第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

ミッション   :働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。

サービスポリシー:「寄り添うように」 お客さまのこころの声を感じ、そのご要望に丁寧に応えるサービス

「慈しむように」 愛情と敬意に満ち、優しく包み込むようなサービス

「信頼に足るように」 他に換えることのできない確かなサービス

「妥協しないように」 果てしなき質の向上に挑み続けるサービス

 

 当社グループは上記のミッションの下、30年以上前から働く女性の支援を続けてまいりました。

昨今、国連が定める「持続可能な開発目標(SDGs)」に代表されるように、社会課題の解決が企業にも求められる時代となり、当社グループの経営方針及び提供するサービスが社会において重要な価値をもたらすものである事を改めて認識しております。

 そこで、当社グループでは、2020年11月に株式会社日本総合研究所からセカンドパーティ・オピニオンを取得し、当社グループの社会課題解決に向けた対応状況を第三者の目から客観的に評価頂くと共に、今後の(経済的価値のみならず社会的価値を含めた)企業価値向上の契機としております。

 

 また、SDGsは当社のミッションにも通ずる目標であると考えており、当社グループの提供するサービスにより、以下のそれぞれの目標達成に貢献してまいります。

目標

ターゲット

左記ターゲットに貢献する

当社グループのサービス・施策

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 5.5「政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する」

・働く女性を支援することにより、女性の社会参画を増大

・子育て経験をキャリアとして評価し、女性とシニアをベビーシッターやケアスタッフとして活用。その他、年齢・性別・国籍・ハンディキャップに関わらず多様な就業の場を提供

・自社においても、全社員の91.4%、管理職の78.6%、取締役の30.0%を女性が占める(2020年10月末時点)など、女性活躍を自ら実践

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 4.2「すべての女児及び男児が、質の高い乳幼児の発達支援、ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする」

・「保育」から「エデュケア」へ保育理論、非認知能力の向上ノウハウを深化・体系化

・将来グローバル社会で生きる子どもたちのために「0歳からのエデュケア」を実践

・「最高水準」のサービス提供に向け、乳幼児教育において、ハーバード大学、スタンフォード大学、ノーランドカレッジ、東京大学、お茶の水女子大学など国内外の教育機関やその研究者との共同研究や研修を実施し、世界最先端の教育科学を保育に取入れる

・国や自治体からの委託を受け、保育士再就職支援事業(厚生労働省)や、サービス産業生産性向上調査事業(経済産業省)、子育て支援方策に関する調査研究(文部科学省)等の調査やコンサルティング、研修事業(年間1,000回以上、50,000人以上参加(2020年12月迄の開催予定を含む))を実施

 

 

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 8.1「各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる」

 

 8.5「2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する」

 

・保育/学童施設322ヵ所の運営、ベビーシッターサービス提供を通じ女性の社会参画を支援

・お茶の水女子大学大学院に「ポピンズ保育マネジメント講座」を開講(2021年4月開講予定)し、保育士の地位向上をはかる

・地方採用も積極化し、地方から三大都市圏(東京都・大阪・名古屋)に転居して働く人に向けて借上げ社宅などのサポート施策を準備(2020年9月末現在243件)

・当社グループの同窓会「ポピンズアルムナイ」を開催し、元社員の職場復帰をサポート(2020年に保育士8名)復職

・保育士の処遇改善(大卒保育士の初任給業界最高水準)や福利厚生(自社サービスの割引利用他)の充実

・残業時間の軽減(目標月平均7時間)

・人材育成を重要な経営課題と捉え様々な教育機会を提供(海外研修に自社社員派遣含めのべ約500名参加(英ノーランドカレッジ海外研修(1994年~)、米スタンフォード海外研修(2006年~)、米ハーバード海外研修(2007年~)の累計参加者数))

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、事業の収益性を評価し、グループ全体の経済価値向上に寄与することから、経営指標として売上高と営業利益率を重視して経営しております。

 

(3)経営環境

 日本では、少子高齢化に伴い労働者不足の加速化が予想されるとともに、産業構造の変化により多様な人材を活用していくことが必要不可欠となったことから、女性の活躍促進が一層求められております。

 安倍政権が「女性が輝く社会」政策を打ち出した2013年時点で2,411万人だった女性の雇用者数は、以降拡大を続け、2019年には2,720万人まで309万人も増加しております。(注1)

 こうしたなか、我が国は成長戦略の1つとして女性が輝く日本を念頭に「待機児童の解消」「職場復帰・再就職の支援」「介護離職ゼロ」に向けた対策が進められていることもあり、当社グループの展開する事業領域の各市場は以下のように拡大していくものと認識しております。

 

①子育て支援

ⅰ)チャイルドケアサービス事業(ベビーシッター)

 欧米等の海外ではベビーシッターは一般的なサービスであります。日本においても、待機児童対策として保育施設の整備が急ピッチで進められる一方、都市部における保育施設の不足が払拭されないため、ベビーシッターサービスへの需要が増え続けております。また、個別保育の長所を活かした様々なサービスとともに、保育所や学童施設では対応できない送迎や病児・病後児保育、妊娠中の産褥支援などの個別ニーズへの対応が可能であることから、子育て市場の成長とともにベビーシッター市場は堅実に伸長しております。矢野経済研究所によれば、ベビーシッター市場の年間売上高は、2013年度の257億円から2018年度は294億円へと拡大しております(注2)。

 当社グループのナニーサービスの会員数も過去10年で約5倍に増えておりますが、海外事情の浸透やベビーシッターの認知度の向上、マッチングサービスの発展等による使い勝手の向上等により、今後日本におけるベビーシッター市場の拡大が期待されると考えております。

 また、当社グループが2020年10月末現在、東京都23区のうち8区において導入済である地域型保育給付による「居宅訪問型保育事業」も今後は採用数や導入自治体の拡大が見込まれると認識しております。

 

 

ⅱ)エデュケア事業(保育所)

 待機児童対策のため保育所の新規開設が拡大しており、保育所定員並びに保育所利用者数ともに2013年時点でそれぞれ229万人、222万人から2018年時点でそれぞれ280万人、261万人と大幅に伸びております(注3)。一方で、保育所を整備しても待機児童数は2万人前後と減っておりませんが、これは、女性の就労率の上昇が、それを上回るスピードとなっているためであると考えております。

 また、保育施設等の市場規模は2010年には3兆円でありましたが、政府が掲げる25歳~44歳の女性就業率73%が達成されれば2020年に4.9兆円まで拡大するとみられており(注4)、2017年時点で当該就業率はすでに74.3%と達成されております。

 

 待機児童解消と職場復帰支援に向けては、2018年6月に政府により決定された「女性活躍加速のための重点方針2018」により、女性活躍の場の拡大をさらに推進していくという方針のもと、保育の受け皿確保のため、2020年度末までに32万人分の保育の受け皿整備やその他待機児童の解消に向けた施策が行われる等、女性の就労を後押しする環境整備に強い関心が払われております。野村総合研究所の推計では、2022年度末女性の就業率80%実現のためには360万人分の保育の受け皿が必要とされ、2021年末までに「子育て安心プラン」で予定されている整備量32万人分に加えて、あと27.9万人分の保育の受け皿が必要とされています(注5)。

 さらに2019年10月から開始された3歳児以上幼児教育無償化施策によって、今後ますますの保育ニーズの高まりが予想されるものと考えております。

 

 保育の受け皿不足が解消した後もしばらくは保育需要が同程度続くとの意見はありますが、少子化の影響を受け、いずれは減少していくことになると考えております。仮に2025年~2028年あたりで保育需要の拡大がピークアウトした場合、その後は競合間での競争の時代に突入することになりますが、当社グループは経営理念でも掲げるように、創業からサービスのクオリティを常に意識し、研修・教育により日々研鑽を重ねてきたことやフルラインナップで働く女性を支えるサービスを提供している事業安定性から、淘汰の時代は好機であると捉えております。

 

②シルバーケアサービス事業(高齢者在宅ケア)

 国内介護市場規模は、2014年の8.6兆円から2025年には18.7兆円程度まで拡大すると見込まれており、財政問題を背景に社会保障費を少しでも抑えるため、在宅サービスの充実が求められていることから、介護保険と介護保険外を含む在宅介護が約6兆円と一番大きく伸びると予測されております(注6)。

 また、総務省「就業構造基本調査」によれば、働きながら介護をしている人の数は約350万人にのぼり、企業で働く従業員の約10%が介護をしていることになります(注7)。一方、厚生労働省「雇用動向調査」によれば、介護を理由に離職している人は年間約10万人とされております。2025年には総人口に65歳以上が占める割合である高齢化率は30%を超え、現役世代の介護問題がさらに深刻化することで、経営パフォーマンスに大きな影響が出ると予想されており、介護サービスの拡充は日本経済においても喫緊の課題であると言えます。なかでも社会保障費の伸びを抑制する潮流のなかで、当社グループが行う介護保険外の在宅介護や介護予防となるアクティブシニア向けの生活支援への期待は一層高まっていくものと考えられます(注8)。

 

