当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)企業理念と経営の基本的な方針
当社グループは、不動産事業を通じた「街づくり」と「地域活性化」を使命と考え、「人々が"安心"して住める街づくり」・「人々が"快適"に暮らせる街づくり」・「人々が"満足"する街づくり」を通して、地域の発展とそこに住む人々の幸せを追求することを企業理念に掲げております。
当社グループは、事業用不動産の取得(入口)~開発(商品化)~販売・賃貸(出口)までを縦断的にフルラインで扱う少数精鋭の専門家集団としての特徴を基盤とし、不動産業の一部領域に特化するのではなく、社会構造の変化、経済の動向、国策の転換等に応じて、柔軟に経営資源の選択と集中を行い、長期にわたり安定的成長を続けていくことを目指しております。
(2)経営環境
当連結会計年度におけるわが国の経済は、コロナ禍の急速な落ち込みの後、緩やかな回復基調を取り戻しましたが、内需の回復は力強さに欠ける状況にあります。企業の収益改善は続いていますが、資源や原材料の取得コストが上昇したこと等により、設備投資に十分に結びついておらず、また、物価上昇により2023年の実質賃金が2年連続で減少し、個人消費も軟調に推移しております。
加えて、ウクライナや中東地域での地政学的リスクや、中国経済の失速、国際金融情勢の動向など、景気の下振れ要因は多く、回復ペースの鈍化が懸念されています。
不動産市況については、インバウンド需要の回復に牽引され、都心や有力地方都市、観光需要の大きな一部のエリアにおける不動産価格の上昇が継続しておりますが、その他の地方においては、少子高齢化を背景とする地域経済と不動産市況の衰退が続いており、不動産市況は二極化が進んでいると考えられます。
(3)経営戦略
当社グループは、土地の価値を最大化する不動産開発を掲げており、特定のエリアや用途に固執するのではなく、将来性のある優良地を見極め、中長期的な収益が最大化となる土地活用を追求する戦略を採っております。
当社グループは、土地の価値に対する分析力とその価値を最大限に引き出す企画構成力を活かし、社会経済情勢やニーズの変化に即応する付加価値の高い不動産を提供してまいります。特に、素地からの不動産開発については、土地ごとの個別性が高く、また、専門的知識と豊富な経験値が要求されることから、当社グループの独自性の高いアプローチとして、エリアや規模を問わず競争力を発揮できるものと考えており、このノウハウを活用して、近畿圏でのプレゼンスを高めると共に、首都圏へと営業エリアを拡大し、成長を加速させていきたいと考えております。
当社グループの不動産開発では、用地取得から売上獲得までのリードタイムに関して、1年以内の短期プロジェクトから、5年程度かかる比較的大きなプロジェクトまで、異なる投資・回収サイクルの事業を展開しており、期間の長いプロジェクトほど売上規模や利益率が高くなる傾向があります。これら様々なリードタイムのプロジェクトをバランスよく組み合わせることで、切れ目のないキャッシュインを実現し、安定的成長を目指しております。
事業ごとの具体的な施策は以下のとおりです。
① 不動産開発・賃貸事業
当事業では、長期保有による安定した賃貸収益の獲得を目指しており、継続的に賃貸用不動産の保有数の積上げを進めております。賃貸用不動産の取得は、次の通り大別されますが、いずれも保有期間のキャッシュ・フローを投資の判断材料としております。
a)既存賃貸用不動産の取得
これまで当社グループでは、不動産の「目利き力」を活かして、高い収益性が見込まれる賃貸用不動産を取得してまいりました。過去のバブル崩壊やリーマンショックなどの経済的混乱が生じた際には、様々な理由で手放される「割安」な不動産を積極的に取得し、成長の糧としてまいりました。取得した不動産については長期保有を原則とし、設備更新やテナント管理、入居促進等によるバリューアップを図ることで安定的収益を獲得しているものと考えております。近年は、低金利環境等により収益不動産の市場価格が上昇したことを受け、含み益の大きな保有不動産については売却を実施し、手元資金を厚くすることで、新たな優良不動産を獲得する方針であります。
b)新規賃貸用不動産の自社開発
当社グループは、素地からの土地開発力を活かし、ロードサイドの商業施設開発を進めております。開発した土地について、当社が貸主となる事業用定期借地権(土地の用途が事業用に限定され、契約期間が10年から50年未満とされている借地権)を活用し、テナントから長期の安定収益を獲得するスキームに注力してまいりました。こうした素地からの開発には、既存不動産の取得に比べて許認可の取得や地権者との折衝といった一定のリスク等がある反面、素地価格での取得や開発業務の分離発注等を通じて原価を抑制することが期待でき、収益性を高めることができる特徴があると考えております。また、開発行為に一定の期間を要するものの、計画の初期段階で借主となるテナントの誘致活動を行い、借主が内定した時点で開発作業を本格推進することができることから、在庫リスクを低減することが可能であります。引き続き、新規賃貸用不動産の自社開発に積極的に取り組んでまいります。
子会社化した埼玉県熊谷市に本社を置く株式会社エルアンドビーは、埼玉県下を中心とする首都圏において店舗開発ビジネスを展開しており、当社グループの事業エリアの拡大に寄与するものと考えております。
② 不動産開発・販売事業
当事業では、戸建分譲地と、住宅以外の用途として産業用地(倉庫や工場用地などの事業活動に供する土地)の開発・販売を行っております。
a)戸建分譲
当社グループでは、主に和歌山市周辺エリアにおいて戸建分譲地の開発・販売と、住宅の建築請負事業を行っています。戸建分譲については、立地環境の優れた住宅地を開発することに加えて、「建物部分」の付加価値向上や市場細分化によるきめ細やかな価格及び仕様グレードの設定が重要であると考えております。そこで、当社グループでは和歌山市周辺エリアの地元ビルダーが一般的に採用している木造軸組み工法による標準ランクの商品企画に加えて、株式会社LIXIL住宅研究所が展開する「GLホーム」のFC加盟店として、木造枠組壁工法の一種である2×6工法による高気密・高断熱を謳った災害に強い商品づくりや欧米風デザインの採用による他社商品との差別化を推進しております。
和歌山市周辺エリアに加えて、近年は兵庫県西宮市、大阪府堺市等の近畿圏を中心として新たな住宅地開発に取り組んでおり、エリア拡大を進めております。
b)産業用地
近年は、企業をターゲットとした産業用地の開発・販売事業に注力しております。具体的には、立地特性に応じて、物流や倉庫、あるいはサービス事業の用地として取得・開発した土地を事業会社に売却するビジネスを進めています。こうした産業用地については、希少性の高い土地を提供することで取引規模や単価が高くなる傾向があり、そこで当社の強みである素地からの開発力を活かすことにより、高い利益率を確保できるよう計画を進めております。
