当社グループの経営方針、経営環境、経営戦略並びに対処すべき課題等は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、別段の表記がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「Changing Energy for a Better World ~エネルギーの未来をつくる~」をミッションとして掲げ、エネルギー業界における「エネルギーの4D」という構造変革に対して、IT技術を駆使したデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する事業を展開しております。
日本のエネルギー業界は、東日本大震災による世界的なエネルギー業界の転換により、100年に1度ともいえる構造変革を迫られていると認識しております。日本も2050年の脱炭素社会の実現に向けて、「エネルギーの4D」を軸としたイノベーションを加速させ、新産業を創出していく必要があるものの、電力ガス小売全面自由化は主要先進国の中では最後発であり、長らくの規制業種としての遅デジタル化・非効率性が依然残るため、抜本的な構造改革が必要であると考えております。
「エネルギーの4D」とは、Deregulation(自由化)、Digitalization(デジタル化)、Decarbonization(脱炭素化)、Decentralization(分散化)を指します。日本のエネルギー業界は、「自由化」においては2011年3月の東日本大震災を契機として発足した「電力システム改革」に代表される制度改革による競争原理の導入、「デジタル化」においてはDX推進による効率化やスマートメーターの普及に伴う電力データ活用の更なる進捗、「脱炭素化」においては今後大量導入が見込まれる再生可能エネルギーの基幹電源化、及びそれに付随して生じる電力供給における天候要因等の不確実性に対するデータやAI技術を活用した精緻な予測技術の進展、「分散化」においては電気自動車や蓄電池等を組み合わせたスマートグリッド(注1)やVPP(注2)による柔軟な需給調整の必要性、といった規制緩和・技術の進展等に伴い、エネルギーデータの活用を軸とし、「エネルギーの4D」が相互に連動しながら変革が進むことが見込まれます。
脱炭素社会を実現するためには、電力の送配電や小売側の技術革新が必要と考えております。当社グループは、エネルギーテック事業者として、変化する環境下において最適と判断するサービスを各種ステークホルダーに提供していく方針です。また、「エネルギーの4D」と称されるエネルギー業界の構造転換に柔軟に対応しつつ、規制及び環境の変化によって生み出される潜在的なニーズに対してエネルギーデータ解析技術を軸として高い精度のオペレーションを継続することによってそのニーズを満たしていくことが必要であり、それを実現するための施策に継続的に取り組んでいく方針です。
(注)1.スマートグリッドとは、IT技術によって、供給側・需要側の双方から電力量をコントロールできる送電網のことを指します。「次世代送電網」とも呼ばれます。
2.VPPとは、Virtual Power Plant の略。電力系統に直接接続されている発電設備、蓄電設備の保有者もしくは第三者がエネルギーリソースを制御することで、発電所と同等の機能を提供する仕組みを指します。
(2)経営環境
我が国の電力総需要の市場規模は、将来的には人口減少や省エネ機器の普及・性能の向上等の影響による減少要因はあるものの、オール電化の普及や電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の普及によるエネルギー二次利用(ガス・ガソリン産業)の電化等により、2030年には現在より10%程増加することが見込まれています(注1)。また、2020年12月25日に菅政権より「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が14の成長分野と共に公表され、脱炭素社会の実現に向けた現状の課題と今後の取組が示されました。グリーン成長戦略の中心となる電力業界においては、電力需要が産業・運輸・家庭部門の電化によって現状より30~50%増加すると予想されており、電力販売額が拡大していくことが見込まれます。
自由化というトレンドについては、新電力の販売電力量は販売電力量全体の18.8%(注2)となっており、家庭向け、法人向けともに拡大しております。主たる理由として、電力・ガス小売の全面自由化に伴い、全国的に電力自由化の知名度が高まったこと、政府主導による競争環境の整備が進んだこと等が挙げられます。また新電力と契約している家庭・法人ユーザーは、一度電力・ガス契約の切替をすることで、切替に関する心理的ハードルが低くなり、また切替に関するメリットも認識しているため、継続的により良い電力・ガス会社を探す傾向にあると考えております。また、引越し時に電力会社を新規に契約する際、大手電力ではなく新電力との契約を選択するユーザーも増加傾向にあると考えております。それらに伴い電力・ガス小売市場における切替は継続的に発生すると当社では見込んでおり、今後新電力のシェア成長が鈍化した場合でも、このような見直し需要に支えられて、切替数は堅調に推移するものと考えております。
電力小売市場における切替数は、「第1 企業の概況 3.事業の内容」に記載のとおり、増加しておりますが、その背景として当社グループでは以下3要因によるものと分析しております。1点目としては、電力・ガス会社のマーケティング施策の結果としての切替に対する認知の高まりと、身近な人も切替を実施したという安心感の醸成が挙げられます。加えて、電気・ガスセットでの割引等メニューの多様化も進んでおり、電気・ガスの切替を検討する機会も増加しております。2点目は、新電力からの切替(主として2回目以降の切替)が増加しており、2019年中においては年間約84万件(2017年比で約11.7倍)(注3)と増加しております。今後は、新電力間、大手電力間の競争の高まり等により、2回目以降の切替数の更なる増加が見込まれます。3点目は、引越しを契機として新電力を選択するユーザーが年間約116万件と増加(2017年比で約2.7倍)(注3)している点です。スマートメーターの普及に伴い、引越時に電力契約が未契約の場合通電しないケースが多くなっており、入居日までに電力・ガス契約を手配することの必要性が認知されてきたことで、引越時の切替が増加しております。また、2020年4月から実施された発送電分離やそれに伴う各種施策により、大手電力と新電力の競争環境整備の公平性がより担保されることによる、更なる電力小売市場の活性化が見込まれています。当社グループでは、このような切替需要も取り込むことで継続的な成長に取り組んでいく方針です。
デジタル化というトレンドについては、スマートメーターの普及を背景として、電力・ガス会社が取得可能なデータ量が増加している状況にあります。使用地点毎の電力使用量を30分おきに計測し、無線ネットワークを介して電力・ガス会社のシステムにデータを送るスマートメーターは、全国平均で84.8%(2020年3月末時点)の普及率となっており、2024年度末までには全国への普及が見込まれております(注4)。また今後スマートメーター普及に伴い取得可能なデータ量が増加すると、電力データの解析ニーズがより高まるものと見込んでいます。加えて、スマートメーターで得られる電力データに関して、電力データの利活用を推進する内容が、電気事業法及び再エネ特措法の改正案として第201回通常国会で可決され、2022年4月の施行(注5)が予定されております。これにより、電力データの利活用が電力小売事業者以外でも可能となるため(所謂「電力データ自由化」)、様々な事業者による電力データ活用市場の活性化が見込まれます。日本全国のスマートメーターの設置台数の推移は次のとおりです(注6)。