(注)1 総務省「労働力調査2019年速報」

   2 矢野経済研究所「ベビー関連市場マーケティング年鑑2019年版」

   3 厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(2018年4月1日)」

   4 日本政策投資銀行産業調査部「少子化の現状と子育て支援サービス市場の拡大(2011年9月26日))」

   5 野村総合研究所「「NRIメディアフォーラム資料(2018年6月26日)」」

   6 デロイトトーマツフィナンシャルアドバイザリー「ライフサイエンス・ヘルスケア 第5回 国内介護市場の動向について(2017年1月25日)」

   7 総務省「就業構造基本調査(2018年)」

   8 厚生労働省「雇用動向調査(2017年)」

 

 なお、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための政府による緊急事態宣言を受け、自治体からの要請により一部の施設(保育所・学童・児童館)が臨時休園・休室・休館や登園自粛となったほか、ナニーサービスやVIPケアサービスの利用自粛による売上減がありましたが、新型コロナウイルス感染症が当社グループの経営環境に与える影響は、現時点においては限定的である一方、先行きは不透明であり、継続して注意してまいります。

 

 

(4)経営戦略

 当社グループでは、ミッションの貫徹、及び今後の成長を目指して以下の3点を経営戦略として事業を進めております。

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①フルラインでの働く女性のサポート(サービスラインナップの拡充)

 当社グループは、ナニーサービスにより事業を開始して以降、事業所内託児サービス、イベント託児、高齢者在宅ケア、保育・学童施設、デイケア施設、外国人家事支援と子育て・介護・家事支援に関する様々なサービスで働く女性を支援してまいりました。今後も以下のようにサービスラインナップの拡充を図り、フルラインで働く女性をサポートするサービスを提供してまいります。

 

≪チャイルドケアサービス事業(ナニーサービス、ベビーシッターサービス)≫

 育児コンサルタントが企業や保育園を訪問し、保活・両立支援・育児相談のトータルサポートサービスで働く女性とご家族様の心に寄り添いながら専門的な知識と豊富な経験で個別にサポートいたします。

 

≪シルバーケアサービス事業(高齢者在宅ケア)≫

 ナースケアサービスにより、医療ケアを必要とするお客様が医療保険・介護保険のルールから制限を受けることなく、住み慣れたご自宅でご自身らしく生活していただけるよう、看護資格を有するポピンズナースが主治医やホームドクターと連携しながら、お客様にオーダーメイドの看護サービスを提供しております。

 また、30年以上に渡り、育児・介護の分野で働く女性を支援し、2020年10月末現在、600社以上の企業と法人契約を結んでいる経験・ノウハウを活かし、法人向けに介護コンサルティングサービスを提供いたします。

 

≪エデュケア事業(保育・学童施設運営)≫

 利用者のさらなる利便性と満足度の向上のため、夕食サービスなどのポピンズプラスや商品開発力の強化を推進します。また、当社グループの保育施設で働く保育士等にグループ会社が運営するベビーシッターへの登録を促し、保育士等が保育施設を退勤した後もベビーシッターとして保育施設に通う子どもの送迎や保護者が不在時の自宅での世話まで行うベビーシッター付保育園を展開してまいります。保護者はなじみの保育士等に、自宅と施設間の送迎や、帰宅が遅くなる際の子どもの世話などを依頼でき、スタッフもベビーシッターを経験することで、保育施設での保育の質向上につなげられます。

 

②クオリティ(最高水準のエデュケアと介護サービスの品質維持向上)

 当社グループは、ミッションとして「働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。」を掲げており、常に最高水準のサービスをお客様に提供することを意識し、これまで様々な施策を実行してまいりました。その結果として、あらゆる場面で評価を頂いてまいりました。

 当社グループの具体的な品質維持向上施策は以下のとおりであります。

・1999年に育児・介護サービス業界では全国初となる国際品質規格ISO9001(品質マネジメントシステム)の認証を取得いたしました。その過程で品質目標設定・実行・評価・改善というPDCAサイクルによる品質マネジメント体制が整備され、顧客満足度の視点からサービス品質の向上を実現する事に繋がりました。その結果、2019年度に実施した当社グループの保育施設のご利用者による満足度アンケートでは、全施設平均で98.0%の方から満足との評価をいただき、また全施設のうち7割において全員満足と回答されました。

・当社グループでは、お客様の緊急性・利便性・安心感にお応えするナニーサービスを提供するため以下4点の実現を心掛けております

A)  ICT(PC/スマホ)を活用した24時間365日対応の実現

B)  当日オーダー100%に応える最適なナニーとのマッチング

C)  コーディネーターによる入会訪問

D)  お子様が病気の時でも対応

・運営施設数が増加する状況でも、優秀な人材の採用や育成の強化、及び、諸施策を通じた長期雇用の促進により、保育士、ベビーシッター、介護スタッフ、家事支援スタッフの質の維持・向上を図っております。具体的な施策としては、ジョブディスクリプションによる各職位における職務内容や人事評価制度の精緻化、処遇改善等を行っております。

・2019年10月の幼児教育無償化において、ベビーシッターも対象となりますが、その質の向上は今後の課題となっております。国も資格や一定の研修受講などの基準をつくり、受講状況などを確認できるシステムを開発するとしておりますが、当社グループとしても30年間の経験を活かし、ベビーシッターに必要な知識や技能の見える化を実現するため「ポピンズナニースクール(教育ベビーシッター養成講座)」と、その修了者を認定する、「ポピンズナニー検定」を2019年4月よりスタートいたしました。

 

 上記諸施策の結果、2016年6月には、約30年、働く女性の支援のために高品質のナニーサービスを提供し続けてきた功績が認められ、第一回日本サービス大賞(注9)厚生労働大臣賞を受賞いたしました。

 また、スマートシッター株式会社(現 株式会社ポピンズシッター)は、2017年12月、日経DUAL「マッチング型ベビーシッターサービス」ランキングにおいて「質・信頼性」や「料金」等が評価され、1位に選ばれました。2018年にはキッズデザイン賞(子ども達を産み育てやすいデザイン部門)を受賞しました。

 さらに2021年4月からは、お茶の水女子大学の大学院に国内初の産学連携による保育マネジメント講座を開設し、主に現場で働く保育士が経営学を含む専門的な理論や知識なども学べるようにして、女性の社会進出に伴い、需要が高まるとともに保護者からの求めが多様化している保育サービスの質を底上げしてまいります。

 これからも、当社グループの最高水準のサービス品質をさらに向上させてまいります。

 

(注)9 日本サービス大賞とは、日本生産性本部が主催し、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省が後援する「革新的な優れたサービス」を表彰する日本初の制度です。最優秀賞である内閣総理大臣賞をはじめ、サービスを管轄する各省の大臣賞、地方創生大臣賞などの各賞により、日本国内の”きらり”と光る優れたサービスを幅広く表彰します。ナニーサービスの授賞理由としては、「30年近く、働く女性の支援のため高品質のシッターサービスを提供し続けており、女性の活躍に大きく貢献するサービス。ナニー(教育ベビーシッター)の採用、教育、動機づけ、顧客との関係づくりなど、高品質サービスをつくりとどける工夫に加え、ICTを利活用した24時間365日の受付、最適なシッターとのマッチングなど利用者の利便性向上を追求している。顧客の状況に応じてサービスを提案するなど、個別ニーズにも応える高信頼のサービスである。」とされています。

 

③利益成長

ⅰ)事業領域の拡大(新規事業への取り組み)

 当社グループは、子育て支援と介護支援という働く女性にとり必要不可欠なサービスを提供してきたことにより、創業から継続して売上高成長を実現し、特に、直近5年度はCAGR(年平均成長率)19%成長を果たしてまいりました。

 

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 当社グループは、これまで働く女性をフルラインでサポートするため、スマートシッター株式会社(現 株式会社ポピンズシッター)の買収によるベビーシッターとお客様との直接オンラインマッチングサービスの導入や、株式会社ウィッシュの買収による学童事業・人材派遣業への進出等、事業の拡大を図ってまいりました。

 

 また、保育業界の人手不足問題を解決すべく、株式会社保育士GOを設立し、保育士を中心とする人材紹介事業を開始しておりましたが、今後は人材紹介事業と人材派遣事業によるトータルな人材サービスを提供いたします。

 加えて、「ポピンズプラス」というこれまでより付加価値の高いプログラムも2020年7月より提供開始致しました。具体的には、元オリンピック選手やダンサー等のアスリートによる運動・ダンスプログラムやネイティブによる英語レッスン、そして、受験相談等のサービスをオンラインも活用して提供しております。

 

ⅱ)デジタルトランスフォーメーション(注10)(ICT、AIの活用による生産性向上とビジネスの拡大)

 当社グループではQRコードによる入退室管理、園と保護者をつなぐ連絡帳の電子化といったICTによる保育現場の生産性向上の取り組みも2015年からスタートしております。

 2019年3月には、ベビーシッターをWebから予約できるオンライン型派遣サービス「ポピンズシステム」のアプリ対応版「ポピンズアプリ」を自社開発いたしました。「ポピンズアプリ」は当社グループが提供するサービス全体の窓口となる機能を有しており、保育・育児・介護サービスをワンストップサービスでご利用いただけます。さらに、豊富な顧客データベースを活用することにより、育児や介護をしながら働く女性のために、ライフステージにより変化するご利用ニーズに応じたご提案やマーケティングを行うことでシナジー効果を創出しております。

 将来的には自社システムを拡張していくほか、さまざまな情報を集約し、データ分析による予測サービスなどを提供していくなど、デジタルトランスフォーメーションによる生産性向上に取り組む方針であり、この活動を全社的かつ戦略的に推進し、ビジネス拡大に繋げる目的で2020年1月にはデジタルトランスフォーメーション部(DX部)を新設致しました。