c)店舗建築
子会社である株式会社エルアンドビーは、商業地開発に付随してテナントからのオーダーに基づいて店舗や事務所等の建築事業を扱うようになりました。これにより、ロードサイド店舗開発のビジネスデザインの幅が広くなり、これまで以上に柔軟な対応が可能になっております。
③ マンション事業
当事業では、50年以上にわたる分譲実績とブランド力を活かし、今後も大阪市中心部をはじめ、交通利便性の高いマンション適地を積極的に取得し、マンション供給数を着実に拡大していく方針です。また、これまで外部委託していた販売業務の一部を内製化することで収益力の向上と販売ノウハウの充実を図っており、セグメント利益率の改善に寄与しております。
分譲マンション管理を手掛けてきたニューライフサービス株式会社を子会社化したことで、分譲マンションの管理業に進出しました。今後、当社グループが企画したマンションの管理事業を行うことで、顧客との長期リレーションを確立し、将来的なリフォーム需要や買替需要といったストックビジネスの拡充を図ってまいります。
また、近年は首都圏での用地取得を進めており、2024年3月期以降は首都圏での分譲マンションプロジェクトが順次リリースされる計画としております。着実に案件を積上げることで、首都圏でのユニハイムブランドの認知度を高めてまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、不動産開発を基礎とした事業展開を行っており、不動産の仕入から販売に至るまでをフルラインでカバーすることで高い収益性を達成することを目指しており、目標達成状況を判断する材料として、自己資本当期純利益率(ROE)を客観的な指標としております。また、当社グループでは賃貸不動産の積み上げを戦略の中心としていることに加えて、近年ではM&Aを活用した業容拡大を図っているため、償却額が増加傾向にあります。償却前の収益力の拡大を評価するために、EBITDAに関しても重要な指標としてモニタリングしております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 建設コストの上昇とプロジェクト遅延への対策
円安基調を背景とする資材価格の上昇や建設業界の深刻な人手不足に起因する人件費の高騰に加えて、いわゆる働き方改革の影響により、2024年度から、特に規模の大きな建設に関して、プロジェクトの遅延や採算性の悪化が懸念されております。
プロジェクト利益の確保のために、当社グループの強みである土地開発のノウハウを活かし、土地の取得段階での工夫により土地原価を抑え、建物原価の上昇分を吸収できるよう対策を講じてまいります。また、経済の趨勢を見極めて、販売価格や賃料設定について、より一層きめ細やかなコントロールを行うことが必要であります。
建設期間については、期間の長い案件と短い案件の組み合わせと投資バランスを考慮し、キャッシュ獲得の時期が偏らないように配慮してまいります。
② 優秀な人材の確保
不動産のワンストップサービスを向上させるためには、優秀な人材の確保が必要であると考えております。当社グループでは、不動産に関する幅広い知識と高い専門性を養うために、採用した人材について配置転換や部署横断的なキャリアプロセスを通じて、モチベーションの持続を図るとともにマルチスキルを有する人材としての育成を進めております。また、企業成長を促進するために、従来の人材育成プロセスを継続する一方で、即戦力となる経験豊富な人材も獲得し、営業エリアの拡大や新たなビジネス領域への進出を進めてまいります。
③ 開発用地の取得
当社グループの不動産販売では、土地部分から得られる収益獲得に注力しており、優良な土地をできるだけ安価に仕入れることが重要であります。直ちに利用可能な既成市街地での不動産取得は競合が多く、価格が上昇する傾向にあることから、相続により権利関係の調整が必要なケースや、事業承継に課題がある企業に対して不動産取得のためのM&Aを提案するケース、あるいは、開発許可をとることが難しい調整区域等で宅地開発するケースなど、用地取得の競合が起こりにくい開発用地の取得を推進してまいります。
④ 首都圏でのビジネス深耕
事業拡大のためには、近畿圏だけでなく、より大きなマーケットである首都圏での営業展開が必要と考えております。2020年から東京支店を中心に不動産取得に向けた活動を開始しており、着実に不動産取得が進んでいます。子会社化した株式会社エルアンドビーの開発部門との連携を深めることで、首都圏での用地取得を強化してまいります。加えて、2024年3月に、埼玉県下を主要エリアとする大成住宅株式会社と資本提携することに成功し、首都圏での戸建分譲事業に進出をする計画であります。
過去3か年でのこうした投資により、不動産開発を基盤とする賃貸・販売・マンションの主要事業を首都圏で推進するパーツが整ったことから、当社が近畿圏で成長してきたビジネスモデルを首都圏で深耕し、さらなる飛躍を目指してまいります。
⑤ 金利上昇リスクと資金調達の多様化
当社グループにおける事業の資金調達は、主に金融機関からの借入に依存しております。国際金融情勢の引き締めが長期化しており、わが国においても少しずつ金利のある経済に戻りつつあります。今後の金融機関からの借入コストや支払利息の上昇リスクについて注視が必要であります。経営安定化のため、資金調達の多様化を検討し、適切な財務バランスとなるよう配慮してまいります。また、必要に応じて保有不動産の入替を実施し、売却による含み益の獲得により財務健全性を高めてまいります。
⑥ 資本コストや株価を意識した経営
投資家をはじめとするステークホルダーの期待に応え、中長期的な企業価値の向上を実現するためには、戦略的な経営資源の配分が必要であります。当社グループは2022年6月の上場以来、PBRが1倍未満となっていることから、株式評価を改善することが急務であると考えております。このために、業績目標を着実に達成しつつ、積極的な株主との対話を推進することや丁寧な開示を通じて当社グループの展望についての説明義務を果たし、当社グループの経営資源配分の方針について理解を得らえるように努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
事業環境が急激に変化する時代となり、企業にとって、経済だけではなく社会や自然環境における持続可能性への取組が重要な経営課題となりました。当社グループでは、企業活動を通じてサステナブル社会の実現に貢献することを基本方針とし、常に長期的視点に立った不動産事業を進めてまいります。
[理念・価値観]
・スローガン
拓く力、街に息吹。
・ミッション
「安心」・「快適」・「満足」な街づくりと地域の活性化
・ビジョン
夢がかなう世界に。
・バリュー
柔軟な発想、迅速な行動、常に挑戦
[事業領域]
