第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループでは、「まるくて大きな時代をつくろう」を企業理念に、その実現に向けた第一弾の事業として、 クリエイターエンパワーメント事業を推進しています。

 日本ならびに中国語圏におけるグローバルハンドメイドマーケットプレイス「Creema」の運営を行うマーケットプレイスサービス、「Creema」のプラットフォームを活用し、出店クリエイター・企業・地方公共団体のマーケティング支援を行うプラットフォームサービス、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’(東京ビッグサイト)」等の大型イベントの開催や、「Creema Store(新宿・札幌)」等の店舗を展開するイベント・ストアサービス、さらには、クリエイターの創造的な活動を応援することに特化したクラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」をはじめとする新サービス群など、クリエイターの活動を支援するサービスを様々な角度から展開し、まだ見ぬ巨大なクリエイター経済圏の確立と、クラフトカルチャーの醸成に力を注いでおります。

 

(2)経営戦略等

 当社グループでは、マーケットプレイスサービスにてクリエイター数・ユーザー数(アプリDL数や訪問数等)を安定的に積み上げつつ、マーケットプレイスの運営を通じて構築される豊富なユーザー基盤、プラットフォーム基盤を活用し、広告サービスやイベント・ストアサービス等、周辺領域でのサービス収益もスケールさせていくモデルとなっております。そのため、今後においても、事業の基盤であり起点となるマーケットプレイスサービスの品質向上を通じたストック収益とプラットフォーム基盤の強化に対し優先的にリソースを投下しつつ、そこで得た有形・無形の資産を活用する新サービス群にもリソースを投下することで、シナジーの効く事業領域で収益の多角化を図って参ります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの事業においては、中心的なサービスである「Creema」の、プラットフォームとしての価値を高めることが重要であるため、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、登録作品数、アプリダウンロード数及び流通総額であると考えております。

 

(4)当社グループの経営成績に影響を与える経営環境

 日本のハンドメイドマーケット市場は、2010年、日本初のハンドメイドマーケットプレイス「Creema」を当社がリリースしたことに端を発する比較的新しい市場であり、現在の国内市場では、当社グループが運営する「Creema」と、GMOペパボ株式会社が運営する「minne」の二大サービスが市場を牽引しております。

 一般社団法人日本ホビー協会が発行している『ホビー白書2018年版』によれば、日本のハンドメイドマーケット市場の直近4ヵ年の年平均成長率(CAGR)は168%と非常に高い水準で推移しております。

 また、近年ではスマートフォンの普及等を背景に個人間の電子商取引(CtoC)の市場が年々拡大を続けております。それにともない、個人によるECサイトの開設や、企業によるECサイトの提供が増加基調にあり、このトレンドも相まってオンライン上でのハンドメイド製品の流通も一般化しており、今後も市場規模は引き続き一定水準以上の高成長率で拡大することが見込まれます。

 さらに、当社グループのマーケットプレイスはプラットフォームとしての一面を持つため、流通規模が拡大するにつれて、取引に携わるクリエイター数や会員数、作品数等が増加し、それに伴い、プラットフォームとしての価値も高まっていく構造にあります。プラットフォームとしての価値の高まりが、我々のプラットフォームが生み出す収益、例えば広告サービスからの収益や、クリエイター・会員向けの支援サービスの収益を押し上げることで、当社グループの事業が関わる市場規模は一層拡大していきます。そのため、当社グループのサービスの潜在市場規模は、単純なハンドメイドマーケット市場の市場規模を優に超える巨大なポテンシャルを保持していると考えております。

 足元では、新型コロナウイルスの影響により、人々の生活様式や消費行動にも大きな変化がみられています。当社グループにおいても、大型イベントの開催中止や実店舗の休業・閉店を余儀なくされるなど、売上の減少要因となる影響が出ている一方、マーケットプレイスサービスにおいては「巣ごもり消費」のニーズを捉えて、売上を大きく伸ばしている他、従来より進めて参りました収益モデルの複層化の進展もあり、事業全体としては堅調に成長することができており、現時点において、新型コロナウイルスの当社事業への影響は限定的であると考えております。

 新型コロナウイルスの収束には、相当程度の時間を要すると想定しており、また、収束後であっても、人々の生活様式等が元の通りに戻るとは限らないと想定されます。当社は常に、世の中の変化に迅速かつ柔軟に対応し、市場の動向やトレンド、ニーズを的確に捉えた経営を行っていく所存であります。