 同部の推進により、以前から準備を進めていたオンライン保育のスタートが、新型コロナウイルスの影響で休園や登園自粛となった施設の利用者からのニーズにより早まり、2020年3月よりオンラインによる読み聞かせやダンス等の通常の保育サービスだけでなく、英会話や運動クラス等の有料プログラムも随時提供を開始しており、オンライン保育とリアルな保育の組み合わせによるハイブリッド型保育をいち早く導入し、いつでもどこでもポピンズのエデュケアを提供することが可能です。また、保護者向けオンライン育児相談により保護者に寄り添うサービスも提供しております。これらに加えて、今後、新技術にも積極的に投資してまいります。まずIoTの活用策として、保育施設において午睡チェックシステムや検温システムを導入して業務効率化を推進します。

 さらにデジタルトランスフォーメーションへの取り組みとして、自動マッチングAIの開発により、ベビーシッターのマッチング精度を向上させるとともに、音声自動予約による生産性向上を実現します。その次のステップとしては、情報共有AIの導入により、AIが情報解析のうえコーディネーターや保育士に当社のエデュケアノウハウに基づく推薦案を提示することで専門的かつ臨機応変な対応を可能とし、近い将来には、お客様とコンシェルジュの双方向のコミュニケーションを支援するAIコンシェルジェの開発を目指すことで、お客様の期待を超えるサービスを提供してまいります。

 

(注)10 “デジタルトランスフォーメーション”は2018年経済産業省で以下のように定義されております。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

 

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 保育事業や介護事業に対する国や社会の関心が高まる中で、当社グループとしてさらなる事業拡大に向けた重要課題として以下の点に取り組んでまいります。

 

①人材の確保

i)子育て支援事業(チャイルドケアサービス事業(ナニーサービス、ベビーシッターサービス)・エデュケア事業)

 子育て支援業界では、昨今の保育施設の増加により人材不足状態が続いております。しかしながら、子育て支援業界のパイオニアを自負する当社グループとしての地位の維持のためには、高品質を維持するのは絶対条件であり、また子育て支援事業を引き続き拡大させるためには、優秀な人材の確保が必要であります。

 

 チャイルドケアサービス事業(ナニーサービス)においては、子育て経験をキャリアとして評価し、女性とシニアの活用に積極的に取り組んでおり、2020年10月現在、約3,500名が当社のナニー基礎研修を受講し、当社グループのナニー(教育ベビーシッター)として登録しております。また、直近1年間で約500名の新たなナニーを養成しております。

 

 エデュケア事業においては運営する保育施設数の増加に伴い、保育士やスタッフの確保が急務となるため、新卒採用及び中途採用の強化に取り組んでおります。

 2019年度は年間を通して300人以上の保育スタッフを確保いたしました。保育士確保は年々厳しくなっておりますが、就職フェアの出展などを通じて就職希望者との接点を増やしているほか、近年は地方採用も積極化しており、地方から首都圏に上京して働く人に向けて借上げ社宅などのサポート施策を準備する等、様々な方法を駆使し、保育施設運営上の必要数を充足しております。2018年12月には当社グループの同窓会「ポピンズアルムナイ」を初めて開催、保育士をはじめとする元社員を招待し、約30人が復帰いたしました。

 保育士の処遇改善については、2013年度の「安心こども基金」を活用した「保育士等処遇改善」以降、国からの補助金は年々増えており、2017年度には「保育士等処遇改善Ⅱ」によりキャリアアップによる給与改善の財源が確保されてきております。しかしながら、一人ひとりに配布される金額としてはそれほどインパクトがある額にはなっておらず、当社グループでは独自での処遇改善をスタート、2019年4月入社の新入社員の初任給を26万円(大学卒、東京・神奈川・埼玉・千葉の認可・認証保育園)に引き上げ、それに合わせ、現状の保育士の処遇改善にも取り組んでおります。

 福利厚生の充実については、育児休暇明けに職場復帰しやすい環境を整えているほか、当社を退職した保育士の再就職も受け入れるなど、門戸を広げており、この再就職制度を利用し2020年に8名の保育士が復職しております

 

ⅱ)シルバーケアサービス事業(高齢者在宅ケア)

 介護サービス業界ではホームヘルパー2級保有者など有資格者に対する求人需要が高く、今後高齢者在宅ケ事業が拡張される中で、人材の確保が何よりも重要になります。なかでもVIPケアサービスはオーダーメイドの在宅ケアサービスであるため、介護だけではなく調理、茶道・華道等、幅広いサービスを提供していくため、そのサービスを提供するにふさわしい、素養のある人材の確保に力を入れております。

 

②人材の育成

 人材サービス業である当社グループは、人材こそが宝であり、お客様に最高水準のサービスを約束するオンリーワン企業となる事を目指して、人材育成が重要な経営課題であると捉えております。そのため、下記のような様々な人材育成システムを通じて教育の機会を提供しております。

 社員には、社内講師や専門家による階層別研修、専門研修、任意研修、e-learning研修のほか、ポピンズ蓼科研修センターでの合宿研修や海外研修を通じ、常に質の高いサービスを提供するために、人材への継続的な教育投資を実施しております。また、ナニー及びベビーシッターやケアスタッフ向けには採用時及び更新時の研修を定期的に実施しております。

 さらに、ナニー及びベビーシッター向けにナニー検定やナニースクールによるキャリア開発支援を行うとともに、ケアスタッフ向けに高齢者の健康に配慮しつつも満足していただける食事のレシピについての講習会を定期開催するなど、その人材の養成とサービスレベルの強化に努めております。

 

 

③コンプライアンスへの取組み

 児童福祉法や介護保険法及び労働者派遣法や職業安定法をはじめとする各種関連法令の遵守を厳格に実施しております。また、お客様の個人情報についても、法律に則った取扱いを徹底しております。これらコンプライアンスへの取組みとして、内部監査、法務、財務経理、人事等、それぞれの分野で高い専門性や豊富な経験を有している人材を採用することに加え、社内規程の拡充整備を進め、社員研修等により日常的にコンプライアンスへの意識を高めることにより、さらなる内部管理体制の強化を図ると共に、コンプライアンスの徹底に努めてまいります。

 

④安定的な資金調達の確保と財務基盤の強化

 引き続き保育施設の開設を進めるとともに、ICTやAIシステムへの投資や新規事業及びM&Aによる事業拡大を図っていくためには、必要な資金を安定的に調達することが重要となります。当社グループでは、複数の金融機関と親密な取引関係を維持し、資金調達の安定性と財務基盤の安全性を高めるよう努めております。

 

⑤グローバル対応力の強化

 アジアには日本の企業が数多く進出しており、そこに事業所内保育所のニーズがあると考えております。

 現在、ハワイで託児施設を一か所運営しておりますが、今後は海外の事業者との戦略的提携によるグローバル展開や、海外での保育施設運営を目指してまいります。

 

⑥多様な人材の活用(外国人材、アクティブシニア等)

 少子高齢化による人材不足の解消は、女性とシニア、そして外国人材にいかに活躍いただくかにかかっております。

 当社グループには、70歳を越えて働く人材が保育園で現在81名、ナニーでは2020年10月現在90名おり、現役ナニーとして80歳の女性が活躍しております。当社グループの事業分野においては、年齢、性別を問わず多様な人材が持てる技能・経験・語学を活かして貢献いただけると考えております。

 

⑦新規事業への取り組み

 当社グループでは、有望な新規事業として、全国の保育事業者等に向けた経営支援コンサルティング業務の展開を視野に入れております。認可保育所だけでなく様々な形態の施設の運営実績が多くノウハウがあるのは当社グループならではの強みであり、このような強みを活かせるコンサルティング事業を今後拡大してまいります。

 今後保育所は、自治体、企業、利用者から選ばれる時代になっていき、いずれは供給過多になると見ており、そのような中、「選ばれる」保育サービスに成長するために、既存の保育施設運営事業やベビーシッター事業に加え、こうした新しい事業も積極的に広げていきたいと考えております。

 

⑧SDGsの当社グループ経営への更なる取り入れ

 「第一部 証券情報 第1 募集要項 5 新規発行による手取金の使途 (2) 手取金の使途」では、今回の調達資金の使途に関して、「第二部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 会社の経営の基本方針」では、当社グループのこれまでの取組みによるSDGsへの貢献について記載しておりますが、今回のセカンドパーティ・オピニオンによる第三者評価を契機として、今後は、当社グループがおかれている経営環境や当社グループの経営戦略を踏まえ、社会課題対応に向けた取組み状況の開示や、目指すべき目標等の当社グループの経営目標への組入れ等により、SDGsを当社グループの経営に取り込んでいきたいと考えております。

 具体的には、待機児童の更なる解消やベビーシッターサービスの浸透による保育の受け皿の確保、介護離職回避やアクティブシニアの活用、DXの活用による保育士等の労働環境の更なる改善等、経営戦略として達成すべき事項をSDGsの観点を交えて設定してまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業に関するリスク