当社グループは、不動産開発を通じて、土地の価値が最大限に発揮される可能性を追求する事業に取り組んでおります。土地や建物は長い年月にわたって存在し人間活動の基盤となることから、持続可能な社会の実現において不動産が果たす役割は極めて重要であると認識しております。
[重要課題]
当社グループの理念や価値観に基づき、不動産・建設業界における社会課題や環境関連課題について、国交省の「不動産分野TCFD対応ガイダンス」等の資料やSDGs関連資料を参照しつつ、当社グループのリスクマネジメント委員会及びコンプライアンス委員会において取り上げられてきた課題の精査を行いました。それぞれのプロセスで抽出されたテーマについて、「弊社にとって重要性の高いもの」と「ステークホルダーの皆様にとって重要性の高いもの」という2軸の観点で絞り込みを行いました。そして、2023年3月開催の取締役会において、環境問題・社会課題への貢献を中心とした次の9つの重要課題を特定いたしました。
・当社グループが取り組むべき重要課題
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①「安心」・「快適」・「満足」な居住環境の提供 ②持続可能な街づくりと地域の活性化 ③健やかな生活 ④低炭素社会への貢献 ⑤省エネ・創エネの推進 ⑥防災・減災への貢献 ⑦人材の多様性 ⑧柔軟な雇用形態 ⑨成長機会の提供 |
(1)ガバナンス
当社グループにおけるサステナビリティ関連の経営課題を統括するため代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を2023年3月より発足いたしました。サステナビリティ委員会は当社グループのサステナビリティ関連の重要課題への取組を推進する役割であり、コンプライアンス委員会、リスクマネジメント委員会、経営会議と連携して目標設定やモニタリングを統括し、取締役会への報告を行います。取締役会はサステナビリティ委員会の監督や経営会議を通じてサステナビリティ経営を実践してまいります。
(2)戦略
当社グループにおける環境関連の課題と動向について、重要なものは次のとおりと考えております。
大テーマ①低炭素社会(温室効果ガス排出抑制)への移行
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小テーマ |
リスク |
機会 |
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政策・法規制 |
新たな税負担・規制導入によるコスト増加 |
認証取得/低炭素不動産への需要増 |
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技術の発達 |
新技術・設備への切り替えコスト増加 |
省エネ等によるランニングコストの減少 |
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社会認識の変化 |
未対応による企業ブランドの毀損、競争力の低下 |
対応による企業ブランドの向上 |
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投資家・金融機関からの評価 |
未対応による低評価 |
対応による評価向上 |
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市場の変化 |
炭素税・カーボンプライシングによるコスト・逸失利益 |
炭素税・カーボンプライシング対応によるコスト減/収益獲得 |
大テーマ②気候変動の物理的影響
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リスク分類 |
小テーマ |
具体的な損害・被害 |
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急性リスク |
風水害の激甚化 |
・不動産の物理的損傷 ・復旧コストの増加 ・沿岸地域の資産価値の低下 ・従業員のケガ・事故 |
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風水害による事業停止 |
・浸水・停電・降雪・強風等による事業停止 ・サプライチェーンの断絶による事業停止 |
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慢性リスク |
平均気温の上昇 |
・空調コストの増加 ・冬季リゾート地の需要減少 ・労働生産性の低下 ・労働環境の悪化 ・浸水被害の増加 |
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水リスク |
・水不足、干ばつによる事業の制限 ・水道料金の増加 |
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保険料 |
・保険適用範囲の縮小 ・保険料の増額 |
・環境関連課題への対応方針
これら環境関連のうち、低炭素社会への移行リスク/機会への対応として、住宅や店舗建築において環境負荷の低い材料や、省エネ・創エネの採用を進めていく方針であります。また、気候変動の物理的影響については、損害・被害を逓減することを目的として、新規開発時には防災・減災設備の充実やレジリエントな企画を進めることとし、また既存不動産については各物件の長期修繕計画を精査し、リノベーションや大規模修繕による不動産価値向上と耐用年数の延長を図ってまいります。
当社グループの不動産開発・賃貸事業は、長期保有を基本原則としており、できるだけ長期にわたり資産価値が保持されるように適切な管理と投資を行ってまいります。
当社グループにおける社会課題と動向、人的資本に関連する項目について、重要なものは次の通りと考えております。
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課題・動向 |
リスク |
機会 |
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ジェンダー平等 ※ (女性エンパワーメント) |
・企業イメージ ・労働生産性 ・人手不足 |
・企業イメージ ・生産性向上 ・採用/人材確保 ・新規サービス、事業 |
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働き方の多様化 ※ |
・企業イメージ ・労働生産性 ・人手不足 |
・企業イメージ ・生産性向上 ・採用/人材確保 ・新規サービス、事業 |
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人権問題(サプライチェーン) |
・企業イメージ ・不買運動 ・サプライチェーンの停止 |
・企業イメージ ・ファンづくり ・原材料確保 |
