第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は「関わる従業員、お客様、取引先様の幸せを実現する」ことを企業理念に掲げ、事業運営を行っております。その実現のために「ECで、すべての人を豊かに」をスローガンにクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」の開発及び保守サービスの提供を行っております。

 

(2)経営環境及び経営戦略等

 当社が関連するEC市場は、経済産業省が2021年7月に公表した「令和2年度電子商取引に関する市場調査」によるとBtoB、BtoC共にEC化率が増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き発展していますが、一方では業界におけるエンジニアの数が不足しており、当社におきましてもエンジニアの確保が重要な経営課題となっております。このような環境のなか、クラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」の確固たる地位を構築・獲得し、中長期的な経営戦略を実現するため、以下の項目を今後の課題として位置付けております。

当社は、従来より既存顧客の満足度向上及び新規顧客の開拓を図るため、組織改編及びマーケティング部門の強化を実施し、保守売上の積み上げ及び新規開発売上の獲得に努めてまいりました。また、「ebisumart」の信頼性をより高めるため、情報セキュリティマネジメントシステムISO/IEC27001の認証取得やクレジットカード業界における国際セキュリティ基準であるPCI-DSSへの準拠も継続しております。

 今後は、これらをベースにさらに快適・安全に「ebisumart」を利用していただくためシステムの継続的なアップデートを行ってまいります。具体的には機能拡充、品質向上、セキュリティ強化を重点的に取り組むとともに、ブランド戦略の強化、R&Dによる先端技術の開発、セールス・生産体制の強化を行いお客様の事業拡大に貢献してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は経営指標としてシステム受託開発の受注金額及び期末店舗数を重要な経営指標と位置付けております。各業種の上位企業をターゲットとして事業活動を行うことでGMV(流通総額)の最大化を図り、解約率を低減して着実に店舗数を積み上げることで売上高及び利益の安定的な成長を実現し、継続的な企業価値の向上を目指します。

 

(4)対処すべき課題

①オープンプラットフォーム化の推進

 APIを公開し、当社のパートナー企業が広く「ebisumart」のカスタマイズに参加できる環境を整備することにより、パートナー開拓を通じた事業規模の拡大を進めてまいります。

 また、パートナー企業に対しパートナープログラム「ebisumart ecosystem」を展開することで、オープンプラットフォームとしての地位を明確化し、パートナー企業との連携を強固なものとすることにより顧客に対するサービス内容の向上を図ってまいります。

0102010_001.jpg[API累計公開数の推移]

 

(注)1.処理カスタマイズAPIとは「ebisumart」のシステムによる処理の一部をアプリによってカスタマイズするための仕組みであります。

2.データアクセスAPIとは、「ebisumart」が保持しているデータにアプリからアクセスするための仕組みであります。

 

②顧客満足度の向上

a.サポートサイトの充実

 顧客向けサポートサイトの更なる充実を図り、マニュアルや各種説明資料、Q&Aコンテンツの拡充を通じて、わかりやすさを改善してまいります。

b.標準・オプション機能の追加開発

 ECサイト構築プラットフォームという特性から、他社サービスと比較をして機能的な優位性を維持する必要があります。顧客ニーズを注意深く収集し、他社システムとの優位性を確保すべき機能を積極的に開発し、標準又はオプション機能(有償)として提供してまいります。

c.新規クラウドコマースプラットフォームの開発

 EC市場拡大と既存顧客の成長を見越し、従来よりEC流通総額の大きいハイエンド層に対応可能な、新しい

スペックのクラウドコマースプラットフォームの開発を進めてまいります。柔軟なカスタマイズの優位性はそのままに、新たな顧客層の獲得により、引き続きクラウド型ECプラットフォーム市場においてシェアの拡大に努めてまいります。

d.品質改善・セキュリティ対策

 さらなるプログラムの品質向上を目指し、品質管理体制の強化、自動テストの導入などを実施し安定稼働とパフォーマンスの向上を目指します。また、引き続きISO/IEC27001の認証、PCI-DSSへの準拠を含め、セキュリティ面の強化にも積極的に取り組んでまいります。

