文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、コーポレートスローガンでもある、「あたらしい命に、あたらしい医療の選択肢を。」を実現するために、周産期の組織に由来する幹細胞を中心とした「細胞バンク事業」のノウハウの蓄積・技術開発・サービスの向上に努めて参ります。
そして、細胞バンクに保管されている細胞を用いて「新しい医療」を提供しようと日々努力を重ねられている医師や研究者の方々と協力し、これまで治療法のない病態に苦しむ患者さんに寄り添い、医療の発展に寄与する事を目標としております。
また、当社独自の、細胞バンク事業のネットワークを基盤とした新たなビジネスモデルの構築による収益拡大に取り組んでおります。

(2) 目標とする経営指標
当社は、「細胞バンク事業」の単一セグメントのため、事業の状況を的確かつ容易に把握する上で、年間保管(売上)検体数をベンチマークとし、年間保管(売上)検体数増加を目指し、事業規模拡大に努めて参ります。また「細胞バンク事業」の安定した運営のため、内部留保を充実させ、自己資本比率を高めて参ります。
当社の中長期的な経営戦略は下記の3点であります。
・ 「さい帯(へその緒)」等を含めた、出産に由来する組織由来の細胞(周産期組織由来細胞)の採取、保管に向けて、医療機関・研究機関と協力しながら事業の拡大を図って参ります。また、アジアを中心とした、まだ「細胞バンク事業」が発達していない国々への事業展開を企図して、市場調査や現地の医療機関等との提携などを進めて参ります。
・ 保管する幹細胞を使用して、中枢神経系疾患(低酸素性虚血性脳症、脳性麻痺、自閉症スペクトラム障害等)等に対する再生医療・細胞治療に取り組む医療機関と協力して、臨床研究を推進し、当社の「細胞バンク事業」の利用者拡大に繋げて参ります。
・ 細胞バンク事業において構築した、産婦人科へのネットワークを活用した、妊婦及びそのご家族等へ向けた、他に無い、新しいサービス・製品を開発して参ります。
① 経営環境について
近年の再生医療分野の発展は目覚しく、さい帯血についても米国を中心に臨床研究が進展しております。米国デューク大学においては、脳神経疾患に対するさい帯血投与の第Ⅱ相臨床研究が終了し、良好な結果が発表され現在ではFDA(米国食品医薬品局)承認のもと、2017年10月より「拡大アクセス制度」(注)がスタートし、2021年9月までに464名の患者さんが治療を受けられております。日本国内でも、2014年に再生医療等安全性確保法が施行され、当社のような事業会社が臨床研究に参加する仕組みが整えられた事から、さい帯血等を利用した臨床研究が開始され、さい帯血等の体性幹細胞の医療応用のニーズは高まってきております。
当社としては、国内のさい帯血を用いた臨床研究を推進し、さい帯血の保管の意義を訴求しております。また、さい帯血のみならず、さい帯由来の間葉系細胞を用いた研究開発も世界的に着実に進展しており、さらには、さい帯由来間葉系細胞そのものではなく、それらが分泌する因子(生理活性物質)を用いた医療開発も近年では活発に行われております。このように多様化するさい帯由来間葉系細胞の応用は今後ますます進むと考えられ、さい帯組織の保管の必要性が高まるものと予想されます。当社は2021年4月よりさい帯保管事業を開始しており、将来のさい帯の医療化に備えた保管を訴求しております。当社としては、さい帯由来間葉系細胞及びその培養因子の研究開発を積極的に行い、いち早く臨床応用すべく推進しております。
② 事業上及び財務上の対処すべき課題について
当社は、コーポレートスローガンでもある、「あたらしい命に、あたらしい医療の選択肢を。」を実現するために、前項の経営戦略を推進するにあたり、下記の4点を課題と捉え対処して参ります。
・当社は、周産期の組織に由来する幹細胞を中心とした「細胞バンク事業」を主事業としております。この「細胞バンク事業」において、さい帯血の保管については、厚生労働省健康局より、「臍帯血取扱事業の届出」の提出を要請されており、当社は今後も同省と協議しながら、適切に事業運営を行って参ります。
・当社の主事業である「細胞バンク事業」においては、近年その需要が急激に高まってきており、当社は2021年3月に新たな細胞処理センター(横浜市)を増設いたしました。今後も2021年4月に開始した「さい帯(へその緒)保管サービス」を含めた、出産に由来する組織由来の細胞(周産期組織由来細胞)等の採取、保管事業の拡大に備え、細胞処理能力、細胞保管能力の増強を行って参ります。
・当社では、人員の増強、組織の強化が重要な経営課題の一つと捉えております。今後も、専門知識を持った優秀な人材を継続的に採用、また育成を行い、組織を強化して行くとともに、「デジタル化」による、より効率的な業務運用を目指して参ります。また、社員のモチベーションを上げるための研修制度、福利厚生も充実させて参ります。
・当社では、持続的な企業価値向上を図る手段として、ESGの推進に注力しております。そして、経営の健全性、透明性及び客観性を高めるため、ガバナンス強化の取組みとして、社外取締役の充実等、意思決定プロセスの透明化を図って参ります。また、役職員に対して、コンプライアンス意識を高めるための啓蒙活動を継続して参ります。
