第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1)経営方針

当社グループは、「本気で課題に挑む人たちと、事業を通して社会にポジティブなアップデートを仕掛けていくこと」をミッションに掲げています。そのミッションを通じて、全人類が生まれた時から持っているクリエイティブへの情熱を呼び起こし「誰もが価値創造に夢中になれる世界」というビジョンの実現のためのサービスを提供していきます。課題解決のスピードはテクノロジーの進化によりどんどん加速しています。当社では課題解決のその先の未来、全人類価値創造時代のインフラとして純粋想起される存在を目指します。

 

(2)経営環境

少子高齢化を背景に人口減少フェーズに入り、生産年齢人口は2016年の7,700万人より2065年には4,500万人(注1)に減少すると見込まれています。また、「2025年の崖」(注2)に伴い、デジタルトランスフォーメーション未実現により2025年以降最大12兆円/年の経済損失が発生するリスクがあり、年間130兆円規模でのGDPへの影響が懸念されています。このようなデジタルへの移行が不可欠とされる状況下において、2030年には最大78.7万人のIT人材不足(注3)など、量、質ともに危機的な不足が予想されています。上記の課題は、社会が構造的に抱える課題であり、企業単位ではなく日本社会全体として、グローバルな視点での取り組みが必要な時代であると考えています。

当社グループではこのような環境下において、当社グループの提供するサービスにより、国内外の優秀な人材とテクノロジーの力を最大限に活用し、顧客のデジタルトランスフォーメーションを推進することで、当社グループのミッションでもある「本気で課題に挑む人たちと、事業を通して社会にポジティブなアップデートを仕掛けていくこと」を実現することを目指しています。

(注)1.内閣府 令和4年版高齢社会白書 令和4年版

2.2025年の崖「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会

3.経済産業省 IT人材需給に関する調査

 

 

(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標

デジタル・クリエイティブスタジオ事業においては、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、クリエイティブ&エンジニアリングにおけるストック型顧客数、月額平均顧客売上を重要指標としています。

デジタル・テクノロジーとクリエイティブを活用できる最適なチームを編成して、顧客とともに事業共創をしていくサービスであるため、その事業の成功への貢献はこの両指標の向上に現れてくるものと考えており、当社グループのミッションの遂行をモニタリングする指標と捉えることもできると考えています。

当社グループは、この両指標を着実に積み上げながら事業成長を実現しており、2023年末時点でストック型顧客数は121社、月額平均顧客売上は518万円、2024年末時点ではそれぞれ140社、527万円を見込んでいます。

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なお、当社グループで、具体的な中期計画の策定・開示は行っていませんが、これまで創業以来、常に高い理想を掲げて事業に取り組み、最良の機会を逃さぬように、ときにはリスクを取り、様々な外部環境の変化にも柔軟に適応しながら高い成長を実現してきました。今後も、これまでのスタンスは大きく変えることなく、次項に挙げる事業上及び財務上の対処すべき課題に取り組みながら、「誰もが価値創造に夢中になれる世界」の実現に向けて、中長期目線で飛躍的な成長を遂げていきたいと考えています。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、今後の更なる成長を実現する上で、以下の事項を経営課題として重視しています。

 

①組織能力の拡充・強化、人材の発掘・育成

当社グループの業績は現在のところ順調に推移していますが、組織能力の拡充・強化を通じて、成長を確かなものとすることが必要と考えています。また、持続的な成長のためには、当社のカルチャーに合った専門性を有する優秀な人材の採用と既存社員のスキルの底上げが最重要課題と考えます。当社は優秀な人材の採用を積極的に行っていくと同時に、社員に対して当社のミッション・バリューを深く浸透させ、かつ、個々のスキルを底上げするような研修を実施していく等の人材育成に取り組んでいきます。

また、当社グループでは、日本の少子高齢化による高度IT人材の危機的な不足が今後更に拡大していく、という社会課題に対して、海外の大学等との産学連携の取り組みを通じて多くの人材を輩出していくことが重要だと考えています。当社グループで手掛けている12の大学との産学連携や教育プログラム提供の取り組みの拡大にとどまらず、教育手法のコモディティ化を進め、人材発掘・育成の質、量、スピードを高めていきます。

 

②新たな収益モデルによる収益機会の多様化及び新領域への展開

当社グループの事業は、主にサービスの成長にコミットするデジタライゼーション市場での取り組みとなります。当社もクライアントと共にリスクテイクする代わりに、サービスの収益に応じたレベニューシェアでの取り組みや、スタートアップ企業の創業時、アーリーステージでの資本参加を中心に24社のスタートアップ企業への投資を実行しています。当社グループでは、投資後もスタートアップの成長に必要な機能を随時サポートすることで、投資先株式の価値向上に貢献しています。

こういった取り組みにより、デジタル・クリエイティブスタジオ事業の従来の収益に加えて、レベニューシェア契約からの売上・利益や、投資先の株式の売却益等、多様な収益機会を狙うことが可能となっています。

今後も当社グループの強みを生かして価値向上による新たな収益モデルにも取り組んでいきます。

また、エンターテインメント業界では、ブロックチェーンを活用したDeFi(注1)、NFT(注2)などのソリューションの登場や、各種デバイスの進化により、Web3(注3)Metaverse(注4)など新しいトレンドが生まれ劇的な変化が起きています。当社グループも研究開発で獲得した技術力や、グループ会社に所属しているクリエイター達のコンテンツ創出力をベースに、エンターテインメント領域の事業展開にも取り組んでいきます。

(注)1.DeFi:分散型金融(Decentralized Finance)略称。中央で金融資産を管理する中央集権システムを必要としない金融仲介アプリケーションのこと。

2.NFT:非代替性トークン(Non-Fungible Token)の略称。ブロックチェーン上に記録される一意で代替不可能なデータ単位。画像・動画等のデジタルファイルを関連づけて所有権の公的な証明をすることができる。

3.Web3:ブロックチェーン技術によって実現されようとしている新しい分散型のWeb世界。Web3では、単一のサーバーやデータベースに代わり、ユーザー一人ひとりが参加するネットワークがサービス提供する基盤となる。

4.Metaverse:コンピュータやコンピュータネットワークの中に構築された、現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそのサービスのこと。

 

③技術力の更なる強化

当社グループでは、デジタライゼーション市場の変化の早さに対応するために最先端のテクノロジーへの投資に注力し、顧客の事業成長の更なる向上に取り組んでいきます。AI(注1)、エッジコンピューティング(注2)、ブロックチェーン(注3)、サイバーセキュリティー(注4)、ディープフェイク(注5)、IoT(注6)などの研究開発を主にベトナム子会社内の研究開発チームにて行い、最先端技術の社会実装に向けた技術力の強化に取り組んでいきます。

(注)1.AI:人工知能(artificial intelligence)の略称。人工的にコンピュータ上などで人間と同様の知能を実現させようという試み、あるいはそのための一連の基礎技術を指す。

2.エッジコンピューティング:端末の近くにサーバーを分散配置するネットワーク技法のひとつ。

3.ブロックチェーン:分散型台帳技術、または、分散型ネットワークのことで、ビットコインの中核技術を原型とするデータベース。ブロックと呼ばれる順序付けられたレコードの連続的に増加するリストを持つ。各ブロックには、タイムスタンプと前のブロックへのリンクが含まれている。

4.サイバーセキュリティー:サイバー領域におけるセキュリティを指す。

5.ディープフェイク:人工知能に基づく人物画像合成の技術を指す。

6.IoT:モノのインターネット(Internet of Things)の略称。センサーやデバイスといった「モノ」がインターネットを通じてクラウドやサーバーに接続され、情報交換することにより相互に制御する仕組み。