 

③営業力の強化

a.パートナーネットワークの構築

 「ebisumart」の販売代理店となるセールスパートナー、「ebisumart」を利用したSI(システムインテグレーション)を行うソリューションパートナー、「ebisumart」を自社ブランドで提供するOEMパートナー、当社が受託したシステムの開発や当社サービスを用いたECサイトのデザインを委託するアウトソースパートナー、「ebisumart」向けのアプリケーションを開発するアプリケーションパートナーの開拓を引き続き行い、当社サービスの普及拡大を推進してまいります。

b.ブランディング・広告販売の強化

 当社サービスの知名度をさらに高めるため、引き続き積極的なセールスプロモーション及びPRを行い、ブランド力の向上に努めてまいります。

c.人材の確保・育成について

 当社はインターネットを通じたコンピュータサービスの提供を行っており、全てのサービスが直接的に人の手で構築運用されております。そういった環境の中で高度なシステムエンジニアリング及びコンタクトセンターサービスを提供する必要があり、有能な人材の採用及び継続的な教育は経営上の最重要課題として位置付けております。

d.顧客ニーズの収集体制強化

 従来よりECコンシェルジュという専任のサポートスタッフによるコンタクトセンター運用を通じ、顧客満足度の向上を図って参りましたが、更なる顧客満足度の向上のためカスタマーサクセスチームを設置し、主体的に顧客のニーズを収集できる体制を構築いたしました。今後は収集した情報を基に顧客満足度及び品質の向上を図ってまいります。

e.エンジニアの強化

 顧客のサイト新規オープン並びに運用後の修正作業について、今後アウトソースパートナーへの開発委託を積極的に推進する一方で、引き続きコアプロダクトは品質及びスピードを重視し社内で開発を行っていくため、継続的なエンジニアの採用及び教育を推進してまいります。

 

④収益力の強化

a.ストック収益の拡大

 当社は収益力を強化するために、ストック収益であるシステム運用保守売上を最大化するため、新規店舗の獲得に努めてまいります。

b.プロジェクト・マネジメントの強化

 現在比較的大規模のプロジェクトが増えており、不採算案件の発生は収益を大きく毀損することになるため、プロジェクト・マネジメントの強化を図り、不採算案件を発生させない取り組みを強化してまいります。

c.内部管理体制の強化

 短期間で組織を拡大・構築する中で、従業員の確保・育成とともに知見の共有、業務の標準化及び効率化を図ることが重要であると考えております。また、コーポレート・ガバナンスを充実することで内部管理体制の強化を図り、企業価値の最大化に努めてまいります。

d.新規サービスの創出

 単一事業による経営リスクの低減とエンジニア人材の流動性を高めて技術力向上をはかるために、新規サービ

スの構築と人材の育成に努めてまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示をしております。当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項につきましては、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

(1)市場及び事業環境に関するリスク

①EC市場の動向

 当社はECサイト構築を主たる事業としていることから、BtoB及びBtoCのEC市場のさらなる増大(流通総額の増大)が成長の基本的な条件と考えております。

 経済産業省が2021年7月に公表した「令和2年度電子商取引に関する市場調査」によると、日本国内のBtoB及びBtoCのEC化率は増改傾向にあり、商取引の電子化が引き続き発展しておりますが、セキュリティの脅威や法規制、その他予期せぬ要因等によって、EC市場が順調に成長しない場合または、インターネット市場そのものが成長しない場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

②技術革新について

 インターネットにおいては絶え間なく技術革新が起こっており、当社が属するサービス分野でも新しい技術やデバイスを利用したシステムが登場し続けております。これら新しいシステムは、従来は不可能であった機能や、より高度な機能を実装したサービスとして提供することが可能であります。

 当社では、常に最新の技術動向へ目を向け、新機能の開発や新サービスの提供に新しい技術等を積極的に導入することにより、当サービスの技術的優位性を維持する努力をしております。