①少子化や待機児童減少について

 チャイルドケアサービス事業(ナニーサービス、ベビーシッターサービス)においては、女性の社会進出やベビーシッター利用への社会的認知度の増大により、矢野経済研究所「ベビー関連市場マーケティング年鑑2019年版」によれば、ベビーシッター市場の年間売上高は、2013年度の257億円から2018年度は294億円へと拡大しております。当社グループでは、顧客ニーズの多様化や個別化に対応したチャイルドケアサービス事業の展開を行っており、さらなる事業拡大に努めてまいりますが、少子化の進行により、将来、待機児童が減少した場合には、ベビーシッターのニーズも減少する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 エデュケア事業においては、待機児童解消に向けた取組みを目的とした「待機児童解消加速化プラン」が2013年4月に安倍内閣により公表されて以降、新規参入を含む多数の事業者が保育所を開設して2017年度末までの5年間で約53.5万人分の保育の受け皿が拡大しております。また、2017年6月に「子育て安心プラン」が公表されるなど政府の対応が一段と積極化しております。こうした待機児童解消に向けた施策により、2018年4月1日時点での全国の待機児童数は19,895人(厚生労働省「「保育所等関連状況取りまとめ(2018年4月1日)」」と4年ぶりに減少しました。しかし、2019年10月から保育の無償化が開始されることで保育所への入所希望者が増える可能性があり、当面の待機児童数は高水準が続く見込みです。一方で、依然として少子化が進行しており、将来的には想定した園児数の獲得が困難となる可能性があります。エデュケア事業の収益は主に園児や児童の人数に応じて増減するため、想定した園児数等の獲得ができない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 人材紹介・派遣事業においては、将来待機児童が減少した場合、保育士等の紹介や派遣需要が減少する可能性があり、その場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

②国や自治体による方針の改訂について

 当社グループは、2020年10月現在8つの自治体から居宅訪問型保育事業(※)の認可を受け、ナニーサービスを提供しております。今後ベビーシッター事業に関連する国や自治体の方針が変わり、居宅訪問型保育事業が縮小された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(※)子ども・子育て支援法における地域型保育事業の一つとして位置づけられており、主に医療的ケアが必要な幼児の居宅において、保育者による1対1の保育を行うものあり、待機児童の多い都市部の保育では、この仕組みを利用した、待機児童対策が行われております。

 

 当社グループのシルバーケアサービス(高齢者在宅ケア)事業のうち介護保険の対象となる訪問介護については、「介護保険法」の規制の対象となります。将来、介護保険法が改正され、介護保険適用対象になるサービス受給者ないし受給額が減少した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 当社グループは、家事支援サービスの一形態として“世界で一番ビジネスをしやすい環境”を作ることを目的に、地域や分野を限定することで、大胆な規制・制度の緩和や税制面の優遇を行う規制改革制度である国家戦略特区における地域限定のフィリピン人家事支援サービスを提供しております。フィリピン人家事支援サービスにつきましては、国が推進する国家戦略特区の政策のもと展開しているため、今後の政策動向等により、当社グループのサービスの展開や経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 当社グループのエデュケア事業のうち認可保育所及び認証保育所については、国あるいは地方自治体の許認可が必要であり、待機児童の動向等を考慮して、自治体ごとに年度の新設保育所の数が決定されます。したがって、国や自治体の政策変更により新規保育所募集の数が減少した場合には、当社グループの保育施設開設計画に影響を及ぼす可能性があります。また、既存の認可保育所及び認証保育所についても、将来、補助金の減額が行われることも考えられます。したがって、かかる政策変更が行われた場合には、当社グループにおける子育て支援事業の成長が止まり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 研修事業において現在、当社グループは、保育士の待遇向上と専門性の強化に向けて厚生労働省が定めた保育士等キャリアアップ研修や子育て支援員研修の国や自治体の研修委託を多数受けておりますが、今後待機児童問題が解消し、保育士不足の問題が一巡して国や自治体の方針が転換された場合、研修受託が減少し、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③新規保育施設の開設施策及び賃貸借契約について

 保育施設に適した物件の確保は、立地条件、環境、物件の質、広さ等の条件を満たすものでなければならず、物件の選定が他の業種と比較して困難であることから、絶対的な物件数が少ない状況にあります。また、各自治体や保育施設の運営を当社グループへ委託する法人顧客への提案は、新規開設に適した物件を確保しておくことが必要不可欠であり、物件確保は新規保育施設開設を計画どおりに進めていくための重要な課題であります。

 当社グループにおいては、情報網の整備と、デベロッパーとの事業提携によりさらなる物件確保ルートの強化に努めておりますが、保育施設の環境とともに採算性を重視しており、保証金、賃借料等の開設条件に見合う物件が確保できない場合には、保育施設の開設計画が遅れることになり、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 また賃貸物件の契約が更新できない場合、又は契約更新時に賃借料が上昇した場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

④食の安全について

 当社グループのエデュケア事業では、食育を重視しており、本社の栄養士チーム監修による献立に基づき、各施設にて素材にこだわった給食やおやつを手作りで提供しております。そのため、新鮮さ、栄養価、安全性など食材の品質に留意しております。また、「食品衛生法」に沿った厳正な食材管理及び衛生管理と食品アレルギー対策の徹底により、食中毒やアレルギー等の事故の防止に努めております。また、ナニー、ケアスタッフ、家事支援員がご家庭で調理を行う場合も同様の衛生管理の徹底を行っております。

 しかしながら、何らかの原因により食の安全性に重大な問題が生じた場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)組織体制に関するリスク

①創業者への依存について

 代表取締役会長である中村紀子(戸籍名:軣紀子)氏は、当社グループの創業者であり、長年の経営経験及び多様な人脈から、経営戦略、人材育成、企画立案、新規保育業態の開発等、当社グループの経営に重要な影響を与える事項及び意思決定において重要な役割を担っております。

 当社グループでは、2020年4月に株式会社ポピンズホールディングス代表取締役社長として轟麻衣子(戸籍名:軣麻衣子)氏が就任し、同氏の下、各業務担当取締役及び執行役員を配置し、各々が参加する定期的な会議体にて、活発な意見交換を行うとともに情報共有などを積極的に進めております。また、適宜権限の委譲も行い、中村紀子(戸籍名:軣紀子)氏に依存しない組織体制・経営体質の強化を進めておりますが、何らかの理由により同氏の業務遂行が不可能あるいは困難になった場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②人材の確保、育成について

 2020年1月保育士の有効求人倍率は3.86倍と、業界の採用活動は困難を極める状況が続いております。当社グループでは、処遇改善のほか、働き方改革による残業削減や、働き甲斐のある職場づくりに努めてまいりますが、万一、予定した人材の確保に遅れ等が生じた場合、既存施設の運営計画や新規施設の開園計画に遅延等を及ぼす可能性があるため、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。そこで新たな施策として、2018年10月、保育士に「副業・兼業制度」を導入するとともに、保育士たちが保育施設で働きながら副業としてシッターとしても活躍できる「ベビーシッター付ナーサリー」を開始しております。

 また、当社グループでは、ナニー及びベビーシッターやケアスタッフ、家事支援スタッフ等各事業サービスを運営する人材を確保する事は重要な経営課題であります。人手不足が深刻化する中で、各種人材の採用も年々難しくなる中、共働き世帯の増加による働く女性の拡大に伴い、当社グループが提供する各種サービスの利用ニーズは増える一方となっております。採用活動の強化やナニー検定、ナニースクール等に基づく人材育成を図っておりますが、万一欠員補充や新規人材の確保が計画どおり進まず、サービス提供体制の維持や人員基準を満たせなくなった場合や、ナニーやケアスタッフなどの稼働状況が想定を下回った場合には、サービス提供に影響を及ぼす可能性があります。

 

③内部管理態勢について

 当社グループでは、業務上の人為的ミスや社員による不正行為等が発生することのないよう、教育研修強化及び内部牽制機能の強化に努めております。しかしながら、将来的に内部管理上の問題が発生した場合、ステークホルダーからの信頼性の低下が生じ、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④個人情報の流出について

 当社グループでは、園児や児童から高齢者まで様々な年代のお客様及びその保護者・家族の氏名や住所に加えて人材紹介・派遣サービス登録者など多くの個人情報を保持しているため、個人情報を厳重に管理のうえ、慎重に取り扱う体制を整えております。万が一漏洩するようなことがあった場合には、利用者を含め広く社会的な信用を失うこととなります。その結果、ナニーサービス及びベビーシッターサービスやシルバーサービス利用者の退会、園児の退園、人材紹介・派遣登録者の減少、保育施設等の新規開設等に影響が出ることにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、2017年には、情報セキュリティマネジメントに関する国際品質規格ISO27001(品質マネジメントシステム)の認証を取得いたしました。事業の全ての領域において、積極的に情報セキュリティに取り組み、お客様の情報資産を安全に管理することが、経営課題であると自覚し、情報セキュリティを確保することで安全・信頼・最高水準のサービスという創業以来、当社グループが積み重ねてきたブランドイメージをさらに高め、顧客満足度を向上させてまいります。

 

⑤多様な人材の活用(外国人材、アクティブシニア等)について

 当社グループでは、少子高齢化による人材不足の解消のため、女性とシニア、そして外国人材の活用に取り組んでおります。しかしながら、これらの多様な人材が十分確保できなかった場合は、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3)外部環境に関するリスク