 

④内部管理体制の更なる強化

当社グループは、更なる事業拡大を推進し、企業価値を向上させるためには、効率的なオペレーション体制を基盤としながら、内部管理体制を強化していくことが重要な課題であると認識しており、コンプライアンス体制及び内部統制の充実・強化を図っていきます。

 

⑤情報管理体制の更なる強化

当社グループでは、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO27001:2013の認証を取得していますが、事業を通じて多くの顧客の企業情報や顧客が保有する個人情報等、様々な機密情報に接する機会があることから、情報管理体制を継続的に強化していくことが重要だと考えています。現在情報管理やセキュリティ管理に関する施策には万全の注意を払っていますが、今後も社内体制や管理方法の強化・整備に取り組んでいきます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、「誰もが価値創造に夢中になれる世界」というビジョンのもと、「本気で課題に挑む人たちと事業を通して社会にポジティブなアップデートを仕掛けていくこと」をミッションとしています。社名に含まれる“Sun”はまさに「太陽」。地球上のすべての生命を育むインフラです。そして、“*(Asterisk)”は、多くのプログラミング言語で掛け算を表す記号であり、“Sun*“の社名には、顧客、社員、ビジネスパートナー、地域社会、株主、その他機関など様々なステークホルダーとのコラボレーションを通じて、その光で世界を明るく照らし育んでいく、という意志が込められています。

全人類が生まれた時から持っているクリエイティブへの情熱を呼び起こし、「誰もが価値創造に夢中になれる世界」を実現するためには、人、社会、地球が健全であることが前提となります。これらの考え方のもとで、長期的な視点で持続的に社会価値と経済価値を創出できるよう、様々なサステナビリティに関する取り組みを、Sun*が展開する全ての国、地域、事業で横断的に継続しています。

 

(1)マテリアリティ(重要課題)

当社グループは、デジタル・テクノロジーとクリエイティブを活用できるグローバルチームを編成し、あらゆる産業のデジタライゼーションを促進するデジタル・クリエイティブスタジオ事業を展開しています。この事業を通じて、社会と地球環境が抱える課題に対応していく明確な姿勢と行動がステークホルダーから求められていると認識しています。そこで、2021年にこれまで感覚的に進めていたESG推進活動を体系的に整理し、Sun*が事業を通じて長期的に価値を創造していく基盤となるマテリアリティ (重要課題) を特定するため、ステークホルダーの視点を取り入れた分析を実施しました。

マテリアリティ分析は、1.マテリアリティ候補項目の抽出・整理、2.自社視点およびステークホルダー視点での評価の実施、3.マテリアリティ項目の特定、のプロセスで行いました。上記のプロセスを通じて多面的に評価を行い、①DX・事業共創、②人材・チーム、③コミュニティ、④コーポレート・ガバナンス、⑤環境の5つの活動領域において、10のマテリアリティ項目を特定しています。

Sun*のデジタル・クリエイティブスタジオ事業の創出価値そのものである「DX・事業共創」、その推進の根幹を成す「人材・チーム」と「コーポレート・ガバナンス」、それらの大前提とも言える「コミュニティ」と「環境」は、それぞれSun*の長期的な価値創造を支える重要な活動領域と捉えています。これらは、SDGsの掲げる17の目標にも深く関係しており、事業活動を行う過程でSDGsの達成に貢献できると考えています。

今後、長期的な価値の創造に向けて、マテリアリティ項目に関する取り組みを強化していきます。

 

(当社グループのマテリアリティ)

活動領域と

Sun*のマテリアリティ項目

基本方針

指標及び目標

取り組みの一例

活動領域

マテリアリティ項目

①DX・事業共創

あらゆる産業のDX推進

デジタル・テクノロジーとクリエイティブの力を最大限活用し、あらゆる産業のデジタライゼーションを促進し、社会をアップデートする価値創造に取り組み続ける

•デジタルサービス・プロダクト開発実績(累計)

•新規事例公開数

•付加価値創出額(売上総利益額)

・DX事例の積極的な開示

・技術力・開発力・クリエイティブ力の向上に向けた先進技術(ブロックチェーン、AI、IoT等)のR&D推進

様々なパートナーとのバリューチェーンの発展

顧客、投資先、ビジネスパートナーと強いパートナーシップを築き、事業共創を推進する

•ストック型顧客数、ARPU

・事業共創事例の積極的な開示

・顧客、投資先、ビジネスパートナーの積極的な開拓

顧客体験・サービス品質の向上

関わる事業・サービス・プロダクトの成功にコミットし、顧客のその先にいるユーザー視点を持って提案・改善を継続することで顧客の期待を超え、最も信頼されるパートナーであり続ける

•顧客サーベイスコア(NPS・その他)

・優れた顧客体験を実現するための、ユーザビリティの継続的改善提案

・顧客ロイヤリティ維持活動の推進

・サービス品質向上へのフィードバック 強化

②人材・チーム(人的資本経営)

価値創造人材・チームの発掘・育成・活躍促進

デジタル・テクノロジーやクリエイティブの力を活用した価値創造の経験やポテンシャルを有する人材・チームを数多く発掘・育成し、多様な個性やスキル・能力の伸長と発揮を最大限に支援する

・経験者採用数・新卒採用数

・人材開発投資総額・社員あたり投資額・昇格者数

・xseedsプログラム履修者数・修了者

・積極的な採用広報活動

・社員の持続的な能力開発、キャリア開発支援

・産学連携先の開拓

・カリキュラム・コンテンツの充実

・教育環境の整備

DE&I推進

人種・国籍・性別・年齢・障がいの有無・性自認・性的指向など問わず、多様な個性や価値観を持つ社員一人ひとりが、成長機会を得て活き活きと働き、挑戦していくことができる環境づくりに取り組む

・エンゲージメントスコア

・男女比率・グローバル社員比率・障がい者雇用率

・平均勤続年数・自己都合退職率

・育児休業取得率・有給休暇取得率等

・ビジョン・ミッション・コアバリュー浸透施策の実施

・全従業員へのアンコンシャス・バイアス研修の実施

③コミュニティ

地域社会や各種コミュニティへの貢献

事業活動を行う世界の各地域において、Sun*の強みであるデジタル・テクノロジーやクリエイティブ、教育等の力を用いて、さまざまなグローバル課題の解決に貢献する

・Vibloのユーザー数・コンテンツ数

・子供向けのプログラミング教育等の開催数・参加者数

・オープンソースへの貢献

・コミュニティへのスポンサー

・プロボノプロジェクト

④コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンスの高度化

(リスクマネジメント含む)

全てのステークホルダーを尊重し、企業の健全性、透明性を高めるとともに、長期的かつ安定的な株主価値の向上に努めるため、迅速で合理的な意思決定体制及び業務執行の効率化を可能とする社内体制を構築し、コーポレート・ガバナンスの高度化に取り組む