 しかしながら、インターネットの技術革新に追随しながら新機能や新サービスを提供し続けるためには、それを可能にする従業員の確保や育成など、開発体制の強化と維持を欠かすことができず、何らかの要因により当社がそれに耐えうる開発体制の強化と維持が困難になる場合は、技術的優位性を発揮できなくなり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ソフトウエアの減損について

 当社は固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。当社は新たに開発した機能等を無形固定資産に計上しておりますが、将来、技術革新や市場動向の変化等により技術の陳腐化やサービスの販売鈍化が発生することで経営環境が著しく悪化し、収益性の低下等減損の兆候が認められ、減損損失を認識すべきであると判定された場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、開発した機能等に資産性が無いと判断された場合、資産計上は認められず、一括費用処理することとなり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業内容及び当社サービスに関するリスク

①特定のサービスへの依存について

 当社はクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」の運用をしており、主たる収益はECサイトの新規構築時の構築収入(フロー)及び、サービス運用に伴う課金収入(ストック)であります。当事業年度における売上高のほとんどは、構築収入及びサービス課金収入に依存しております。今後、新たな技術革新、社会情勢の変化、法的規制の導入や予期せぬ事象の発生等により、サービスの競争力の低下による獲得店舗数の減少や、サービス運営が困難となった場合には、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②競合との競争激化によるリスク

 当社サービスの技術的な側面からみた参入障壁は、著しく高いものとは言えず、したがって、資金力、ブランド力を有する大手企業をはじめとする競合他社が参入し、類似サービスを提供する事業者の増加が予想されます。当社といたしましてはAPIを公開してパートナー企業が参加しやすい環境を構築することで業界での地位確立に努めておりますが、価格競争など市場競争が一層激化し、サービス価格の引き下げを強いられる、または市場シェアが低下するなどにより、業績に悪影響を与える可能性があります。あるいは、全く新しい発想や技術を活用した競合サービスが登場し、かつそれが市場に支持されることにより、当社サービスの相対的な優位性が低下した場合、当社の事業及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

③SLA(サービスレベルアグリーメント)賠償適用によるリスク

 当社は、当社サービスの月間の稼働時間及び一定時間あたりの処理速度(一定時間あたりのアクセス数)等の技術的なサービス提供能力について、顧客に対して一定の保証水準を設けており、「利用規約」に定め、あらかじめこれを提示しております。当社は、SLAに定める保証水準を達成できなかった場合には、SLAの賠償条項に基づき、月次利用料金の範囲内で利用料金を減額しなければならず、かかる減額が多額になった場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

④システム受託開発売上について

 当社の売上のうち、システム受託開発に関する売上につきましては、プロジェクト・マネジメント制を採用しシステムの導入から運用保守まで一貫して1つのチームが対応することによりきめ細かな対応を行うよう努めておりますが、顧客の要望による仕様変更やトラブル等により納期が遅れた場合、売上の計上が遅れ、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、顧客の要望と当社の認識に著しい差異があった場合に、大幅な仕様変更等が必要になることがあり、利益率の低下につながる可能性があります。

 

(3)システム障害に関するリスク

①システム障害・通信トラブルについて

 当社の事業では、サービスの安定的な提供を維持するため、外部の提供するクラウドサービスを通じて当社サービスを提供しております。

 当社は、外部のクラウドサービスを、地震、落雷、火災等の災害に対して十分な耐性を有すると判断される施設に限定し、慎重に検討した上で選定しております。

 しかしながら、自然災害、火災、コンピュータウィルス、通信トラブル、第三者による不正行為、サーバーへの過剰負荷、人為的ミス等あらゆる原因によりサーバー及びシステムが正常に稼働できなくなった場合、あるいは当社が過去に蓄積してきた商品及び価格情報が消失した場合、当社のサービスが停止する可能性があります。

 上記の理由により当社のサービスが停止した場合には、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②プログラム不良によるリスク