①法的規制等について

 エデュケア事業では、各保育所の多くが認可保育所、東京都認証保育所、事業所内保育所など運営上、様々な法的規制のもとで運営されております。また、高齢者在宅ケア事業では介護保険対象外のVIPケアを主力としているものの、介護保険法等諸制度に基づいたサービスの提供も行っております。したがって、今後、法的規制が何らかの形で強化あるいは変更された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、このような制度変更リスクから受ける影響をできる限り緩和するべく、保育所の運営形態を多様化するとともに、制度上の影響を受けないチャイルドケアサービス事業の強化育成など、事業ポートフォリオのバランスをとるべく努力しております。

 なお、当社グループの事業に関連する主な法的規制等は以下のとおりであります。当社グループにとって主要な関連法令である児童福祉法においては、万一、関係法令の規定水準に達しない場合や、給付費の請求に関し不正があったとき、また、改善命令や事業の停止命令に従わず違反したときには、許認可が取り消される場合があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

ⅰ)チャイルドケアサービス事業

 児童福祉法

ⅱ)シルバーケアサービス事業

 介護保険法、食品衛生法

ⅲ)エデュケア事業

 児童福祉法、児童福祉施設最低基準、食品衛生法

ⅳ)人材紹介・派遣事業

 職業安定法

 有料職業紹介事業の許可要件労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)

 

②雇用情勢の変化等について

 人材紹介・派遣業界は、産業構造の変化、社会情勢、景気変動、法改正に伴う雇用情勢の変化等に影響を受けます。現状の需要は堅調に推移しておりますが、今後、様々な要因により雇用情勢もしくは市場環境が悪化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。景気後退に伴う新規人材需要の減少や既存の顧客企業における業務縮小・経費削減等により人材需要が大きく減退した場合、人材派遣における労働者派遣契約数の急激な減少、転職市場における求人需要の大幅減少に伴う人材紹介事業の事業規模縮小など、当社グループの事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(4)その他のリスク

①事故・安全管理について

 当社グループのチャイルドケアサービス事業やエデュケア事業では0歳から学童までを対象としております。そのため、サービス提供の際に不測の事故等が発生する可能性を完全に排除することは困難であると考えております。また、昨今、小学校等において外部侵入者に対する危機管理の徹底が行われつつあります。保育施設でも同様な管理体制が不可欠ですが、保育事業は学童よりさらに低年齢の園児が対象であり、かつスタッフもまだまだ男性が少ないことからも、さらに徹底した対策が必要になります。

 当社グループでは、定期的に行う全体会議や施設長ミーティング等で、起こりうる事故や起きてしまった事故の情報共有や対策検討を徹底しており、ISO9001による従業員への定期的教育及び業務マニュアルの遵守、また保険への加入等対応には万全を期しております。さらに、保育施設では、施錠の徹底や外部セキュリティ管理機関との契約等により、施設入出管理には徹底した配慮を行っており、当社グループは、施設の運営において園児や児童の安全に配慮し、万全の体制で臨んでおり、これまでに経営成績に大きな影響を与えるような事故等は発生しておりません。しかしながら、万一これらの事故が発生して当社グループの責任が問われるような事態が発生した場合には、当社グループへの信頼の低下、ブランド価値の毀損及び訴訟等の費用により、当社グループの今後の事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 シルバーケアサービス(高齢者在宅ケア)事業では、介護保険適用サービス対象の顧客は主に要介護認定を受けた高齢者を対象としていることから、サービス提供時には身体に負担を与えることも考えられ、その結果、顧客の体調悪化等が生じる可能性があるほか、介護サービス提供時における事故の可能性も否定できないと考えております。当社グループでは、定期的に行う全体会議等で、起こりうる事故や起きてしまった事故の情報共有や対策検討を徹底しており、ISO9001による従業員への定期的教育及び業務マニュアルの遵守、また保険への加入等対応には万全を期しております。しかしながら、万一これらの事故が発生して当社グループの責任が問われるような事態が発生した場合には、当社グループへの信頼の低下、ブランド価値の毀損及び訴訟等の費用により、当社グループの今後の事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。

 

②自然災害について

 当社グループでは、全国において保育施設、学童施設等運営のサービスを展開しております。地震や津波等の大規模な自然災害が発生した場合、当該エリアにおいて、スタッフ等の安全への懸念及び当社グループの事業所が稼動できない状況になると考えられます。当社グループでは、事業所機能の早期復旧や支援スタッフの派遣等、サービス提供態勢の維持に努めてまいりますが、サービス提供ができなくなる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 本社・各支社・事業所において、緊急時における事業継続に係るリスク対策を総点検し、顧客の安全を最優先とした危機管理態勢の強化を図ってまいります。

 

③感染症について

 当社グループでは、施設や居宅において子育てや介護支援のサービスを提供しており、顧客や従業員がインフルエンザやノロウィルスといった感染症に罹患する可能性があります。感染症対策として当社グループでは、安全・安心なサービス環境を確保するため、各事業において以下を実施しております。

ⅰ)チャイルドケアサービス事業:職員の予防接種や専門の病児スタッフ配置

ⅱ)シルバーケアサービス事業 :職員の予防接種や看護師チーム組成

ⅲ)エデュケア事業      :定期的な消毒や職員の予防接種等の実施

 しかしながら、新型インフルエンザやコロナウイルス等、人類が免疫を持たない未知の感染症が流行した場合、従事する保育士や指導員、ベビーシッター、ケアタッフ等が多数欠勤することで施設の運営が困難となりうる他、感染症蔓延地域におけるベビーシッターのキャンセルなど、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

④競合他社の参入について

 女性の社会進出拡大により実際に保育所への入所を希望する児童数(待機児童)は、首都圏を中心に引き続き高止まりの傾向にあります。このような状況下、エデュケア事業における保育所の受託競争は激化しており、一部の地域では価格競争になるケースもあります。また、既存の保育所においても、待機児童解消のため近隣に新たな認可保育所が開設される場合もあり、園児の獲得競争になるケースも発生しております。当社グループでは、価格競争の受託案件には参加せず、自治体や委託法人から「高品質の保育」の維持に対する理解を得ることにより、高付加価値サービスの提供に努めておりますが、今後多様な業種からの参入が相次ぎ、競合他社との競争がさらに激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 チャイルドケアサービス事業においては、当社グループでは自社開発システムであるポピンズシステムを活用した顧客情報の管理とスタッフによる適切な登録ナニーのマッチング体制を整えております。当社グループは、ベビーシッター事業者最大手として長年蓄積してきた実績とブランド力に加えて、顧客に最高水準のサービスを提供できるナニーを育成する充実した教育体制を備えており、これは一朝一夕でできるものではないため、高付加価値を求める顧客層向けのナニーサービスにおける参入障壁は高いと考えておりますが、他業界から大手企業が新規参入した場合もしくは価格競争が激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 シルバーケアサービス(高齢者在宅ケア)事業においては、当社グループは介護保険適用外のVIPケアサービスを事業の主力としており、現状では同様のニーズを満たしたサービスを提供する事業者には限りがありますが、今後同様のサービスを提供する競合他社が参入し、競合他社との競争がさらに激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤資金調達について

 当社グループにおきましては、保育施設の新規開設に関する設備資金、新規事業もしくはM&Aに関する投資資金は、金融機関からの借入等により調達しており、総資産に対する有利子負債合計の割合は、2018年12月期53.5%、2019年12月期47.4%、2020年12月期第3四半期45.8%と高い比率で推移しております。今後、新規開設に伴い借入が増加する可能性があり、金利の急激な変動や金融情勢の変化によって計画どおり資金調達ができなかった場合には、設備投資や新規事業が制約されるなど当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑥減損会計が適用されるリスクについて

 当社グループの保育施設は、土地及び建物を賃借しておりますが、一部の保育施設については内装設備等を資産計上しております。今後、固定資産を保有する保育施設の収益性が低下する等、固定資産の減損に係る計基準及び固定資産の減損に係る会計基準の適用指針により減損損失を認識する事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦季節変動について

 保育施設の運営費等の精算は、国及び自治体の年度末である3月に集中するため、第1四半期(1月~3月)の利益率が大きくなる傾向があります。また、当社グループにおける保育施設等は4月に新規開設されるものが多くなります。加えて自治体より受託している保育士研修事業等は6月以降に開始され翌年3月まで実施されることが多い傾向があります。そのため、第2四半期連結会計期間(4月~6月)において、備品等の新規開設費用が計上されることや一部事業で売上が減少することにより利益率が一時的に低下する傾向にあります。

 

⑧グローバル展開について

 今後は海外の事業者との戦略的提携によるグローバル展開や、海外での保育施設運営を目指してまいりたいと考えておりますが、海外特有の法的規制やカントリーリスク、為替リスクなど様々なリスクがあり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑨新規事業への取組みについて

 当社グループでは、有望な新規事業として、全国の保育施設を運営する事業者等に向けた経営支援コンサルティング業務の展開を視野に入れております。しかしながら、新規事業の取組みには不確実な要素が多く、市場環境の大きな変化や競合他社の動向など様々な要因により、計画通り新規事業を拡大することが困難な可能性があります。

 

⑩案件を厳選したM&Aの推進について

 当社グループでは案件を厳選したM&Aにより事業の拡大を図る場合がありますが、それに見合った収益が得られない場合や、資金の回収が滞る可能性があります。

 

⑪デジタルトランスフォーメーション(ICT、AIの活用による生産性向上とビジネスの拡大)について

 当社グループでは、デジタルトランスフォーメーション部を設置し、情報のデジタル化とデータの有効活用に取り組んでいますが、ICTやAIを活用したビジネス拡大や生産性向上が計画通り進展しない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑫レピュテーションリスクについ

