第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当中間連結会計期間(2025年1月1日から2025年6月30日まで)における我が国経済は、賃上げに伴う所得環境の改善による個人消費の持ち直しや、インバウンド需要が回復するなど底固く推移しており、緩やかな回復が続くことが今後も期待されます。一方で、米国の関税政策の変更やウクライナ・中東地域における地政学リスクは引き続き高い状況にあり、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。

 

こうした経済環境のもと、当社グループは、2025年2月に名古屋証券取引所ネクスト市場への上場を果たし、成長戦略の実行に向けた資金調達体制を強化いたしました。あわせて、同月にはアパレルブランド「LA MARINE FRANÇAISE(マリンフランセーズ)」の事業譲受を行い、既存の事業領域に加え、新たな領域であるアパレル分野への本格的な展開を開始いたしました。今後は、「商品開発力」「販促力」「販売力」といったグループ各社が有する強みを結集し、プラットフォームを構築することで、グループ全体としての付加価値向上とシナジーの最大化を図ってまいります。加えて、M&Aを通じて新規事業を積極的に取り込み、当該プラットフォーム内で成長促進を図ることで、ファッション業界において持続的かつ独自性の高いビジネスモデルを構築してまいります。

 

その中核を担う株式会社バルコスにおいては、ヒット商品「ポンテピッコラ」の販売が引き続き堅調に推移いたしました。一方で、同商品に続く新たな成長ドライバーの確立には至らず、当中間期は既存商品の売上に依存する構成となりました。また、インフォマーシャル(※)や新聞広告を中心とした従来型の販促手法については、メディア環境の変化や消費者の反応鈍化の影響を受け、広告投資に対する効率性(MR)が前年を下回る結果となりました。これにより、売上高は前年同期を上回ったものの、利益面では減益となる結果となりました。

※「情報」という意味のインフォメーションと、「広告」という意味のコマーシャルを掛け合わせた造語であり、15秒や30秒のテレビCMとは異なり、29分の通販番組のこと。

 

こうした短期的には一時的な収益の伸び悩みが見られるものの、当社グループでは中長期的な企業価値の向上を見据えた取り組みを推進しております。全社的な体制強化や事業の厚みの拡充を進めるとともに、将来の成長に向けた基盤整備を着実に進行させており、経営基盤がより強固なものとなりつつあります。

 

特に、当社の中核的な競争力である「商品開発力」「販促力」「販売力」の三機能を最大限に活用することで、事業領域を横断したシナジーの創出を図っております。それによって、グループ全体としての事業基盤が拡張し、部門間の連携によって機能横断的なプラットフォームが形成されており、持続的な成長に資する体制が強化されています。2年前には存在しなかったメディア事業も、現在では当社の収益を支える事業へと成長しており、ストック型のビジネス基盤が新たな価値創出を可能にしています。今後は、顧客対応に加えて広告代理業務など、新たな事業領域への拡張も視野に入れています。

 

このように、当社グループは短期的な業績変動にも動じることなく、中長期的な成長と企業価値の最大化に向けて、事業基盤の強化と収益構造の高度化を着実に進めております。

 

業績面における主要指標(KPI)の状況は以下のとおりとなります。

 

・粗利率

当中間連結会計期間においては、粗利率は68.9%と、前連結会計年度比で▲0.6ポイントの減少となりました。これは、新たなヒット商品の創出に至らず、既存の主力商品への依存度が高まる中、販売維持のためにセール対応を強いられたことが主な要因です。結果として、想定していた利益水準の確保が難しい状況となりました。今後は、収益性の高い商品の開発・投入を強化するとともに、調達コストの見直しや為替影響の抑制に向けた仕入先の多様化を進め、安定的かつ高水準の粗利確保を目指してまいります。

 

・新規顧客の獲得状況

当中間連結会計期間に約8万人の新規顧客を獲得し、累計顧客数は154万人に到達しました。年間目標に対する進捗率は約44%と若干の遅れをとっておりますが、これは、広告費対効果が悪化したことが主因です。今後はSNS広告やインフルエンサー施策の活用など、新たなチャネルへの分散投資を進め、ターゲットに最適化した顧客獲得施策を強化してまいります。

 

・広告効率(MR)の状況

当中間連結会計期間における広告効率(MR)は1.88となり、前連結会計年度比で▲0.14ポイントと低下いたしました。この背景には、複数の要因が重なっております。

まず、当該期間においては新たなヒット商品の創出に至らず、既存の主力商品を中心とした広告運用が継続されたことにより、同一商品の露出が繰り返され、消費者の反応が鈍化する「広告効果の逓減」が顕在化しました。加えて、従来は高い効果を発揮していたテレビインフォマーシャルにおいて、業界内の不祥事報道等の影響により視聴者の信頼感が低下し、特に高年齢層を中心とした主力顧客層に対する訴求力が弱まる結果となりました。さらに、新聞媒体においても発行部数の減少が続いており、媒体全体としての獲得効率も悪化しております。

こうした環境下において、広告投資に対する効果が全体的に低下し、MRの下振れ要因となりました。今後は、低コストで構築したインフォマーシャル制作体制を活かし、複数番組の展開によるリスク分散を図るとともに、秋以降に需要が高まる革製品との連動による新たなヒット番組の創出に取り組むことで、広告効率の改善を目指してまいります。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は2,749,675千円(前年同期比12.3%増加)、営業利益は37,015千円(前年同期比67.5%減少)、経常利益は39,669千円(前年同期比65.2%減少)、親会社株主に帰属する中間純利益は30,137千円(前年同期比37.6%減少)となりました。

 

各セグメントの状況は以下のとおりとなります。

なお、前第3四半期連結会計期間より、事業内容をより適切に表示するため、従来「不動産事業」としていた報告セグメントの名称を「ディベロップメント事業」に変更しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。

