第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は創業以来「学びを革新し、誰もが持っている無限の力を引き出す」というミッションのもと、人間が本来持っている能力を最大限に引き出す支援をするのが私たちの使命と考えております。

 世の中の変化のスピードは早く、個人、組織に求められているのは、学習を通じて変化に適応し、変化をチャンスとしてとらえ、活かすことです。学習は、単なる「勉強」ではなく、人や組織が今までできなかったことをできるようにする手段であると考えております。そのために「学び」という人間にとって必要不可欠なことをテクノロジーによって革新し、人や組織の成長を支援してまいります。

また、「世界一『学びやすく、わかりやすく、続けやすい』学習手段を提供する」というビジョンのもと、これからの時代に求められる「学び」についての各種サービスを展開し、人材育成の新たなスタンダードになるべく事業展開をしていきます。

 

(2)目標とする経営指標等

 当社は、持続的な成長と企業価値向上を目指しており、全社的な主要な経営指標として売上高、営業利益を重視しております。

個人向け資格取得事業(スタディング事業)では、資格取得に興味がある個人が主なターゲット顧客であり、無料講座をお試し頂いた上でコースを購入して頂く販売形態になっております。売上の計上方法については、コースを購入した際の受講料(現金ベース売上高)を、コースの受講期間で按分し、受講期間中に毎月均等額の売上を計上する形になっております。

そのため、事業運営上重視する経営指標としては、会員による受講料の支払い額の総額となる現金ベース売上高及び新規有料登録会員数(ユニーク数)をKPI(Key Performance Indicators)としております。

法人向け教育事業では、企業を取り巻く環境変化により、従来の集合研修を中心にした階層型の社員教育から、より実践的なスキルを効率的に身に着けるオンライン教育の必要性が高まっております。

法人向け事業で展開するエアコースでは「最も社員教育を効率化できるサービス」になるために、学習管理システム(LMS)やコンテンツを強化し、社員教育のデジタルトランスフォーメーションができるプロダクト力を高め、マーケティング、販売力を強化し、パートナーモデルを確立することを目標にしております。

そのため、事業運営上重視する経営指標としては、法人事業における売上高、エアコースの契約企業数及び平均解約率をKPIとしております。

 

(3)経営環境

 当社をとりまく経営環境については、矢野経済研究所「教育産業白書2022年版」によれば、2021年度の教育産業全体の市場規模(15分野の合計)(注1)は前年度比5.0%増の2兆8,399億円(注2)となっております。当該市場は堅調な推移を継続してきましたが、2020年度においては新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大きくマイナス成長に転じたものの、2021年度はコロナ禍が継続する事業環境において、感染防止対策を講じた上で事業運営が概ね継続できたこと、オンラインの併用などによるサービス提供体制が確立し、コロナ過で需要が拡大したサービスの需要の高まりが継続したこと等により、当該市場は拡大となっております。また、サービスの利用者もオンラインシフトに慣れつつあり、コロナ禍で需要が拡大したサービスの需要継続などに加え、休校措置などの活動制限の影響がほとんど見られないことから、多くの市場分野で前年度を上回る成長をしております。2022年度においても、依然としてコロナ禍の収束時期の見通しはつき難いものの、Withコロナに対応した事業展開によって、市場規模は2兆8,882億円と2021年度比で1.7%程度の拡大推移が予測されております。少子高齢化が進む我が国においても、生涯にわたる教育の重要性や企業向けの人材育成のニーズなど、リスキリング(学び直し)の需要は高く、引き続き教育産業は堅調に推移する傾向が予想されています。

 

個人向け資格取得市場

 当社のスタディング事業が主な事業領域とするのは、矢野経済研究所が定義する教育産業のうち「資格取得学校市場」です。同研究所「教育産業白書2022年版」によれば、資格取得学校市場の2021年度の市場規模は、依然としてコロナ禍の影響が続いているものの、資格試験の中止などはなく、オンラインの併用等による感染防止対策を講じた上での事業運営により、業績を回復させた企業が多くみられ、前年度比2.2%増の1,870億円と拡大しております。Web会議が一般化したことで、スクール通学型を展開する企業もオンライン講座に参入し、通学圏外の受講者も取り込むことが可能になっており、市場拡大の一要因となっています。

2022年度の予測につきましては、依然としてコロナ禍の影響が残っているものの、教室運営・受講体制がコロナ禍前の状況に戻ってきていることに加えて、Web会議方式講座が一定の支持を得るようになっていることから、コロナ禍前の2019年度を上回る需要傾向が予想され、引き続き堅調な需要も続いていくことから、市場全体としては前年度比0.5%増の1,880億円と予測されています。

