(1)経営方針
人間と物があらゆる情報とつながり始めたこの世界において、高機能汎用技術である半導体レーザ技術の有用性はますます高まってきております。当社は「人の可能性を照らせ。」という経営理念のもとに、世界の人々の生活を安全で豊かなものにし、幸福と平和に貢献する企業を目指すことを経営方針としております。
経営方針に基づく重点施策として下記の5点を掲げております。
● 業界をリードする新製品の開発と安定量産化
● 納期遵守による顧客満足度の向上
● 顧客要求を充足する信頼性の確立
● 製品検査レベルでの品質向上
● 従業員の継続的スキル向上
当社の属する「半導体レーザ」業界の経営環境は、世界的にもニーズが高まり光通信・インターコネクト、ディスプレイ、バイオセンサ、スマートフォン顔認証、自動運転レーダ、精密加工、プリンタ、照明等、順調に市場は伸長しております。その市場の中でシェアを獲得するために以下のような経営戦略を立案し、推進しております。
自社内においては半導体レーザの最も要となるデバイス設計、結晶成長と完成品の評価のみを行い、それ以外の工程は協力会社の生産ラインにて行っております。このため、生産設備保有による固定費や資金流出が抑えられるとともに、需要の変動に柔軟に対応した生産を行うことが可能となり、低コストで顧客満足度の高い生産体制を実現しております。
532nmから1064nm、1310nmまでの幅広い波長領域をカバーする製品をラインナップしております。これにより、通信機器、精密加工装置、生命科学機器、計測センサ機器、ディスプレイ機器等の多様なアプリケーションに対応する製品を開発、量産することが可能となっております。
光通信とインターコネクトに用いられる波長1300nmにおいて、量子ドットレーザの量産技術を有しております。この量子ドットは、高温度動作(200℃以上)、温度安定動作(-40℃から125℃)、極低ノイズ特性(既存光通信デバイスと比較して)によって、シリコンフォトニクス光源として適しており、シリコンフォトニクスによる高速光デバイスの超小型化・低消費電力化が期待されます。現時点で、世界のシリコンフォトニクスベンダー各社とシリコン融合量子ドットレーザの共同開発を進めており、光コネクタ、チップ間インターコネクトへの適用が検討されております。また、シリコンフォトニクスと量子ドットデバイスを組合せてロボティクス、セキュリティ、自動運転用のLiDAR用光源の共同開発も行っております。
5G時代の到来で世界規模のデータ量増加とそれに伴う消費電力の増加が見込まれ、世界のデータ総量は2018年33ZBが2025年175ZB、消費電力は2016年1,170TWhが2030年42,300TWhと予測されていることが、シリコンフォトニクスが求められる背景です。(IDC「Worldwide Global DataSphere IoT Device and Data Forecast」、国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センター「情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響」より抜粋)
「人の可能性を照らせ。」を具現化するため、従来の部品事業にとどまらず、半導体レーザの可能性を具現化する消費者向け製品事業を展開しております。そのひとつが、網膜走査型レーザアイウェアであります。この装置は人間の水晶体のピント調整能力に依らず、またピント調整位置に依らず、鮮明な画像を網膜に描画できる、フリーフォーカスと拡張現実という画期的な特徴を有しております。現在、民生用、医療用網膜走査型レーザアイウェアの生産販売を開始しており、2022年度には様々な使用シーンに向けた3つの新しいレーザ網膜投影機器の上市を目指します。そのうちの1つである「MEOCHECK」は、自身の見え方やその変化を手軽に把握する事ができる全く新しいデバイスです。これまでのハード販売に加え、ソフトウエアを含めたソリューションとして市場に訴求してまいります。今後も世の中に光の可能性を提案する製品開発を行ってまいります。
網膜走査型レーザアイウェアのピント合わせ不要という画期的な特徴を眼科医療機器に展開し、ロービジョンの方の生活の質の向上と就学、就業機会を実現する視覚型ロービジョン支援機と、眼疾患の早期発見が可能な新しい検眼機を目指して製品開発を進めております。視覚型ロービジョン支援機では、日本における医療機器としての臨床試験は2018年10月に終了し、2019年2月に製造販売承認申請を行い、2020年1月に国内医療機器製造販売承認を取得、2021年3月に網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA® メディカル」を販売開始しました。また、フルカラー眼底撮影装置や、見え方と眼底画像の関係を一台の装置で同時に簡便に検査できる新しい検眼機を、医療機器メーカと受託型で共同開発しています。
