当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)企業理念と経営の基本的な方針
当社グループは、不動産事業を通じた「街づくり」と「地域活性化」を使命と考え、「人々が"安心"して住める街づくり」・「人々が"快適"に暮らせる街づくり」・「人々が"満足"する街づくり」を通して、地域の発展とそこに住む人々の幸せを追求することを企業理念に掲げております。
当社グループは、事業用不動産の取得(入口)~開発(商品化)~販売・賃貸(出口)までを縦断的にフルラインで扱う少数精鋭の専門家集団としての特徴を基盤とし、不動産業の一部領域に特化するのではなく、社会構造の変化、経済の動向、国策の転換等に応じて、柔軟に経営資源の選択と集中を行い、長期にわたり安定的成長を続けていくことを目指しております。
(2)経営環境
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの影響による大幅な落ち込みから段階的な社会経済活動の再開に伴う緩やかな回復基調となりました。一方で、世界的な金融引き締めや、地政学的リスクの顕在化により資源価格の高騰と物価上昇が進んでおり、今後の景気の下振れが懸念されています。当社グループの属する不動産市場に関しては、各種経済対策や継続的な低金利環境により、不動産需要自体は底堅く推移していると認識しておりますが、昨今の国際金融情勢の変化を踏まえた国内政策金利の動向や、物価高による消費マインドの減退といった要素が不動産市況に与える影響について注視が必要です。また、コロナ禍で急速に広がったリモートワークの影響で、郊外における住居ニーズの高まりや、オフィス需要の縮小などの動きが一部ございましたが、ポストコロナにおいてこうした傾向が今後も継続するのかどうか慎重な見極めが必要であります。
(3)経営戦略
当社グループは、土地の価値を最大化する不動産開発を掲げており、特定のエリアや用途に固執するのではなく、将来性のある優良地を見極め、中長期的な収益が最大化となる土地活用を追求する戦略を採っております。
当社グループは、土地の価値に対する分析力とその価値を最大限に引き出す企画構成力を活かし、社会経済情勢やニーズの変化に即応する付加価値の高い不動産を提供してまいります。特に、素地からの不動産開発については、土地ごとの個別性が高く、また、専門的知識と豊富な経験値が要求されることから、当社グループの独自性の高いアプローチとして、エリアや規模を問わず競争力を発揮できるものと考えており、このノウハウを活用して、近畿圏でのプレゼンスを高めると共に、首都圏へと営業エリアを拡大し、成長を加速させていきたいと考えております。
事業ごとの具体的な施策は以下のとおりです。
① 不動産開発・賃貸事業
当事業では、長期保有による安定した賃貸収益の獲得を目指しており、継続的に賃貸用不動産の保有数の積上げを進めております。賃貸用不動産の取得は、次の通り大別されますが、いずれも保有期間のキャッシュ・フローを投資の判断材料としております。
a)既存賃貸用不動産の取得
これまで当社グループでは、不動産の「目利き力」を活かして、高い収益性が見込まれる賃貸用不動産を取得してまいりました。過去のバブル崩壊やリーマンショックなどの経済的混乱が生じた際には、様々な理由で手放される「割安」な不動産を積極的に取得し、成長の糧としてまいりました。取得した不動産については長期保有を原則とし、設備更新やテナント管理、入居促進等によるバリューアップを図ることで安定的収益を獲得しているものと考えております。近年は、低金利環境等により収益不動産の市場価格が上昇したことを受け、含み益の大きな保有不動産については売却を実施し、手元資金を厚くすることで、新たな優良不動産を獲得する方針であります。
b)新規賃貸用不動産の自社開発
当社グループは、素地からの土地開発力を活かし、ロードサイドの商業施設開発を進めています。開発した土地について、当社が貸主となる事業用定期借地権(土地の用途が事業用に限定され、契約期間が10年から50年未満とされている借地権)を活用し、テナントから長期の安定収益を獲得するスキームに注力してまいりました。こうした素地からの開発には、既存不動産の取得に比べて許認可の取得や地権者との折衝といった一定のリスク等がある反面、素地価格での取得や開発業務の分離発注等を通じて原価を抑制することが期待でき、収益性を高めることができる特徴があると考えております。また、開発行為に一定の期間を要するものの、計画の初期段階で借主となるテナントの誘致活動を行い、借主が内定した時点で開発作業を本格推進することができることから、在庫リスクを低減することが可能であります。引き続き、新規賃貸用不動産の自社開発に積極的に取り組んでまいります。
2023年1月に、埼玉県熊谷市に本社を置く株式会社エルアンドビーを完全子会社化しました。当該会社は、埼玉県下を中心とする関東圏において店舗開発ビジネスを展開しており、当社グループの事業エリアの拡大に寄与するものと考えています。
② 不動産開発・販売事業
当事業では、戸建分譲地と、住宅以外の用途として産業用地(倉庫や工場用地などの事業活動に供する土地)の開発・販売を行っております。
a)戸建分譲
当社グループでは、主に和歌山市周辺エリアにおいて戸建分譲地の開発・販売と、住宅の建築請負事業を行っています。戸建分譲については、立地環境の優れた住宅地を開発することに加えて、「建物部分」の付加価値向上や市場細分化によるきめ細やかな価格及び仕様グレードの設定が重要であると考えております。そこで、当社グループでは和歌山エリアの地元ビルダーが一般的に採用している木造軸組み工法による標準ランクの商品企画に加えて、株式会社LIXIL住宅研究所が展開する「GLホーム」のFC加盟店として、木造枠組壁工法の一種である2×6工法による高気密・高断熱を謳った災害に強い商品づくりや欧米風デザインの採用による他社商品との差別化を推進しております。
和歌山市周辺エリアに加えて、近年は兵庫県西宮市、大阪府堺市等の近畿圏を中心として新たな住宅地開発に取り組んでおり、エリア拡大を進めています。
b)産業用地
近年多発する自然災害等に対する企業の危機管理の観点から、産業用地の移転や分散などの需要が高まるものと考えられます。当社グループではこうした需要に応えるべく、新たな取組みとして、企業をターゲットとした産業用地の開発・販売を進めており、2019年に和歌山県和歌山市吐前にて産業用分譲地を完成し、物流用途や工場用地として売却が進んでいます。
現在は後続案件の開発許可の取得を進めているところです。
c)店舗建築
2023年1月に株式会社エルアンドビーを完全子会社化したことにより、商業地開発に付随して、テナントからのオーダーに基づいて店舗や事務所等の建築事業を扱うようになりました。
③ マンション事業
ユニハイムエステート株式会社(2021年3月に吸収合併)は、当社が2016年3月に完全子会社化する以前から50年以上にわたり累計16,000戸以上(旧社名での販売実績及び共同事業分の事業比率に応じた販売実績を含む。)のマンション販売を継続してきました。
当事業では、この実績とブランド力を活用し、今後も大阪市中心部をはじめ、交通利便性の高いマンション適地を積極的に取得し、マンション供給数を着実に拡大していく方針です。また、これまで外部委託していた販売業務の一部を内製化することで収益力の向上と販売ノウハウの充実を図っており、セグメント利益率の改善に寄与しています。