 なお、2020年3月より、当社グループでは、従業員の安全を最優先し、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、時差通勤およびリモートワークの導入等を行っておりますが、現状、事業継続にあたって大きな問題は生じておりません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 新型コロナウイルス感染症の拡大などにより、今後の日本経済は、先行き不透明な状況が継続するものと推察されます。一方で、当社グループが関連するD2C領域及びハンドメイド・クラフト領域においては、そのニーズの高まりから、日本国内において、その市場規模は大きな成長を続けている状況にあり、今後もこのトレンドが一定程度継続するものと考えております。

 このような経済状況・市場環境の中、2022年2月期には、2021年2月期に引き続き、市場におけるリーディングカンパニーとしての地位を維持するとともに、更なる成長を目指し、ユーザーへの提供価値及びサービス規模の最大化を第一に考えた事業運営を行い、クリエイターの方々にとって「一番売れる」「一番使いやすい」「一番信頼できる」サービスの構築を目指すとともに、ユーザーの方々にとっても「一番購入しやすい」「一番ステキな作品が見つかる」「一番信頼できる」サービスとなるべく、工夫・改善を続け、業績の継続的な成長率引き上げを目指して参ります。

 具体的には、マーケットプレイスサービスにおいては、当社の主力サービスである「Creema」プロダクトの磨き込みを引き続き行い、クリエイター・ユーザー双方の利便性を一層高めるとともに、各種マーチャンダイジングやキャンペーン施策の実施を推進することで、流通総額の最大化を図って参ります。

 プラットフォームサービスにおいては、「Creema」上でクリエイターが自身の作品をPRできる「内部広告」サービスの利用を促進すべく、機能開発・キャンペーン施策を行うとともに、企業や地方公共団体がクライアントとなる「外部広告」サービスにおいては、タイアップ記事広告やクリエイターコラボ企画など、当社にしかできないオンライン広告サービスを主軸に積極的に受注を進めて参ります。また、クリエイターの方々により一層ご活躍いただくべく、コンサルティングやセミナー等も今以上に充実させて参ります。

 イベント・ストアサービスにおいては、新型コロナウイルス感染症の収束状況を鑑みた上で、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’」や「Creema Craft Party」等の大型ハンドメイドイベントの開催を段階的に復活させたいと考えております。また、札幌・新宿に2店舗を構える「Creema Store」においても、消費生活の変化やトレンド変容を踏まえたマーチャンダイジングを強化することで、新しい生活環境下におけるハンドメイドプロダクトのある暮らしを提案し、事業を成長させていきたいと考えております。

 これらの主要サービスに加え、クラウドファンディングサービス等、2021年2月期より始めた各種新規サービスの拡大を図るとともに、次なる成長の柱を育てるべく、当社が保有するプラットフォーム基盤とシナジーのある領域を中心に、新たな事業の立ち上げに向けて準備を進めて参ります。

 これら全ての施策を連携させながら、ユーザー価値の最大化を図ると同時に、当社サービス及び市場の拡大、クリーマ経済圏の確立に取り組んで参ります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)インターネット関連市場について

 当社グループはオンラインマーケットプレイス「Creema」の運営を主力サービスとし、同サイト上からの販売手数料収入と広告収入を主な収益源としています。同サービスの持続的な成長のためには、インターネットにおける技術の改善、環境の整備、そして利用の拡充が今後とも継続することが重要な要因と考えております。しかしながら、革新的な新技術や大幅な規制変更により、インターネット関連市場の利便性が損なわれ、今後のインターネットショッピングサイトの運営の遂行が困難になった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)ビジネスモデルや消費者の嗜好の変化について

 当社グループが主力サービスを運営するインターネット業界は、技術革新のスピードが速く、新技術の開発、新しいビジネスモデルによる新規参入者、顧客のニーズの変化等のリスクが存在します。そのため当社グループの事業の成長及び成功は、このような経営環境の変化に対して、迅速かつ柔軟に対応する経営執行能力及び技術開発力に依存しています。しかしながら、当社グループが、このような事業環境の変化に機敏に対応できず、消費者のニーズを取り込むことができない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)サービスの健全性の維持について