(注)デューク大学で行われている「拡大アクセス制度」では、さい帯血を用いた臨床試験の選定基準に満たないお子さんに、所定の手続きを経て自家(お子さん自身)あるいは他家(ごきょうだい)のさい帯血投与の機会を提供しております。本書提出日現在、26歳未満の、脳性麻痺、低酸素性脳症、脳卒中、水頭症、言語失行症、自閉症スペクトラム、その他の脳障害を持つお子さんが対象となります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社では、ESG(Environment:環境)、S(Social:社会)、G(Governance:ガバナンス)を「E×S×G=サスティナブル(Sx)」と認識し、この取り組みに注力いたしております。とくに、「S」の人材の多様性・女性活躍・職場環境改善、そして「G」のガバナンスの強化を主軸にすえ、持続的な企業価値向上を図って参ります。
当社では、コーポレート・ガバナンス強化の取組みとして、社外取締役の充実等による、意思決定プロセスの透明化を図ってまいります。また役職員に対して、コンプライアンス意識を高めるための啓蒙活動を継続して参ります。
経営会議において上記経営課題に関するリスク情報の収集・評価し、対応を検討、取締役会にて重要なリスクに対して対応方法を検討、報告しております。
実際には、取締役及び使用人に対し、その階層に応じて必要な教育研修を行う他、コンプライアンス委員会の実施によって法令及び定款を遵守するための取組みを行っております。また、法令違反その他のコンプライアンス上問題のある行為に関する相談、内部通報の体制を内部通報規程に定め、法令違反等の早期発見と迅速かつ適切な対応に努めております。また、経営における重大な損失、不利益等を最小限にするため、リスクの把握・評価・対応策等によるリスク管理を適宜取締役会で協議を行うなど、リスク管理の強化を図っております。
●人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社では人材の増強、組織の強化が重要な経営課題と考えており、人的資本に関し重点的に取り組んでいく方針です。
① 人材育成方針及び取り組み
新卒社員入社研修・階層別キャリア研修の充実。
② 社内環境整備に関する方針及び取り組み
デジタル化の推進、育児休暇取得、リモートワーク推進、オフィス環境の改善。
③ 人材の多様性確保のための方針
女性役員、女性従管理職比率の向上、時差出勤・時短勤務の推進。
今後も、専門知識を持った優秀な人材を継続的に採用、また育成を行い組織を強化して行くとともに、「デジタル化」を推進し、より効率的な業務運用を目指してまいります。また、社員のモチベーションを上げるための研修制度、福利厚生も充実させて参ります。
●多様性・経営監視強化
2023年6月23日開催の定時株主総会にて、女性役員2名を新たに選任し、2024年3月期で女性役員比率は約28%(2/7)となっております。また取締役7名のうち、社外取締役は6名(約85%)となっており、経営監視機能の強化を図っております。
●働きやすい環境
事業拡大に伴う本社機能の拡充・業務の効率化、オフィス環境の改善を目的に、2023年5月に本社を移転いたしました。また、リモートワーク・時差出勤・育児期間中の時短勤務等各制度の充実も推進して参ります。
●環境保全
本社移転のよる胡蝶蘭等祝花を「フェイクグリーン」に移行、また、オフィス全体での節電運動等も推進して参ります。
●女性の活躍<女性管理職比率目標:50%>
従業員の女性比率は約73%(※契約社員・パート含む)、女性管理職比率約20%、報酬額の男女比率1:0.68となっており、今後もさらなる女性の活躍を推進してまいります。
●出産・育児<男女とも育休取得率目標:100%>
当社の育児後の復職率は100%であり、男性社員の育休取得率も100%となっております。
●賃上げ率
近年の賃上げ実績は2022年:3.9%、2023年:4.5%と全体平均の比べて高い水準で推移しております。
●健康と安全
毎年一回のストレスチェック・健康診断を実施し、また有給休暇の取得推進、勤務時間のモニタリングや長時間労働の防止及び上長への通知・指導徹底して参ります。さらに全従業員へのインフルエンザ予防接種の補助等も実施し、従業員の健康と安全を守って参ります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社の顧客は、臨床研究が進められている「さい帯血」を用いた再生医療(例えば、低酸素性虚血性脳症、脳性麻痺などへの再生医療)において、将来「さい帯血」が治療に使用できることを想定して、「さい帯血」を保管しております。一方、「さい帯血」の再生医療分野での臨床研究は開始されたばかりであり、有効性や治療効果が十分に検証されておりません。臨床研究の過程では、臨床研究が長期化する等、想定通り進捗しない可能性、そして、その有効性が明確に確認されない可能性があります。臨床研究が想定通り進捗しない場合や臨床研究において有効性が検証されない場合の他、その他の新たな治療法が出現した場合には、当社にさい帯血を保管する保管者が減少するリスクがあります。当社は、当該リスクが顕在化する可能性は低く、発生時期は長期的な将来と予測しております。仮に顕在化した場合、経営成績及び財務状態に重大な影響度を及ぼし、事業継続が困難になる可能性があります。そこで対応策として、治療法が確立されていない疾患及び研究段階のものはまだ多数あり、それらを開発目標に設定し、アカデミアパートナーとともに臨床応用を目指します。
