当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社は、『「カセツ」の力で、社会に明日の場を創りだす』というパーパス(存在意義)及び『社員のため、社員の家族のため、顧客のため、株主のために、安心と幸せを提供し、社会性を第一優先とした、独自性、経済性を追求する企業を目指す』という経営理念のもと、仮設機材レンタルサービスの強化により経営基盤を安定させ、更なる成長が期待できる事業への取り組みを行い、建設仮設業界で最も必要とされる存在となることを経営ビジョンとして、仮設工事に係る多様なサービスをワンストップで提供するとともに、仮設工事業界のイメージ向上につながる先進的なサービスを創出し業界の抱える問題を解決することを目指しております。
当社が自社の分析をする際に重視する経営指標は、売上高、営業利益、EBITDAであります。
事業規模を示す売上高、損益面において事業の収益性を示す営業利益を管理することにより、経営効率の一層の向上を図っております。
また、当社は現在投資フェーズであるため、将来の成長性を示すためにEBITDAを重視しております。
なお、仮設機材の稼働率については重視するものの、投資フェーズであることから仮設機材稼働率は変動しやすく、適正値を維持するべき指標として管理しております。
当社グループを取り巻く経営環境は、インフレの継続による実質賃金の低下による消費の低迷、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化などの地政学上のリスクを背景とした資源・エネルギー価格の高騰による資材コストの上昇など、経営環境を下押しするリスクが多い状況にあると認識しております。また、建設業界においては、内需を中心に緩やかに回復傾向にあるものの、資材価格の高騰による収益環境の悪化、時間外労働の上限規制による人材不足や高コスト化が懸念されます。また、住宅に関しては、最終消費者の価値観の多様化、気候変動による自然災害の激甚化、長期優良住宅や省エネ住宅への需要から、商品自体は高付加価値のものが好まれる反面、建築コストの上昇や土地価格の高騰もあり、経営環境は不透明な状況にあります
このような状況のもと、当社におきましては、仮設機材のレンタルから販売に至るまでワンストップで対応できるサービスの強みを活かし、当該分野での主力企業として成長するとともに、海外も含めた事業展開も拡大してまいります。具体的な経営戦略は以下のとおりです。
既存顧客の深耕を通じて当該顧客の取引量拡大を図るとともに、新規顧客の紹介を受けることにより顧客基盤の拡大を目指しております。また、自社独自のマーケティングにより積極的な営業活動を通じて新規顧客の獲得を目指しております。
現在、本邦内に営業所として4カ所、機材センターとして23カ所展開しております。より近く、より便利をモットーに、これらの拠点を起点としたドミナント展開を通じ既存顧客へのサービスの拡充を図るとともに、新たな顧客の獲得にもつなげていく戦略をとっております。また、2022年10月にベトナム社会主義共和国へ子会社ASNOVA VIETNAM CO.,LTDを設立するとともに、パートナー企業と日本国内で広域にサービスを提供するASNOVA STATIONにて全国に16拠点を構えております。2025年4月にはシンガポール共和国において、仮設トイレのレンタルサービスを中心に、清掃や廃棄管理物管理サービス等を展開しているQool Enviro Pte.Ltd.の全株式を取得し完全子会社として、新たに「仮設トイレレンタル」の拠点を展開してまいります。
建設時の落下物を防ぐための機材で設置が義務付けられている「朝顔」を改良し、部品点数の半減かつ軽量化を実現した新機材(クサビ緊結式次世代シート朝顔 SpeeK)を開発し、展開しております。今後も、機能性の改良ニーズ・安全性の強化ニーズを汲み取ったオリジナル品の提供などを視野に入れ、サービス・品揃えの強化を進めてまいります。
建設仮設業界への興味・関心を高め、中長期的な視点で若手人材不足の解消を目指し、業界の更なる活性化に貢献することを目的として、オウンドメディア「カケルバ」で足場の持つ「仮設性」をテーマに継続して情報発信を行ってまいりました。また、カケルバとの連動企画としてYouTubeチャンネル「あすのばチャンネル」も展開しており、今後もより発信力の強化を目指してまいります。
当社を取り巻く市場環境は急速に変化し、益々競争が激化しております。そのような市場環境で継続的な成長を図るために、既存事業であるレンタル関連事業の安定した収益拡大を図るとともに、更なる成長が期待できる事業を新たに創出し、更にはこれらを支える人材育成や管理体制の強化を対処すべき課題と定め、以下のような課題に取り組んでまいります。
建設事業者あるいは足場施工業者等の当社の顧客においては、更なる事業拡大のための機材投資の他、劣化・破損・滅失等による仮設機材等の一定の補充更新需要があり、機材投資に係る資金負担が生じる中、当社の扱うレンタル品の活用により、投資負担を軽減しながら事業展開されているものと考えます。一方、当社にとっても、上記の顧客のニーズに的確に応えることで、機材のレンタル出庫量が増加し安定した収益の拡大に繋げることが可能となります。また、機材センターの開設に際しては、既存センターの立地状況を踏まえ、同一地域におけるドミナント形成も考慮に入れながら展開することとしております。顧客に対するサービスの品揃えとして、レンタルだけでなく販売も手掛けることで、単なるレンタルサービスを提供する会社からの脱却を図り、レンタル品・購入品の最適な比率のアドバイスなど、様々な相談にお応えしながら当社をご利用いただけるよう取り組んでまいります。