 当社グループが運営するオンラインマーケットプレイスは、クリエイター(出店者)とユーザー(購入者)の間での取引の場としてのプラットフォームを提供しています。当社グループでは、プラットフォームとしての健全性確保のため、サービス内における禁止事項を利用規約に明記し、当社グループのサービスにおいて禁止行為を排除するための監視を行うとともに、通報制度を設けています。

 しかしながら、当社グループのサービスにおいて、知的財産権を侵害する行為、詐欺その他の法令違反行為等が行われた場合や、禁止事項を発見または排除することができないことにより、プラットフォームとしての健全性を確保できない場合、当社グループのサービスに対する信頼性が低下し、会員離れが発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)システムトラブルについて

 当社グループはオンラインマーケットプレイスの運営が主力サービスであり、その安定的な運用のためのシステム強化及びセキュリティ対策に注力しています。しかしながら、システムへの一時的な過負荷、ソフトウェアの不具合、外部からの不正なアクセスによるシステムへの侵入、地震や火事等の災害、予期せぬ電力供給の停止、事故等によって、当社グループのシステムがダウンした場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)当社グループ運営サイトの会員間トラブルが与える影響について

 会員(クリエイター及びユーザー)間でトラブルが発生し、会員が当社グループへトラブル内容の連絡をしてきた場合、当社で事実確認を行ったうえで、該当会員への説明及びトラブルの原因となった事項の改善を求め、また、当社グループの判断によっては当社運営サイトの利用制限を設ける等の措置を講じております。

 しかしながら、すべての会員が当社グループの対応に納得するとは限らないため、当社グループ及び当社グループ運営サイトに対する評判の低下、または風評により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)情報セキュリティについて

 当社グループは、第三者からのサーバー等への侵入に対して、ネットワーク監視システム等で常時モニタリングを行い、データの送受信にあたっては暗号化を行う等のセキュリティ対策を講じております。

 しかしながら、ハッカー等の悪意をもった第三者の攻撃等により、顧客情報及び顧客の有する重要な情報を不正に入手される可能性や、顧客が利用するデータが改竄される可能性、または各サービスへの急激なアクセス増加に伴う負荷や自然災害等に起因するデータセンターへの電力供給の停止等、予測不可能な要因によってシステムが停止する可能性は否定できません。

 このような事態が生じた場合には、当社グループに対する法的責任の追求、企業イメージの悪化等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)個人情報の管理について

 当社グループは、オンラインマーケットプレイスの運営が主力サービスであり、そこで扱っている会員等の個人情報につきまして、システムを設計するうえでの配慮は当然ながら、個人情報に関する社内でのアクセス権限の設定や外部のデータセンターでの厳重な情報管理等、サーバー、管理画面及び物理的な側面からもその取り扱いに注意を払っております。

 また、社内での個人情報保護に関する研修を行なっており、個人情報を漏洩した際のリスクを含め個人情報保護の重要性の認識の周知徹底を行なっております。

 しかしながら、外部からの不正アクセスや、故意または過失による情報漏洩、またそれら以外の想定していない事態は完全には排除できないことから、個人情報の外部流出等が発生する可能性があります。

 このような事態が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)知的財産権について

 当社グループは、運営するサイト及びイベントの名称について商標登録を行っており、当社グループが使用する知的財産権の保護を図っています。しかしながら、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合、または知的財産権の保護のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、第三者の知的財産権の侵害を行わないよう監視を行っていますが、知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起された場合、またその紛争解決のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)第三者への依存について

 当社グループは、ユーザーにスマートフォン向けアプリを提供していることから、Apple Inc.及びGoogle LLCが運営するプラットフォームを通じてアプリを提供することが現段階の当社グループの事業にとって重要な前提条件となっております。また、当社グループは、ユーザーの決済手段として、クレジットカード決済、コンビニ決済等の外部の事業者が提供するサービスを導入しています。したがって、これらの事業者の動向、事業戦略及び当社グループとの関係等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは商品の配送についてヤマト運輸株式会社や日本郵便株式会社等の配送業者に依存していることから、今後これらの配送業者について取引条件の変更、事業方針等の見直し及び配送状況の変化等があった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)人材の確保と育成について