当社の主事業「細胞バンク事業(さい帯血保管)」は、厚生労働省への「臍帯血取扱事業の届出」を求められており、また、「再生医療等安全性確保法」、「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律」、「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律」、「国民が受ける医療の質の向上のための医療機器の研究開発及び普及の促進に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」の法規制を受けております。しかしながら、これらの法規制の改正・強化、新たな法規制が制定された場合、あるいは、これらの法規制を遵守できない場合、追加的な対応や事業への何らかの制約が生じることにより、当社の事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、当該リスクが顕在化する可能性は低く、発生時期は不明と予測しております。仮に顕在化した場合、経営成績及び財務状態に重大な影響度を及ぼし、事業継続が困難になる可能性があります。そこで対応策として、関係官庁や学会の情報を注視し、また全社的な内部監査、細胞技術本部を対象としたISO9001に係る内部監査、プライバシーマーク制度に係る内部監査を実施し、法的規制への適合性を定期的に確認しております。
当社の取り扱う「さい帯血」は、再生医療等安全性確保法において、第二種再生医療等に区分されており、その処理を行うにあたり、細胞培養加工施設における「特定細胞加工物製造許可」の取得が義務づけられ、当社はその許可を取得しております。特定細胞加工物製造許可は当社の主要な事業活動を継続する上で不可欠な許可であり、本書提出日までの間において、取消事由は発生しておりません。しかしながら、将来において、当該許可の取消等があった場合には、主要な事業活動に支障をきたすとともに当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社は、当該リスクが顕在化する可能性は低く、発生時期は中長期的な将来と予測しております。仮に顕在化した場合、経営成績及び財務状態に重大な影響度を及ぼし、事業継続が困難になる可能性があります。そこで対応策として、構造設備基準への適合状況に関して、内部監査ISO9001に係る内部監査及びAABB査察(2年に1回)により、再生医療等安全確保法やAABBで求められる基準への不適合事項が無いか定期的に確認しております。
(主な許認可の状況)
近年、当社の事業分野である「さい帯血保管」及び「再生医療」に関する世の中の関心が高まって来ておりますが、さい帯血は、「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律」及び「再生医療等安全性確保法」の規制を受けております。当社以外の事業者がこれらの関連する法令に違反し、当該違反の事実がマスメディア等に取り上げられた場合、また、SNS等でネガティブな情報が掲載された場合、当社も風評被害を受ける可能性があります。当社は、風評被害を受ける可能性のある事象が発生した場合に備え、速やかに対応策を検討できるよう、情報収集に努めております。また、風評被害を受ける可能性のある事象が発生した場合には、プレスリリース及び適時情報開示等により、発生した事実と当社との関係を公表することで、風評被害等を最小限に低減するよう対処して参ります。しかしながら、このような対処・対応策にも関わらず、風評被害が発生・拡散した場合、当社の事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の主事業である「細胞バンク事業」においては、現在、出産時に採取できる「さい帯血保管」を行っておりますが、2022年に生まれた子どもの数(出生数)は79万9728人と1899年の統計開始以来初めて80万人を下回ったことが厚生労働省人口動態統計で公表されています。また、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(平成29年推計)によると、我が国の出生数は今後も減少を続け、2040年には74万人まで減少すると推計されています。我が国の出生数と当社のさい帯血の保管数は必ずしも比例しませんが、出生数の想定を上回る減少が将来の当社の事業や業績に影響を与える可能性があります。