今後、当社グループの賃貸用不動産運用のノウハウと、分譲マンション事業を主力としてきたユニハイムエステート株式会社(2021年3月当社に吸収合併)のリソースを活用した新たなビジネスモデルを推進し、合併のシナジー効果を創出してまいります。具体的には、中古マンションを一棟購入し数年程度運用した後、リノベーションを実施して分譲販売する案件や、マンション適地である不動産を取得して一定期間運用し、解体更地化を実施して分譲マンションに用途変更する案件等を手掛けております。一定期間、賃料収益獲得の目的で運用している間に、減価償却が進み、さらに分譲事業化のタイミングをコントロールすることで、他社物件との販売競争を回避し、適切な販売価格の設定と利益率の確保が可能であると考えております。
2022年11月に分譲マンション管理を手掛けてきたニューライフサービス株式会社を完全子会社化し、分譲マンションの管理業に進出しました。今後、当社グループが企画したマンションの管理事業を行うことで、顧客との長期リレーションを確立し、将来的なリフォーム需要や買替需要といったストックビジネスの拡充を図ってまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、不動産開発を基礎とした事業展開を行っており、不動産の仕入から販売に至るまでをフルラインでカバーすることで高い収益性を達成することを目指しており、目標達成状況を判断する材料として、自己資本当期純利益率(ROE)を客観的な指標としております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 経営管理体制の継続的な強化
当社グループでは、2022年11月ニューライフサービス株式会社を、2023年1月に株式会社エルアンドビーをそれぞれ完全子会社化し、既存ビジネスの深耕を進めています。両社とも経営管理やコンプライアンス管理において整備が必要であり、早期の体制構築に向けて鋭意取り組んでまいります。従来の当社グループ経営管理体制についても継続的に改善を行い、強化を図ってまいります。
② 優秀な人材の確保
不動産のワンストップサービスを向上させるためには、優秀な人材の確保が必要であると考えております。当社グループでは、不動産に関する幅広い知識と高い専門性を養うために、採用した人材について配置転換や部署横断的なキャリアプロセスを通じて、モチベーションの持続を図るとともにマルチスキルを有する人材としての育成を進めております。また、企業成長を促進するために、従来の人材育成プロセスを継続する一方で、即戦力となる経験豊富な人材も獲得し、営業エリアの拡大や新たなビジネス領域への進出を進めてまいります。
③ 再開発用地の取得
当社グループのビジネスモデルは優良な土地をできるだけ安価に仕入れることが重要であります。直ちに利用可能な完成宅地の取得は競合が多く、価格が上昇する傾向にあることから、当社グループの素地からの開発力とフルラインの強みを活かし、様々な理由で過小評価されている土地や現況では利用が限定される土地をできるだけ安価で取得し、隣地の買い増しや権利関係の整理あるいは既存建物の建替え等を通じて土地の価値を再生・バリューアップする再開発ビジネスを推進してまいります。
また、優良な開発用地の取得判断の迅速化のために、組織体制の一部を見直し、情報伝達の合理化を図るとともに、デジタルツールを活用した検討プロセスの効率化を進めてまいります。
④ 営業エリアの拡大
さらなる企業成長のためには、近畿圏だけでなく、より大きなマーケットである首都圏での営業展開が必要と考えております。2020年から東京支店を中心に不動産取得に向けた活動を開始しており、着実に不動産取得が進んでいますが、新たに子会社化した株式会社エルアンドビーの開発部門との連携を深めることで、首都圏での用地取得を強化してまいります。
⑤ 資金調達の多様化
当社グループにおける事業の資金調達は、主に金融機関からの借入に依存しております。近年の低金利の状況下において、期中の支払金利は低水準にあると認識していますが、借入実行時に発生するストラクチャリング手数料等のコストが増加傾向にあります。こうした一過性の費用の抑制と将来的な金利上昇の局面に備えて、エクイティファイナンス等を含めた資金調達の多様化を検討してまいります。
⑥ M&Aの実施
当社グループの不動産開発の特長は、素地開発から販売/賃貸まで一気通貫で扱う点にありますが、素地の開発用地に関する情報ルートは地域性が強い傾向があり、安定した情報ネットワークの構築には一定の時間や人材育成が必要であります。それぞれの地域に根差した企業とのM&Aや業務提携は、営業エリアの拡大や新規事業領域の開拓に有効であり、当社のビジネスモデルを導入することでシナジー創出も期待できることから、今後も積極的にM&Aの実施による事業拡大を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
事業環境が急激に変化する時代となり、企業にとって、経済だけではなく社会や自然環境における持続可能性への取組が重要な経営課題となりました。当社グループでは、企業活動を通じてサステナブル社会の実現に貢献することを基本方針とし、常に長期的視点に立った不動産事業を進めてまいります。
[理念・価値観]
・スローガン
拓く力、街に息吹。
・ミッション
「安心」・「快適」・「満足」な街づくりと地域の活性化
・ビジョン
夢がかなう世界に。
・バリュー
柔軟な発想、迅速な行動、常に挑戦
[事業領域]
当社グループは、不動産開発を通じて、土地の価値が最大限に発揮される可能性を追求する事業に取り組んでおります。土地や建物は長い年月にわたって存在し人間活動の基盤となることから、持続可能な社会の実現において不動産が果たす役割は極めて重要であると認識しております。
[重要課題]
当社グループの理念や価値観に基づき、不動産・建設業界における社会課題や環境関連課題について、国交省の「不動産分野TCFD対応ガイダンス」等の資料やSDGs関連資料を参照しつつ、当社グループのリスクマネジメント委員会及びコンプライアンス委員会において取り上げられてきた課題の精査を行いました。それぞれのプロセスで抽出されたテーマについて、「弊社にとって重要性の高いもの」と「ステークホルダーの皆様にとって重要性の高いもの」という2軸の観点で絞り込みを行いました。そして、2023年3月開催の取締役会において、環境問題・社会課題への貢献を中心とした次の9つの重要課題を特定いたしました。
・当社グループが取り組むべき重要課題
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①「安心」・「快適」・「満足」な居住環境の提供 ②持続可能な街づくりと地域の活性化 ③健やかな生活 ④低炭素社会への貢献 ⑤省エネ・創エネの推進 ⑥防災・減災への貢献 ⑦人材の多様性 ⑧柔軟な雇用形態 ⑨成長機会の提供 |
(1)ガバナンス
当社グループにおけるサステナビリティ関連の経営課題を統括するため代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を2023年3月より発足しました。サステナビリティ委員会は当社グループのサステナビリティ関連の重要課題への取組を推進する役割であり、コンプライアンス委員会、リスクマネジメント委員会、経営会議と連携して目標設定やモニタリングを統括し、取締役会への報告を行います。取締役会はサステナビリティ委員会の監督や経営会議を通じてサステナビリティ経営を実践してまいります。