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雇用環境の改善 ※ |
・企業イメージ ・採用、人材確保 ・離職率と採用コスト ・労働意欲 |
・企業イメージ ・採用、人材確保 ・離職率と採用コスト ・労働意欲 |
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人材育成投資 ※ |
・企業イメージ ・研修コスト ・導入、モニタリングコスト |
・企業イメージ ・人材確保 ・生産性の向上 ・許認可要件の充足 |
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社会構造の変化 (少子化・晩婚化・高齢化) |
・マーケットサイズの縮小 ・ボリュームゾーンの変化 ・ニーズの変容 ・所得、資産格差 |
・差別化の推進 ・新規商品、サービス
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地方の活力低下 |
・マーケット縮小 ・資産価値の減退 ・在庫リスク |
・新規事業/サービスの推進 ・公的機関との連携 ・ドミナント戦略の推進 |
(注) ※印は、人的資本関連課題であります。
・人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
先行きの予測が困難な時代となり、これまで以上に柔軟な発想で、迅速な行動がとれる人材の確保が重要と認識しております。また、当社グループでは創業以来、不動産業はお客様の夢をカタチにする事業であること、そして、社員自身も夢を持ち、その実現に向けて努力することが大切であると考えてまいりました。自分自身とお客様の夢の実現に向けて取り組む人材が当社グループの事業を支えており、これからの企業価値向上のためにも大切な価値観であると考えております。
当社グループでは不動産事業をワンストップで扱うビジネスモデルを展開していることから、幅広い知識と経験及び高い専門性を有する人材が必要であります。
こうした考え方に基づき、当社グループでは、企業の成長ステージや営業エリアの拡大に合わせて即戦力のキャリア採用、異業種からの転職者、新卒採用などを通じて多様な人材の獲得を進めております。
育成方針としては、知識や資格取得のための研修制度を充実することで学びの機会を増やし、また、事業推進において必須な項目については研修成果の評価プロセスを通じてモチベーションの維持を図ってまいります。
社内環境の整備として、働き方の多様化を踏まえ、また、育児・介護といった各社員の家庭状況に応じた柔軟な業務内容や勤務形態が採れる体制の整備を進めてまいります。
加えて、柔軟な配置転換や役割変更を実施することで多様なキャリアパスを用意し、高い意欲が損なわれない工夫をしてまいります。
・社会課題対応に関する方針
当社グループでは、コンプライアンス委員会やリスクマネジメント委員会において、当社の事業と関連性の高い社会課題の抽出を行い、各テーマに沿った研修や意見交換を実施しております。交わされた議論に基づき、当社グループの規模に応じて実行可能な施策に順次取り組んでまいります。
(3)リスク管理
サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価、及び管理するために、サステナビリティ委員会を推進役として位置付けております。同委員会は、代表取締役社長を議長とし、常勤取締役並びに執行役員により構成されております。同委員会では、コンプライアンス委員会で議論される環境・ガバナンス関連の課題や、リスクマネジメント委員会で取り上げられる環境・社会にかかわる事項の抽出や見直しを行い、経営会議を通じて目標設定や具体的なアクションプランの設定とモニタリングを行っております。
取締役会はサステナビリティ委員会と連携し、効果測定や進捗率について協議を行い、当社グループの各事業計画や中期計画との整合を図りつつ、経営会議や各事業責任者への指導を通じて改善指導を行ってまいります。
(4)指標及び目標
上記「(2)戦略」において記載した環境関連課題への対応方針に基づき、モニタリングとして次の指標を用いております。なお、当社グループは各社の業態、営業エリアが異なり、商品構成や規模が異なるため、提出会社の主要事業のうち、毎期一定量の供給等が見込まれる指標について具体的な目標を記載しております。
なお、自社ビルのCO2排出量モニタリングは2024年3月期より開始する予定であり、現状を把握したうえで目標設定を検討してまいります。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
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住宅事業(和歌山エリア) 新築太陽光搭載率 |
2030年 搭載率80% |
搭載率43.5% |
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住宅事業(和歌山エリア) ZEH比率 |
2030年 普及率50% |
普及率21.7% |
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自社ビルCO2排出量(従業員1人当たり) |
未設定 |
4.1t-CO2 |
※1株式会社三井住友銀行提供のSustanaを用いて算出しており、提出会社にて使用した範囲に限ります。
また、上記「(2)戦略」において記載した人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に基づき、モニタリングとして次の指標を用いております。なお、当社グループは状況の異なるM&A直後の子会社を含んでおり連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社における指標について記載しております。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
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※1 (年間女性採用数)÷(年間総採用数)
※2 労働者(管理監督者を除く)に関して、平均基本給(女性)÷平均基本給(男性)
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)社会経済情勢の変動について
当社グループの事業は、景気、個人消費、金利、地価・不動産需要、各種税制及び補助制度等の動向により影響を受けます。景気の急速な悪化や個人消費の冷え込み、大幅な金利上昇、不動産需給の悪化、住宅税制の変更等が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
