名称 チンクエチェント株式会社
所在地 東京都新宿区新宿2丁目12番13号新宿アントレサロンビル2階
(1) 普通株式
(2) 新株予約権
①2018年7月23日付の当社取締役会決議に基づき発行された新株予約権(以下「第1回新株予約権」といいます。)(行使期間は2020年8月1日から2028年7月22日まで)
②2019年8月29日付の当社取締役会決議に基づき発行された新株予約権(以下「第2回新株予約権」といいます。)(行使期間は2021年9月7日から2029年8月28日まで)
③2021年4月22日付の当社取締役会決議に基づき発行された新株予約権(以下「第3回新株予約権」といい、第1回新株予約権、第2回新株予約権及び第3回新株予約権をあわせて「本新株予約権」と総称します。)(行使期間は2023年5月8日から2026年5月7日まで)
3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】
当社は、2025年8月14日開催の取締役会において、下記「(2) 意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに関して、賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨すること、及び、本新株予約権の所有者(以下「本新株予約権者」といいます。)の皆様に対しては、本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねることを決議いたしました。
なお、上記取締役会決議は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員である取締役を含む。)の承認」に記載の方法により決議されております。
本「(2) 意見の根拠及び理由」の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
公開買付者は、本公開買付けによる当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)及び本新株予約権の取得及び所有等を主たる目的として、2025年7月16日付で設立された株式会社であり、当社の創業者であり代表取締役である山下泰樹氏(以下「山下氏」といいます。)がその発行済株式の全てを所有し、同氏が代表取締役を務めているとのことです。なお、本書提出日現在、公開買付者は当社株式を所有していないとのことです。
なお、公開買付者の代表取締役を務める山下氏が所有する当社株式数は609,000株(所有割合(注1):6.04%)です。また、山下氏の資産管理会社であるTDA株式会社(以下「TDA」といいます。)が所有する当社株式数は5,165,000株(所有割合:51.20%)です。
(注1) 「所有割合」とは、当社が2025年8月14日に提出した「第18期 半期報告書」に記載された2025年6月30日現在の発行済株式総数(10,044,200株)に、同日現在残存し行使可能な本新株予約権の目的である当社株式数の合計(44,300株)を加算した株式数(10,088,500株、以下「本基準株式数」といいます。)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の記載について同じとします。
今般、公開買付者は、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)が開設する東京証券取引所グロース市場(以下「グロース市場」といいます。)に上場している当社株式(但し、本新株予約権の行使により交付される当社株式を含み、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式(以下に定義します。)を除きます。)及び本新株予約権の全てを取得し、当社を完全子会社化するための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として本公開買付けを実施することとしたとのことです。なお、本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注2)に該当し、山下氏は、本取引後も継続して当社の経営にあたることを予定しているとのことです。
(注2) マネジメント・バイアウト(MBO)とは、一般に、買収対象会社の経営陣が、買収資金の全部又は一部を出資して、買収対象会社の事業の継続を前提として買収対象会社の株式を取得する取引をいいます。
本公開買付けの実施に当たり、公開買付者は、当社の第2位株主(2025年6月30日時点)であり、当社の代表取締役である山下氏(所有株式数:609,000株、所有割合:6.04%)から、その所有する当社株式について本公開買付けに応募する意向であることを確認しているとのことです。また、本書提出日現在、当社の主要株主、筆頭株主かつ支配株主であり、かつ、当社の代表取締役である山下氏の資産管理会社であるTDA(所有株式数:5,165,000株、所有割合51.20%)との間で、2025年8月14日付で、不応募契約(以下「本不応募契約」といいます。)を締結し、TDAが所有する当社株式の全て(以下「本不応募合意株式」といいます。)を本公開買付けに応募しない旨を合意しているとのことです。本不応募契約の詳細につきましては、下記「(7) 公開買付者と当社の株主・取締役等との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。
公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の下限を1,560,700株(所有割合:15.47%)としており、本公開買付けに応じて応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。なお、買付予定数の下限である1,560,700株は、本基準株式数(10,088,500株)に係る議決権数である100,885個に3分の2を乗じた数(67,257個、小数点以下を切り上げしております。)に当社の単元株式数(100株)を乗じた数から本不応募合意株式(5,165,000株)を控除した株式数を設定しているとのことです。かかる買付予定数の下限を設定したのは、本取引においては、当社を完全子会社化することを目的としているところ、下記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載する株式併合の手続を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引の実施を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者及びTDAの保有議決権数を合計して当社の総株主の総議決権数の3分の2以上となるようにすることで、当該要件を満たすことができるようにするためであるとのことです。なお、公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の少数株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないとのことです。
他方、本公開買付けは当社を完全子会社化することを目的としておりますので、買付予定数の上限は設けておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合は、応募株券等の全部の買付けを行うとのことです。
本取引は、①本公開買付け、②本公開買付けの成立を条件として、本公開買付けにより当社株式(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)及び本新株予約権の全てを取得できなかった場合に、当社の株主を公開買付者及びTDAのみとすることを目的として当社が会社法第180条に基づいて行う当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)(注3)、③本株式併合の完了を条件として、本自己株式取得(以下に定義します。)に係る資金を確保するために行う、公開買付者による当社に対する資金提供(公開買付者を引受人とする第三者割当増資若しくは当社に対する貸付け、又はその両方によることを予定しているとのことです。以下「本資金提供」といいます。)、④本資金提供の完了を条件として、当社により本自己株式取得の対象となる当社株式数の調整を目的として実施される株式分割、及び株式分割の完了を前提に当社により実施される不応募合意株式の一部の自己株式取得(以下「本自己株式取得」といいます。)(注4)、並びに⑤本自己株式取得の完了を条件として、公開買付者を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とし、公開買付者の株式を対価として行われる株式交換(以下「本株式交換」といいます。)(注5)のそれぞれの手続により構成され、最終的に公開買付者が当社を完全子会社化することを企図しているとのことです。
(注3) なお、本公開買付けの決済開始日以降、本株式併合の効力発生前において、公開買付者が所有する当社株式の数以上の当社株式を所有する株主(TDAを除きます。)が存在し又は生ずることが合理的に否定できない場合の対応については、下記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。
(注4) 本自己株式取得の取得価格(本株式併合前の当社株式1株当たり561円は、(ⅰ)法人税法(昭和40年法律第34号、その後の改正を含みます。以下同じです。)に定めるみなし配当の益金不算入制度が適用される法人であるTDAが本自己株式取得に応じた場合の税引後手取り額として計算される金額が、(ⅱ)仮にTDAが本公開買付けに応募した場合(当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)750円。)の税引後手取り額として計算される金額と同様となるよう設定しているとのことです。但し、本株式併合手続及びその後に予定する株式分割を実施した後の当社株式の発行済株式数に応じた形式的な調整を行う予定であるとのことです。
(注5) 本株式交換の株式交換比率は本書提出日現在未定ですが、当該比率を定めるに当たっては、公開買付価格の均一性規制(金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)第27条の2第3項)の趣旨に反しないよう、当社株式の価値は、本公開買付価格と実質的に同額で評価するとのことです。
なお、上記の詳細については、下記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。
公開買付者は、本公開買付けに係る決済に要する資金を、株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)からの52億円を限度とした借入れ(以下「本銀行融資」といいます。)により賄うことを予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、本公開買付けに係る決済の開始日の前営業日までに本銀行融資を受けることを予定しているとのことです。本銀行融資に係る融資条件の詳細は、みずほ銀行と別途協議の上、本銀行融資に係る融資契約において定めることとされておりますが、本銀行融資に係る融資契約では、公開買付者が本公開買付けにより取得する当社株式が担保に供されるほか、本株式併合手続を通じて当社の株主が公開買付者及びTDAのみとなった後は、当社の一定の資産等が担保に供されることが予定されているとのことです。
<本公開買付け及びその後の想定されている各手続のストラクチャー概要>






当社は、2008年4月にオフィスデザインを主な目的とする会社として設立されました。2020年3月には当社株式を東京証券取引所マザーズ市場に上場し、2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、本書提出日現在、当社株式をグロース市場に上場しております。
当社及び連結子会社4社によって構成される当社グループは、「ALL HAPPY BY DESIGN」を経営理念とし、HX(ヒューマン・エクスペリエンス(注6))を向上させる空間の創造を通じて、この経営理念の実現を目指しております。
当社グループの経営理念である「ALL HAPPY BY DESIGN」は、デザインの力で世界にHAPPYの循環を作り出し、これによって社会に貢献することを意図しております。当社グループは、ディスプレイ、インテリア、建築、プロダクトから企業ブランディングの領域まで、デザインを軸に分野横断的に事業を展開しており、オフィス・商業施設・都市全体等のデザインを通じて、企業や社会の課題解決に取り組んでおります。
世界におけるデザイン関連市場は、2028年には5.9兆ドル(約839兆円)まで成長すると見込まれており、同市場の約30%強を占める建築デザイン・技術コンサル分野は、2028年には262兆円まで拡大すると予想されています(注7)。一方、ディスプレイ業の国内における市場規模は、コロナ禍からの経済回復に伴い、2023年度は前年度比16.8%増の1兆6,000億円と推計されております。2024年度以降も順調に拡大する見通しであり(注8)、新しい空間デザインを常に創出し続けてきた当社グループにとっては事業を伸展させる好機だと捉えております。このような状況下、当社グループでは、一層の事業拡大のため、①優秀な人材の確保及び育成、②業務実施体制の高度化、並びに、③内部管理体制の拡充及びコンプライアンスの徹底の3点を対処すべき課題と認識し、対応を進めております。
(注6) 「HX(ヒューマン・エクスペリエンス)」とは、顧客だけではなく、従業員や株主など「ヒト」がある一定の体験から得られる価値(体験価値)を重視する考え方をいいます。
(注7) Business Research Company「Specialized Design Services Global Market Report 2024」
(注8) 株式会社矢野経済研究所 2025年4月22日発表データ
このような事業環境のもと、2024年11月、山下氏としては、当社グループが今後も更なる成長を遂げ、十分なキャッシュ・フローを創出し続けるためには、中長期的な視点で経営戦略を立案し、それに基づく各種施策を積極的かつ機動的に検討・実行できる経営体制を構築することで、当社グループが当社グループの企業価値の最大化を実現することのできる施策を実行することが重要であると考えるに至ったとのことです。具体的には、下記(A)~(C)の施策を実行することを考えているとのことです。
当社グループは、手がけるデザインビジネスについて、クライアントからの依頼により獲得する受注型プロジェクトである「REGULAR PROJECT」、当社グループの企画提案により生まれる提案型プロジェクトである「PROPOSAL PROJECT」、大規模な建築コンペティションや設計競技を通した挑戦型プロジェクトである「LEADING PROJECT」の3つのプロジェクトタイプに分類しております。このような中、当社は、トップデザイナー・建築家でもある「山下泰樹」を中心に、LEADING PROJECTとして社会的に認知度の高い大型プロジェクトの実績を積み重ね、当社のブランド力向上を図り、REGULAR PROJECTの更なる獲得を目指す事業モデルの確立を推し進めてまいりました。さらに、当社は、同事業モデルによりREGULAR PROJECTによる実績を積み重ねることで、当社の評価や認知度を高め、より話題性の高い大型プロジェクトを獲得するといったプロジェクトのサイクルを形成し、デザイン会社として独自のポジショニングとブランド認知度を確立することで、当社グループが手掛けるデザインビジネスのコモディティ化(注9)による低収益化を避け、当社グループの収益を伸ばすといった、アトリエ系デザイン事務所の柔軟性と組織力を融合させた成長戦略を定めております。山下氏は、これまでの取り組みにより当社グループの知名度や信用度が向上し、大型案件も含め安定的な受注が形成できてきたと認識している一方で、当社が上場会社であり、業績の安定性を優先させるためには、プロジェクトの遅延による売上計上の期ずれやクライアントの要求変更によるプロジェクトの見直し等が生じやすい長期的なプロジェクトよりも、REGULAR PROJECTのような、短期的かつ堅実なプロジェクトにも相応の時間とリソースを割かざるを得ないことから、当社グループが持つ企画力やデザイン力といった強みを十分に発揮できていないと認識しているとのことです。山下氏は、上記の成長戦略をさらに推進し、当社グループの中長期的な事業成長を図るためには、短期的なプロジェクトのみならず、LEADING PROJECTに代表される挑戦的な大型案件を獲得し、意欲的に取り組んでいくことが重要であると考えているとのことです。
