文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
[パーパス(存在意義)・中長期ビジョン]
当社グループは「いい流れをつくる。」をパーパスに掲げ、これをもとに中長期ビジョン「Create200」を策定いたしました。「Create200」では、2030年度に連結売上高200億円、営業利益20億円の達成を目標としており、グループ一丸となって持続的な企業価値の向上に取り組んでおります。

[社是]
創業の精神として受け継がれている社是を1973年に制定しました。近江商人の三方よし「売り手よし・買い手よし・世間よし」の精神に通じた価値観を踏襲し、メーカーとして重視する技術と品質への考え方と当社グループに関わるステークホルダーへの姿勢を表現しています。

(2) 中長期的な経営戦略と目標とする経営指標
2025年5月に公表した「第2次中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)(以下「第2次中計」)」は「Create200」の第2フェーズと位置づけております。第2次中計では、「売上拡大に加えて収益性にも重点を置く経営」への転換を掲げ、注力領域の選別や資源配分の最適化、グループ体制の再構築を通じて、変革から成長へのフェーズ移行を目指してまいります。
[基本戦略]
第2次中計においては、3つの基本戦略を掲げ、国内外における安定的な収益基盤の構築を図るとともに、グローバル市場で選ばれ続ける企業として、持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでまいります。
Ⅰ 既存領域の拡充
脱炭素関連製品と高付加価値化で国内市場を深掘りし、技術営業力の強化により顧客課題を解決し収益基盤を強化してまいります。
Ⅱ 海外市場の展開
国内で基盤を構築した船舶排ガス用バルブやLNG用バルブを軸にグローバル展開を加速し、海外売上高比率を向上させてまいります。
Ⅲ 新領域への挑戦
バルブ技術の応用領域拡大とDX推進、loT活用サービス事業化で新たな収益の柱を創出し、事業ポートフォリオの多角化を図ってまいります。
[財務目標]
第2次中計最終年度に連結売上高132億円、営業利益率10%以上、ROE8~10%を目指します。

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、「Create200 第2次中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)(以下「第2次中計」)」を策定いたしました。「独創的な技術」を軸に、三方よしを追求するという想いを込めた4つの社是のもと、新たな事業戦略を推進し、パーパスである「いい流れをつくる。」の実現を目指してまいります。
第2次中計は、2031年3月期に連結売上高200億円を目指す中長期ビジョン「Create200」の第2フェーズと位置づけています。2025年3月期までとしていた「変革期」を1年延長し、「成長期」への転換を図ります。また、従来の売上目標に加え、「Create200」として営業利益20億円の目標を新たに設定しました。
第2次中計では、売上高の拡大を追求するフェーズから、収益性の向上へと重点を移し、「既存領域の拡充」「海外市場の展開」「新領域への挑戦」の3つを基本戦略として定めました。これらを通じて、国内外における安定的な収益基盤の構築を図るとともに、グローバル市場で選ばれ続ける企業として持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでまいります。
なお、2026年3月期は「変革期」の最終年度にあたり、新基幹システムの本格稼働に向けた体制整備を進めていく過程で、各部門における負荷増加やコストの上昇が業績に影響する見込みです。また、米国の関税措置が事業及び業績に与える影響については現時点での見積りが困難ではあるものの、近年において米国向けの直接取引がないことから、現段階では当社グループへの影響は軽微であると判断しております。
以上を踏まえ、翌連結会計年度の業績につきましては、売上高は10,700,000千円(前年同期比2.5%増)、営業利益は680,000千円(前年同期比13.2%減)、経常利益は680,000千円(前年同期比8.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は450,000千円(前年同期比18.7%減)を想定しております。なお、これらの予想及び進捗は、今後の受注環境等、様々な要因により変動する可能性を含んでおります。
(免責・注意事項)
記載しております当社の現在の経営指標、経営戦略等は将来の実績等に関する見通しであり、リスクや不確定な
要因を含んでおります。そのため、実際の業績につきましては、一般的経済状況、製品需給や市場価格の状況、市
場での競争の状況、為替の変動等さまざまな要因により、これらの見通しと大きく異なる結果となることがあり得
ます。従って、当社として、その確実性を保証するものではありませんのでご承知おきください。
当社グループの持続的な成長のためには、常に時代の流れを読み、独創的な技術をもって、お客さまや社会のニーズの変化に対応していくことが重要であると考えております。近年、企業には環境や気候変動問題への対応や多様な働き方等様々な社会課題に対応していくことが求められる中で、パーパスや社是に込められた想いや考え方を礎として、自社の企業価値向上と持続可能な社会に貢献してまいります。
当社グループは、ESG課題を経営上の重要事項として捉え、取締役会において議論し、経営戦略に反映しております。具体的な対応や取り組みは、代表取締役社長を委員長として2022年6月に設置したサステナビリティ委員会で協議することとしております。
2025年3月期は当委員会を2回開催し、CO2排出量の削減率(国内事業所におけるscope1,2)について、月次ベースでの集計体制を継続運用していること、サステナビリティKPI達成に向け、ロードマップのドラフトを策定したこと等を報告、協議しました。
当社グループは、サステナビリティ向上に向けた取り組みを実践していくうえで、マテリアリティ(重要課題)として「地球環境保全への取り組み」、「グローバル社会への貢献」、「社員満足度の向上」を特定し、その3つのマテリアリティに紐づく、新たなESG課題によるサステナビリティ戦略を策定しました。
また、人材育成の方針や社内環境整備の方針については、「社員教育の充実と社員が誇りを持てる会社づくり」、「ワーク・ライフ・バランスの推進、仕事と子育ての両立や多様な労働条件の整備、働きやすい職場環境の整備」を展開施策としております。
社内一丸となってこれらの取り組みを加速させ、持続可能な社会の構築により一層貢献してまいります。
詳細は[サステナビリティへの主な取り組みと主要指標]に記載しております。なお、主な取り組みと主要指標は、連結グループにおける記載が困難であるため、当社のものを記載しております。