著しい販売不振が生じた場合には、販売促進のための費用増加や値引施策の実施等により採算悪化が生じるリスクがあり、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(2)土地の仕入について
当社グループの事業は、賃貸又は分譲販売に用いる優良な土地を取得することが重要であり、取引事業者や金融機関等からの情報に基づき、不動産毎の立地、周辺環境、価格、顧客ニーズ等を踏まえた事業化・商品化を検討し、収益性等を考慮の上で新規取得を行っております。
今後において、良質な不動産情報入手が困難となる場合や地価上昇その他の要因により収益性確保が可能な不動産が減少した場合及び、その他何らかの要因により取得が困難となった場合、当社グループの事業展開の制約要因となり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)原材料・資材価格等の変動について
当社グループの事業展開においては、戸建建築及びマンション等の建築において、木材・鉄材・セメント等の各種原材料・資材等を使用しております。それらの仕入価格は市場価格の変動により影響を受けており、今後において、原材料市況や需給、為替等の変動により仕入価格が高騰した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
特に、海外での新築住宅需要の急増や商流の変動により、新築住宅建築に必要な材木価格が上昇傾向にあります。仕様見直しや代替品確保等による企業努力で吸収できないコスト増分については、建築請負による販売利益の圧縮や営業計画の変更が必要となる可能性があります。
(4)外注企業の活用について
当社グループの各事業においては、開発用地のプランニング、開発許可申請、造成工事にかかる設計施工等について外注企業を活用しております。また、「不動産開発・販売事業」においては、戸建建築等に際して、自社にて設計業務及び管理者(監理技術者・主任技術者)配置による施工管理業務を行うほか、施工工事等は外注企業を活用しており、「マンション事業」においては、設計から施工までの各工程について外注により対応しております。当社グループの事業運営において、外注活用の重要性は高いことから、外注企業の確保及び育成に努めております。
今後の事業展開において、外注企業にかかる十分なリソース確保が困難となった場合には、当社グループの事業拡大の制約要因となる可能性があるほか、外注企業の経営不振や請負契約の不履行、設計・施工上の不具合の発生やその他予期せぬ事象が発生した場合には、工事等の中断又は大幅な遅延、建設コストの上昇等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)契約不適合について
戸建建築及び分譲マンションについては、宅地建物取引業法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき、売主に対して物件引渡後10年間にかかる契約不適合責任が課せられております。
当社グループは、開発、分譲及び販売等を行う不動産にかかる品質管理を徹底しており、土壌汚染、使用建材、耐火・耐震性能及び施工品質等について、自社及び第三者機関の検査等を含むチェック体制を構築しております。
今後において、当社グループが供給する不動産について、販売・引渡し後に上記事項を含む何らかの契約不適合が判明した場合、当社グループに対する信頼性低下や損害賠償請求の発生等により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)賃貸用不動産にかかる稼働率について
当社グループが展開する不動産賃貸においては、商業施設やオフィスビルにおける主要テナント企業の出店戦略変更等に伴う退去や、入居者獲得競争の激化等により、賃貸用不動産にかかる稼働率に低下が生じる可能性があります。また、代替テナント等の確保のため賃料引下げが必要となる場合もあり、これらの要因による収益性低下が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)大型開発案件について
当社グループは、着手から販売まで数年単位の期間を要する不動産開発を事業の軸としています。
大規模開発には、用地取得等にかかる多額の投資が必要であるほか、開発許可取得、各種関係者の調整や工事等の多くの業務プロセスが必要であります。開発に際し、近隣住民等の反対運動が発生し結果としてプロジェクトの中止や遅延が発生する可能性があるほか、必要とされる許認可の取得や関係者の調整ができない場合は、事業が中止となるリスクを有しております。
(8)エリア展開について
当社グループの営業地域は、和歌山県を中心とした近畿エリアに集中しております。当該地域において、地域経済の悪化や人口動態に変化が生じた場合又は台風や地震等の大規模災害による影響が発生した場合には、当該エリアにおける不動産市況等に影響が生じ、当社グループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは、当該地域を中心として事業エリア拡大を推進していく方針でありますが、新たな営業エリアにおける競合や事業実績が限定的であること等に起因して、当社グループの想定する事業拡大が実現出来ない可能性があり、営業拠点分散に伴う業務効率の悪化等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)人材の確保について
当社グループの事業は、専門的な知識及び経験に加えて、不動産取引に係るソリューション提供や調整能力、高いコミュニケーション能力を有する人材が重要な要素であります。
今後における事業拡大を図るため、優秀な人材の確保及び育成が必要であると考えておりますが、これらが計画通り進まない場合又は現在在籍する人材の流出が生じた場合には、当社グループの事業展開に影響が生じ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)法的規制について
当社グループの事業である不動産・建設・介護・飲食・温泉等に関する事業活動において、「宅地建物取引業法」、「建設業法」、「建築基準法」、「都市計画法」、「国土利用計画法」、「借地借家法」等の法的規制を受けており、特に「宅地建物取引業法」に関しては当社の主要な事業活動の前提となっております。
当社グループは、法令遵守に留意した事業展開を行っており、現時点において当該許認可が取消しとなる事由は発生しておりませんが、今後において何らかの理由により、当該許認可が取消される又はこれらの更新が認められない場合には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに、経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