(2)戦略
当社グループにおける環境関連の課題と動向について、重要なものは次のとおりと考えています。
大テーマ①低炭素社会(温室効果ガス排出抑制)への移行
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小テーマ |
リスク |
機会 |
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政策・法規制 |
新たな税負担・規制導入によるコスト増加 |
認証取得/低炭素不動産への需要増 |
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技術の発達 |
新技術・設備への切り替えコスト増加 |
省エネ等によるランニングコストの減少 |
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社会認識の変化 |
未対応による企業ブランドの毀損、競争力の低下 |
対応による企業ブランドの向上 |
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投資家・金融機関からの評価 |
未対応による低評価 |
対応による評価向上 |
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市場の変化 |
炭素税・カーボンプライシングによるコスト・逸失利益 |
炭素税・カーボンプライシング対応によるコスト減/収益獲得 |
大テーマ②気候変動の物理的影響
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リスク分類 |
小テーマ |
具体的な損害・被害 |
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急性リスク |
風水害の激甚化 |
・不動産の物理的損傷 ・復旧コストの増加 ・沿岸地域の資産価値の低下 ・従業員のケガ・事故 |
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風水害による事業停止 |
・浸水・停電・降雪・強風等による事業停止 ・サプライチェーンの断絶による事業停止 |
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慢性リスク |
平均気温の上昇 |
・空調コストの増加 ・冬季リゾート地の需要減少 ・労働生産性の低下 ・労働環境の悪化 ・浸水被害の増加 |
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水リスク |
・水不足、干ばつによる事業の制限 ・水道料金の増加 |
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保険料 |
・保険適用範囲の縮小 ・保険料の増額 |
・環境関連課題への対応方針
これら環境関連のうち、低炭素社会への移行リスク/機会への対応として、住宅や店舗建築において環境負荷の低い材料や、省エネ・創エネの採用を進めていく方針であります。また、気候変動の物理的影響については、損害・被害を逓減することを目的として、新規開発時には防災・減災設備の充実やレジリエントな企画を進めることとし、また既存不動産については各物件の長期修繕計画を精査し、リノベーションや大規模修繕による不動産価値向上と耐用年数の延長を図ってまいります。
当社グループの不動産開発・賃貸事業は、長期保有を基本原則としており、できるだけ長期にわたり資産価値が保持されるように適切な管理と投資を行ってまいります。
当社グループにおける社会課題と動向、人的資本に関連する項目について、重要なものは次のとおりと考えています。
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課題・動向 |
リスク |
機会 |
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ジェンダー平等 ※ (女性エンパワーメント) |
・企業イメージ ・労働生産性 ・人手不足 |
・企業イメージ ・生産性向上 ・採用/人材確保 ・新規サービス、事業 |
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働き方の多様化 ※ |
・企業イメージ ・労働生産性 ・人手不足 |
・企業イメージ ・生産性向上 ・採用/人材確保 ・新規サービス、事業 |
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人権問題(サプライチェーン) |
・企業イメージ ・不買運動 ・サプライチェーンの停止 |
・企業イメージ ・ファンづくり ・原材料確保 |
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雇用環境の改善 ※ |
・企業イメージ ・採用、人材確保 ・離職率と採用コスト ・労働意欲 |
・企業イメージ ・採用、人材確保 ・離職率と採用コスト ・労働意欲 |
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人材育成投資 ※ |
・企業イメージ ・研修コスト ・導入、モニタリングコスト |
・企業イメージ ・人材確保 ・生産性の向上 ・許認可要件の充足 |
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社会構造の変化 (少子化・晩婚化・高齢化) |
・マーケットサイズの縮小 ・ボリュームゾーンの変化 ・ニーズの変容 ・所得、資産格差 |
・差別化の推進 ・新規商品、サービス
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地方の活力低下 |
・マーケット縮小 ・資産価値の減退 ・在庫リスク |
・新規事業/サービスの推進 ・公的機関との連携 ・ドミナント戦略の推進 |
(注) ※印は、人的資本関連課題であります。
・人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
先行きの予測が困難な時代となり、これまで以上に柔軟な発想で、迅速な行動がとれる人材の確保が重要と認識しております。また、当社グループでは創業以来、不動産業はお客様の夢をカタチにする事業であること、そして、社員自身も夢を持ち、その実現に向けて努力することが大切であると考えてまいりました。自分自身とお客様の夢の実現に向けて取り組む人材が当社グループの事業を支えており、これからの企業価値向上のためにも大切な価値観であると考えております。
当社グループでは不動産事業をワンストップで扱うビジネスモデルを展開していることから、幅広い知識と経験及び高い専門性を有する人材が必要であります。
こうした考え方に基づき、当社グループでは、企業の成長ステージや営業エリアの拡大に合わせて即戦力のキャリア採用、異業種からの転職者、新卒採用などを通じて多様な人材の獲得を進めております。