コロナ禍での受講スタイルの変化として、当社が提供するスタディングのように、学習におけるオンライン化は加速して一般化してきており、当社の強みであるオンラインに特化した講座は着実にその存在感を増してきております。また、オンライン講座の「質」が重要視され、いかに講座内容自体の質を高めていくかが今後の大きな課題となっています。当社では、膨大な受講者の学習履歴データを蓄積しており、それらのデータをAI(機械学習)で活用することで、受講者ごとに学習を個別最適化する機能などを拡張しており、受講者はより効率的な学習が可能となります。このように学習のオンライン化の一般化は、当社の主力事業であるスタディング事業の市場シェア拡大と成長を加速させる絶好の機会と捉えております。成長を優先した事業展開をすすめるため、テレビCMの活用や合格者の合格体験談のWebサイトでの公開等を通じ「資格合格パートナー」として「資格を取るならスタディング」という、資格取得における第一想起のサービスになるよう努めてまいります。

 

法人向け社員教育市場

 当社の法人向け教育事業の主力サービスとなる社員教育クラウド(エアコース)が主な事業領域とするのは、矢野経済研究所が定義する教育産業のうち「eラーニング・映像教育市場(B2B向けネットワーク・ラーニング)」であり、同研究所「教育産業白書2022年版」によれば、2021年度の市場規模は前年比12.6%増の971億円となっています。増加の主な要因としては、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、企業での集合研修や対面での教育などが制限され、あわせて在宅勤務などが日常的に併用されることとなったことから、オンライン及びリモートで実施できるeラーニング関連サービスの需要が急激に高まってきており、2021年度においてもその需要は高く保たれていることがあげられます。また企業の人材育成ニーズの活性化により、eラーニングや動画を使った教育関連サービスへの投資増もあって好調に推移しております。

 従来、社員教育の主軸とされてきた集合研修の市場は「企業向け研修サービス市場」に分類されますが、2021年度の市場規模は2020年度比8.1%増の5,210億円と、2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大によるマイナス影響を受ける形で企業業績が悪化、研修予算の削減圧力が高まり、マイナス成長に転じたものの、2021年度はオンラインによる研修実施体制の整備が進展し、集合研修の代替策としての役割を果たすとともに、これまで研修サービスが未受講であった潜在需要を掘り起こし、プラスの成長を確保するに至りました。2022年度においても、オンライン主体での研修サービスが新たな需要を創出しながら、引き続き拡大が見込める状況にあり、コロナ禍前もしくはそれ以上の水準までマーケットが回復している分野も散見され、2022年度の市場全体として、前年度比2.1%増の5,320億円と予測されております。

 各企業のテレワークの推進等により、集合研修の代替・補完手段としてeラーニングを活用する動きが見られており、オンラインを活用した研修など、コロナ禍に対応した研修サービスへの移行が加速しております。また企業におけるテレワーク化、デジタル化によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の浸透、リスキリング(学び直し)の意識が高まってきております。

このように、今後も企業向けの社員研修や集合研修は、よりeラーニングへシフトしていくことが予想され、当社の法人向け教育事業には追い風となると考えております。当社では、この状況は成長に向けた絶好の機会と捉え、主に大企業向けのシステム開発やサービス開発を積極的にすすめるとともに、企業向け受け放題の研修コンテンツである標準コースを、2021年12月末の405コースから2022年12月末には648コースまで一気に拡充するなど、企業ニーズを捉えた施策を積極的に推進しています。今後もeラーニングでの企業研修におけるトップシェアを獲得すべく、事業を拡大する方針です。

注1 15分野とは学習塾・予備校、家庭教師派遣、幼児向け通信教育、学生向け通信教育、社会人向け通信教育、幼児向け英会話教材、資格取得学校、資格・検定試験、語学スクール・教室、幼児受験教育、知育主体型教育、幼児体育指導、企業向け研修サービス、eラーニング、学習参考書・問題集を指します。
注2 事業者の売上高ベース

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 高成長を継続することによる業界におけるリーダーシップの確立

 当社では、教育や学習におけるデジタルシフトが急速に進行している現在の状況は、当社にとって大きなビジネスチャンスが到来していると捉えており、このような環境下で持続的な成長を実現し、業界におけるリーダーシップの地位を確立するため、当社事業の更なる強化が必須であると考えております。

 主力の個人向け資格取得事業(スタディング事業)の基本戦略としては、資格取得市場において「合格者No.1」を目指し、戦略的に以下のテーマを強化する方針です。

1.ブランドの確立と集客力の強化を行うため、テレビCM、Web広告、SNS等を組み合わせたマーケティング施策を実行します。

2.AI、学習システム強化による学習の個別最適化を行い、一人ひとりに合わせた学習サービスを実現します。

3.講座コンテンツを拡充・改善するとともに、Q&A(質問回答)サービス、コーチングサービスを含めたサポート力の強化を行います。これらの施策によって、講座の継続率・合格率を高め合格者を増やすことで、評判・安心感を高め、さらに受講者が増加するという好循環により高成長を目指します。