 開発したプログラムの不具合を原因として、システムに動作不良等が発生し、当社の提供するサービスが中断または停止する可能性があります。

 当社では、システムの開発にあたり、綿密な開発計画の策定からテストの実施まで十分な管理を行っており、可能な限りこのような事態の発生を未然に防ぐための開発体制の構築に努めております。

 しかしながら、このような事態が頻繁に発生した場合には、当サービスに対する信頼性が失われ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③特定のサーバーへの依存によるリスク

 当社のサービスにおいては、AWS(Amazon Web Services,Inc.)をデータセンターとして利用しており、第18期(自 2020年6月1日 至 2021年5月31日)におけるAWSに対するサーバー費用は232,109千円でありますが、今後も事業拡大に伴いサーバー費用が増加することが想定されます。障害が生じ代替手段の構築ができずに、サービスが長時間にわたり中断する等の事象が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法的規制及び知的財産等に関するリスク

①法的規制について

 当社がサービスを提供する場合、又はサービス提供の全部又は一部を他の事業者に委託する場合に、深く関与する法律の一例として、以下のような法律があります。

「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」

「特定商取引に関する法律」

「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」

「個人情報の保護に関する法律」

「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」

「下請代金支払遅延等防止法」

 当社は、これらの法律を遵守するために必要な社内体制の整備、当社サービスの利用規約の整備等を行っておりますが、法律改正等により当社の整備状況に不足が生じ、または当社が受ける規制や責任の範囲が拡大した場合、その後の当社事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

②個人情報の取り扱いについて

 当社サービス内に格納された顧客が保有する個人情報等のデータについては、その閲覧、編集、削除等の一切の管理を顧客が自ら行うものとし、当社は、これらの情報資産を安全にかつ効率的に管理するためのプラットフォームを顧客に提供するのみで、当社が自ら顧客のデータの閲覧、編集、削除等の管理を行うことはありません。

 しかしながら、当社は、あらかじめ顧客の同意を得て、その依頼に基づき、一時的に顧客保有の個人情報等を預かり、編集等を行うことがあります。

 当社は個人情報の取扱いに関する重要性、危険性を十分に認識し、個人情報の適切な管理を実現するために、「個人情報保護規程」を整備しております。さらに、当社のホームページに「個人情報保護方針」を公開し、これら規程及び方針に準拠した行動指針やガイドラインを制定するとともに、役職員への教育、研修を通じて、個人情報を適正に管理する体制の構築に注力しております。

 なお、当社は、2015年8月にISO/IEC27001の認証を取得しており、その後継続して更新しておりますが、個人情報の収集や管理の過程等において、不測の事態により個人情報の漏洩等が発生した場合、当社への多額の損害賠償請求やISO/IEC27001認証取消処分または罰金等が課されるなど、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③情報セキュリティ対策の不備によるリスク

 当社は、当サービスを提供することで、顧客が保有する多くの情報資産を安全かつ効率的に管理することができるプラットフォームを提供しております。

 また当社も事業運営に必要なさまざまな情報資産を保有しており、情報資産を安全に管理することは、重要な経営課題として認識し、適切なセキュリティ対策を講じるよう努めております。

 当社では、情報セキュリティマネジメントシステムの整備を進めており、適切な情報セキュリティの実現を図っております。

 しかしながら、当社の予測を超える当社サービスへの不正アクセス、データの盗難、紛失等により、または情報セキュリティ対策の不備により、情報資産の漏洩、紛失、改竄等があった場合、当社への多額の損害賠償請求や認証資格の取消処分または罰金等が課される可能性があり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④知的財産権について

 当社は、知的財産権の保護をコンプライアンスの観点から重要な課題であると認識しており、専門家と連携して可能な範囲で調査対応を行っております。当社が提供する「ebisumart」の一部について第三者が所有権を有するソフトウエアを使用しておりますが、当該第三者との間で使用許諾に係る覚書を締結しており、第三者の特許権、著作権等の知的財産権の侵害は無いと認識しております。しかしながら、ソフトウエア開発事業において第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社の事業領域に関連する知的財産権について第三者の特許取得が認められた場合、あるいは将来特許取得が認められた場合、当社の事業遂行の必要上これらの特許権者に対して使用料を負担する等の対応を余儀なくされる可能性があります。この場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)プラットフォーム開発に係る投資によるリスク