網膜走査型レーザアイウェアの民生品展開は、網膜走査技術の市場認知と普及、製品低コスト化の両面で医療機器への波及効果が期待できるとともに、民生品自体も作業支援やエンターテインメント等の分野において大きな潜在需要を見込んでおります。
企業価値を継続的に向上させるためには利益の確保が重要であることから、当社は売上高総利益率を最も重要な経営指標として採用しております。現時点では数値目標を定めておりませんが、今後、業界動向及び当社の業績の推移、特にレーザアイウェア事業の立ち上がり等を勘案し、早期に数値目標を決定する予定です。事業別の指標としては、レーザデバイス事業は認定顧客数の毎年20%増加とし、レーザアイウェア事業は累計販売10万台・年間生産5万台と定めております。
当社の成長エンジンである網膜走査型レーザアイウェア事業を進めていく中で、民生用「RETISSA® DisplayⅡ」においては販売代理店とEコマースサイトを通した国内外販路の拡充、開発締結先と連携したユーザビリティ向上と低コスト化を進めます。
国内販売につきましては、盲学校や展示会でのデモンストレーションに加え、当事者が所属する団体など様々な体験会を通じ、製品自体に実際に触れていただくことで当事者及びその家族への認知拡大を図り、さらにSNS等を通じて積極的に発信してまいります。また当事者が購入しやすい環境作りを行うべく地方自治体の日常生活用具助成金給付事業への登録申請活動を進めており、そのスピードを加速してまいります。
米国向けにはEコマースサイトを刷新し、お客様がネットで簡単に購入できる体制を整えました。今後は購入希望者が見たい情報(動画)を簡単に得られ、購入に直結できるよう拡販活動を行ってまいります。
中国については、コロナによるロックダウンにより活動が停滞しておりますが、解除され次第、これまでの代理店に加え、新たな代理店とともに拡販を行ってまいります。
韓国につきましては、韓国向け製品を出荷しました。補助金対象として認められるよう代理店と協力して活動を推進してまいります。
医療用「RETISSA®メディカル」においては医療業界提携先と連携した眼科医会への浸透を図るため、医師向け説明文書を整備し、眼科医への展開をスムーズに行ってまいります。
②検眼機及び検眼サービスの製品化・事業化
レーザ網膜投影技術を活用した新しい検眼機及びサービスのスキームについて、提携先と上市に向けて原理検証・試作、サービス体制の構築を進め、事業化の道筋を明確にしてまいります。
加工、センサ領域では、既存製品の受注継続と拡大、新規品開発と製品化、高付加価値モジュールの製品化を進め、年率25%の安定的な事業成長を図ります。通信、LiDAR向けシリコンフォトニクス用量子ドットレーザについては、国内外の顧客からの受託開発と低コスト量産化を進め、2024年3月期以降の本格量産への準備を行い、量子ドットレーザ事業の強化を図ってまいります。
市場・業界・顧客分析、及び、分析に基づく戦略的営業活動をさらに充実させるとともに、従来の定期的な顧客訪問、展示会の有効活用、国内外代理店との密な連携、企業パイプラインの強化と複線化、ウェブサイトの充実、Eコマースサイト活用を継続して、売上増大と利益確保を図ります。また、製品開発、研究開発基盤とマーケティングを連動させ、新製品開発力の強化を図ってまいります。
チップ作製、モジュールアッセンブリ、レーザアイウェア生産提携先と、将来ビジョン、年間計画、各案件のスケジュール連携、結果のフィードバック、定期的な訪問、打合せ等を行い、より一層の関係強化を図ってまいります。
高品質、高性能な製品を市場に供給し顧客満足度を継続して向上できるようISOに準拠した製品開発を行っていきます。また、顧客の性能、品質、価格、納期へのご要求に常に耳を傾け、開発・生産・営業が一体となりスピーディーに対応できる体制の継続的改善を行っていきます。
開示書類の早期作成、業務プロセスの改善、内部管理体制の強化を継続的に推進するとともに、株主とのコミュニケーションを強化し、株主満足度の高いIR体制を構築してまいります。
当社を取り巻く市場環境及び事業の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のとおりであります。なお、以下の各事項は、本書提出日現在において、当社が把握している情報等から判断可能なものについて記載したものであります。
(1) 事業環境に関するリスク