山下氏は、建築デザイン領域の専門性向上と先端技術の研究を目的とした当社グループの一事業である「山下泰樹建築デザイン研究所」において、革新的なデザインを追求し大型案件や話題性の高いプロジェクトの実績を重ね、山下氏個人の知名度を国内外で高めるとともに、組織力の更なる向上を図ることで、当社グループの総合デザイン会社としてのブランド価値や収益力の向上にもつながるとの考えから、山下泰樹建築デザイン研究所と当社の二軸体制を強固に確立させるための組織体制づくりが重要であると認識しているとのことです。当社が上場会社であることにより生じる有価証券報告書、適時開示等の書類作成や株主総会の開催にかかる各種準備等、山下氏をはじめとする経営陣や従業員が本業以外の部分に多くの時間とリソースを割かれていたところ、山下氏は、当社を非上場化することにより、これらの時間とリソースを本業であるデザインビジネスに集中させることができるような組織体制を構築することが可能になると考えているとのことです。また、総合デザイン会社としてのブランド力を高めるため、デザイン性を追求したハイクラスの家具・インテリア小物のデザイン・開発を手掛けるブランド「DAFT about DRAFT」や既存物件のリノベーションから維持管理までを手掛ける新規クリエーション事業「Re-Design Project」など、デザイン周辺領域への進出・拡大を推進することで、当社グループのブランド力を向上させつつ、業績の拡大にも繋げ、当社グループの成長をさらに加速させることが可能になると考えているとのことです。
デザイン業界の市場規模は年々拡大傾向にあり、The Business Research Companyによる調査では、2028年には839兆円の巨大市場に成長するとされております。山下氏は、当社グループについて、日本国内では安定的に案件を獲得できているものの、今後の当社グループの更なる収益拡大を実現するためには、海外市場の獲得が必要であると認識しているとのことです。しかしながら、現在当社グループは、3D制作といった一部の業務をセブやベオグラードに置く海外拠点で手掛けることはあるものの、現地市場に向けた営業活動やブランド展開といった海外進出に向けた各種取り組みの推進までは至っていない状況であり、山下氏としては、海外展開の基盤形成が重要な課題となっているものと認識しているとのことです。そこで、山下氏は、2025年秋頃を目途に、ロンドンに当社グループの活動拠点を立ち上げることも視野に入れ、世界的に市場規模が拡大しているデザイン市場の中でも、特に当社グループの事業の中心である空間デザイン(注10)領域における海外展開の足掛かりを築き、ヨーロッパ圏における協業パートナーや人材の獲得などコネクション強化や海外案件の獲得を図り、今後、海外における当社グループのブランド認知度と競争力を早期に高めていくことを目指しているとのことです。成長が続く海外のデザイン市場に早期に参入し、上記の取り組みを推進させるためには、迅速な意思決定と目先の利益にとらわれない強力な実行力が求められるところ、当社の非上場化により、当社の所有と経営を一致させることで、山下氏を含む経営陣による迅速な意思決定が可能になると考えているとのことです。また、上記「(A) 中長期を見据えた新規案件の獲得」に記載のとおり、当社が上場会社であることで、業績の安定性を優先させるために短期的かつ堅実なプロジェクトに相応の時間とリソースを割かざるを得なかったところ、当社の非上場化により、海外展開をはじめとした短期的な業績にとらわれない中長期的な目線での取り組みを積極的に実行することが可能になると考えているとのことです。
(注9) 「コモディティ化」とは、類似の商品やサービスにおける性能、品質、ブランド力等に差がなくなり均質化されることで、特定の商品・サービスの市場価値が低下してしまうことをいいます。
(注10) 「空間デザイン」とは、機能的かつ美しい空間を創造し、人々が快適に過ごせる環境を提供するデザイン手法をいいます。
一方で、上記の各施策を具体的に検討する過程で、2024年11月、山下氏は、かかる施策は中長期的に見れば当社グループの事業の成長及び収益の安定化が見込まれるものの、周辺領域への進出や海外展開等の施策は長期的かつ将来的な取り組みを伴うものであり、直ちに当社グループの利益に貢献するものではなく、営業基盤の構築に相応の時間を要するほか、営業拠点の立ち上げや人材の確保等による多額の先行投資等、経営資源の集中的な投下が必要になると考えるようになり、短期的には当社グループの利益水準の低下やキャッシュ・フローの悪化等、一時的に当社グループの財務状況や業績に大きな影響が生じる可能性や、当社グループが期待される利益を生み出すことが一時的に困難となる可能性も否定できないと考えるようになったとのことです。
また、山下氏は、当社が上場企業である以上、短期的な業績に対してコミットメントが求められる中、これらの中長期的な成長を目指す施策を優先的に実行した場合には、資本市場からの十分な評価を得ることができず、当社株式の市場株価に悪影響を及ぼす等の不利益を当社の株主の皆様に与える可能性があるため、当社の上場を維持したまま、これらの施策を実行することは困難であると考えるようになったとのことです。同時に、山下氏は、当社グループが直面する空間デザイン業界を取り巻く事業環境や、空間デザイン市場という市場において激化する競争環境下で勝ち抜くためには、可及的速やかにこれらの施策を実施するべきであると強く認識するようになったとのことです。
加えて、近年のコーポレートガバナンス・コードの改訂、資本市場に対する規制強化により、金融商品取引法上の有価証券報告書やコーポレート・ガバナンスに関する報告書等を通じたステークホルダーに対する追加的かつ継続的な情報開示のための対応事項は年々増加しており、上場会社として株式上場を維持するために必要な人的・金銭的コストの負担は増加傾向にあり、山下氏としては、当社株式の上場を維持するためのこれらのコストが、当社の経営推進上の大きな負担となる可能性も否定できないことから、当社株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあるとの考えに至ったとのことです。
また、山下氏としては、当社が2020年3月に東京証券取引所マザーズ市場に株式上場して以来、知名度やブランド力、社会的信用力の向上等の上場メリットを享受してきた一方で、エクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は当面見込まれていないこと、一定のブランド力やクライアントに対する信用力は十分に確保できていると考えていること、金融機関との間で良好な関係を築けていること等から、現在では当社が上場を維持する必要性やメリットは相対的に低下していると考えるに至ったとのことです。
上記を踏まえ、山下氏は、2025年1月、今後も当社株式の上場を維持することのメリット、デメリット等を慎重に検討した結果、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社株式を非公開化することが、当社の株主の皆様に対して発生する可能性がある上記の悪影響やリスクを回避するとともに、中長期的な視点から抜本的かつ機動的な経営戦略を迅速に実行し、当社グループの企業価値を向上させるために最も有効な手段であるとの判断に至ったとのことです。
以上の考えのもと、山下氏は、2025年3月上旬、当社の代表取締役である荒浪昌彦氏に対して、当社の完全子会社化について初期的な検討を行っている旨の口頭での打診を行い、また、当社の完全子会社化の具体的な検討を進めるにあたり、2025年4月4日にファイナンシャル・アドバイザーとして東海東京証券株式会社(以下「東海東京証券」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所 外国法共同事業(以下「森・濱田松本法律事務所」といいます。)をそれぞれ選任したうえで、本取引に係る必要事項やスケジュール等の検討を開始したとのことです。そして、2025年4月17日に、当社に対して、本取引に関する意向表明書(以下「当初意向表明書」といいます。)を提出したとのことです。その後、2025年4月18日に、当社から本特別委員会(下記「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」において定義されます。以下同じです。)を設置し、本取引の実施に向けた協議・交渉に応じる旨の連絡を受け、2025年4月18日から2025年5月下旬まで当社に対する財務・税務及び法務のデュー・ディリジェンス(以下「本デュー・ディリジェンス」といいます。)を実施したとのことです。
なお、山下氏は、当社に対するデュー・ディリジェンスの実施と並行して、当社の企業価値を向上させる施策を広く検討していたところ、2025年5月中旬にプライベート・エクイティ・ファンド1社(以下「本件PEファンド」といいます。)と面談を実施したことを契機として、山下氏単独でマネジメント・バイアウト(MBO)を実施する方法のほか、戦略的パートナーシップの相手方として本件PEファンドと共同でマネジメント・バイアウト(MBO)を実施することで、当社グループの企業価値を向上させる方法も比較検討すべきであると考え、同年6月9日、本件PEファンドとの共同マネジメント・バイアウト(MBO)の実施可能性について協議を開始する旨の意向についても当社に伝達したとのことです。もっとも、山下氏は、その後本件PEファンドと協議・検討を行う中で、2025年7月上旬、本件PEファンドと事業上の提携施策等も含めた当社グループの企業価値向上施策について協議を行いましたが、双方の意見や見解に一定の乖離が見られ、その後の協議によりこれを解消していくためには相応の時間をかけた協議が必要になると判断したことから、現時点で合意に至ることは難しく、山下氏単独でマネジメント・バイアウト(MBO)を実施し、当社グループの企業価値向上に向けた施策を迅速に実施していくことが最も当社グループの企業価値向上に資するものとの判断に至り、2025年7月8日、当社に対して、改めて山下氏単独でマネジメント・バイアウト(MBO)を検討する旨の意向表明書を提出したとのことです。その後、山下氏は当社との協議を行うにあたり、2025年7月上旬、ファイナンシャル・アドバイザーとして山田コンサルティンググループ株式会社(以下「山田コンサル」といいます。)を、既にファイナンシャル・アドバイザーとして選任していた東海東京証券に加えて選任したとのことです。
山下氏は、本デュー・ディリジェンスについて同日までの検討状況等に基づく当社の事業及び財務の状況を多面的かつ総合的に分析し、また、当社の市場株価が提案日までの過去1年間において取引時間中の最高値が675円であったこと等の市場株価の動向を踏まえ、本公開買付けに対する応募株式数の見通し等を総合的に勘案し、2025年7月14日、当社に対し、本公開買付価格を675円(提案日の前営業日である2025年7月11日のグロース市場における当社株式の終値519円に対して30.06%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値515円(円未満を四捨五入。以下、終値単純平均値について同じです。)に対して31.07%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値533円に対して26.64%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値549円に対して22.95%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権1個当たりの買付け等の価格(以下「本新株予約権買付価格」といいます。)をいずれも1円とする旨の初回の価格提案を行ったとのことです。これに対して、山下氏は、2025年7月16日、本特別委員会より、(a)本公開買付価格に係る当該提案価格は、当社の少数株主にとって十分な価格として議論を進めるに値する水準を大きく下回るものであることを理由に本公開買付価格を再検討するよう要請する旨、(b)本新株予約権の買付け等の価格については、改めて検討結果を連絡する旨の回答を受けたとのことです。
本特別委員会からの要請を受け、山下氏は、2025年7月22日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を690円(提案日の前営業日である2025年7月18日のグロース市場における当社株式の終値540円に対して27.78%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値516円に対して33.72%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値533円に対して29.46%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値547円に対して26.14%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を行ったとのことです。これに対して、山下氏は、2025年7月23日、本特別委員会より、本公開買付価格に係る当該提案価格は、当社の株式価値の評価の基礎となる事業計画(以下「本事業計画」といいます。)に基づいて当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるフロンティア・マネジメント株式会社(以下「FMI」といいます。)が試算した株式価値等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格として議論を進めるに値する水準を大きく下回るものであること、(b)本公開買付価格を900円にて再検討するよう要請する旨、(c)本新株予約権の買付け等の価格については、改めて検討結果を連絡する旨の回答を受けたとのことです。
本特別委員会からの要請を受け、山下氏は、2025年7月25日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を695円(提案日の前営業日である2025年7月24日のグロース市場における当社株式の終値538円に対して29.18%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値520円に対して33.65%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値532円に対して30.64%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値546円に対して27.29%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を行ったとのことです。これに対して、山下氏は、2025年7月29日に、本特別委員会より、本公開買付価格に係る当該提案価格は、本事業計画に基づいてFMIが試算した株式価値及び過去に行われた公開買付けを通じたマネジメント・バイアウト(MBO)において買付け等の価格に付与されたプレミアムの水準等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格とは言い難いこと、(b)本公開買付価格を845円にて再検討するよう要請する旨の回答を受けたとのことです。
本特別委員会からの要請を受け、山下氏は、2025年7月31日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を720円(提案日の前営業日である2025年7月30日のグロース市場における当社株式の終値536円に対して34.33%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値524円に対して37.40%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値532円に対して35.34%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値544円に対して32.35%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を行ったとのことです。これに対して、山下氏は、2025年8月3日に、本特別委員会より、本公開買付価格に係る当該提案価格は、本事業計画に基づいてFMIが試算した株式価値及び過去に行われた公開買付けを通じたマネジメント・バイアウト(MBO)において買付け等の価格に付与されたプレミアムの水準等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格とは言い難いこと、(b)本公開買付価格を794円にて再検討するよう要請する旨の回答を受けたとのことです。
本特別委員会からの要請を受け、山下氏は、2025年8月4日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を730円(提案日の前営業日である2025年8月1日のグロース市場における当社株式の終値549円に対して32.97%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値526円に対して38.78%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値532円に対して37.22%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値543円に対して34.44%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を行ったとのことです。これに対して、山下氏は、2025年8月6日に、本特別委員会より、本公開買付価格に係る当該提案価格は、本事業計画に基づいてFMIが試算した株式価値、過去に行われた公開買付けを通じたマネジメント・バイアウト(MBO)において買付け等の価格に付与されたプレミアムの水準及び当社のIPO価格等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格とは言い難いこと、(b)本公開買付価格を766円にて再検討するよう要請する旨の回答を受けたとのことです。
