第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンのもと、「デザインの力を証明する」というミッションを掲げ、「デザイン」を通じて人々の生活がより便利になり、より暮らしやすくなることを目指し事業活動を行うデザインカンパニーです。当社はUI/UXデザイン支援において、「デザイン」の本質的な考え方を活用し、顧客企業の主にスマートフォンやSaaSのアプリケーション等のデジタルプロダクトにおける戦略立案・企画・設計・開発の支援を行ってまいりました。

 

当社グループとしては、優良な「デザイン」で構成されたサービスはユーザーの生活に溶け込むと同時に、そのサービスを提供する企業にとっても有力なビジネスの機会を提供するものとなると考えており、UI/UXデザイン支援を通じてビジネスにおける「デザイン」の価値を世に広めていきたいと考え事業を行っております。

 

(2) 経営戦略、経営環境等

2007年1月、インターネットと携帯電話、そしてストレージ(記憶装置)を組み合わせたスマートフォンと呼ばれるデバイスの出現により、人々の生活が大きく変化しました。ユーザーは常にネットワークに接続し、アプリと呼ばれるソフトウェアを利用して情報を双方向に授受し、自己の生活スタイルに応じてスマートフォンの機能をカスタマイズするようになりました。以来、スマートフォンは各々の生活シーンに組み込まれ、すでに欠かせない存在になっています。

スマートフォンは「デザイン」にも大きな影響を与えました。デジタル分野のデザイン(「デジタルデザイン」)はそれまで主流であったホームページ等のPC画面のWebデザインからスマートフォン画面のアプリデザインに領域を拡大してきました。画面サイズの小さなスマートフォンでは視覚的にわかりやすい直感的操作が可能なユーザーインターフェース(UI)をもつアプリケーションが主流になり、ペイメントやカメラの利用など複数の機能がデバイスに盛り込まれる中、ユーザーの利用シーンを想定してアプリをデザインすること、つまりユーザーエクスペリエンス(UX)を「デザイン」することが不可欠となりました。

優れたUI/UXを実装したアプリを市場に投入できた企業が大きく成長するという事例が積みあがっております。例えば、LINE、Uber、Twitter、Instagram等のアプリの運営企業はスマートフォンアプリを起点として、それぞれの業界だけでなく、社会全体にまで大きな影響を与えております。一方では、既に一定の地位を築いている企業については、自社の成長のため、又は生き残りのため、スマートフォンをはじめとするデジタル領域への対応において数々のチャレンジに直面しております。

 

経済産業省によると、「あらゆる産業において、新たなデジタル技術を使ってこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、ビジネスの従来の枠組み・ルールが崩壊し、新たな枠組みやルールに切り替わる変化が起きつつある」、そして、「企業は、この脅威に対し、現在確保している競争力維持・強化のために既存の枠組みにとらわれない自己変革が求められている」と報告されており(注1)、主にデジタル分野でのこのような取り組みをデジタルトランスフォーメーション(DX)と呼び、経済やビジネスにおけるテーマとして掲げられております。

米国のIT専門調査会社のIDCによる調査結果では、デジタルトランスフォーメーションの拡大を背景として、全世界におけるデジタルエージェンシー(当社グループを含む顧客企業のデジタル開発・進出を支援する事業を行う企業)の全市場の市場規模は、2020年において1,197億USドルと推測されております。そのうち、当社グループがデザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業の「Goodpatch Anywhere」にて提供しているサービスのうち、特にUI/UXデザイン支援に関連する領域(UI/UXデザイン領域を含むExperience Design Services市場)については、年平均成長率9.7%、市場規模では168億USドル(2020年)から267億USドル(2025年)に拡大すると予測されております(注2)。

 

 

 

 


 

日本においても、2018年5月、経済産業省は、経営者がデザインを有効な経営手段と認識しておらずグローバル競争環境での弱みとなっていることから、デザインを活用した経営手法、すなわち「デザイン経営」の推進を提言しております。ここでいう「デザイン経営」はデザインを重要な経営資源として活用し、ブランド力とイノベーション力を向上させるという経営の姿であり、企業の産業競争力の向上に寄与するものとされております(注1)。当社グループのUI/UXデザイン支援は「デザイン経営」を具体的に実践したい企業にむけて、企業レベルでのブランディングから個別サービスにおけるデザインの実装に至るまでデザイン領域を幅広くサポートしております。

 

当社グループが手がけるデザインパートナー事業は、顧客企業のデザインプロジェクトの支援において、顧客企業にとって既知であり自明である事業の目的や戦略から紐解き、顧客企業と顧客のユーザーへ問いかけ、デザインの対象となるサービスのUXの最適解を求めながら、アプリやWebサービス等のデジタルプロダクトのUIデザインの実装を進めます。既存のビジネスプロセスをデジタル化し、イノベーションの創出を図りたい企業に対しては、デジタル分野への新規進出の実現を、また、新たな視点で顧客起点の価値創出のための事業やビジネスモデルの変革を図りたい企業に対しては、ビジネスプロセスの変革の実現を、デザインを切り口に行うものとなります。

具体的には、当社グループでは、先ずサービスを利用するユーザー(利用者)をデザインの中心として位置付け、ユーザーに焦点を当てていきます。ユーザーとは何者か、どのような趣向があるのか、解決には何が必要かという問いを投げかけていきます。常にユーザーを中心に考え、目的を見出し、その目的を達成するための手段を具現化するという一連のプロセスの中に、ブランド・強み、商品力等の顧客企業が有する価値を組み込み、その特徴を活かしつつ、差別化されたUXを実現していきます。また、顧客企業の有する様々な資産や技術だけでなく、企業外にある手段についても柔軟に取り入れながら対話を進めていきます。その結果、AIやクラウド、IoT等の様々な技術はその実現のための手段として組み込まれ、必要に応じてデザインの設計にも反映されるとともに、そのソリューションの実装までプロジェクトスコープ(プロジェクトの範囲)を拡大して対応することがあります。

また、当社グループとしては、デジタルトランスフォーメーション(DX)領域において「デザイン」が関係する市場をより鮮明に形成するため、デザイナー組織を拡大し、デザインパートナー事業の成長を図るとともに、より多くの顧客企業に向けてデザインプロジェクトを実施していきたいと考えております。これまでに関与した優れたUI/UXのデザイン事例を有効に活用しながら、広告に頼らないSNS等を活用したPR活動をさらに推進することによって効率的に当領域におけるブランディングを進めてまいります。

 

