第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、『「カセツ」の力で、社会に明日の場を創りだす』というパーパス(存在意義)及び『社員のため、社員の家族のため、顧客のため、株主のために、安心と幸せを提供し、社会性を第一優先とした、独自性、経済性を追求する企業を目指す』という経営理念のもと、仮設機材レンタルサービスの強化により経営基盤を安定させ、更なる成長が期待できる事業を新たに創出し、建設仮設業界で最も必要とされる存在となることを経営ビジョンとして、仮設工事に係る多様なサービスをワンストップで提供するとともに、仮設工事業界のイメージ向上につながる先進的なサービスを創出し業界の抱える問題を解決することを目指しております。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社が自社の分析をする際に重視する経営指標は、売上高、営業利益、EBITDAであります。

事業規模を示す売上高、損益面において事業の収益性を示す営業利益を管理することにより、経営効率の一層の向上を図っております。

また、当社は現在投資フェーズであるため、将来の成長性を示すためにEBITDAを重視しております。

なお、仮設機材の稼働率については重視するものの、投資フェーズであることから仮設機材稼働率は変動しやすく、適正値を維持するべき指標として管理しております。

 

(3) 経営環境、経営戦略等

当社の業績に影響を与える建設業界におきましては、新型コロナウィルス感染症の行動制限の緩和等により社会経済活動の正常化に向けた動きが進み、持ち直しを見せております。

このような状況のもと、当社におきましては、仮設機材のレンタルから販売に至るまでワンストップで対応できるサービスの強みを活かし、当該分野での主力企業として成長するとともに、海外も含めた事業展開も拡大してまいります。具体的な経営戦略は以下のとおりです。

① 既存顧客の深耕及び新規顧客の開拓

既存顧客の深耕を通じて当該顧客の取引量拡大を図るとともに、新規顧客の紹介を受けることにより顧客基盤の拡大を目指しております。また、自社独自のマーケティングにより積極的な営業活動を通じて新規顧客の獲得を目指しております。

② 拠点開発

現在、本邦内に営業所として5カ所、機材センターとして21カ所展開しております。より近く、より便利をモットーに、これらの拠点を起点としたドミナント展開を通じ既存顧客へのサービスの拡充を図るとともに、新たな顧客の獲得にもつなげていく戦略をとっております。また、2022年10月にベトナム社会主義共和国へ子会社ASNOVA VIETNAM CO.,LTDを設立するとともに、パートナー企業と日本国内で広域にサービスを提供するASNOVA STATIONにて全国に15拠点を構えております。

③ サービス・品揃えの強化

建設時の落下物を防ぐための機材で設置が義務付けられている「朝顔」を改良し、部品点数の半減かつ軽量化を実現した新機材(クサビ緊結式次世代シート朝顔 SpeeK)を開発し、展開しております。今後も、機能性の改良ニーズ・安全性の強化ニーズを汲み取ったオリジナル品の提供などを視野に入れ、サービス・品揃えの強化を進めてまいります。

 

④ 建設仮設業界活性化への貢献

建設仮設業界への興味・関心を高め、中長期的な視点で若手人材不足の解消を目指し、業界の更なる活性化に貢献することを目的として、オウンドメディア「カケルバ」で足場の持つ「仮設性」をテーマに継続して情報発信を行ってまいりました。今後も、より発信力の強化を目指してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社を取り巻く市場環境は急速に変化し、益々競争が激化しております。そのような市場環境で継続的な成長を図るために、既存事業であるレンタル関連事業の安定した収益拡大を図るとともに、更なる成長が期待できる事業を新たに創出し、更にはこれらを支える人材育成や管理体制の強化を対処すべき課題と定め、以下のような課題に取り組んでまいります。

① レンタル関連事業の強化

建設事業者あるいは足場施工業者等の当社の顧客においては、更なる事業拡大のための機材投資の他、劣化・破損・滅失等による仮設機材等の一定の補充更新需要があり、機材投資に係る資金負担が生じる中、当社の扱うレンタル品の活用により、投資負担を軽減しながら事業展開されているものと考えます。一方、当社にとっても、上記の顧客のニーズに的確に応えることで、機材のレンタル出庫量が増加し安定した収益の拡大に繋げることが可能となります。また、機材センターの開設に際しては、既存センターの立地状況を踏まえ、同一地域におけるドミナント形成も考慮に入れながら展開することとしております。顧客に対するサービスの品揃えとして、レンタルだけでなく販売も手掛けることで、単なるレンタルサービスを提供する会社からの脱却を図り、レンタル品・購入品の最適な比率のアドバイスなど、様々な相談にお応えしながら当社をご利用いただけるよう取り組んでまいります。

