第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第1四半期累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第1四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

なお、当第1四半期会計期間の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

詳細は、「第4[経理の状況]1[四半期財務諸表][注記事項](会計方針の変更等)」に記載のとおりです。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

 当第1四半期累計期間(2021年10月1日~2021年12月31日)の製薬業界の概況としましては、高齢化に伴う医療費の増大に対応してジェネリック医薬品による代替が進むとともに、薬価改定期間が短縮され、高額医薬品の薬価が著しく低下しております。また、臨床試験の大規模化等に起因する新薬開発のためのコスト増大により、国内外での製薬企業の合従連衡が進みM&Aによる企業規模が拡大するとともに、自社創薬開発において重点領域の絞込みが行われており、社外から開発品目を導入する動きも活発化しております。

一方、新薬開発については、対象患者が多く、将来安定した多額の収益が得られるいわゆるブロックバスター医薬品から、特定の患者群に効果的な治療が行える医薬品の開発に移行しており、経営資源が特定分野に集中し、短期に意思決定が行われる創薬ベンチャーがその中心的役割を担うと言われております。これに対応すべく、政府は、厚生労働省や経済産業省の中央省庁を中心に、日本発の創薬を積極的に支援するため、特に、創薬ベンチャー支援の取り組みとして、医療系ベンチャー・トータルサポート事業(MEDISO)の開始や「伊藤レポート2.0 バイオメディカル産業版」が作成されております。また、日本国内での創薬を促進するため、医薬品の条件付き早期承認制度や先駆的医薬品指定制度が法制化されました。

また、新型コロナウイルスの感染拡大により製薬業界への社会的注目が増しているものの、製薬業界の経営資源が新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬開発に集中することにより、その他の医薬品開発が治験を含めて遅延する傾向がみられます。

このような事業環境下、当社は、組換えヒトHGFタンパク質の研究開発によって創薬イノベーションを起こすことが事業機会の創出・獲得につながると考え、組換えヒトHGFタンパク質プロジェクトに経営資源を集中して、以下の各事業活動を展開しました。

 

1. 医薬開発活動について

(ア) 脊髄損傷(SCI)急性期
慶應義塾大学整形外科中村雅也教授を治験調整医師とする治験実施体制のもとで、脊髄損傷急性期患者を対象として第Ⅰ/Ⅱ相試験を実施し、安全性を確認するとともに有効性を示唆する結果を得ました。第Ⅰ/Ⅱ相試験で得られたPOC(プルーフ・オブ・コンセプト:研究開発中である新薬候補物質の有用性・効果が、ヒトに投与することによって認められること)を検証する目的で第Ⅲ相試験の計画を策定し、2020年6月9日付で医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)に治験計画届書を提出しました。
2020年7月より第Ⅲ相試験を総合せき損センター、北海道せき損センター及び村山医療センターの3施設で開始しました。2021年3月より神戸赤十字病院及び愛仁会リハビリテーション病院を加えた合計5施設を治験実施医療機関としており、当第1四半期累計期間においても計画から遅延することなく患者組入れを継続しております。

 

脊髄損傷急性期治療薬としての製造販売承認取得に向けて、組換えヒトHGFタンパク質の製造プロセスに関する各種試験も進めております。原薬製造につきましては、承認申請に必要とされる実製造と同様のプロセスで行う試験製造(プロセスバリデーション)を計画実施中であります。なお、新型コロナウイルス感染症拡大・長期化を原因とした世界的な工場稼働率の低下や新型コロナウイルスに対するワクチン製造への優先的な原材料供給等により、当社のHGF製造開発に必要となる原材料等の供給量の低下、供給の遅延などが発生し、前事業年度に完了を予定していた試験の一部は、今期での完了予定に変更となっております。
また、iPS細胞由来神経前駆細胞の移植技術などを組み合わせて、脊髄損傷を対象に、組換えヒトHGFタンパク質製剤のより効果的な投与方法や投与のタイミングを検討するために、2021年2月より慶應義塾大学医学部と新たな共同研究を開始しております。本共同研究は、当第1四半期累計期間においても継続しております。
2021年6月には、アジア太平洋脊椎外科学会とアジア太平洋小児整形外科学会の第13回合同学会(APSS-APPOS 2021、2021年6月9日~12日、於神戸国際会議場)において、脊髄損傷急性期での第Ⅰ/Ⅱ相試験に関する発表がAPSS CONGRESS Best Clinical Research Award(APSS会議最優秀臨床研究賞)を受賞しました。

 

