文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
[パーパス(存在意義)・中長期ビジョン]
当社グループは2022年5月に「Create200 第1次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)(以下「第1次中計」)」を公表し、新たに パーパス「いい流れをつくる。」を策定しました。中長期ビジョンとしては、2030年度に連結売上高200億円を目指す「Create200」を掲げ、グループ一丸となって持続的な企業価値の向上に取り組んでいます。

[社是]
創業の精神として受け継がれている社是を1973年に制定しました。近江商人の三方よし「売り手よし・買い手よし・世間よし」の精神に通じた価値観を踏襲し、メーカーとして重視する技術と品質への考え方と当社グループに関わるステークホルダーへの姿勢を表現しています。

(2) 中長期的な経営戦略と目標とする経営指標
「Create200」の実現に向けた最初の3カ年計画である第1次中計は、第2次、第3次の成長期に向けた変革期の最終準備期間と捉えています。脱炭素化に向けたクリーンエネルギー市場を含む成長市場の開拓に向け新商品開発と取扱い商品の拡充を行い、また既存の商品力を強化することにより業容の拡大を図ってまいります。
[中期経営計画方針]
脱炭素化に向けたクリーンエネルギー市場を含む成長市場に対応できる新商品開発と販売体制を確立する
[基本経営戦略]
① 成長市場に対応できる新商品開発と販売体制を確立する
新たな流体に適用できるバルブの開発プロセスを通じて当社の開発技術力のステージアップに取り組みます。
また、船舶排ガス用バルブ市場での競争優位性を確立し、更なる売上高の拡大と利益の確保に取り組みます。加えてポスト船舶排ガス用バルブを見据えた事業展開を探るためマーケティング機能を強化してまいります。これらの取り組みにより更に競争力を高めて、流体制御のグローバルニッチトップ企業を目指します。
② 既存商品力を強化する
売上のベースとなるゴムシート式バタフライバルブを中心とする既存バルブはビル建築、食品、工業用プラント、造船等幅広い工業インフラに採用されており、当該バルブは競合他社との競争にさらされています。当社グループは継続して顧客に選ばれ続けるため、既存バルブのリニューアルを進め、品質、生産性を設計段階から見直し、最新の生産技術(画像認識、AI、IoT、ロボット等)を取り入れて競争力のある商品に変えてまいります。
③ 上場会社としての基盤を確立し、サステナブルに成長・発展する
コーポレートガバナンス・コードに則った企業統治の仕組みを構築し、その定着化と充実化に取り組んでまいります。またESG・SDGsの視点を事業に取り込むことで積極的な事業展開を図ります。さらに日本国内と海外グループ会社の連携を強化してグループ経営を確立してまいります。
④ 社員満足を向上させる
人が会社を創っていくことを基本とし、新たな市場開拓、商品開発、生産性向上に貢献できる人材の確保と育成を目指し、制度整備、職場環境整備、人材育成プログラムを構築いたします。
また、ワーク・ライフ・バランスを推進し、仕事と子育ての両立や多様な労働条件の整備に取り組み、働きやすい職場環境を整備してまいります。
[財務目標]
第1次中計最終年度に連結売上高101億円、営業利益率7%以上を目指します。長期的には業容拡大とともに生産性の向上等、原価低減活動に継続的に取り組むことで収益性の向上を図り、営業利益率10%以上、ROE(自己資本当期純利益率)8%以上になるよう努めます。
(注)2025年3月期の当初目標値における売上高前年比は、2024年3月期の当初目標値における売上高10,900百万円を基準としています。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
翌連結会計年度における当社の売上高と利益は、前年を上回る水準で推移すると予想しております。しかしながら、原材料価格やエネルギーコストの高止まり、人件費の増加等による販売費及び一般管理費の増加等が予想されます。中国経済の先行き懸念も踏まえ、今後の経済情勢や市場動向に注意を払いながら必要な施策を講じ、戦略的に経営を進めてまいります。
以上の状況を踏まえ、翌連結会計年度の業績につきましては、売上高は10,150,000千円(前年同期比7.0%増)、営業利益は785,000千円(前年同期比17.5%増)、経常利益は820,000千円(前年同期比9.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は560,000千円(前年同期比9.6%増)を想定しております。なお、これらの予想及び進捗は、今後の受注環境等、様々な要因により変動する可能性を含んでおります。
翌連結会計年度の業績は前年同期比で増収増益を見込むものの、第1次中計の目標値は下回る予想となっております。これを踏まえて、第1次中計を定量的かつ定性的に振り返り、より一層の成長を目指した第2次中計を策定してまいります。
これにより、国内外で安定した収益構造を構築し、世界市場においてお客様に選ばれ続ける企業として持続的な成長・発展に努めるとともに、さらなる収益性の拡大、企業価値の向上に取り組んでまいります。
(免責・注意事項)
記載しております当社の現在の経営指標、経営戦略等は将来の実績等に関する見通しであり、リスクや不確定な
要因を含んでおります。そのため、実際の業績につきましては、一般的経済状況、製品需給や市場価格の状況、市
場での競争の状況、為替の変動等さまざまな要因により、これらの見通しと大きく異なる結果となることがあり得
ます。従って、当社として、その確実性を保証するものではありませんのでご承知おきください。
当社グループの持続的な成長のためには、常に時代の流れを読み、独創的な技術をもって、お客さまや社会のニーズの変化に対応していくことが重要であると考えております。近年、企業には環境や気候変動問題への対応や多様な働き方等様々な社会課題に対応していくことが求められる中で、パーパスや社是に込められた想いや考え方を礎として、自社の企業価値向上と持続可能な社会に貢献してまいります。
当社グループは、ESG課題を経営上の重要事項として捉え、取締役会において議論し、経営戦略に反映しております。具体的な対応や取り組みは、代表取締役社長を委員長として2022年6月に設置したサステナビリティ委員会で協議することとしております。