同時に、デザインパートナー事業を後方支援するために、デザインプラットフォーム事業の推進に努めます。デザイン環境(クラウドソーシング-「Goodpatch Anywhere」)、デザイン人材(デザイナー採用支援サービス-「ReDesigner」)、ソフトウェア(デザインITツール-「Strap」「Prott」「Athena」)、の点からもデザイン領域における当社の存在感を高めていきます。そして、それぞれのシナジーを創出し、デザインビジネスの拡大を働きかけてまいります。

 

 (注) 1.経済産業省 "産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進" https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html(2019年10月25日)

2.IDC Worldwide Digital Agency Services Forecast, 2021–2025, US46844021, Sep.2021

 

(3) 目標とする経営指標

デザインパートナー事業において、収益の源泉は、顧客企業のデザインプロジェクトからの月額報酬となります。デザインプロジェクトの期間については、顧客企業のニーズやサービスの運営状況によっても変化するため、数か月から数年に及ぶものまで様々であります。また、プロジェクト受注数はその時々の受注可能なデザイナーリソースや既存プロジェクトの継続状況によっても変動します。そのため、当社経営上の目標達成状況を判断するための客観的指標は、月平均プロジェクト単価及び月平均プロジェクト数であると考えております。当該プロジェクト数の成長とプロジェクト単価の拡大を推進することで、今後のデザインパートナー事業の売上高を継続的に成長させてまいります。

なお、当事業における毎月のデザインプロジェクトの月平均単価とその実施数は以下のとおりであります。また、契約形態としては、一部請負契約のプロジェクトもありますが、主に月額ベースの準委任契約となります。


(注) 1.月平均プロジェクト単価=(1か月に稼働したプロジェクトの総売上/1か月に稼働したプロジェクト数)の6か月の平均値

2.月平均プロジェクト数=1か月に稼働したプロジェクト数の6か月の平均値

 

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(1)及び(2)記載の、経営方針及び経営戦略等を実行していく上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

 

① デジタルトランスフォーメーション(DX)におけるプレゼンス向上について

当社グループとしては、社会を変革する巨大企業に成長したベンチャー企業のように、「デザイン」をビジネスに組み込み、直観的で使いやすいUI及びUXを実現することが競争力の源泉になると考え、「デザイン」を念頭においたビジネスの設計が今後必要になると認識しております。

特に、大企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)へのニーズには、急速に変化する顧客の環境を意識しながら柔軟な思考で最適なサービス設計を行う、というUXに直結する要素があるため、組織支援やブランディング支援等から「デザイン」の実装プロセスの導入を進めることもあります。当社グループとしてはこれまでの知見を活かし、「デザイン」がビジネスに直結することの実例を広く市場にアピールし、デジタルトランスフォーメーション(DX)支援を推進してまいります。

 

② デザイン組織の成長について

デジタルトランスフォーメーション(DX)への関心が高まる中、デザイン人材の需要が増加し続けており、当社が多面的・長期的なソリューションを提供していくためには、優れたデザイナーとなりうる人材を採用しかつ定着させることができるかが極めて重要な要素と考えております。

デザインパートナー事業においては、デザインスキルを必須とせず、多様な経験を有する人材を広く獲得し、社内にてデザイナーとしてのスキル向上を図るための体系的なデザイン研修を実施しております。また、ミッション、ビジョン、バリューの啓蒙活動を行い、定期的な全社ミーティング・交流イベントを通じて戦略の理解と帰属意識の醸成を図っております。

他方、デザインプラットフォーム事業の「Goodpatch Anywhere」では外部のフリーランス人材の獲得を強化しております。またデザインプラットフォーム事業の「ReDesigner」、「Strap」、「Prott」、「Athena」等にも社内デザイナー・エンジニアが社員として在籍しており、デザインを意識した独自のサービスの開発が行われております。このように、当社グループでは、デザインパートナー事業の社員デザイナーを中心とした社内デザイン組織と、デザインプラットフォーム事業の「Goodpatch Anywhere」からなる社外デザイン組織を併せ持ち、それぞれの拡大成長を図り、顧客企業のデザインに対するニーズに応えてまいりました。なお、過去3カ年に渡るデザイン組織の人数の推移は次のとおりであります。

 


 

(注) 1.デザイン組織には、UXデザイナー、UIデザイナー、エンジニアの3職種が所属しております。

2.デザインプラットフォーム事業「Goodpatch Anywhere」は、2021年8月末現在において、登録者数310名のうち40名が稼働しております。

 

 

③ デザインの深化及び領域の拡張について

AIやIoT等のデジタル技術が実用フェーズを迎え、顧客企業の「デザイン」に対するニーズが多様化した結果、当社グループは、対応する様々なユーザーシーンにおけるデザインノウハウを獲得するとともに、組織としての学習を意識して、デザイナー間で共有できるような仕組みを構築しており、デザイン組織の拡大とデザインプロジェクト(量及び質)の拡大に伴い、「デザイン」の知見をますます蓄積してまいります。

加えて、アプリケーションの開発、クラウドネットワークの構築、並びにマーケティング等のデザインフェーズの下流に位置する機能を強化し、デジタルプロダクトの「デザイン」からシームレスに顧客企業のビジネスの成功を長期的に支えていく方針です。そのため、社内組織の強化だけでなく、他社との事業連携やM&Aの活用を視野に入れつつケイパビリティの強化(強みの拡大)に努め、当社グループのデザイン領域を拡張してまいります。

 

④ ヨーロッパにおける事業展開について

当社グループは、ドイツ子会社を通じてヨーロッパに向けて事業を展開しておりますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響はヨーロッパ経済に深刻な打撃を与えました。

日本に比して感染者数も多く、ピーク時には厳格なロックダウンが適用されるなど、ビジネス全体が一時停止状態に陥ることも見られましたが、現在に至っては急速に回復し、プロジェクトの獲得が進み収支には改善の兆しが見られております。今後は、より確実な黒字化に向けて、日本側との連携を強化し、さらなるデザインプロジェクトの獲得に努めてまいります。

 

⑤ デザインプラットフォーム事業の成長について

当社グループは、デザインプラットフォーム事業を、デザインパートナー事業における地位をより強固なものとするための関連事業と位置付けております。「デザイン」のビジネス領域における市場を明確に形成し、そのリーディングポジションを確固たるものとするために、デザインビジネス環境(クラウドソーシング-「Goodpatch Anywhere」)、企業内デザイン人材(デザイナー採用支援サービス-「ReDesigner」)、ソフトウェア(デザインITツール-「Strap」「Prott」「Athena」)の3領域において以下の取り組みを進めております。

 