② 新規事業の創出

当社は仮設機材のレンタル・販売を主たる事業として展開しておりますが、単一事業であるが故に、サービスを提供する業界に不測の事態が発生した場合において、業績に大きな影響が出る可能性があるため、新規事業の創出に取り組んでおります。2022年10月にベトナム社会主義共和国へ子会社ASNOVA VIETNAM CO.,LTDを設立するとともに、パートナー企業と日本国内で広域にサービスを提供するASNOVA STATIONを展開しております。また、「誰でも」、「すぐに」、「簡単に」レンタルが可能な「新足場レンタルサービス」にて、最短で翌日に出庫が可能なサービスを提供しております。2023年5月には中古機材の買取・販売を行うECサイト「ASNOVA市場」をオープンいたしました。

③ 人材育成・管理体制の強化

社内に新規事業を担う社員を育成することを目的として、人事制度の再構築に取り組んでおります。具体的には、評価制度の見直しを実施し、併せて外部教育機関への入学支援や網羅的にスキルや知識を習得する教育制度の再構築を進めております。また、機材センター業務の簡素化・標準化・デジタル化を推進し、在庫予測にAIを活用する等、効率的な運営を実現するとともに、バックオフィス体制の再構築として、業務分掌を見直し、最適人数にあわせた人員補充を進め、コンプライアンス意識の更なる向上等、管理体制の強化に取り組んでまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の詳細に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社の事業のひとつである仮設足場のレンタルは、顧客の需要に応じて貸し出しを行うビジネスであり、資源の再利用を基本としており、レンタル事業は大量生産・大量消費のサイクルから抜け出し、循環型社会に貢献できるものと考えています。当社では今後、気候変動に係る対応を経営上の重要課題と認識し、必要に応じて気候変動による事業へのリスク・機会の検証を行い、検証したリスク・機会を取締役会へ報告する体制の構築をいたします。

 

(2) 戦略

気候変動は、当社の事業活動に対して、さまざまな「リスク」と「機会」をもたらす可能性があり、企業としてそれらに対応していくことが重要であると考えています。

具体的には、機材センターでは仮設機材を屋外で保管しており、またレンタル中の仮設足場も顧客にて主に屋外での使用であり、風水害の影響を受ける可能性があります。一方で、風水害による復旧工事の増加に対して、足場機材のレンタル及び販売サービスは復興・復旧、災害に強い街づくりなど、誰でも安心して住み続けられる環境づくりに貢献できると考えています。

人材戦略について、当社では人材採用や社員の成長を目的として、人事制度「ASNOVA WAY」を定めております。具体的には、大学・大学院で学びたい経営幹部や責任者、業務のスペシャリストを希望する社員に対して、外部教育機関の学費を会社が負担する制度「ASNOVA Recurrent」や、複数の図書から毎月1冊を会社が提供し、基礎教養の習得を応援する「ASNOVA リベラルアーツ」等があります。

 

(3) リスク管理

会社の事業活動において、多様な人材が集い、一人ひとりが持てる能力と個性を最大限に発揮できることが重要であると考えております。人材の流動性が高まる中、採用競争力が低下して計画通りの人材獲得が進まなくなること、社員の離職により組織の総合力が低下することが最大のリスクと考えています。社員に成長の機会を提供し、活躍しやすい環境を整えることで、リスクの低減に努めています。

 

(4) 指標及び目標

当社では、足場機材を社会の共有財産として、必要な時に必要な量をレンタルという形でシェアをし、廃棄を減らすことで環境への負荷を減らせると考えます。その為、足場機材センターの拠点数をさらに増やし、レンタルを利用する契約顧客を増加させることで、レンタルを普及させ、循環型社会の実現に寄与いたします。その指標を下記の目標で行います。

 

事業年度

足場機材センター拠点数

(パートナー拠点含む)