③ リスク管理
サステナビリティ委員会にて当社グループが優先的に取り組むべきマテリアリティやESG課題に沿って施策の検討や進捗状況の確認を行うことにより、サステナビリティに関するリスク管理体制を構築しております。当委員会は原則として年2回以上開催し、その内容については取締役会に報告しております。また、他の各委員会や各部署、関連会社と情報共有・報告体制を構築しており、各施策への取り組み状況やKPIの進捗確認等を行うこととしております。
■サステナビリティ推進体制

④ 指標及び目標
当社グループは、バルブの製造・販売を通じて脱炭素社会への貢献に取り組む一方で、自社の事業活動によって発生する気候関連リスクを管理・抑制する必要があると考えております。その代表的な指標として「CO2排出量の削減率(国内事業所におけるscope1,2)」を設定しており、削減への取り組みを進めてまいります。
[サステナビリティへの主な取り組みと主要指標]
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。これらのリスクの発生可能性や影響度を認識した上で、リスクを低減するための対応策を記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①経営成績の状況
当社グループでは、2022年5月に「Create200 第1次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)(以下「第1次中計」)」を公表し、新たに策定したパーパス「いい流れをつくる。」、2030年度に連結売上高200億円を目指す中長期ビジョン「Create200」を掲げ、グループ一丸となって企業価値の向上に取り組んでおります。
第1次中計では、「脱炭素化に向けたクリーンエネルギー市場を含む成長市場に対応できる新商品開発と販売体制を確立する」を方針として、「成長市場に対応できる新商品開発と販売体制の確立」「既存商品力の強化」「企業風土の変革とサステナブルな成長・発展」「社員満足度の向上」の4つの基本経営戦略を掲げ、事業基盤の構築を図ってまいりました。
第1次中計の最終年度となる当連結会計年度における受注高は10,974,682千円(前年同期比9.4%増)、売上高は10,438,263千円(前年同期比10.1%増)となりました。
利益面におきまして、仕入材料価格の上昇やエネルギーコストの高止まり、賃上げに伴う人件費の増加等の影響を受けたものの、当社が得意とするカスタマイズ製品の販売増加による収益性の改善等により営業利益は783,574千円(前年同期比17.3%増)、経常利益は740,548千円(前年同期比1.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、553,410千円(前年同期比8.3%増)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ565,550千円増加の13,163,811千円となりました。これは主として、現金及び預金が665,038千円、原材料及び貯蔵品が178,998千円、売掛金が175,723千円、未収消費税等が33,297千円それぞれ増加し、電子記録債権が549,565千円が減少したことによるものであります。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末と比べ131,085千円減少の2,851,243千円となりました。これは主として、長期借入金が230,928千円、未払消費税等が133,982千円、電子記録債務が58,656千円、長期未払金が46,500千円それぞれ減少し、支払手形及び買掛金が118,993千円、未払金が100,297千円、短期借入金が84,610千円、製品保証引当金が33,806千円それぞれ増加したことによるものであります。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末と比べ696,635千円増加の10,312,567千円となりました。これは主として、利益剰余金が372,384千円、為替換算調整勘定が298,815千円それぞれ増加したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は2,055,771千円と前年同期と比べ718,048千円の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,121,440千円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が492,562千円増加しました。これは主として、売上債権の増減額が891,978千円減少し、棚卸資産の増減額が379,115千円増加したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、129,302千円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が120,547千円減少しました。これは主として、定期預金の払戻による収入が53,014千円増加し、有形固定資産の取得による支出が46,273千円減少したことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、358,670千円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が271,175千円減少しました。これは主として、短期借入金の純増減額が267,945千円増加したことによるものであります。