 当社では、新機能の開発及び新サービスの提供を目的として、積極的にクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」に係る開発活動を実施し、新たに開発した機能等を無形固定資産に計上しております。当社は、常に最新の技術動向へ目を向け、新機能の開発や新サービスの提供に新しい技術等を積極的に導入しているため、資産計上に当たっては、開発計画策定時に、新たに開発しようとする機能等が技術的に実現可能であり、顧客への提供が確実であると見込まれることが重要と認識しております。そのため、開発計画を取締役会等で承認するとともに、開発計画に従って開発作業が進捗しているか、開発中の大幅な修正費用等が発生していないかを適時確認し、資産計上が適切に行われているかを検証しております。

 しかしながら、予測不能な外部環境の変化や開発体制・開発方針の変更により、想定していた資産計上がなされない可能性があり、この場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)事業運営体制に係わるリスク

①特定の人物への依存について

当社の創業者であり大株主でもある代表取締役社長兼CEO蕪木 登は、当社の強みである事業の創出やノウハウを蓄積しており、事業の推進において重要な役割を果たしております。

当社は、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を目指し、幹部人材の育成及び強化を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社の業務執行ができない事態となった場合には、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

②人材の確保及び育成

 当社において優秀な人材の確保、育成及び定着は今後の業容拡大のための重要課題であります。新入社員及び中途入社社員に対する研修の実施をはじめ、リーダー層となる中堅社員への幹部教育を通じ、将来を担う優秀な人材の確保・育成に努め、社内研修等を通じて役職員間のコミュニケーションを図ることで、定着率の向上を図っております。しかしながら、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材を採用できない場合、また採用し育成した役職員が当社の事業に寄与しなかった場合、あるいは育成した役職員が社外流出した場合には、優秀な人材の確保に支障をきたし、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)その他リスク

①新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。

 これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化することになり、将来における株価へ影響を及ぼす可能性があります。また、当社では今後も新株予約権の付与を行う可能性があり、この場合、さらに1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は51,000株(発行済株式総数3,991,500株の1.3%)であり、当社は今後もストック・オプション制度を活用していく方針であります。

 

②配当政策について

 当社では、利益配分につきましては、経営成績及び財政状態を勘案して、株主への利益配当を実現することを基本方針としております。しかしながら、当社は本書提出日現在成長過程にあり、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先して、創業以来無配当としてまいりました。

 現在は、内部留保の充実に努めておりますが、将来的には、経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益の配当を検討する方針であります。ただし、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。

 

③資金使途について

当社株式上場時の公募増資による調達資金の使途につきましては、当社サービスの認知度を向上させるためのマーケティング費用、事業拡大のために必要なソフトウエア開発費用、事業規模拡大による人員増加に対応するための事務所増床関連費用、借入金の返済資金の一部に充当する予定であります。しかしながら、変化する経営環境に柔軟に対応するため、現時点での計画以外の使途にも充当される可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定どおりの投資効果を上げられない可能性もあります。

 

④新型コロナウイルスの影響について

 新型コロナウイルス等の感染症、伝染病等の流行等の影響により経済活動が停滞し、国内消費が悪化する可能性があります。このような環境のなか、当社が属するEC業界におきましては外出自粛に伴う巣籠消費の増加等によりECサービスの利用が増加したこともあり、業績に影響を与えるような事象は現在のところ発生しておりません。今後につきましても在宅勤務や巣籠消費等の定着により継続的な需要が期待できるものと考えており、当社としましてはオンラインでの顧客面談やセミナーの開催等により営業活動を進めてまいる所存であります。しかしながら、経済活動の停滞が長期化した場合は当社の顧客であるEC事業者の業績悪化が拡大し、顧客の経営方針が変更となり、商談中の案件が失注となる可能性があるほか、テレワークの影響により問い合わせから契約成立までのリードタイムが長期化し売上の計上時期が遅れ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