新規契約顧客社数

2024年3月期(実績)

36

315

2025年3月期

43

400

2026年3月期

50

450

2027年3月期

57

500

 

 

当社では女性活躍の推進に取り組んでいます。女性社員が自身の強みを活かして活躍できる組織及びそれを支援する制度づくりを推進してまいります。

 

女性活躍推進法に基づく行動計画(2027年3月までの目標)

目標:一人親家庭の社員の手当を充実させる。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 建設投資動向等の影響について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループは、建設用仮設機材のレンタルを主たる事業としております。当社グループの主要取扱品目は、主に建設現場で使用される仮設機材であるため、当社グループの業績は建設投資動向の影響を受ける傾向にあります。建設投資動向は、民間設備投資や国及び地方公共団体の公共事業予算に影響を受けます。そのため、建設投資動向が変動し、仮設機材のレンタル需要が落ち込んだ場合には、レンタル関連事業の単一セグメントにて業務運営を行う当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 貸倒れリスクについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループの取引先は多数に及んでおり、売上債権は特定の取引先に集中することなく、多数の取引先に分散しております。売上債権の貸倒れリスクは、これら多数の取引先の財務状況に影響を受けることになります。当社グループの取引先のほとんどは建設会社、住宅メーカー及びそれらの会社から受注を受ける足場施工業者であります。建設業界を含め全般的に景気が低迷した場合には、それらの会社の受注機会の減少、業績の低迷につながり、結果として、債権の回収遅延や売上債権の貸倒れが増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、貸倒れリスクに対応する中で貸出中仮設機材の滅失や盗難に対し、物流総合保険にてリスクヘッジを行っております。

 

(3) 借入金を中心とした有利子負債への依存について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、仮設機材の購入代金の大部分を借入金により調達しているため、総資産に占める有利子負債の比率は下表のとおり高い水準で推移しております。今後、借入金利が上昇に転じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

2023年3月期(千円)

2024年3月期(千円)

有利子負債残高

(対総資産額比率)

4,251,929

(58.3%)

5,861,304

(62.4%)

純資産額

(自己資本比率)

2,789,831

(38.3%)

3,027,405

(32.3%)

総資産額

7,289,025

9,386,352

支払利息

12,993

19,068

 

(注) 有利子負債残高は、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定のものを含む)、リース債務(1年内返済予定のものを含む)の合計であります。

 

(4) 仕入価格の変動について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループが取り扱う仮設機材は、主に鉄鋼製品であるため、製造メーカーによる販売価格については、鉄鋼原材料市況に大きく影響されます。そのため、当該市況により製造メーカーの製品販売価格が著しく変動し、当社グループの仕入価格を販売価格又はレンタル価格に転嫁できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 営業不振による退店及び減損会計の適用について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループは、機材センターの新規出店を重要な経営戦略の一つと位置づけております。機材センターの新規出店に当たっては、商圏人口・仮設工事業者数・競合店状況等の立地条件や地価・賃借料等の経済条件を基に、売上及び利益等の業績予想、投資回収年数等を勘案し出店の可否を決定しております。しかし、出店した機材センターが当初の計画通りの収益を計上できず、業績の回復が図れない場合には、減損会計の適用により減損損失を計上することを余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらには、退店等撤退する場合には、当該機材センターにおいて収益を獲得する機会を逸することとなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

加えて、機材センターの土地を取得する際は、一定の収益獲得を前提としたプレミアム部分を上乗せするケースも多いため、当該収益性が低下した場合に、使用価値で投資回収できず正味売却価額を回収可能価額として評価せざるを得ない状況となり、減損損失を余儀なくされ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 建設業法について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