育成方針としては、知識や資格取得のための研修制度を充実することで学びの機会を増やし、また、事業推進において必須な項目については研修成果の評価プロセスを通じてモチベーションの維持を図ってまいります。
社内環境の整備として、働き方の多様化を踏まえ、また、育児・介護といった各社員の家庭状況に応じた柔軟な業務内容や勤務形態が採れる体制の整備を進めてまいります。
加えて、柔軟な配置転換や役割変更を実施することで多様なキャリアパスを用意し、高い意欲が損なわれない工夫をしてまいります。
・社会課題対応に関する方針
当社グループでは、コンプライアンス委員会やリスクマネジメント委員会において、当社の事業と関連性の高い社会課題の抽出を行い、各テーマに沿った研修や意見交換を実施しております。交わされた議論に基づき、当社グループの規模に応じて実行可能な施策に順次取り組んでまいります。
(3)リスク管理
サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価、及び管理するために、サステナビリティ委員会を推進役として位置付けております。同委員会は、代表取締役社長を議長とし、常勤取締役並びに執行役員により構成されております。同委員会では、コンプライアンス委員会で議論される環境・ガバナンス関連の課題や、リスクマネジメント委員会で取り上げられる環境・社会にかかわる事項の抽出や見直しを行い、経営会議を通じて目標設定や具体的なアクションプランの設定とモニタリングを行っております。
取締役会はサステナビリティ委員会と連携し、効果測定や進捗率について協議を行い、当社グループの各事業計画や中期計画との整合を図りつつ、経営会議や各事業責任者への指導を通じて改善指導を行ってまいります。
(4)指標及び目標
上記「(2)戦略」において記載した環境関連課題への対応方針に基づき、モニタリングとして次の指標を用いております。なお、当社グループは各社の業態、営業エリアが異なり、商品構成や規模が異なるため、提出会社の主要事業のうち、毎期一定量の供給等が見込まれる指標について具体的な目標を記載しております。
なお、自社ビルのCO2排出量モニタリングは2024年3月期より開始する予定であり、現状を把握したうえで目標設定を検討してまいります。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
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住宅事業(和歌山エリア) 新築太陽光搭載率 |
2030年 搭載率80% |
搭載率52% |
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住宅事業(和歌山エリア) ZEH比率 |
2030年 普及率50% |
普及率11% |
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自社ビルCO2排出量(従業員1人当たり) |
未設定 |
2023年4月よりモニタリング開始 |
また、上記「(2)戦略」において記載した人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に基づき、モニタリングとして次の指標を用いております。なお、当社グループは状況の異なるM&A直後の子会社を含んでおり連結グループにおける記載が困難であるため、提出会社における指標について記載しております。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
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女性採用率 ※1 |
2030年 50% |
50% |
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男女の賃金の差異 ※2 |
2030年 100% |
87% |
※1 (年間女性採用数)÷(年間総採用数)
※2 労働者(管理監督者を除く)に関して、平均基本給(女性)÷平均基本給(男性)
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)社会経済情勢の変動について
当社グループの事業は、景気、個人消費、金利、地価・不動産需要、各種税制及び補助制度等の動向により影響を受けます。景気の急速な悪化や個人消費の冷え込み、大幅な金利上昇、不動産需給の悪化、住宅税制の変更等が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の再拡大や、新たなパンデミック発生等により景気全体が著しく悪化した場合には、一般顧客層の住宅購入意欲の低下や出店施策変更による賃貸需要の減退、賃料低下等が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
著しい販売不振が生じた場合には、販売促進のための費用増加や値引施策の実施等により採算悪化が生じるリスクがあり、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(2)土地の仕入について
当社グループの事業は、賃貸又は分譲販売に用いる優良な土地を取得することが重要であり、取引事業者や金融機関等からの情報に基づき、不動産毎の立地、周辺環境、価格、顧客ニーズ等を踏まえた事業化・商品化を検討し、収益性等を考慮の上で新規取得を行っております。
今後において、良質な不動産情報入手が困難となる場合や地価上昇その他の要因により収益性確保が可能な不動産が減少した場合及び、その他何らかの要因により取得が困難となった場合、当社グループの事業展開の制約要因となり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)原材料・資材価格等の変動について
当社グループの事業展開においては、戸建建築及びマンション等の建築において、木材・鉄材・セメント等の各種原材料・資材等を使用しております。それらの仕入価格は市場価格の変動により影響を受けており、今後において、原材料市況や需給、為替等の変動により仕入価格が高騰した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
特に、海外での新築住宅需要の急増や商流の変動により、新築住宅建築に必要な材木価格が上昇傾向にあります。仕様見直しや代替品確保等による企業努力で吸収できないコスト増分については、建築請負による販売利益の圧縮や営業計画の変更が必要となる可能性があります。
(4)外注企業の活用について
当社グループの各事業においては、開発用地のプランニング、開発許可申請、造成工事にかかる設計施工等について外注企業を活用しております。また、「不動産開発・販売事業」においては、戸建建築等に際して、自社にて設計業務及び管理者(監理技術者・主任技術者)配置による施工管理業務を行うほか、施工工事等は外注企業を活用しており、「マンション事業」においては、設計から施工までの各工程について外注により対応しております。当社グループの事業運営において、外注活用の重要性は高いことから、外注企業の確保及び育成に努めております。
