文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の中期ビジョン・経営の基本方針
①中期ビジョン
「テクノロジーで不動産領域に革新的プラットフォームを創造する」を中期ビジョンとして掲げ、不動産領域で真の価値を創造し、当社に関わる全ての人の幸福実現を目指しております。
②経営の基本方針
イ.不動産業務支援サービスをワンストップで提供する。
ロ.自社開発からアフターサポートまでの一貫したサービスを提供する。
ハ.付加価値の高い商品を開発・提供する。
ニ.お客様と真摯に向き合う営業、サポートを行う。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社が掲げる中期ビジョン「テクノロジーで不動産領域に革新的プラットフォームを創造する」を達成するためには、顧客基盤を拡大し、不動産業全体をカバーするサービス提供が重要であると認識しております。
当社では、不動産業の中核となる業者間物件流通サービス「不動産BB」を無償にすることにより、短期間で顧客基盤(無償ユーザー)を拡大し、構築した基盤に、有償サービスを投下しアップセルしていく戦略を実行しております。有償サービスのアップセルにあたっては「不動産BB」内で流通している物件情報を利用して、仲介業務支援サービスであるホームページ作成ツール「Web Manager Pro3」や不動産ポータルサイト連携「物件データ連動」を中心に顧客に提供し、物件情報の二次活用により効率的な仲介業務を支援いたします。加えて、仲介業務における新たなコミュニケーションの在り方となる非対面仲介サービスを提供し、これまで対面が常識であった内見や、入居申込み、重要事項説明を非対面で対応できるよう「Web内見」「電子入居申込」「IT重説」で支援いたします。また、管理業務支援サービスにおける当社の主要な製品である「賃貸革命」の販売にも注力し、「賃貸革命」の全国シェアも伸ばしていく方針です。
現在の不動産業界の労働生産性は他の業界に比して低く、その格差は広がりつつあります。従いまして不動産テック業界自体は拡大傾向で、不動産事業者によるIT投資市場は今後飛躍的な拡大が見込まれているという調査結果(出典:矢野経済研究所「不動産テック市場規模推移と予測」(2018年11月28日))もあります。少子高齢化に端を発した働き方改革の奨励、国土交通省主導での賃貸取引書面を電子化する社会実験の実施、電子決済においては経済産業省が2025年までに国内のキャッシュレス決済率を40%まで引き上げる目標を掲げるなど、当社の事業拡大の活動には大きな追い風が吹いていると同時に、当社はその中でも基幹システムを持つ有利なポジションであると考えております。
(出典:経済産業省「キャッシュレスの現状及び意義」(2020年1月))

また、不動産業務を支援するだけでなく、ITを活用して経営そのものを支援する方向に当社の事業を拡大すべく、取り組みを始めております。一つの例として、既に提供を開始している「賃貸革命 会計連動オプション」は、賃貸革命で管理する入出金のデータを主な会計ソフトとデータ連動することで、不動産会社の事業者としての経営管理を効率化することを目的としております。これは不動産業務支援の枠を超えた事業者への経営支援の第一歩であり、今後もこの「経営支援」の視点を持って事業者の課題解決に寄与するサービスを提供すべく、自社の基幹システムを最大限に活用しながらソリューション開発・外部連携を実施し、当社の事業拡大を有利に進めて参ります。
当社の事業活動の副産物として、不動産事業者が扱う膨大な物件データ、入居者属性データ等があります。これらは統計データとしての活用許諾を得ているデータであります。世の中では過去の不動産広告情報を蓄積してAI等で分析し、賃料や投資資産査定に活用するサービスも急成長しております。当社の有するデータは、流通する広告情報だけではなく、実際に存在する建物と居住者のリアルタイムな情報であり、データの入出力によってデータベースを日々拡張しております。このビッグデータを用いたサービスの一つとして、物件情報登録時に、該当する建物情報を入力候補として提示する機能を仲介業務支援サービスに加えており、当社既存サービスの利便性向上に寄与しております。今後は過去の不動産取引情報等を活かした市場における「消費者の購買分析」や、行政から公表される路線価・公示価格の情報を活用した「資産価値評価」などの新たな事業を進めてまいります。
更には、不動産購入時のソリューションとして住宅ローンの取次業など、金融商品・ファイナンス事業も進めてまいります。不動産の賃貸業務において当社は非対面仲介サービスを提供し、借り主と不動産会社をWebを通してシームレスに繋ぐ提案を行っておりますが、不動産売買業務においては住宅ローンの融資関連手続きなど、効率化できる要素が多く残っております。当社の既存商品を通じて蓄積された、買い主・物件・不動産会社・売り主のデータ情報を活用し、金融商品・ファイナンス事業での発展も進めてまいります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
高品質なサービスを安定的に提供していくためには、健全な財務基盤の維持が重要であると考えており、売上高の対前年増加額、収益性については経常利益の対前年増加額を重要指標としております。
(4)経営環境
当社における経営環境については、「第2 事業の状況3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」の記載をご参照下さい。