 法人向け教育事業の基本戦略としては、企業向けの「SaaS型 eラーニングNo.1」を目指し、戦略的に以下のテーマを強化する方針です。

1.営業体制を強化し受注力を強化するとともに、Web広告やパートナーチャネルを強化して売上を増やします。

2.IT系のコースを拡充するとともに、法人向けスタディング販売を強化することで、リスキリング需要を取り込みます。

3.大企業向けのシステム機能拡充により、競争力を強化しつつ、リスキリングやDX推進企業の人材育成需要を取り込めるシステム機能に投資することで、より高い成長を目指します。

 

② 収益源の多様化

 当社の売上高は、現在はスタディング事業が大半を占めております。スタディング事業は順調に伸長しており、また今後も資格取得市場がWeb講座にシフトする構造変化に伴い、当社サービスの優位性を明確にした差別化戦略を実行していくことで十分な成長余力があると考えております。一方で、中長期の経営戦略として考えると、スタディング事業における資格ごとの減衰や季節要因等のリスクを低減する必要があります。そのため、2018年12月期に法人事業部を立ち上げ、法人向け教育事業を本格的に開始し、順調に拡大してきております。法人向け教育事業では、大企業にニーズの高い社員教育クラウドサービスの開発による販売強化を軸に、動画制作サービスやスタディング事業との連携も推進してまいります。さらに、社員教育クラウドサービスの競争力を高めた上で、将来的には日本国内だけではなく、現地法人の利用実績を基にした改善や競争力の強化をした上で世界中に事業展開をしていきたいと考えております。

 また、スタディング事業、法人向け教育事業を強化し自社による展開(オーガニック成長)を推進するとともに、新たな収益源の確保に向け、事業提携、資本提携(出資)、M&A等の方法も検討してまいります。これら提携等から生まれるシナジーを通じ、より一層の企業価値向上を目指してまいります。

③ 技術革新への投資
 当社は「世界一『学びやすく、わかりやすく、続けやすい』学習方法を提供する」というビジョンの実現のため、AI(機械学習)や、IT技術を駆使した教育サービスを展開してまいります。そのため、最新の技術を取り込んだサービスの機能強化、機械学習を使い個別最適化した学習方法の提案など、人や組織がより効率的に学習できるようなサービスや機能の開発に投資を行い、競争優位性を高めることで長期的な成長を目指します。

④ 優秀な人材の確保及び育成
 「学びを革新し、誰もが持っている無限の力を引き出す」というミッションに共鳴する優秀な人材を適時採用するとともに、持続的な成長を支える人材の育成を強化していく方針です。また、当社の事業領域において市場リーダーシップを構築していくため、新しい顧客価値を創造できる次世代を担うリーダーの育成にも注力してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関するすべてのリスクを網羅しているものではありません。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営環境の変化について

 当社の属するeラーニング教育事業分野は、教育とIT(情報技術)を組み合わせた、いわゆる「EdTech(エドテック)」市場に属しており、従来の通学型・集合型の教育研修からの構造改革が起きており、今後も成長が見込まれております。一方で、今後、新たな事業者の新規参入等により競争が激化する可能性があります。

 当社では、eラーニング教育事業分野での持続的な競争優位性を築くためには、学習システムの開発力、コンテンツの開発力、Webマーケティング力、ローコストオペレーション、AI・データ活用の5つの組織能力が重要と考えており、これらの組織能力を築くための投資・改善に力を入れております。しかしながら、巨大資本等による新規参入により、これらの5つの組織能力を短期的に構築される脅威が発生し、当社が適時かつ適切に対応できなかった場合には、市場での競争力低下や、対応のための支出の増加により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)インターネット利用の普及について

 当社は、インターネットを通じて各種サービスを展開しております。スマートフォンやタブレット端末等、情報機器端末の普及により、インターネット利用環境が引き続き整備されていくとともに、当社の属する市場が今後も拡大していくことが事業展開の基本条件であると認識しております。

 インターネットの普及に伴う障害・新たな規制・その他の要因によって、インターネット利用の発展が阻害された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)技術革新について

 当社が事業展開しているインターネット関連市場では、技術革新や環境変化のスピードが非常に速く、関連事業の関係者はその変化に柔軟に対応する必要があります。

 当社においても、最新の技術動向等を常に把握し、技術を自社サービスに活用できる体制を構築するだけではなく、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や環境変化に柔軟に対応できるよう努めております。しかしながら、当社が、優秀な人材の確保を適時適切に行う事ができない場合、また、技術変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)システム障害について

 当社のサービスは、インターネットを介して提供されております。安定的なサービスの運営を行うために、サーバー設備の増強、セキュリティ強化及び監視体制の構築等により、システム障害に対し備えております。

 しかしながら、自然災害やサイバー攻撃、その他何らかの要因等によりシステム障害やネットワークの切断等予測不能なトラブルが発生した場合には、社会的信用失墜等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)前受金について