本特別委員会からの要請を受け、山下氏は、2025年8月7日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を740円(提案日の前営業日である2025年8月6日のグロース市場における当社株式の終値565円に対して30.97%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値534円に対して38.58%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値533円に対して38.84%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値542円に対して36.53%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を行ったとのことです。これに対して、山下氏は、2025年8月7日に、本特別委員会より、本公開買付価格に係る当該提案価格は、本事業計画に基づいてFMIが試算した株式価値、過去に行われた公開買付けを通じたマネジメント・バイアウト(MBO)において買付け等の価格に付与されたプレミアムの水準、当社のIPO価格及び直近の当社の株価の上昇傾向等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格とは言い難いこと、(b)本公開買付価格を758円にて再検討するよう要請する旨の回答を受けたとのことです。また、本新株予約権買付価格については、いずれも1円とする旨の価格提案を内諾する旨の回答を受けたとのことです。
本特別委員会からの要請を受け、山下氏は、2025年8月12日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を750円(提案日の前営業日である2025年8月8日のグロース市場における当社株式の終値566円に対して32.51%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値539円に対して39.15%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値533円に対して40.71%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値542円に対して38.38%のプレミアムを加えた価格)とする旨の価格提案を行ったとのことです。これに対して、山下氏は、2025年8月12日に、本特別委員会より、2025年8月14日に開催された当社取締役会決議による承認及び当社株式の市場株価を含む市場・経済環境等が大きく変動しないことを前提として、本公開買付価格を750円とする旨の価格提案を内諾する旨の回答を受けたとのことです。
以上の協議及び交渉を経て、公開買付者は、2025年8月14日、本公開買付価格を750円、本新株予約権買付価格を1円とし、本取引の一環として本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2025年4月17日に、山下氏から当初意向表明書が提出されたことを踏まえ、本取引に関する具体的な検討を開始いたしました。
当社は、2025年4月18日開催の当社取締役会決議により、結城大輔氏(当社社外取締役・弁護士・米国ニューヨーク州弁護士・公認不正検査士)、田島祥朗氏(当社社外取締役(常勤監査等委員)・公認会計士)、大村尚子氏(当社社外取締役(監査等委員)・公認会計士)、三代まり子氏(当社社外取締役(監査等委員)・米国カリフォルニア州公認会計士)の4名によって構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。なお、本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容等については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置し、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の是非(本取引が当社企業価値向上に資するかを含みます。)に関する事項、(ⅱ)本取引の取引条件の公正性(買収対価の水準、買収の方法及び買収対価の種類等が公正なものとなっているか否かを含みます。)に関する事項、(ⅲ)本取引の手続の公正性(取引条件の公正さを担保するための手続が十分に講じられているか否か)に関する事項、(ⅳ)上記(ⅰ)から(ⅲ)その他の事項を踏まえ、本取引が一般株主にとって公正であるか否かについて諮問いたしました(以下では(ⅰ)乃至(ⅳ)を総称して「本諮問事項」といいます。)。また、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本公開買付けがマネジメント・バイアウト(MBO)のための本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、本取引と同種の取引である、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)を含む非公開化を想定した公開買付け事例に関する公表内容等を踏まえ、独立性及び専門性・実績等を検討の上、公開買付者、山下氏及びTDA並びに当社(以下、総称して「公開買付関連当事者」といいます。)から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を、また、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてFMIを、それぞれ本特別委員会の承認を得られることを条件として選任いたしました。そして、当社は、本取引の公正性を担保するため、TMI総合法律事務所による本取引に関する意思決定の過程、方法その他の本取引に関する意思決定に当たっての留意点等についての助言を踏まえ、直ちに、公開買付者、山下氏及びTDAから独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の少数株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制の構築を開始しました。
当社は、2025年4月18日開催の当社取締役会議において、本特別委員会の設置にあたり、当社取締役会における本取引に関する意思決定は、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行うものとすること、及び、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は本取引を行う旨の意思決定(本公開買付けに関する当社の賛同及び応募推奨を内容とする意見表明を含みます。)を行わないこととすることを決議するとともに、本特別委員会に対し、当社の費用負担の下、本取引に係る調査(本取引に関係する当社の役員若しくは従業員又は本取引に係る当社のアドバイザーに対し、本諮問事項の検討に必要な事項について質問を行い、説明又は助言を求めることを含みます。)を行うことができる権限、特別委員会自ら取引関係者と協議・交渉することができ、また、当社の役職員(利益相反のおそれがないものに限ります。)をして、上記協議・交渉に関与させることができる権限、当社の費用負担の下、特別委員会独自の弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを選任することができる権限、本取引に係る当社のアドバイザーを指名し、又は変更を求めることができるほか、当社のアドバイザーに対して必要な指示を行うことができる権限を付与することを決議しております。
また、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、2025年4月28日、本特別委員会において、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるFMI並びに当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所について、その独立性及び専門性・実績等に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受けました。
さらに、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、公開買付者、山下氏及びTDAから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、当社は、本取引に係る検討、交渉及び判断の作成等高い独立性が求められる職務を含みます。)は、全て公開買付者、山下氏及びTDAから独立した者が担当することとした上で、構造的な利益相反の問題による影響を受けるおそれを排除する観点から、公開買付者、山下氏及びTDAからの独立性が認められる経営企画部ゼネラルマネージャー3名、同部企画部マネージャー1名及び同企画部・法務担当1名の合計5名で構成するものとしております。
かかる体制の下で、本特別委員会は、本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、また、FMIから当社株式の株式価値の算定結果に関する報告、山下氏との交渉方針に関する助言その他の財務的見地からの助言を受けるとともに、TMI総合法律事務所から本取引における手続の公正性を確保するための対応についての法的助言を受け、これらを踏まえ、以下のとおり、山下氏との間で、2025年8月13日まで複数回にわたる協議・交渉を行いました。
具体的には、本特別委員会は、2025年5月15日に山下氏に対する質問事項書を送付するとともに、同年5月27日に山下氏に対するインタビューを実施し、本取引の背景(本取引に係る提案を上記の時期に行うに至った背景を含みます。)、経緯、非公開化の必要性、目的及び効果、本取引後の経営方針、本取引のスキーム等について確認を行いました。
また、本公開買付価格については、当社は、2025年7月14日、山下氏より、本公開買付価格を675円(提案日の前営業日である2025年7月11日のグロース市場における当社株式の終値519円に対して30.06%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値515円に対して31.07%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値533円に対して26.64%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値549円に対して22.95%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の初回の価格提案を受けました。これに対して、本特別委員会は、2025年7月16日、山下氏に対して、(a)本公開買付価格に係る当該提案価格は、当社の少数株主にとって十分な価格として議論を進めるに値する水準を大きく下回るものであることを理由に本公開買付価格を再検討するよう要請する旨、(b)本新株予約権の買付け等の価格については、改めて検討結果を連絡する旨の回答を行いました。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年7月22日、山下氏より、本公開買付価格を690円(提案日の前営業日である2025年7月18日のグロース市場における当社株式の終値540円に対して27.78%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値516円に対して33.72%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値533円に対して29.46%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値547円に対して26.14%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を受けました。これに対して、本特別委員会は、2025年7月23日、山下氏に対して、本公開買付価格に係る当該提案価格は、本事業計画に基づいてFMIが試算した株式価値等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格として議論を進めるに値する水準を大きく下回るものであること、(b)本公開買付価格を900円にて再検討するよう要請する旨、(c)本新株予約権の買付け等の価格については、改めて検討結果を連絡する旨の回答を行いました。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年7月25日、山下氏より、本公開買付価格を695円(提案日の前営業日である2025年7月24日のグロース市場における当社株式の終値538円に対して29.18%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値520円に対して33.65%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値532円に対して30.64%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値546円に対して27.29%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を受けました。これに対して、本特別委員会は、2025年7月29日、山下氏に対して、本公開買付価格に係る当該提案価格は、本事業計画に基づいてFMIが試算した株式価値及び過去に行われた公開買付けを通じたマネジメント・バイアウト(MBO)において買付け等の価格に付与されたプレミアムの水準等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格とは言い難いこと、(b)本公開買付価格を845円にて再検討するよう要請する旨の回答を、本特別委員会による検討内容の根拠及び背景の説明とともに行いました。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年7月31日、山下氏より、本公開買付価格を720円(提案日の前営業日である2025年7月30日のグロース市場における当社株式の終値536円に対して34.33%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値524円に対して37.40%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値532円に対して35.34%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値544円に対して32.35%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を受けました。これに対して、本特別委員会は、2025年8月3日、山下氏に対して、本公開買付価格に係る当該提案価格は、本事業計画に基づいてFMIが試算した株式価値、過去に行われた公開買付けを通じたマネジメント・バイアウト(MBO)において買付け等の価格に付与されたプレミアムの水準及び当社のIPO価格等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格とは言い難いこと、(b)本公開買付価格を794円にて再検討するよう要請する旨の回答を、本特別委員会として参照すべきと考える期間及び対象取引の条件等についての説明とともに行いました。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年8月4日、山下氏より、本公開買付価格を730円(提案日の前営業日である2025年8月1日のグロース市場における当社株式の終値549円に対して32.97%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値526円に対して38.78%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値532円に対して37.22%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値543円に対して34.44%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を受けました。これに対して、本特別委員会は、2025年8月6日、山下氏に対して、本公開買付価格に係る当該提案価格は、本事業計画に基づいてFMIが試算した株式価値、過去に行われた公開買付けを通じたマネジメント・バイアウト(MBO)において買付け等の価格に付与されたプレミアムの水準及び当社のIPO価格等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格とは言い難いこと、(b)本公開買付価格を766円にて再検討するよう要請する旨の回答を行いました。