当社が参入しているレーザ関連市場は、既存技術の代替や新分野への活用等にて今後の成長、拡大が大きく見込める市場でありますが、今後の更なる技術革新、最先端技術の変化により、レーザに代わる廉価且つ大量生産可能な代替品が市場投入された場合、レーザ関連市場が縮小する可能性があり、その場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社が参入しているレーザ関連市場は、精密加工装置やバイオ系検査装置等の産業用、医療用機器向けを中心に成長傾向は継続するものと見込んでおりますが、国内外の経済情勢や景気動向、それに伴う設備投資意欲の減退等の理由により、市場の成長が鈍化する可能性があり、その場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 開発受託業務について
当社が展開している開発受託業務は、当社の先端基盤技術に基づくもので、開発費と利益の獲得、基盤技術の高度化、知財の蓄積、新規発想の具現化、新アプリケーション創造と市場の開拓、受託先の量産展開力の活用等、当社の利益に資する重要なビジネスモデルであり、今後も幅広く展開していく方針ですが、受託先の経営方針の変更や経営状態の悪化等により、受注が減少する可能性があり、その場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
④ レーザアイウェア販売における他社との提携について
レーザアイウェア事業における民生機器は、直販に加え、眼鏡店等との販売代理店を経由しエンドユーザーに販売、または当社からモジュールを提供し、各企業が製品化して販売いたします。
具体的には株式会社シード、株式会社東京メガネ、カシオ計算機株式会社及び加賀FEI株式会社等、国内外販売代理店とは、各社の製品、サービスと当社製品をタイアップしたプロモーション活動を図ってまいります。また、医療機器は参天製薬株式会社と販売支援に関する契約を締結し、普及に努めてまいります。
各企業の販売目標を目安に製品の製造、販売計画を作成しておりますが、当初の目標台数よりも販売できない場合、各社の事業方針に変更等があった場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社は、国内だけでなく、海外とも仕入及び販売取引を行っております。為替の変動については、十分なリスクヘッジ策を行っておりますが、今後、想定外の為替変動が発生した場合、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社の事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレーム等の問題が発生した事実はなく、現時点において、当社の事業に関し、他社が保有する特許権等への侵害により、事業に重大な支障をきたす可能性は低いものと認識しております。また、技術調査等を継続的に行い、侵害事件を回避するよう努めております。しかしながら、当社の様な研究開発型企業にとって、知的財産侵害問題の発生を完全に回避することは困難であり、今後第三者との法的紛争に巻き込まれた場合には、弁護士や弁理士と協議の上、個別具体的に対応策を検討してまいります。当社の技術が侵害されるケース及び当社が第三者の技術を侵害していると指摘されるケースのどちらとしても、解決に際しては、時間及び多額の費用を要する可能性があり、その場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社の様々な事業活動において、国内外を問わず、当社が関与する技術・製品・サービス等について知的財産権に関する係争や製造物責任問題、薬事、商取引、税務等その他事業に関連する法令、慣行を巡って予期しない問題が提起される可能性があります。特に、当社が扱う網膜走査型レーザアイウェア製品は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律により定められた医療機器であり、有効性、安全性に問題が生じた場合には、承認が取り消される可能性があります。その場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社ではファブレス製造の方針を採用しておりますので、外部の協力企業に製造を委託しております。それぞれの企業の特性等を考慮し、当社製品の製造能力に応じて、各社への製造委託品目を決めております。
各社に対しては、当社にて品質検査、経営状態の確認等を実施しております。仮に委託先の経営悪化、品質事故等が発生した場合、容易に委託先の変更は可能ではありますが、新たな生産体制が再構築されるまでの期間、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社は、生産活動や研究開発活動に必要な部品・部材を外部の取引先から調達しております。それらの調達先からの供給が当社の製造に影響が出る様な供給の不安定化、また、価格の高騰、供給部材の品質劣化等が発生した場合、製品の品質や納期を守る事ができなくなる可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社は継続的な成長のために、新製品又は新技術の開発のための必要な研究開発活動を継続する必要があると考え、これまで積極的に研究開発費に係るコストに投下しており、今後も継続して研究開発活動を促進していく方針であります。