 当社の行うスタディング事業では、有料講座の購入の際に、受講料をクレジットカード決済、コンビニ支払い、銀行振込等により全額前払いで受領し(現金ベース売上)、この金額を前受金として貸借対照表の流動負債の部に計上します。コースの申込時に全額受講料をお支払いいただき(現金ベース売上)、この金額を前受金として貸借対照表の流動負債の部に計上します。その後、サービス提供期間(講座の受講期間)に対応して月次で会計上の売上として按分しております(発生ベース売上)。そのため、現金ベース売上の拡大に伴い前受金残高が増加し、翌月以降の発生ベース売上の増加に寄与します。したがって、当社は現金ベース売上についても重要な経営指標として認識しておりますが、当初の想定どおり現金ベース売上が推移しない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、過年度及び2022年12月期における当社の現金ベース売上高の四半期ごとの推移は下記のとおりです。

(単位:千円)

 

2017年12月期

2018年12月期

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

第1四半期

106,933

148,616

197,297

359,511

632,541

814,047

第2四半期

86,193

133,664

193,275

411,547

465,029

537,275

第3四半期

113,178

174,770

293,309

550,662

712,436

834,511

第4四半期

116,857

182,712

278,068

479,432

634,448

834,533

 

(6)業績の季節的変動について

 e-learning・教育事業における個人向け資格取得支援サービス「スタディング」は、原則として申込時に全額受講料をお支払いいただいております(現金ベース売上)。受領した受講料は、一旦前受金として計上され、その後、会計上の売上高がサービス提供期間(コースの受講期間)に対応して期間按分されます(発生ベース売上)。

 当社の主力の資格講座については、試験の終了後にコースの受講期限を設定しておりますが、主力の資格講座の試験日は下期に集中しているため、コースの受講期限についても同様に下期に集中しております。

 受講者が購入したタイミングが年度のどの時期であっても、受講期限は同じタイミングとなるため、主力講座の受講期限の直前にあたる下期の発生ベース売上が最も積み上がる傾向にあります。

 一方、当社では現金ベース売上を獲得するために広告宣伝費を積極的に投下しており、当該費用は当月に計上されます。このことから、上期については発生ベース売上の積み上げが不足がちである一方、主力講座の受講期限が集中する下期については、発生ベース売上が十分に積み上がっているため収益は改善する傾向にあります。

 したがって、広告宣伝費を投下したにも関わらず、十分な現金ベース売上が獲得できなかった場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、2021年12月期及び2022年12月期の業績は、下記のとおりです。

(単位:千円)

項目

2021年12月期

2022年12月期

上期

下期

上期

下期

売上高(発生ベース)

961,606

1,301,202

1,252,904

1,595,603

経常損益

△72,942

220,993

△405,182

221,983

当期純損益

△61,776

186,422

△440,413

219,481

 

(7)大規模な自然災害・感染症等について

 当社は、個人向け資格取得の支援サービスを目的として「スタディング」や法人向けの社員教育研修の支援を目的とした「エアコース」を運営・提供しております。これらのサービスは、Webを介して提供されるため、自然災害や感染症の流行時もサービスを提供することが可能になっております。また、勤務体制としては、テレワークが可能な体制を敷いているため、自然災害や感染症流行時でも事業を継続することが可能であり、今回の新型コロナウイルス感染拡大時においても、影響はでておりません。

しかしながら、今後、大規模な自然災害や・感染症等の発生、拡大等により、長期間にわたって、当社が取り扱っている資格講座の試験が延期、又は中止となったり、法人企業活動が大幅に制限される状態となった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)集客方法について

 当社は、個人向け資格取得事業において、顧客となる会員の獲得方法としてWebマーケティング(検索連動型広告)によるユーザーの獲得を主な集客手段として活用しております。検索連動型広告は、ユーザーが検索したキーワードに連動して表示され、広告主は当該キーワードを入札によって購入することになります。現在、検索連動型広告に加え、当社のWebページが検索結果の上位に表示されるようなSEO(Search Engine Optimization)対策や、FacebookなどのSNS(Social Networking Service(ソーシャル・ネットワーキング・サービス))を使った集客方法確立にも力を入れておりますが、仮に検索連動型広告以外での集客手段が構築できず、また検索連動型広告での入札コストが急激に上昇した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)組織規模について

 当社は、従業員59名(2022年12月31日現在、他パートタイム7名)であり、従業員1人当たりの業務領域が広範囲にわたるため、人材育成等の観点では好ましい環境である一方で、事業拡大に伴い急速に業務量が増加していく局面においては、従業員1人当たりの業務負荷が増大し、運営に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、今後、事業拡大に応じた人員増強、内部管理体制の充実を図ってまいりますが、前述した事業拡大に応じた人員増強が計画通り進まなかった場合や内部管理体制の充実がなされなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)人材の確保及び育成について