当社は、グローバル品質規格であるAABBやISO9001といった第三者の認証機関より査察を受け、品質や設備運用の維持向上に努めております。しかしながら、細胞の分離・処理作業に必要な試薬や当社の心臓部分ともいえる長期保管用タンクの冷却用液体窒素の供給が滞ったり、必要な設備が正常に稼動しないなど細胞の輸送、分離、保管の品質維持に支障を来した場合には、当社の事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、当該リスクが顕在化する可能性は低く、発生時期は中長期的な将来と予測しております。仮に顕在化した場合、経営成績及び財務状態に重大な影響度を及ぼし、事業継続が困難になる可能性があります。そこで対応策として、2021年3月に新たな細胞処理センターを横浜市に建設し、東京と横浜の2施設あることで、万が一どちらかに支障が生じても対応できます。またグローバル品質規格であるAABBやISO9001といった第三者の認証機関より査察を受け、品質や設備運用の維持向上に努めております。
当社は、さい帯血の保管に際して秘匿性の高い個人情報を取得しているため、日本産業規格「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」の中でもより厳格な、保健医療福祉分野のプライバシーマーク(MEDIS)制度に基づき、入手した個人情報の管理に努めておりますが、何らかの理由で個人情報の漏洩や不正使用等が発生した場合、社会的信頼の低下や賠償金の支払い等により、当社の事業や業績に影響を及ぼし、事業の継続が困難となる可能性があります。
当社は顧客より受託を受け、分離した幹細胞を細胞保管センターで保管しております。同センターは、新耐震基準に基づいた設計で耐震性を有しており、先の東日本大震災においても保管設備の被害はありませんでした。また、当社は、長期間の液体窒素の供給停止や電気の供給停止に備え、液体窒素製造プラントを複数持つ大手ガス会社2社との提携や発電機の配置によりリスク低減に努めております。なお、液体窒素及び電気の供給が維持できれば、保管された幹細胞を超低温に保ち、品質を維持することが可能と考えております。しかしながら、想定を超える大規模な自然災害や事故が発生し、当社の保管業務・細胞処理業務に支障が生じた場合、その他不測の事態が発生した場合には、当社の事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の主事業である「細胞バンク事業」は、細胞の輸送、分離、保管作業等において手作業によるものが多く、人為的なミスを防ぐ為、ISOやAABB、Pマーク等の外部認証制度を積極的に取り入れ、チェック体制の整備に取り組んでおりますが、何らかの人為的なミスにより、当社の事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の代表取締役である清水崇文は、医療関連事業全般に関する豊富な知識と経験、ネットワークを有しており、経営方針や事業戦略の決定等、事業継続の上で重要な役割を果たしております。当社では、人材の確保・育成を進め、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの事情により、同氏が当社から離職した場合、または十分な業務執行が困難となった場合には、当社の事業や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社は、協力産科施設で開催される母親学級(注1)においてさい帯血保管サービスを紹介しており、母親学級でのサービス紹介が売上検体数の獲得や認知度向上のための主力チャネルの一つと認識しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の広がりに伴い、2020年2月以降、多くの施設において母親学級の開催中止・開催自粛が継続されております。母親学級の中止・自粛に伴い、当社ではパンフレットの配布等を順次施設に協力いただき、当社サービスの紹介、認知度の向上に努め、現在は、Web広告をはじめとするインターネットを通じた当社サービスの紹介・認知度向上のための新たなチャネル確立に加えて、産科施設における新たな施策(注2)を確立していますが、このような認知度向上のための施策が進まない場合、売上検体数や当社サービスの認知度が低下する可能性があります。
(注1)妊娠、出産、赤ちゃんのお世話などについて基本的な知識や情報を教えるもので、妊娠中の体のことや、体調管理、栄養指導、安産体操、出産の流れや呼吸法、新生児のお世話についてなど学ぶものです。多くの産科施設で実施されています。
(注2)産科施設における新たな施策
・産科施設が、出産にあたっての妊婦の希望をヒアリングする「バース・プラン」にさい帯血保管を希望するかどうかの項目を設ける。
・産科施設のホームページから当社のランディングページ(LP)へ誘導するバナー広告を掲載する。
・産科施設の待合室のモニターに、さい帯血保管の紹介動画を放映する(デジタルサイネージ)。
・産科施設のホームページへ掲載する出産に関する情報や産科施設の紹介動画を当社が制作に協力する事で施設との関係強化を図ると同時に、さい帯血に関するPR動画も差し込む。
① 資本的関係について