当社は仮設機材のレンタル・販売を主たる事業として展開しておりますが、単一事業であるが故に、サービスを提供する業界に不測の事態が発生した場合において、業績に大きな影響が出る可能性があるため、足場レンタル事業を安定的な事業基盤としながらも、周辺事業や新市場に進出することで、「非連続な成長の実現」を目指すことが、当社の持続的な企業価値への向上には不可欠であると認識しております。上記の周辺事業や新市場への進出に際しましては、海外への展開も視野に入れ、特にASEAN諸国は今後の急成長が見込まれており、既にベトナム社会主義共和国には子会社ASNOVA VIETNAM CO.,LTDを設立し事業展開中であり、今後の成長のためASEAN諸国は事業展開の強化が不可欠なエリアであると認識しております。上記のことから、当事業年度におきましてはシンガポール共和国で仮設トイレのレンタル及び衛生関連ソリューションサービスを展開している、Qool Enviro Pte.Ltd.の全株式を取得し子会社化する準備を整えてまいりました。
社内に新たな事業を担う社員を育成することを目的として、人事制度の再構築に取り組んでおります。具体的には、評価制度の見直しを実施し、併せて外部教育機関への入学支援や網羅的にスキルや知識を習得する教育制度の再構築を進めております。また、機材センター業務の簡素化・標準化・デジタル化を推進し、在庫予測にAIを活用する等、効率的な運営を実現するとともに、バックオフィス体制の再構築として、業務分掌を見直し、最適人数にあわせた人員補充を進め、コンプライアンス意識の更なる向上等、管理体制の強化に取り組んでまいります。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の詳細に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社が判断したものであります。
当社グループは、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値を創出するためのガバナンス体制を構築しており、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するためのガバナンスに関しては、コーポレート・ガバナンス体制と同様となります。
当社のコーポレート・ガバナンスの状況の詳細は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。ガバナンスの詳細については、当社のコーポレート・ガバナンス報告書にも記載しておりますのでご参照ください。
気候変動は、当社の事業活動に対して、さまざまな「リスク」と「機会」をもたらす可能性があり、企業としてそれらに対応していくことが重要であると考えています。
具体的には、機材センターでは仮設機材を屋外で保管しており、またレンタル中の仮設足場も顧客にて主に屋外での使用であり、風水害の影響を受ける可能性があります。一方で、風水害による復旧工事の増加に対して、足場機材のレンタル及び販売サービスは復興・復旧、災害に強い街づくりなど、誰でも安心して住み続けられる環境づくりに貢献できると考えています。
また、当グループは「2030年のありたい姿」を策定し、M&Aを中心に着実に達成するため蓋然性の高い単年の業績目標を設定・開示するバックキャスト型の長期的な成長戦略を掲げています。今後3年間でM&A戦略を通じた新規事業による「非連続な成長」の実現のため、60億円を超える累計投資行い、足場レンタル事業を確固たる収益基盤として、新規事業を成長エンジンとし、一層の収益拡大を牽引する高収益のグローバルな循環型ビジネスのエクセレントカンパニーを目指しています。
人材戦略について、当社では人材採用や社員の成長を目的として、人事制度「ASNOVA WAY」を定めております。具体的には、大学・大学院で学びたい経営幹部や責任者、業務のスペシャリストを希望する社員に対して、外部教育機関の学費を会社が負担する制度「ASNOVA Recurrent」や、複数の図書から毎月1冊を会社が提供し、基礎教養の習得を応援する「ASNOVA リベラルアーツ」等があります。
当社グループは、リスク管理を経営の重要課題と認識し、必要なリスク管理体制及び手法を整備しております。具体的には、「コンプライアンス規程」を定め、代表取締役社長を実施統括責任者に任命しています。また、代表取締役より指名された取締役を委員構成とするコンプライアンス委員会を設置し、原則6ヶ月に1回開催するとともに、経営上の重大なリスクへの対応方針、サステナビリティ関連のリスク及び機会、その他リスク管理の観点における重要な事項について審議を行い、その結果を取締役会に報告する体制を構築しております。
また必要に応じて、弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士等の外部専門家の助言を受けられる体制を整えており、リスクの未然防止と早期発見、発生時の被害の最小化、再発防止に関して議論するとともに、必要に応じて取締役会に報告しております。
当社では、パーパスへの共感をベースに人事制度「ASNOVA WAY」で社員の成長を促進し、従業員の定着に取り組んでおりますが、現時点において、具体的な指標及び目標は定めておりません。グループの持続的な成長と企業価値の向上を実現するために引き続き従業員の採用・定着・育成に努めてまいります。
当社では女性活躍の推進に取り組んでいます。女性社員が自身の強みを活かして活躍できる組織及びそれを支援する制度づくりを推進しており、当事業年度における育児休業取得率は100%となっております。
女性活躍推進法に基づく行動計画(2027年3月までの目標)