脱炭素化・分散化というトレンドについては、2015年12月に開かれた気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において採択された「パリ条約」を契機として、温室効果ガスの排出量を削減することを目的とした再生可能エネルギーの普及が世界各国で進んでいます。世界では2018年には1,000ギガワットの太陽光・風力発電所が稼働しており(注7)、こうした稼働中の発電所への投資機会が増えているものと見られています。またそれに伴い、データ解析技術を軸とした発電所の査定や設備保守点検等の需要も高まり始めています。加えて、エネルギー効率や温室効果ガスの排出量の観点から優位性を持つ電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の普及拡大や、それに伴う充電インフラの整備及び充電インフラを活用した電力の需給調整機能等、電力データを活用したサービス需要の高まりも見込まれています。日本においても、菅義偉首相が「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すこと」(注8)を宣言し、2020年12月25日には「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が14の成長分野と共に公表され、脱炭素社会の実現に向けた現状の課題と今後の取組が示されました。当社グループでは、脱炭素化・分散化の国際トレンドを注視するとともに、そのような状況下において、電力データ分析技術の観点からの事業機会の検討を進めていきます。
なお当社グループが日本において「エネルギーの4D」に関連して事業化に取組んだ事例は以下のとおりです。
「Deregulation」(自由化)
(例)電力・ガス小売自由化に合わせて、ユーザーに対して最適な電力会社の選択をサポートするサービス「エネチェンジ」「エネチェンジBiz」を提供
「Digitalization」(デジタル化)
(例1)電力・ガス会社においてデジタルマーケティングの重要性が高まっているタイミングに合わせて、デジタルマーケティング支援SaaS「EMAP」を提供開始
(例2)スマートメーターの普及に合わせて、スマートメーターデータ解析SaaS「SMAP」を提供開始
「Decarbonization」(脱炭素化)
(例1)「エネチェンジ」「エネチェンジBiz」にて「再生可能エネルギー100%の電力プラン」の取扱いを開始
(例2)再生可能エネルギー発電所の電力データ解析に基づく運営効率化やファンド運営事務等のサービス「JEF」を提供開始
「Decentralization」(分散化)
(例1)Japan Energy Challengeというアクセラレーションプログラムの運営を通じた海外の有望な電気自動車、蓄電池制御関連のエネルギーベンチャーとの協業検討
(例2)VPP市場に参入するアグリゲーター向けに、デマンドレスポンスリソース(蓄電池、自家発電等)のマッチングプラットフォーム「エネチェンジ DR(デマンドレスポンス)」のサービスを公開
また、新型コロナウイルス感染症の流行による社会全体でのデジタル・トランスフォーメーション(DX)ニーズの高まりにより、「エネルギープラットフォーム事業」ではオンラインでの切替需要増加、「エネルギーデータ事業」では、電力ガス事業者からのDXサービスの導入需要増加など当社業績にとっては好影響になる要素も多い状況です。他方で、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発令や外出自粛等により「エネルギープラットフォーム事業」における法人ユーザーを中心として一時的に電力需要が落ち込むなど、当社業績に一部マイナスの影響もございます。総じて、新型コロナウイルス感染症が当社グループの経営環境に与える影響は、本書提出日現在において限定的なものではありますが、先行きは不透明な部分もあり、継続して注視してまいります。
(注)1.IEA「World Energy Outlook」(2014年発刊)。
2.資源エネルギー庁「電力調査統計」(2020年11月分)。
3.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報」2019年1月から12月の低圧切替件数の累計で算出しております。
4.資源エネルギー庁「第27回電力・ガス基本政策小員会」資料3「電力・ガス小売全面自由化の進捗状況について」(2020年7月28日)。
5.資源エネルギー庁「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会持続可能な電力システム構築小委員会(第5回)」の配布資料「持続可能な電力システム構築に向けた詳細設計」(2020年7月20日)。
6.資源エネルギー庁「第27回電力・ガス基本政策小員会」資料3「電力・ガス小売全面自由化の進捗状況について」(2020年7月28日)の資料内低圧部門のスマートメーター導入計画を基にグラフ化しております。
7.Bloomberg New Energy Finance「Global Wind and Solar Installations, cumulative to June 30, 2018」(2018年発行)。
8.第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説(2020年10月26日)より。
(3)経営戦略等
単一制度におけるエネルギー自由化市場としては世界最大規模の電力・ガス市場を有し、近年の電力・ガス自由化、スマートメーターの普及等により競争環境が整備されつつある日本市場において、当社グループの強みは、「エネルギーテック」企業グループとして、エネルギー分野に特化した技術開発力を基盤としたデータ分析力と、幅広い顧客基盤を有していることにあると認識しております。
当社グループのTAM(注1)については、「エネルギープラットフォーム事業」のTAMは約1,100億円(電力・ガス市場規模22兆円における売上高広告予算比率0.5%(注2)を乗じて試算)、そのうち、比較サービスの広告予算をターゲット市場(注3)と捉え、その市場規模を約450億円(電力市場規模14.7兆円に、売上高広告予算比率の2019年数値0.31%を乗じた数値)と推定しております。また、「エネルギーデータ事業」のTAMは2,300億円(電力・ガス市場規模22兆円に、売上高IT予算比率1.05%(注4)を乗じて試算)、そのうち「エネルギーの4D」関連のIT予算をターゲット市場と捉え、その市場規模を約450億円(電力市場規模(2015年13.3兆円、2019年14.7兆円)に売上高IT予算比率の2015年度数値0.82%と2019年度数値1.05%(注4)を乗じた数値の差分)と推定しております。両事業の合計で、当社グループ全体のTAMは、日本国内合計で3,400億円、ターゲット市場規模は900億円と推計しております。TAM及びターゲット市場は以下のとおりです。
なお、電力・ガス自由化以降の競争環境の整備、スマートメーター設置の普及等「エネルギーの4D」の浸透、さらには「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において産業・運輸・家庭部門の電化によって現状より30~50%増加の電力需要が増加すると想定されているとおり、電力・ガス市場のなかでも当社の注力分野である電力市場の規模は今後も継続的に拡大するものと想定しております。
当社グループでは、以下の戦略を持って、シェア拡大に取り組んでおります。
「エネルギープラットフォーム事業」においては、中立的な立場でサービス提供をすることが、提携する電力・ガス会社数や取得可能なデータ量の拡大に繋がっていると認識しております。今後も当社グループでは、中立的な立場でのサービス提供を前提に、オンラインのみならず、不動産仲介業者や金融機関等とのパートナーシップを拡大することで、オフラインでの集客力を強化し、ユーザー数の拡大に努めてまいります。また、電力切替に加えて、ガスセットでの切替、蓄電池・LEDライト等の省エネ器具の販売、クリーンエネルギーの付加価値販売等のクロスセルを通じたARPU(注5)の向上により収益基盤の強化を目指してまいります。