 当社グループは、継続的な成長を達成するためには、優秀で熱意のある人材を確保し育成することが重要な課題の一つであると認識しており、優秀な人材の確保、育成及び活用に努めております。しかしながら、当社グループが求める優秀な人材を計画どおりに確保できなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)組織体制と内部管理体制について

 当社グループの組織体制は小規模であり、内部管理体制もそれに準じたものとなっていますが、今後の事業の成長とともに人員増強及び人材育成を図り、内部管理体制の一層の強化に努める方針であります。しかしながら、内部管理体制強化のための施策が十分に執行できず、内部統制管理に重大な不備が発生した場合や財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財務報告の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)新規事業について

 当社グループは、今後のさらなる事業拡大及び非連続的な成長を目指し、新サービスや新規事業に取り組んでいく方針であります。新規投資においては、将来性を考慮し慎重な判断を行う考えではありますが、人材、システム開発、固定資産や広告宣伝費等の追加投資が発生する可能性があります。そのような場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、新サービスや新規事業の属する市場の拡大スピードや成長規模によっては、当初想定していた成果を挙げることができない可能性があり、事業の停止、撤退等を余儀なくされ、当該事業用資産の処分や減損により損失が生じる可能性があり、そのような場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)自然災害等について

 大地震、台風等の自然災害及び事故、火災等により、システム開発・運用業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限、配送網の分断、混乱等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)新型コロナウイルス等の感染症の影響について

 新型コロナウイルスに代表される感染症・伝染病の流行等によって、拡散脅威や外出禁止令による経済活動の停滞や、国内消費量が減退する可能性があります。そのような環境の中でも、当社グループが属するハンドメイド業界では、新型コロナウイルス感染拡大防止のための生活様式変容における「巣ごもり消費」が活況となることで継続的な需要が期待できるものと考えております。しかしながら、感染症の流行が長期化することで、実店舗での業績悪化が拡大することや、イベントの開催自粛の継続、直接顧客訪問ができないことで新規営業活動が想定通りに進まなくなるなどのリスクがあると考えております。これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)関連法規制について

 当社では、「Creema」上で発生した取引の代金を当社にて一時的にお預かりし、作品到着後にクリエイターに代金をお支払いする「あんしん決済システム」や、作品プロモーションサービスにおいて、クリエイターから広告費用としてデポジット金額を受領の上、作品プロモーションの利用料金をそのデポジット金額から充当するなど、決済領域での会員への価値も提供しておりますが、いずれも資金決済に関する法律に定める資金移動業や前払い式支払い手段の発行には該当せず、資金決済に関する法律の適用を受けておりません。当社グループでは事業運営にあたり、上記の資金決済に関する法律のほか、不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法、特定商取引に関する法律、著作権法、意匠法、商標法、個人情報の保護に関する法律、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律、電気通信事業法、これら法令に抵触することが無いよう、顧問弁護士等の外部専門家と協議し、法改正等の情報収集を行い、従業員教育等を徹底するとともに、法令遵守体制の構築と強化を図っております。

 しかしながら、これらの法令の改正や新たな法令の制定、監督官庁の見解の変更、社会構造の変化等想定外の事態の発生等により当社グループの展開する事業が法令に抵触した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)繰越欠損金の解消による影響等について

 当社は、過年度において当期純損失を計上していたため、税務上の繰越欠損金を有しております。当社の業績が順調に推移し、繰越欠損金が解消した場合や税法改正により繰越欠損金による課税所得の控除が認められなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)新株予約権について

 当連結会計年度末における新株予約権による潜在株式は、464,000株であり、発行済株式総数6,661,100株の7.0%に相当します。当社の株価が行使価格を上回り、かつ権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

(18)ベンチャーキャピタル等の株式保有割合について

 当連結会計年度末におけるベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「ベンチャーキャピタル等」という。)が所有している株式数は1,311,000株であり、発行済株式総数6,661,100株に占める割合は19.7%となっております。
 一般的にベンチャーキャピタル等が未上場会社の株式を取得する場合、株式公開後には保有する株式を売却し、キャピタルゲインを得ることがその目的のひとつであります。当社におきましても、当社の株式公開後、既にベンチャーキャピタル等が保有する当社株式の一部が売却されていますが、今後もベンチャーキャピタル等の保有株式の売却によって当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価の形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、3,694,261千円となり、前連結会計年度末に比べ1,750,468千円増加いたしました。主な増減要因は、現金及び預金の増加1,481,777千円によるものであり、これはマーケットプレイスサービスにおける取引量の増加、利益の創出によるキャッシュの積み上がり及び2020年11月に東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う新株発行に伴うものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、2,612,431千円となり、前連結会計年度末に比べ707,707千円増加いたしました。主な増減要因は、預り金の増加516,213千円によるものであり、これはマーケットプレイスサービスにおける取引量の増加に伴うものであります。