目標:育児休業取得率90%以上を維持する。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、建設用仮設機材のレンタルを主たる事業としております。当社グループの主要取扱品目は、主に建設現場で使用される仮設機材であるため、当社グループの業績は建設投資動向の影響を受ける傾向にあります。建設投資動向は、民間設備投資や国及び地方公共団体の公共事業予算に影響を受けます。そのため、建設投資動向が変動し、仮設機材のレンタル需要が落ち込んだ場合には、レンタル関連事業の単一セグメントにて業務運営を行う当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの取引先は多数に及んでおり、売上債権は特定の取引先に集中することなく、多数の取引先に分散しております。売上債権の貸倒れリスクは、これら多数の取引先の財務状況に影響を受けることになります。当社グループの取引先のほとんどは建設会社、住宅メーカー及びそれらの会社から受注を受ける足場施工業者であります。建設業界を含め全般的に景気が低迷した場合には、それらの会社の受注機会の減少、業績の低迷につながり、結果として、債権の回収遅延や売上債権の貸倒れが増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、仮設機材の購入代金の大部分を借入金により調達しているため、総資産に占める有利子負債の比率は下表のとおり高い水準で推移しております。今後、借入金利が上昇に転じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(注) 有利子負債残高は、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定のものを含む)、リース債務(1年内返済予定のものを含む)の合計であります。
当社グループが取り扱う仮設機材は、主に鉄鋼製品であるため、製造メーカーによる販売価格については、鉄鋼原材料市況に大きく影響されます。そのため、当該市況により製造メーカーの製品販売価格が著しく変動し、当社グループの仕入価格を販売価格又はレンタル価格に転嫁できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、機材センターの新規出店を重要な経営戦略の一つと位置づけております。機材センターの新規出店に当たっては、商圏人口・仮設工事業者数・競合店状況等の立地条件や地価・賃借料等の経済条件を基に、売上及び利益等の業績予想、投資回収年数等を勘案し出店の可否を決定しております。しかし、出店した機材センターが当初の計画通りの収益を計上できず、業績の回復が図れない場合には、減損会計の適用により減損損失を計上することを余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらには、退店等撤退する場合には、当該機材センターにおいて収益を獲得する機会を逸することとなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、機材センターの土地を取得する際は、一定の収益獲得を前提としたプレミアム部分を上乗せするケースも多いため、当該収益性が低下した場合に、使用価値で投資回収できず正味売却価額を回収可能価額として評価せざるを得ない状況となり、減損損失を余儀なくされ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのレンタル仮設機材及び販売仮設機材には、製造物責任のリスクが内在しております。製造物責任は一義的には機材メーカーが負いますが、製品を仕入れる当社グループにおいてもレンタル及び販売上の責任を負うことになります。製品の仕入れに係る製造メーカーとの基本取引契約において責任の帰属先を明確化し当社グループのリスク低減を図り、また当社グループが顧客と取引を行う際に顧客との間で締結する取引基本契約書において責任の帰属先を明確化し、レンタル品のその種類・品質・性能に関する契約不適合責任を負わない旨を規定しており、それによって当社グループのリスクの低減を図っておりますが、製品の欠陥に起因して発生する損害賠償を製造メーカーが加入する保険により補填できない事態や、大規模な製品回収による受注の機会損失により生じるリスクが現実化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社のレンタル関連事業については、取り扱う機材の大きさや数量及び重量の特徴から、広大な敷地面積を要する作業場(以下「ヤード」という。)での機材管理が不可欠であります。具体的には、レンタルの際の機材のトラックへの積み下ろし、フォークリフトによる所定のストック場所への格納作業など、荷捌きのためには一定の広さが必要です。
かかる中、広大な敷地を可能な限りコストのかからない方法で利用することが不可欠となります。市街地は概して地価が高いため、市街化調整区域への展開を模索することとなりますが、機材センターの出店及び事務所設置にあたり規制を受けることとなります。行政への確認を通じ、規制に抵触しないよう出店時には最大限の注意を払っておりますが、何らかの事情により規制が強化された場合等には、展開拠点の見直しを迫られる可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
荷捌き中の事故や荷崩れなどにより、重大な事故等が発生した場合には、当社グループの社会的信用や当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ヤード内で厳重保管の上、監視カメラの設置やセキュリティ会社との連携により、機材の盗難に対し万全の備えはしているものの、ヤード設置場所の特性から盗難の可能性を排除しきれず、不測の損失を被る可能性があります。