⑤-1 デザインを取り巻く就業環境への取り組み

「Goodpatch Anywhere」では、全国各地に居住するフリーランス等のデザイナーの中からスキルの確かなデザイナーを厳選して、デザイナーをプロジェクト毎にパートタイムで採用しております。近年、「働き方改革」など、これまで当たり前であった日本企業の労働環境を大幅に見直す取り組みが進められておりますが、デザイナーについても個々の事情に合った様々な働き方が可能となりつつあります。

そこで当社グループでは、「Goodpatch Anywhere」において、当社グループのリソースを用いて流動的なデザイナー人材を束ね品質管理を行うことによって、企業のニーズを満たすデザインプロジェクトの運営を可能にしました。また、遠隔地におけるメンバーとプロジェクトの場を結びつけるためにオンラインコラボレーションツールを活用し、柔軟な運営態勢を維持しながら組織拡大に努めております。当社グループとしてデザイナーの安定確保、デザイナー側への魅力的なプロジェクトの提供、顧客企業への柔軟で質の高いプロジェクト提供を可能とし、デザインのプロジェクトの裾野を拡大してまいります。

 

⑤-2 デザインを取り巻く就業環境への取り組み

当社グループは、デザイン人材市場へのアプローチとして「ReDesigner」及び「ReDesigner for Student」を展開し、デザイナーという限定された職種に対し、企業からデザイナーの採用支援の依頼を受け、候補者を紹介しております。「デザイン」を取り巻く就業環境をより良いものとするため、引き続き顧客企業のデザイナーの就業環境を整えながらも、デザイナー志望者へ提供する情報の付加価値を高め、採用企業及び求職者の両面で「ReDesigner」の人材ネットワークを拡大してまいります。また、「ReDesigner for Student」は求職者と採用企業を結びつける仕組みとしてソーシャルリクルーティングを採用し、デザイナーのためのリクルーティングサイトとしてUI及びUXの改善を継続的に進め、サービスの強化に努めております。

 

⑤-3 ソフトウェアへの取り組み

当社グループは、新たに「Strap」というSaaS(Software as a Service)アプリケーションを公開し、「デザイン」で培ったコラボレーションノウハウの社外への浸透を図ってまいります。利用企業は「Strap」によって作業・コミュニケーションの効率化を実現し、共創を通じて新しい価値を生み出します。テレワークが加速し、どの企業においても、異なる場所にいるという制約を超えてプロジェクトを推進することが必要となる今、ホワイトボードを見ながらチーム全員で情報を共有し作業するようなコラボレーション空間をオンラインで実現します。

 

 

⑥ 内部管理体制の強化について

当社グループでは、今後継続的に事業が拡大していく中で、効率的な経営を行うために内部管理体制についてより一層の強化が求められていくものと認識しております。これに対応するため、当社グループでは、各分野に専門性を有した人員を配置し、社内管理体制の強化を図っており、今後においても引き続き充実させていく方針であります。

 

⑦ デザイン投資について

当社グループは、「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンの実現を目指し、有望なスタートアップへ出資するとともに、デザインに関する知見を提供することで、出資先のスタートアップの成長をサポートしております。当社グループのデザインパートナー事業におけるデザイン支援の実績を基に、有望な出資先のスタートアップとともにアライアンスを構築し、互いに付加価値を提供しながら成長することで、長期的に企業価値の向上を図ってまいります。

 

⑧ 新規事業の展開について

当社グループは、企業価値を向上させ、デザインの価値を引き上げるためには事業規模の拡大を図っていくことが必要であると考えております。当社グループは「デザイン」で培ったノウハウを、ビジネスのあらゆる場面に効果的に浸透させ、幅広く展開することで、デザインパートナー事業とデザインプラットフォーム事業の事業間シナジーを追求しております。今後も継続的な事業成長の実現に向けて、既存事業及びサービスの伸長に加え、新規事業の展開を積極的に検討してまいります。

 

⑨ M&Aを通じたケイパビリティの強化について

当社グループは、社内組織の継続的な強化だけでなく、デザインパートナー事業のケイパビリティの強化(強みの拡大)のために、積極的なM&Aによる戦略的投資を推進し成長を図りたいと考えております。当社グループでは、「当社が持つデザイン領域での強みを拡大させる企業」、「デザイン領域と親和性の高い開発領域の企業」、「顧客サービス運用支援を行う企業」等、初期段階においては様々な切り口で幅広い企業を検討対象としております。今後、これらの方針を基に、プロダクト開発やマーケティング等の領域へ拡大し、顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援してまいります。

 

⑩ ESGへの取り組みについて

当社グループでは、ESGへの取り組みを促進し、持続可能な事業をデザインの力で前進させたいと考えております。また、ESGの3つの要素である、環境保護(Environment)、社会的責任(Social)、企業統治(Governance)への取り組みを通じて社会に貢献し、企業価値の向上と持続的成長の実現を目指してまいります。

 

 

 

 

2 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、リスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下の通り記載しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社の財政状態、経営成績等に与える影響の内容については、合理的に予見することが困難であるものについては具体的には記載しておりません。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であり、リスク管理体制として代表取締役社長を最高責任者とするリスクマネジメント委員会を設置しております。管理部管掌の取締役執行役員CFOの下、管理部が中心となり重要リスクを特定し、当該委員会で審議のうえ、対策を講じております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業環境に関わるリスク

① UI/UXデザイン市場の成長性について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、デザインパートナー事業を中心にUI/UXデザイン市場に属しております。現時点においては企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資は増加し、それにかかるデザイン投資も順調に拡大しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のさらなる感染拡大等や当社グループの想定を上回る景気悪化等により長期的に市況が低迷した場合は、プロジェクト依頼の問い合わせ減少やプロジェクトの終了又はプロジェクト稼働人数縮小に伴い品質が低下するなど、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

当社グループでは、UI/UXデザイン市場への新事例の開示等のマーケティング活動を継続的に行い、デザインが企業の戦略拡充や事業推進に貢献することを周知し、当社のデザイン支援サービスへの認知を拡大しております。また、各事業についての外部環境の認識を定期的に更新し、事業の進捗管理に反映させ、事業の収益予測精度の向上に努めております。

 

② 競合状況について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

これまで数多くのアプリケーションが世の中にリリースされており、例えばスマートフォンアプリマーケット(iPhoneではApp Store、AndroidではGoogle Playストア)においては、同様の機能を提供するアプリが複数存在しております。先例のUI/UXを模倣し、低価格でデザイン制作を実施することも可能な市場環境になりつつあり、低価格でアプリデザインの開発を請け負う事業者も存在します。また、当社グループに比べ大きな資本力にて、新規にデザイン事業に参入・既存のデザイン事業を強化する等の動きを見せる企業や産学連携にてデザイン事業の強化する動きをみせる企業も存在します。低価格で優れたデザインを提供する事業者が現れた場合、又は、大きな資本力で優秀な人材獲得を試みる事業者が現れた場合、価格競争や人材獲得競争等、競合状況が激化する可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