 当社は、継続的な事業拡大のためには、優秀な人材の確保や育成が重要であると認識しております。しかしながら、今後の事業計画において策定される人員採用計画に沿った人材採用が順調に進まなかった場合や、労働力市場の変化、及び経営環境等の変化による人材流出が進んだ場合には、当該影響による業務運営及び事業拡大に支障が生じる可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)知的財産管理について

 当社は、特許権や商標権等の知的財産権に関して、外部の弁理士等を通じて調査する等、その権利を侵害しないように留意するとともに、必要に応じて知的財産権を登録することにより、当社権利の保護にも留意しております。また当社自身も積極的に特許の取得や商標の取得に注力し、他社との差異化に努めております。

 しかしながら、当社の認識していない第三者の知的財産権が既に成立している又は今後成立する可能性があり、仮に当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者により損害賠償請求、使用差止請求又はロイヤリティ支払要求等が発生する可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)情報セキュリティ体制について

 当社は、受講者の個人情報に加え、資格講座の動画コンテンツなど重要な情報を保有しております。当社では、代表取締役社長を筆頭に、管理担当取締役を情報セキュリティ管理責任者、システム統括部部長を情報セキュリティ委員長とした情報セキュリティ体制を構築しております。また、2019年2月にはISMS認証(ISO27001)を取得し情報セキュリティ体制の強化を図っております。しかしながら、万一、個人情報や動画コンテンツへの不正アクセス等により情報漏洩が起きた場合、受講者及び取引先の信頼が失墜し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)経営管理体制の確立について

 当社は、業容の拡大及び従業員の増加に合わせて内部管理体制の整備を進めており、今後も一層の充実を図る予定です。しかしながら適切な人的・組織的な対応ができずに、事業規模に応じた事業体制、内部管理体制の構築が追いつかない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)特定の人物への依存について

 当社代表取締役社長である綾部貴淑は、当社の設立者であるとともに、大株主であり、経営方針や事業戦略の決定において重要な役割を果たしております。このため、当社は、特定の人物に過度に依存しない体制を作るために、取締役会等における役員間の相互の情報共有や経営組織の強化を図っております。しかし、現状において、何らかの理由により当人が当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)配当政策について

 当社は、利益配分について、将来の財務体質の強化と事業拡大のために必要な内部留保を確保しつつ、当社を取り巻く事業環境を勘案して、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。しかしながら、当社は現在成長過程にありますので、更なる成長に向けた事業基盤の整備や事業の拡充、サービスの充実やシステム環境の整備等への投資に有効活用することが、株主に対する利益貢献につながると考え、創業以来無配としてまいりました。

 将来的には、財政状態及び経営成績を勘案しながら配当を実施していく方針でありますが、現時点において配当の実施時期等については未定であります。

 

(16)税務上の繰越欠損金について

 当社には、税務上の繰越欠損金が存在しております。これは法人税負担の軽減効果があり、今後も当該欠損金の繰越期間の使用制限範囲内においては納税額の減少により、キャッシュ・フロー改善に貢献することになりますが、当社の業績が順調に推移するなどして繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税等が計上されることとなるため、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度につきましては、依然として新型コロナウイルスの感染拡大により経済の不透明感が続いている中、同ウイルスの影響に背中を押される形で、学習や教育におけるDXの急速な浸透が進み、また、政府による経済政策である「新しい資本主義」の柱の一つ「人への投資と分配」による個人リスキリング(学び直し)の意識も高まるなか、当社ビジネスの強みであるITを活用したオンライン学習ニーズは増加しております。あわせてビジネスパーソンが専門性を高め自身のキャリア形成につなげていく志向の高まりや、各企業における優秀な人材の育成にむけ、個人、法人問わず、リスキリング(学び直し)の機運が拡大しました。

 また1月にはデータサイエンスに強みを持つ株式会社データミックスと資本・業務提携契約を締結しております。同社はデータサイエンス領域での教育事業やデータ・AIを活用した事業を展開しており、データサイエンティスト向けの認定資格やオンライン試験監視サービス等の事業を推進しております。本提携により、当社と株式会社データミックスの強みを活かすことで、相互の売上の拡大や、革新的な教育サービスを開発し、当社事業のサービス力を強化してまいります。

 このような環境下、個人向け事業においては、前年に引き続きスタディング講座の新規開発や既存講座の改訂、サービス内容や品質の向上、事業基盤を支える人材の確保、特にマーケティングの強化等に注力してまいりました。講座ラインナップにつきましては、4月には、2019年12月期に開講した1級建築士講座に続いて「2級建築士」講座をリリース、11月にはITを高度に活用し、企業の経営課題を解決に導く人材を示す国家資格である「ITストラテジスト」講座をリリースいたしました。講座ラインナップの拡張により、難関資格~簡単な資格までのピラミッド構造をより拡充することで、LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)の最大化と、受講者のキャリア構築につながる学びの提供を目指してまいります。