「エネルギーデータ事業」においては、今後、電力・ガス会社間での競争がより激化すると見込んでおり、顧客開拓から電力調達に至るまでの電力・ガス会社にとってのバリューチェーン全体におけるデータ活用に対するニーズがより一層高まると考えております。当社グループはそのようなニーズに対して、「エネルギーデータ事業」で展開しているデジタルマーケティング支援や、電力データ解析サービスによる業務効率化支援を行うことで、電力・ガス会社のデジタル化推進のサポートを通じた競争力強化により事業成長を目指してまいります。
これら2事業の両輪経営による顧客基盤・ノウハウの相互活用を通じた事業展開が、当社グループの競争力強化に繋がるものと考えております。
(注)1.TAMは、Total Addressable Marketの略称。当社グループが現状想定する最大の市場規模を意味する用語であり、当社グループが本書提出日現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示す目的で算出されたものではなく、推定値も含んでおります。
2.日経広告研究所「有名企業の広告宣伝費」における売上高広告宣伝費率。TAMの算出においては電力0.3%、ガス1.0%を市場規模で加重平均して算出、ターゲット市場においては足元の注力分野である電力市場の売上高広告宣伝費率を用いて算出。
3.TAMに対して、現在の当社グループのサービスもしくはプロダクトがアプローチ可能な市場規模を指しております。
4.一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査」のエネルギー業界(社会インフラ)の売上高に占めるIT予算比率。
5.ARPUは、Average Revenue Per Userの略称であり、1ユーザー当たりの平均収益を意味しております。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、長期においてはフリーキャッシュ・フローの最大化による企業価値の向上、そして中期においてはフリーキャッシュ・フローの源泉となる売上高の成長が重要であるとの考えのもと、売上高を重要な経営指標と位置付けております。そのために、売上高を「顧客数」x「ARPU」と定義し、2事業それぞれにおいて、高い売上高成長率とともに安定した経営基盤を構築するためにストック型の収益を重視する事業展開を行い、積極的な成長投資を通じた「顧客数の最大化」と「継続的なサービスラインナップの拡充による顧客提供価値の増大によるARPUの向上」に取り組んでまいります。なお、高い売上高成長率継続の目安として、毎年30%以上の売上高成長を達成し、2026-27年に売上高100億円を目指す方針です。
「エネルギープラットフォーム事業」においては、「顧客数」を当社プラットフォームを通じた家庭・法人ユーザーの継続報酬対象ユーザー数とし、「ARPU」を切替契約あたりの売上高としております。家庭・法人ユーザーともに切替件数はこれまで堅調な拡大を続けており、今後も市場の堅調な切替需要と当社のプラットフォーマーとしての競争力を背景として、継続的な成長を見込んでおります。継続報酬対象ユーザー数の推移は、以下のとおりです。
|
年度 |
家庭ユーザー |
法人ユーザー |
法人ユーザー |
継続報酬対象 |
ARPU(円) |
|||||
|
2017年12月期末 |
9,447 |
1,128 |
30,597 |
40,044 |
6,476 |
|||||
|
2018年12月期末 |
37,114 |
2,218 |
62,759 |
99,873 |
5,208 |
|||||
|
2019年12月期末 |
58,179 |
3,183 |
106,137 |
164,316 |
3,814 |
|||||
|
2020年12月期末 |
98,963 |
3,978 |
144,252 |
243,215 |
4,067 |
|||||
2018年12月期から2019年12月期にかけて、ストック型収益重視の経営方針へと変更し、大半の電力・ガス会社から受領する報酬を、切替時の一時報酬から、ストック型の報酬(ユーザーが電力・ガス会社に対して支払う毎月の電力・ガス代に、あらかじめ定められた料率を乗じた金額を、切替以降、電力・ガス小売供給契約が継続する限り、毎月継続的に受領する報酬体系)へと契約内容を変更いたしました。これにより、分母となる継続報酬対象ユーザー数が増加したため、ARPUはそれ以前と比較すると低くなったものの、2020年12月期末においては、競争環境の高まりによる一時報酬単価の上昇等の要因により、ARPUが上昇しております(なお、一部の電力・ガス会社とは引き続き一時報酬での報酬体系での契約となっております)。
2020年における家庭ユーザーの新規切替件数は約60,000件であり、市場全体の電力切替件数約600万件に対しての当社のシェアは約1.0%と限定的ですが、電力自由化の浸透、2回目以降の切替活性化、引越し時の新電力の選択の浸透等により、今後のシェア拡大を見込んでおります。
また、ユーザー数の拡大を目的としたプロモーション活動やパートナーシップの拡大において、LTV/CAC(注3)を重視してユーザー獲得活動を推進してまいります。2020年におけるLTV/CACの推移は以下のとおりです。
|
|
第6期(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
|||
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
|
|
LTV/CAC(倍) |
3.1 |
3.8 |
3.2 |
3.4 |
「エネルギーデータ事業」においては、「顧客数」をエネルギーデータ事業において展開するサービスを導入している企業数とし、「ARPU」を当該顧客毎の売上高としております。当社グループが提供するサービスへのニーズの高まりにより、電力・ガス会社を中心とした顧客数はこれまで順調に伸びており、今後は電力データの自由化に伴う新サービスの導入に伴い、電力・ガス会社以外の対象顧客の拡大を見込んでおります。顧客数の推移は、以下のとおりです。
|
年度 |
顧客数(社数) |
ARPU(千円)(注2) |
|
2017年12月期末 |
7 |
27,534 |
|
2018年12月期末 |
15 |
32,026 |
|
2019年12月期末 |
25 |
23,466 |
|
2020年12月期末 |
32 |
22,626 |
2020年12月期期末の顧客数は32社であります。今後は、電力販売量上位100社を主な対象顧客とした電力自由化による競争環境の整備によるIT投資の需要増加や、「エネルギープラットフォーム事業」の顧客基盤を活用したクロスセルの強化による顧客数の増加を目指します。また、今後は電力データの自由化により「エネルギーデータ事業」のサービスの用途が電気自動車の充放電管理、家電メーカーの家電制御、デマンドレスポンス等、電力会社以外の異業種の会社に広がることで、当社グループの顧客層が拡大するものと見込んでおります。
なお当社グループでは、ストック型の収益を重視する事業展開を行っていることから、ストック型収益(注4)を重視しております。ストック型収益の主な構成要素としては、「エネルギープラットフォーム事業」においては、提携電力・ガス会社より収受する、家庭・法人ユーザーの電力会社切替以降継続的に発生するストック型の切替報酬、「エネルギーデータ事業」においては、月額のソフトウエアライセンス料(保守運用費を含む)となります。
ストック型の収益を重視する事業展開により、当社グループのストック型収益は2020年12月期において、前期比33%の成長率(2020年12月期第4四半期においては前年同期比27%の成長率)を記録しました。2020年12月期にはストック型収益が904百万円に到達する等、増加しております。
当社グループのストック型収益の推移(注5)は、次のとおりです。