当社レンタル品としての識別が可能なように、色を塗付するなど工夫を凝らしておりますが、返却時に他社製品と混在してレンタルした機材の全数が返却されないケースがあります。その場合は、滅失処理として相応の料金を収受することとしておりますが、返却が受けられない場合は次なるレンタルにタイムリーに供することができず、機会損失が生じることで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ設立の中心人物であり、設立以来の事業推進役である代表取締役社長上田桂司は、仮設機材のレンタルに関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の構想・策定等、当社グループの事業活動全般にわたって重要な役割を果たしています。当社グループでは、過度に同人に依存しないよう、経営幹部役職員の拡充、育成及び権限委譲による業務執行体制の構築等により、経営組織の強化に取組んでおりますが、何らかの理由により同人による当社グループの業務遂行が困難になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、一層の成長を支える優秀な人材を確保することが重要だと考えております。このため、今後も人材の採用及び教育研修実施の機会・内容の充実により、当社グループの経営理念及び経営方針を理解した、当社グループの成長を支える社員の育成を行ってまいりますが、雇用情勢の変化等により、計画通りに人材が確保・育成できない場合には、当社グループの事業運営や当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの機材センター・本社や営業所が所在する周辺地域において地震や台風等の自然災害や事故等が発生し、機材等やインフラの物理的な損害により営業活動を中断せざるを得ない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルスや新型インフルエンザ等、世界規模での感染症が流行した場合、操業停止・各国の経済停滞やサプライチェーンの停滞等により、当社グループの事業運営・業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、各種の情報システム・IT機器を利用して業務を遂行しております。そのため、システムの不備、災害及びコンピュータウイルス等の外部要因により、入出庫データ、在庫データ等が喪失又は改ざんされたり、個人情報の漏洩、当該システムにアクセス不能となり業務が阻害された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、コンプライアンス経営の重要性を認識しており、コーポレート・ガバナンスの強化に努めております。今後もコンプライアンス経営を推進してまいりますが、事業を遂行していくうえでは契約条件の解釈の齟齬などを原因として訴訟されるリスクの可能性があり、訴訟等の内容及び結果によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
本書提出日現在、当社代表取締役社長であり大株主である上田桂司の所有株式は発行済株式総数の31.96%(合算対象分となる一般社団法人ニチレンの株式数を加算すると73.22%)となっており、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。しかしながら大株主が当社の事業その他に関して有する利益は他の株主の利益と異なる可能性があり、その保有方針や議決権の行使方針によっては、取締役の選解任、企業結合取引等の当社の重要な決定に影響を及ぼすなど、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(17) 業績の季節的変動(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の顧客である中小足場施工業者における受注案件の納期は3月末に集中する傾向にあり、その前段階で必要となる足場の施工は納期よりも前に行われるため、当社の売上高は第3四半期に偏重する傾向がありますが、仮設機材から生じる減価償却費や機材センター運営費用の多くは売上高に関わらず生じる固定費用であるため、売上高の低迷等により営業損失が発生する可能性があります。
(参考)2025年3月期 四半期ごとの売上高及び営業利益(損失)
(金額単位:百万円)
建設事業は、その事業の性質上、他の事業と比較して、業務中の事故発生率が高い傾向にあります。当社グループは、社内研修を通じた安全教育や危険予知活動により、従業員に対して安全管理を徹底しておりますが、万一、人命に係る重大な労働災害や事故が発生した場合には、信用力の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、ASEANでの事業拡大を戦略の一つとしております。しかしながら、為替リスクに加え、政情不安、経済動向の不確実性、法規制、商慣習等、海外事業において一般に内在するリスクを負っております。これらが当社グループの事業に影響し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が保有する子会社株式は原価法により評価しておりますが、市場価格のない株式であり、財政状況の悪化等により実質価額が著しく下落した場合、子会社株式の評価損を計上する可能性があり、個別財務諸表における業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「いつでも、近くで、安心して借りられる」を強みとして事業を展開しております。ASNOVA STATION事業において当社グループはパートナー企業との間で締結した契約に基づき、機材管理のパッケージを提供するとともに、継続的に仮設機材の管理ノウハウ等を提供しております。しかしながら、当社グループの指導が及ばない等、パートナー企業においてブランドに悪影響を及ぼす事態が発生した場合は当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、仮設機材の管理を強みの一つとしております。