しかしながら、その結果として2021年3月期及び2022年3月期においては営業損失を計上し、累積損失を抱えており、営業キャッシュ・フローもマイナスとなっております。今後の研究開発活動については、その費用対効果を勘案しながら慎重に行っていく方針ではありますが、研究開発活動の効果が十分に得られない場合や、開発コストの増加等が生じた場合、想定以上の投資に係る費用が発生することが想定され、中期経営計画が達成できない可能性や営業損益等の黒字化に時間を要する可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、ISO9001/13485の基準に加えて、外注管理規程、研究開発管理規程及び生産管理規程を設け、当該規程に則り、各種製品の製造、品質の保持向上に努めております。
信頼性には万全の配慮をしてまいりますが、想定していない理由により、製品の欠陥が発生した場合には、その欠陥内容によっては多額のコスト発生や信用の失墜を招き、当社の経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。当社では、引き続き製品の品質向上に努め、特に不具合に対する継続的な改良、不具合の起きにくい製品設計の推進、完成試験の信頼性向上試験の導入を含め、開発時、出荷時の試験を強化し、製品への非常時対策の機能開発の継続、顧客クレーム、故障等の処理プロセス等について強化してまいります。
当社は最先端のレーザ技術を既存製品に流用し、生活を豊かにする研究開発に取り組んでおりますが、当社が業界と市場の変化を十分に予測できず、また、間違った判断をすることで、顧客や市場からの支持を得られる新製品、新技術を提供できない可能性があります。その場合、将来の成長と収益性を低下させ、当社の事業活動、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 国際情勢について
当社が製造する製品は、国内外に販売しており、2022年3月期における国外販売比率は60%を占めております。アメリカ、欧州、アジア等特定の地域に偏重せずに各地域にバランスよく展開しておりますが、各国・地域の法的規制、慣習、国際情勢の変化等に起因する事態が発生する場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社は、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、販売した製品の不具合等、予期せぬトラブルが発生した場合、それに起因した損害賠償の請求、訴訟を提起される可能性があります。その場合、損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、当社の事業活動、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社の主な事業は顧客の個人情報を取得する必要のあるものではありませんが、一部取引には個人情報を取得する場合があり、また、顧客と秘密保持契約を締結した上で技術情報や営業情報を取り扱う業務もあり、想定していない理由により、これらの情報の漏洩が発生した場合には当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、会計、販売管理等コンピュータによる業務処理を実施しており、地震・火災等の災害によるハードウェアやネットワークの損傷、外部からのコンピュータウイルス攻撃におけるシステムトラブルやデータ破壊、情報の盗難、漏洩等が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑯ 感染症等の影響(新型コロナウイルス感染症問題)について
当社においてはテレワークの実施、要出社者のオフピーク通勤の実施等、新型コロナウイルス感染症に対する諸対策を講じておりますが、当社事業所に感染症等が蔓延した場合、人的・物的被害や業務停止及び遅延、注文の減少等が生じる可能性があります。さらに、当社の顧客に感染症等が蔓延した場合、顧客への出荷停止や遅延等が生じる可能性があります。また、当社の仕入先や外注先に感染症等が蔓延した場合、資材調達及び製品製造の停止や遅延等が生じる可能性があります。これら諸要因の動向によっては、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業体制に関するリスク