・外部機関評価

・取締役会構成のさらなる多様化

・ESGに関する取締役会への定期的な報告を継続実施

・情報開示のさらなる拡充

・監査等委員による事業所に対する往査実施

・リスクマネジメント体制の継続的な強化

・税法と関連規則遵守の継続

企業倫理・コンプライアンス・腐敗防止の徹底

全従業員が「良心に基づいた倫理判断」をビジネスの基本に据えて行動し、公正な職場と健全な取引関係を築き上げ、仕事を通して社会の発展に貢献していくことを目指す

・コンプライアンスに関するE-learning修了率

・内部通報件数

・倫理的な企業文化の醸成に向けた継続的な取り組み

・全従業員へのコンプライアンス研修の実施

・内部通報制度の認知促進

・事業活動にかかわるリスク評価の継続実施と、その結果に基づいたコンプライアンスプログラムの見直し

プライバシーと情報セキュリティ管理の徹底

プライバシーや情報セキュリティをめぐる環境の変化や技術の発展に対応し、それらの管理に関する活動の改善、管理およびセキュリティの強化を通じ、業務上取り扱うお客様、社員、その他ステークホルダーの個人情報等の情報資産および当社の情報資産を各種脅威から守ることで信頼に応え続ける

•プライバシーと情報セキュリティに関するE-learning修了率

•情報セキュリティに関するインシデント発生件数

・情報セキュリティ強化施策の継続的な実施

・全従業員へのプライバシー及び情報セキュリティ研修の実施

・事業活動にかかわるリスク評価の継続実施と、その結果に基づいた情報セキュリティ基準や強化施策の見直し

⑤環境

気候変動緩和への貢献

気候変動問題及び環境汚染を含む地球環境問題への取組みを世界共通の問題であると認識し、持続可能な社会を実現するために、自らの事業活動を通して、環境負荷の軽減を目指す

•温室効果ガス排出量

•エネルギー消費量

・ペーパレスの推進

・廃棄物の削減

・スタジオ照明のLED化

・電力使用量の削減

・執務スペースの空調温度の調節や、不要不急の機器の停止、社員の環境意識醸成等の施策を通じた節電

・地球環境保全に貢献する技術の開発と活用(クリーンテックへの貢献)

 

(2)推進体制

サステナビリティを推進する社内体制としては、取締役会によって選任されたサステナビリティ推進担当役員による管轄のもと、株式会社Sun Asteriskの本社機能組織内でサステナビリティに関わる活動方針の立案や、当社グループ全体への活動方針等の浸透、活動の推進状況をモニタリングするとともに、各種報告書の情報発信 などの対外的なコミュニケーションを行います。さらに情報開示以外にもステークホルダーとの対話を実施し、外部より受けたさまざまな意見や活動を通じて特定された課題を担当役員に報告するとともに、経営層と本社関連部署(経営企画、人事、総務、法務、経理財務、広報、IR、など)にフィードバックしています。そしてこれらに基づきSun*グループとしての対応方針を策定するなど、経営施策に適宜反映しています。サステナビリティ推進担当役員と本社関連部署は、反映された方針や活動を国内外のビジネスユニットやグループ会社等に展開していくことによって活動を推進していきます。

サステナビリティ推進担当役員は、原則として年に一度、取締役会においてSun*のサステナビリティ全般に関する活動状況を報告し、レビューを受けています。さらに、重要性の高い案件に関しては、その案件を担当する役員および担当部署より取締役会へ定期的に報告が行われ、取締役会のレビューを受けます。

 

(3)主要な取組の内容と指標の推移

①-1.DX・事業共創推進の取組

DX・事業共創推進は、Sun*グループの事業ドメインそのものであり、デジタル・クリエイティブスタジオの多様なプロフェッショナルチームによる機能、これまで蓄積された価値創造型のナレッジ・ノウハウを総動員し、最重要テーマとして取り組んでいます。

DX・事業共創に係るサービス・プロダクト開発の実績を積み上げるとともに、それらの事例を積極的に公開していくことで、顧客・事業共創パートナーやその先にいるユーザーへの直接貢献のみならず、間接的にもよい影響をもたらし、社会全体のDXや事業共創の加速に貢献していければと考えています。

 

(DX・事業共創推進に関する指標の推移)

 

2019年

12月期

2020年

12月期

2021年

12月期

2022年

12月期

2023年

12月期

DX・事業共創

サービス・プロダクト開発支援実績(注)1

324

418

507

662

853

新規事例公開数

(注)2

7

11

13

16

付加価値創出額

(売上総利益額)(注)3

1,775百万円

2,399百万円

3,608百万円

4,540百万円

5,942百万円

注1.2012年の創業から各期末月までの累計数(2022年度より継続案件も含む)

2.各会計年度の合計数

3.各会計年度におけるクリエイティブ&エンジニアリング領域の売上総利益額

 

①-2.クライアントリレーションシップの取り組み

当社グループは、顧客との間において、成果物の納品を目指す受発注関係を超えて、ともに事業・サービスの成功や成長を目指すパートナー関係となるべく、関わる顧客の事業・サービスに対する熱量を持ち、ビジョン実現に向けた本質追求に努めています。

顧客の事業・サービスが成功し成長を続けていくことに当社グループが貢献し続けることができていれば、結果的に顧客との契約は長期化・大型化していくため、当社グループが最重要KPIとして掲げているストック型顧客数と月額平均単価(ARPU)は、顧客とのリレーションシップや顧客への価値提供の成果をダイレクトに表した指標と捉えています。また、当社グループでは、定期的に顧客サーベイを実施し、他社に対して当社グループの活用を推奨できるかどうかを定点観測しています。

 

(クライアントリレーションシップに関する指標の推移)

 

2019年

12月期

2020年

12月期

2021年

12月期

2022年

12月期

2023年

12月期

顧客数とARPU

ストック型顧客数(注)1

72社

85社

95社

110社

121社

ARPU(注)2

308万円

389万円

475万円

506万円

518万円

月次平均解約率(注)3

3.52%

3.63%

3.45%

3.52%

3.58%

顧客サーベイスコア(注)4

回答数

39

44

57

51

48

回答率

65.6%

74.5%

81.1%

81.9%

73.7%

顧客NPS

(注)5

27.3p

25.4p

27.0p

24.7p

19.1p

注1.各連結会計年度末時点の社数

2.月額平均顧客売上=期中のストック型売上÷期中の各月におけるストック型顧客数の合計

3.2015年1月から各期末月までの数値を参照、当該期間の離脱社数÷クライアント数の平均

4.2019年12月期は同年10月の結果、2020年12月期は同年11月の結果、2021年12月期以降は年3回の結果平均

5.NPS®とは「ネット・プロモーター・スコア(Net Promoter Score®)」の略で、顧客ロイヤルティを数値化して測る指標の1つ。「推奨者の正味比率」を意味し、「0~10点で表すとして、この企業(あるいはサービス、商品)を知人に薦める可能性はありますか」という1つの質問を用いて、企業やブランドに対してどれくらい愛着や信頼があるのかをスコア化したもの。

 

②人・チーム(人的資本経営)の取組〜Sun*らしい人的資本の向上のあり方について〜

本章の冒頭で述べた通り、当社グループは、「誰もが価値創造に夢中になれる世界」というビジョンのもと、「本気で課題に挑む人たちと事業を通して社会にポジティブなアップデートを仕掛けていくこと」をミッションとしています。

本ビジョン・ミッションの実現において、人的資本の増大(=個人の力・チームの力)が重要であると考えています。個人の力・チームの力の増大により、事業創造・価値創造を支援する力がより強化され、また行動指針としてのコアバリューとともに、ビジョン・ミッション実現を強固にすると考えています。

 

23年12月にビジョン・ミッションの体現する行動指標としてグローバルで以下3つに再設定しました。

 

・Aim High

いつの時代も、世の中の常識を覆すような新しい価値を創造するのは、既存の枠組みに捉われず挑戦する人たち。自分の限界を決めず、コンフォートゾーンから飛び出す一歩が、価値創造へ繋がります。新たな可能性に挑戦する探求心を糧に、高みを目指し続けよう。