当社の福井敦賀工事センターが行う足場の架払工事サービスは、建設業法に定められた一般建設業「とび・土工工事業」の許可を受けております。主な取引先は建設会社、住宅メーカー及びそれらの会社から受注を受ける足場施工業者であり、それらの会社と取引を行う場合、一般建設業の許可については必須事項となっております。一般建設業の許可の取消や停止事由が発生した場合は当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 製造物責任(PL)について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループのレンタル仮設機材及び販売仮設機材には、製造物責任のリスクが内在しております。製造物責任は一義的には機材メーカーが負いますが、製品を仕入れる当社グループにおいてもレンタル及び販売上の責任を負うことになります。製品の仕入れに係る製造メーカーとの基本取引契約において責任の帰属先を明確化し当社グループのリスク低減を図り、また当社グループが顧客と取引を行う際に顧客との間で締結する取引基本契約書において責任の帰属先を明確化し、レンタル品の瑕疵担保責任を負わない旨を規定しており、それによって当社グループのリスクの低減を図っておりますが、製品の欠陥に起因して発生する損害賠償を製造メーカーが加入する保険により補填できない事態や、大規模な製品回収による受注の機会損失により生じるリスクが現実化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 都市計画法について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社のレンタル関連事業については、取り扱う機材の大きさや数量及び重量の特徴から、広大な敷地面積を要する作業場(以下「ヤード」という。)での機材管理が不可欠であります。具体的には、レンタルの際の機材のトラックへの積み下ろし、フォークリフトによる所定のストック場所への格納作業など、荷捌きのためには一定の広さが必要です。

かかる中、広大な敷地を可能な限りコストのかからない方法で利用することが不可欠となります。市街地は概して地価が高いため、市街化調整区域への展開を模索することとなりますが、機材センターの出店及び事務所設置にあたり規制を受けることとなります。行政への確認を通じ、規制に抵触しないよう出店時には最大限の注意を払っておりますが、何らかの事情により規制が強化された場合等には、展開拠点の見直しを迫られる可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) ヤード内での事故発生リスクについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

荷捌き中の事故や荷崩れなどにより、重大な事故等が発生した場合には、当社グループの社会的信用や当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 機材の盗難リスクについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

ヤード内で厳重保管の上、監視カメラの設置やセキュリティ会社との連携により、機材の盗難に対し万全の備えはしているものの、ヤード設置場所の特性から盗難の可能性を排除しきれず、不測の損失を被る可能性があります。

 

(11) レンタル品の返却時のリスクについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社レンタル品としての識別が可能なように、色を塗付するなど工夫を凝らしておりますが、返却時に他社製品と混在してレンタルした機材の全数が返却されないケースがあります。その場合は、滅失処理として相応の料金を収受することとしておりますが、返却が受けられない場合は次なるレンタルにタイムリーに供することができず、機会損失が生じることで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(12) 特定の経営者への依存について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループ設立の中心人物であり、設立以来の事業推進役である代表取締役社長上田桂司は、仮設機材のレンタルに関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の構想・策定等、当社グループの事業活動全般にわたって重要な役割を果たしています。当社グループでは、過度に同人に依存しないよう、経営幹部役職員の拡充、育成及び権限委譲による業務執行体制の構築等により、経営組織の強化に取組んでおりますが、何らかの理由により同人による当社グループの業務遂行が困難になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 人材の確保・育成について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループでは、一層の成長を支える優秀な人材を確保することが重要だと考えております。このため、今後も人材の採用及び教育研修実施の機会・内容の充実により、当社グループの経営理念及び経営方針を理解した、当社グループの成長を支える社員の育成を行ってまいりますが、雇用情勢の変化等により、計画通りに人材が確保・育成できない場合には、当社グループの事業運営や当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 自然災害等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループの機材センター・本社や営業所が所在する周辺地域において地震や台風等の自然災害や事故等が発生し、機材等やインフラの物理的な損害により営業活動を中断せざるを得ない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、新型コロナウイルスや新型インフルエンザ等、世界規模での感染症が流行した場合、操業停止・各国の経済停滞やサプライチェーンの停滞等により、当社グループの事業運営・業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) ITセキュリティについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、各種の情報システム・IT機器を利用して業務を遂行しております。そのため、システムの不備、災害及びコンピュータウイルス等の外部要因により、入出庫データ、在庫データ等が喪失又は改ざんされたり、当該システムにアクセス不能となり業務が阻害された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 訴訟に関するリスクについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、コンプライアンス経営の重要性を認識しており、コーポレート・ガバナンスの強化に努めております。今後もコンプライアンス経営を推進してまいりますが、事業を遂行していくうえでは契約条件の解釈の齟齬などを原因として訴訟されるリスクの可能性があり、訴訟等の内容及び結果によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 大株主との関係について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