当社は、従業員44名の小規模組織であり、内部管理体制も現状の組織規模に応じたものとなっております。今後の事業拡大と事務量の増加に備え、従業員の育成、人員の増強及び内部管理体制の一層の充実を図る方針でありますが、人材の増強及び内部管理体制の充実が円滑に進まなかった場合には、適切な組織的対応ができず、当社の業務効率や事業拡大に支障をきたす可能性があります。
現在、日本経済全体として労働人口の減少等による人手不足や人件費の高騰が大きな問題となっております。当社では、他社からの出向を含め、当社の欲する人材を採用してきましたが、今後において、人材の供給が当社の要望にかなわずスキルの不一致、賃金の不一致等で安定的に適正な人件費で人材確保ができなくなった場合、当社の業務効率や事業拡大に支障をきたす可能性があります。
当社のレーザ関連技術について、特許等によりコアとなる技術は保護されている状態を保っておりますが、退職者によって、当社技術と異なるも近しいレーザ関連技術が他社により開発された場合や、独自性が失われ市場への訴求力が低下するような事態となった場合には、当社の事業活動、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社の創業者である代表取締役社長菅原充は、経営方針や経営戦略の決定をはじめ、当社の主要技術であるレーザ技術に精通しており、事業活動全般において重要な役割を果たしております。
当社はノウハウの共有、人材の獲得及び育成等により組織体制の強化を図り、菅原に過度に依存しない経営体制の構築に務めておりますが、予測を超えた事態が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) その他について
当社は、創業以来配当を実施しておらず、本書提出日現在においても、会社法の規定上、配当可能な状態にありません。当面は、内部留保による財務体質の強化及び研究開発活動への再投資を優先させる方針であります。一方、株主への利益還元は重要な経営課題の一つととらえており、経営成績及び財政状態を勘案しつつ、配当の実施を検討してまいります。しかしながら、利益計画が予想どおりに進捗せず、今後も安定的な利益計上ができない場合には、配当による株主への利益還元が困難になる可能性があります。
当社は、研究開発活動の進捗に伴い、先行して多額の研究開発費が計上されております。今後も事業の進捗に伴って運転資金、研究開発投資及び設備投資等の資金需要の増加が見込まれます。今後、継続的に財務体質の強化を図ってまいりますが、収益確保または資金調達の状況によっては、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社の公募による資金調達の使途に関しましては、網膜走査型レーザアイウェアの製造費用に充当する予定でありますが、急激な事業環境の変化等により、当初予定した資金使途以外に利用する場合があり、投資効果が期待どおりにあげられない可能性があります。また、当社の行使価額修正条項付新株予約権による資金調達の使途に関しましては、主にレーザデバイス事業の生産能力増強やM&Aに充当する予定でありますが、急激な事業環境の変化等により、当初予定した資金使途以外に利用する場合があり、投資効果が期待どおりにあげられない可能性があります。
当社では、取締役、従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、既存株主が有する保有株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。2022年5月末現在、これらの新株予約権による潜在株式数は2,521,800株であり、発行済株式総数35,796,580株の7.0%に相当しております。なお、2021年11月26日付で第三者割当による行使価額修正条項付第14回新株予約権及び第三者割当による行使価額修正条項付第15回新株予約権を発行しております。2022年5月末現在、これらの潜在株式数は3,899,800株であり、これは発行済株式総数35,796,580株の10.9%に相当しております。
当社は製造委託先の製造拠点を国内外に分散しております。また、地震等の災害について事業継続計画に準拠して、非常事態に対応する体制を構築しております。今後も地震等の自然災害が発生した場合、その規模及び地域によって経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は以下の通りであります。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続きながらもワクチン接種の拡大や緊急事態宣言の解除により、経済活動の正常化が期待されたものの、新変異株「オミクロン株」の蔓延や半導体不足による電子部品等の供給遅延などの不安定要素が多く、先行き不透明な状況で推移しました。さらにロシアによるウクライナへの軍事侵攻などの地政学的リスクの高まりにより、エネルギーや原材料価格の高騰、サプライチェーンの分断など、先行きは引き続き非常に不透明となっております。