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年8月7日、山下氏より、本公開買付価格を740円(提案日の前営業日である2025年8月6日のグロース市場における当社株式の終値565円に対して30.97%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値534円に対して38.58%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値533円に対して38.84%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値542円に対して36.53%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を、提示できる最大額であるとして受けました。これに対して、本特別委員会は、2025年8月7日、山下氏に対して、本公開買付価格に係る当該提案価格は、本事業計画に基づいてFMIが試算した株式価値、過去に行われた公開買付けを通じたマネジメント・バイアウト(MBO)において買付け等の価格に付与されたプレミアムの水準、当社のIPO価格及び直近の当社の株価の上昇傾向等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格とは言い難いこと、(b)本公開買付価格を758円にて再検討するよう要請する旨の回答を、最終段階の提示として行いました。また、本新株予約権買付価格については、いずれも1円とする旨の価格提案を内諾する旨の回答を行いました。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年8月12日、山下氏より、本公開買付価格を750円(提案日の前営業日である2025年8月8日のグロース市場における当社株式の終値566円に対して32.51%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値539円に対して39.15%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値533円に対して40.71%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値542円に対して38.38%のプレミアムを加えた価格)とする旨の価格提案を受けました。これに対して、本特別委員会は、2025年8月12日、山下氏に対して、2025年8月14日に開催された当社取締役会決議による承認及び当社株式の市場株価を含む市場・経済環境等が大きく変動しないことを前提として、本公開買付価格を750円とすることに内諾する旨を連絡いたしました。
さらに、当社は、リーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2025年8月13日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。その上で、当社は、リーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から受けた法的助言及び第三者算定機関であるFMIから2025年8月13日付で取得した株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本公開買付価格を含む本取引の諸条件は公正なものか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。
その結果、当社は、以下の点等を踏まえると、本取引を通じて当社を完全子会社化することが当社の企業価値の向上に資するものであるとの判断に至りました。
当社は、創業以来増収を続けており(変則決算期を除く)、今後も成長を継続できるものと考えておりますが、長期的視点で更なる企業価値の向上を考えた場合には、実現までに数年を要する大型プロジェクトや意欲的なプロジェクトへ積極的に参画し、当該プロジェクトの成功を通じてブランド価値を高めていく必要があります。また、日本市場だけではなく海外市場で高い評価を得ていくこともブランド価値向上、ひいては企業価値向上のための有効な施策であると考えます。一方で、上場会社としては四半期毎に市場が期待する売上高・利益を獲得していくことも重要な経営課題であります。
このような中で、当社は、山下氏から、本取引の協議・交渉の過程において、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、(A)中長期を見据えた新規案件の獲得、(B)ブランド力を向上させるための組織体制の構築と周辺領域への進出・拡大、(C)海外展開の強化といった施策を実行することで、当社グループの中長期的な企業価値向上を実現する旨の説明を受け、これを慎重に検討した結果、当社としても、これらの施策は、当社の今後の成長を考えたときに積極的に推進していくべきものであり、ひいては当社の中長期的な企業価値の向上に資するものであると考えております。
しかしながら、上記の各施策は、中長期的に見れば当社の企業価値向上が期待されるものの即時に当社の業績に貢献できるものではなく、その実現に向けて相当の期間を要することが想定されるほか、当社の限られた人的資源を新たな事業分野に投入することはもちろん、既存事業に関しても抜本的な改革等には各種の先行投資が発生することから、一時的に利益及びキャッシュ・フローが悪化する可能性は否定できず、短期的には当社の業績や財務状況に悪影響を与えるリスクがあり、資本市場から十分な評価が得られず、当社の株主の皆様に対して、当社株式の市場株価の下落といった不利益を与えるおそれが懸念されると考えております。例えば、(A)中長期を見据えた新規案件の獲得については、LEADING PROJECTを中心とした大型案件への取り組みは、企画から収益化までに時間を要することから、短期的な収益の拡大も期待される上場会社としては積極的な推進が難しく、また(B)ブランド力を向上させるための組織体制の構築と周辺領域への進出・拡大については、山下泰樹建築デザイン研究所との二軸体制の強化や家具・インテリアブランド等の周辺領域への展開に際して初期投資や人材投入を要するため、短期的な収益性との両立が困難と考えております。さらに、(C)海外展開の強化については、ロンドン拠点の設立を視野に入れた海外展開が、収益化までの時間やリスクを伴うことから、株主の理解を得ることが難しく、資本市場から十分な評価が得られない可能性があると考えており、いずれの施策も当社株式の上場を維持したまま各施策を実施することは慎重な判断が求められる状況であると考えております。一方で、本取引により当社株式を非公開化することで、長期的な視点で公開買付者からの提案にあるような各施策の実行に取り組むことが可能となると考えており、本取引の実行は当社の企業価値向上の観点からもメリットがあると考えております。
そのため、当社としても、当社の株主の皆様が短期的な悪影響を被ることなく株式を売却できる機会を提供するとともに、当社株式を非公開化することにより株式市場からの評価にとらわれず、かつ、株主と経営陣が一体化して機動的かつ柔軟な意思決定が可能な強固かつ安定した新たな経営体制を構築することこそ、当社の企業価値向上を実現する選択であると判断いたしました。加えて、山下氏は当社の事業内容を熟知していること、これまで当社を牽引してきた実績があること、「山下泰樹」がブランドの1つとして確立し、指名での受注案件も確保していることを踏まえれば、山下氏がマネジメント・バイアウト(MBO)の手法によって引き続き当社の経営陣の立場であり続けること、すなわち山下氏が所有と経営の双方を担うことに十分な合理性があると判断いたしました。
また、当社株式の非公開化により、当社株式の上場を維持するために必要な費用(有価証券報告書等の継続的な情報開示に要する費用、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する費用等)を削減することができ、かつ、上場会社として必要となる管理部門の維持のための費用その他のコスト等、当社株式の上場を維持することによるその他の経営負担も軽減され、より一層、事業成長への経営資源の集中を図ることも可能になると考えております。
なお、上場廃止に伴うデメリットとしては、資本市場から資金調達を行うことができなくなることのほか、知名度や社会的信用の向上といった上場会社として享受してきたメリットを享受できなくなることが一般的に挙げられますが、当社としては、金融機関との間で良好な関係を築けていることや、これまでの事業活動を通じて知名度や社会的信用は既に確立していると考えられることから、当社株式の上場廃止による特段のデメリットは想定しておりません。加えて、マネジメント・バイアウト(MBO)に際して借入金が増加して、一般的には資金調達余力が一定低下することが懸念される場合がありますが、無担保での借入は実務上可能であり、本取引を通じて資金調達の柔軟性を失うものではないと判断しております。
以上を踏まえ、当社としても、当社の株主の皆様に対して発生する可能性がある上記の不利益を回避しつつ、中長期的な視点から当社の企業価値を向上させるためには、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社株式を非公開化し、短期的な株式市場からの評価にとらわれずに各施策に迅速かつ果敢に取り組むことができる経営体制を構築することが必要であると考えております。
さらに、当社は、以下の点等を踏まえると、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって公正であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
(a)本公開買付価格が、下記「(3) 算定に関する事項」に記載されているFMIによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価平均法に基づく算定結果のレンジの上限値を上回る価格であり、類似会社比較法に基づく算定結果においてもレンジの上限値を上回る価格であり、また、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果においてもレンジの範囲内であることが認められ、合理的な水準にあると評価できる。
(b)本公開買付価格が、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年8月13日のグロース市場における当社株式の終値569円に対して31.81%、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値545円に対して37.61%、直近3ヶ月間の終値単純平均値532円に対して40.98%、直近6ヶ月間の終値単純平均値540円に対して38.89%のプレミアムがそれぞれ加えられた価格であり、他社の類似取引事例におけるプレミアム割合の中央値(注)と比較するとやや見劣りするものの、これらを大きく下回るものではなく、公表日前営業日の終値に対するプレミアムについても本公開買付価格と同等程度又はそれ以下のプレミアムが付されていた事例も相当数存在することから、本公開買付価格には合理的なプレミアムが付されているであると評価できる。
(注) 経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降、2025年8月13日までの間に公表され成立した非公開化を目的としたマネジメント・バイアウト(MBO)事例88件における、公表日前営業日の終値、並びに直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値は、順に42.33%、45.18%、46.01%、48.57%です。
(c)2020年3月17日の当社株式の上場から約5年半経過した時点において本取引が検討されていることに照らし、当社の上場直後の時期から当社株式を所有している少数株主の利益についても検討すると、当社株式の上場当時の公募価格である1,580円(2020年12月15日付で行われた当社株式1株につき2株の割合による株式分割を考慮後の公募価格は790円)に対し、その後2020年12月4日に最高値3,365円(2020年12月15日付で行われた当社株式1株につき2株の割合による株式分割を考慮後の最高値は1,683円)を記録するなど、上記公募価格を上回る株価形成もされており、上場時の株主の利益の確保を行う機会は存在していたと評価できる。一方で、当社の株価は上場後約半年経過後から上場後約1年半経過後の株価が最も高く、直近6ヶ月間の最高値は639円であること、当社の株価推移及び上記(a)及び(b)並びに下記(d)乃至(g)に鑑みると、本公開買付価格は、山下氏との交渉の結果、当社の少数株主に対して適切なプレミアムを付した価格での当社株式の売却機会を提供するものであり、本株式価値算定書におけるFMIによる当社株式の価値算定結果及び同種事例のプレミアム水準に鑑みても、本取引を通じた少数株主の利益の確保についても一定程度配慮がなされていると評価できる。
(d)本公開買付価格は、2021年12月21日付で行われた公募による新株式発行時の発行価格である708円を上回る価格であること。
(e)下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の利益相反を回避するための措置が採られていること等、当社の少数株主の利益への配慮がなされていると認められる。
(f)本公開買付価格は、上記利益相反を回避するための措置が採られた上で、FMIによる当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や財務的見地からの助言及びTMI総合法律事務所から受けた法的助言等を踏まえて、本特別委員会と山下氏との間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた上で決定された価格である。
(g)本特別委員会が、取引条件に係る交渉過程に直接関与した上で、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本答申書において、本公開買付価格を含む本取引の条件は公正なものであると考えられる旨の意見が示されている。
なお、本新株予約権買付価格については、公開買付者は本新株予約権を取得したとしてもこれらを行使することができないものと解される上、本新株予約権は、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)に行使可能であり、かつ、本新株予約権の行使時の当社株式1株当たりの払込金額はいずれも本公開買付価格(750円)を下回っているため、本新株予約権者としては、本新株予約権を行使して当社株式に転換した上で本公開買付けに応募することができることから、本新株予約権買付価格が1円とされていることが不合理であるとはいえないと判断いたしました。
以上より、当社は、2025年8月14日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨すること、及び、本新株予約権者の皆様に対しては、本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねることを決議いたしました。上記取締役会における決議の方法につきましては、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員である取締役を含む。)の承認」をご参照ください。
本取引は、マネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、当社の代表取締役である山下氏は、本取引後も継続して代表取締役として当社の経営にあたることを予定しており、上記「②公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の経営施策を推進する予定であるとのことです。
なお、公開買付者は、本書提出日現在において、当社のその他の取締役(監査等委員である取締役を含む。)との間で、本取引後の役員就任や処遇について何らの合意も行っておらず、当社の役員構成を含む経営体制については、本取引後、当社と協議しながら決定していく予定であるとのことです。
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるFMIに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年8月13日付で本株式価値算定書を取得いたしました。FMIは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係るFMIの報酬は、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、FMIが取引成立に過度に誘導されるインセンティブは限定的であり、本取引の完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりFMIを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。また、本特別委員会は、2025年4月28日開催の第1回の会議において、FMIの独立性に特段の問題がないことを確認した上で、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任することを承認しております。