今後の事業展開において、外注企業にかかる十分なリソース確保が困難となった場合には、当社グループの事業拡大の制約要因となる可能性があるほか、外注企業の経営不振や請負契約の不履行、設計・施工上の不具合の発生やその他予期せぬ事象が発生した場合には、工事等の中断又は大幅な遅延、建設コストの上昇等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)契約不適合について
戸建建築及び分譲マンションについては、宅地建物取引業法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき、売主に対して物件引渡後10年間にかかる契約不適合責任が課せられております。
当社グループは、開発、分譲及び販売等を行う不動産にかかる品質管理を徹底しており、土壌汚染、使用建材、耐火・耐震性能及び施工品質等について、自社及び第三者機関の検査等を含むチェック体制を構築しております。
今後において、当社グループが供給する不動産について、販売・引渡し後に上記事項を含む何らかの契約不適合が判明した場合、当社グループに対する信頼性低下や損害賠償請求の発生等により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)賃貸用不動産にかかる稼働率について
当社グループが展開する不動産賃貸においては、商業施設やオフィスビルにおける主要テナント企業の出店戦略変更等に伴う退去や、入居者獲得競争の激化等により、賃貸用不動産にかかる稼働率に低下が生じる可能性があります。また、代替テナント等の確保のため賃料引下げが必要となる場合もあり、これらの要因による収益性低下が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)大型開発案件について
当社グループは、着手から販売まで数年単位の期間を要する不動産開発を事業の軸としています。
大規模開発には、用地取得等にかかる多額の投資が必要であるほか、開発許可取得、各種関係者の調整や工事等の多くの業務プロセスが必要であります。開発に際し、近隣住民等の反対運動が発生し結果としてプロジェクトの中止や遅延が発生する可能性があるほか、必要とされる許認可の取得や関係者の調整ができない場合は、事業が中止となるリスクを有しております。
(8)エリア展開について
当社グループの営業地域は、和歌山県を中心とした近畿エリアに集中しております。当該地域において、地域経済の悪化や人口動態に変化が生じた場合又は台風や地震等の大規模災害による影響が発生した場合には、当該エリアにおける不動産市況等に影響が生じ、当社グループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは、当該地域を中心として事業エリア拡大を推進していく方針でありますが、新たな営業エリアにおける競合や事業実績が限定的であること等に起因して、当社グループの想定する事業拡大が実現出来ない可能性があり、営業拠点分散に伴う業務効率の悪化等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)人材の確保について
当社グループの事業は、専門的な知識及び経験に加えて、不動産取引に係るソリューション提供や調整能力、高いコミュニケーション能力を有する人材が重要な要素であります。
今後における事業拡大を図るため、優秀な人材の確保及び育成が必要であると考えておりますが、これらが計画通り進まない場合又は現在在籍する人材の流出が生じた場合には、当社グループの事業展開に影響が生じ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)法的規制について
当社グループの事業である不動産・建設・介護・飲食・温泉等に関する事業活動において、「宅地建物取引業法」、「建設業法」、「建築基準法」、「都市計画法」、「国土利用計画法」、「借地借家法」、「介護保険法」、「公衆浴場法」、「食品衛生法」及び関連法令等による法的規制を受けており、特に「宅地建物取引業法」に関しては当社の主要な事業活動の前提となっております。
当社グループの事業に関係する許認可は下表のとおりであります。当社グループは、法令遵守に留意した事業展開を行っており、現時点において当該許認可が取消しとなる事由は発生しておりませんが、今後において何らかの理由により、当該許認可が取消される又はこれらの更新が認められない場合には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに、経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
また、将来において、当社グループの事業に関連する法規制等が改廃された場合や新たな法規制等が設けられた場合には、事業展開において制約要因となる可能性があります。
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許認可の名称 |
事業所名 |
許認可番号等/有効期限 |
取消条項 |
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宅地建物取引業 (免許) |
和歌山本店 |
国土交通大臣(2)第8520号 自 2018年10月19日 至 2023年10月18日 |
宅地建物取引業法 第5条 |
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一般建設業 (許可) |
和歌山本店 |
国土交通大臣 許可(般-3)第28183号 自 2021年6月18日 至 2026年6月17日 |
建設業法 第7条・第8条 |
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特定建設業 (許可) |
和歌山本店 |
国土交通大臣 許可(特-3)第28183号 自 2021年6月18日 至 2026年6月17日 |
建設業法 第15条・第17条 |
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一級建築士事務所 (登録) |
和歌山本店 |
和歌山県知事登録 第(リ)136-2号 自 2020年7月3日 至 2025年7月2日 |
建築士法 第23条の4 |
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大阪本社 |
大阪府知事(イ)第26063号 自 2021年4月16日 至 2026年4月15日 |
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賃貸住宅管理業者 (登録) |
和歌山本店 |
国土交通大臣(02)第000417号 自 2021年8月13日 至 2026年8月12日 |
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 第23条 |
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小規模不動産特定共同事業事業者 (登録) |
和歌山本店 |
和歌山県知事(1)第1号 自 2020年9月2日 至 2025年9月1日 |
不動産特定共同事業法第53条 |
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公衆浴場営業 (許可) |