(イ) 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
2016年5月より東北大学神経内科青木正志教授による医師主導治験として開始された第Ⅱ相試験について、東北大学病院及び大阪大学医学部附属病院において患者組入れを継続してきました。2020年11月には患者組入れを終了し、当第1四半期累計期間においては、2021年12月に最終症例の最終観察日が終了しております。当社は、治験薬提供者の立場から、治験薬の提供に加え当該治験の運営・推進支援、治験薬の安定性試験等を継続して実施しており、当第1四半期累計期間におきましても治験薬の安定性試験を実施しております。
また、当第1四半期累計期間においては、2021年3月をもって国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの補助金が終了したことに伴う当該治験の停滞を回避するため、当社より、医薬品開発業務受託機関(CRO)等に係る治験費用の負担を行いました。
2021年9月には、アジア―環太平洋ALSコンソーシアムにおいて、青木正志教授により組換えヒトHGFタンパク質によるALS治療薬の開発経緯に関して学会発表が行われました。

 

(ウ) 声帯瘢痕(VFS)

声帯粘膜が硬く変性(線維化)する疾患であるVFSを対象とした医師主導による第Ⅰ/Ⅱ相試験によって、KP-100製剤の声帯内投与の安全性が確認され、声帯の機能回復を示す症例も確認されました(J Tissue Eng Regen Med. 2017;1–8.)。その後、2019年7月に実施したPMDAとの事前面談を踏まえ、POCの取得を目的とする次相試験(プラセボ対照二重盲検比較試験)について、京都府立医科大学と協議を重ねており、2022年9月期より開始する計画を策定しております。

なお、治験の実施費用並びに治験薬の製造及び市販製剤の開発費用の調達を目的として、2021年11月に新株予約権の発行を行っており、さらに、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」課題として採択され、公的資金の活用も進めております。

 

(エ)クラリス・バイオセラピューティクス社への原薬供給

当社は、2020年4月に米国のクラリス・バイオセラピューティクス社とLicense and Supply Agreementを締結し、同社が米国において眼科疾患を対象に臨床開発を進めるためのHGF原薬の供給を行っております。

当第1四半期累計期間においては、同社に対するHGF原薬の供給はありませんでした。一方、当社が提供した各種情報をもとに、同社は神経栄養性角膜炎を対象とする第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始するためのIND 申請*を2021年5月に実施しており、同年8月には1例目の投与が開始されております。当社はこれを起点として、毎年定額の技術アクセスフィー(ロイヤリティ収入)を受領することになりました。

*米国食品医薬品局(FDA)に対する新薬治験開始申請

 

 

2.事業開発活動について

当第1四半期累計期間においては、脊髄損傷急性期での海外展開を見据えて、海外製薬企業等との事業提携協議を中心に、事業開発活動を行いました。

また、2021年9月には、当社パイプラインの主成分である組換えヒトHGFタンパク質(5 アミノ酸欠損・糖鎖付加型、開発コード:KP-100)の国際一般名称が、「Oremepermin Alfa」(オレメペルミン アルファ)に決定されました。

これらの結果、当第1四半期累計期間の売上高は13,800千円(前年同期比85.4%の減少)、営業損失は120,154千円(前年同期は、45,602千円の営業損失)、経常損失は128,638千円(前年同期は、61,945千円の経常損失)、四半期純損失は129,010千円(前年同期は、62,317千円の四半期純損失)となりました。

なお、当社は医薬品開発事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② 財政状態の状況

当第1四半期会計期間末における総資産は、前事業年度末に比べ27,005千円増加し、2,662,630千円となりました。

(資産)

当第1四半期会計期間末における流動資産は、前事業年度末に比べて25,922千円増加(前事業年度末比1.0%増)し、2,660,516千円となりました。これは主として、新株予約権の行使に伴う増資等により現金及び預金が16,021千円増加したことによるものであります。固定資産は、前事業年度末に比べて1,083千円増加(前事業年度末比105.1%増)し、2,114千円となりました。これは主として投資その他資産が1,083千円増加したことによるものであります。

この結果、資産合計は、前事業年度末に比べて27,005千円増加(前事業年度末比1.0%増)し、2,662,630千円となりました。

 

(負債)

第1四半期会計期間末における流動負債は、前事業年度末に比べ1,356千円増加(前事業年度末比1.1%増)し、128,552千円となりました。これは主として、前受金が13,800千円減少した一方で、未払金が10,558千円増加、及び、その他が5,715千円増加したことによるものであります。固定負債は、前事業年度末より大きな変動はなく、前事業年度末より11千円増加(前事業年度末比0.5%増)し、2,290千円となりました。

この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて1,367千円増加(前事業年度末比1.1%増)し、130,843千円となりました。

 

(純資産)

当第1四半期会計期間末における純資産は、四半期純損失の計上による利益剰余金の減少129,010千円はあるものの、新株予約権の行使に伴う増資による資本金及び資本準備金がそれぞれ76,925千円増加したことにより、前事業年度末に比べ25,638千円増加(前事業年度末比1.0%増)し、2,531,787千円となりました。

 

(2)経営方針・経営戦略等

当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第1四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業場及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

当第1四半期累計期間の研究開発費の総額は82,055千円(前年同期比9.6%の減少)であります。

なお、当第1四半期累計期間における研究開発活動の内容については、「(1)財政状態及び経営成績の状況 ① 経営成績の状況 1.医薬開発活動について」に記載したとおりであります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第1四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。