なお、本新株予約権買付価格が1円と決定されていることから、当社は本新株予約権買付価格に関して第三者算定機関からの算定書は取得しておりません。
FMIは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提のもと、当社株式について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式がグロース市場に上場していることから市場株価平均法を、比較可能な類似上場会社が存在し、類似上場会社の比較による株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、また、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映させるためにDCF法をそれぞれ算定方法として採用し、当社株式の株式価値の算定を行いました。なお、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置を実施しており、当社の少数株主の利益に配慮がなされていると考えていることから、FMIから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
FMIによれば、上記の各手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価平均法 : 532円から545円
類似会社比較法 : 457円から716円
DCF法 : 679円から970円
市場株価平均法では、本公開買付けに対する意見表明に係る当社取締役会決議日の前営業日である2025年8月13日を算定基準日として、グロース市場における当社株式の基準日終値569円、直近1ヶ月間の終値単純平均値545円、直近3ヶ月間の終値単純平均値532円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値540円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を532円から545円までと算定しております。
類似会社比較法においては、当社と比較的類似する事業を営む類似上場会社として、株式会社乃村工藝社、株式会社丹青社、株式会社スペース、株式会社ラックランド及び株式会社船場を選定しております。当社は、2025年2月14日に開示した「2024年12月期通期決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項の進捗)」においても言及しているとおり、単なるディスプレイ業ではなく、空間全体の企画・設計・デザインを含むデザイン業を主たる事業領域としております。そのため、直接的な競合会社は存在しないものの、事業内容・業態・顧客層等の観点から最も近接していると考えられる上場企業を類似会社として選定しております。類似会社のEBITDAマルチプルを用いて、当社株式の株式価値を算定し、その1株当たりの株式価値の範囲を457円から716円と算定しております。
DCF法では、当社が作成した本事業計画における当社の2025年12月期から2029年12月期までの5期分の財務予測、当社の2025年12月期第2四半期における財務情報、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年12月期第3四半期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を679円から970円までと算定しております。割引率は加重平均資本コストとし、7.87%~9.61%を採用しております。また、小規模な会社は大規模な会社と比べて事業の安定性や信用力の点でリスクが高く資本コストが上昇するため、実務上、スモールビジネス・リスク・プレミアムを考慮するのが一般的であるという観点から、小規模リスクプレミアムを2.90%として割引率の算出の際に考慮しております。なお、継続価値の算定にあたってはマルチプル法及び永久成長率法を採用し、企業価値に対するEBITDAの倍率は類似会社比較法において選定した類似上場会社の数値を使用し5.1倍~6.3倍、永久成長率は当社を取り巻く事業環境や当社の成長性等を総合的に勘案し-0.5%~0.5%とし、これらをもとに継続価値を4,436百万円~7,287百万円と算定しております。
本事業計画は、過去の実績や足元の収益状況、当社の成長ステージ、外部環境の動向等を踏まえ、各項目において合理的な前提を設定の上、当社が作成したものであり、公開買付者、山下氏及びTDAはその作成過程に一切関与しておりません。なお、当社が本事業計画を作成するにあたり、本特別委員会は、当社より本事業計画案の内容、重要な前提条件及びその作成経緯等の合理性を確認し、本特別委員会として本事業計画案を承認しております。
FMIがDCF法の算定の前提とした当社の本事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。当該財務予測には、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれていないものの、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2025年12月期においてフリー・キャッシュ・フローが大幅に減少する見込みです。これは、前年度(2024年12月期)において上半期に売上が先行して積み上がり、期末時点の売掛金残高が例年よりも低水準であったため、2025年12月期の期末におけるキャッシュ回収が相対的に小さくなることが要因です。また、2026年12月期にはフリー・キャッシュ・フローが大幅に増加する見込みです。これは、2025年12月期上半期に横浜ティンバーワーフ建設に係る設備投資等が行われる一方で、2026年12月期には現時点で具体的な設備投資を計画していないことが要因です。また、当該財務予測において、営業利益率が低下していく見込みとなっておりますのは、販売費及び一般管理費の中で高い割合を占める人件費の伸びが売上高の伸長率を上回っていることが主な要因です。これまで当社における従業員数の増加率は、売上高の成長率に比して低い水準で推移しており、現在の従業員数は十分ではありません。将来的な成長のためには従業員の増加が必要だと考えております。また、昨今の労働市場の状況を踏まえると、従業員数を増加させるためには給与水準の継続的な底上げが必須であり、これらが人件費の増加につながっております。なお、2025年12月期(6ヶ月間)の財務予測は、2025年12月期の通期売上計画12,897百万円、通期営業利益計画841百万円から2025年12月期第2四半期の累計実績を控除して算出しております。
本事業計画のうち、2026年12月期における財務予測は、2024年2月13日に公表した当社中期経営計画において掲げた2026年12月期の目標値を下回っております。これは、本事業計画が、足元の業況や現在の事業運営体制を踏まえて、現状に即した客観的かつ合理的な財務予測として本取引の実行に際して新たに作成されたものであることによります。具体的には、売上規模が急速に拡大する一方で、それに対応する人員体制の整備が十分に進んでいない状況にあることを踏まえ、従来の成長率を前提とするのではなく、現在の事業運営体制を考慮した、より合理的な水準の成長率を基に作成しております。なお、本事業計画においては従業員数の増加を織り込んでおりますが、人員体制の整備が事業の拡張に結びつくためには一定の時間が必要であり、本事業計画における急速な売上規模の拡大は想定しておりません。
また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることは困難であるため、当該財務予測には加味されておりません。
FMIは、当社の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報が、全て正確かつ完全なものであること、また本公開買付価格の分析・算定に重大な影響を与える可能性がある事実でFMIに対して未開示の事実はないこと等を前提としてこれに依拠しており、独自にそれらの正確性の検証を行っておりません。加えて、当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による現時点での得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提をしております。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。
上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、公開買付者は、本公開買付けに係る手続完了後、本株式併合を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)の開催を本公開買付けの決済の完了後速やかに当社に要請する予定であるとのことです。なお、公開買付者及びTDAは、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定であるとのことです。公開買付者は、当社の企業価値向上の観点から、本臨時株主総会をできるだけ早期に開催することが望ましいと考えており、本公開買付けの決済の開始日以降の近接する日が本臨時株主総会の基準日となるように、当社に対して公開買付期間中に基準日設定公告を行うことを要請する予定であるとのことです。また、本書提出日現在において、本臨時株主総会の開催時期は、2025年11月頃を予定しているとのことです。本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主の皆様(公開買付者及びTDAを除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に対して要請する予定であるとのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者が当社の発行済株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募合意株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及びTDAを除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定される予定であるとのことです。但し、本公開買付けの決済開始日以降、本株式併合の効力発生前において、公開買付者が所有する当社株式の数以上の当社株式を所有する株主(TDAを除きます。)が存在し又は生ずることが合理的に否定できない場合、本株式併合後に必要に応じて再度当社株式に関して株式併合を行う等の方法によって、公開買付者及びTDAのみが当社株式(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)の全てを所有することとなるようにする予定であるとのことです。
本株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした規定として、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、当社の株主は、当社に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められております。なお、これらの申立てがなされた場合における、当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。
上記の各手続については、関係法令の改正、施行、当局の解釈等の状況、本公開買付け後の公開買付者の当社株式の所有割合、公開買付者及びTDA以外の当社の株主の当社株式の所有状況等によっては、実施の方法及び時期に変更が生じる可能性があるとのことです。但し、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主の皆様(公開買付者及びTDAを除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定であるとのことです。
また、公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにおいて本新株予約権の全てを取得できず、かつ、本新株予約権が行使されず残存した場合には、当社に、本新株予約権者に対する本新株予約権の放棄の勧奨等、本取引の実行に合理的に必要な手続を実践することを要請する予定であるとのことです。
以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取り扱いについては、当社の株主及び本新株予約権者の皆様が自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
また、公開買付者、当社及びTDAは本株式併合の完了後に、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「①本公開買付けの概要」に記載の本自己株式取得(本自己株式取得に先立ち実施される本資金提供及び株式分割を含みます。)及び本株式交換を実施する予定ですが、それぞれの実施時期や条件等については、本書提出日現在未定であり、本株式併合の完了後、公開買付者、当社及びTDAで協議の上決定される予定であるとのことです。なお、いずれの取引においても、どちらか一方が不当に利益を得るような条件で実施することは想定しておらず、公正性の担保に十分配慮しながら進めていく予定であるとのことです。
当社株式は、本書提出日現在、グロース市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいては、買付け等を行う株券等の数に上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、本公開買付けに係る手続が完了した時点で、東京証券取引所の上場廃止基準に該当し、当該基準に従い、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けに係る手続が完了した時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けに係る手続が完了した後に、上記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本株式併合手続が実行された場合には東京証券取引所の上場廃止基準に該当し、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となります。上場廃止後は、当社株式をグロース市場において取引することはできません。
公開買付者及び当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当する本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。
なお、公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の少数株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいてマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないとのことですが、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置として、以下の①乃至⑥の措置を実施していることから、当社の少数株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。また、本特別委員会は、本答申書において、他の公正性担保措置の実施状況に照らせば、マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)に係る条件が設定されていないことのみをもって、本取引の条件の公正性が否定されるものではないと考えられる旨判断しており、当社としても同様に判断しております。
なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるFMIに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年8月13日付で本株式価値算定書を取得いたしました。なお、当社及びFMIとの関係並びに算定の概要については、上記「(3) 算定に関する事項」をご参照ください。
当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任し、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。TMI総合法律事務所は、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