 当期の主な取り組みとしましては、昨年度に引き続き1月に当社サービスのブランディング強化を目的として、スタディングのテレビCM放映を全国主要地域で実施しており、「挑戦する人を応援する」というメッセージとともに、当社ブランドイメージの確立と認知度向上、及び中長期的な成長を実現させることに注力いたしました。

 スタディングのシステム面においては、当社スタディング講座受講者による学習履歴データやAI(機械学習)を活用し受講者毎に最適化した学びを提供するサービスの企画・開発を引き続き進めてまいりました。主な内容としましては、7月より「AI問題復習」機能の提供を資格・検定試験対策向けの29講座にて一斉に開始しました。AIが最適なタイミングで復習問題を自動出題する「AI問題復習」をリリースいたしました。AI問題復習機能では、AIを使い、受講者一人ひとりにとって「最適なタイミング」で復習問題を毎日自動的に出題することで、効率的な復習が可能になりました。さらに、昨年度に一部講座でリリースしていた「AI実力スコア」機能について、提供講座を拡充してまいりました。「AI実力スコア」機能は、スタディングに蓄積されている膨大な学習履歴データや問題・模擬試験等の得点データをAIが分析し、受講者毎の得点を予測します。これにより日々学習を進める中で、現在の科目別・テーマ別の実力をリアルタイムで把握することで、より効率的な学習が可能となりました。

 また、受講者サポート面においては、公務員講座において、担当講師による個別サポートが受けられる「コーチング対応公務員合格担任フルサポートコース」の提供を開始しております。指導経験豊富な担当講師がオンライン上で受講生一人一人に伴走し、個別カウンセリングや筆記試験対策のための相談や質問を行うことで、オンラインで孤独になりがちな受験生へのバックアップを可能としております。

 今後についても、受講者の利便性や勉強効率を高める機能開発に注力し、サービス機能充実・新規講座のラインナップ拡大等を通じ、難関資格に挑戦する人に合格まで伴走することができる、信頼されるサービスを目指してまいります。

 法人向け教育事業につきましては、社員教育クラウドサービス「エアコース」のコンテンツ強化や新機能のリリースによるプロダクトの強化、及び動画制作サービスの新規案件受注獲得に向けた営業活動を積極的に行ってまいりました。エアコースにおいては、受け放題の動画研修コースである「標準コース」の開発に積極的に注力した結果、コース数は2022年12月末で648コースまで拡充し、前年同期比243コース増となりました(2021年12月末は405コース)。追加した主なコースとしましては、従来までのラインナップコースの充実に加え、新たに、生産管理を基礎から体系的に学べる「生産管理基礎」、在宅ワークでの働き方が標準となった昨今、組織内のメンタルヘルスの維持等に効果が期待される「メンター養成講座」や「メンタルヘルス講座」、働き方の多様化に伴い、外部事業者との契約や法律のポイントをまとめた「業務委託契約と下請法の理解」などを開発しました。また出資先である株式会社データミックスと共同開発した、同社との取り組みの第一弾として、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業が社員のリスキリングを体系的に行うための、eラーニングと研修をワンストップで提供する「リスキリング&DX教育パッケージ」を3月にリリースしております。また「標準コース」においても、データ活用スキルやマインドセットを基礎から学べる「データサイエンティスト入門」もリリースするなど、今後も企業ニーズの高いコンテンツを共同で開発・リリースしてまいります。

 法人向け教育事業のシステム面においては、エアコースのUI(ユーザーインターフェース)デザインを大幅にリニューアルしたことにより見やすさと使いやすさの向上、エアコースのeラーニングコースをまとめた学習パスを作成できる機能「学習パス」、ユーザー情報の更新自動化による工数削減を可能とした「AirCourseAPI機能」など、これまで以上に利便性と操作性の向上を実現するようなサービスを開発・リリースしております。今後も、社員教育のプラットフォームとしてより多くの企業様にご採用いただけるよう、引き続き新たなコースやサービスの開発をしていくことを通じ、社員教育を革新するサービスを推進してまいります。

 このような状況のなか、当事業年度の経営成績は、売上高は2,848,507千円(前年同期比25.9%増)となりましたが、主に当社ブランディング向上を目的とした積極的な広告宣伝費の投下、及び将来を見据えた優秀な人材の採用等事業基盤の強化に注力したことにより、営業損失は183,381千円(前年同期は148,451千円の営業利益)、経常損失は183,199千円(前年同期は148,051千円の経常利益)、当期純損失は220,932千円(前年同期は124,645千円の当期純利益)となりました。

 