(注)1.一般家庭ユーザーの電力容量は平均的に4キロワットとみられているため、法人ユーザーの累計切替件数に加えて、法人ユーザーの総獲得容量から割り戻した一般家庭ユーザー相当への換算値を併記しており、エネルギープラットフォーム事業における累計切替件数の算出に当たっては、当該換算値と家庭ユーザーの累計切替件数の合計値を用いております。
2.エネルギープラットフォーム事業においては、ARPUを「セグメント売上高を、該当する期間末時点での継続報酬対象ユーザー数(家庭向け継続報酬対象ユーザー数と、法人向け継続報酬対象ユーザー数の一般家庭換算値との合計値)で除した上で、それまでの月額平均値を12か月分に年換算した数値」としており、季節性による月変動は考慮されておりません。エネルギーデータ事業においては、ARPUを「セグメント売上高を、該当する期間末時点での顧客件数(当社のサービスを導入しており1か月以上継続した取引実績もしくは契約締結して売上が計上された企業数。解約を加味した上で、重複分は控除。)で除した上で、それまでの月額平均値を12か月分に年換算した数値」としております。
3.LTV(Lifetime Valueの略で顧客生涯価値)とCAC(Customer Acquisition Costの略で顧客獲得単価)の比率で、マーケティング活動の投資効率性を表しております。
4.企業の営業活動によって毎期、経常的・反復的に生じる収益を指します。
5.当社グループ(連結)での数値を記載しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
規制緩和が続くエネルギー業界において当社グループが継続的に安定した成長を続けていくためには、現状の「エネルギープラットフォーム事業」における各種サービス(「エネチェンジ」「エネチェンジBiz」)の顧客満足度を高め、ユーザーと電力・ガス会社とを繋ぐプラットフォーマーとしての地位を確固たるものにするとともに、ユーザーの拡大・解約防止や他商材のクロスセルを通じた収益基盤の強化を着実に実施していく必要があると認識しております。また「エネルギーデータ事業」においても、顧客数を増やすだけではなく、より多様なソリューションを提供できるプロダクトの開発を進める必要があると認識しております。加えて、今後は既存事業を通じて蓄積したノウハウやデータを活用しつつ、技術開発や戦略的な業務提携等を積極的に検討し、事業展開を推進し、事業基盤の構築に努めてまいります。
その上で、当社グループとして取り組むべき主な課題は以下の項目と認識しており、課題の解決に向けた取組みを進めています。
<競争優位性の確保について>
①ストック型収益基盤の強化
当社グループは「エネルギープラットフォーム事業」と「エネルギーデータ事業」を展開しておりますが、今後持続的な成長を維持するためには、ストック型収益基盤のより一層の強化が必要であると考えています。
「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭・法人ユーザーの電力契約切替以降、提携電力・ガス会社より継続的に収受するストック型の切替報酬並びにプラットフォームの基本利用料が、ストック型収益の基盤であり、そのため、ユーザーの電気・ガス代の従量制で継続的に発生するストック型の切替報酬の対象となる継続報酬対象ユーザー数が重要な指標となります。当社サービスの月間解約率(注1)は約1.1%であるため、電気・ガスの利用自体は、長期にわたり予見性が高いインフラであることを考慮すると、今後もストック型収益基盤は拡大していく見込みです。また、LTV/CACを考慮しながら、効果的なプロモーション活動やパートナーシップの拡大を継続していき、「エネチェンジ」ブランドの知名度を向上させる方針です。
「エネルギーデータ事業」においては、月額のソフトウエアライセンス料(保守運用費を含む)がストック型収益の基盤であるため、当社の提供サービスを導入している顧客数が重要な指標となります。また、エネルギー業界特化型のSaaS事業者としては、直接的な対象顧客は電力・ガス事業者であることから社数が限定的になるため、利用者数に応じた従量課金体系を採用することで、電力・ガスを利用するエンドユーザーを、サービスの間接的な顧客として収益基盤の継続的な拡大を目指しています。そのためにも「EMAP」及び「SMAP」の継続的なプロダクト開発と積極的なプロモーション・営業活動を推進してまいります。特に、電力業界における今後の制度改革による分散化技術の重要性拡大が見込まれるため、分散化領域における電気自動車、エアコン、蓄電池制御関連等のプロダクト開発、VPP市場における関連サービス、ビッグデータの解析やAIの有効利用等のサービス、脱炭素化領域における再生可能エネルギー発電所のデータ解析等のプロダクト開発に取り組みます。
②エンジニア主体によるプロダクト開発の強化
エネルギー業界においては、今後のデジタル化の更なる進展に伴い、ビッグデータ解析やAIといった技術を活用したプロダクト開発の重要性がますます増してくるものと見込まれます。そのような中、当社グループでは、エンジニア出身である両代表取締役を中心として、高いエンジニア比率を有する組織構造を保つことでエンジニア主体によるプロダクト開発を強化しています。コア技術を自社開発することを基本方針として、技術部門の陣容を強化しつつ、必要に応じてライセンス調達等を組み合わせながらプロダクトの開発強化を推進してまいります。これらの実現には、高い採用力を維持・強化することが必要であり、今後も採用活動には人的・資金的投資を積極的に行っていくと同時に、当社グループのミッションである「Changing Energy for a Better World ~エネルギーの未来をつくる~」を積極的に発信し、当社グループのミッションへの共感を軸とした採用力強化に注力していきます。
③分散化領域における新規事業立ち上げ
急速に変化し続けるエネルギー業界において、当社グループが企業価値を向上させ、高い成長を実現していくためには、既存事業の規模の拡大と収益源の多様化に加え、積極的な新規事業の発掘と育成が課題と認識しております。このような環境下において、当社グループは、「エネルギーの4D」の全てにおいて総合的にデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するサービスを提供することでエネルギー分野においての競争優位性を確立していくことが重要と考えています。当社グループは、既に自由化・デジタル化・脱炭素化領域での取組みを進めており、残された分散化領域、すなわち太陽光発電や風力発電等の小規模な分散型電源や、電気自動車やその他蓄電技術が広く普及していく中での事業検討は、Japan Energy Challengeというアクセラレーションプログラムの運営を通じ、海外の有望な電気自動車、蓄電池制御関連のエネルギーベンチャーとの協業検討を中心に進めてきました。当社グループとしては、電力の顧客基盤と電力データの解析技術を活用し、非常用発電機や大型蓄電池など、電力の需要抑制ができる調整力を持つ多用な設備を束ねて、ネガワット取引を行うアグリゲーターに仲介するサービスの開始や、EV充電インフラのクラウドサービスの開発等の検討を進めてまいります。
④グローバル展開の加速
当社の前身であるCambridge Energy Data Lab Limited設立時より、当社の創業メンバーは日本を含む世界のエネルギー市場でのサービス展開を視野に入れておりました。今後「Changing Energy for a Better World ~エネルギーの未来をつくる~」というミッションの実現に向け、「エネルギーの4D」領域において本格的にグローバル展開を加速させることが重要であると考えております。
「エネルギープラットフォーム事業」においては、今後電力小売全面自由化が見込まれているアジア諸国で、日本で培った技術やノウハウを基盤とした電力切替プラットフォームサービスの展開が可能と考えております。これらの今後自由化が見込まれるアジア諸国(中国除く)では、日本の年間電力需要と比較して3.4倍ほどの市場の顕在化が見込まれます(注2)。