このような状況の中、当社ではテレワークやオフピーク出社の積極的な活用により、新型コロナウイルス感染症対策と生産性の維持の両立を図り、「人の可能性を照らせ。」のコーポレートスローガンのもと、多波長集積光源や3つのレーザ網膜投影機器等の新製品開発、既存製品の販売拡大を進めてまいりました。
当社に関連する主な市場の状況について、レーザデバイス事業の分野では新型コロナウイルス感染症や半導体不足の影響を大きく受けることもなく、堅調に推移しました。製品別では精密加工用DFBレーザ、バイオ検査装置用小型可視レーザ、センサ用高出力レーザが前年から増収となりましたが、通信用量子ドットレーザ、開発受託は前年から若干の減収となりました。レーザアイウェア事業の分野では、新型コロナウイルス感染症対策に伴う海外渡航制限等の影響を受けたものの、金融機関店舗向け販売やアクセサリカメラの販売開始などにより前年から増収となりました。
この結果、当事業年度の売上高は1,101,346千円(前事業年度比23.0%増)、新型コロナウイルスの影響による中国を中心とした海外展開の停滞や商品戦略の見直しによって、レーザアイウェア事業の在庫評価損408,695千円を計上し、営業損失は931,547千円(前事業年度654,825千円)、経常損失は893,536千円(前事業年度707,769千円)、当期純損失は880,967千円(前事業年度879,829千円)となりました。
a.レーザデバイス事業
当事業年度におきましてはバイオ検査装置用小型可視レーザの受注が前事業年度比133.7%増と大幅に増加、精密加工用DFBレーザ、センサ用高出力レーザの受注も増加した一方、通信用量子ドットレーザではシリコンフォトニクス市場の立ち上がりが想定よりも進展が遅く、開発受託では基礎技術開発が終了となったプロジェクトが増加したことにより受注が減少しました。
この結果、当事業年度の売上高は1,006,503千円(前事業年度比19.6%増)、セグメント利益は売上高の増加と販売費及び一般管理費の減少により43,865千円(前事業年度比448.7%増)となりました。
b.レーザアイウェア事業
当事業年度におきましては金融機関店舗向け販売やアクセサリカメラの販売開始などにより民生用網膜走査型レーザアイウェアの受注が増加しました。
この結果、当事業年度の売上高は94,843千円(前事業年度比75.0%増)、セグメント損失は新型コロナウイルスの影響による中国を中心とした海外展開の停滞や商品戦略の見直しによる在庫評価損408,695千円の計上により693,462千円(前事業年度434,032千円)となりました。
(資産)
当事業年度末における総資産は前事業年度末から657,079千円減少し、4,018,067千円となりました。流動資産は3,729,418千円となり、前事業年度末から620,393千円減少しております。これは主に現金及び預金が403,259千円、レーザアイウェアの在庫評価減等により原材料及び貯蔵品が224,784千円、仕掛品が89,044千円減少した一方、売上高の増加により売掛金が56,543千円、センサ用高出力レーザの増産により商品及び製品が20,284千円、社内貸付制度による貸付により短期貸付金が19,000千円増加したこと等によるものであります。固定資産は288,649千円となり、前事業年度末から36,686千円減少しております。これは主に減価償却等により有形固定資産が34,635千円減少したこと等によるものであります。
当事業年度末における負債は前事業年度末から431,943千円減少し、434,573千円となりました。流動負債は383,341千円となり、前事業年度末から307,413千円減少しております。これは主に長期借入金の返済により1年内返済予定の長期借入金が166,560千円、仕入代金決済により買掛金が74,833千円、試作用外注費等の決済により未払金が72,277千円減少したこと等によるものであります。固定負債は51,232千円となり、前事業年度末から124,530千円減少しております。これは主に長期借入金が返済及び1年内返済予定の長期借入金への振替により91,404千円、原状回復義務の履行により資産除去債務が28,909千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は前事業年度末から225,135千円減少し、3,583,494千円となりました。これは当期純損失の計上により利益剰余金が880,967千円減少した一方、新株予約権の行使により資本金が321,431千円、資本準備金が321,431千円、新株予約権発行により新株予約権が12,971千円増加したことによるものであります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、2,821,052千円(前事業年度末比403,259千円の減少)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