当社グループは、UI/UXデザイン領域にフォーカスし、成長するUI/UXデザイン市場における新たなニーズ(戦略設計やマネタイズ設計、組織支援等)に応えられるよう、デザイン組織のスキル及び規模の拡大を図りつつ差別化を図っております。またUI/UXデザインの認知拡大に伴い様々なナレッジやデザイン手法に注目が集まる中で、さらなる顧客への価値提供となる先行事例研究等にも取り組んでおります。UI/UXデザイン市場におけるプレゼンスの獲得に加え、デザインスキルを保有・向上研究する一定規模のチームを安定的に稼働させることは容易でなく、比較的高い参入障壁が存在すると考えております。

当社グループは、デザインにおける先端領域を切り開きながら高付加価値領域を深耕しつづけるとともに、それに必要な人材を確保し、競争優位性を維持しながらさらなる差別化を推進する方針をとっております。

 

 

③ 新型コロナウイルス感染拡大の影響について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行に伴い、主に大都市圏において移動やイベントの開催等の自粛が要請されております。ヨーロッパ及び日本国内において、さらなる感染拡大による顧客の企業活動の停滞、従業員の感染また危険に晒す事案の発生、又は、感染拡大に伴う予期できない経済環境の変化又は社会活動の行動変容が起こった場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

当社グループでは、デザインプロジェクトのリモートワークによる実施(在宅勤務)やセミナー等のイベントのオンライン実施のほか、フルリモートによるデザイン支援「Goodpatch Anywhere」のさらなる推進、クラウドワークスペース「Strap」の機能開発による対策を講じております。また、従業員の安全確保のため、職域接種による任意のワクチン接種、在宅勤務、時差出勤、検温機器や消毒液の常備設置等の施策を実施しております。なお、現時点において、事業の運営を見直すべき事象は認識しておりません。

 

(2) 事業内容に関わるリスク

① デザイナー人材の確保と育成について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループでは、当社の持続的な成長のために継続的に優秀なデザイナーとなりうる人材を確保し続けることが重要な要素であると認識しております。しかしながら、当社の想定を超える人材市場の逼迫や業務拡大・業務内容の変化のため、育成や採用が想定の通りに進まず、適正な人材配置がなされない場合、退職による人材流出が想定を上回った場合には、プロジェクト量の縮小やプロジェクト品質低下など当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また労務環境が悪化した場合には、従業員の心身の健康が保てなくなり、労働生産性の低下や人材流出につながる可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

既存事業の需要拡大を見据えた計画的なデザイナー人員の採用・育成を計画しております。「ReDesigner」等の運営によりデザイナー人材の市場動向をいち早く掴むことや、人材市場に向けて、デザイナーにとってやりがいのある仕事があること、当社グループが、ミッション、ビジョンの観点をふまえて、社会・顧客・ユーザーに対し、どのような価値提供を実現するか発信すること等の取り組みで、当社理解を促し、人材採用を加速しています。また、従業員が自身の成長へ取り組めるよう品質向上のためのナレッジ共有や書籍購入補助などの福利厚生等を整備し、ジュニアメンバーを含む全従業員の成長を促すように努めております。また働き方や価値観の多様化に対応し、副業制度等の人事制度の構築やフルフレックス制度、リモート勤務等の労務環境の整備を実施し、従業員の心身へのケア、労働生産性低下防止、人材流出の予防に努めております。

 

② プロジェクト提供品質の管理について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

デザインパートナー事業におけるプロジェクト推進にあたっては、当社のデザイナーによるデザインプロセスの遂行状況やアプリやウェブページ等のデザイン品質の提供状況をスキルに定評のある上位職のデザイナーが確認しながら進める管理体制を採用し、プロジェクトの提供品質を確保しております。しかしながら、上位デザイナーのリソース確保が十分に行われない場合、プロジェクトの提供品質にばらつきが生じ、顧客満足に影響を及ぼし、当社のブランドを棄損する可能性があり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

稼働中のプロジェクト品質及び上位デザイナーの監修リソース、その他デザイナーの稼働把握を目的に、管理役職者らを中心に、週次単位でのプロジェクトメンバーヒアリング、ヒアリング結果を基にプロジェクト状況の評価を全プロジェクト対象に実施しております。また、社内の品質評価だけでなく、顧客満足度をパートナー企業へヒアリングし、品質基準と顧客満足度の改善にも努めております。

 

③ 技術革新について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、インターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、当該領域は技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が極めて速く、それらに基づく新機能や新サービスの導入が相次いで行われる変化の激しい市場であります。このような環境の中で、当社グループは、最新技術の開発を率先して行っております。しかしながら、今後何らかの革新的な技術が開発され、当社グループの対応が遅れた場合や、そのような革新的な技術に対応するために多額のシステム開発費用が追加的に発生する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

最新技術に関する情報収集や試用、技術への深い理解をもつ有識者の採用を積極的に行っており、従業員がナレッジとして、情報集約したのち、全社へと公開・共有することで、技術革新のトレンドを収集、激しい環境変化への順応を実現しております。

 

④ 海外における事業活動について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、連結子会社Goodpatch GmbHを通じた、ドイツを中心としたヨーロッパ諸国におけるデザインパートナー事業において、現地のユーザー環境に即したデザインの開発を行い、一定の評価を得て事業規模を拡大しており、今後についても海外展開の強化を行っていく方針であります。しかしながら、海外における事業を展開していく上で、各国の税制や法規制の予期せぬ変化、人材確保の困難化、契約条項等の商慣習の相違、労使関係の変化、為替相場の変動等のリスクに対処できないことにより、事業を推進していくことが困難になった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、ヨーロッパにおいて、厳格なロックダウン規制に伴い経済活動全体が大きく減速するほどの影響を及ぼしましたが、現在ではワクチンの接種等が進み、一時期の混乱より回復しております。現在においては、当社の連結子会社Goodpatch GmbHにおいても同様に、デザイン支援プロジェクトの状況は回復しておりますが、さらなる各市場の変動に備えるため、Goodpatch GmbHと当社にて、品質、人材戦略において連携を強めてまいります。

 

⑤ 減損リスクについて

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループが保有する建物、工具、器具及び備品、使用権資産等は減損リスクにさらされております。今後、当社の想定を上回る景気悪化、市況の低迷等により、保有する固定資産から得られる将来キャッシュ・フローの状況等が悪化し、経済価値が著しく低下した場合には減損処理が必要となります。こうした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