当社は、㈱日本トリム(東証プライム上場)の企業グループに属しており、同社の100%子会社である㈱トリムメディカルホールディングスが、当社の議決権の72.1%を保有する親会社であります。当社は親会社への事前承認事項はなく、独自に経営方針・政策決定及び事業展開についての意思決定を行っておりますが、同社は、当社の筆頭株主として基本事項に関する決定権又は拒否権を保有しているため、当社の意思決定に対して同社が影響を与える可能性があります。
② ㈱日本トリム及びそのグループ会社との取引関係について
当社は、㈱日本トリム及びそのグループ会社と取引を行っており、当事業年度における主な取引は、次のとおりとなっております。
・ 機器購入について
当社は、㈱トリムメディカルホールディングスの子会社であり研究用機器の製造販売を主な事業内容とする、ストレックス㈱より検体を緩慢凍結する機器の購入や機器のメンテナンス作業の委託をしておりますが、取引に当たっては他のメーカーと性能、価格優位性を慎重に考慮し取引を行っております。
なお、当事業年度における取引金額は、469千円となっております。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
当期は当社主事業である「細胞バンク事業」における「さい帯血」保管サービス(市場シェア約99%)及び2021年4月より開始した日本初の「さい帯(へその緒)」保管サービス(同100%)それぞれの検体数増加及び2022年12月よりのサービス価格改定が寄与し、過去最高の売上高を計上いたしました。
また、2021年3月12日付で厚生労働省(関東信越厚生局)より特定細胞加工物製造許可を取得し稼働させた横浜細胞処理センターの体制強化も順調に進んでおり、中期経営目標である年間約2万検体の処理能力の確保と運用力の強化に取り組んでおります。
3年に亘り社会経済活動に多大な影響を与えた新型コロナウイルス感染症については、WHOが緊急事態の終了を宣言し日本国内でも5月8日から法律上の位置付けが変更された事により、当社の主要なマーケティングチャネルである医療機関でも正常化に向けた動きが加速しております。これにより当社の目指すデジタル(オンライン広告、SNS等)とリアル(産科施設内でのスピーチやPR等)のマーケティングの相乗効果が高まり、今後の業績拡大に大きく貢献する見込みです。また、コロナ禍中一時ストップしていた海外の企業との交流も再開しつつあり、今後アジアを中心とした海外展開にも再度チャレンジして参ります。
「さい帯血」を用いた再生医療分野につきましては、国内では高知大学医学部附属病院小児科において脳性麻痺児に対する臨床研究が順調に進んでおります。また大阪公立大学大学院医学研究科発達小児医学教室を中心としたグループでは低酸素性虚血性脳症(HIE)児に対する臨床研究も引き続き進められております。
米国においては、FDA認可のもとデューク大学で進められている脳性麻痺児等へのさい帯血投与プログラムへ、当社でさい帯血を保管されている方々が参加されるケースが増加しており、その結果も良好です。
「さい帯」を用いた研究開発につきましては、大阪大学大学院医学系研究科スポーツ医学教室と設立した「運動器スポーツバイオメカニクス学講座」において、新たな半月板治療法の開発を推進しております。
また、東京大学医科学研究所セルプロセッシング・輸血部及び東京大学医学部附属病院ティッシュ・エンジニアリング部との小児形態異常等の先天性疾患に対する治療法の開発も、引き続き推進しております。
そして、当社における国内全出生数に対する細胞保管率を、中期(2028年3月期)経営目標である約3%(さい帯血保管数約2万検体、当期は約1%、7,564検体)から更に高めるため、幹細胞を用いた治療機会の拡大や細胞培養時の生産物(エクソソーム等)を利用する新事業も、来期のスタートに向け積極的に推進しております。
これらの活動の結果、当事業年度における売上高は、過去最高の2,091,293千円(前年同期比17.4%増)、営業利益は297,560千円(同31.1%増)、経常利益300,365千円(同41.3%増)となりました。
また、今後の更なる事業拡大フェーズにおける業務効率向上及びESGの観点(働く環境の充実)から、本年5月末に本社移転を実施しており、これに伴う固定資産の減損損失等の21,407千円を当期において特別損失に計上した結果、当期純利益は、198,032千円(同48.1%増)となっております。
総資産は5,811,615千円となり、前事業年度末に比べ596,012千円(同11.4%)増加いたしました。流動資産は4,545,462千円となり、前事業年度末に比べ367,116千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が187,297千円減少した一方で、売掛金が546,350千円増加したことによるものであります。固定資産は1,266,152千円となり、前事業年度末に比べ228,896千円増加いたしました。これは主に投資有価証券が138,201千円、投資その他の資産のその他に含まれる敷金及び保証金が39,717千円増加したことによるものであります。