当事業年度における営業活動の結果減少した資金は700,636千円(前事業年度は822,982千円の減少)となりました。主な資金増加要因は棚卸資産の減少293,544千円、減価償却費50,376千円、固定資産圧縮損12,885千円であり、主な資金減少要因は税引前当期純損失877,106千円、仕入債務の減少74,833千円、売上債権の増加56,543千円、その他の負債の減少21,912千円、資産除去債務戻入益21,397千円によるものであります。
当事業年度における投資活動の結果減少した資金は90,210千円(前事業年度は44,324千円の減少)となりました。主な資金増加要因は短期貸付金の回収による収入23,940千円であり、主な資金減少要因は有形固定資産の取得による支出60,104千円、短期貸付けによる支出42,940千円によるものであります。
当事業年度における財務活動の結果増加した資金は377,495千円(前事業年度は2,643,434千円の増加)となりました。主な資金増加要因は株式の発行による収入626,555千円であり、主な資金減少要因は長期借入金の返済による支出257,964千円であります。
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(a) 生産実績
(注) 1.金額は製造原価によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の棚卸資産の評価損が含まれております。
(b) 仕入実績
当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は仕入価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
(c) 受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
(d) 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」及び「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当事業年度における売上高は1,101,346千円(前事業年度比205,726千円の増加)となりました。これは主に、バイオ検査装置用小型可視レーザと精密加工用DFBレーザ、センサ用高出力レーザにおいて受注が増加したことによるものであります。
当事業年度における売上原価は1,160,648千円(前事業年度比565,911千円の増加)となりました。これは主に売上高の増加とレーザアイウェア事業の在庫評価損408,695千円の計上によるものであります。この結果、売上総損失は59,302千円(前事業年度は売上総利益300,883千円)、売上総利益率は△5.4%(前事業年度は33.6%)となりました。利益率の減少は主にレーザアイウェア事業の在庫評価損408,695千円の計上によるものであります。
当事業年度における販売費及び一般管理費は872,245千円(前事業年度比83,463千円の減少)となりました。これは主に、人員減少により人件費が減少したことと、網膜走査型レーザアイウェアの商品化が完了したために開発費が減少したこと、医療機器認証取得により認証関連費が減少したこと等によるものであります。この結果、営業損失は931,547千円(前事業年度は営業損失654,825千円)となりました。なお、当事業年度末の従業員数は前事業年度末から3名減少しております。
当事業年度において助成金収入や補助金収入等により営業外収益が71,637千円(前事業年度比60,419千円の増加)、株式交付費用や固定資産圧縮損等により、営業外費用が33,625千円(前事業年度比30,535千円の減少)発生しております。この結果、経常損失は893,536千円(前事業年度は経常損失707,769千円)となりました。
当事業年度において、原状回復費用確定による戻入により特別利益が21,397千円(前事業年度比21,397千円の増加)、固定資産の減損により特別損失が4,967千円(前事業年度比163,850千円の減少)発生しております。この結果、当期純損失は880,967千円(前事業年度は当期純損失879,829千円)となりました。
当社の運転資金需要のうち主なものは、材料仕入、外注費、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要の主なものは電子顕微鏡等の機械等であります。