 

・Be Agile

変化とは進化の源泉です。テクノロジーや時代の流れを素早く捉え、柔軟に受け入れることで、変化は”未知の不安なもの”ではなく”チャンス”となります。常にトライアンドエラーを繰り返し、価値創造に向き合おう。

 

・Wasshoi

わっしょいーーそれは”和を背負う”という、私たちが大事にしているチームワークの精神を表す掛け声です。仲間と一致団結することで、エネルギーと力強さが湧き起こります。Sun*に関わる全ての人達と力を合わせ、困難をものともせず一丸となって進み続けよう。

 

この3つのコアバリューの浸透施策を実施し、ビジョン・ミッションの体現の具体的な指針として社員と一丸となって活用していきます。

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②-1.エンゲージメントの向上

個人の力・組織の力を示す指標として、Sun*ではエンゲージメントスコアを大切にしています。

社員一人ひとりのエンゲージメントを高め、個人・組織の活性化を図る起点となると考え、エンゲージメントサーベイを実施しています。

会社への信頼、価値創造、仕事の効率・効果、働きやすさ・働きがい、キャリア・成長といった、社員のエンゲージメントを持続的に高めるための重要要素となる各項目について社員の声を収集・分析し、さらなる向上を目指した重点領域の特定とアクションにつなげています。

サーベイの結果は即日マネージャーにも開示され、ビジネスユニット毎に詳細な分析が可能です。マネージャー自身も、自社や自組織の結果とメンバーから寄せられたコメントを踏まえて、各組織の課題に応じて組織内での社員とのオープンな対話と改善活動を推進しています。

 

 

 

 

 

(エンゲージメントスコアの推移)

 

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

2023年12月期

エンゲージメントスコアの推移

国内

60.9

63.0

63.4

62.0

64.3

国外

53.38%

70.47%

70%

75.63%

77.56%

 

②-2.価値創造人材の採用

Sun*グループでは、創業以来、毎年積極的な採用活動を行い、デジタル・テクノロジーやクリエイティブの力を活用した価値創造の経験やポテンシャルを有する人材を多数採用し、あらゆる産業のDX・事業創造に取り組める人材の確保と、継続的な雇用創出に努めています。

更なる成長に向けて、各分野のスペシャリストを中心とした優秀な人材の積極採用が継続的に取り組むべき課題であると認識しております。 こうした課題に対応するため、従前の採用手法だけにとどまらず、リファラル採用の強化や各イベントへの協賛等のあらゆる手法を積極的に取り入れ、採用体制の強化を進めてまいります。

 

(新規社員数の推移)

 

2019年

12月期

2020年

12月期

2021年

12月期

2022年

12月期

2023年

12月期

新規採用数(注)1

全体

39

67

71

107

135

経験者採用数

36

56

59

76

66

新卒採用数

3

11

12

31

68

注1.対象は株式会社Sun Asterisk

 

②-3.価値創造人材育成・組織開発

個人の力・チームの力を示す指標としてのエンゲージメントスコアについて、弊社特徴として、スコアに相関する上位10項目のうち7つが上司・マネジメントに関する項目であることが分析によって確認できています。今後も組織拡大に伴い、組織の結節点としてマネジメント層が一層重要になるため、2023年より360度評価を取り入れた組織横断型のマネージャー育成に着手しました。マネージャーの育成により、マネージャーと組織の対話が変化し、より高い従業員のエンゲージメントスコアにつながるかを今後検証してまいります。

また、各職種別に人材の能力開発を企画しており、組織横断型のリーダーシップ開発および、社内コミュニティの支援も実施予定です。

 

②-4.ダイバーシティ・エクイティ & インクルージョンの推進

Sun*グループは、世界人権宣言や国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の人権に関する国際規範を支持し、あらゆる事業運営において人権を尊重します。Sun*グループのコンプライアンス・ポリシーに基づき、全てのグループ会社に対し、この方針および関連する法令に従って人権を尊重し、誠実な事業活動を行うことを求めています。

また、人種・国籍・性別・年齢・障がいの有無・性自認・性的指向など問わず、多様な個性や価値観を持つ社員一人ひとりが、成長機会を得て活き活きと働き、挑戦していくことができる環境づくりに取り組み続けます。

 

・ライフステージに合わせた就業の支援

ライフステージの違いに合わせ、個々の業務内容にあわせて在宅勤務、時短勤務、フレックスタイム勤務等、多様な働き方ができるよう取り組んでいます。尚、このような取り組みを通じて2027年には管理職相当の等級における女性割合を30%以上とすることを掲げています。実績としては2022年度末時点では14.1%、2023年度末時点では13.8%となっています。また本取り組み以外にも女性活躍の課題解消のための取り組みは積極的に取り組んでいきます。

 

・外国籍社員および海外現地社員の登用を積極的な推進。

機会均等や人材の相互理解の観点からも、海外拠点社員と営業活動の方法や市場環境に関する情報交換を行う勉強会や、インターンシップ受け入れなども積極的に行っています。

 

・障がい者雇用への取り組み

障がい者の方が意欲をもって働けるよう、障がいの内容や職務希望などを考慮したうえで、入社後の配属先や担当業務、勤務時間帯などを決定し、能力を発揮しやすい職場環境の整備・配慮に取り組んでいます。2024年度では2名の採用が決定しています。

 

(ダイバーシティ・エクイティ & インクルージョンに関する指標の推移)

 

2019年

12月期

2020年

12月期

2021年

12月期

2022年

12月期

2023年

12月期

社員数

全体

157

219

387

511

597

男性

118

159

262

341

380

女性

39

60

125

170

217

女性比率

24.8%

27.4%

32.3%

33.3%

36.4

管理職数(Section Mgr以上)

全体

12

13

28

30

42

男性

11

12

24

27

39

女性

1

1

4

3

3

女性比率

8.3%

7.7%

14.3%

10.0%

7.1%

国内グローバル社員比率

国内

8.9%

12.3%

10.3%

11.2%

11.1%

障がい者雇用率

国内

平均年齢

国内

30.6

31.9

32.8

32.6

31.9

国外

(ベトナム)

26.8

27.6

27.6

27.9

29.1

(注)平均年齢(ベトナム)を除き、対象は国内4法人

 

②-5.人事データ整備による企業文化活動の科学

また、前述の施策の成果を把握しながら、当社グループらしい企業文化活動・人事的資本の増大(個人の力・チームの力の増大)のやり方をより明確化する意味でも、前述で示した内容を一端に、エンゲージメントスコアと企業活動の関係性・チームの力/個人の力との因果関係をより詳細に分析・科学していきます。

 

(4)地域社会とコミュニティへの貢献

当社グループでは、事業活動を行う世界の各地域において、Sun*の強みであるデジタル・テクノロジーやクリエイティブ、教育等の力を用いて、さまざまな課題の解決に貢献していきます。

具体的には、質の高い教育の無償提供事業に取り組んでいます。ベトナム、インドネシア、マレーシアの大学と携し、ITや日本語教育の教師をボランティアで派遣しています。また、オープンソース、技術コミュニティに対する取り組みも積極的に行っています。

 

(地域社会・コミュニティへの貢献に関する指標の推移)

 