本書提出日現在、当社代表取締役社長であり大株主である上田桂司の所有株式は発行済株式総数の31.96%(合算対象分となる一般社団法人ニチレンの株式数を加算すると73.22%)となっており、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。しかしながら大株主が当社の事業その他に関して有する利益は他の株主の利益と異なる可能性があり、その保有方針や議決権の行使方針によっては、取締役の選解任、企業結合取引等の当社の重要な決定に影響を及ぼすなど、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(18) 業績の季節的変動(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の顧客である中小足場施工業者における受注案件の納期は3月末に集中する傾向にあり、その前段階で必要となる足場の施工は納期よりも前に行われるため、当社の売上高は第3四半期に偏重する傾向がありますが、仮設機材から生じる減価償却費や機材センター運営費用の多くは売上高に関わらず生じる固定費用であるため、売上高の低迷等により営業損失が発生する可能性があります。

(参考)2024年3月期 四半期ごとの売上高及び営業利益(損失)

(金額単位:百万円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

売上高

792

916

1,052

1,024

営業利益(損失)

△0

81

141

127

 

 

(19) 労働災害及び事故について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

建設事業は、その事業の性質上、他の事業と比較して、業務中の事故発生率が高い傾向にあります。当社グループは、社内研修を通じた安全教育や危険予知活動により、従業員に対して安全管理を徹底しておりますが、万一、人命に係る重大な労働災害や事故が発生した場合には、信用力の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(20) 海外事業について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

当社グループは、ベトナムでの事業拡大を戦略の一つとしております。しかしながら、為替リスクに加え、政情不安、経済動向の不確実性、法規制、商慣習等、海外事業において一般に内在するリスクを負っております。これらが当社グループの事業に影響し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が保有する子会社株式は原価法により評価しておりますが、市場価格のない株式であり、財政状況の悪化等により実質価額が著しく下落した場合、子会社株式の評価損を計上する可能性があり、個別財務諸表における業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(21) ブランドについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、「いつでも、近くで、安心して借りられる」を強みとして事業を展開しております。ASNOVA STATION事業において当社グループはパートナー企業との間で締結した契約に基づき、機材管理のパッケージを提供するとともに、継続的に仮設機材の管理ノウハウ等を提供しております。しかしながら、当社グループの指導が及ばない等、パートナー企業においてブランドに悪影響を及ぼす事態が発生した場合は当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(22) レンタル事業のノウハウについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、仮設機材の管理を強みの一つとしております。当社グループが展開するASNOVA STATION事業では当社グループのパートナー企業に仮設機材の管理ノウハウを提供しておりますが、それらの流出等により当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(23) 盗品の買取について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は2023年5月に仮設機材の買取、販売をネット上で決済可能なECサイトである「ASNOVA市場」をローンチしております。仮設機材のリユース市場の成長、リユース商品の流通量増加に伴い、盗品の売買が社会的な問題となっております。当社グループは少しでも盗品と疑わしい商品については買取を控え、警察当局とも密に連携を図る等、盗品の流通を阻止すべく事業を展開しております。また、古物営業法遵守の観点から、古物台帳(商品の買取記録を詳細に記載した台帳)を作成することで、盗品買取が発生した場合にも適時適切に警察当局の捜査に協力できる体制を整えております。しかしながら、事業特性上、盗品の買取を完全に防止することは困難であり、盗品の買取によるトラブル発生に起因した当社への信頼低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(24) 当社株式の流動性について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、2023年12月に東京証券取引所グロース市場へ上場しており、公募及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めておりますが、株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準は25%であるところ、流通株式比率は26.55%にとどまっております。今後は大株主への一部売出しの要請等により、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、株式会社東京証券取引所での上場が廃止となった場合でも、株式会社名古屋証券取引所での当社株式の取引は引き続き可能であります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴い、社会経済活動の正常化が進む中で、雇用、所得環境の改善など引き続き緩やかな景気の持ち直しが見られました。一方で、エネルギー価格や原材料価格は依然として高位に推移し、円安進行等による消費者物価への影響の懸念など、引き続き先行きは不透明な状況が続いております。また、当社グループの業績に影響を与える国内建設業界におきましては、公共投資は引き続き堅調に推移しましたが、民間投資については建築資材の高騰や金利上昇の懸念を背景に住宅市場における新築着工戸数が低位に推移し、当社経営環境へ影響を及ぼす可能性があり、注視が必要な状況であります。