また、本特別委員会は、2025年4月28日開催の第1回の会議において、TMI総合法律事務所の独立性に問題がないこと等を確認した上で、当社のリーガル・アドバイザーとして選任することを承認しております。同事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる時間単位の報酬のみであり、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2025年4月17日付で山下氏から本取引の検討を開始したい旨の申入れを受け、本取引がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、当社における本取引の検討において構造的な利益相反状態が生じ得ること等に鑑み、当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性を担保するために、2025年4月18日開催の当社取締役会決議により、公開買付関連当事者及び本取引の成否から独立した、結城大輔氏(当社社外取締役・弁護士・米国ニューヨーク州弁護士・公認不正検査士)、田島祥朗氏(当社社外取締役(常勤監査等委員)・公認会計士)、大村尚子氏(当社社外取締役(監査等委員)・公認会計士)、三代まり子氏(当社社外取締役(監査等委員)・米国カリフォルニア州公認会計士)の4名によって構成される本特別委員会を設置しました。当社は、当初から上記4名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。また、本特別委員会の委員の互選により、結城大輔氏が本特別委員会の委員長に就任しております。なお、本特別委員会の委員の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
そして、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、本諮問事項、すなわち(ⅰ)本取引の是非(本取引が当社企業価値向上に資するかを含みます。)に関する事項、(ⅱ)本取引の取引条件の公正性(買収対価の水準、買収の方法及び買収対価の種類等が公正なものとなっているか否かを含みます。)に関する事項、(ⅲ)本取引の手続の公正性取引条件の公正さを担保するための手続が十分に講じられているか否か)に関する事項、(ⅳ)上記(ⅰ)から(ⅲ)その他の事項を踏まえ、本取引が一般株主にとって公正であるか否かについて諮問し、これらの点について答申書を当社取締役会に提出することを委嘱しました。
また、当社は、上記取締役会決議において、本公開買付けに対する意見表明の内容を審議する当社取締役会においては、本特別委員会の設置の趣旨に鑑み、本諮問事項に対する本特別委員会の答申内容を最大限尊重するものとし、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は、本取引を行う旨の意思決定を行わないこととする旨を決議しております。併せて、当社は、本特別委員会に対して、当社の費用負担の下、本取引に係る調査(本取引に関係する当社の役員若しくは従業員又は本取引に係る当社のアドバイザーに対し、本諮問事項の検討に必要な事項について質問を行い、説明又は助言を求めることを含みます。)を行うことができる権限、特別委員会自ら取引関係者と協議・交渉することができ、また、当社の役職員(利益相反のおそれがないものに限ります。)をして、上記協議・交渉に関与させることができる権限、当社の費用負担の下、特別委員会独自の弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを選任することができる権限、本取引に係る当社のアドバイザーを指名し、又は変更を求めることができるほか、当社のアドバイザーに対して必要な指示を行うことができる権限を付与しております。上記権限付与を受けて、本特別委員会は、2025年4月28日に開催された第1回の会議において、当社が選任する外部アドバイザー等について、いずれも独立性及び専門性・実績等に問題がないことを確認した上で、リーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてFMIを、それぞれ選任することを承認いたしました。
本特別委員会は、2025年4月28日から2025年8月13日までに、会議を合計13回開催したほか、会議外においても電子メール等を通じて、情報交換や情報収集、意見表明等を行い、必要に応じて随時協議を行う等して、本諮問事項に関し、慎重に検討を行いました。具体的には、本特別委員会は、当社から、当社の事業内容・業績推移、主要な経営課題、本取引により当社の事業に対して想定されるメリット・デメリット、本取引の条件の検討の際に基礎とされる当社の本事業計画の内容及び策定手続等について説明を受け、質疑応答を行いました。なお、本特別委員会は、かかる質疑応答を通じて、公開買付者、山下氏及びTDAは本事業計画の作成過程に一切関与していないことを確認しております。また、本特別委員会は、山下氏から、本取引を提案するに至った検討過程、本取引後に想定している施策の内容、本取引によって見込まれるメリット・デメリットその他の影響の内容及び程度、並びに本取引後に予定している当社の経営方針等について具体的な説明を受け、質疑応答を行いました。さらに、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるFMIから、当社株式の株式価値の算定に関する説明を受け、その算定過程に関して質疑応答を行った上で、当該算定結果の合理性について検討いたしました。以上の検討に際して、本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から、特別委員会の意義・役割等を含む本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置の内容について適宜助言を受けております。
そして、本特別委員会は、山下氏との間における本取引に係る協議・交渉に直接関与し、計6回にわたり、山下氏に対して本公開買付価格の増額を要請しております。
本特別委員会は、以上の経緯のもと、本諮問事項について慎重に審議及び検討を重ねた結果、2025年8月13日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で大要以下の内容の本答申書を提出いたしました。
(ⅰ)答申内容
(a) 本取引は当社の企業価値向上に資すると認められる(すなわち「是」である。)。
(b) 本取引の取引条件は公正である。
(c) 本取引に係る手続は公正である。
(d) 上記(a)乃至(c)その他の事項を踏まえ、本取引は、当社の一般株主にとって公正である。
(b)答申理由
1 本取引の是非について
(1) 本取引の目的等の概要
本特別委員会は、本取引の目的及び本取引により向上することが見込まれる当社の企業価値の具体的内容等について、山下氏及び当社に対してヒアリングを行った。それらの内容をまとめると、大要、以下のとおりである。
① 山下氏に対するヒアリング結果
当社及び連結子会社4社によって構成される当社グループは、「ALL HAPPY BY DESIGN」を経営理念とし、デザインの力で世界にHAPPYの循環を作り出し、これによって社会に貢献することを意図している。当社グループは、ディスプレイ、インテリア、建築、プロダクトから企業ブランディングの領域まで、デザインを軸に分野横断的に事業を展開しており、オフィス・商業施設・都市全体等のデザインを通じて、企業や社会の課題解決に取り組んでいる。世界におけるデザイン関連市場の拡大及びディスプレイ業の国内市場規模の拡大が見込まれる中、当社グループでは、一層の事業拡大のため、①優秀な人材の確保及び育成、②業務実施体制の高度化、並びに、③内部管理体制の拡充及びコンプライアンスの徹底の3点を対処すべき課題と認識し、対応を進めている。
山下氏としては、当社グループが今後も更なる成長を遂げ、十分なキャッシュ・フローを創出し続けるためには、中長期的な視点で経営戦略を立案し、それに基づく各種施策を積極的かつ機動的に検討・実行できる経営体制を構築することで、当社グループの企業価値の最大化を実現することのできる施策を実行することが重要であると考えており、具体的には、下記A)~C)の施策を実行することを考えている。
A) 中長期を見据えた新規案件の獲得
当社は、トップデザイナー・建築家でもある「山下泰樹」を中心に、LEADING PROJECTとして社会的に認知度の高い大型プロジェクトの実績を積み重ね、当社のブランド力向上を図り、REGULAR PROJECTの更なる獲得を目指す事業モデルの確立を推し進めてきた。さらに、当社は、同事業モデルによりREGULAR PROJECTによる実績を積み重ねることで、当社の評価や認知度を高め、より話題性の高い大型プロジェクトを獲得するといったプロジェクトのサイクルを形成し、デザイン会社として独自のポジショニングとブランド認知度を確立してきた。山下氏は、これまでの取り組みにより当社グループの知名度や信用度が向上し、大型案件も含め安定的な受注が形成できてきたと認識している一方で、当社が上場会社であり、業績の安定性を優先させるためには、プロジェクトの遅延による売上計上の期ずれやクライアントの要求変更によるプロジェクトの見直し等が生じやすい長期的なプロジェクトよりも、REGULAR PROJECTのような、短期的かつ堅実なプロジェクトにも相応の時間とリソースを割かざるを得ないことから、当社グループが持つ企画力やデザイン力といった強みを十分に発揮できていないと認識している。山下氏は、上記の成長戦略をさらに推進し、当社グループの中長期的な事業成長を図るためには、短期的なプロジェクトのみならず、LEADING PROJECTに代表される挑戦的な大型案件を獲得し、意欲的に取り組んでいくことが重要であると考えている。
B) ブランド力を向上させるための組織体制の構築と周辺領域への進出・拡大
山下氏は、山下泰樹建築デザイン研究所において、革新的なデザインを追求し大型案件や話題性の高いプロジェクトの実績を重ね、山下氏個人の知名度を国内外で高めるとともに、組織力の更なる向上を図ることで、当社グループの総合デザイン会社としてのブランド価値や収益力の向上にもつながるとの考えから、山下泰樹建築デザイン研究所と当社の二軸体制を強固に確立させるための組織体制づくりが重要であると認識している。当社が上場会社であることにより生じる有価証券報告書、適時開示等の書類作成や株主総会の開催に係る各種準備等、山下氏をはじめとする経営陣や従業員が本業以外の部分に多くの時間とリソースを割かれていたところ、山下氏は、当社を非上場化することにより、これらの時間とリソースを本業であるデザインビジネスに集中させることができるような組織体制を構築することが可能になると考えている。また、総合デザイン会社としてのブランド力を高めるため、デザイン性を追求したハイクラスの家具・インテリア小物のデザイン・開発を手掛けるブランド「DAFT about DRAFT」や既存物件のリノベーションから維持管理までを手掛ける新規クリエーション事業「Re-Design Project」など、デザイン周辺領域への進出・拡大を推進することで、当社グループのブランド力を向上させつつ、業績の拡大にも繋げ、当社グループの成長をさらに加速させることが可能になると考えている。
C) 海外展開の強化
山下氏は、当社グループについて、日本国内では安定的に案件を獲得できているものの、今後の当社グループの更なる収益拡大を実現するためには、海外市場の獲得が必要であると認識している。しかしながら、現在当社グループは、3D制作といった一部の業務をセブやベオグラードに置く海外拠点で手掛けることはあるものの、現地市場に向けた営業活動やブランド展開といった海外進出に向けた各種取り組みの推進までは至っていない状況であり、山下氏としては、海外展開の基盤形成が重要な課題となっているものと認識している。そこで、山下氏は、2025年秋頃を目途に、ロンドンに当社グループの活動拠点を立ち上げることも視野に入れ、世界的に市場規模が拡大しているデザイン市場の中でも、特に当社グループの事業の中心である空間デザイン領域における海外展開の足掛かりを築き、ヨーロッパ圏における協業パートナーや人材の獲得などコネクション強化や海外案件の獲得を図り、今後、海外における当社グループのブランド認知度と競争力を早期に高めていくことを目指している。成長が続く海外のデザイン市場に早期に参入し、上記の取り組みを推進させるためには、迅速な意思決定と目先の利益にとらわれない強力な実行力が求められるところ、当社の非上場化により、山下氏を含む経営陣による円滑な意思決定が図れるようになり、また、海外展開をはじめとした短期的な業績にとらわれない中長期的な目線での取り組みを実行することが可能になると考えている。
一方で、上記の各施策を具体的に検討する過程で、2024年11月、山下氏は、かかる施策は中長期的に見れば当社グループの事業の成長及び収益の安定化が見込まれるものの、周辺領域への進出や海外展開等の施策は長期的かつ将来的な取り組みを伴うものであり、直ちに当社グループの利益に貢献するものではなく、営業基盤の構築に相応の時間を要するほか、営業拠点の立ち上げや人材の確保等による多額の先行投資等、経営資源の集中的な投下が必要になると考えるようになり、短期的には当社グループの利益水準の低下やキャッシュ・フローの悪化等、一時的に当社グループの財務状況や業績に大きな影響が生じる可能性や、当社グループが期待される利益を生み出すことが一時的に困難となる可能性も否定できないと考えるようになった。
また、山下氏は、当社が上場企業である以上、短期的な業績に対してコミットメントが求められる中、これらの中長期的な成長を目指す施策を優先的に実行した場合には、資本市場からの十分な評価を得ることができず、当社株式の市場株価に悪影響を及ぼす等の不利益を当社の株主の皆様に与える可能性があるため、当社の上場を維持したまま、これらの施策を実行することは困難であると考えるようになった。同時に、山下氏は、当社グループが直面する空間デザイン業界を取り巻く事業環境(世界におけるデザイン関連市場は、2028年には5.9兆ドル(約839兆円)まで成長すると見込まれており、同市場の約30%強を占める建築デザイン・技術コンサル分野は、2028年には262兆円まで拡大すると予想されている。)や、空間デザイン市場という市場において激化する競争環境下で勝ち抜くためには、可及的速やかにこれらの施策を実施するべきであると強く認識するようになった。
加えて、近年のコーポレートガバナンス・コードの改訂、資本市場に対する規制強化により、有価証券報告書やコーポレート・ガバナンスに関する報告書等を通じたステークホルダーに対する追加的かつ継続的な情報開示のための対応事項は年々増加しており、上場会社として株式上場を維持するために必要な人的・金銭的コストの負担は増加傾向にあり、山下氏としては、当社株式の上場を維持するためのこれらのコストが、当社の経営推進上の大きな負担となる可能性も否定できないことから、当社株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあるとの考えに至った。
また、山下氏としては、当社が2020年3月に東京証券取引所マザーズ市場に株式上場して以来、知名度やブランド力、社会的信用力の向上等の上場メリットを享受してきた一方で、エクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は当面見込まれていないこと、一定のブランド力やクライアントに対する信用力は十分に確保できていると考えていること、金融機関との間で良好な関係を築けていること等から、現在では当社が上場を維持する必要性やメリットは相対的に低下していると考えるに至った。
上記を踏まえ、山下氏は、2025年1月、今後も当社株式の上場を維持することのメリット、デメリット等を慎重に検討した結果、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社を完全子会社化することが、当社の株主の皆様に対して発生する可能性がある上記の悪影響やリスクを回避するとともに、中長期的な視点から抜本的かつ機動的な経営戦略を迅速に実行し、当社グループの企業価値を向上させるために最も有効な手段であるとの判断に至った。
② 当社に対するヒアリング結果
当社としても、A)中長期を見据えた新規案件の獲得、B)ブランド力を向上させるための組織体制の構築と周辺領域への進出・拡大、C)海外展開の強化といった施策は、当社の今後の成長を考えたときに重点的に取り組むべき重要な戦略と位置付けている。これらの施策は、当社の中長期的な企業価値の向上に資するものであると考えている。