当社グループが展開するASNOVA STATION事業では当社グループのパートナー企業に仮設機材の管理ノウハウを提供しておりますが、それらの流出等により当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(22) 盗品の買取について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は2023年5月に仮設機材の買取、販売をネット上で決済可能なECサイトである「ASNOVA市場」をローンチしております。仮設機材のリユース市場の成長、リユース商品の流通量増加に伴い、盗品の売買が社会的な問題となっております。当社グループは少しでも盗品と疑わしい商品については買取を控え、警察当局とも密に連携を図る等、盗品の流通を阻止すべく事業を展開しております。また、古物営業法遵守の観点から、古物台帳(商品の買取記録を詳細に記載した台帳)を作成することで、盗品買取が発生した場合にも適時適切に警察当局の捜査に協力できる体制を整えております。しかしながら、事業特性上、盗品の買取を完全に防止することは困難であり、盗品の買取によるトラブル発生に起因した当社への信頼低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(23) 当社株式の流動性について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、2023年12月に東京証券取引所グロース市場へ上場しており、公募及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めておりますが、株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準は25%であるところ、流通株式比率は25.18%にとどまっております。今後は大株主への一部売出しの要請等により、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、株式会社東京証券取引所での上場が廃止となった場合でも、株式会社名古屋証券取引所での当社株式の取引は引き続き可能であります。
(24) M&A・事業提携(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、今後の業容拡大等においてM&A及び事業提携戦略は重要かつ有効であると認識しております。しかしながら、有効な投資機会を見出せない場合や、当初期待した投資効果を得られない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、M&A等により新規事業領域・新規市場へ参入する場合には、その事業・市場固有のリスクが新たに加わる可能性があります。
なお、のれんが発生する場合はその償却額を超過する収益力が安定的に確保できることを前提としておりますが、買収後の事業環境や競合状況の変化等により買収当初の事業計画遂行に支障が生じ、計画どおりに進まない場合は当該のれんに係る減損損失等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用、所得環境の改善やインバウンド需要の復調などを背景に引き続き緩やかに景気は持ち直しの動きが見られました。一方、エネルギー価格や原材料価格は依然として高位に推移し、不安定な国際情勢や世界経済の混乱など先行きは不透明な状況が続いております。また、当社グループの業績に影響を与える国内建設業界におきましては、公共投資は引き続き堅調に推移しましたが、民間投資については建築資材の高騰や金利上昇の懸念を背景に住宅市場における新築着工戸数は緩やかには回復しているものの低位に推移し、当社経営環境へ影響を及ぼす可能性があり、注視が必要な状況であります。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、仮設機材のレンタルから販売に至るまでワンストップで行えるサービスの強みを活かし、引き続き顧客満足度の向上に取り組んでまいりました。当社グループが扱う仮設機材価格は引き続き高騰しており、購入を控える動きに伴って仮設機材レンタルの需要が高まっております。当社グループにおきましては、需要に応えるべく賃貸資産への積極的な投資を実施するとともに、2024年9月に千葉県柏市、2024年10月に熊本県熊本市に新規機材センターを開設いたしました。
以上の結果、売上高は4,266百万円(前期比12.7%増)、営業利益は売上高が増加した一方で、積極的な賃貸資産への投資に伴う減価償却費の増加、M&Aによる株式取得関連費用計上の影響を受け48百万円(同86.1%減)、経常利益は45百万円(同86.0%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は24百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益210百万円)となりました。
なお、当社はレンタル関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて3,572百万円増加し、12,958百万円となりました。これは主に、M&Aによる株式取得に備えた現金及び預金の増加2,244百万円、売掛金の増加61百万円、賃貸資産の増加433百万円、土地の増加576百万円等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて3,620百万円増加し、9,979百万円となりました。