(5)対処すべき課題
当社が対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
①「不動産BB」のユーザー拡大
当社の成長を維持するためには、不動産業の中核にあたる業者間での物件情報共有を支援する業者間物件流通サービス「不動産BB」の利用者数を増やし、顧客基盤を拡大させていくことが重要であると認識しております。さらなる利用社数の拡大のために、既存ユーザーからの要望をサービスに反映する機能改善や、サービス未導入である大手管理会社への積極的な架電によるサービスのご案内など、「不動産BB」の利便性強化と利用促進に取り組んでおります。
②新規事業の強化
当社は、AI・ビッグデータを活用し、新規事業の強化を進めていくことが重要であると認識しております。当社が持つ膨大な物件情報・入居者属性のデータは、不動産市場における消費者の行動分析や購買分析、投資家に向けた資産価値の評価など、分析手法によって多数のアプローチが可能なデータであります。既にデータ活用の1つとして、物件情報データを活用し、システム内の入力補助となる機能を仲介集客支援サービスに備えておりますが、さらなる価値を顧客に提供するため、データサイエンスのアプローチから新たな付加価値を生み出し、新規事業の強化として取り組んでおります。今後は、当社に蓄積された物件データベースにアクセスし条件に一致する情報を反映させ、入力を補助する「入力補助機能」や当社のデータベースに蓄積された不動産取引の成約情報を活用し市場における消費者の購買分析を行う「消費者・購買分析」、過去の不動産取引の成約情報と行政より公表されている路線価・公示価格の情報をもとに資産価値の評価を行う「資産価値評価」等、新規事業の強化として取り組んでまいります。
また、不動産購入時のソリューションとなる金融商品・ファイナンス事業においても蓄積されたデータ活用を行い新規事業としての強化を行ってまいります。
③既存事業の強化(都道府県毎の導入率向上)
当社が提供する製品・サービスの導入社数は全国6,102社(2020年6月30日時点)となっておりますが、都道府県別の宅建業者に対する導入率には偏りがあり、最も導入率が高い都道府県においては約20%である一方、導入率が低い都道府県においては約6%となっております。導入率が高ければ、そのエリアにおいて効率的な活動ができることから収益性も高まります。当社としては、この導入率が低い都道府県に対し、販売の強化を行い、導入率を上げ、収益性を高めていくことが重要であると認識しております。現在、無償提供中である「不動産BB」による顧客基盤の拡大を行い、遠方地での商談においてはWeb会議システム等を活用しながら課題解決に向けて取り組んでおります。
④市場拡大・新規開業企業への対応
国土交通省の報告によれば、宅建業者数は微増で推移しており、なかでも法人業者数が増加傾向にあります。また、毎年5,000社以上の事業者が新規開業を行っており、その度に設備投資による商談の機会が創出されております。不動産事業へのソリューションを提供する当社としては、その機会に確実に当社の製品・サービスの魅力を伝え、早期に導入いただけるよう、販売の強化を行っていくことが重要であると認識しております。Webマーケティングによるプロモーション活動や顧客からの紹介案件の創出など、様々な角度から販売を強化し、課題解決に向けて取り組んでおります。
(出典:国土交通省「平成30年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果」(2019年9月30日))
⑤政府動向への対応と不動産における労働生産性の向上
政府主導で推進される働き方改革やキャッシュレスの推進、世界最先端デジタル国家創造宣言などの重要な施策に対しては、当社の製品・サービスが時代にそぐわないものとならぬよう、常に最新の情報を入手しながら素早く対応をすることが重要であると認識しております。また、日本の業種別GDP第2位で11.5%を占める「不動産業界」ですが、2000年を100とする労働生産性は、2017年に全業界では107.2と向上しているのに対し、不動産業界は78.1と悪化し、最下位となっています。また、米国と比べた場合には、IT資本投入は米国の1割程度で労働生産性は米国の4割程度というデータがあります。日本の労働生産性は政府の施策による後押しもあり今後成長していくことが予想されますが、当社も生産性向上に繋がる業務支援サービス提供事業社として、この課題解決に取り組んでおります。
(出典:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(2019年3月)、厚生労働省「労働経済の分析」(2015年版))
⑥セキュリティ対策の向上
当社が進めている電子契約サービスにおいては、個人情報保護の観点から利用者に安心してサービスをご利用いただくための強固なセキュリティ対策を行い、今まで以上にデータの堅牢性を高める必要があります。Webアプリケーションを取り巻く脅威は常に時代と共に変化しており、多様化するサイバー攻撃を防ぐためには、積極的な研究開発を行い適切な対策を講じる事が重要であると考えているため、課題として取り組んでおります。
⑦人材の確保と育成
当社は、今後の事業拡大のための重要な経営資源は人材であると考えており、優秀な人材の確保と育成が重要な課題であると認識しております。積極的な採用活動を行い優秀な人材を採用していくとともに、社内における教育体制の強化に取り組んでおります。