しかしながら、上記の各施策は、中長期的に見れば当社の企業価値向上が期待されるものの即時に当社の業績に貢献できるものではなく、その実現に向けて相当の期間を要することが想定されるほか、当社の限られた人的資源を新たな事業分野に投入することはもちろん、既存事業に関しても抜本的な改革等には各種の先行投資が発生することから、一時的に利益及びキャッシュ・フローが悪化する可能性は否定できず、短期的には当社の業績や財務状況に悪影響を与えるリスクがあり、資本市場から十分な評価が得られず、当社の株主の皆様に対して、当社株式の市場株価の下落といった不利益を与えるおそれが懸念されると考えている。例えば、A)中長期を見据えた新規案件の獲得については、LEADING PROJECTを中心とした大型案件への取り組みは、企画から収益化までに時間を要することから、収益の安定性を重視する上場会社としては積極的な推進が難しく、またB)ブランド力を向上させるための組織体制の構築と周辺領域への進出・拡大については、山下泰樹建築デザイン研究所との二軸体制の強化や家具・インテリアブランド等の周辺領域への展開に際して初期投資や人材投入を要するため、短期的な収益性との両立が困難と考えている。さらに、C)海外展開の強化については、ロンドン拠点の設立を視野に入れた海外展開が、収益化までの時間やリスクを伴うことから、株主の理解を得ることが難しく、資本市場から十分な評価が得られない可能性があると考えており、いずれの施策も当社株式の上場を維持したまま各施策を実施することは慎重な判断が求められる状況であると考えている。
また、山下氏は当社の事業内容を熟知していること、これまで当社を牽引してきた実績があること、「山下泰樹」がブランドの1つとして確立し、指名での受注案件も確保していることを踏まえれば、山下氏がマネジメント・バイアウト(MBO)の手法によって引き続き当社の経営陣の立場であり続けること、すなわち山下氏が所有と経営の双方を担うことに十分な合理性があると判断している。
なお、上場廃止に伴うデメリットとしては、資本市場から資金調達を行うことができなくなることのほか、知名度や社会的信用の向上といった上場会社として享受してきたメリットを享受できなくなることが一般的に挙げられるが、当社としては、金融機関との間で良好な関係を築けていることや、これまでの事業活動を通じて知名度や社会的信用は既に確立していると考えられることから、当社株式の上場廃止による特段のデメリットは想定していない。加えて、マネジメント・バイアウト(MBO)に際して借入金が増加して、一般的には資金調達余力が一定低下することが懸念される場合があるが、無担保での借入は実務上可能であり、本取引を通じて資金調達の柔軟性を失うものではないと判断している。
本特別委員会は、上記の当社を巡る経営環境その他の事項の具体的な内容の当否・合理性、本取引が当社の従業員や取引先等に与える影響、及びこれらを踏まえた当社の企業価値向上の可能性等について、詳細な検討を実施した。すなわち、現在当社の置かれた経営環境の中、山下氏がいかなる企業価値向上の施策案を構想し、それがどの程度具体的で実践的か、それを実行に移すために本取引を実施する必要性はあるのか、本取引の実施が当社の事業上どのようなメリットをもたらし、他方でデメリットの有無、程度はどのように想定されるか等を含めて、総合的に検討を行った。
その結果、上記(1)に記載の山下氏及び当社が想定している本公開買付けを含む本取引の意義及び目的には、著しく不合理な点はなく、合理的な検討の結果と認められ、また、山下氏が想定している各施策を実現する必要があるとの当社の判断に特段不合理な点は認められないことから、本取引は当社の企業価値向上を目的として行われるものであり、それ故に、本公開買付けにおいては、当社の中長期的な成長可能性を見込んだプレミアムを付すことが可能になり、当社の株主の皆様に対して、合理的な条件の下で保有する株式を本公開買付けに応募するか否かを検討する機会を提供することができると判断するに至った。
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引は当社の企業価値向上に資すると認められる(すなわち「是」である。)と判断するに至った。
2 本取引の取引条件の公正性について
当社が、公開買付関連当事者から取得した本株式価値算定書によれば、当社株式の1株当たりの株式価値は、市場株価平均法によると532円~545円、類似会社比較法によると457円~716円、DCF法によると679円~970円とされている。
本特別委員会は、FMIから株式価値評価に用いられた算定方法等について詳細な説明を受けるとともに、FMI及び当社に対して、評価手法の選択やDCF法の算定の基礎となる当社の事業計画の作成経緯及び内容(フリー・キャッシュ・フローの増減の理由及び背景を含む。)、割引率の算定根拠(小規模リスクプレミアムを考慮することの合理性及びその水準の妥当性を含む。)、継続価値の算定根拠等に関する質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。
そして、本公開買付価格は、本株式価値算定書の市場株価平均法及び類似会社比較法による算定結果の上限値を超える金額であり、また、DCF法に基づく算定結果のレンジの範囲内の金額である。
本公開買付価格(750円)は、本取引の公表予定日の前営業日(2025年8月13日)のグロース市場における当社株式の終値569円に対して31.81%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、市場株価に対するプレミアムの数値(%)において同様とする。)、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値545円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同様とする。)に対して37.61%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値532円に対して40.98%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値540円に対して38.89%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であり、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降、2025年8月13日までの間に公表され成立した非公開化を目的としたマネジメント・バイアウト(MBO)事例88件における、公表日前営業日の終値、並びに直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値(順に42.33%、45.18%、46.01%、48.57%)と比較すると、やや見劣りするものの、これらを大きく下回るものではなく、公表日前営業日の終値に対するプレミアムについても本公開買付価格と同等程度又はそれ以下のプレミアムが付されていた事例も相当数存在することから、本公開買付価格には合理的なプレミアムが付されているものと評価できる。
2020年3月17日の当社株式の上場から約5年半経過した時点において本取引が検討されていることに照らし、当社の上場直後の時期から当社株式を所有している少数株主の利益についても検討すると、当社株式の上場当時の公募価格である1,580円(2020年12月15日付で行われた当社株式1株につき2株の割合による株式分割を考慮後の公募価格は790円)に対し、その後2020年12月4日に最高値3,365円(2020年12月15日付で行われた当社株式1株につき2株の割合による株式分割を考慮後の最高値は1,683円)を記録するなど、上記公募価格を上回る株価形成もされており、上場時の株主の利益の確保を行う機会は存在していたと評価できる。一方で、当社の株価は上場後約半年経過後から上場後約1年半経過後の期間が最も高く、直近6ヶ月間の最高値は639円であること、当社の株価推移及び上記(1)及び(2)並びに下記(4)等に鑑みると、本公開買付価格は、山下氏との交渉の結果、当社の少数株主に対して適切なプレミアムを付した価格での当社株式の売却機会を提供するものであり、本株式価値算定書におけるFMIによる当社株式の価値算定結果及び同種事例のプレミアム水準に鑑みても、本取引を通じた少数株主の利益の確保についても一定程度配慮がなされていると評価できる。
また、本公開買付価格は、2021年12月21日付で行われた公募による新株式発行時の発行価格である708円を上回る価格である。
本特別委員会は、本公開買付価格について、一般株主の利益保護の観点からその公正性を確保するための実質的な協議・交渉を山下氏との間で複数回にわたって行っている。
具体的には、当社は、2025年7月14日、山下氏より、本公開買付価格を675円(提案日の前営業日である2025年7月11日のグロース市場における当社株式の終値519円に対して30.06%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値515円に対して31.07%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値533円に対して26.64%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値549円に対して22.95%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の初回の価格提案を受けた。これに対して、本特別委員会は、2025年7月16日、山下氏に対して、(a)本公開買付価格に係る当該提案価格は、当社の少数株主にとって十分な価格として議論を進めるに値する水準を大きく下回るものであることを理由に本公開買付価格を再検討するよう要請する旨、(b)本新株予約権の買付け等の価格については、改めて検討結果を連絡する旨の回答を行った。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年7月22日、山下氏より、本公開買付価格を690円(提案日の前営業日である2025年7月18日のグロース市場における当社株式の終値540円に対して27.78%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値516円に対して33.72%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値533円に対して29.46%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値547円に対して26.14%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を受けた。これに対して、本特別委員会は、2025年7月23日、山下氏に対して、本公開買付価格に係る当該提案価格は、当社の本事業計画に基づいて当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるFMIが試算した株式価値等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格として議論を進めるに値する水準を大きく下回るものであること、(b)本公開買付価格を900円にて再検討するよう要請する旨、(c)本新株予約権の買付け等の価格については、改めて検討結果を連絡する旨の回答を行った。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年7月25日、山下氏より、本公開買付価格を695円(提案日の前営業日である2025年7月24日のグロース市場における当社株式の終値538円に対して29.18%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値520円に対して33.65%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値532円に対して30.64%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値546円に対して27.29%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を受けた。これに対して、本特別委員会は、2025年7月29日、山下氏に対して、本公開買付価格に係る当該提案価格は、本事業計画に基づいてFMIが試算した株式価値及び過去に行われた公開買付けを通じたマネジメント・バイアウト(MBO)において買付け等の価格に付与されたプレミアムの水準等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格とは言い難いこと、(b)本公開買付価格を845円にて再検討するよう要請する旨の回答を、本特別委員会による検討内容の根拠及び背景の説明とともに行った。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年7月31日、山下氏より、本公開買付価格を720円(提案日の前営業日である2025年7月30日のグロース市場における当社株式の終値536円に対して34.33%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値524円に対して37.40%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値532円に対して35.34%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値544円に対して32.35%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を受けた。これに対して、本特別委員会は、2025年8月3日、山下氏に対して、本公開買付価格に係る当該提案価格は、本事業計画に基づいてFMIが試算した株式価値及び過去に行われた公開買付けを通じたマネジメント・バイアウト(MBO)において買付け等の価格に付与されたプレミアムの水準等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格とは言い難いこと、(b)本公開買付価格を794円にて再検討するよう要請する旨の回答を、本特別委員会として参照すべきと考える期間及び対象取引の条件等についての説明とともに行った。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年8月4日、山下氏より、本公開買付価格を730円(提案日の前営業日である2025年8月1日のグロース市場における当社株式の終値549円に対して32.97%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値526円に対して38.78%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値532円に対して37.22%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値543円に対して34.44%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を受けた。これに対して、本特別委員会は、2025年8月6日、山下氏に対して、本公開買付価格に係る当該提案価格は、本事業計画に基づいてFMIが試算した株式価値、過去に行われた公開買付けを通じたマネジメント・バイアウト(MBO)において買付け等の価格に付与されたプレミアムの水準及び当社のIPO価格等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格とは言い難いこと、(b)本公開買付価格を766円にて再検討するよう要請する旨の回答を行った。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年8月7日、山下氏より、本公開買付価格を740円(提案日の前営業日である2025年8月6日のグロース市場における当社株式の終値565円に対して30.97%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値534円に対して38.58%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値533円に対して38.84%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値542円に対して36.53%のプレミアムを加えた価格)、本新株予約権買付価格をいずれも1円とする旨の価格提案を、提示できる最大額であるとして受けた。これに対して、本特別委員会は、2025年8月7日、山下氏に対して、本公開買付価格に係る当該提案価格は、本事業計画に基づいてFMIが試算した株式価値、過去に行われた公開買付けを通じたマネジメント・バイアウト(MBO)において買付け等の価格に付与されたプレミアムの水準、当社のIPO価格及び直近の当社の市場株価の上昇傾向等を勘案し検討した結果、(a)依然として当社の少数株主にとって十分な価格とは言い難いこと、(b)本公開買付価格を758円にて再検討するよう要請する旨の回答を、最終段階の提示として行った。また、本新株予約権買付価格については、いずれも1円とする旨の価格提案を内諾する旨の回答を行った。