これは主に、設備投資及びM&Aによる株式取得を目的とした1年内返済予定を含む長期借入金の増加2,357百万円、短期借入金の増加1,400百万円等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて48百万円減少し、2,979百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失の計上及び配当の払い出しによって利益剰余金が49百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,244百万円増加し、3,182百万円となりました。当連結会計年度中における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,481百万円の収入となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益70百万円、減価償却費1,817百万円等があった一方で、法人税等の支払187百万円があったこと、EC事業に関連して棚卸資産が80百万円増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,962百万円の支出となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出2,983百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,724百万円の収入となりました。主な要因は、短期借入金の増加1,400百万円、長期借入れによる収入4,200百万円、長期借入金の返済による支出1,842百万円等があったことによるものであります。
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 当社グループはレンタル関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別に記載はしておりませんが、サービスラインごとの売上内訳は次のとおりであります。
当連結会計年度「仮設機材レンタル」3,566百万円、「仮設機材販売」623百万円、「その他」76百万円
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は本書提出日現在において、判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。当社グループの連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
当社グループが扱う仮設機材価格は引き続き高騰しており、購入を控える動きに伴って仮設機材レンタルの需要が高まっております。これにより、売上高は4,266百万円(前年同期比12.7%増)となりました。
仮設機材レンタルの需要の高まりを受け、レンタル用の仮設機材への投資を大きく実施いたしました。また、新規の機材センターを2店舗出店いたしました。これにより、売上原価は3,258百万円(前年同期比23.0%増)、売上総利益は1,007百万円(前年同期比11.4%減)となりました。
積極的な採用活動費、人材育成費及び新規事業の開発にかかる費用等により、販売費及び一般管理費が958百万円(前年同期比21.8%増)となりました。これにより、営業利益は48百万円(前年同期比86.1%減)となりました。
支払利息46百万円等により、営業外費用が56百万円となりました。これにより、経常利益は45百万円(前年同期比86.0%減)となりました。
2025年1月に足場架払工事サービス部門である敦賀工事センターを事業譲渡を実施し、特別利益として事業譲渡益42百万円を計上いたしました。また、当該事業に使用しておりました土地を賃貸することとしたため、不動産鑑定評価額を基準に正味売却価額を算定し、特別損失として減損損失16百万円を計上いたしました。これらにより、親会社株主に帰属する当期純損失は24百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益210百万円)となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、適用を受ける法令の改正等には細心の注意を払い情報収集に力を入れる等、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因について低減し、適切な対応に努めてまいります。
当社グループの資金の状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資、法人税等の支払、借入金の返済等であります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入金を基本としております。
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。売上高につきましては、仮設機材レンタルの需要が高まり、堅調に推移いたしました。仮設機材稼働率につきましては、効率的な機材購入により水準を高めながらも、受注機会を逃すことがないようバランスを取りながら、引き続き注視してまいります。
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(事業譲渡)
当社は、「足場架払工事サービス」に関する事業を平成実業有限会社へ譲渡することについて決議し、2024年11月20日に事業譲渡契約を締結いたしました。これに基づき、2025年1月1日付で事業譲渡を実施いたしました。
詳細は第5[経理の状況]1[連結財務諸表等][注記事項](企業結合等関係)に記載のとおりです。
(株式取得による会社等の買収)
当社は、2025年3月17日開催の取締役会において、 Qool Enviro Pte.Ltd.の全株式を取得し子会社化することについて決議し、2025年4月1日付で全株式の取得を完了いたしました。
詳細は第5[経理の状況]1[連結財務諸表等][注記事項](重要な後発事象)に記載のとおりです。
該当事項はありません。