2019年

12月期

2020年

12月期

2021年

12月期

2022年

12月期

2023年

12月期

Sun*のxseedsプログラム履修者数(注)1

1,413

1,869

2,248

2,695

2,849

Sun*のxseedsプログラム修了者数(注)2

425

503

709

951

1,332

Vibloのユーザー数

(注)3

43,932

58,279

75,765

104,734

131,238

Vibloのコンテンツ数

(注)3

21,165

28,020

33,007

35,863

37,733

注1.各連結会計年度末時点の履修者数

2.各連結会計年度末までの修了者数

3.サービスインからの累計数

 

(5)コーポレート・ガバナンスとリスクマネジメントの高度化

当社グループのビジョン・ミッション及びサステナビリティに関する基本方針やそれを踏まえた経営方針などを効果的に実現し、中長期的な企業価値の向上を目指した経営を推進するための基盤として、当社グループに適したコーポレート・ガバナンス体制の構築とそのさらなる高度化に取り組んでいます。

東京証券取引所「コーポレート・ガバナンス・コード」の趣旨・精神に鑑み、各原則に対する当社の取り組み状況についてはコーポレート・ガバナンス報告書及び当社のサステナビリティサイト(https://sun-asterisk.com/sustainability/corporate-governance/)等に記載のとおりですが、その他にも、企業倫理・コンプライアンス・ 腐敗防止の徹底、プライバシー、情報セキュリティ管理等においても継続的な活動の改善、強化に取り組んでいます。

 

(コンプライアンス、情報セキュリティ管理等に関する指標の推移)

 

2019年

12月期

2020年

12月期

2021年

12月期

2022年

12月期

2023年

12月期

コンプライアンスに関するE-learning受講状況

75/100

118/125

174/174

223/223

325/325

情報セキュリティに関するE-learning受講状況

83/83

99/143

146/146

234/234

318/318

(注)対象は株式会社Sun Asterisk

 

(6)環境汚染等の地球環境問題への貢献

当社グループは、役職員一人ひとりが企業市民として、環境問題への取り組みが社会的責務のひとつであると認識し、事業活動のあらゆる分野において、環境汚染の予防、温室効果ガスの排出削減、気候変動の緩和・適応、生物多様性および生態系の保全など環境問題に配慮し行動します。また、廃棄物の削減、省エネルギーおよび省資源の推進など、環境負荷の低減に努めるとともに、気候変動が事業環境に及ぼすリスクや機会を踏まえ企業活動を行っています。

 

(環境に関する指標の推移)

 

2019年

12月期

2020年

12月期

2021年

12月期

2022年

12月期

2023年

12月期

SCOPE1(kg-CO2)

(注)2

0

0

0

0

0

SCOPE2(kg-CO2)

(注)3

40,683

40,551

46,064

54,163

46,992

SCOPE1、2合計

40,683

40,551

46,064

54,163

46,992

電気使用量(kwh)

78,399

87,228

102,059

148,141

128,994

CO2排出量原単位

898

756

574

504

376

注1.対象は国内4法人

2.SCOPE1はオフィスにおけるガス直接使用にかかる二酸化炭素排出量

3.SCOPE2はオフィスにおける電気使用にかかる二酸化炭素排出量

4.各年度のCO2排出係数は集計時点での最新公開数値で計算

(以下は2023年12月期の算出時の各拠点の値)

・大手町:0.376kg-CO2/kwh

・赤坂:0.453kg-CO2/kwh

5.CO2排出量原単位はCO2排出量/売上高(億円)

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があるリスク要因として考えられる主な事項には、以下のものがあります。必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しています。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 当社グループのリスク管理体制

当社グループのリスク管理体制は、予見可能なリスクを未然に防止するには各部門間の情報連携が必須との観点から、毎月開催される取締役会において検討・対応を協議し、迅速かつ的確な対応を講じています。更に重要な事項については、適時に取締役会を開催し、協議、対応を講じることをリスク管理体制の基礎としています。

また、内部監査室を設置し、業務の有効性を評価・検証し、リスクを排除する体制をとるとともに、企業倫理及び法令遵守、個人情報を始めとする情報セキュリティの観点から、リスクマネジメント委員会を設置し、特に重要と思われるリスクの回避や軽減施策を実践しています。

 

(2) 特に重要なリスク

①情報セキュリティに関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループでは、事業遂行に当たり、顧客の企業情報や顧客が保有する個人情報等、様々な機密情報に接する機会があります。不正アクセス、コンピュータウイルスによる被害、内部不正者や外注先による情報漏洩等、不測の事態が生じてこれらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの信用低下や損害賠償責任の負担等を通じて、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループは、従業員や外注先等と秘密保持契約の締結を行い、情報管理やセキュリティ管理に対しては個人情報保護規程や情報セキュリティ管理規程を整備するとともに、日本ではプライバシーマークと情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証、ベトナムでは情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得し、情報の適正な取扱いと厳格な管理を的確に行っています。この他、「リスクマネジメント委員会」のもと、外部の脅威動向と全社活動状況、課題点を把握し、必要な施策を決定しています。

 

②コンプライアンス及び訴訟等に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループはグローバルに企業活動を展開しており、国内だけでなく、海外の法令を遵守する必要があります。国内外における事業運営に必要となる許認可(例えば、有料職業紹介事業許可等)に関わる法令をはじめ、会計基準、税法、取引関連等の様々な法令の適用を受けています。

許認可事業においては、今後何らかの理由により、事業主としての欠格事由や当該許可の取消事由に抵触した場合、許可が取り消され、又は、業務の全部若しくは一部の停止が命ぜられることにより、事業活動に支障をきたすとともに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

その他、不正な会計処理や横領等といった法令違反が発生した場合は、当該不正等による損害はもとより、課徴金の支払等が必要となる可能性、更には社会的信用やブランドイメージの毀損により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループを構成する企業及びその役職員の法令違反等の有無にかかわらず、取引先、第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。当社グループに対して訴訟が提起された場合には、その訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用やブランドイメージの悪化等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、法令違反等のリスクの顕在化を未然に防ぐため、企業倫理の確立による健全な事業活動の基本方針となる「コンプライアンス・マニュアル」を制定の上、適法性、財務報告の適正性を確保するための内部統制システムを構築しています。また、リスクマネジメント委員会を設置し、役員・社員への教育啓発活動の実施、関連組織との連携による内部統制の運用徹底・改善の取り組みを通じて、グループでの企業倫理の向上及び法令遵守の強化に努めています。

また、事業活動において、取引先や第三者との間でトラブルが発生しないよう、常に注意を払うとともに、トラブル発生時のエスカレーション及び対応のスピードを上げることで、当該リスクの回避・軽減を図っています。

 

 

当社グループの許認可の状況

当社グループ会社

許認可の名称

許可番号

監督官庁

取得年月日

有効期限

株式会社Sun Asterisk

有料職業紹介

13-ユ-306246

厚生労働省

2013年12月1日

2026年11月30日

Sun Asterisk Vietnam Co.,Ltd

職業紹介事業活動

06/SLDTBXH-GP

ハノイ市

人民委員会

労働傷病兵

社会局

2012年10月29日

2025年1月9日

株式会社Sun terras

有料職業紹介

13-ユ-306144

厚生労働省

2013年10月1日

2026年9月30日

株式会社Sun terras

労働者派遣事業

派13-305384

厚生労働省

2013年10月1日

2026年9月30日

 