「エネルギーデータ事業」においては、子会社のSMAP ENERGY LIMITEDが英国に本社を構えて、プロダクト開発及びイギリス、ドイツ、ポーランド等欧州地域の電力会社へのサービス提供を行っていますが、本書提出日現在において海外売上高比率は低く、顧客数の一層の拡大が必要だと考えております。これらの欧州諸国では、日本の年間電力需要と比較して3.9倍ほどの電力需要があり、電力・ガス小売市場の自由化は既に行われているため(注3)、競争環境として整備されているだけでなく、スマートメーターの設置台数が72%と高い水準(注4)であることから、今後重要な市場になるものと認識しております。当社グループでは、日本市場における導入実績を蓄積しつつ、現地における優秀な人材の採用とパートナーシップの構築を進め、グローバル展開の更なる拡大を図る方針です。
(注)1.解約数は家庭ユーザーと法人ユーザーの(前月の契約数 + 今月の供給開始数 - 今月の契約数)にて算出しており、解約率は家庭・法人ユーザーにおける継続手数料の請求対象となる契約数に対する解約数の割合(2020年1月から2020年12月の月次平均)で算出しております。
2.CIA「The World Factbook 2016」(2016年発刊)。国別電力消費量データより該当諸国を抜粋して算出しております。
3.電気事業連合会のホームページ「海外諸国の電気事業」を参照しております。
4.IoT ANALYTICS「2019年スマートメーター市場」。
<管理体制の強化について>
⑤情報管理体制の強化
当社グループが運営する事業においては、企業情報や個人情報を多く取り扱っており、これらの情報管理体制の一層の強化が重要であると考えております。
当社並びに当社子会社であるSMAP ENERGY LIMITEDの日本支店はプライバシーマークを取得しており、関連する個人情報保護法令等に基づき、個人情報の適切な取り扱いに十分配慮しながら事業を遂行しております。また、「個人情報保護方針」を含む社内規程の整備並びに運用の徹底、個人情報に関する内部監査や社内研修の実施を通じて、これらの情報については厳正に管理しております。引き続き社内システムの一層のセキュリティ強化、社内研修の整備等を図り、情報管理体制を強化していく方針です。
⑥システムの安定的な稼働
当社グループが提供する各種サービスはインターネットを利用したサービスであり、システムの安定的な稼働が不可欠です。そのため、「システム管理規程」に基づき、不正アクセス対策、コンピュータウィルス対策、データの管理等の徹底を図っております。データベースについては、原則としてクラウドサービス上で構築・運用をすることでセキュリティを担保しており、クラウドサービスでカバーされない範囲については、データベースの暗号化やセキュリティパッチの自動適用等、必要と考えられる対策を行っております。今後はユーザー数の増加や取り扱いデータ容量の拡大に伴うシステム投資、適切な人員体制の拡充を計画的に行うとともに、データのバックアップ体制強化についても努めてまいります。
⑦組織体制の強化
組織の拡大と成長速度を両立させるためには、意思決定のプロセスの迅速化と優秀な人材を確保し続けていくことが重要であると考えております。これらの課題に対処するために、当社は執行役員制度を導入し、取締役会と執行役員との間で経営の監督と執行の分離を行うことで、取締役会は重要な意思決定や、業務執行取締役・執行役員のパフォーマンス・執行状況の確認を中心に活動する一方、執行役員への権限委譲により意思決定を迅速化することで、経営効率の向上と組織力の強化を図っています。また、広報活動等を通じた自社知名度の向上、採用活動の強化による最適な人材の確保・育成、当社グループのミッション等の役職員への浸透を通じた当社としての行動規範の遵守、教育・研修の拡充等を通じた優秀な人材の確保と定着により一層努めてまいります。
⑧内部管理体制の強化
当社グループは社歴が浅く、内部管理体制も小規模です。今後継続的に当社グループが成長を遂げていく上では、求められる管理機能の拡大や高度化が見込まれるため、経営上のリスクを把握し、当該リスクを適切にコントロールするためにも、内部管理体制の強化を行っていく必要があると考えています。具体的には、当社グループのミッション等の役職員への浸透を通じた当社としての企業倫理の確立及び遵守、経営執行会議やコンプライアンス・リスク管理委員会を通じた経営上のリスクの適時・適切な把握、財務・人事・IR・法務等、それぞれの分野でコア人材となりうる高い専門性や豊富な経験を有している人材の採用、各種のコンプライアンス研修等社内教育による人材育成、業務のマニュアル化等によるリスクの低減等を通じて、内部管理体制のより一層の充実化を図っております。また、コンプライアンス・ホットラインの整備を行う他、「コンプライアンス規程」等の各種関連規程を導入し、外部専門家との連携を密に行うことで、健全なコンプライアンス体制の構築に取り組んでおります。このような取組みを継続的に実施することで、今後も更なる内部管理体制の強化に努めてまいります。
<財務面の強化について>
⑨財務体質の強化
当社グループの連結貸借対照表の状況は、2020年12月期末において有利子負債759百万円、純資産852百万円(有利子負債/純資産比率0.89倍)、現金及び預金は1,334百万円となっており、また、営業活動によるキャッシュ・フローは139百万円の収入となっております。このことから、財務体質の健全性については、現時点において特段の懸念は生じていないものと考えております。然しながら、ストック型収益基盤の強化を図るにあたり、「エネルギープラットフォーム事業」における効果的なプロモーション活動やパートナーシップの拡大、また、「エネルギーデータ事業」における「EMAP」及び「SMAP」の継続的なプロダクト開発や積極的なプロモーション・営業活動等に関して、成長をより加速させるための資金需要が生じる可能性があり、資金需要が顕在化した際には、適時に資金調達を検討してまいります。
当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載します。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示します。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスクについて
①電力小売市場について
当社グループが事業展開をしている電力業界においては、2016年4月の小売全面自由化以降、家庭向け(低圧電灯)、法人向け(特高・高圧)ともに切替数が順調に増加しております。また、新型コロナウイルス感染症の流行による社会全体でのデジタルトランスフォーメーション(DX)への要望が高まっており、エネルギープラットフォーム事業ではオンラインでの切替需要増加、エネルギーデータ事業では、電力ガス事業者からのDXサービスの導入需要増加等当社グループの業績にとっては好影響になる要素も多いと考えております。しかしながら、今後エンドユーザーの切替意欲の減退による切替数の鈍化や、新電力の競争力低下に伴うシェアの伸び悩み等の要因により、切替が進行しなかった場合、或いは電力ガス事業者に対するDXサービスの導入が順調に進展しなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②電力制度改革について
当社グループが事業展開するエネルギー分野においては、東日本大震災を契機に、再生可能エネルギー固定価格買取制度の創設、電力・ガス小売の全面自由化や送配電事業の法的分離の実施、ベースロード市場や容量市場の整備等大規模な改革が政府主導で行われてきました。そうした電力制度改革を更に推進すべく、2020年に電気事業法及び再エネ特措法の改正案が第201回通常国会で可決され、電力データの活用促進や分散型電源の推進に向けたアグリゲーター事業者の法的位置付けの整理、計量法規制の合理化、再生可能エネルギーの買取価格の市場連動型(FIP制度)の導入等が制定されており、今後も様々な制度変更が行われる見込みです。これらの制度変更は、市場の競争環境における公平性の担保を強化し、市場活性化を促す施策であり、当社グループにとっては追い風であると考えております。しかしながら、これら事業環境に影響を及ぼす規制緩和や制度改革が計画のとおりに進行しなかった場合や、想定外の形での法規制の変更等があった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③その他関連市場について