生産実績、受注実績、販売実績を市場別に示すと次のとおりであります。なお、当社グループはバルブ製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別に代えて市場区分別に示しております。
a 生産実績
(注) 1.当社グループ間の取引については簡易的に相殺消去しております。
2.製造原価を以て生産実績を示しております。
3.製造原価は、市場区分別に区別することが困難なため、全市場区分計にて示しております。
b 受注実績
(注) 当社グループ間の取引については簡易的に相殺消去しております。
(注) 1.当社グループ間の取引については簡易的に相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
a 財政状態
「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b 経営成績
当連結会計年度における売上高は10,438,263千円、営業利益は783,574千円、経常利益は740,548千円、親会社株主に帰属する当期純利益は553,410千円となりました。
陸用市場全体の受注高は前年同期比で減少したものの、売上高は増加しました。これは、前期に大型案件の納入があった石油化学と電力・ガス向けでは低調が続いた一方、建築設備や鉄鋼・金属向けが堅調に推移したこと等が主な要因となります。舶用市場全体の受注高は、発電用補機向けの船舶排ガス用バルブを中心に前年同期比で大幅に増加し、売上高も同様に大きく伸長しました。造船向けの販売も、世界的な新造船竣工量の回復により販売数量が増加し、堅調に推移しました。船舶排ガス用バルブにつきましては、海外競合による価格攻勢が続くなか、需要の拡大に加え、豊富な納入実績と当社グループのサポート体制が評価されていることにより、売上高は大幅に増加しました。また、脱炭素への移行期の燃料として注目される液化天然ガス(LNG)を燃料とする船舶の燃料ガス供給システム(FGSS:Fuel Gas Supply System)向けのLNG用バルブについては、計画どおり納入は進んだものの、減収となりました。
利益面におきまして、仕入材料価格の上昇やエネルギーコストの高止まり、賃上げに伴う人件費の増加等の影響を受けたものの、当社が得意とするカスタマイズ製品の販売増加による収益性の改善等により営業利益は増益となりました。経常利益は為替差損の影響等により減益となりました。上記の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a キャッシュ・フロー
「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの必要運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資や長期運転資金は、金融機関からの長期借入れを基本としております。機動的かつ効率的な資金調達をすべく、主要取引銀行と当座貸越契約を締結しております。
c 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたっては、期末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を行うことが必要となります。当社グループは、連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
見積り、判断及び仮定により当社グループの連結財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えている項目は次のとおりであります。
(棚卸資産の評価)
当社グループは、将来推定される需要及び市場状況に基づく時価の見積額と原価との差額について、評価減を計上しております。今後の需要又は市場状況が悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
(貸倒引当金)
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。この貸倒引当金は、期末の一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を見積った金額であります。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、将来の回収可能性を十分に検討した上で、回収可能額を繰延税金資産として計上しております。なお、業績の動向によっては繰延税金資産の取崩が必要となる可能性があります。
当社の研究開発は、技術本部が中心となり、製品開発や要素試験など主要なテーマをもって研究開発を行っております。また、開発完了した項目に関しては、製品リリースに向けて設計部門・製造部門の要員と協力し量産体制の構築を行っております。
当連結会計年度におきましては、次世代エネルギー等の重点市場分野における新製品の開発や、低炭素社会の実現に向けた製品ラインナップの拡充に注力いたしました。
また、Go-Tech事業を通じて培った産官学連携の体制を活用しつつ研究開発を推進していきます。
なお、当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
当社グループはバルブ製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。