 従業員による不正・不祥事や、個人情報等の業務上の機密情報の不適切な取り扱い・流出により、当社グループの信頼性・企業イメージが低下し、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

⑬一般社団法人日本女性エグゼクティブ協会(JAFE)との関係について

 当社代表取締役会長である中村紀子(戸籍名:軣紀子)氏が理事長を務める当社グループの外郭団体として、一般社団法人日本女性エグゼクティブ協会(JAFE)があります。当社グループとしましては、CSR活動の一環としてJAFEの活動方針に賛同し、様々な支援(寄付の実施、人材支援等)を行ってまいりました。今後は寄付を行わない方針であります。

 具体的な法人の活動内容、当社グループからの支援状況は次のとおりであります。

外郭団体名

活動目的・内容

当社株式

保有状況

当社グループからの

支援の内容 (注)

一般社団法人日本女性エグゼクティブ協会(JAFE)

(目的)

女性管理職の育成とネットワーキングの支援及び、子育てをする親及び在宅で援助が必要な高齢者やその家族に対して、支えあいの精神による市民参加のもとに、地域に根ざした

子育て支援と介護サービスを提供し、男女共同参画社会の形成、子どもの健全育成、及びすべての人々が健やかに安心して暮らせる地域社会づくりに寄与することを目的とする。

(内容)

・会員向けセミナー(女性管理職)

・一般向けセミナー(子育て・介護等)

 

なし

寄付金

 2018年12月期 10百万円

 

(注)当社グループからの支援の内容については、2020年10月31日現在の情報を記載しております。

当該団体への寄付金額については、当社グループとしてのCSR活動の一環として、活動資金の運用状況を勘案して必要金額を個別に見積って拠出しております。

 

⑭大株主について

 当社の代表取締役会長である中村紀子(戸籍名:軣紀子)及び代表取締役社長である轟麻衣子(戸籍名:軣麻衣子)は、両氏の資産管理会社である株式会社スピネカの所有株式数を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数の82.9%を所有しております。本売出しによって所有株式の一部を売却する予定ではありますが、引き続き大株主となる見込みです。

 両氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、両氏は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である両氏の持分比率が低下した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。

 

①経営成績等の状況

第4期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、米中貿易摩擦をはじめとする世界的な政治的・経済的混迷により先行き不透明感が深まったものの、堅調な企業収益や雇用・所得環境の着実な改善が続く中、緩やかな回復基調で推移してまいりましたが、年末に発生した新型コロナウイルスによる全世界的な経済活動への影響等から、2020年3月期の上場企業の業績は2019年3月期に続き減益となる見通しになるなど経済情勢が変化しております。

 このような環境の中、少子高齢化に伴う労働者不足の加速化、産業構造の変化による多様な人材の活用が求められていることを背景に、政府の様々な女性活躍支援策を受けた共働き世帯数や女性の就業率は引き続き上昇傾向にあり、保育を含む子育て支援、介護支援、家事支援に対する需要は、一段と高い状況で推移しております。

 このような状況において当社グループは、2019年3月において、学童・児童館及び保育施設の運営並びに保育士派遣事業を展開する株式会社ウィッシュを連結子会社として取得しました。これにより、エデュケア事業の一層の拡大を図ってまいりました。在宅サービス事業においては、さらなる高付加価値サービスを追求し、選ばれるサービス展開を推進するとともに、ポピンズシステムを改良し、自動マッチング機能の拡充等による業務の効率化を図ってまいりました。

 この結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高21,548百万円(前期比25.8%増)、営業利益1,401百万円(同33.3%増)、経常利益1,360百万円(同36.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は900百万円(同305.1%増)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。また、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。

 

(在宅サービス事業)

 当連結会計年度における在宅サービス事業を取り巻く状況は、台風19号など大規模な風水害によるマイナス影響はあったものの、内閣府による企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における「ベビーシッター派遣事業」による割引制度の周知及び利用の拡大や、東京都8区において導入済(2019年12月現在)である地域型保育給付による「居宅訪問型保育事業」の順調な利用拡大など、チャイルドケアサービス事業の需要が堅調に推移しました。

 加えて、厚生労働省が「介護離職ゼロ」をキーワードに、仕事と介護の両立に当たっての課題や企業の両立支援策の状況を把握し、介護休業制度等の周知を行う等の対策を総合的な推進への取り組みを本格化したことから、シルバーケアサービス事業にも、追い風を受ける状況にあります。

 このような状況のもと、24時間365日対応や、プレミアムコースにみられる多様な顧客ニーズへ応える当社グループの質の高いサービスの浸透、オプションサービス(現 ポピンズプラス)を組み合わせたきめ細かなプランの提案など、そのサービスの拡充に注力したことにより、2019年12月末時点のナニーサービス会員数は前期末比で13.0%増の14,929人と、堅調に推移しました。また、介護保険では対応しきれない様々な要望に応えるオーダーメイドの在宅ケアサービスである「ポピンズVIPケア」においても、当社グループのサービス差別化への取り組みが奏功し、新規入会及びご利用者が増加いたしました。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は3,381百万円(前年同期比15.6%増)、セグメント利益は1,017百万円(同16.2%増)となりました。

 

 

(エデュケア事業)

 政府・自治体が保育の受け皿拡大を目的に保育所整備や保育士確保の施策を進めた結果、保育所数は増加しており、保育所の新設に対する需要は今後、ややペースダウンすることが想定されるものの、より一層の女性の社会進出のためにはさらなる高水準の保育環境の整備、保育の質向上が求められることから、引き続き堅調に保育所需要が継続しました。さらに2019年10月から開始された3歳児以上幼児教育無償化施策によって、今後ますますの保育ニーズの高まりが予想されます。

 このような状況のもと、当社グループは、東京都や神奈川県、埼玉県、静岡県、大阪府、京都府において、保育所等の開設を進め、当連結会計年度において、以下のとおり認可保育所4施設をはじめとした合計17施設を新規に開設しております。

 加えて、2019年3月には学童・児童館及び保育施設を運営する株式会社ウィッシュを新規に連結子会社とした結果、学童72施設、保育所等17施設が当社グループに新たに加わり、当連結会計年度の増加施設数は、上記の新規開設施設と合わせ106施設となりました。

 この結果、当社グループは、当連結会計年度末時点で認可保育所62施設、認証保育所36施設、認定こども園1施設、事業所内保育所86施設、学童・児童館87施設、その他40施設の計312施設を営んでおります。

<新規に開設した施設>

(認可保育所)      合計4施設

  東京都

   ポピンズナーサリースクール都立大学

   ポピンズナーサリースクール越中島

   ポピンズナーサリースクール東長崎

  神奈川県

   ポピンズナーサリースクール十日市場

(事業所内保育所)    合計10施設

  東京都          7施設

  埼玉県          1施設

  静岡県          1施設

  京都府          1施設

(その他施設)      合計3施設

  東京都          1施設

  大阪府          2施設

<株式会社ウィッシュの新規連結子会社化により増加した施設>

(認可保育所)      合計6施設

  東京都          2施設

  神奈川県         2施設

  千葉県          2施設

(認証保育所)      合計3施設

  東京都          3施設

(事業所内保育所)     合計1施設

  神奈川県         1施設

(学童・児童館)  合計72施設

  東京都          72施設

(その他施設)      合計7施設

 

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は17,411百万円(前年同期期比26.3%増)、セグメント利益は1,668百万円(同4.5%増)となりました。

 

(その他)

 教育研修・調査事業においては、自治体主催の保育士研修や子育て支援員研修事業について、全国の都道府県から受託地域が拡大しました。加えて、前連結会計年度において設立いたしました株式会社保育士GOの保育士紹介事業の拡大、さらには株式会社ウィッシュの買収により保育士の人材紹介・派遣事業が加わったことにより、大幅な売上高及び営業利益の増加を実現しました。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は977百万円(前年同期比85.8%増)、セグメント利益は167百万円(同53.8%増)となりました。

 

第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。なお、当社は、前第3四半期連結累計期間については四半期連結財務諸表を作成していないため、前年同四半期連結累計期間との比較分析は行っておりません。

 

(1)業績の状況

 当第3四半期連結累計期間における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の全世界的な蔓延が第1四半期連結累計期間において顕在化したことにより、人が直接、サービスを提供する業界においては急激にサービス利用の停止・自粛が基本となり、2020年5月25日に緊急事態宣言が全国で解除された後も、引き続き先行きが不透明な状況となっております。

 当社グループが事業展開しているベビーシッター業界、介護業界、保育業界におきましては、対面のサービス提供であることから新型コロナウイルス感染症によるサービス利用の停止・自粛の影響を大きく受けております。

 このような状況のもと、当社グループの当第3四半期連結累計期間の経営成績については、売上高16,835百万円、営業利益933百万円、経常利益1,086百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益722百万円となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。また、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。

(在宅サービス事業)

  在宅サービス事業の売上高は2,055百万円、セグメント利益は583百万円となりました。

(エデュケア事業)

  エデュケア事業の売上高は14,261百万円、セグメント利益は1,284百万円となりました。

(その他)

  その他の売上高は658百万円、セグメント利益は90百万円となりました。

 

