり、外部環境、事業内容、組織体制等の様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に業界の動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、内部管理体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の主な資金需要は、PPMX-T003の開発及び創薬研究に係る研究開発費、並びに事業運営費等であります。これらの費用は、当期は自己資金で賄い、その残金は、すべて銀行預金とし、資金の流動性を確保しております。当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、564,274千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローは、212,989千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは、20千円の支出となり、現金及び現金同等物の期末残高は、2,444,934千円となりました。
⑦ 経営者の問題意識と課題について
当社は、「最先端の抗体技術で世界の医療に貢献する」ことを企業理念としております。この企業理念実現のために、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の課題に対して取り組んでまいります。
⑧ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった数値的な目標となる経営指標は用いておりませんが、経営指標として、将来の売上に繋がるパイプラインの開発の進捗、パイプラインの拡充及び売上高を重要な目標と考え、事業活動を推進しております。なお、パイプラインの開発の進捗については、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)当社の開発品」に記載しております。
(1)技術導出契約等
① PPMX-T002に係るライセンス契約
|
相手先の名称 |
相手先の 所在地 |
契約の名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
|
富士フイルム 株式会社 PDRファーマ株式会社
|
日本 |
成果譲渡契約書
|
2022年12月26日
|
期間に関する定めなし
|
当社及び富士フイルムRIファーマ株式会社(現 PDRファーマ株式会社)のPPMX-T002に関する権利を富士フイルム株式会社に実施許諾する契約が2022年3月25日に合意解約されたことに伴い、富士フイルム株式会社が保有する有体物及び無体物を全て当社及びPDRファーマ株式会社に譲渡する契約
|
|
PDRファーマ株式会社 |
日本 |
覚書 |
2022年12月26日 |
期間に関する定めなし |
PPMX-T002に関する当社及びPDFファーマ株式会社の共有特許に係る第三者との協業及び第三者に対する導出に関する覚書締結 |
② PPMX-T004に係るライセンス契約
|
相手先の名称 |
相手先の 所在地 |
契約の名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
|
富士フイルム 株式会社
|
日本 |
成果譲渡契約書 |
2022年9月30日 |
期間に関する定めなし |
PPMX-T004に関する権利を富士フイルム株式会社に実施許諾する契約が2022年3月25日に合意解約されたことに伴い、富士フイルム株式会社が保有する有体物及び無体物を全て当社に譲渡する契約
|
(2)共同研究に関する契約
|
相手先の名称 |
相手先の 所在地 |
契約の名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
|
国立大学法人 東海国立大学機構 (旧 国立大学法人 名古屋大学) |
日本 |
共同研究契約書 |
2018年10月3日 (原契約) 2023年3月20日 変更契約書 (期間延長) |
2024年3月31日 |
血液がん治療法の研究に関する共同研究契約 |
|
国立大学法人 東海国立大学機構 (旧 国立大学法人 名古屋大学) |
日本 |
共同研究契約書 |
2021年9月15日 (原契約) 2023年5月**日 変更契約書 (期間延長) |
2024年3月31日 |
抗TfR受容体抗体の非臨床研究に関する共同研究契約 |
|
国立大学法人 群馬大学 |
日本 |
共同研究契約書 |
2019年4月19日 (原契約) 2023年4月19日 変更契約書 (期間延長) |
2023年9月30日 |
抗体を利用した治療効果の共同研究契約 |
|
学校法人 中部大学 |
日本 |
共同研究契約書 |
2020年9月1日 (原契約) 2023年1月31日 変更契約書(期間延長) |
2025年3月31日 |
FLT3及びTfRに対する抗体を用いた骨髄系腫瘍の治療薬、治療法を開発する共同研究契約 |
|
国立大学法人 東京大学 |
日本 |
共同研究契約書 |
2021年9月8日 2023年3月31日 変更契約書(期間延長) |
2024年3月31日 |
膜透過抗体分子の設計と評価に関する共同研究契約 |
|
湧永製薬株式会社 |
日本 |
共同研究契約書 |
2022年2月10日 |
2025年2月10日 |
血中PTX3検出系の構築に関する共同研究契約 |
|
学校法人東海大学 |
日本 |
共同研究契約書 |
2023年3月27日 |
2025年3月31日 |
アグレッシブNK細胞白血病を中心としたリンパ性及び骨髄性悪性腫瘍に対する抗トランスフェリン受容体抗体等を用いた治療に関する共同研究契約 |
(3)共同出願契約
|
相手先の名称 |
相手先の 所在地 |
契約の名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
|
国立大学法人 宮崎大学 |
日本 |
共同出願契約書 |
2012年3月23日 (原契約) 2021年4月1日 覚書(第三者に対する実施許諾、不実施補償等変更) |
本件発明に基づいて得た特許権の存続期間満了日 |
TfRを特異的に認識できる抗体についての共同出願契約 |
|
学校法人東海大学 |
日本 |
共同出願契約 |
2022年7月21日 |
本件発明に基づいて得た特許権の存続期間満了日 |
アグレッシブNK細胞白血病の治療剤についての共同出願契約 |
(1)研究開発体制
当社は、新規抗体を見出す経験とノウハウを有する専門家集団であり、当社独自のファージ抗体ライブラリを用いた抗体スクリーニング技術と、抗体技術(トランスクリプトームデータベースと抗原発現技術)を駆使して、がん及びその他疾患の治療用抗体の基礎研究、非臨床開発及び臨床開発を行っております。
当社は、本社ラボと名古屋ラボの2拠点により、研究開発体制を構築しております。本社ラボは、新規抗体創薬に関するあらゆる研究開発業務を行っております。また、これに関連した動物実験も行います。
名古屋ラボでは、ファージディスプレイ作製技術を維持発展させる研究及び当社の抗体医薬品プロジェクトの研究開発推進と新規抗体の継続的創出のための基礎研究を重点化して実施しております。
(2)開発品の状況
開発品に関する詳細は、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しておりますのでご参照ください。
当事業年度における当社の研究開発費の総額は
研究開発費の主な内容は、薬剤候補であるPPMX-T003のPV患者さんの第Ⅰ相試験の実施と研究、ANKL治療薬の研究開発及び医師主導治験に向けた準備、Armed抗体を含む新規抗体のシーズ探索の費用及び基盤技術開発費用であります。