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産合計は、1,081,829千円となり、前連結会計年度末に比べ1,042,760千円増加いたしました。主な増減要因は、2020年11月に東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う新株発行により資本金が432,703千円、資本剰余金が432,703千円増加したこと及び親会社株主に帰属する当期純利益178,368千円の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

 当社グループでは、「まるくて大きな時代をつくろう」を企業理念に、その実現に向けた第一弾の事業として、クリエイターエンパワーメント事業を推進しています。
 日本ならびに中国語圏におけるグローバルハンドメイドマーケットプレイス「Creema(クリーマ)」の運営を行うマーケットプレイスサービス、「Creema」のプラットフォームを活用し、出店クリエイター・企業・地方公共団体のマーケティング支援を行うプラットフォームサービス、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’(東京ビッグサイト)」等の大型イベントの開催や、「Creema Store(新宿・札幌)」等の店舗を展開するイベント・ストアサービス、さらには、クリエイターの創造的な活動を応援することに特化した購入型クラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」など、クリエイターの活動を支援するサービスを様々な角度から展開し、まだ見ぬ巨大なクリーマ経済圏の確立と、クラフトカルチャーの醸成に力を注いでおります。
 当連結会計年度は、マーケットプレイスサービスにおいて、前期から力強い成長トレンドが継続していることに加え、新型コロナウイルス感染拡大防止のための生活様式変容における「巣ごもり消費」のニーズを捉えた各種マーチャンダイジング・キャンペーン施策の展開が功を奏し、マーケットプレイス全体の利用者数・購入品数が大きく伸長しました。加えて、スマートフォン向けサイトのリニューアルや、作品カテゴリーの刷新をはじめとした「Creema」プロダクトのユーザービリティの改善や、カスタマーサポートの強化等にも取り組み、「Creema」の体験価値向上にも努めました。また、オンラインのライブ配信イベント「どこでもハンドメイドインジャパンフェス(HMJ)」の開催や、新規顧客獲得を目的とした「Creema」のテレビCMも放映いたしました。これにより、当連結会計年度における流通総額は15,419,905千円(前年比171.4%)、売上高は1,531,636千円(前年比172.7%)での着地となりました。
 プラットフォームサービスにおいては、「Creema」のプラットフォームならびにユーザー基盤を活用した企業・地方公共団体向けのPR支援を行う外部広告サービスで、大手メーカーをはじめとする様々な企業とのコラボレーション企画やPR案件の受託が進むと同時に、伝統工芸産業のデジタルシフト支援や地方自治体のプロモーション等の受注・納品が進みました。また、クリエイターが自身の作品を「Creema」上でプロモーションできる内部広告サービスでは、広告運用の利便性向上を目的としたダッシュボード画面の刷新や、広告サービスの利用促進のための各種キャンペーン等に引き続き取り組んだ結果、その利用者が堅調に推移いたしました。この結果、売上高は430,703千円(前年比149.4%)での着地となりました。
 イベント・ストアサービスにおいては、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛要請等による影響を大きく受けました。まず、ストア領域では、当社ストアが出店するショッピングセンターが4月下旬以降、次々と休業となったため、当社ストアも全店が約1カ月の間、営業ができない状態になったことに加え、再オープン後もお客様の実店舗離れが継続しました。そのため、戦略の見直しが必要であると判断し「Creema &Essence(コレド室町テラス)」、「Creema Store 熊本(SAKURA MACHI Kumamoto)」と、「暮らしとクリーマ(二子玉川ライズ)」の3店舗を閉店いたしました。また、イベント領域でも、毎年開催してきた関西最大級のクラフトイベント「Creema Craft Party(インテックス大阪)」及び、日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’(東京ビッグサイト)」の開催を断念するに至りました。これらの状況が重なった結果、売上高は85,581千円(前年比25.4%)での着地となりました。
 上記に加え6月には、クリエイターの創造的な活動を応援することに特化した購入型クラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」をリリースしました。リリース後、多くのクリエイターから多様かつ魅力的なプロジェクトが起案され、その多くが目標支援金額を達成しております。また、8月には、タレントの千秋氏が創業・団長を務め、ハンドメイド関連事業を展開する「ハローサーカス」の事業及び商標権をM&Aにより譲受しました。譲受後は、「Creema」と「ハローサーカス」間で各種キャンペーンをはじめとする様々な連携施策を実施するなど、クリエイターの方々の活動を今まで以上にエンパワーメントすべく、サービス領域の拡張、提供価値の向上に努めて参りました。
 これら全てのサービスを連携させることにより、ユーザー価値の最大化を図ると同時に、当社グループのサービスの認知度向上及び市場の拡大、クリーマ経済圏の確立に取り組んでおります。その結果、当連結会計年度におけるクリエイター数は約21万人、登録作品数は約1,100万点、スマートフォンアプリのダウンロード数は約1,100万回を突破しました。
 以上の結果、当連結会計年度における全社業績は、売上高2,062,479千円(前年比135.9%)、営業利益226,094千円(前年比464.4%)、経常利益204,796千円(前年比446.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益178,368千円(前年比 206,403千円増)となりました。