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における資産合計は3,406,543千円となり、前事業年度末に比べ635,604千円増加いたしました。これは主に現金ベース売上増による現金及び預金の増加513,777千円、システム開発に伴うソフトウエア及びソフトウエア仮勘定の増加55,068千円、及び出資に伴う投資有価証券の増加49,998千円によるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債合計は2,440,821千円となり、前事業年度末に比べ853,360千円増加いたしました。これは主に運転資金の確保に伴う短期借入金の増加400,000千円、及び現金ベース売上増に伴う前受金の増加434,025千円によるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は965,722千円となり、前事業年度末に比べ217,756千円減少いたしました。これは主に、当期純損失220,932千円によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べて513,777千円増加し、2,787,332千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は313,605千円(前年同期比28.8%減)となりました。これは主に、税引前当期純損失183,199千円、現金ベース売上増に伴う前受金の増加額434,025千円、広告宣伝費の積極的投下による未払金の増加額70,674千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は148,536千円(前事業年度は91,669千円の資金の使用)となりました。これは主に、システム開発に伴う無形固定資産の取得による支出97,699千円、出資に伴う投資有価証券の取得による支出49,998千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は348,708千円(前年同期比268.4%増)となりました。これは主に、短期借入金実行による収入1,550,000千円、短期借入金及び長期借入返済による支出1,200,143千円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

  当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

  当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

  当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。

当事業年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

前年同期比(%)

2,848,507千円

125.9

 (注)1.当社は、e-learning・教育事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

    2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当事業年度の経営成績については、個人向け資格取得事業(スタディング事業)は、2022年4月に「2級建築士」講座を、同11月には「ITストラテジスト」講座をリリースし、講座カテゴリの拡張により難関資格~簡単な資格までのピラミッド構造をより拡充しており、全31講座のラインナップとなりました。また、2022年12月期の新規有料会員数(ユニーク数)は66,428人となり、前年同期比で36.4%増、現金ベース売上高についても3,015,978千円となり、同23.4%増となり、昨年に引き続き高成長を実現しました。

当社にはサービス開始時より蓄積された、講座受講者の膨大な学習履歴データや問題、模試試験等の得点データが蓄積されています。これらデータを活用することで、受講者ごとに最適化した学習方法を提供するサービスの開発を引き続き進めました。なかでも、AI(機械学習)による学習の個別最適化を目的としたサービスの開発を積極的に進めており、2022年7月には受講者一人ひとりにとって最適なタイミングで復習問題を自動的に出題する「AI問題復習」機能を新たにリリースしました。さらに、昨年度にリリースした、個人の学習データから現在の実力をリアルタイムで確認できる「AI実力スコア」機能の導入講座を拡張しております。既にリリースしているAIが学習計画を作成、合格に向けた効率的な学習が可能な「AI学習プラン」機能や、学習中の質問に対し、最適なコンテンツを横断的に表示する「AI検索」機能など、引き続きAIを活用したサービスの開発を進めてまいります。また、受講者同士で情報等をやりとりすることができる「勉強仲間SNS」機能も好評です。オンライン学習においてデメリットになりがちな孤独感を排除すべく、よりコミュニケーションがとりやすく、お互いの進捗状況の共有や励ましあいを行えるような環境を提供しています。このように、今後もより受講者目線に立った利便性や学習効率の高いシステムを開発してまいります。

スタディング事業においては、先行投資となるWeb広告やマス広告への出稿による認知拡大により、無料会員を獲得し、その中から講座を購入(有料会員へ移行)していただくことが重要です。受講料の支払額の総額である現金ベース売上が積み上がり、その後、発生ベース売上として売上按分されることになるため、現金ベース売上の推移(貸借対照表上は前受金計上)はそのまま収益に影響を及ぼすことになります。

Web広告はGoogleやYahoo!等が提供する検索連動型広告(リスティング広告)への出稿が主でありますが、リスティング広告はオークション形式であり、検索キーワードの入札価格や広告としての品質によって順位付けられて表示されるため、適切な運用が重要です。Web広告では、広告が表示された回数、クリックされた回数、かかった費用、費用対効果などのデータ収集や効果測定が可能であるため、データを分析しながらより効果的な運用が可能となります。一方で広告効果を高めるには、効果測定の結果分析や、きめ細やかな運用が不可欠となるため、当社では日次でデータをチェックし対応するための人的リソースの確保や、運用ノウハウの獲得を重視しております。集客をリスティング広告のみに依存した場合、競合との関係から費用が増大するリスクがあるため、検索での流入を増やすSEO対策や、動画広告への出稿など様々な手法を取り入れ集客の増加を図ることを重視しております。また、昨年度に続き、当期においてもスタディングのテレビCMを全国主要地域で放映しており、「挑戦する人を応援する」というメッセージとともに、当社ブランドイメージの確立と認知度向上、及び中長期的な成長を実現させることに注力いたしました。短期的な集客効果に加えて、人々が資格を取ろうとしたとき、スタディングが第一想起となるよう中長期のブランディング強化をはかることで収益性を高めていくことが目的です。