当社グループの展開するサービスは主にインターネットを通じて提供されているため、使用環境の改善や利用可能な端末の増加等を通じたインターネット関連市場の更なる発展が、当社グループの成長のためには重要であると考えています。また、当社グループがサービス展開を行う上での基盤となるクラウド関連市場やビッグデータ関連市場については、今後拡大が見込まれており、当社グループとして積極的に関連サービスを多角的に展開する方針です。
しかしながら、これら当社グループが事業展開する上での基盤となる関連市場が、新たな規制やその他予期せぬ要因により急激な変化に見舞われ、使用環境への制限等を通して発展が阻害された場合は、当社グループの事業展開に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容及び提供サービスに関するリスクについて
①電力・ガス会社への依存について
当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」及び「エネルギーデータ事業」においては、取引先の電力・ガス会社からの収益が主な収益源となっています。そのため、自然災害や突発的な事象等予期せぬ事態により取引先電力・ガス会社の経営状態が悪化した場合には、既存契約の条件見直しや解消、新規発注の停止等につながる可能性があります。当社グループとしては、取引先電力・ガス会社の分散を通じてリスクの低減に努めていますが、特定の時期にかかる事象が集中発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②大型案件について
当社グループの「エネルギーデータ事業」においては、顧客の個別ニーズや予算規模により受注案件が大型化した場合、売上計上が可能となるサービスのリリースに至るまでに長期間を要する可能性があります。一部大型案件の受注可否については、特定顧客の動向や判断に左右される部分が多いため、当該案件の受注が計画のとおりに進まなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③サービスのライフサイクルについて
当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」においては、当社サービスを経由して電力・ガス会社の契約切替を行ったユーザーの小売供給契約期間は基本的に1年間となっていますが、その後ユーザーの意思に従って契約の更新又は解約がなされます。当社としてはユーザーにとっての最適な小売供給契約の締結をサポートするために、契約締結後もカスタマーサポートの提供や営業活動を通じた顧客ニーズの継続的な把握等に努めており、追加的な電力・ガス会社の切替ニーズが発生した場合は、そのサポートも実施することで継続的な切替報酬を収受しております。しかしながら、当社提携外の電力・ガス会社からの営業活動等により、ユーザーが小売供給契約を当該電力・ガス会社に切替えた場合は手数料収入が減少するため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④競合他社の状況について
当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」において、家庭向け・法人向けユーザーに電力・ガス切替プラットフォームを展開する事業者は複数存在しており、また電力・ガス会社が自ら直接・間接的に顧客に対して営業行為を行っているため、一定程度の競争環境は存在するものと認識しております。前者の競合に対しては、提携電力・ガス事業者数の拡大、サービス価値の向上及びSEO対策や積極的なマーケティング施策をベースにしたオンラインでの集客力強化、パートナーシップの拡大によるオフラインでの集客力強化を図ってまいりました。後者の競合に対しては、複数の電力・ガス会社から最適な事業者を選択できるというサービスモデルを差別化要因として競争力の向上に努めてまいりました。その結果として、本書提出日現在での競争環境は限定的なものと認識しております。
「エネルギーデータ事業」においては、一部顧客管理システムや需給管理システムを対象にした商材展開を行っている事業者が存在しております。しかしながら、「EMAP」においては「エネルギープラットフォーム事業」で蓄積された独自データベースを活用しオンライン上での顧客獲得を推進させるという、ユニークなポジショニングでのサービス展開を実施しているため、本書提出日現在では競争環境は比較的軽微なものと認識しております。今後新たな競合が参入した場合も、電力・ガス比較サイト「エネチェンジ」で培ったマーケティングの知見や蓄積されたデータベース、データ解析技術等を差別化要因として、競合に対する優位性は保てるものと認識しております。また「SMAP」においては、今後スマートメーターの普及とともに国内外の競合他社が増加し、競争環境が激化してくる可能性がありますが、国内外の顧客企業へのサービス提供を通じて蓄積された独自データベースを活用したプロダクトの開発やデータ活用に関する知見、導入実績の積み上げにより競争力の向上に努めてまいります。
しかしながら、今後他に優れた技術やビジネスモデルを持ち合わせた競合の参入により、当社グループの事業領域における競争激化の結果として当社グループユーザーの解約や電力・ガス会社との契約単価の下落が生じた場合、若しくは当社グループサービスの導入が進まなかった場合は、当社グループの事業及び経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤検索エンジンのロジック変化について
当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」においては、検索エンジン(Google及びYahoo!Japan等)から多くのユーザーを集めており、今後についても、検索エンジンからの集客を強化すべくSEO対策等の必要な対策を実施する方針です。しかしながら、検索エンジンを提供する企業が、検索アルゴリズムのロジックを変更することで検索結果の表示順位が変更された場合、または新たな検索エンジンが主流になった場合、当社の提供サービスへの集客に影響が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥技術革新等について
当社グループが事業展開するエネルギー分野においては、電力ビッグデータのAI技術による解析の他、電気自動車、蓄電池といった分野における技術革新や、技術の普及に伴う価格競争力の強化によって、従来にはなかった様々なサービスの誕生が見込まれており、それに伴った顧客ニーズの変化も発生するものと予想されます。当社グループは、これらの変化に対応するため、Japan Energy Challengeというアクセラレーションプログラムの運営を通じた海外の有望な電気自動車、蓄電池制御関連のエネルギーベンチャーとの連携を率先して行う等情報収集・連携に努めております。また、それらの技術を実用化するために必要な技術者の確保や体制の整備に努めていますが、今後当社グループが技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、または、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦海外展開について