 なお、当社グループでは、クリエイターエンパワーメント事業の単ーセグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ、1,481,777千円増加し、2,885,204千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は、689,240千円(前連結会計年度は164,590千円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上146,466千円、預り金の増加515,056千円、売上債権の増加198,684千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、5,926千円(前連結会計年度は29,195千円の使用)となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出6,000千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により獲得した資金は、796,390千円(前連結会計年度は422,732千円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入859,422千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはクリエイターエンパワーメント事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

クリエイターエンパワーメント事業

2,062,479

135.9

合計

2,062,479

135.9

 (注)1.主要な相手先別の販売実績及び当該総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針、見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える判断・仮定・見積りを必要としております。経営者は、これら貸倒引当金とポイント引当金等に関する判断・仮定・及び見積りについては過去の実績等に基づき、固定資産の減損処理については過去の実績等に基づいて将来キャッシュ・フローを予測し、また、繰延税金資産の回収可能性については過去の実績等に基づいて将来の課税所得を予測し、これらにつき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響の仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表  注記事項 追加情報」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」をご参照ください。

 

b.当連結会計年度の財政状態の分析

 当連結会計年度の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。

 

c.当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループのサービスの認知度向上及び会員獲得のための広告宣伝費、及び事業拡大のための開発にかかる人件費及び外注費であり、さらにM&A等の投資を実施していく方針であります。これらの資金需要につきましては、自己資金、金融機関からの借入及び新株発行等により資金調達していくことを基本方針としておりますが、財政状態を勘案しつつ、資金使途及び需要額に応じて、柔軟に検討を行う予定であります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社は常に市場動向、政府の政策に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保と育成等に力を入れ、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスクに対し、適切に対応を行ってまいります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループは経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、登録作品数、アプリダウンロード数及び流通総額を重要な経営指標と位置付けております。

 当該指標については、次表のとおり継続的に増加しており、当連結会計年度末の登録作品数は、前連結会計年度末と比べ130.7%、アプリダウンロード数は同115.1%、また、流通総額は同171.4%の水準となっております。これは、現時点において予定通りの進捗となっており、今後の業績に寄与するものと期待できることから、順調に推移しているものと認識しております。

 

    <「Creema」重要指標推移表>

 

2019年

2月期末

実績

2020年2月期末

2021年2月期末

実績

前期比

実績

前期比

登録作品数(万点)

694

866

124.7%

1,131

130.7%

アプリダウンロード数(万回)

837

973

116.2%

1,120

115.1%

流通総額(百万円)

7,875

8,998

114.3%

15,419

171.4%

   ※登録作品数はサービス開始時点から当該期末までの累積数、アプリダウンロード数はアプリリリース時点から当該期末までの累積数、流通総額は期末時点の各期の合計

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、2021年4月9日開催の取締役会において、株式会社FANTISTの株式を取得して同社を子会社化することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。

 詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象) 株式取得による子会社化」をご参照ください。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。