⑧経営管理体制の強化
当社が、今後持続的な成長を図っていくためには、事業の成長や業容の拡大に伴い、経営管理体制のさらなる充実・強化が課題であると認識しており、株主やその他ステークホルダーに信頼される企業となるために、コーポレート・ガバナンスへの積極的な取組みが不可欠であると考えております。そのため、優秀な人材の採用・育成により業務執行体制の充実を図り、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するような仕組みを強化・維持していくとともに、業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底しております。
以下については、当社が事業を運営するにあたりリスク要因となる可能性があるものを記載しております。また、投資家及び株主に対する積極的な情報開示の観点から、当社としては必ずしも特に重要なリスクと考えていないものも記載しております。
当社としては、これらのリスクをあらかじめ十分に把握した上で、発生の予防並びに対処に万全を期す所存でありますが、投資判断につきましては本項記載以外のものも含めて慎重に検討していただきたいと思っております。また、これらのリスク項目は、当事業年度現在において、当社が判断したものであり、発生の可能性のあるリスクの全てを網羅するものではありません。
なお、以下の記載のうち、将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)業界及び顧客の動向に関するリスク
当社は、不動産業界に特化した不動産管理システム等の開発・販売を行っており、当社製品・サービスの最終ユーザーは不動産業界に集中している状況にあります。不動産業界の中でも不動産取引業、不動産賃貸・管理業等に応じた製品・サービスを提供しておりますが、不動産業界全般の景気や、不動産業界におけるシステム投資の状況によって、当社の財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。また、今後において、不動産業界に対する規制環境の変化や業界各社の対応に何らかの変化が生じた場合、同様に当社の財政状態及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
(2)競合他社や技術革新により当社の製品・サービスが陳腐化するリスク
当社が属する業界においては、技術革新のスピードが速く、その急激な変化に対応するために、開発部門では既存製品の改良及び研究開発に取り組んでおります。しかしながら、想定以上の技術革新により新技術及び新サービスが普及した場合には、当社が提供する製品・サービス等が陳腐化し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の競合先との競争激化による製品価格の引下げや競合他社製品の性能強化が進んだ場合、同様に当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制について
現時点において、当社事業そのものを規制する法的規制はないものと認識しておりますが、情報サービス業界の変革は激しいことから、今後新たな法令等の整備が行われる可能性は否定できず、当該内容によっては、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、不動産に関わる分野におけるインターネット上の情報流通や表示項目等が規制の対象になる可能性もあり、その場合には当社の事業が制約される可能性があります。
(4)製品・サービスにおける不具合・瑕疵等について
当社は、製品・サービスの開発過程において、ソフトウエアにかかる厳格な試験を実施すること等により不具合・瑕疵等の解消及び発生防止に努めておりますが、製品・サービスの投入後において重大な不具合・瑕疵等が発見された場合には、その対応のため多大なコストが発生するほか、当社製品・サービスに対する信頼性を著しく毀損する可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)人材の確保に関するリスク
当社事業の継続的な発展及び急速な技術革新への対応には、優秀な人材の確保及び育成が不可欠であることから、技術者を中心とした採用及び育成に努めており、今後も積極的に強化を図っていく方針であります。しかしながら、一般的に情報サービス業界では技術者にとって売り手市場であると言われており、今後において人材採用が困難となる場合、又は現在在籍する人材の流出が生じた場合、当社事業の円滑な運営及び拡大に支障をきたす可能性があります。加えて、優秀な人材を確保・維持し又は育成するための費用が増加する可能性もあり、これらに起因して、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)情報セキュリティに関するリスク
当社では、事業活動を通じて顧客が保有する取引先情報や個人情報等の機密性の高い情報を取得することがあります。このような機密性の高い情報を適切に管理するため、ISMS(ISO27001)認証を取得し、「情報セキュリティ管理規程」や「個人情報保護基本規程」等の社内規程に基づいた情報管理に関する社内ルールの周知徹底をはかり、従業員に対する情報管理体制の強化に努めております。しかしながら、外部からの不正アクセス、システムの欠陥や障害、機密情報の取り扱いにおける人的過失、従業員の故意等による情報の漏洩、消失、不正利用等が発生した場合、対応次第では、信用の失墜を招き、更には損害賠償の対象となることも考えられます。そのような場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)システム障害に関するリスク