当社グループが保有する上記の固定資産は営業活動において使用するオフィス設備やPCが主なものであります。従って、当社グループの事業運営において、収益力の維持向上を図ることが当該リスクの低減につながるものと考えております。本稿記載の各種[リスクへの対応策]を講じ、収益力の維持向上に努めてまいります。

 

 

⑥ 新規事業の立ち上げについて

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、デザインの価値を引き上げるために複数の新規事業又はサービスを企図しております。新規事業を立ち上げる場合に安定して収益を生み出していくまでにはある程度の時間がかかることが想定され、その間、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、新規事業の採算性には不透明な面も多く、予想通りの収益が得られない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

新規事業の検討にあたっては、当社グループの各事業とのシナジー、事業計画等を慎重に調査・検討し、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合に実行をしております。また、新規事業への参画後は、事業の推移等を定期的にモニタリングし、計画の修正や再生等が必要な場合には、取締役会又は経営会議にて審議を行っております。

 

⑦ M&A実施について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、M&Aによる戦略的投資を推進し、デザインパートナー事業のケイパビリティ強化(強みの拡大)をはじめとした既存事業の強化、事業間シナジーの強化、新規事業機会の創出等により成長を図りたいと考えており、対象企業の顧客、業績、財政状況、競争優位性、当社グループ事業とのシナジーやリスク分析結果等を十分に考慮した上で進めてまいります。しかしながら、当社の想定を超える国内外の経済環境の変化、M&A後に未認識債務の判明や偶発債務の発生等事前の調査で把握できなかった問題が生じること、当初の期待どおりに事業を展開できないこと等が発生する際には、当社がM&A後の経営、事業、資産等に対して十分なコントロールを行えない場合があり、そのため当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

当社グループでは、「当社が持つデザイン領域での強みを拡大させる企業」、「デザイン領域と親和性の高い開発領域の企業」、「顧客サービス運用支援を行う企業」等、初期段階においては様々な切り口で幅広い企業を検討対象としており、M&Aを実施する場合には、対象企業の峻別を図ってまいります。また、当該対象企業については外部機関を活用した十分な調査の実施、対象となる企業の財務内容や事業についてデューデリジェンス、買収メリット等を総合的に勘案し検討してまいります。

 

(3) 事業運営体制に関わるリスク

① 特定人物への依存について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社代表取締役社長の土屋尚史は、デザインパートナー事業開始以来当社グループの事業推進において重要な役割を担ってまいりました。同氏は、多数の企業へのデザインプロジェクトの経験からデザインのビジネスへの展開において豊富な経験と知識を有しております。急な病や事故、そのほかの理由により、同氏が経営執行を継続することが困難になった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

当社グループでは、取締役会等において役員及び従業員への情報共有や権限委譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。また代表からの説明機会や従業員と代表間の学習機会を開催し、土屋の経験と知識を全社へと還元する取り組みを行っております。

 

 

② 内部管理体制について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、未だ成長途上にあると考えており、今後の事業及び経営成績を予測する上で必要な経験等が十分に蓄積されていないものと考えております。当社グループの事業運営において、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しており、管理体制の整備と連携強化、及び体制拡大のための人材確保・育成へと取り組んでおります。

 

③ ハラスメントについて

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、従業員一人一人を尊重し、パフォーマンスを発揮できるよう、フルフレックス制度やフルリモート等の柔軟な就業規則や勤務形態、環境を用意するよう努めております。しかしながら、各種ハラスメントが発生した場合には、職場環境の悪化にとどまらず、労災補償やブランド価値の毀損などが発生し、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります

 

[リスクへの対応策]

ハラスメントに対しては、ハラスメント行為を禁止行為と定め、入社時の説明、役員・管理職への教育活動、など予防を徹底しております。また内部通報用のホットラインを監査役・法務宛に設置し、いつでも通報・対応することができる状態であり、早期に発見し適切に対処する体制を設けています。

 

(4) 法的規制及び知的財産等に関するリスクについて

① 法的規制の変更等について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

デザインパートナー事業では、受託案件の一部を他事業者へ委託することがあり、その場合は下請代金支払遅延等防止法の規制を受けることとなります。また、デザインプラットフォーム事業では、「ReDesigner」において職業安定法、クラウドワークスペース「Strap」において電気通信事業法、プロトタイピングツール「Prott」において電気通信事業法及び特定商取引に関する法律の規制をそれぞれ受けております。

特に、「ReDesigner」は、職業安定法に基づき、有料職業紹介事業として厚生労働大臣から許可を受けておりますが、当該事業活動の継続には有料職業紹介事業の許可が不可欠であるため、何らかの理由により許可の取り消しがあった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当該許可の取り消しとなる事由は職業安定法第32条の9において定められており、当社グループが認識している限りでは、当該許可の取り消しとなる事由に該当する事実はありません。なお、当社グループが保有している有料職業紹介事業許可の許可番号及びその取得年月は以下のとおりです。

 

所轄官庁等

許認可等の名称

許可番号

取得年月

有効期限

厚生労働省

有料職業紹介事業許可

13-ユ-309448

2021年5月1日

2026年4月30日

 

 

今後、新たに当社のデザインプラットフォーム事業に関する規制等の制定等又は改正が実施された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

当社では、コンプライアンス経営の確立に努め、顧問弁護士等を通じて、新たな規制の情報を直ちに入手し、影響を検討・対応する体制や法務担当者による法令適合性の審査や、契約書のリーガルチェック、法令違反の発生を防止する社内管理体制を構築し、法律、条例、関連諸規則等の遵守体制を強化しております。

 

 

② 知的財産権について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループが使用する商標、ソフトウェア、システム等について、現時点において第三者の知的財産権を侵害するものはないと認識しております。万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合は、当該第三者より、損害賠償請求、使用差止請求等が発生する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

顧問弁護士へと相談する体制を整え、侵害を回避するための法務担当者による著作権等の監視、管理等を行っていく方針であります。

 

③ 情報管理体制について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、提供するサービスに関連して多数の顧客企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。不正アクセス、コンピュータウィルスの侵入、情報セキュリティの欠陥等により重要な情報資産が外部に漏洩した場合には、当社の社会的信用の失墜、損害賠償請求の発生、ブランドの毀損等により、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

これらの情報資産を保護するため情報セキュリティ基本方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理、保護しております。また、当社は従業員への教育、アクセス権限の設定、アクセスログの管理等、情報漏洩のリスクの回避を図っております。

 