(資産)

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比べ593,688千円増加し、1,448,042千円となりました。主な要因は、売上の増加により売掛金が77,989千円増加したことや、公募増資等により現金及び預金が412,925千円増加したこと、自社利用ソフトウエアの開発等により無形固定資産が81,391千円増加したことによるものであります。

(負債)

当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比べ90,396千円減少し、495,128千円となりました。主な要因は、短期借入金が返済により150,000千円減少したことによるものであります。

(純資産)

当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比べ684,084千円増加し、952,914千円となりました。主な要因は、公募増資により資本金が269,773千円、資本準備金が269,773千円増加したこと、当期純利益が131,025千円計上されたことによるものであります。この結果、自己資本比率は65.8%(前事業年度末は31.5%)となりました。

 

②経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さが見られています。景気の先行きについては、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、回復への動きが継続することが期待されますが、新型コロナウイルス感染症拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要があり、先行きは不透明です。

 このような状況の中、当社においては新型コロナウイルス感染症対策による電子商取引の需要増から、新規の引き合いが増加し、システム受託開発の受注が増加いたしました。また、既存顧客につきましても店舗へのアクセス数や流通総額が堅調に推移しております。さらに、感染症対策により取引先への訪問件数が減少したことや従業員のリモートワークが定着するなどし、販管費が想定以下で推移いたしました。

その結果、保守売上及び新規開発売上が順調に推移し売上高は2,170,319千円(前年同期比18.6%増)、営業利益は208,550千円(同21.7%増)、経常利益は193,726千円(同19.2%増)、当期純利益は131,025千円(同26.5%増)となりました。

 なお、当社はクラウドコマースプラットフォーム構築事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ412,925千円増加し、686,552千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは179,170千円の収入となりました。これは主

に税引前当期純利益を193,726千円計上したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは127,137千円の支出となりました。これは主にサービス充実を目的とした無形固定資産(自社利用ソフトウエア)の取得による支出111,815千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは360,892千円の収入となりました。これは

主に新株の発行による収入539,546千円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当事業年度における生産実績は、次のとおりであります。

売上の計上区分

当事業年度

(自 2020年6月1日

至 2021年5月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

システム受託開発

438,848

130.7

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.システム運用保守及びその他に関しましては、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

3.金額は製造原価によっております。

 

b.受注実績

 当事業年度における受注実績は、次のとおりであります。

売上の計上区分

当事業年度

(自 2020年6月1日

至 2021年5月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

システム受託開発

932,483

126.0

263,901

111.3

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.システム運用保守及びその他に関しましては、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

3.受注高の増加理由は開発人員の増加により受注可能額が増加したためであります。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績を売上の計上区分別に示すと、次のとおりであります。

売上の計上区分

当事業年度

(自 2020年6月1日

至 2021年5月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

システム受託開発

システム運用保守

その他

919,205

1,203,486

47,628

128.7

111.1

145.7

合計

2,170,319

118.6

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは以下のとおりであります。

 a.繰延税金資産について

 当社は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得に関する予測は、過去の実績等に基づいており、経営環境の変化や税制の変更等によって、課税所得の見積りの変更が必要となる場合には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。

 b.ソフトウエアの会計処理について

 当社は、将来の収益獲得又は費用削減の効果につながるソフトウエアを開発する場合に、その開発にかかるコストをソフトウエアとして無形固定資産に計上する場合があります。

 その場合、見込収益獲得期間又は費用削減期間に基づく定額法(5年)により減価償却を実施しております。ただし、当該ソフトウエアの陳腐化や有効性の低下等により、見込んでいた効果が得られないことが明らかになった場合には、費用又は損失を計上する可能性があります。

 c.受注損失引当金について

当社は、システム受託開発案件のソフトウエアに関して、開発原価総額が受注契約金額を超える可能性が高く、かつその金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額のうち、当該開発案件に関して既に計上された損益の金額を控除した残額を、損失が見込まれた期の損失として計上し、受注損失引当金を計上しております。