その後、当社及び本特別委員会は、2025年8月12日、山下氏より、本公開買付価格を750円(提案日の前営業日である2025年8月8日のグロース市場における当社株式の終値566円に対して32.51%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値539円に対して39.15%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値533円に対して40.71%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値542円に対して38.38%のプレミアムを加えた価格)とする旨の価格提案を受けた。これに対して、本特別委員会は、本答申書記載の各検討等の結果、2025年8月12日、山下氏に対して、2025年8月14日に開催される当社取締役会決議による承認及び当社株式の市場株価を含む市場・経済環境等が大きく変動しないことを前提として、本公開買付価格を750円とすることに内諾する旨を連絡した。
以上の交渉の結果として、750円という本公開買付価格の決定に至るまでには、当社株式1株当たり675円とする山下氏の当初の提案より、75円の価格引上げを引き出している。
本公開買付けに応募しなかった一般株主(公開買付者及びTDAを除く。)は、本公開買付けの後に実施される予定の非公開化の手続において、最終的に金銭が交付されることになるところ、当該手続において交付される金銭の額については、本公開買付価格に株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定される予定である旨が、プレスリリース等で明示される予定である。
本新株予約権は、いずれも当社の取締役又は従業員に対してストックオプションとして発行されたもので、権利行使の条件として当社、当社子会社又は当社関連会社の取締役又は使用人の地位にあることを要するとされており、公開買付者が本新株予約権を取得したとしてもこれらを行使することができないと解されることから、公開買付者は、本公開買付けにおける本新株予約権買付価格をいずれも1円と決定している。
上記のとおり、本新株予約権は、公開買付者の立場からすれば、本新株予約権を取得したとしてもこれらを行使することができないものと解される上、本新株予約権は、公開買付期間に行使可能であり、かつ、本新株予約権の行使時の当社株式1株当たりの払込金額はいずれも本公開買付価格を下回っているため、本新株予約権の所有者としては、本新株予約権を行使して当社株式に転換した上で本公開買付けに応募することができることから、本新株予約権買付価格が1円とされていることが不合理であるとはいえない。
本公開買付けの成立後に実施される本株式併合)の効力発生後、当社による本不応募合意株式の本自己株式取得を行うことが予定されているところ、本自己株式取得の取得価格(本株式併合前の当社株式1株当たり561円)は、(i)法人税法(昭和40年法律第34号、その後の改正を含む。)に定めるみなし配当の益金不算入制度が適用される法人であるTDAが本自己株式取得に応じた場合の税引後手取り額として計算される金額が、(ⅱ)仮にTDAが本公開買付けに応募した場合の税引後手取り額として計算される金額と同様となるよう設定される予定であり、TDAと当社の一般株主との間で不平等は生じない。
本自己株式取得の完了を条件として、公開買付者を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とし、公開買付者の株式を対価として行われる本株式交換が行われる予定であるところ、本株式交換の株式交換比率は現状未定であるが、当該比率を定めるに当たっては、公開買付価格の均一性規制(金融商品取引法第27条の2第3項)の趣旨に反しないよう、当社株式の価値は、本公開買付価格と実質的に同額で評価する予定である。
本取引の対価は現金であることが予定されているところ、公開買付者が非上場会社であることを踏まえると、本取引において、流動性が乏しい公開買付者の株式を対価とするのではなく、金銭を対価とすることは公正であるといえる。
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引の取引条件は公正であると判断するに至った。
3 本取引の手続の公正性について
当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、当社における本取引の検討において構造的な利益相反状態が生じ得ること等に鑑み、本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2025年4月18日付の取締役会決議により、公開買付関連当事者及び本取引の成否から独立した結城大輔氏(当社社外取締役・弁護士・米国ニューヨーク州弁護士・公認不正検査士)、田島祥朗氏(当社社外取締役(常勤監査等委員)・公認会計士)、大村尚子氏(当社社外取締役(監査等委員)・公認会計士)、三代まり子氏(当社社外取締役(監査等委員)・米国カリフォルニア州公認会計士)の4名によって構成される本特別委員会を設置し、本取引に係る決定を行うに際しては、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引について公正でないと判断した場合には、本取引を行う旨の意思決定は行わないこととしている。
本特別委員会の委員の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれていない。
当社が本取引について検討するにあたっては、公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるFMI並びにリーガル・アドバイザーであるTMIから助言・意見等を得ながら、当社の企業価値の向上ひいては株主共同の利益の観点から、本公開買付価格を始めとする本公開買付けの買付条件の公正性及び本取引の一連の手続の公正性といった点について慎重に検討及び協議を行っている。
本特別委員会は、FMI及びTMIの独立性及び専門性に問題がないことを確認し、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関並びにリーガル・アドバイザーとして承認している。また、本特別委員会としても、必要に応じてFMI及びTMIから専門的助言を受けることができることを確認し、現に助言・意見等を得ている。
本特別委員会は、当社取締役会から山下氏と直接協議・交渉を行う権限を付与され、当該権限に基づき、上記2(4)のとおり、山下氏との間で複数回にわたる価格交渉を行うなど、山下氏との間の協議・交渉は、本特別委員会が交渉過程に実際に関与する形で行われている。
当社を代表して本取引を検討・交渉する取締役には、本取引に特別な利害関係を有する者は含まれておらず、その他、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程で、公開買付者、山下氏、TDAその他の本取引に特別な利害関係を有する者が当社側に不当な影響を与えたことを推認させる事実は存在しない。
本取引においては、積極的なマーケット・チェックが実施されていないが、以下の理由により、積極的なマーケット・チェックを実施する意義が大きくないものと考えられる。
まず、公開買付者は、公開買付期間が法令に定められた最短期間(20営業日)よりも長期である30営業日に設定される予定であり、公開買付期間を法定最短期間に照らして比較的長期に設定することにより、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について公開買付者以外の者(以下「対抗的買収提案者」という。)にも対抗的な買付け等を行う機会を確保している。
また、公開買付者と当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っていない。
また、本取引においては、現時点における山下氏及びTDAの当社株式の所有割合(51.20%)を踏まえると、上記のとおり、積極的なマーケット・チェックを実施する意義は大きくないものと考えられる。
本公開買付けにおいては、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」に相当する買付予定数の下限は設定されていない。マジョリティ・オブ・マイノリティに相当する買付予定数の下限の設定は、公開買付けの強圧性を排除し、一般株主の判断機会を重視するための制度として有益と評価される。もっとも、山下氏によれば、仮にマジョリティ・オブ・マイノリティに相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の一般株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、同条件の設定をしていないとのことであり、かかる理由には一定の合理性が認められることに加え、上記(1)乃至(5)及び下記(7)に記載のとおり、本取引においては、他の公正性担保措置が講じられており、公正な手続を通じて当社の一般株主の利益への十分な配慮がなされていることに照らせば、本公開買付けにおいて、同条件が設定されていなくても、本取引の条件の公正性が否定されるものではないと考えられる。
本取引においては、本公開買付けが成立した場合に、その後に実施される予定の本株式併合について、公開買付者が提出する公開買付届出書、当社が公表するプレスリリース等において、十分な開示がなされることが予定されている。
株式併合は、本取引に反対する株主に対する株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されるスキームであり、本株式併合を行うにあたり、本公開買付けに応募しなかった当社の株主に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう本株式併合により生じる端数の合計数の売却代金が算定される予定である旨が、プレスリリース等で明示される予定であると認められ、本公開買付けに応募することの強圧性が低減される適切な措置が採られているといえる。
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引においては取引条件の公正さを担保するための手続が十分に講じられており、本取引の手続は公正であると判断するに至った。
4 本取引が一般株主にとって公正であるか否かについて
本特別委員会の審議においてその他当社の一般株主に特段の悪影響を及ぼす事象は確認されておらず、上記1乃至3記載の事項等を踏まえて、本取引が当社の一般株主に及ぼす影響を慎重に検討した結果、本取引は、当社の一般株主にとって公正であると判断するに至った。
当社は、FMIから取得した本株式価値算定書、TMI総合法律事務所からの法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の諸条件について慎重に協議及び検討を行いました。その結果、当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値の向上が見込まれるとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって公正であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2025年8月14日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役6名のうち山下泰樹氏を除く5名)の全員一致で、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨すること、及び、本新株予約権者の皆様に対しては、本新株予約権買付価格が1円と決定されていることから、本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねることを決議いたしました。
また、当社の取締役のうち山下氏は公開買付者の代表取締役であり、本公開買付け終了後も継続して当社の経営にあたることが予定されていることから、利益相反の疑義を回避する観点から、当社取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議及び決議には一切参加しておらず、また、本取引に関し、当社の立場において公開買付者及びTDAとの協議及び交渉にも一切参加しておりません。
当社は、本取引における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題に対応し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、本取引の公正性、透明性及び客観性を担保するために、公開買付者、山下氏及びTDAから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、当社は、2025年4月17日付で当初意向表明書を受領して以降、利益相反の疑義を回避する観点から、当社と山下氏との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉及び当社内部における検討過程において、公開買付者の株主若しくは役職員を兼務する者又はこれらの者と親族関係にある者を関与させないこととし、これらの者に該当しない経営企画部ゼネラルマネージャー3名、同部企画部マネージャー1名及び同企画部・法務担当1名の合計5名からなる社内検討体制を構築いたしております。
公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定しております。このように公開買付期間を法定最短期間に照らして比較的長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付けの公正性を担保することを企図しているとのことです。
また、公開買付者と当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、上記公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。
本不応募契約
公開買付者は、本公開買付けに関し、2025年8月14日付で、TDAとの間で本不応募契約を締結しているとのことです。本不応募契約の内容は以下のとおりとのことです。なお、本書提出日現在、公開買付者とTDAとの間で、本不応募契約以外に、本取引に係る合意をしておらず、本株式併合により本不応募合意株式に1株未満の端数が生じる場合における当該端数の売却代金、本自己株式取得の対価及び本株式交換により交付される公開買付者の株式以外に、本取引に関して公開買付者又は当社からTDAに対して供与される利益は存在しないとのことです(なお、本自己株式取得の取得価格及び本株式交換の株式交換比率については、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」の注4及び注5を参照ください。)。
TDAは、本不応募合意株式(5,165,000株)全てについて本公開買付けに応募しない旨を合意しているとのことです。
また、TDAは、本不応募契約に定める場合又は公開買付者の事前の書面による承諾がある場合を除き、本不応募合意株式の全部又は一部について、譲渡、担保権の設定その他一切の処分(本公開買付け以外の公開買付けへの応募を含む。)を行わない旨を合意しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けの成立後に予定されている、当社の株主を公開買付者及びTDAのみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)の一環として、本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請する旨合意しており、公開買付者及びTDAは、本臨時株主総会において、本臨時株主総会の基準日時点で所有する当社株式の全部について、当該議案に賛成の議決権を行使するとともに、本スクイーズアウト手続の実施に必要な協力を行う旨を合意しているとのことです。
また、TDA及び公開買付者は、本公開買付けの決済後において、公開買付者が保有する当社株式の数と同数以上の当社株式を保有する株主(TDAを除きます。以下「多数保有株主」といいます。)が存在し、又は多数保有株主が生ずることが見込まれる場合には、法令等上可能な範囲で、本スクイーズアウト手続により当社の株主をTDA及び公開買付者のみとするために必要な手続を実施することを合意しているとのことです。
公開買付者及びTDAは、本株式併合の効力発生日以降、実務上合理的に可能な限り速やかに、本自己株式取得を実施すること、及び本自己株式取得に係る資金を確保するために必要な場合には、公開買付者から当社に対する資金提供(公開買付者を引受人とする第三者割当増資若しくは当社に対する貸付け、又はその両方によります。)を行うことを合意しているとのことです。
また、公開買付者及びTDAは、本自己株式取得の実行後、実務上合理的に可能な限り速やかに、本株式交換を実施することを合意しているとのことです。
4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】
(注1) 役名、職名、所有株式数及び議決権の数は、本書提出日現在のものです。
5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】
6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】
7 【公開買付者に対する質問】
8 【公開買付期間の延長請求】
以上