当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
(1) 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、遺伝子治療薬の研究開発を行う創薬ベンチャー企業です。協業モデルパイプラインと自社モデルパイプラインを組み合わせた、「ハイブリッドモデル」のビジネスモデルで研究開発を進めることで収益機会の幅を広げ、事業の選択肢を最適化することで経営基盤の安定化を図る計画を有しておりますが、医薬品の研究開発には多額の資金を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社は引き続き9期にわたるCRISPRを用いた遺伝子制御治療薬の開発の知見を踏まえて、10期目以降もMDL-101に加えてMDL-201やMDL-103など複数のパイプラインについて研究開発を行っていきます。当社の人的リソースとしては外部機関との連携によりMDL-101を臨床に向けた取り組みを継続できる体制にあり、1日でも早く患者様の治療ができるよう開発を進めていく計画です。また、従来通り開発と並行してパートナリングの交渉も継続していきます。併せて、後続のパイプラインに関しても早期のパートナリング獲得を目指しながら、引き続き研究開発体制の適正化を図り効率化によるコストの低減に取り組んでいきます。
資金面においては、当中間連結会計期間末現在で、現金及び預金3,261,672千円を有しており、上記の取り組みにより、今後1年間の事業活動を展開するための資金は十分に確保していると判断しております。
以上のことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識しております。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績
(経営成績)
文中の将来に関する事項は、特に記載が無い限り当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当中間連結会計期間における我が国経済は、関税などを含む米国の経済政策に大きく揺さぶられる結果となりました。これに伴い株式、債券、為替のすべてが大きく変動し、また景気後退懸念が持ち上がっています。東ヨーロッパや中東などの世界の各地で継続する戦争や紛争も地政学的環境の見通しを悪くしているといえます。こうした揺さぶりを受けた主要国のマーケットは警戒感を高め、結果的に先行投資を必要とする製薬・バイオテックセクターにも影響を与えています。それに加えて米国政府の医療政策の変更は、承認申請業務を含めた今後の医薬品の研究開発や製造販売に少なからぬ影響を与え、製薬・バイオテック業界に不透明感がでていると言わざるを得ない状況です。
そんな情勢の中、当社グループは2016年の設立から10期目となりましたが、技術的基盤となるCRISPR-GNDM®プラットフォームを元に、世界初のCRISPRを用いた遺伝子制御治療を開発する会社として、今日に至るまでエピゲノム編集治療薬のリーディングカンパニーとして最先端の研究をリードし続けております。当社は最先端の技術による成果を結実させるべく臨床試験開始に向けた取り組みを当連結会計年度も継続しております。
当社のリードプログラムであり、先天性筋ジストロフィー1a型(LAMA2-CMD)を対象としたMDL-101は、引き続き治験申請に向けてGLP毒性試験及びGMP治験薬製造の準備を進めています。本年6月末にIND申請の見通しについてリリースをしておりますが、外部のCROやCDMOと提携し、また外部のアドバイザーを交えて必要な治験薬および前臨床データの取得を目指しています。また、本プログラムに対しては米国のブロード研究所で開発された筋肉選択的キャプシドであるMYOAAVのライセンスの供与を受ける契約を本年7月に締結しており、将来の製造販売に向けた技術、知財基盤の整備を進めております。
またデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療薬を目指すMDL-201については、病態モデルマウス試験において良好な結果を得ており、上市されている遺伝子治療薬を模したベンチマーク薬剤との比較において、1/10程度の低用量でも良好な病態改善効果を示しております。本結果は、MDL-201によるDMD治療へのアプローチの合理性を示すものであり、またMDL-101で開発が進むプラットフォームをほぼそのまま転用できるために、大きな市場を有するDMDに対してこれまでのノウハウを投下することにより効率の良い開発を行っていける可能性があると考えています。
さらに、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD:Facioscapulohumeral muscular dystrophy)をターゲットとしたMDL-103に対しては、XPrize財団およびSolve FSHD財団からの助成金を5月、6月に獲得しています。当助成金は優れたFSHD治療薬を開発するグループや企業に対して研究開発を促進する目的で提供されるもので、当社のアプローチによる開発がこれらの財団およびその選定を行う専門家グループに高く評価された結果であると当社は考えております。
これまで着実に開発を進めてきたMDL-101に加えて、プラットフォームを共有し、さらに大きな患者ポピュレーションにアプローチしうるMDL-201やMDL-103における成果は、企業価値をさらに飛躍させる機会であると当社は考えています。そこで追加の資金調達を行うことによりMDL-101の前臨床試験と臨床PoCを中心とした開発において、前回調達から差異の生じた開発資金、MDL-201およびMDL-103の開発を推進させるための資金、さらに事業運営資金の手当を行うと考え、第1回無担保普通社債、 第17回新株予約権(行使価額修正条項付)による資金調達を決定しております。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、営業損失1,031,954千円(前中間連結会計期間は営業損失838,956千円)、経常損失1,019,197千円(前中間連結会計期間は経常損失780,152千円)、親会社株主に帰属する中間純損失1,020,456千円(前中間連結会計期間は親会社株主に帰属する中間純損失780,946千円)となりました。
なお、当社グループは、遺伝子治療薬開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(財政状態)
(流動資産)
当中間連結会計期間末の流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて268,119千円減少し、3,348,960千円となりました。これは主に、現金及び預金が313,604千円減少したためであります。
(固定資産)
当中間連結会計期間末の固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて7,107千円減少し、67,362千円となりました。これは主に、投資その他の資産が7,107千円減少したためであります。
(流動負債)
当中間連結会計期間末の流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて54,564千円増加し、171,886千円となりました。これは主に、未払費用が56,826千円増加したためであります。
(固定負債)
当中間連結会計期間末の固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて30,783千円増加し、56,932千円となりました。これは主に、その他が34,047千円増加したためであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて360,574千円減少し、3,187,504千円となりました。これは主に、資本金が386,782千円および資本剰余金が386,782千円減少し、利益剰余金が420,626千円増加したためであります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて313,604千円減少し、3,261,672千円となりました。当中間連結会計期間末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は910,281千円(前中間連結会計期間は931,410千円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前中間純損失1,019,780千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は583千円(前中間連結会計期間は188千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出583千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は658,323千円(前中間連結会計期間は256,143千円の獲得)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入662,623千円によるものであります。
(3) 経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、906,324千円であります。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
アライアンス契約