<新型コロナウイルス感染症の感染拡大による事業及び業績への影響>

 全世界での新型コロナウイルス感染症との戦いが続いておりますが、当社グループは、この有事における業務運営の基本方針として「安全に 強く 優しく 支える」を信念に行動してまいります。

 新型コロナウイルスへの当社グループの対応といたしましては、危機対策本部を設置し、自治体や保健所と連携しながら、エデュケア事業(保育所・学童施設等)にてお預かりするお子さま・保護者やご家族の皆さま、在宅サービス事業(ベビーシッター・介護)をご利用下さるお客さま・従業員・取引先の安全確保を最優先に考え、ナニーやケアスタッフを含む従業員及び事業関係者への最大限の感染予防対策を講じたうえで、事業継続体制を構築しております。なお、当社グループの本支社全従業員においては、緊急事態宣言期間中は一部の業務を除き、原則在宅勤務に移行しました。また、緊急事態宣言が解除された後も在宅勤務や時差出勤を併用しながら、新型コロナウイルス感染症専門家会議から提唱されている「新しい生活様式」に対応しております。

 

 第1四半期連結累計期間におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた全国の小学校・中学校及び高校などの臨時休校要請や、政府方針を受けた企業の在宅勤務の拡大、ならびに大規模なイベント開催の自粛などに伴い、予定されていた保育サービスの予約キャンセル・変更や、イベント託児のキャンセルの影響を受ける事業環境となりましたが、新型コロナウイルス感染症の業績への影響度は、全社として軽微に留まっておりました。

 一方で、事態が深刻化した4月以降につきましては、以下に示すとおり、多方面にわたる事業影響が発生いたしました。

 

 「在宅サービス事業(チャイルドケアサービス事業)」においては、政府による緊急事態宣言の発令直後より、ナニー訪問による感染拡大を防ぐため、ナニーサービスの提供を、医療関係者等のエッセンシャルワーカー、その他ライフラインを維持する業務に従事するキーワーカーの方々、または特別な事由でナニーサービスが必要不可欠な場合を除き、原則として一時自粛する判断を当社独自にしており、業績への影響が大きくなりました。

 一方で、自治体からの要請による保育園休園や登園自粛の影響で、多くの働く保護者様がお子さまの育児をしながらの在宅勤務を余儀なくされることとなり、政府による5月末までの緊急事態宣言の延長を受け、困難を感じられている多くの保護者様に対し、既存のお客様へのサービスご提供及び新規のお客様からの入会受付を順次再開する方針を公表いたしました。その後、緊急事態宣言が解除されて以降は、業績へのマイナス影響は緩和に向かいましたが、7月以降、感染拡大の第二波影響が深刻化するなどの懸念が一時的に高まった結果、保護者様からのサービス利用状況の回復スピードが再び抑制されました。しかしながら、9月以降は新型コロナウイルス感染症の感染者数も東京都内の1日あたり新規陽性者数(7日間移動平均)が安定的に200人を下回って推移するなど、その懸念は落ち着きつつあり、業績へのマイナス影響も徐々に緩和するものと考えられます。

 「在宅サービス事業(シルバーケアサービス事業)」においても、ケアスタッフ訪問による感染拡大を防ぐため、VIPケアサービスの提供を、特別な配慮が必要な場合を除き、原則として一時自粛しておりましたが、当社のサービスを必要不可欠とされるご利用者やご家族が高い割合を占めることから、業績への影響は軽微に止まりました。

 「エデュケア事業」においては、自治体からの要請による保育園休園や登園自粛によって、事業運営に大きな影響は受けるものの、認可事業の委託料収入の減額には直結しないため、業績へのマイナス影響は軽微に留まっております。ただし、感染拡大の影響が改めて深刻化するなどの懸念が今後顕在化し、万が一、休園や利用自粛が再度発生及び長期化する場合には、認可外事業の売上に影響を及ぼす懸念があります。

 しかしながら、新型コロナウイルスによる影響が長期化する事態となった場合には、集団保育のみではカバーできない、在宅での子育て支援サービスに対する需要は今後ますます強まることが予想されます。加えて、緊急事態宣言を受け、各自治体の判断により一時休園となるお子様の心身の成長そして働く保護者様の支援を契機として導入した「オンライン保育」「オンライン育児相談」などの新規サービスによって、急変する事業環境に即応してまいります。

 なお、第5期連結会計年度への新型コロナウイルスの影響についてはそのおおよその算定を終えており、今後、通期業績等の開示を通して公表予定であります。

 

②財政状態の状況

第4期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は10,092百万円(前期比1,654百万円の増加)となりました。これは、主に、株式会社ウィッシュ(以下、「ウィッシュ」という。)の連結子会社化による現金及び預金、受取手形及び売掛金の増加等によるものであります。

 流動資産につきましては、6,751百万円(前期比981百万円の増加)となりました。その主な要因は、ウィッシュの連結子会社化による現金及び預金、及び受取手形及び売掛金の増加によるものであります。

 固定資産につきましては、3,341百万円(前期比673百万円の増加)となりました。その主な要因は、ウィッシュの連結子会社化による有形固定資産及びのれんの増加、及び新規開設の保育所に係る有形固定資産及び敷金及び保証金の増加によるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は8,151百万円(前期比953百万円の増加)となりました。

 流動負債につきましては、4,355百万円(前期比683百万円の増加)となりました。その主な要因は、事業拡大に伴う未払金及び未払法人税等の増加によるものであります。

 固定負債につきましては、3,795百万円(前期比270百万円の増加)となりました。その主な要因は、保育所新規開設投資に係る長期借入金の増加によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、1,941百万円(前期比700百万円の増加)となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益900百万円を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。

 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は19.2%(前期比4.5ポイントの増加)となりました。

 

第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における総資産は10,199百万円(前期比106百万円の増加)となりました。

 流動資産につきましては、6,888百万円(前期比136百万円の増加)となりました。その主な要因は、現金及び預金の増加及び受取手形及び売掛金の減少によるものであります。

 固定資産につきましては、3,311百万円(前期比29百万円の減少)となりました。その主な要因は、建物及び構築物の取得による増加及び有形固定資産その他の減少によるものであります。

 

(負債)

 当第3四半期連結会計期間末における負債は7,780百万円(前期比370百万円の減少)となりました。

 流動負債につきましては、3,930百万円(前期比425百万円の減少)となりました。その主な要因は、短期借入金、未払金及び未払法人税等の減少、賞与引当金の増加によるものであります。

 固定負債につきましては、3,850百万円(前期比55百万円の増加)となりました。その主な要因は、資産除去債務の増加によるものであります。

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産は2,418百万円(前期比476百万円の増加)となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益722百万円を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。

 この結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は、23.7%(前期比4.5ポイントの増加)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

第4期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、4,058百万円(前期比647百万円の増加)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、1,295百万円(前期比1,275百万円の増加)となりました。これは主に、法人税等の支払額161百万円(前期比159百万円の減少)等の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益1,358百万円(前期比931百万円の増加)、役員特別功労金の支払額の減少(前期300百万円で当期支払なし)及び減価償却費230百万円(前期比35百万円の減少)等の増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、716百万円(前期比317百万円の減少)となりました。これは主に、助成金の受取額329百万円(前期比447百万円の減少)等があったものの、認可保育所等の新規開設に関する有形固定資産の取得による支出693百万円(前期比347百万円の減少)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出104百万円(前期の支払なし)及び基幹システム開発等に関する無形固定資産の取得による支出135百万円(前期比117百万円の増加)等の減少要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、68百万円(前期比1,309百万円の減少)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1,169百万円(前期比299百万円の増加)及び短期借入金の純増減額△55百万円(前期比394百万円の減少)等の減少要因があったものの、施設整備のための長期借入れによる収入1,500百万円(前期比655百万円の減少)等の増加要因があったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループは、受注活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

  当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

第4期連結会計年度

(自  2019年1月1日

至  2019年12月31日)

第5期第3四半期

連結累計期間

(自  2020年1月1日

至  2020年9月30日)

金額(百万円)

前年同期比

(%)

金額(百万円)

在宅サービス事業

3,220

113.7

1,945

エデュケア事業

17,411

126.3

14,261

報告セグメント計

20,632

124.2

16,207

その他

916

179.4

628

合計

21,548

125.8

16,835

  (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

2.最近2連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、第3期連結会計年度、第4期連結会計年度及び第5期第3四半期連結累計期間ともに、100分の10以上を占める相手先がないため記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.当連結会計年度において、エデュケア事業及びその他の販売実績に著しい変動がありました。これは、株式会社ウィッシュを連結子会社化したこと等によるものであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。なお、連結財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で認められている将来に対する見積りが含まれております。この見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 これら連結財務諸表の作成にあたって当社グループが採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等の分析

第4期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高(百万円)

17,127

21,548

4,421

25.8

売上原価(百万円)

13,014

16,654

3,640

28.0

売上総利益(百万円)

4,113

4,894

780

19.0

 売上総利益率

24.0%

22.7%

販売費及び一般管理費(百万円)

3,061

3,492

431

14.1

営業利益(百万円)

1,051

1,401

349

33.3

 営業利益率

6.1%

6.5%

経常利益(百万円)

998

1,360

361

36.2

税金等調整前当期純利益(百万円)

426

1,358

931

218.2

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

222

900

678

305.1

 

(売上高、売上総利益)