また、将来において、当社グループの事業に関連する法規制等が改廃された場合や新たな法規制等が設けられた場合には、事業展開において制約要因となる可能性があります。
(11)個人情報の管理について
当社グループは、事業活動において顧客等の個人情報を取得しており、また、各種契約に際してはその性質上プライバシー性の高い情報を扱っております。当社グループは、個人情報の取り扱いにかかる社内規程及びマニュアルの整備及び運用を実施すること等により厳正な管理を行っておりますが、不測の事態により情報漏洩が発生した場合、信用低下や企業イメージの毀損、また損害賠償請求等により経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)不動産の引渡時期等による業績の変動について
当社グループの「不動産開発・販売事業」及び「マンション事業」においては、不動産売買契約後において顧客に対する引渡をもって売上を計上する引渡基準を採用しております。
当社グループの四半期業績は、不動産引渡しのタイミングにより売上及び利益が変動しており、大型開発案件の有無や各不動産の完成・引渡しの時期により大きく依存しております。当該要因から、四半期ごとの業績については、必ずしも他の四半期業績と同水準にはならず、また、各四半期業績の偏重度合は過年度のそれと同様にならない可能性があります。
また、当社グループの計画に対して、販売活動や建築工事の遅延等に起因して、引渡時期が各決算期末を超える可能性があり、当社グループの通期経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このほか、完成・引渡し不動産の取得価額や販売価格の高低等により業績が変動する場合、当社グループの通期経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)有利子負債について
当社グループは、販売用不動産及び賃貸用不動産にかかる不動産取得資金について、主に金融機関借入により賄っております。また、事業成長を目的としてこれら投資を継続していることから、当社グループの連結総資産額に占める有利子負債の割合は、当連結会計年度末時点で59.9%(前期61.0%)となっております。
当該状況から、今後、金利の急激な上昇が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、金融情勢の急速な変動等の何らかの理由により将来における十分な資金調達が困難となる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)保有資産の減損について
当社グループの保有資産について、棚卸資産においては販売用不動産(仕掛含む)が、固定資産においては賃貸用不動産が、それぞれ多くを占めております。不動産市況の著しい悪化等によりこれら棚卸資産及び固定資産の価値が下落した場合、評価損の計上や減損処理が適用され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)訴訟等について
当社グループの事業においては、不動産売買や賃貸借、土地開発、設計施工その他の各種取引、飲食や介護等にかかる各種サービス提供について、予期せぬトラブルや問題が生じるリスクがあり、その要因が当社グループに起因するか否かに拘らず、紛争等が発生する可能性があります。また、紛争等に対する対応が不適当であった場合等には、風評を含めた信頼性低下や訴訟に発展する可能性があり、場合によっては多額の費用負担が生じる可能性がある等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)大株主に関するリスク
2023年9月8日付で、当社の代表取締役である山田茂が自己の名義で保有する当社株式2,500,000株を当社専務取締役の山田裕之が取締役を兼任するYs' Assortment株式会社(以下「同社」といいます。)に交付することによる主要株主の異動等があり、2024年3月末時点で同社が発行済株式総数の55.66%を保有しております。同社は引き続き安定株主として一定の議決権を保有し、その議決権行使に当たっては株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針ですが、将来的に何らかの事情により同社の当社株式が売却され議決権比率が低下した場合、当社株式の市場価格及び議決権の行使に影響を及ぼす可能性があります。
(17)M&Aに関するリスク
当社グループでは、事業領域の拡大や新たな収益獲得のためにM&Aを実施する場合があります。当社グループの経常的なビジネスモデルと異なり、投資先の探索については、対象企業ごとに状況が大きく異なり、安定的に優良案件を獲得できるとは限りません。また、M&A実施時に発生する一時的なコストにより、業績が悪化する可能性があります。また、想定した事業計画が予定通り進捗しない場合は、のれんの減損処理等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18)開発期間の遅延に関するリスク
働き方改革関連法案の建設業界への規制適用により、2024年4月から建設現場の稼働可能日数がこれまでに比べて減少し、結果として全体の工期が長引く可能性があります。協力業者と密な連携を行い、工事計画の見直しや効率化を進め、回収サイクルが遅延しないような対策を講じてまいりますが、建物竣工時期が遅延することとなった場合は、売上計上時期等が計画から遅れ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、2023年1月20日に行われた株式会社エルアンドビーの株式取得による企業結合について、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、第2四半期連結会計期間に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ7,780,653千円増加し、49,113,404千円となりました。
その主な要因は、現金及び預金が2,360,273千円増加したこと及び仕掛販売用不動産が2,222,587千円増加、販売用不動産が621,195千円増加したこと並びに有形固定資産が2,023,305千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ6,705,286千円増加し、37,150,577千円となりました。
その主な要因は、支払手形及び買掛金が2,026,562千円増加したこと及び借入金が3,589,366千円増加したこと並びに未払法人税等が409,048千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,075,366千円増加し、11,962,827千円となりました。