当社では、インターネットへの接続環境を有するユーザーを対象に製品・サービス開発を行っており、営業活動・クラウドサービスその他のサービス提供においてもインターネットに依存しております。このため、自然災害、戦争、テロ、事故、その他通信インフラの破壊や故障、コンピュータウイルスやハッカーの犯罪行為等により、当社のシステムあるいは外部に委託しているシステムが正常に稼動しない状態、いわゆるシステム障害が発生した場合に、当社の事業に極めて重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社製品・サービスの提供等においてインターネット環境に依存する部分は大きく、システム障害が発生した場合に、代替的な営業・サービス提供のルートを完全に確保することは困難な場合もあり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)知的財産の管理に関するリスク
当社では、商標権をはじめとして当社の事業に必要な知的財産権の確保に努めるとともに、具体的な業務の遂行にあたり、第三者の知的財産権その他の権利又は利益を侵害しないよう努めており、現状において、かかる知的財産権等に関する紛争はありません。しかし、当社が予期せず第三者との間で、知的財産権等の帰属や侵害に関する主張や請求を受ける可能性は完全には否定できず、それに伴い当社が損害賠償請求や差止請求を受ける可能性があり、かかる場合には当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)特定の製品への依存に関するリスク
当社の主力製品は自社開発パッケージである管理業務支援サービス「賃貸革命」であり、現状では、当製品及び当製品に附帯するものが第26期(2020年6月期)における売上高の過半を占めております。
当製品が顧客に広く普及し、より多く活用されることが、事業規模拡大の基本的な前提条件であると考えており、引き続き当製品の普及・拡大に積極的に取り組んでまいりますが、今後、同製品の販売の伸びが鈍化した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)中長期経営計画の達成に関するリスク
当社では、当社が掲げる中期ビジョンである「テクノロジーで不動産領域に革新的プラットフォームを創造する」を達成するためには、物件情報と顧客基盤を拡大することが重要な経営課題であると認識しており、これらの経営課題に対応するため、業者間物件流通サービス「不動産BB」を無償化することにより短期間で顧客基盤(無償ユーザー)を拡大し、構築した基盤に、有償サービスを投下しアップセルしていく戦略を実行しております。しかしながら、想定通りに顧客基盤が拡大しない場合や、構築した基盤に投下する有償サービスの効果が得られない場合には、中期経営計画が達成できない可能性や、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)受注活動が想定どおり進捗しないリスク
当社は、市場環境の動向等を踏まえた受注計画に基づいて事業計画の立案を行っており、事業計画の達成に向けて受注活動を推進しております。しかしながら、当社製品及びサービスのリリースの遅れ、営業人員の退職及び育成遅れ等の要因によって、計画どおりに受注を獲得できなかった場合や何らかの事情により顧客への製品及びサービスの提供開始が遅れ、売上計上時期にずれが生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)提携・協力関係に関するリスク
当社では、管理ソリューションにおける販売力を強化するために、販売店と提携・協力し、販売店を通じた製品の販売も行っております。当事業年度末現在において販売店との関係は良好でありますが、期待する効果が得られない場合や何らかの事情により、提携・協力関係が解消された場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)顧客の信用リスク
当社の事業における売上債権は、比較的小規模な不動産業者等を対象としたものが多数を占めております。当社では、顧客毎に与信管理を実施するほか、債権の滞留及び回収状況を定期的に把握し、必要に応じ貸倒引当金を計上しております。しかしながら、経済情勢の変化により経営基盤の脆弱な企業などにおいて、急速に経営状況が悪化する場合も考えられます。このような場合には、売上債権の回収が遅延するほか、回収不能になる可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)内部管理体制について
当社は、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を図る施策を実施しております。また、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を整備・運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)創業者への依存について