 売上高については、各セグメントにおいて堅調に推移し、また株式会社ウィッシュの連結子会社化により9か月間の売上高を取り込んだ結果、4,421百万円増加し21,548百万円となりました。売上総利益については、売上高増加に伴い780百万円増加して4,894百万円となったものの、保育所職員等の給与改定による人件費増加、株式会社ウィッシュの買収によるエデュケア事業及びその他の売上増加により、全社に占める在宅サービス事業の売上高構成比が減少した結果、全社の売上総利益率は1.3ポイント減少し、22.7%となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費については、売上拡大を担う人員補強、買収による組織拡大、管理体制の構築等による人員体制の強化等及び租税公課の増加等により、431百万円増加し3,492百万円となりました。営業利益については、売上総利益の増加率ほどは販売費及び一般管理費が増加しなかったため、349百万円増加し1,401百万円となるとともに、営業利益率は0.4ポイント増加し6.5%となりました。

 

 

(営業外損益及び経常利益)

 営業外損益については、事業拡大に伴い金融機関からの借入金が増加した結果、前連結会計年度より支払利息が8百万円増加し30百万円となったものの、和解金27百万円等の影響がなくなったことにより、経常利益は361百万円増加し1,360百万円となりました。

※当社グループでは、保育所等の開設に関して自治体からの補助金により固定資産を取得した場合には、当該補助金額を控除した純額をもって固定資産を計上しております(「直接減額方式の圧縮記帳」と呼ばれます)。したがって、当該補助金額は収益に計上されることはありませんが、固定資産が補助金控除後の純投資額として計上されることにより、将来の減価償却費が減少することになります。当社グループにおいては、これら減価償却費の効果は、固定資産を助成金を控除しない総投資額で計上した場合と比較して、将来の売上原価の減少として影響いたします。

 

(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別損失について、前連結会計年度においては、子会社における役員退職に伴う特別功労金300百万円、エデュケア事業において不採算の保育設備を対象とし建物及び構築物等で減損損失268百万円等を計上しておりましたが、当連結会計年度におきましては、固定資産除却損2百万円のみとなりました。その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は678百万円増加し、900百万円となりました。なお、減損損失につきまして、2017年12月期においても251百万円を計上しておりますが、当連結会計年度においては減損損失を計上すべき固定資産はありません。

 

売上高・営業利益(セグメント間取引を相殺消去する前の金額)のセグメント別の増減

 

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

売上高

在宅サービス事業

2,925

17.0

3,381

15.5

455

15.6

エデュケア事業

13,784

80.0

17,411

80.0

3,627

26.3

その他

526

3.0

977

4.5

451

85.8

営業利益

在宅サービス事業

(営業利益率)

875

(29.9%)

33.9

 

1,017

(30.1%)

35.7

142

16.2

エデュケア事業

(営業利益率)

1,596

(11.6%)

61.9

 

1,668

(9.6%)

58.5

71

4.5

その他

(営業利益率)

109

(20.7%)

4.2

 

167

(17.2%)

5.8

58

53.8

 

(在宅サービス事業)

 個人及び法人契約を対象としたチャイルドケアサービス事業、介護保険外の個人を対象としたシルバーケアサービス事業とも売上が拡大し、当セグメントにおける当連結会計年度の売上高は対前年比455百万円増加し、3,381百万円となりました。また、高付加価値サービスの継続的な実現により、営業利益も対前年比142百万円増加し、1,017百万円と順調に拡大するとともに、営業利益率も30.1%(前期比0.2ポイントの増加)を実現することができました。

 

(エデュケア事業)

 当社グループの子会社であります株式会社ポピンズにおいて、東京都や神奈川県、埼玉県、静岡県、大阪府、京都府において認可保育所4施設をはじめとした合計17施設の新規開設等による売上増1,536百万円、株式会社ウィッシュの連結子会社化による売上増2,090百万円により、当連結会計年度の売上高は対前年比3,627百万円増加し17,411百万円となりました。

 

 なお、当連結会計年度におきましては、将来の成長源泉であります保育士確保を確実なものとするため、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の認可保育所及び認証保育所に勤務する保育士の新卒初任給を保育サービス業界トップへ引き上げるとともに、当社グループで働く保育士全体の月給につきましても大幅に改善しました。これにより、売上原価における人件費が増加いたしましたが、前連結会計年度に開設した認可保育所が当連結会計年度に順調に利益貢献したこと、及び事業所内保育所の新規受託、株式会社ウィッシュの連結子会社化による利益貢献により、人件費の増加を吸収した結果、当セグメント利益は対前期比71百万円増加し1,668百万円となりました。今後はこの対前年比人件費増の影響が少なくなることから、当セグメントにおいては、さらなる利益の拡大を見込んでおります。

 

(その他)

 その他の区分には教育研修・調査事業、高齢者向けデイサービス施設等の運営事業、人材紹介・派遣事業等が含まれております。

 教育研修・調査事業におきましては、東北、関東、中部、近畿、中国地区にわたり研修事業を受託しており、順調に受託地区を拡大するとともに、売上高・営業利益とも増加いたしました。また、保育士紹介事業を運営する株式会社保育士GOの事業開始、及び新たな連結子会社の株式会社ウィッシュで運営する交流館事業、人材派遣事業等による売上高及び営業利益が加わったことにより、その他の区分におきましては、売上高977百万円(対前期比451百万円の増加)、営業利益167百万円(対前期比58百万円の増加)となりました。

 

第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)

(売上高、売上総利益)

 売上高については、16,835百万円となりました。これは主に、在宅サービス事業において新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、エデュケア事業における認可保育所6施設の開園など合計11施設の開園の影響によるものであります。これより、売上総利益については3,538百万円となり、売上総利益率は21.0%となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費については、売上拡大を担う人員補強、買収による組織拡大、管理体制の構築等による人員体制の強化等及び租税公課の増加等により、2,605百万円となりました。営業利益については、933百万円となるとともに、営業利益率は5.5%となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

 営業外損益については、事業拡大に伴い金融機関からの借入金が増加した結果、支払利息は21百万円となったものの、保育所開設に係る助成金や、雇用調整助成金等による助成金収入191百万円を計上したこと等により、経常利益は1,086百万円となりました。

 

(特別損益及び親会社株主に帰属する四半期純利益)

 特別損失について、固定資産除却損0百万円のみとなりました。その結果、当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益は722百万円となりました。

 

 なお、売上高・営業利益のセグメント別の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照ください。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

(キャッシュ・フローの状況の分析)

 当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(財政政策)

 当社グループは、運転資金、設備資金及びシステム開発資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、短期運転資金については金融機関からの短期借入金によって、長期運転資金及び保育所の新規開設に伴う設備投資、システム開発資金については、長期借入金によって調達しております。

 

d経営者の問題認識と今後の方針について

 2019年10月から幼児教育・保育の無償化が始まり、都市部における保育ニーズは当面高止まりすると見込まれます。しかしながら、中長期的には少子高齢化の進行により、子育て業界は量的ニーズから質的ニーズへと移行すると想定されております。当社グループは、この環境変化を好機と捉え、高付加価値を求める顧客層向けのサービスを推進してまいります。

 「最高水準」のサービス提供に向け、乳幼児教育におきましては、ハーバード大学、スタンフォード大学、ノーランドカレッジ、東京大学、お茶の水女子大学など国内外の教育機関やその研究者との共同研究や研修を実施して、世界最先端の教育科学を取入れるとともに、当社グループの保育理論を深化・体系化させております。

 また、保育士、ナニー、ケアスタッフなどのサービスの担い手に対して、各種様々な研修制度による人財育成を行っており、研修によるクオリティ維持強化の仕組みを確立しております。

 子育て支援・乳幼児教育・介護支援・家事支援・人材紹介・派遣・研修・調査研究・コンサルティング事業までライフステージで変化する、働く・働きたい女性の課題に切れ目なく対応する当社グループの事業形態は、他社のサービススコープには見られないユニークなビジネスモデルであると当社としては捉えており、「働く女性」という顧客基盤を活用して、顧客のライフステージに応じたサービスラインナップの展開・拡張により、既存事業の拡大とともに、新たな市場機会・成長機会を捕捉してまいります。

 

e.経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、利益成長と同時に社会的課題の解決を意識した経営を行っております。

 高付加価値・高収益である在宅サービス事業の全社事業ポートフォリオにおける構成比を高めていく事、及び現状において、エデュケア事業において事業所内保育所や学童保育等、設備負担が小さいサービスを伸ばしている事、そして、認可保育所についても、中長期的な保育ニーズが見込まれる東京・大阪・名古屋という三大都市圏を中心としたエリアに展開している事等の戦略を進めておりますが、今後も継続してこれらの戦略を進め、利益成長を実現してまいります。

 また、当社グループの事業領域は、「待機児童の解消」といった短期的な社会的課題及び「女性の職場復帰・再就職の支援」「介護離職ゼロ」といった中長期的な社会的課題に対応しており、事業を通して、これらの課題解決による社会的貢献が可能であると考えております。

 当社グループは、利益成長の実現と同時に社会的課題の解決に資することで、当社グループの更なる発展と企業価値の向上を目指してまいります。

 さらに将来、保育所が淘汰される時代の到来に向けて、収益性とシナジー効果を考慮し、案件を厳選したM&Aを推進し、日本のSDGsをリードする企業として一層の成長を続ける方針であります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。