当社の売上高は、現状ではスタディング事業が大半を占めておりますが、中長期の経営戦略を考えたとき、収益源の多様化は重要な経営課題であると認識しております。スタディング事業における資格ごとの減衰や季節要因等のリスクを低減し、安定した収益を確保するためには、法人企業との取引が不可欠であると考えております。

そのため、2018年7月に法人事業部を立ち上げ、法人向け事業を推進しております。法人事業では、企業にニーズの高い社員教育クラウドサービス(エアコース)の販売や、社員教育動画制作サービス、スタディング事業で展開している資格講座を法人向けに販売するなど売上増にむけて積極的に展開しております。主力のエアコースでは、大企業向けに、セキュリティの強化など新機能のリリースや、受け放題となっている社員教育研修コースの開発に注力しました。2021年12月末で405コースだったコース数は、2022年12月末で648コースまで拡充させ、前年同期比243コース増となっております。また、スタディング事業の資格講座の法人向け販売も伸びており、エアコースとスタディングを組み合わせ、企業の人材育成ニーズに合わせた提案力を強化することで、法人事業の売上を拡大してまいります。社員教育においても、各企業の成長ステージにおける課題解決を網羅していけるような社員教育プラットフォームを目指し、引き続き社員教育を革新するサービスを積極的に展開し、中長期的には法人事業の成長により収益源を多様化させていく方針です。

当社は、個人向け、法人向けサービス双方でITを駆使しております。スマートフォンやタブレット、PCなどの情報端末を活用した学習方法を提供しておりますが、それら情報端末の進化は著しく、また通信環境の改善により、ユーザーは動画を始めとするリッチコンテンツの閲覧や多様な情報の取得が可能となっております。したがってそれら技術革新を正しく理解し、品質の高いサービスの提供に向け高い技術力の確保が重要であると考えております。その実現のため、優秀な技術者の確保を加速するとともに、AIを含む最新の技術知識の獲得を加速させる方針です。

今後の新型コロナウイルスの対応と業績への影響につきましては、今後の収束時期等を予測することは困難な状況にあり、不透明な事業環境が引き続き継続することが想定されます。当社の業績に与える影響としましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う一時的な需要増は収束しておりますが、長期的なトレンドとして、個人の自己学習や社員教育におけるオンライン化は着実に進行しております。テレワークの一般化、デジタル化によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の浸透や、個人、法人ともにリスキリング(学び直し)の意識が高まってきており、当社の強みであるITを活用した、DXとリスキリングを合わせて解決できるオンライン学習のニーズは増加してきており、創業当初よりオンラインに特化し、オンラインで完結するための利便性の高いサービスや分かりやすい講座展開を強みとしている当社事業において、成長を加速させる絶好の機会と捉えております。当社としましては、スタディング事業については新規講座の開発、既存講座の強化、認知度向上のためのマス広告(テレビCM)等への投資、AIのさらなる活用やシステム開発によるサービス力の強化等、売上拡大につながるための施策を引き続き積極的に展開してまいります。法人向け教育事業については、社員教育クラウドサービス「エアコース」のコンテンツのさらなる充実や、より利便性の高い新機能を開発しリリースしていくなど、より大企業での教育ニーズに沿ったプロダクトの強化を行う方針であり、これらを通じ、社員教育を革新するサービスを目指してまいります。

当社の投資方針としては、中長期に高成長を実現させるため、成長の鍵となるマーケティング、システム・AI開発、および関連する特許戦略(知財戦略)、コンテンツ開発、といった分野に投資していく方針であり、2022年1月にはデータサイエンスに強みを持つ株式会社データミックスと資本・業務提携契約を締結しております。同社はデータサイエンス領域での教育事業やデータ・AIを活用した事業を展開しており、データサイエンティスト向けの認定資格やオンライン試験監視サービス等の事業を推進しております。本提携により、当社と株式会社データミックスの強みを活かすことで、相互の売上の拡大や、革新的な教育サービスを開発し、当社事業のサービス力を強化してまいります。

事業運営面においても、中長期の持続的な成長を実現させるため、優秀な人材の採用や、社員の育成など人材の強化に努めてまいります。また、さらなる成長の鍵となるマーケティング強化、システム・AI開発における特許戦略(知財戦略)の展開、コンテンツ開発といった分野に投資し、競争優位性を高めるとともに高い成長を実現し、企業価値を高めていく方針です。常に顧客目線を心掛け、「世界一『学びやすく、わかりやすく、続けやすい』学習手段を提供する」というビジョンのもと、顧客への提供価値および企業価値を高める方法を追求してまいります。そしてそれこそが、私たちのミッションである「学びを革新し、誰もが持っている無限の力を引き出す」を達成することにつながると考えております。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

 当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費等の営業費用であり、これらに必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて最適な方法による資金調達を行う予定であります。

なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は2,787,332千円であり、有利子負債の残高は533,104千円であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。