当社の代表取締役社長である米津健一は、当社の創業者であり、経営方針や経営戦略等、当社の事業活動全般において重要な役割を果たしております。当社は事業拡大に伴い、同氏に過度に依存しない経営体質の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難となった場合には、今後の当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)配当政策について
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的に業績の成長に見合った成果を配当することを基本方針としております。したがって、各期の財政状態及び経営成績を勘案しながら将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、利益還元実施を検討する所存でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
(17)資金使途について
上場時の公募増資等により調達した資金の使途については、主に事業拡大のための研究開発費、新サービスの開発費等に充当する予定です。しかしながら、当社が属する業界において急速に事業環境が変化することも考えられ、現時点における資金使途計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても想定した投資効果が得られない可能性もあります。
(18)大規模自然災害及び新型コロナウイルス感染症等に関するリスク
当社本社が属する地域においては、温暖化により近年大型化している台風の直撃、霧島山系火山の噴火、日向灘沖を震源として発生する地震等の自然災害により、本社機能の全部又は一部の継続が困難となり、売上の減少及びソフトウエア開発の遅延などが生じ、財政状態及び経営成績に影響が及ぶおそれがあります。また、本社及び営業所の周辺地域において大地震や台風等の自然災害あるいは新型コロナウイルス感染症や新型インフルエンザ等の感染症が想定を大きく上回る規模で発生及び流行した場合には、当社の事業活動に影響を及ぼし当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(19)新株予約権行使による株式価値希薄化に関するリスク
当社は、当社役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。また、今後におきましても、役員及び従業員等に対するインセンティブとして新株予約権を付与する可能性があります。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当事業年度末(2020年6月30日)における新株予約権による潜在株式数は360,000株であり、発行済株式総数5,883,720株の6.1%に相当します。新株予約権の詳細は、「第二部 企業情報 第4提出会社の状況1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。
(20)大株主に関するリスク
当社の代表取締役社長である米津健一及び同氏の資産管理会社である株式会社NJCが、本書提出日現在で発行済株式総数の96.9%を所有しており、本売出しによって所有株式の一部を売却する予定ではありますが、引続き大株主となる見込みです。
同氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。
同氏は、当社の創業者であるとともに代表取締役社長であるため、当社といたしましても安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情により同氏により当社株式が売却された場合には、当社株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は緩やかな回復基調で推移しておりましたが、米中の貿易摩擦をめぐる動向や消費税引き上げ後の消費マインドの低下、新型コロナウイルス感染症の世界的規模での拡大の影響を受け、依然として先行き不透明な状況が続いております。一方で、当社がITソリューション(SaaS型クラウドサービス等)によって提供する不動産業務支援の市場においては、政府による「働き方改革」の推進、不動産とテクノロジーを掛け合わせた「不動産テック」の推進、デジタルトランスフォーメーション(DX)により業務効率化を推進する企業が増加する等、業界でのIT関連投資を促進させる動きが当社にとっては追い風となっております。
2020年3月以降はコロナ禍の影響を懸念いたしましたが、テレワークに対応可能な当社クラウドサービスの案件は増加し、また、2020年5月にリリースした不動産取引における内見から重要事項説明までをオンラインで完結させる「非対面仲介サービス」は、政府が提唱する「新しい生活様式」にも繋がる特徴を備え、お客様から多くのお問い合わせをいただいております。さらに、当社の営業活動においては、Web会議システムを利用したリモート商談を従前より積極的に取り入れており、通常の活動を停止させることなくお客様への提案を継続してまいりました。当事業年度の事業に対する新型コロナウイルスの影響は限定的であったと認識しております。
a.財政状態
(資産)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比較して598,204千円増加し、2,483,864千円となりました。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して232,469千円増加し、1,205,711千円となりました。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末と比較して365,734千円増加し、1,278,153千円となりました。