株式会社ウェルネス・コート |
和歌山県指令海保衛第09190003号 - |
公衆浴場法 第7条 |
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訪問介護営業 (許可) |
株式会社ウェルネス・コート |
- 自 2019年8月1日 至 2025年7月31日 |
介護保険法 第77条 |
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海南市介護予防・日常生活支援総合事業営業 (許可) |
株式会社ウェルネス・コート |
- 自 2022年9月1日 至 2025年8月31日 |
介護保険法 第77条 |
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居宅介護支援営業 (許可) |
株式会社ウェルネス・コート |
- 自 2020年7月1日 至 2023年6月30日 |
介護保険法 第77条 |
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介護予防・訪問看護 (指定) |
株式会社ウェルネス・コート |
- 自 2019年1月1日 至 2024年12月31日 |
介護保険法 第77条 |
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地域密着型通所介護営業(許可) |
株式会社ウェルネス・コート |
- 自 2022年9月1日 至 2028年8月31日 |
介護保険法 第77条 |
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飲食店営業 (許可) |
株式会社ウェルネス・コート |
4-21-1-01-003 (LIC20210000005169) 自 2021年6月15日 至 2027年6月30日 |
食品衛生法 第55条及び第56条 |
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損害保険代理店 (登録) |
和歌山本店 |
AIG損害保険株式会社 損害保険代理店委託登録番号 21661000579 - |
保険業法第280条 民法第653条 |
(12)個人情報の管理について
当社グループは、事業活動において顧客等の個人情報を取得しており、また、各種契約に際してはその性質上プライバシー性の高い情報を扱っております。当社グループは、個人情報の取り扱いにかかる社内規程及びマニュアルの整備及び運用を実施すること等により厳正な管理を行っておりますが、不測の事態により情報漏洩が発生した場合、信用低下や企業イメージの毀損、また損害賠償請求等により経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)不動産の引渡時期等による業績の変動について
当社グループの「不動産開発・販売事業」及び「マンション事業」においては、不動産売買契約後において顧客に対する引渡をもって売上を計上する引渡基準を採用しております。
当社グループの四半期業績は、不動産引渡しのタイミングにより売上及び利益が変動しており、大型開発案件の有無や各不動産の完成・引渡しの時期により大きく依存しております。当該要因から、四半期ごとの業績については、必ずしも他の四半期業績と同水準にはならず、また、各四半期業績の偏重度合は過年度のそれと同様にならない可能性があります。
また、当社グループの計画に対して、販売活動や建築工事の遅延等に起因して、引渡時期が各決算期末を超える可能性があり、当社グループの通期経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このほか、完成・引渡し不動産の取得価額や販売価格の高低等により業績が変動する場合、当社グループの通期経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)有利子負債について
当社グループは、販売用不動産及び賃貸用不動産にかかる不動産取得資金について、主に金融機関借入により賄っております。また、事業成長を目的としてこれら投資を継続していることから、当社グループの連結総資産額に占める有利子負債の割合は、当連結会計年度末時点で61.0%(前期58.4%)となっております。
当該状況から、今後、金利の急激な上昇が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、金融情勢の急速な変動等の何らかの理由により将来における十分な資金調達が困難となる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)保有資産の減損について
当社グループの保有資産について、棚卸資産においては販売用不動産(仕掛含む)が、固定資産においては賃貸用不動産が、それぞれ多くを占めております。不動産市況の著しい悪化等によりこれら棚卸資産及び固定資産の価値が下落した場合、評価損の計上や減損処理が適用され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)訴訟等について
当社グループの事業においては、不動産売買や賃貸借、土地開発、設計施工その他の各種取引、飲食や介護等にかかる各種サービス提供について、予期せぬトラブルや問題が生じるリスクがあり、その要因が当社グループに起因するか否かに拘らず、紛争等が発生する可能性があります。また、紛争等に対する対応が不適当であった場合等には、風評を含めた信頼性低下や訴訟に発展する可能性があり、場合によっては多額の費用負担が生じる可能性がある等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)大株主に関するリスク
当社の代表取締役社長である山田茂は、当連結会計年度末現在で発行済株式総数の38.9%を保有しており、同氏の資産管理会社であるウィル・アセット株式会社が保有の7.0%と併せて45.8%を保有しております。同氏は、当社の創業者であり代表取締役社長であることから、引き続き安定株主として一定の議決権を保有し、その議決権行使に当たっては株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針ですが、将来的に何らかの事情により同氏の当社株式が売却され議決権比率が低下した場合、当社株式の市場価格及び議決権の行使に影響を及ぼす可能性があります。
(18)M&Aに関するリスク
当社グループでは、事業領域の拡大や新たな収益獲得のためにM&Aを実施する場合があります。当社グループの経常的なビジネスモデルと異なり、投資先の探索については、対象企業ごとに状況が大きく異なり、安定的に優良案件を獲得できるとは限りません。また、M&A実施時に発生する一時的なコストにより、業績が悪化する可能性があります。また、想定した事業計画が予定通り進捗しない場合は、のれんの減損処理等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,548,615千円増加し、41,439,576千円となりました。