その主な要因は、利益剰余金が1,039,911千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、コロナ禍の急速な落ち込みの後、緩やかな回復基調を取り戻しましたが、内需の回復は力強さに欠ける状況にあります。企業の収益改善は続いておりますが、資源や原材料の取得コストが上昇したこと等により、設備投資に十分に結びついておらず、また、物価上昇により2023年の実質賃金が2年連続で減少し、個人消費も軟調に推移しております。
加えて、ウクライナや中東地域での地政学的リスクや、中国経済の失速、国際金融情勢の動向など景気の下振れ要因は多く、回復ペースの鈍化が懸念されております。
不動産市況については、インバウンド需要の回復に牽引され、都心や有力地方都市、観光需要の大きな一部のエリアにおける不動産価格の上昇が継続しておりますが、その他の地方においては、少子高齢化を背景とする地域経済と不動産市況の衰退が続いており、不動産市況は二極化が進んでいると考えられます。
当社グループは、不動産開発を通じて、土地の価値が最大限に発揮される可能性を追求する事業に取り組んで おり、特定の建物用途に固執せず、「土地を起点とした発想」で中長期的なキャッシュ・フローの最大化ができるように、時代の変化に応じて柔軟な事業展開を行っております。不動産売却による利益の一部は、賃貸用不動産の獲得に投資し、安定収益の上積みを継続することを基本戦略としております。
当社グループは、開発した不動産の用途と収益形態に応じて、①商業施設や共同住宅等の賃貸用不動産の保有により賃料収入を得る「不動産開発・賃貸事業」、②戸建用地や産業用地の分譲販売と住宅建築を行う「不動産開発・販売事業」、③マンションの企画開発及び分譲販売を行う「マンション事業」、④高齢者向けサービス事業等を行う「その他の事業」の4事業に区分して展開しております。
このような状況の下、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高20,083,621千円(前年同期比7.8%増)、営業利益2,343,465千円(前年同期比6.6%減)、経常利益1,935,513千円(前年同期比9.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,255,194千円(前年同期比4.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(不動産開発・賃貸事業)
当セグメントにおきましては、和歌山県和歌山市の複合商業施設「ヤマイチGARDEN紀伊川辺Ⅰ」のリニューアルプロジェクト、兵庫県西宮市の複合施設「ヤマイチPLAZAさくら夙川」の建替え工事の竣工がそれぞれ計画どおりに進捗し、また、不動産賃貸業を主とする富士物産株式会社を子会社化したことで千葉県市川市への進出に成功するなど、新たな安定収益源の獲得が進められました。なお、これらリニューアルにかかる工事や手数料といった一時コストや償却コストが発生しております。
これらの結果、セグメント売上としては2,885,740千円(前年同期比17.0%増)、セグメント利益は800,750千円(前年同期比2.8%減)となりました。
(不動産開発・販売事業)
当セグメントにおきましては、戸建住宅分譲に関して、資材価格の高騰を受けて建築原価・販売価格が上昇し、住宅需要全体が大きく冷え込みました。当社グループにおいても、兵庫エリアにおける高価格帯の分譲地販売は概ね計画どおりに販売できましたが、和歌山・大阪エリアでの戸建分譲については計画を下回る結果となりました。一方で、法人向けの不動産販売が計画を上回り、セグメント利益に貢献しました。
これらの結果、セグメント売上としては5,799,727千円(前年同期比3.4%増)、セグメント利益は1,205,123千円(前年同期比8.6%減)となりました。
(マンション事業)
当セグメントにおきましては、大阪市内の物件を中心に概ね計画どおり推移し、特に第3弾となるコンパクトマンションシリーズの「アウラ」が好調でしたが、高価格帯の物件についてはやや弱含みとなっています。また、当社グループでは初となる、新築シニアマンション(兵庫県西宮市)の投資家への売却に成功し、今後に繋がる結果となりました。
これらの結果、セグメント売上としては11,107,553千円(前年同期比8.0%増)、セグメント利益は1,172,481千円(前年同期比7.6%増)となりました。
(その他の事業)
当セグメントにおきましては、シニア事業が堅調であったことと、レジャー事業の客足についてコロナ禍からの回復がみられました。また、コロナ禍において進めたコストの見直しが奏功した結果となりました。
これらの結果、セグメント売上としては290,599千円(前年同期比8.4%増)、セグメント利益は92,761千円(前年同期比40.0%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ2,062,438千円増加し、5,729,468千円(前事業年度末比56.2%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は1,820,944千円(前年同期は1,030,985千円の支出)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益1,939,558千円、減価償却費653,292千円及び仕入債務の増加額2,026,562千円であり、主な減少要因は棚卸資産の増加額2,534,139千円及び法人税等の支払額359,107千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は2,696,430千円(前年同期は2,711,263千円の支出)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得(主に賃貸用不動産の取得)による支出1,466,520千円及び連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,082,435千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は2,937,924千円(前年同期は3,516,868千円の収入)となりました。主な増加要因は、短期借入金の純増加額4,020,527千円及び長期借入れによる収入9,978,734千円であり、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出11,007,219千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが営む事業では、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。