③国外での事業展開に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、日本国内のほか、ベトナムに連結子会社Sun Asterisk Vietnam Co.,Ltdを設置し、事業を展開しています。同社は当社グループとの連携・協働により主に日本の顧客のためにソフトウエア開発等を行っています。さらに、当社グループは、国外のトップ大学との産学連携プロジェクトを通じてIT人材を育成しており、日本での就職を希望する学生に対し卒業後の日本のIT企業への就職支援を行っています。各国の政治・経済・社会情勢の変化に伴い、事業環境の悪化や従業員の流出等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、政治的・経済的要因により、予期できない投資規制、移転価格税制を含む税制や法的規制の変更等が行われた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、今後、ベトナム以外の東南アジア展開や欧米展開等の可能性も視野に入れています。海外での事業は、グローバル経済や為替などの動向、法的規制、商習慣の相違、労使関係、外交関係など、様々な要因の影響下にあり、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、連結財務諸表を作成するに当たっては現地通貨を円換算する必要があり、換算時に使用する為替レートによっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、海外事業のリスク管理は、現地のグループ会社や拠点が当社主管組織と連携し、状況の的確な把握と速やかな対策の協議等、管理体制の向上に取り組んでいます。

国外での事業展開に関わる為替リスクについては、顧客と円ベースでの取引と、外貨ベースでの取引の量的バランスの調整や、国内外の金利差も踏まえたキャッシュ・マネジメント等により、為替変動による経営成績及び財政状態への影響の抑制に努めています。

 

④投融資に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループでは、今後の事業展開の過程において、既存サービスの強化、グローバル展開の加速及び新たな事業領域への展開等を目的として、出資、設備投資、アライアンス、M&A等の投融資を実施する場合があります。投融資については、弁護士・税理士・公認会計士等の外部専門家の助言も得ながら投資リスクを十分に検討し、また、当社グループの財政状態等を総合的に勘案して決定していきますが、予定していた投融資が回収できない場合や、減損損失の対象となるような事象が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、M&A等により、当社グループが従来行っていない新規事業が加わる際には、当該事業固有のリスク要因が加わる可能性があります。

[リスクへの対応策]

投融資の意思決定時には、投資対効果の評価や、財務健全性の評価等を判断要素としています。特に重要なリスクと認識している、プライベート・エクイティ投資に当たっては、「プライベート・エクイティ投資業務マニュアル」を制定し、投資前のデューデリジェンスを必須とし、発見された各リスクの検証、対応策を踏まえた意思決定を実施することにより、当該リスクの低減に努めています。

 

⑤大規模災害や重大な感染症等に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、日本国内のほかベトナムにおいて事業を展開しており、地震・台風等の自然災害の影響を受ける可能性があります。日本及びベトナムにおいて大規模災害が発生し、当社グループが人的及び物的被害を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、発生を予見することが困難ではありますが起こりうるリスクと認識しています。

また、新型コロナウィルス感染症のような大規模な感染症等の発生によって、従業員等の感染等によってサービスの提供が困難になることがあります。さらに、新型コロナウィルス感染症による影響の長期化は、世界的な景気の減速をもたらし、当社事業に大きなリスクを生じさせる可能性があります。具体的には、製造業・航空業・旅行業・飲食業等における消費の落ち込みや金融機関における信用コストの増大等に起因するお客様企業の経営状況の悪化によるIT投資の抑制・先送りや既存案件の規模の縮小、政情不安が誘発されることによる環境変化等により、新規での営業活動の停滞や、IT人材の紹介・派遣ニーズの減少、世界的な景気の減速に伴うお客様企業からの支払猶予の要請等による当社グループのキャッシュ・フローの悪化等のリスクが想定されます。

これらリスクの先行きを正確に見通すのは困難でありますが、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があると認識しています。

 

[リスクへの対応策]

被災時における事業継続については、従業員等の安全の確保と事業の継続を目的として、一定の基準を超える災害発生時には代表取締役を執行責任者とする対策本部を設置し、臨機応変な対応を行います。新型コロナウイルス等の感染症対策としては、当社グループは、グローバルチームでリモートワーク環境下においてもサービス提供できる体制・ノウハウをすでに構築しており、サービス提供への影響の最小化を図っています。

また、ビジネスへの影響に対しては、感染の状況やお客様の状況等を注視しながら事業運営を行い、リスクの顕在化時の資金手当等が可能となるように取り組むことはもちろん、社会環境や顧客ニーズの変化を捉えたサービスに注力し、受注の拡大にも取り組んでいきます。

加えて、これまで培ってきたデジタル・クリエイティブスタジオのノウハウや知見を最大限に活用し、アフターコロナにおけるより良い社会の実現に向けて取り組んでいきます。

 

(3) 重要なリスク

①人材の確保と育成について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの事業を推進していくためには、高度な専門知識、技能及び経験を有する人材の確保及び育成が不可欠です。これは当社グループ内に限らず、プロジェクトの各局面に応じてタイムリーに適切なパートナー・外注先を確保することも必要と考えています。予定していた人員の確保及び育成が計画どおり進まない場合や既存の人材の社外流出等があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、プロジェクトに対するパートナー・外注先の関与割合が高まった場合には、顧客が要求する品質水準に達するまでに、契約時点では予見不能な追加コストが発生する可能性や、要件を満たす人員を選定できない等の理由によりプロジェクトが遅延する可能性があります。これらの場合、プロジェクト業績の採算の低下等により、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループは、中長期的なビジネスを担う人材を、質と量を伴って採用・育成しています。採用においては、事業成長見込みや各部門ニーズを勘案した採用目標数を定義し、テクノロジー、ビジネス、クリエイティブの素養のある人材、即戦力となる経験者採用の強化を推進しています。ストック・オプション等のインセンティブの付与や、人材育成に係るプログラムの強化、人事評価の適正の確保、福利厚生制度の拡充、ワークライフバランスの実現等により、優秀な人材の確保・育成及び流出防止に努めています。

パートナー・外注先についても、定期的な会合等を通じた状況の把握や深いパートナーシップ関係の構築を図ることで、当社のニーズにマッチした対応が可能な優良パートナー・外注先の確保等に努めています。

 

②システム開発プロジェクトに関する採算性等について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループでは、柔軟性とスピードが求められる価値創造型の取り組みを支援するケースが多いため、原則として、準委任型の契約締結をしていますが、一部請負型の契約締結をするケースが存在します。受注の準備段階において、あらかじめ、顧客の要求する仕様・機能その他の顧客のニーズに応えるために必要な延べ作業時間(作業工数)の見積りを出し、その見積りに基づいて契約を行いますが、その開発作業において何らかのトラブル等が発生した場合や、開発したシステムのリリース後に不具合が発生した場合、その解消のために追加作業が必要となり、その追加費用の一部もしくは全部を当社グループが負担することになった場合には、システム開発案件の採算性が悪化する可能性があります。

また、請負契約においては、顧客の検収に基づき売上を計上しています。当社グループは、プロジェクトごとに進捗管理を行い、計画通りに検収が行われるよう努めています。しかし、プロジェクトの進捗状況如何により、顧客の検収時期が当初計画と乖離した場合は、当社グループの各四半期あるいは連結会計年度の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、受注の準備段階から顧客と丁寧なコミュニケーションをとり、プロジェクトの特性を踏まえて、適切な形態での契約締結を行うことを基本としています。また、請負契約かつ一定以上の規模の案件は「高リスク案件」として選定し、顧客への提案内容の実現性確認・契約内容の明確化等のリスクへの早期対応、受注時計画や原価見積りの妥当性チェックと納品までの進捗や課題の状況、リスクとその軽減策を定期的に把握・管理するなど、不採算及び遅延案件の抑制に努めています。

 

③景気動向、業界動向及び顧客動向の変動による影響について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