2024年3月期は当委員会を2回開催し、CO2排出量の削減率(国内事業所におけるscope1,2)について、月次ベースでの集計体制が整備できたこと、サステナビリティKPI達成に向け、ロードマップの策定を検討していくこと等を報告、協議しました。
当社グループは、サステナビリティ向上に向けた取り組みを実践していくうえで、マテリアリティ(重要課題)として「地球環境保全への取り組み」、「グローバル社会への貢献」、「社員満足度の向上」を特定し、その3つのマテリアリティに紐づく、新たなESG課題によるサステナビリティ戦略を策定しました。
また、人材育成の方針や社内環境整備の方針については、「社員教育の充実と社員が誇りを持てる会社づくり」、「ワーク・ライフ・バランスの推進、仕事と子育ての両立や多様な労働条件の整備、働きやすい職場環境の整備」を展開施策としております。
社内一丸となってこれらの取り組みを加速させ、持続可能な社会の構築により一層貢献してまいります。
詳細は[サステナビリティへの主な取り組みと主要指標]に記載しております。なお、主な取り組みと主要指標は、連結グループにおける記載が困難であるため、当社のものを記載しております。

③ リスク管理
サステナビリティ委員会にて当社グループが優先的に取り組むべきマテリアリティやESG課題に沿って施策の検討や進捗状況の確認を行うことにより、サステナビリティに関するリスク管理体制を構築しております。当委員会は原則として年2回以上開催し、その内容については取締役会に報告しております。また、他の各委員会や各部署、関連会社と情報共有・報告体制を構築しており、各施策への取り組み状況やKPIの進捗確認等を行うこととしております。
■サステナビリティ推進体制

④ 指標及び目標
当社グループは、バルブの製造・販売を通じて脱炭素社会への貢献に取り組む一方で、自社の事業活動によって発生する気候関連リスクを管理・抑制する必要があると考えております。その代表的な指標として「CO2排出量の削減率(国内事業所におけるscope1,2)」を設定しており、削減への取り組みを進めてまいります。
[サステナビリティへの主な取り組みと主要指標]
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。これらのリスクの発生可能性や影響度を認識した上で、リスクを低減するための対応策を記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①経営成績の状況
当社グループでは、2022年5月に「Create200 第1次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)(以下「第1次中計」)」を公表し、新たに策定したパーパス「いい流れをつくる。」、2030年度に連結売上高200億円を目指す中長期ビジョン「Create200」を掲げ、グループ一丸となって企業価値の向上に取り組んでおります。
第1次中計では、「脱炭素化に向けたクリーンエネルギー市場を含む成長市場に対応できる新商品開発と販売体制を確立する」を方針として、「成長市場に対応できる新商品開発と販売体制の確立」「既存商品力の強化」「企業風土の変革とサステナブルな成長・発展」「社員満足度の向上」の4つの基本経営戦略を掲げ、事業基盤の構築を図っております。
当連結会計年度における受注高は10,033,542千円(前年同期比0.2%増)、売上高は9,484,631千円(前年同期比3.5%増)となりました。
利益面におきましては、販売価格の改定等が寄与した一方、上期に実施した生産調整により一時的に売上高が伸び悩んだことや、原材料価格やエネルギーコストの高止まり等による売上原価率の上昇、販売費及び一般管理費の増加等により営業利益は667,842千円(前年同期比18.9%減)、経常利益は749,669千円(前年同期比13.8%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、511,041千円(前年同期比33.4%減)となりました。前期には特別利益として中国子会社の関係会社清算益が計上されたことが主な減益要因です。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は12,598,260千円(前年同期比0.2%増)となりました。主な内訳は、現金及び預金1,390,733千円、売上債権3,840,827千円、棚卸資産2,905,653千円、有形固定資産3,817,442千円、無形固定資産143,201千円、投資その他の資産413,132千円であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は2,982,328千円(前年同期比11.4%減)となりました。主な内訳は、仕入債務1,012,408千円、長期借入金(1年以内返済予定含む)948,126千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は9,615,932千円(前年同期比4.4%増)となりました。主な内訳は、利益剰余金7,033,508千円であります。
③キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益750,531千円に減価償却費328,783千円を加え、売上債権の増加額497,751千円、棚卸資産の減少額281,487千円及び法人税等の支払額392,562千円等を加減した結果、628,877千円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、敷金及び保証金の回収による収入6,745千円等による増加、有形固定資産の取得による支出203,667千円、無形固定資産の取得による支出22,655千円及び敷金及び保証金の差入による支出19,764千円等の減少により、249,849千円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出233,077千円及び短期借入金の純増減額184,565千円、配当金の支払額180,826千円等による減少により、629,846千円の支出となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して222,616千円減少し、1,337,723千円となりました。
受注実績、生産実績、販売実績を市場別に示すと次のとおりであります。なお、当社グループはバルブ製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別に代えて市場区分別に示しております。