負債は3,513,026千円となり、前事業年度末に比べ401,407千円(同12.9%)増加いたしました。流動負債は3,431,572千円となり、前事業年度末に比べ379,767千円増加いたしました。これは主に、前受金が349,926千円増加したことによるものであります。固定負債は81,454千円となり、前事業年度末に比べ21,640千円増加いたしました。
純資産は、2,298,588千円と前事業年度末と比べ194,604千円(同9.2%)増加しております。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が198,032千円増加したことによるものであります。
また、当社は、「細胞バンク事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの記載を省略しております。
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末と比べ186,297千円(同5.3%)減少し、3,324,021千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、99,672千円(前事業年度は469,290千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益を278,957千円計上したこと及び保管検体数の増加に伴い前受金が349,926千円増加した一方、売上債権が546,350千円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、285,100千円(前事業年度は404,170千円の獲得)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出143,010千円、有形固定資産の取得による支出56,056千円、敷金及び保証金の差入による支出47,940千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、869千円(前事業年度は644,373千円の獲得)となりました。これは、主にリース債務の返済による支出777千円によるものであります。
当社は、生産活動を行っておりませんので該当事項はありません。
当社は、受注生産を行っておりませんので該当事項はありません。
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社は「細胞バンク事業」の単一セグメントであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。
2.販売実績の3つの構成の「技術料」、「保管料」、「その他」別の売上は次のとおりであります。
(注) 1.従前より「その他」に含まれていた、さい帯に係る技術料の重要性が増したため、当事業年度から「技術料」へ変更しており、前年同期比については、区分方法の変更に伴う組替後の数値により記載しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項については、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、これらについては、過去の実績や現在の状況等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っております。ただし、これらには見積り特有の不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、当社が財務諸表を作成するにあたり採用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
② 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の目標とする経営指標は、年間保管(売上)検体数と営業利益率であります。
経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ309,349千円増加の2,091,293千円(前事業年度比17.4%増)となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により活動が制限される状況下において、さい帯血採取協力産科施設で開催される母親学級の開催中止・開催自粛が継続されましたが、Web広告をはじめとするインターネットを通じたマーケティング活動(Web広告、SEO対策、SNSの3つの柱)を深耕し、更に産科施設へはパンフレットの配布等の協力を頂くなど、当社サービスの認知度向上に努め、「細胞バンク事業」の拡大に注力したこと、そして、2021年4月より「さい帯保管サービス」を開始した影響によるものであります。この結果、今期の売上検体数実績は、さい帯血7,564検体(同9.5%増)、さい帯検体2,907検体(同92.4%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、前事業年度に比べ84,764千円増加の755,450千円(同12.6%増)となりました。