b.経営成績
当事業年度の売上高は2,375,552千円(前事業年度比10.6%増)、営業利益は524,801千円(前事業年度比69.3%増)、経常利益は565,775千円(前事業年度比49.2%増)、当期純利益は367,542千円(前事業年度比57.2%増)となりました。
なお、当社は不動産業務支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、サービス分類別の売上高の状況は、次のとおりであります。
イニシャル:販売時に一括で売上計上するソフトウエアの導入費用・導入ライセンス
ランニング:保守・利用期間に渡って売上計上する、ライセンス料金・サービスの利用料
(仲介ソリューション)
当社は、仲介ソリューションとして、物件在庫管理、不動産情報流通、入居者募集業務等、宅建業者向けにソフトウエア販売及び業務支援サービス事業を展開しております。
当社製品を利用している不動産会社に対して、仲介業務における自社ホームページ集客及び不動産ポータルサイト集客におけるニーズや課題を対応してまいりました。
当事業年度では、当社製品を利用している不動産業者に対して、仲介業務における自社ホームページ集客やWeb広告運用、不動産ポータルサイト集客におけるニーズや課題解決となる提案を積極的に行ってまいりました。その結果、仲介ソリューションの売上高は789,259千円(前年比6.8%増)となりました。
(管理ソリューション)
当社は、管理ソリューションとして、賃貸管理業者向けにソフトウエアと業務運用フォローを合わせて、賃貸管理業務支援の事業を展開しております。管理ソリューションの主要な製品・サービスには「賃貸革命」があげられます。賃貸管理は、宅建業法の範囲外の業務が多くあるため、地域や会社規模によって業務内容が異なります。
そのような状況で、不動産賃貸物件の契約管理、入居者管理、建物管理、家賃入出金管理等、賃貸管理に欠かせない一連の業務を網羅的に対応し、多様なニーズに対応することで大小様々な管理会社に幅広く支持されています。
当事業年度においては、消費税増税による駆け込み需要、IT導入補助金の採択によって売上が伸び、また、新規顧客への販売、既存顧客への再販活動が順調に推移し、月額利用料も堅調に積み上がりました。その結果、管理ソリューションの売上高は1,562,713千円(前年比14.6%増)となりました。
※仲介ソリューション、管理ソリューションの合計売上高2,351,972千円の他に、その他売上高23,579千円があります。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末と比べて551,224千円増加(前年同期比80.7%増)し、1,234,608千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動により獲得した資金は488,784千円(前事業年度は426,985千円の獲得)となりました。
主な内訳は、税引前当期純利益565,819千円、前受金の増加額99,975千円、法人税等の支払額136,016千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動により獲得した資金は70,981千円(前事業年度は54,963千円の使用)となりました。
主な内訳は、保険積立金の払戻による収入104,371千円、無形固定資産の取得による支出53,952千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動により使用した資金は8,542千円(前事業年度は56,948千円の獲得)となりました。
主な内訳は、株式公開費用による支出7,000千円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当社は不動産業務支援事業の単一セグメントであります。
2.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の
10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末日現在(2020年6月30日)において当社が判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当事業年度末における資産合計は、2,483,864千円となり、前事業年度末から598,204千円増加(前事業年度末比31.7%増)となりました。流動資産の残高は、1,812,190千円となり、前事業年度末から593,170千円増加(前事業年度末比48.7%増)となりました。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、1,205,711千円となり、前事業年度末から232,469千円増加(前事業年度末比23.9%増)となりました。流動負債の残高は、1,198,305千円となり、前事業年度末から234,012千円増加(前事業年度末比24.3%増)となりました。
2)経営成績
(売上高)