これは主に、仕掛販売用不動産が2,608,477千円増加したこと及び有形固定資産が2,657,992千円増加したこと並びにのれんが425,592千円増加した一方で、販売用不動産が2,141,439千円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ757,169千円増加し、30,552,116千円となりました。
これは主に、支払手形及び買掛金が2,378,906千円減少した一方で、借入金が3,150,550千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,791,445千円増加し、10,887,460千円となりました。
その主な要因は、利益剰余金が1,200,866千円増加したことによるもの及び東京証券取引所スタンダード市場への上場に伴う公募増資やストック・オプションの行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ791,478千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの影響による大幅な落ち込みから段階的な社会経済活動の再開に伴う緩やかな回復基調となりました。一方で、世界的な金融引き締めや、地政学的リスクの顕在化により資源価格の高騰と物価上昇が進んでおり、今後の景気の下振れが懸念されております。
当社グループの属する不動産市場に関しては、各種経済対策や継続的な低金利環境により、需要は底堅く推移していると認識していますが、昨今の国際金融情勢の変化を踏まえた国内政策金利の動向や、物価高による消費マインドの減退といった要素が不動産市況に与える影響について注視が必要です。また、コロナ禍で急速に広がったリモートワークの影響で、郊外における住居ニーズの高まりや、オフィス需要の縮小などが一部ございましたが、ポストコロナにおいてこうした傾向が継続するのかどうか慎重な見極めが必要であります。
当社グループは、不動産開発を通じて、土地の価値が最大限に発揮される可能性を追求する事業に取り組んで おり、特定の建物用途に固執せず、「土地を起点とした発想」で中長期的なキャッシュ・フローの最大化ができるように、時代の変化に応じて柔軟な事業展開を行っております。不動産売却による利益の一部は、賃貸用不動産の獲得に投資し、安定収益の上積みを継続することを基本戦略としております。
当社グループは、開発した不動産の用途と収益形態に応じて、①商業施設や共同住宅等の賃貸用不動産の保有により賃料収入を得る「不動産開発・賃貸事業」、②戸建用地や産業用地の分譲販売と住宅建築を行う「不動産開発・販売事業」、③マンションの企画開発及び分譲販売を行う「マンション事業」、④高齢者向けサービス事業等を行う「その他の事業」の4事業に区分して展開しております。
このような状況の下、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高18,626,327千円(前年同期比2.9%減)、営業利益2,508,766千円(前年同期比12.5%減)、経常利益2,134,492千円(前年同期比16.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,307,386千円(前年同期比18.4%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(不動産開発・賃貸事業)
当セグメントにおきましては、共同住宅物件並びに商業用不動産の稼働が堅調に推移しました。新たに、期中においてオフィスビル(和歌山県和歌山市)等の取得に成功したことに加えて、2023年1月に子会社化した株式会社エルアンドビーにおいても、埼玉県下を中心に賃貸用不動産を所有しており、保有不動産の用途やエリアの分散化が進められました。
これらの結果、セグメント売上としては2,466,090千円(前年同期比2.2%増)、セグメント利益は824,055千円(前年同期比2.4%増)となりました。
(不動産開発・販売事業)
当セグメントにおきましては、法人向けの産業用地販売に関して、前期に続き、一定規模の土地売却に成功しました。
一般顧客向けの分譲地販売・戸建販売に関して、コロナ禍の影響が残る中で上半期の和歌山エリア展示場での集客が弱く、下半期の引渡しに伸び悩みました。建築コストに関して、資材価格の高騰がありましたが、商品仕様の見直しや広告宣伝・販売促進活動の工夫により資材高騰分の吸収に成功したことで、一定の利益率を維持することができました。西宮エリアでは、「夙川 St Terrace 秀麗の丘」の在庫販売を中心として予定通りの販売進捗となりました。
これらの結果、セグメント売上としては5,609,457千円(前年同期比6.2%減)、セグメント利益は1,318,252千円(前年同期比30.2%減)となりました。
(マンション事業)
当セグメントにおきましては、一部の物件について、販売開始直後の集客に弱含みがありましたが、次第に客足が回復し、若干計画を上回るペースで進捗しました。当期は前期完成在庫の販売に加えて、新規完成物件であるコンパクトマンションシリーズのアウラ上本町(総戸数39戸)、アウラ京町堀(総戸数48戸)と、主力ブランド商品のユニハイム平野本町(総戸数46戸)、ユニハイム東住吉フォレスト(総戸数54戸)等を中心として、277戸の引渡しがありました。
これらの結果、セグメント売上としては10,282,740千円(前年同期比2.2%減)、セグメント利益は1,089,991千円(前年同期比59.2%増)となりました。
(その他の事業)
当セグメントにおきましては、シニア事業に関しては、高齢者向けマンションの入居率が90%と高稼働を維持し、これに伴い介護関連サービスの利用も堅調となりました。レジャー事業に関しては徐々に回復基調にあるものの、コロナ前の水準に戻るにはもう少し時間を要すると考えています。
これらの結果、セグメント売上としては268,038千円(前年同期比0.6%減)、セグメント利益は66,252千円(前年同期比20.9%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ225,380千円減少し、3,667,029千円(前事業年度末比5.8%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は1,030,985千円(前年同期は4,997,710千円の収入)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益2,110,194千円、減価償却費527,281千円であり、主な減少要因は、仕入債務の減少額2,514,781千円及び法人税等の支払額1,250,992千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は2,711,263千円(前年同期は1,107,960千円の支出)となりました。主な減少要因は、定期預金の増加額429,394千円及び有形固定資産の取得(主に賃貸用不動産の取得)による支出1,862,214千円並びに連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出411,232千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は3,516,868千円(前年同期は3,027,818千円の支出)となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入9,579,020千円及び株式の発行による収入1,572,624千円であり、主な減少要因は、短期借入金の純減額1,871,474千円及び長期借入金の返済による支出5,656,782千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが営む事業では、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。