企業を取り巻く環境や企業経営の効率化などの動きにより、デジタル・クリエイティブスタジオ事業は、関連市場が今後急速に拡大すると予測されるものの、経済情勢の変化に伴い、企業のIT投資、DX投資及び人材に対する投資が抑制される等、事業環境が悪化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループを取り巻く市場の競争環境が激化し、コスト面や技術力等で競合他社に対し、現在の競争優位性を確保することが困難となる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、経営計画等において継続的に環境分析を実施して、社会基盤、法制度、競争環境等の変化によりもたらされる機会やリスクを予見し、我々が提供するサービスを進化させていくことで、市場やお客様ニーズの変化へ柔軟に対応していきます。総合力を更に高め、サービスの高付加価値化等により他社との差別化・市場におけるユニークなポジション取りを図るとともに、稼働率の向上や不採算案件の抑制等を通じて生産性向上にも取り組んでいます。

また、引き続き、大手企業からスタートアップに至るまでの数多くの企業との取引関係の実績を積み上げ、国内外でのブランドを向上し、ノウハウを蓄積することにより、さらなる競争力の向上に努めています。

 

④今後の事業展開について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループでは今後も引き続き、企業価値の継続的な向上を目指し、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するために、当社グループのノウハウを活かした新規事業・サービスの創出及び協業・戦略的提携に積極的に取り組んでいきますが、新規の取り組みが安定して収益を生み出すまでには一定の期間と投資を要することが予想され、全体の利益率を低下させる可能性があります。また、事前に十分な検討をしたにもかかわらず、期待した成果があがらない場合や、将来の事業環境の変化、予想困難なリスクの発生等により、当初の計画どおりに推移せず、投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、新規事業・サービスの創出及び協業・戦略的提携の検討に当たっては、事前に複数のシナリオを作成し、発見された各リスクの検証、対応策を踏まえた意思決定を実施することにより、当該リスクの低減に努めています。一方で、新たな取り組みにおいては一定のリスクを取って進めなければ、機会を逸することにもなりかねないため、主力事業によって経営の安定基盤を作りつつ、リスク許容度を上げながら、バランスの取れた意思決定に努めています。

 

⑤ゲーム領域に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループでは、成長戦略の一環として、エンターテインメント領域の強化を図っています。その中で、ゲーム領域においては、コンテンツの供給会社及びタイトル数が技術革新などを背景に急増していることから競争が激化しており、収益を拡大する難易度は高まっています。また、ユーザーの嗜好の変化によるコンテンツの陳腐化も早いため、技術革新やユーザーの嗜好の変化に適時適切に対応できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、ゲーム領域においては、Apple Inc.が運営するApp Store、Google Inc.が運営するGoogle Play等のプラットフォーム事業者との契約に基づきコンテンツやサービスを提供していますが、契約条件の変更、契約の解除やその他の不測の事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、ゲーム領域は様々な先進技術の活用や浸透が進めやすいエンターテイメント領域の1カテゴリと認識し、この領域で先進技術・ソリューションの実装と運営の経験を積み、将来的にはそれらをBtoBや生活・社会インフラ領域等にも活用していく狙いを持って取り組んでいます。そのため、ゲーム領域単体での大きなリスクテイクは避け、自社の既存タイトルや優良なコンテンツを有する他社とのコラボレーション等を通じて安定的な収益モデル構築に努めています。事前に複数のシナリオを作成し、発見された各リスクの検証、対応策を踏まえた意思決定を実施することにより、当該リスクの低減に努めています。

 

⑥技術革新への対応について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループが属する情報サービス産業では、技術革新のスピードが速く、新言語・新技術によるサービスの導入が加速しています。当社グループのデジタル・クリエイティブスタジオ事業の領域やその周辺で、予想を超える技術革新があり、それらへの対応が遅れた場合、あるいは想定を上回る速度での技術革新や新技術が出現し普及した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。以下に記載の対応をしているため、対応が遅れるというリスクが顕在化する可能性は僅少であると認識しています。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、R&Dの専門組織を設置し、情報技術や生産、開発技術等の調査、研究を不断に進めており、競争力の持続的向上につながるコア技術の選定、研究開発の推進及び自社のデータプラットフォームへの成果の展開、ナレッジの共有化にも力を入れ、技術革新への迅速な対応に努めています。

 

⑦知的財産権について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

近年は様々なデジタルサービスが増加し、当社グループの認識していない第三者の知的財産権が既に成立している可能性や当社グループの事業分野で新たに第三者の知的財産権が成立する可能性があること等から、当社グループによる第三者の知的財産権の侵害が生じる可能性があり、その第三者より、損害賠償請求、使用差止請求及びロイヤリティの支払要求等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する蓋然性は高くはありませんが皆無とは言えません。

[リスクへの対応策]

当社グループは、事業活動において、第三者の特許権、商標権等の知的財産権を侵害しないよう、常に注意を払い、社員への教育・研修を通じて意識向上に努めるとともに、当社グループの知的財産権についても、重要な経営資源としてその保護・活用に努めています。

 

⑧特定人物への依存について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社代表取締役小林泰平は、当社グループの経営戦略の立案・決定や業務上の提携先及び取引先との交渉において中心的な役割を担うほか、実務レベルでの事業運営の推進においても重要な役割を果たしています。同氏の経営判断、行動力及び営業力等に一定程度依存している傾向にあるため、同氏が何らかの理由により業務執行できない事態となった場合、当社グループの今後の事業展開及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する蓋然性は高くはありませんが皆無とは言えません。

[リスクへの対応策]

当社グループは、同氏に対して過度に依存しない経営体制の構築を目指し、マネジメントチーム内での適切な役割分担、権限委譲等を行うとともに、経営人材の育成・強化に努めています。

 

(4) その他

①新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、当社グループの役員、従業員並びに社外協力者に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションによる新株予約権を付与しています。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は2,504,500株となっており、発行済株式総数38,075,500株の6.58%に相当します。

これらの新株予約権が行使された場合、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が一定程度希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材確保のために同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。

更に、潜在株式の行使により取得した株式が市場で売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、適正な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新株予約権の詳細は「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。

 

②配当政策について

当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、将来の事業拡大と財務体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的配当を実施していくことを基本方針としていますが、いまだ内部留保が充実しているとはいえず、創業以来配当を行っていません。

将来的には、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針です。内部留保資金につきましては、事業拡大を目的とした中長期的な事業原資として利用していきます。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。連結財務諸表の作成に際し、資産・負債及び収益・費用の決算数値に影響を与える見積り項目について、過去の実績や状況に応じて合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。

 

(2) 経営成績等の概況及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①経営成績の概況及び経営者の視点による分析・検討内容

当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果により経済活動は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、急激な為替変動や物価の上昇など先行き不透明な状況が続いています。

こうした経営環境の中、当社グループは、顧客の課題に応じて必要なサービスを提供すべく、「デジタル・クリエイティブスタジオ事業」という単一セグメントの中で、顧客と共にデジタルプロダクトを創造していく「クリエイティブ&エンジニアリング」と、デジタルプロダクトの創造に必要な人材を発掘・育成し、顧客に輩出していく「タレントプラットフォーム」という2つのサービスラインを展開し、顧客数及び顧客単価の拡大を重点課題として取り組んでいます。

「クリエイティブ&エンジニアリング」においては、既存顧客からの受注増加と、新規顧客の増加が継続していることにより、当連結会計年度末におけるストック型顧客数は121社、月額平均顧客売上は5,183千円、売上高は10,840百万円(前連結会計年度比16.8%増)となりました。