(5) その他

① デザインパートナー投資について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社では、一部のデザインパートナー事業におけるデザイン支援先の顧客企業に対して株式を取得する形の投資(デザインパートナー投資)を実施しておりますが、投資先企業の業績不振や当社との相乗効果が想定ほど見込めない場合等の各種リスクが存在いたします。投資先企業は、市場環境の変化並びに開発能力や経営能力の不足等、将来性において不確定要素を多数抱えており、期待した成果を上げることができず業績が悪化した場合には、投資回収が困難になる場合や減損処理を行う必要等が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

[リスクへの対応策]

当社グループでは、投資前に業績や中期計画等の企業情報を元に今後の収益性や企業価値、発生しうるリスク等を分析・検討し、デザイン支援による投資先企業の価値向上や各投資先企業と当社グループ事業との相乗効果等を期待して投資実行しております。また投資後についても定期的に時価や投資先企業の財務状況の把握をしております。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、業績に与える影響等については、投資先企業における事業の性質及び出資額の規模により変動するため、合理的な予測は困難となります。当社として投資先企業のモニタリング、可能な限り必要なアドバイスを実施することで当該リスクの発生可能性を抑えることへ努めておりますが、リスクを完全に防止することは困難であります。

 

② 配当政策について

当社グループは、内部留保の充実よりも迅速な事業拡大を図ることが重要であると考え、創業以来配当を実施しておりませんが、今後については株主に対する利益還元も経営の重要課題であると認識しております。当社は未だ成長過程にあると考えており、さらなる内部留保の充実を図り、経営体質の強化、事業拡大のための投資等に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。現時点においては配当の実施及びその時期については未定でありますが、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び当社を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針であります。

 

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、依然として厳しい状況にある中、ワクチン接種など、その影響の縮小を目指した動きがみられています。日本経済においては、政府による経済対策等により持ち直しの動きが見られましたが、変異株の流行に伴う感染の再拡大により、断続的に緊急事態宣言の発令及びまん延防止等重点措置が実施されるなど、先行きの不透明な状況は継続しております。加えて、日本企業は、グローバル化、戦略実現のスピードアップ、イノベーション創発、企業間連携の促進、生産性の向上、また、それらを実現するためのテクノロジーの活用といったテーマに直面し、激しく変化する市場環境における経営のあり方そのものの見直しを迫られております。

特に大手企業を中心に、デジタルトランスフォーメーション(DX)(注1)に高い関心が寄せられており、既存のビジネスモデルや業界構造を大きく変化させる新たなデジタル化の流れが引き続き強いものとなっております。企業は顧客により高い付加価値を提供するため、クラウド等のプラットフォーム、スマートフォンやIoT等の新たなデバイス、AIやブロックチェーン等の新たなテクノロジーを組み合わせたサービスの開発が進められております。

このような事業環境の中、当社グループは「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」をビジョンとして掲げ、顧客企業が提供するサービスに期待される価値の創造を支援し、最適なデザインを設計するデザインパートナー事業、そして、自社サービスである「Goodpatch Anywhere」、「ReDesigner」、「Strap」、「Prott」及び「Athena」などのサービスで構成されるデザインプラットフォーム事業を主要事業と位置づけ、相互にシナジーを創出することに注力しながら各事業を推進してまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は2,741,275千円(前連結会計年度比27.9%増)、営業利益は406,211千円(前連結会計年度比87.5%増)、経常利益は393,907千円(前連結会計年度比85.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は327,653千円(前連結会計年度比51.9%増)となりました。

 

当社グループのセグメント別の業績は次のとおりであります。

 

a. デザインパートナー事業

デザインパートナー事業は、顧客企業の持つ本質的な価値を発見し、その要素を紐解きながら、顧客企業のユーザーが持つ価値観に則して、その価値が適切に伝わるように顧客企業の戦略やブランディング、ビジネスプロセス等も踏まえてデザインを実装していきます。その際に、当社のUXデザイナー及びUIデザイナーが中心となり、顧客企業のプロジェクトチームと一体となって、デザインプロジェクトをリードします。

主にWebサイトやアプリケーション等のデジタルプロダクトのデザイン開発を進めたい顧客企業に対しては、顧客企業が必要とするUI/UXデザイン(注2)の実現を支援します。さらにそのようなデジタルプロダクトの実装や開発まで希望する顧客企業に対しては、当社のエンジニアによりアプリケーション開発を行います。そのような過程において、顧客企業は既存ビジネスプロセスをデジタル化し、イノベーションの創出を図ることが可能です。また顧客起点の新たな価値創出のための変革を図りたい顧客企業に対しては新規事業の検証やアイデアを創出するための支援についても行っております。

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)が注目を集め、企業がデジタル領域において変革を求められる状況の中で、デザインの持つ役割の重要性は益々高まっており、当社グループにおいても、日本国内を主として、当事業への問い合わせが増加する等、需要の増加が顕著な状況となります。そのような状況の中、当社グループとしては数多くのデジタルデザイン支援の知見を集約し、経験豊富なデザイナーを集め、育成することで、より多くの企業に対して、高品質なデザイン支援を行うことが可能になります。そのため、当社グループはデザイナーの採用活動を積極的に行い、提供リソースであるデザイナー人員を拡大するとともに、より幅広い業種業態の顧客企業に対してデザイン支援プロジェクト実施してまいりました。

当連結会計年度においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズの高まりを受け、月平均プロジェクト単価は5,588千円(前連結会計年度比0.6%増 上半期:5,412千円、下半期:5,729千円)となりました。また第3四半期連結会計期間より新規プロジェクトの開始が加速し、月平均プロジェクト件数は27.1件(前連結会計年度比23.3%増 上半期:27.0件、下半期:28.8件)となりました。また、社内デザイン組織のデザイナー数は順調に増加し、当連結会計年度末において122名(前連結会計年度末比10.9%増)となりました。

この結果、当連結会計年度におけるデザインパートナー事業の売上高は1,996,191千円前連結会計年度比26.7%増)、営業利益は364,743千円前連結会計年度比92.0%増)となりました。

 

 

b. デザインプラットフォーム事業

デザインプラットフォーム事業は、デザインパートナー事業によって行われるUI/UXデザイン支援を様々な側面からサポートするサービスを提供しております。具体的には、登録した外部デザイナー人材によるフルリモートでUI/UXデザインプロジェクトを実施する「Goodpatch Anywhere」、自社で構築したデザイン人材プールを活用したデザイナー採用支援サービス「ReDesigner」、2020年9月1日に正式リリースしたクラウドワークスペース「Strap」、デザインパートナー事業で培ったナレッジの蓄積をもとにしたプロトタイピングツール(注3)「Prott」及びVR(Virtual Reality:仮想現実)/AR(Augmented Reality:拡張現実)(注4)を活用したデザインツール「Athena」で構成され、それぞれのシナジーを創出し、デザインに関連したビジネスの拡大を行うものとなります。