b.受注実績
当社グループでは、受注生産として、注文建築の請負工事が該当しますが、金額の重要性が低いため「受注実績」としての記載は省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比 |
|
不動産開発・賃貸事業 |
2,466,090 |
2.2%増 |
|
不動産開発・販売事業 |
5,609,457 |
6.2%減 |
|
マンション事業 |
10,282,740 |
2.2%減 |
|
その他の事業 |
268,038 |
0.6%減 |
|
合計 |
18,626,327 |
2.9%減 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
ニデックグローバルサービス株式会社 |
2,190,000 |
11.4 |
- |
- |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成に係る重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
a.賃貸不動産(固定資産)の減損
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討しております。将来の事業計画や市場環境の変化により、減損の兆候が発生した場合、減損損失を計上する可能性があります。
なお、当連結会計年度末の賃貸不動産(固定資産)の減損に関する算定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
b.繰延税金資産
当社グループの繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断し計上しております。市場環境の変化等により課税所得の見積り額が変動した場合や、税制改正により実効税率が変更された場合及び将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
c.販売用不動産の評価
当連結会計年度末の販売用不動産の評価に関する見積りに用いた仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであり、当連結会計年度末の販売用不動産の評価に関する算定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討
(売上高)
当連結会計年度における売上高は18,626,327千円(前年同期比2.9%減)となりました。これは主に、マンション事業において、ファミリー向けの分譲マンションを277戸(前期282戸)引き渡したことによる売上高が10,282,740千円(前年同期比2.2%減)、不動産開発・販売事業において、土地販売89区画(前期100区画)・戸建販売69棟(前期81棟)の引渡しをしたことによる売上高5,609,457千円(前年同期比6.2%減)を計上したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は13,462,004千円(前年同期比0.8%減)となりました。これは主に売上高の減少に伴う原価の減少によるものであります。
この結果、売上総利益は5,164,322千円(前年同期比7.8%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は2,655,556千円(前年同期比3.0%減)となりました。これは主に、住宅・マンションの売上戸数に応じた広告宣伝費や販売促進費等の変動費用が減少したことによるものであります。
この結果、営業利益は2,508,766千円(前年同期比12.5%減)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は60,085千円(前年同期比35.1%減)となりました。これは主に受取保険金の減少によるものであります。また、営業外費用は434,359千円(前年同期比7.1%増)となりました。これは主に、支払手数料の増加によるものであります。
この結果、経常利益は2,134,492千円(前年同期比16.4%減)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は27千円(前年同期は5,793千円)となりました。これは、固定資産売却益の減少によるものであります。また、特別損失は24,325千円(前年同期比84.3%減)となりました。これは主に、固定資産除却損の減少によるものであります。
当連結会計年度における法人税等合計は802,808千円(前年同期比0.2%増)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,307,386千円(前年同期比18.4%減)となりました。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度中におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、販売用及び賃貸用不動産の取得資金であります。その所要資金については自己資金、金融機関からの借入及び社債発行等により調達しており、案件ごとに調達条件を検討して決定しております。
③ 財政状態の分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況について
当社グループは、不動産開発を基礎として、不動産の仕入から販売に至るまでをフルラインでカバーすることで高い収益性を達成することを目指しております。目標達成状況を判断する材料として、自己資本当期純利益率(ROE)を客観的な指標としております。
なお、過去2年間の自己資本当期純利益率(ROE)は以下のとおりであります。
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決算年月 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
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自己資本当期純利益率(ROE) |
21.9% |
13.8% |
(1)フランチャイズ契約
当社は、初契約日を2019年9月30日付とした「GLホームフランチャイズチェーン加盟契約書」を株式会社LIXIL住宅研究所と締結しております。契約の概要といたしましては、契約期間を2022年9月30日から2025年9月29日までとした契約更新型の「GLホーム住宅の建築・販売」に関するフランチャイズ契約となっております。ロイヤリティとして固定的費用と売上高に応じた変動的費用を支払っております。
該当事項はありません。