 

(ライフスタイル提案事業)

ライフスタイル提案事業では、事業譲受しました「LA MARINE FRANÇAISE(マリンフランセーズ)」が堅調に推移した他、子会社の株式会社BFLATでは、主力のドレスカテゴリーの安定した成長に加え、浴衣やカジュアルラインなど他ジャンル商品も堅調に推移した結果、売上・利益の拡大が図れました。また、3月に開館しました鳥取県立美術館の隣にカフェレストランを併設したBARCOS 集いの森店を4月にオープンし、物販と飲食を融合させた新たな試みに取り組んでいます。

しかしながら、先述の広告効率(MR)の低下で見られたとおり、インフォマーシャルが低調な結果となったことが影響し、セグメント利益は前年同期を下回る結果となりました。

以上の結果、ライフスタイル提案事業の当中間連結会計期間の業績は、売上高2,620,978千円(前年同期比14.4%増加)、セグメント利益170,374千円(前年同期比35.7%減少)となりました。

 

(メディアクリエイティブ事業)

メディアクリエイティブ事業においては、米国発の関税発動事案により広告市況が一時大きく低迷したこと、また改正電気通信事業者法に伴う、広告事業運営での対応など当社グループを取り巻く社会環境で大きな変動があり、事業へも相応の影響がありました。そのような状況下において、株式会社ファッションニュース通信社はその豊富な知見を活かしてグループ内の広告運営を担うとともに、株式会社トリプル・オーはグループ内の広告制作を受託いたしました。これらのグループ間連携により、効率的かつ質の高い広告活動を実現し、グループ全体の売上・利益拡大に貢献いたしました。

以上の結果、メディアクリエイティブ事業の当中間連結会計期間の業績は、売上高136,946千円(前年同期比7.2%減少)、セグメント利益4,854千円(前年同期はセグメント損失17,022千円)となりました。

 

(ディベロップメント事業)

ディベロップメント事業では、主に東京都、大阪府のオフィスビル、事務所、マンション等の収益物件の賃貸を行っており、また、鳥取県では、BARCOS RYOKAN 三朝荘、本社に併設したBarcos Coffeeについて、外部に運営を委託することで、安定的な賃貸収入を得ております。

以上の結果、ディベロップメント事業の当中間連結会計期間の業績は、売上高11,840千円(前年同期比6.0%増加)、セグメント損失246千円(前年同期はセグメント利益991千円)となりました。

 

(2)財政状態の状況

(流動資産)

当中間連結会計期間末における流動資産の残高は、1,622,217千円(前連結会計年度末は2,241,088千円)となり、618,870千円減少しました。商品が63,515千円増加したものの、現金及び預金が489,430千円、受取手形及び売掛金が231,939千円減少したことが主な要因であります。

 

(固定資産)

当中間連結会計期間末における固定資産の残高は、2,276,170千円(前連結会計年度末は2,226,836千円)となり、49,334千円増加しました。のれんが43,390千円減少したものの、建物及び構築物が19,624千円、無形固定資産におけるその他が42,959千円、投資その他の資産におけるその他が58,741千円増加したことが主な要因であります。

 

(流動負債)

当中間連結会計期間末における流動負債の残高は、1,141,306千円(前連結会計年度末は1,855,346千円)となり、714,040千円減少しました。1年内返済予定の長期借入金が20,683千円増加したものの、短期借入金が450,000千円、未払金が155,479千円、未払法人税等が120,646千円減少したことが主な要因であります。

 

(固定負債)

当中間連結会計期間末における固定負債の残高は、2,000,414千円(前連結会計年度末は1,960,193千円)となり、40,220千円増加しました。長期借入金が33,224千円増加したことが主な要因であります。

 

(純資産)

当中間連結会計期間末における純資産の残高は、756,666千円(前連結会計年度末は652,383千円)となり、104,282千円増加しました。増資により資本金が43,985千円、資本剰余金が43,985千円増加したこと、また親会社株主に帰属する中間純利益が30,137千円になったことにより利益剰余金が増加したことが主な要因であります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ489,430千円減少し、289,335千円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、53,178千円の支出(前年同期は229,786千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益86,535千円、のれん償却額43,390千円、負ののれん発生益47,106千円、売上債権の減少額231,085千円、棚卸資産の増加額43,765千円、未払金の減少額154,858千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、112,915千円の支出(前年同期は84,983千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出34,845千円、投資有価証券の売却による収入34,801千円、無形固定資産の取得による支出44,000千円、事業譲受による支出45,179千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、320,434千円の支出(前年同期は94,764千円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額450,000千円、長期借入れによる収入250,000千円、長期借入金の返済による支出196,093千円、株式発行による収入87,970千円によるものであります。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。

 

(7)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当中間連結会計期間において、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。

 

(8)研究開発活動

該当事項はありません。

 

(9)従業員数

当中間連結会計期間において、従業員数の著しい増減はありません。

 

(10)生産、受注及び販売の実績

当中間連結会計期間において、生産、受注及び販売の実績に著しい変動はありません。

 

(11)主要な設備

該当事項はありません。

 

(12)経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、前事業年度の有価証券報告書「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、適用を受ける法令の改正等には細心の注意を払い情報収集に力を入れる等、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因について低減し、適切な対応に努めてまいります。

 

(13)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の資金の状況については、前事業年度の有価証券報告書「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりであります。

当社の資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資等であります。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 

3【経営上の重要な契約等】

当社は、2025年2月28日開催の取締役会において、株式会社INSTYLE APPARELよりLA MARINE FRANÇAISE事業を譲り受けることを決議し、同日付で事業譲渡契約を締結いたしました。

詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。