当連結会計年度において、「Goodpatch Anywhere」は、外部デザイナー人材の登録者数が増加するとともに、デザインプロジェクトの件数が拡大しております。「ReDesigner」は、契約企業数や内定者数が増加し、採用支援実績を積み上げております。「Strap」並びに「Prott」においては、「Prott」のリソースを有効に活用し、「Strap」の機能開発を強化しております。また「Athena」は、カーデザインをVR環境で行うことができるソフトウェアの開発を連結子会社Goodpatch GmbHにて進め、機能拡充を図っております。

この結果、当連結会計年度におけるデザインプラットフォーム事業の売上高は745,083千円前連結会計年度比31.1%増営業利益は41,467千円前連結会計年度比55.7%増)となりました。

 

(注)1.デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、Digital Transformationの略語で、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客企業や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること、を意味します。

2.UI(User Interface/ユーザーインターフェース)とは、「ユーザーがPCやスマートフォン等のデバイスとやり取りをする際の入力や表示方法などの仕組み」を意味します。また、UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス)は「サービスなどによって得られるユーザー体験」のことを指します。

3.プロトタイピングとは、最終成果物の試作品を早い段階から作り、改善を繰り返す手法のことを意味します。

4.VRとは、Virtual Reality(仮想現実)の略であり、現物・実物(オリジナル)ではない機能としての本質は同じであるような環境を、ユーザーの五感を含む感覚を刺激することにより理工学的に作り出す技術及びその体系を意味します。またARとは、Augmented Reality(拡張現実)の略であり、実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を仮想的に拡張するという技術を意味します。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,917,882千円増加し、3,136,505千円となりました。主な要因は、2021年2月9日に発行した第6回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)の行使等による現金及び預金の増加1,840,160千円であります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて10,471千円増加し、303,129千円となりました。主な要因は、デザインパートナー投資の実行等による投資有価証券の増加43,533千円及び在外連結子会社における使用権資産の減少20,100千円であります。

この結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて1,928,354千円増加し、3,439,635千円となりました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ169,459千円増加し、551,163千円となりました。主な要因は、顧客企業から契約期間分の料金を一括で受領すること等による前受金の増加35,710千円、新規借入による1年内返済予定の長期借入金の増加22,749千円、未払金の増加31,060千円であります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ126,126千円増加し、317,208千円となりました。主な要因は、新規借入による長期借入金の増加146,685千円及び在外連結子会社におけるリース債務の減少20,071千円であります。

この結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて295,585千円増加し、868,372千円となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べ1,632,769千円増加し、2,571,263千円となりました。主な要因は、2021年2月9日に発行した第6回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)の行使等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ650,305千円増加したこと、並びに親会社株主に帰属する当期純利益計上に伴う利益剰余金の増加327,653千円であります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,840,160千円増加し、2,780,074千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは483,316千円の収入(前連結会計年度は145,898千円の収入)となりました。これは、デザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業の売上高増加に伴う売上債権の増加48,480千円デザインパートナー事業や「Goodpatch Anywhere」における請負契約案件にかかるたな卸資産の増加22,718千円、法人税等の支払額51,289千円等の減少要因があった一方で、デザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業が相互にシナジーを創出することに注力しながら各事業を推進してきたことの成果としての税金等調整前当期純利益の計上393,907千円業務用PC及び事務所内装費用等にかかる減価償却費52,956千円、「ReDesigner」の採用実績積み上げによる前受金の増加35,684千円の増加要因があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは64,850千円の支出(前連結会計年度は77,618千円の支出)となりました。これは、事業拡大に伴う従業員増加による業務用PC等の有形固定資産の取得による支出21,619千円、「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンの実現を目指し、スタートアップへ出資し、デザインに関する知見を提供することで出資先企業の成長をサポートするデザインパートナー投資の実行等に伴う投資有価証券の取得による支出43,982千円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは1,418,110千円の収入(前連結会計年度は359,426千円の収入)となりました。これは、長期借入金の返済による支出131,343千円等の減少要因があった一方で、事業拡大・機能拡充のためのデザイン人材の獲得や新たな自社製開発の新規事業への投資資金を資金使途とする2021年2月9日に発行した第6回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)等の行使による株式の発行による収入1,268,924千円運転資金確保の為の長期借入れによる収入300,000千円の増加要因があったこと等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績

該当事項はありません。

 

b. 受注実績

当社では受注販売を行っておりますが、受注から売上高計上までの期間が短期であるため、「受注実績」は記載しておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前連結会計年度比(%)

デザインパートナー事業

1,996,191

126.7

デザインプラットフォーム事業

745,083

131.1

合計

2,741,275

127.9

 

(注) 1.セグメント間取引はありません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、デザインパートナー事業において、月平均プロジェクト単価及び月平均プロジェクト件数が増加したことや、デザインプラットフォーム事業において、「Goodpatch Anywhere」のプロジェクト件数が増加したことによるものであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の報告額並びに開示に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。経営者は、これらの見積り及び仮定について過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度においては、既存のデザインプロジェクトにおける高品質な役務提供の継続とともに、新規案件の受注にも積極的に取り組むなど、デザインパートナー事業の拡大に努めてまいりました。またデザインプラットフォーム事業は、主に「Goodpatch Anywhere」及び「ReDesigner」の売上獲得に努めてまいりました。

当連結会計年度の経営成績等の分析・検討内容は以下のとおりであります。

 

 

(売上高)

当連結会計年度における売上高は2,741,275千円(前連結会計年度比27.9%増)となり、前連結会計年度に比べて597,764千円増加いたしました。これは、デザインパートナー事業において、デジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズの高まりを受け、月平均プロジェクト単価が5,588千円(前連結会計年度比0.6%増 上半期:5,412千円、下半期:5,729千円)と増加し、また、第3四半期連結会計期間より新規プロジェクトの開始が加速し、月平均プロジェクト件数が27.1件(前連結会計年度比23.3%増 上半期:27.0件、下半期:28.8件)に増加したこと、デザインプラットフォーム事業において、「Goodpatch Anywhere」の外部デザイナー人材の登録者数の増加及びデザインプロジェクトの件数が拡大し、「ReDesigner」にて、契約企業数や内定者数が増加し、採用支援実績を積み上げたことによるものであります。

セグメント別の売上高については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載しております。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は1,011,720千円(前連結会計年度比28.3%増)となり、前連結会計年度に比べ222,984千円増加いたしました。これは主に、デザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業における従業員数及び売上高の増加に伴う人件費の増加によるものであります。