運転資金、投資資金ともに自己資金から確保することを基本方針としておりますが、当事業年度においては将来のレーザデバイス事業の生産能力増強等を資金使途とした、行使価額修正条項付新株予約権を発行いたしました。当事業年度末の現金及び現金同等物は2,821,052千円であり、現状の事業運営に必要な運転資金、投資資金は十分であると考えておりますが、1,000,000千円の金融機関のコミットメントライン枠を有しているほか、必要に応じて銀行借入を中心とした調達手段を検討してまいります。
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は売上高総利益率であり、当事業年度の売上高総利益率は△5.4%(前事業年度は33.6%)となりました。これは主に前事業年度においてはレーザアイウェア事業の在庫評価損408,695千円を計上したためであります。現時点では今後の売上総利益率について数値目標を定めておりませんが、今後、業界動向及び当社の業績の推移、特にレーザアイウェア事業の立ち上がり等を勘案し、早期に数値目標を決定する予定です。
レーザデバイス事業の指標としましては認定顧客数の20%増加としており、当事業年度末の認定顧客数は57社(前事業年度末は47社)で前事業年度末から21.3%増加となりました。これは主にセンサ用高出力レーザ、精密加工用DFBレーザおよびバイオ検査装置用小型可視レーザにおいて新規認定顧客が増加したためであります。今後もシリコンフォトニクス用レーザを含め、認定顧客を増やしていく方針であります。
レーザアイウェア事業の指標としましては累計販売10万台・年間生産5万台と定めており、当事業年度末までの累計販売台数は約800台、当事業年度の生産台数は183台となりました。今後は販売代理店とECサイトを通した販路の拡充、開発提携先と連携したユーザビリティ向上と低コスト化を進めるとともに代理店を通した海外展開を推進し、販売拡大を進める方針であります。
当社の事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
第三者割当による第14回新株予約権(行使価額修正条項及び行使停止条項付)及び第15回新株予約権(行使停止条項付)の発行
当社は、2021年11月26日開催の取締役会において、以下のとおり、株式会社SBI証券(以下、「割当先」といいます。)を割当先とする第三者割当の方法による第14回新株予約権(行使価額修正条項及び行使停止条項付、以下「本第14回新株予約権」といいます。)及び第15回新株予約権(行使停止条項付、以下、「本第15回新株予約権」といい、個別に又は総称して「本新株予約権」といいます。)の発行を行うことについて決議し、2021年12月13日付で発行いたしました。
詳細は、第4提出会社の状況 1株式等の状況 ③その他の新株予約権等の状況を参照ください。
当社は、イノベーションの創出、顧客に提供する価値の向上、人類の能力向上と社会の進歩に貢献することを開発の目的とし、研究テーマは、中期経営計画立案時に社長より方向性が提示され、新製品の開発の他、既存製品のリニューアル時期やISOの一環であるCS調査の内容等も加味して決定しております。研究開発費用は、中期経営計画立案時にテーマごとに見積もっております。
共同で発明された成果については共同保有とし、特許出願を行っております。
当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(レーザデバイス事業)
レーザデバイス事業では製品開発5名、ウェハ開発4名(うち出向者1名)体制を構築しております。
また、東京大学量子イノベーション協創センターと新しい価値創出のため共同で研究開発を進めております。
東京大学とは2009年4月より共同研究開発契約を締結して共同研究を実施しております。東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構とは、量子ドット結晶の改良(密度の増大、均一性の向上)を目的として研究開発を行っております。
当事業年度の研究開発費は
研究開発の成果は、以下のとおりであります。
(レーザアイウェア事業)
レーザアイウェア事業では製品開発7名、先端技術開発4名体制を構築しております。
当社の技術を用いて顧客の問題を解決する開発受託業務を請け負う中で、研究開発を行っております。2019年度よりレーザデバイス事業として、先端技術グループを設立して開発を進めてまいりました。その結果、各案件の開発段階が光学先端技術開発からレーザ網膜走査製品開発に進展したため、2022年1月よりレーザアイウェア事業に移行しました。
当事業年度の研究開発費は
研究開発の成果は、以下のとおりであります。