このような状況のもと、当社グループにおきましては、仮設機材のレンタルから販売に至るまでワンストップで行えるサービスの強みを活かし、引き続き顧客満足度の向上に取り組んでまいりました。当社グループが扱う仮設機材価格は引き続き高騰しており、購入を控える動きに伴って仮設機材レンタルの需要が高まっております。当社グループにおきましては、需要に応えるべく賃貸資産への積極的な投資を実施するとともに、2024年2月に埼玉県ふじみ野市、2024年3月に岐阜県多治見市に新規機材センターを開設いたしました。また、本来廃棄されるはずだった仮設機材の買取・販売によって循環型社会への貢献を目指すべく、2023年5月にECサイト「ASNOVA市場」を公開しました。

以上の結果、売上高は3,785百万円(前年同期比20.5%増)、営業利益は売上高の増加の影響を受け349百万円(同86.1%増)、経常利益は324百万円(同52.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は210百万円(同45.6%増)となりました。

なお、当社グループはレンタル関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② 財政状態及びその分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて2,097百万円増加し9,386百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加258百万円、売掛金の増加131百万円、賃貸資産の増加1,170百万円、土地の増加436百万円等によるものであります。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて1,859百万円増加し6,358百万円となりました。これは主に、1年内返済予定を含む長期借入金の増加1,626百万円等によるものであります。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて237百万円増加し3,027百万円となりました。これは主に、東京証券取引所グロース市場上場にともなう新株発行によって資本金及び資本剰余金がそれぞれ25百万円増加したこと、親会社株主に帰属する当期純利益の計上210百万円等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて258百万円増加し、937百万円となりました。当連結会計年度中における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,730百万円の収入となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益324百万円、減価償却費1,506百万円等があった一方で、売上債権が149百万円増加したこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、3,109百万円の支出となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出3,107百万円等があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,635百万円の収入となりました。主な要因は、長期借入れによる収入3,060百万円、株式の発行による収入50百万円、長期借入金の返済による支出1,433百万円等があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

売上高(千円)

前年同期比(%)

レンタル関連事業

3,785,574

120.5

合計

3,785,574

120.5

 

(注) 当社グループはレンタル関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別に記載はしておりませんが、サービスラインごとの売上内訳は次のとおりであります。

当連結会計年度「仮設機材レンタル」3,263百万円、「仮設機材販売」431百万円、「その他」89百万円

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は本書提出日現在において、判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。当社グループの連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・内容検討等
(売上高)

当社グループが扱う仮設機材価格は引き続き高騰しており、購入を控える動きに伴って仮設機材レンタルの需要が高まっております。これにより、売上高は3,785百万円(前年同期比20.5%増)となりました。

(売上原価、売上総利益)

仮設機材レンタルの需要の高まりを受け、レンタル用の仮設機材への投資を大きく実施いたしました。また、新規の機材センターを2店舗出店いたしました。これにより、売上原価は2,648百万円(前年同期比13.4%増)売上総利益は1,136百万円(前年同期比41.1%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

積極的な採用活動費、人材育成費及び新規事業の開発にかかる費用等により、販売費及び一般管理費が787百万円(前年同期比27.4%増)となりました。これにより、営業利益は349百万円(前年同期比86.1%増)となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

支払利息19百万円等により、営業外費用が36百万円となりました。これにより、経常利益は324百万円(前年同期比52.3%増)となりました。

(特別利益、特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は210百万円(前年同期比45.6%増)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、適用を受ける法令の改正等には細心の注意を払い情報収集に力を入れる等、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因について低減し、適切な対応に努めてまいります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金の状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりであります。

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資、法人税等の支払、借入金の返済等であります。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入金を基本としております。

 

⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。売上高につきましては、仮設機材レンタルの需要が高まり、堅調に推移いたしました。仮設機材稼働率につきましては、効率的な機材購入により水準を高めながらも、受注機会を逃すことがないようバランスを取りながら、引き続き注視してまいります。

 

⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。