以上の結果、売上総利益は1,729,555千円(前連結会計年度比27.7%増)となり、前連結会計年度に比べて374,779千円増加いたしました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,323,344千円(前連結会計年度比16.3%増)となり、前連結会計年度に比べ185,172千円増加いたしました。これは主に、採用活動の積極的な実施による採用費の増加及びデザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業における従業員数増加に伴う人件費の増加によるものであります。

以上の結果、営業利益は406,211千円(前連結会計年度比87.5%増)となりました。

 

(営業外収益・営業外費用、経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は9,502千円(前連結会計年度比28.1%減)となり、前連結会計年度に比べ3,715千円減少いたしました。これは主に、在外子会社Goodpatch GmbHにおける受取家賃の増加があった一方で補助金収入の減少があったことによるものであります。また、営業外費用は21,806千円(前連結会計年度比22.0%増)となり、前連結会計年度に比べ3,935千円増加いたしました。これは主に、前連結会計年度において発生した東京証券取引所マザーズへの上場に伴う、上場関連費用の発生がないこと、第6回及び第7回新株予約権(第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権)の発行に伴う新株予約権発行費が発生したことによるものであります。

以上の結果、経常利益は393,907千円(前連結会計年度比85.8%増)となりました。

 

(特別利益・特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別利益及び特別損失の発生はありません。法人税等(法人税等調整額を含む)は66,254千円(前連結会計年度は△14,013千円)となり、税金等調整前当期純利益の増加に伴い、前連結会計年度より80,267千円増加いたしました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は327,653千円(前連結会計年度比51.9%増)となりました。

 

 

③ 経営戦略の現状と見通し

当社グループをとりまく事業環境については、ユーザーエクスペリエンス(UX)を意識したデジタル化を軸に事業変革を図ろうとする企業ニーズが顕在化しつつあり、ビジネスモデルの変革や新しいビジネスの創出などの実現を目指す投資、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資が拡大しております。米国のIT専門調査会社のIDCによる調査結果では、デジタルトランスフォーメーションの拡大を背景として、全世界におけるデジタルエージェンシー(当社グループを含む顧客企業のデジタル開発・進出を支援する事業を行う企業)の全市場の市場規模は、2020年において1,197億USドルと推測されています。そのうち、当社グループがデザインパートナー事業及びデザインプラットフォーム事業の「Goodpatch Anywhere」にて提供しているUI/UXデザイン支援に関連した領域(UI/UXデザイン市場)については、年平均成長率8.0%、市場規模では514億USドル(2020年)から756億USドル(2025年)に拡大すると予測されています。

日本企業を中心に、GAFAを始めとするグローバルIT企業やUI/UXデザインを初期から意識してきたベンチャー企業との競争に立ち向かうためには、新たな概念でデジタルへのシフトを加速させ、企業の体質そのものから変革をすすめる必要性が認識されています。日本企業は、グローバル化、戦略実現のスピードアップ、イノベーション創発、企業間連携の促進、生産性の向上、また、それらを実現するためのテクノロジーの活用といったテーマに直面し、激しく変化する市場環境における経営のあり方そのものの見直しを迫られております。そのために「デザイン」を重要な経営資源として取り入れ、優れたサービスを実現するために、デザインへ投資する企業が増加しております。

そのような状況の中、当社グループは、ユーザーにフォーカスしたデザインプロセスをもとに、新規サービスの円滑な実装に貢献していきます。デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れにあわせて、ユーザー体験を意識した新しい考え方を提供し、収益基盤の拡大に取り組んでおります。

デザインパートナー事業においては、高まるデジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズを受け、問い合わせ数が増加し、連動して受注が堅調に推移しております。また今後においては、引き続き、デジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズに合わせて、スマートフォンのアプリケーション等の新しいユーザーシーンを捉えて新しいユーザー体験をデザインするUI/UXソリューションの提供により収益の拡大及び安定化を図ってまいります。具体的には、「積極的な採用・人材投資を通したデザイン組織の連続的成長」、「バリューチェーンの拡張と深化」、「グローバル戦略の本格推進」の3つを成長戦略と掲げ、事業の拡大を図ってまいります。

デザインプラットフォーム事業においては、デザインパートナー事業で培ったナレッジの蓄積をもとにしたプロダクトの提供や、自社で構築したデザイン人材プールを活用したサービスを提供することで、収益の拡大を目指します。具体的には、「Goodpatch Anywhere」、並びに「ReDesigner」を主力サービスとして位置づけながら事業の成長を計画しております。「Goodpatch Anywhere」において、引き続きリモートデザインチームのタレントプールを拡充しつつ、プロジェクトの獲得及びサービス提供体制を強化していく計画です。人材紹介サービス「ReDesigner」においては、全てのデザイナーのためのキャリア支援プラットフォームを目指し、ビジネス領域を広げ、副業・フリーランスマッチングサービスを推進してまいります。加えて、2020年9月1日に正式版の提供を開始したクラウドワークスペース「Strap」は中長期の新たな事業の柱として、エンタープライズ向けの導入を促進し、拡販に努めてまいります。

なお、上記した各事業は、サービス単独での収益拡大のみならず、人材やノウハウの相互共有によるシナジー等の効果を取り込むことによりグループ全体としての収益拡大を目指します。

 

④ 経営者の問題認識と今後の方針について

当社の経営者は、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しており、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、事業運営に努めてまいります。

 

 

⑤ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性

当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

当社グループの資金需要は、事業拡大・機能拡充のための人材確保に係る採用及び人件費、将来の買収及び戦略的投資のための資金、新たな自社製開発の新規事業への投資資金が中心となります。

当連結会計年度においては、中長期的な視野に立った成長投資に向け、財務基盤の向上を図りかつ希薄化に配慮しながら企業価値の向上に資するエクイティ性資金調達の実施が適切であると判断し、2021年2月9日に第三者割当による行使価額修正条項付第6回及び第7回新株予約権(行使指定・停止条項付き)を発行いたしました。

当該新株予約権の行使による資金調達等により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,780,074千円(前連結会計年度末は939,913千円)となりました。また、流動比率(流動資産 / 流動負債)は569.1%と十分な流動性を確保しております。

 

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(新株予約権買取契約証書)

当社は、2021年1月22日開催の取締役会において、野村證券株式会社を割当先とする第6回及び第7回新株予約権行使価額修正条項付)を発行することを決議し、2021年2月8日に当該新株予約権に係る「株式会社グッドパッチ 第6回及び第7回新株予約権買取契約証書」を締結しております。なお、第6回新株予約権については、2021年3月4日をもって全ての行使が完了しております。

当該新株予約権の詳細は、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ③ その他の新株予約権等の状況」及び「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (3)行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等」に記載しております。

 

 

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。