a 生産実績
(注) 1.当社グループ間の取引については簡易的に相殺消去しております。
2.製造原価を以て生産実績を示しております。
3.製造原価は、市場区分別に区別することが困難なため、全市場区分計にて示しております。
b 受注実績
(注) 当社グループ間の取引については簡易的に相殺消去しております。
(注) 1.当社グループ間の取引については簡易的に相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
a 経営状態
当連結会計年度における売上高は9,484,631千円、営業利益は667,842千円、経常利益は749,669千円、親会社株主に帰属する当期純利益は511,041千円となりました。
売上面は、陸用においては、建築設備関連向けの販売が低調となった一方、電力・ガス関連や鉄鋼・金属関連向け等が堅調に推移したことや、販売価格の改定の影響等により前年同期比で増収となりました。舶用において、造船向けの販売につきましては、国内造船各社の人手不足を主因とする操業スローダウンの影響を受けましたが、販売数量の増加と販売価格の改定効果により伸長しました。一方、船舶排ガス用バルブにつきましては、競合他社からの価格攻勢が継続したこと等により販売はやや低調となりました。LNG用バルブにおいては、販売が好調に推移しました。
利益面では、販売価格の改定等が寄与した一方、上期に実施した生産調整により一時的に売上高が伸び悩んだことや、原材料価格やエネルギーコストの高止まり等による売上原価率の上昇、販売費及び一般管理費の増加等により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、前期には特別利益として中国子会社の関係会社清算益が計上されたことが主な減益要因です。
b 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は、電子記録債権が535,329千円増加したこと、現金及び預金が222,615千円、仕掛品が179,978千円減少したこと等により、前連結会計年度末と比べ34,293千円増加し、8,224,483千円となりました。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は、投資有価証券が34,294千円増加したこと、有形固定資産合計が53,475千円減少したこと等により、前連結会計年度末と比べ10,692千円減少し、4,373,777千円となりました。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は、電子記録債務が128,738千円、未払消費税等が133,982千円増加したこと、短期借入金が184,610千円減少したこと等により、前連結会計年度末と比べ135,964千円減少し、2,146,942千円となりました。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は、長期借入金が234,246千円、リース債務が19,991千円が減少したこと等により、前連結会計年度末と比べ246,490千円減少し、835,386千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金が330,215千円、為替換算調整勘定が47,878千円増加したこと等により、前連結会計年度と比べ406,056千円増加し、9,615,932千円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a キャッシュ・フロー
「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの必要運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資や長期運転資金は、金融機関からの長期借入れを基本としております。機動的かつ効率的な資金調達をすべく、主要取引銀行と当座貸越契約を締結しております。
c 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたっては、期末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を行うことが必要となります。当社グループは、連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
見積り、判断及び仮定により当社グループの連結財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えている項目は次のとおりであります。
(棚卸資産の評価)
当社グループは、将来推定される需要及び市場状況に基づく時価の見積額と原価との差額について、評価減を計上しております。今後の需要又は市場状況が悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
(貸倒引当金)
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。この貸倒引当金は、期末の一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を見積った金額であります。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、将来の回収可能性を十分に検討した上で、回収可能額を繰延税金資産として計上しております。なお、業績の動向によっては繰延税金資産の取崩が必要となる可能性があります。
当社の研究開発は、技術本部が中心となり、製品開発や要素試験など主要なテーマをもって研究開発を行っております。また、開発完了した項目に関しては、製品リリースに向けて設計部門・製造部門の要員と協力し量産体制の構築を行っております。
当連結会計年度におきましては、次世代エネルギー等の重点市場分野における新製品の開発や、低炭素社会の実現に向けた製品ラインナップの拡充に注力いたしました。
また、昨年度から引き続きGo-Tech(旧サポイン)事業を活用し、液化水素用大口径バタフライバルブの研究開発を産官学連携で推進してまいりました。
なお、当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
当社グループはバルブ製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。