これは主に、さい帯血の分離処理検体数が増加したことによるものであります。この結果、当事業年度の売上総利益は、前事業年度に比べ224,585千円増加の1,335,843千円(同20.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ153,977千円増加の1,038,282千円(同17.4%増)となりました。これは主に、正社員の新規採用の増加等により人件費が67,648千円増加、Web施策により広告宣伝費が18,513千円増加したことによるものであります。この結果、当事業年度の営業利益は、前事業年度に比べ70,608千円増加の297,560千円(同31.1%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度の営業外収益は、前事業年度に比べ1,577千円増加の2,804千円となりました。これは主に、投資有価証券の取得により受取利息が1,280千円増加したことによるものであります。
また、当事業年度において営業外費用の発生はなく、前事業年度に比べ15,625千円減少となりました。これは主に、前事業年度において発生した株式交付費6,219千円、株式公開費用9,378千円が発生しなかったことによるものであります。
この結果、経常利益は、前事業年度に比べ87,810千円増加の300,365千円(同41.3%増)となりました。
(特別損失、当期純利益)
当事業年度の特別損失は本社移転費用の計上により21,407千円となりました。また、法人税等を80,924千円計上した結果、当期純利益は198,032千円(同48.1%増)となりました。
キャッシュ・フローの分析
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、営業活動により得られた資金を財源として運営しており、外部からの資金調達はありません。
また、主な運転資金需要は、さい帯血の分離等に使用する材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用の支払いのほか、設備投資などであります。
財政状態の分析
当事業年度末の総資産は前事業年度末に比べ596,012千円増加の5,811,615千円(前事業年度末比11.4%増)、負債は前事業年度末に比べ401,407千円増加の3,513,026千円(同12.9%増)、純資産は前事業年度末に比べ194,604千円増加の2,298,588千円(同9.2%増)となりました。
主な増減要因は、次のとおりであります。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べ367,116千円増加の4,545,462千円(同8.8%増)となりました。これは主に、投資有価証券の取得等により現金及び預金が187,297千円減少した一方、売上の増加に伴い売掛金が546,350千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は、前事業年度末に比べ228,896千円増加の1,266,152千円(同22.1%増)となりました。これは主に、債券の新規取得により投資有価証券が138,201千円、本社移転に伴い投資その他の資産のその他に含まれる敷金及び保証金が39,717千円増加したことによるものです。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べ379,767千円増加の3,431,572千円(同12.4%増)となりました。これは主に、新規契約者数の増加により前受金が349,926千円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は、前事業年度末に比べ21,640千円増加の81,454千円となりました。これは主に、役員退職慰労引当金が12,293千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ194,604千円増加の2,298,588千円(同9.2%増)となりました。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が198,032千円増加したことによるものであります。一方で、前受金が349,926千円増加した結果、当事業年度末における当社の経営指標である自己資本比率は、前事業年度末に比べて0.8ポイント減少し、39.55%となりました。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。
④経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
該当事項はありません。
当社の研究開発活動における当事業年度の研究開発費は、
なお、当社は「細胞バンク事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。