 

②経営成績の分析

 a.売上高

当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ340,005千円増加し、2,170,319千円(前年同期比18.6%増)となりました。これは主に電子商取引の需要増から新規の引き合いが増加し、システム受託開発の受注が増加したことに伴い、システム受託開発売上が919,205千円(前年同期比28.7%増)となったことによるものであります。

 b.売上原価、売上総利益

当事業年度における売上原価は事業規模拡大に伴い、前事業年度に比べ210,817千円増加し、1,262,420千円(前年同期比20.1%増)となりました。これは主に人件費、外注費、サーバー費用の増加等によるものであります。この結果、売上総利益は前年同期比に比べ129,188千円増加し、907,898千円(前年同期比16.6%増)となりました。

 c.販売費及び一般管理費、営業利益

当事業年度における販売費及び一般管理費は、従業員数増加に伴う人件費、受注活動強化に伴うプリセールス費用(エンジニアの営業同行、見積業務等)、採用強化による採用費の増加等により前事業年度に比べ91,978千円増加し、699,348千円(前年同期比15.1%増)となりました。

この結果、営業利益は前事業年度に比べ37,210千円増加し、208,550千円(前年同期比21.7%増)となりました。

 d.営業外損益、経常利益

当事業年度における営業外収益は、受取保険金を計上したため前事業年度に比べ3,494千円増加し、4,496千円(前年同期比348.9%増)となりました。

当事業年度における営業外費用は、上場関連費用を計上したため前事業年度に比べ9,519千円増加し、19,320千円(前年同期比97.1%増)となりました。

この結果、営業外損益は14,824千円の損失となり、経常利益は193,726千円(前年同期比19.2%増)となりました。

 e.特別損益、当期純利益

当事業年度において特別損益の計上はなく、税引前当期純利益は193,726千円(前年同期比19.2%増)となりました。また、法人税等62,700千円を計上した結果、当期純利益は131,025千円(前年同期比26.5%増)となりました。

 

③財政状態の分析

財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①財政状態の状況」をご参照ください。

 

④キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズにあったサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の運転資金需要のうち主なものには、人件費、支払手数料、広告宣伝費等があります。運転資金は、主として内部資金及び借入により調達しております。

当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は686,552千円であり、当社の事業を推進していく上で十分な流動性を確保していると考えております。

 

⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、システム受託開発の受注金額及び期末店舗数を重要な経営指標と位置付けております。システム受託開発の受注金額の多寡は、後のシステム運用保守につながる重要な要素であり、期末店舗数は「ebisumart」の規模を計る重要な指標として認識しております。当事業年度においては、受注金額が932,483千円、期末店舗数が384店舗と継続して増加した結果、売上高も堅調に推移いたしました。また、クラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」の価値を計る指標としてGMV(流通総額)を参考としており、当事業年度末で127,700,886千円と増加しております。当該目標の達成状況に関して一定の評価をしておりますが、今後も株主価値向上のための経営施策を実施してまいります。

区分

システム受託開発の

受注金額

期末店舗数(店)

GMV(千円)

(1店舗あたりGMV)

2017年5月期

436,060

264

38,862,512

(162,605)

2018年5月期

647,610

307

61,427,584

(215,535)

2019年5月期

545,936

346

86,429,496

(265,121)

2020年5月期

739,800

375

110,180,238

(305,631)

2021年5月期

932,483

384

127,700,886

(332,554)

(注)1.GMVには消費税等は含まれておりません。

2.1店舗当たりGMVは、各期のGMV÷期中平均店舗数で算出しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

 当事業年度における、研究開発活動の金額は12,402千円であります。主な内容は最新技術の調査及び導入検討、システムアーキテクチャの検討であります。