b.受注実績
当社グループでは、受注生産として、注文建築の請負工事が該当しますが、金額の重要性が低いため「受注実績」としての記載は省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比 |
|
不動産開発・賃貸事業 |
2,885,740 |
17.0% |
|
不動産開発・販売事業 |
5,799,727 |
3.4% |
|
マンション事業 |
11,107,553 |
8.0% |
|
その他の事業 |
290,599 |
8.4% |
|
合計 |
20,083,621 |
7.8% |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
HC夙川合同会社 |
- |
- |
2,208,846 |
11.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成に係る重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
a.賃貸不動産(固定資産)の減損
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討しております。将来の事業計画や市場環境の変化により、減損の兆候が発生した場合、減損損失を計上する可能性があります。
なお、当連結会計年度末の賃貸不動産(固定資産)の減損に関する算定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
b.繰延税金資産
当社グループの繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断し計上しております。市場環境の変化等により課税所得の見積り額が変動した場合や、税制改正により実効税率が変更された場合及び将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
c.販売用不動産の評価
当連結会計年度末の販売用不動産の評価に関する見積りに用いた仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであり、当連結会計年度末の販売用不動産の評価に関する算定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討
(売上高)
当連結会計年度における売上高は20,083,621千円(前年同期比7.8%増)となりました。これは主に、マンション事業において、ファミリー向けの分譲マンションを205戸(前期277戸)及び投資ファンドへ販売したシニアマンション1棟(73戸)を引き渡したことによる売上高が11,107,553千円(前年同期比8.0%増)、不動産開発・販売事業において、戸建用土地販売73区画(前期89区画)・戸建販売47棟(前期69棟)・店舗建築販売5棟の引渡しをしたこと及び法人向け不動産の販売をしたことによる売上高5,799,727千円(前年同期比3.4%増)を計上したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は14,840,083千円(前年同期比10.2%増)となりました。これは主に売上高の増加に伴う原価の増加によるものであります。
この結果、売上総利益は5,243,537千円(前年同期比1.5%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は2,900,071千円(前年同期比9.2%増)となりました。これは主に、住宅・マンションの売上戸数に応じた広告宣伝費や販売促進費等の変動費用が増加したこと及び子会社の取得に伴いのれんが発生したことで、のれん償却費が増加したことによるものであります。
この結果、営業利益は2,343,465千円(前年同期比6.6%減)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は95,743千円(前年同期比59.3%増)となりました。これは主に戸建・マンション販売の契約解除による違約金収入の増加によるものであります。また、営業外費用は503,696千円(前年同期比16.0%増)となりました。これは主に、物件の仕入れに伴う借入の支払利息の増加によるものであります。
この結果、経常利益は1,935,513千円(前年同期比9.3%減)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は52,111千円(前年同期は27千円)となりました。これは、子会社所有物件の販売に伴う固定資産売却益の増加によるものであります。また、特別損失は48,066千円(前年同期比97.6%増)となりました。これは主に、当期に取得・リニューアルした収益物件の固定資産除却損の増加によるものであります。
当連結会計年度における法人税等合計は684,363千円(前年同期比14.8%減)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,255,194千円(前年同期比4.0%減)となりました。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度中におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、販売用及び賃貸用不動産の取得資金であります。その所要資金については自己資金、金融機関からの借入及び社債発行等により調達しており、案件ごとに調達条件を検討して決定しております。
③ 財政状態の分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況について
当社グループは、不動産開発を基礎として、不動産の仕入から販売に至るまでをフルラインでカバーすることで高い収益性を達成することを目指しております。目標達成状況を判断する材料として、自己資本当期純利益率(ROE)を客観的な指標としております。
なお、過去2年間の自己資本当期純利益率(ROE)及びEBIDAは以下のとおりであります。
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決算年月 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
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自己資本当期純利益率(ROE) |
13.8% |
11.0% |
|
EBIDA |
3,064,986千円 |
3,111,097千円 |
該当事項はありません。
該当事項はありません。