「タレントプラットフォーム」においては、企業の採用意欲が回復基調にあり、売上高は1,676百万円(前連結会計年度比14.0%増)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は12,516百万円(前連結会計年度比16.5%増)、営業利益は1,775百万円(同96.8%増)、経常利益は2,279百万円(同99.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,569百万円(同90.4%増)となりました。

なお、当社グループは、デジタル・クリエイティブスタジオ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載していません。

 

(連結損益計算書 前年比較分析)

以下のとおり、全体として高い売上高成長を実現。

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②経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

当社グループは、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するための、クリエイティブ&エンジニアリングにおけるストック型顧客数、月額平均顧客売上を重要な経営指標と位置づけています。当該指標については、下表のとおり継続的に増加しており、2023年12月期末におけるストック型顧客数は、リードジェネレーション及びリードナーチャリングの強化により前年同期比10.0%増、月額平均顧客売上は、既存顧客との連携深化及び安定的なサービス提供によるアップセルの成功やエンタープライズ企業との取引増加により、前年同期比で2.4%増となっており、売上高成長率の継続に向けた事業展開も順調に推移しているものと認識しています。

 

クリエイティブ&エンジニアリングにおけるストック型顧客数の推移

(単位:社数)

 

2019年12月期末

2020年12月期末

2021年12月期末

2022年12月期末

2023年12月期末

ストック型顧客数

72

85

95

110

121

 

月額平均顧客売上の推移(注)

(単位:千円)

 

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

2023年12月期

月次平均顧客売上

308

389

475

506

518

 

(注)期中のストック型売上÷期中の各月におけるストック型顧客数の合計

 

③財政状態の概況及び経営者の視点による分析・検討内容

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は、10,047百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,127百万円増加しました。これは主に、「クリエイティブ&エンジニアリング」売上の増加に伴う、現金及び預金の増加1,682百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加256百万円によるものです。

固定資産は1,811百万円となり、前連結会計年度末に比べ56百万円増加しました。これは主に、長期貸付金46百万円、繰延税金資産40百万円増加したことによるものです。

この結果、当連結会計年度末における総資産は11,859百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,184百万円増加しました。

 

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は2,035百万円となり、前連結会計年度末に比べ429百万円増加しました。

これは主に決算にあたり確定した未払法人税等231百万円の増加、未払消費税等151百万円の増加、賞与引当金105百万円の増加等によるものです。

固定負債は324百万円となり、前連結会計年度末に比べ7百万円減少しました。これは主に、長期借入金の返済31百万円の減少等によるものです。

この結果、当連結会計年度末における総負債は2,359百万円となり、前連結会計年度末に比べ421百万円増加し

ました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は9,499百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,762百万円増加しました。

これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加1,569百万円によるものです。

 

(連結貸借対照表 前年比較分析)

以下のとおり、利益計上により資産が増加。

自己資本比率は引き続き高水準で財務基盤の安定性を確保。

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④キャッシュ・フローの概況及び経営者の視点による分析・検討内容

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,346百万円増加し、4,633百万円

となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは1,883百万円の収入(前連結会計年度は807百万円の収入)となりまし

た。これは、税金等調整前当期純利益の計上2,107百万円や業務用PC及び事務所内装費用等にかかる減価償却費、のれん償却額及び引当金の増加額などの非資金費用436百万円の増加要因があった一方で、売上債権256百万円の増加、その他の資産516百万円の増加等の減少要因があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは326百万円の支出(前連結会計年度は1,287百万円の支出)となりました。これは、定期預金の預入による支出5,902百万円や投資有価証券の取得による支出51百万円等の減少要因があった一方で、定期預金の払戻による収入5,725百万円等の増加要因があったこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは224百万円の支出(前連結会計年度は62百万円の支出)となりました。こ

れは、短期借入金と長期借入金の返済によるものです。

 

 

(連結キャッシュ・フロー計算書 前年比較分析)

以下のとおり、主に税金等調整前当期純利益の増加により、現金及び現金同等物の期末残高が増加。

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(3) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループにおける主な資金需要は、顧客獲得、受注拡大のための人件費や広告宣伝費、人員獲得のための採用費です。必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としています。

資本政策については、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としています。また、内部留保については、将来の成長のための事業展開と経営体質の強化に優先的に充当していきます。既存事業の成長に加え、今後の事業展開の過程において、出資、アライアンス、M&A等の投融資の可能性も積極的に追求します。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしていません。

 

b.受注実績

当社グループの提供するサービスは、受注から販売までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ一致するため、記載を省略しています。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。なお当社グループは、デジタル・クリエイティブスタジオ事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしていません。

事業の名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

デジタル・クリエイティブスタジオ事業

12,516

116.5

 

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営上の重要指標としているクリエイティブ&エンジニアリングにおけるストック型顧客数、月額平均顧客売上は、今後も成長させていく必要があると認識しており、マーケティング強化と既存顧客との連携深化及び安定的なサービス提供の施策を引き続き行っていきます。

また、その他で当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり様々な要因があると認識しています。そのため、当社グループでは、市場動向に留意しつつ、内部体制の強化、情報管理体制の強化、リスク管理体制の強化等により、当社グループの経営成績に重要な影響を与えるリスクを低減する対策を引き続き行っていきます。

 

(6) 経営者の問題意識と今後の方針に関して

当社グループは、「本気で課題に挑む人たちと、事業を通して社会にポジティブなアップデートを仕掛けていくこと」をミッションとし、「誰もが価値創造に夢中になれる世界」というビジョンを掲げ、革新的なビジネスや、新しいイノベーターの「種」を、私たちSun*の光で照らし、それらを育む最強のインフラになることを目指しています。

当社グループがこのビジョンの下、長期的な競争力を維持し持続的な成長を図るためには、「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、最善の経営方針を立案していくことが必要であると認識しています。

既存のサービスラインについては、重要指標の向上施策を継続しつつ、企業価値の継続的な向上を目指し、当社グループのノウハウを活かした収益力の高いサービスの創出及び協業・戦略的提携に積極的に取り組んでいきます。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、最新のITを研究し、様々な顧客ニーズに迅速に応えるとともに、既存製品・サービスの改善改良及び新規サービスを開発するため、テーマごとにR&Dのプロジェクトチームを組成し、各分野にわたって研究開発に取り組んでいます。

当連結会計年度において、当社グループ全体の研究開発活動の金額は、227百万円(前連結会計年度比23.1%減)となっており、主要研究開発テーマは、次のとおりです。

① DevOpsの自動化・高速化に関する研究開発

② 画像処理、音声言語処理、レコメンド関連についてのAIモジュールの研究開発

③ ブロックチェーンの社会実装に関する研究開発

④ プログラミング教育コンテンツ及びシステムに関する研究開発

⑤ サイバーセキュリティーに関する研究開発

⑥ ライブ配信システムに関する研究開発

当社グループにおける研究開発活動は、グループ内の人員による通常の開発業務の中で行われているため、研究開発費という勘定科目は設定していませんが、上記研究開発テーマのプロジェクトチームで発生した費用(労務費、外注費及びその他経費)を集計して当社グループ全体の研究開発活動の金額としています。

各テーマの研究開発の経過は四半期ごとにグループ内で報告され、主に社内プロジェクト等において試験的に活用・応用し、その結果を研究開発にフィードバックするというサイクルを回しており、上記の6テーマについては引き続き、研究開発を進めている状況です。

なお、当社グループは、デジタル・クリエイティブスタジオ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。