当社子会社のSMAP ENERGY LIMITEDは英国に本拠を置き、プロダクト開発や欧州地域における顧客開拓を実施しております。また、関連会社であるJapan Energy Capital 1 L.P.は主に中東地域での再生可能エネルギー発電所への投資を行っております。これらの取組みに関して、海外における当社グループの事業に係る法規制等の成立・改正等が実施された場合、政治情勢により事業運営に支障をきたす事態が生じた場合、予期せぬ自然災害、人為災害、テロ、戦争や感染症等が発生した場合等は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧システム障害等について
当社グループの事業は、電力やガス等のインフラ関連企業の継続的なサービス提供が前提となっています。また当社グループのサービスは、主にインターネットを介して提供されており、そのサービス基盤はインターネットに接続するための通信インフラに依存しております。従って、自然災害、人為災害、テロ、戦争等に伴いシステム障害が発生することでサービスの提供が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事業別コンティンジェンシープランを作成し、役職員に対して周知することでこれら不測の事態に対しての対応を定めていますが、かかる事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨JAPAN ENERGYファンドの投資コミット金額について
当社グループの「JEF」サービスにおいては、Japan Energy Capital合同会社より再生可能エネルギー発電所への電力データ解析に基づく運営効率化業務並びにファンド運営業務を独占的に受託しており、その報酬はJAPAN ENERGYファンドの投資コミット金額に連動します。従って、JAPAN ENERGYファンドの投資コミット金額が計画のとおりに増加しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)業績変動に関するリスクについて
①四半期毎の業績変動等について
当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」における売上高は、特定の電力・ガス会社の撤退等に伴う切替先の電力・ガス会社を探すユーザーの増加により切替報酬が一時的に増加するといった外部環境の要因や、引越の繁忙期における切替報酬増加、または暖冬・冷夏等の特定の気象状況下における切替報酬減少等、季節要因の影響により変動します。
また、「エネルギーデータ事業」における売上高は、新規受注や新規機能のサービスリリースに伴う一時的な売上が発生する等の要因で変動する傾向にあります。また人材の確保を円滑に進めるための採用活動に伴う費用や、新規ユーザーを獲得するための各種プロモーション施策に係る費用が一部四半期に集中することもあります。これらの要因により、収益が年間を通じて平準化されず、四半期決算の業績が変動する可能性があります。
第5期及び第6期の各四半期連結会計期間の業績は次のとおりです。
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第5期(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
||||
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
年度計 |
|
|
売上高(千円) |
381,328 |
320,342 |
284,017 |
282,422 |
1,268,110 |
|
売上総利益 (千円) |
280,983 |
232,682 |
191,634 |
173,052 |
878,353 |
|
営業利益又は (千円) |
38,862 |
△29,706 |
△126,045 |
△205,825 |
△322,714 |
|
|
第6期(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
||||
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
年度計 |
|
|
売上高(千円) |
420,139 |
383,645 |
448,393 |
461,016 |
1,713,196 |
|
売上総利益 (千円) |
315,851 |
282,589 |
358,658 |
366,746 |
1,323,846 |
|
営業利益又は (千円) |
42,231 |
△4,323 |
44,899 |
△29,487 |
53,320 |
なお、第5期の各四半期連結会計期間の数値については、有限責任 あずさ監査法人の四半期レビューは受けておりません。
また、第5期の各四半期連結会計期間の数値は、2019年7月に事業譲渡した「SIMチェンジ事業」の数値を含んだものとなっています。「SIMチェンジ事業」は事業セグメントにおいてはエネルギープラットフォーム事業に集計されておりました。「SIMチェンジ事業」の売上を除いた場合の第5期の各四半期連結会計期間における売上高は以下のとおりです。
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第5期 |
||||
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
年度合計 |
|
|
売上高(千円) |
353,872 |
297,718 |
279,428 |
282,422 |
1,213,441 |
②事業領域の拡大について
当社グループが取り組む事業領域では、市場の規制撤廃や新たな技術革新やサービスモデルの誕生が見込まれております。本書提出日時点において、当社グループの収益は、「エネルギープラットフォーム事業」及び「エネルギーデータ事業」による売上の影響を大きく受けている状況であるため、当社グループは、「エネルギーの4D」に則した新たな収益源を常に模索し、事業の拡大と安定化に取り組んでおります。しかしながら、事業領域を拡大し、現在の事業領域と異なる分野にも進出することで、人材採用、システム開発、営業体制構築等の投資を実施したにも関わらず、当該分野における収益化が進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③為替変動について
当社グループでは、海外子会社の現地通貨建ての財務諸表を日本円に換算した上で、連結財務諸表を作成しております。また、一部外貨建ての出資や債権債務、外貨建てで収入若しくは支出が発生する取引が存在します。従って、為替相場の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)コンプライアンス・法的規制等に関するリスクについて
①法的規制について
当社グループが事業展開する電力業界においては、電気事業及びその関連事業を行う者に対し電気事業法が課せられています。当社は小売電気事業者と一般ユーザーとの間の小売供給契約締結の「媒介」(注)を行う事業者として取引に関与しており、電気事業法及び同法施行規則で定められた義務や、経済産業省が公表する「電力の小売営業に関する指針」上のガイドラインに基づいて事業を行っています。また当社は、小売電気事業者として経済産業省へ登録(法人番号6010601047805)を行っております。
これら関連法規制やガイドラインへの対応については、外部弁護士の見解確認を踏まえて四半期毎のコンプライアンス・リスク管理委員会において慎重に判断を行っていますが、新たな法令等の制定や、当社グループが想定しない形での既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注) 「媒介」とは、「他人(小売電気事業者及び小売供給を受けようとする者)の間に立って、当該他人を当事者とする法律行為(小売り供給契約)の成立に尽力する事実行為」をいいます。また「媒介」の他にも「取次ぎ」「代理」のパターンがあり、「取次ぎ」とは「自己の名をもって、他人(小売供給契約)の計算において、法律行為(小売供給契約)をすることを引き受ける行為」をいい、「代理」とは、「他人(小売電気事業者)の名をもって、当該他人のためにすることを示して行う意思表示」をいいます(「電力の小売営業に関する指針」)。