当事業年度における売上高は、前事業年度と比べて227,392千円増加し、2,375,552千円(前事業年度比10.6%増)となりました。その主な内訳は、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況
b.経営成績」に記載のとおりであります。
(売上原価)
当事業年度における売上原価は、前事業年度と比べて28,194千円増加し、631,286千円(同4.7%増)となりました。その主な内訳は、クラウド関連の経費が36,491千円増加したことによるものであります。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度と比べて15,564千円減少し、1,219,463千円(同1.3%減)となりました。その主な内訳は、旅費交通費が8,918千円減少したことによるものであります。
以上の結果、損益につきましては、営業利益は524,801千円(同69.3%増)、経常利益は565,775千円(同49.2%増)となりました。また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額含む)は、前事業年度と比べて53,122千円増加し、198,276千円(同36.6%増)となり、当期純利益は367,542千円(同57.2%増)となりました。
(営業外損益)
当事業年度における営業外収益は、前事業年度と比べて22,758千円減少し、58,227千円(同28.1%減)となりました。その主な内訳は、保険返戻金が19,458千円減少したことによるものであります。営業外費用は、前事業年度と比べて5,310千円増加し、17,253千円(同44.5%増)となりました。その主な内訳は、株式公開費用が16,099千円増加したことによるものであります。
b.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
売上高の対前年増加額及び経常利益の対前年増加額を重要指標としており、当事業年度の売上高は2,375,552千円となり、前事業年度比10.6%増となりました。それはランニング積み上げによるものであります。また、当事業年度の経常利益は565,775千円となり、前事業年度比49.2%増となりました。それは売上増加によるものであります。
c.セグメントごとの財務状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の報告セグメントは、不動産業務支援事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性について、当社は、短期運転資金については自己資金を基本としております。また、設備投資資金等についても自己資金を基本としつつ、必要に応じて金融機関から調達を実施する方針であります。
a.資金需要の主な内容
当社の運転資金需要の主なものは、製造・開発活動に係る人件費及び外注費、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金であります。これらの資金につきましては、営業活動によって得られる資金でまかなうことを基本として、必要に応じて金融機関から調達を実施する方針であります。
また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,234,608千円であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。 この財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の報告数値について影響を与える見積りは、過去の実績や状況に応じて、可能な限り合理的と考えられる根拠や要因等に基づき実施しております。しかし、これらの見積りについては不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要と考えております。
なお、当社の財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、後記「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
a.繰延税金資産
繰延税金資産は毎期、過去の課税所得の推移や将来の課税所得の見込等を勘案して、回収可能性を慎重に検討し計上しております。課税所得の見積額が変動した場合、繰延税金資産が増額又は減額され、税金費用に影響を及ぼす可能性があります。
b.貸倒引当金
当社は債権の貸倒損失に備え回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しておりますが、将来、販売先の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
該当事項はありません。
研究開発活動としましては、仲介ソリューション・管理ソリューションにて開発している製品において、不動産業務効率を改善する製品開発だけではなく、ビッグデータ・AI・音声認識・画像認識などを活用した製品の研究開発にも取り組んでおり、これらの研究開発成果を既存製品と組み合わせることで、当社製品の機能・価値を更に高めていくことを目指しております。
これらの研究開発は当社の開発部門が中心となって活動しており、機能・価値を高めた製品のリリースを随時行っております。
当事業年度における研究開発費の総額は
また、当社は不動産業務支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。