②知的財産権について
当社グループが事業活動を行うにあたり、第三者が保有する商標権、著作権等の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っており、損害賠償請求や特許権侵害の訴訟等は現在ありません。しかしながら、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合、当該第三者より、損害賠償請求、使用差し止め請求、ロイヤリティの支払要求等が発生する可能性があり、その場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③情報管理について
当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」及び「エネルギーデータ事業」において、企業情報及び個人情報を取り扱っております。当社並びに当社子会社であるSMAP ENERGY LIMITEDの日本支店においては、個人情報取扱事業者として適切な管理体制を構築するため、プライバシーマークを取得し、他の情報についても厳密なセキュリティルールを施して管理することに加え、情報管理に関する社員研修も毎年受講必須とする等、社員教育・運用面の徹底もしております。また、情報管理に関しての適切な運用遵守状況を内部監査室が組織横断的に確認しております。しかしながら、万が一不測の事態によりこれらの情報が流出・漏洩した場合には、当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④メディアコンテンツの品質維持について
当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」で運営しているメディアのコンテンツとして、電気やガスをはじめとしたライフサポート領域に関する記事の制作の一部を外部委託しております。かかるコンテンツの内容については公開前に自社ガイドラインと照らし合わせた厳正なチェックを行っており、また、その運用状況を内部監査にて確認することで、著作権侵害やコンテンツの盗用等の事態を未然に防止するような体制を構築しております。しかしながら、当社の意図せざる事態によってメディアの一部コンテンツが第三者の権利侵害等を発生させていると認定された場合、当該第三者より使用差し止め請求や損害賠償請求、ロイヤリティの支払い要求等が発生する可能性があり、かかる場合において当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤広告掲載について
当社グループの「エネルギープラットフォーム事業」において掲載される広告については、当社独自の広告掲載基準による確認を実施し、景品表示法等の関連法令に違反する広告や公序良俗に反する広告の排除に努めています。しかしながら、人為的な過失等に起因して広告掲載内容に瑕疵が発生した場合や広告掲載が行われなくなった場合においては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥訴訟等について
当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」におけるウェブサービスにおいて、サービス利用規約を定めてサービス利用者からの同意を得ることで利用者との間での紛争防止に努めています。また、当社の社内規程として、「コンプライアンス規程」及び「リスク管理規程」を定め、役職員に対して当該規程を遵守させるとともに、コンプライアンス違反の恐れのある事象については経営執行会議やコンプライアンス・リスク管理委員会等に報告する仕組みを構築・運用することで、法令違反や損害賠償等の発生リスクの低減に努めています。しかしながら、当社グループの提供するサービスに関連して顧客、取引先、及びその他第三者との間で予期せぬトラブルが生じた結果、訴訟に発展する可能性があります。かかる訴訟の内容及び結果によっては、訴訟対応費用の発生や社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは、本書提出日現在、訴訟を提起されている事実はありません。
(5)事業運営体制に関するリスクについて
①特定人物への依存について
当社の代表取締役CEO、当社子会社のSMAP ENERGY LIMITED CEO、その他関連会社1社にて主要役職を兼職している城口洋平、そして当社の代表取締役COOの有田一平は、当社グループの事業に深く関与しており、また、電力業界及びスマートメーターデータ解析に関する深い造詣を有しており、経営戦略の構築やその実行に際して重要な役割を担っています。当社グループは、特定の人物に依存しない体制を構築すべく、代表取締役2名体制を取ることにより両代表間での役割分担や相互牽制機能を働かせており、またエネルギー事業に関しての深い知見・経験と、上場企業として求められる水準の開示・内部管理体制構築における造詣を有している社外取締役が過半数を占める取締役会体制の構築や執行役員制度の導入等による組織体制の強化を図り、両代表取締役に過度に依存しない経営体制の整備を進めています。しかしながら、何らかの理由により両氏の経営方針に重大な齟齬をきたした場合や、当社グループにおける業務執行が困難になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②人材の確保・育成について
当社グループでは、事業の持続的な成長を支える優秀な人材を確保することが事業運営上重要であると考えています。このため、新型コロナウイルス感染症の流行拡大を受け、「ウィズコロナ宣言」を発表し、テレワークの恒久化、オフィススペースの縮小、テレワーク手当の支給等、コロナ禍においてもより優秀な人材を惹きつけることができるような取組みを積極的に実施しております。今後も優秀な人材の採用を積極的に推進し、当社グループの企業理念及び経営方針を理解した社員の確保・育成を行ってまいりますが、雇用情勢の変化等により、計画のとおりに人材が確保できない場合には、事業運営や開発計画に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③社歴が浅いことについて
当社の前身となるCambridge Energy Data Lab Limitedは2013年6月に英国で設立されていますが、日本では当社は2015年4月に設立されており、設立後の経過期間は6年程度と社歴の浅い会社です。当社グループはストック型収益を重視し売上の予見性を高める方針であるとともに、予算統制の精度を高める各種施策を行っております。しかしながら、当社グループの経営計画には一定の不確定事象が含まれるため、過年度の業績及び実績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。
④小規模組織であることについて
当社グループは小規模組織であり、ガバナンス体制や内部管理体制は当社グループの組織規模に応じたものとなっています。これらの体制については組織規模に関わらず高い水準を構築・維持することが重要であるとの考えのもと、当社グループは、コーポレートガバナンス・コードを念頭に置いた内部管理体制の構築を図っています。具体的には、各専門分野における豊富な経験を有した人材を採用するとともに、各種のコンプライアンス研修等社内教育による人材育成を進めることで、事業規模の拡大や多様化に合わせ、内部理体制を充実・強化していく方針であります。しかしながら、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤海外子会社について
当社子会社のSMAP ENERGY LIMITEDは英国を本拠として、主にスマートメーターデータの解析ソリューションツールである「SMAP」の開発及び海外顧客向け営業を実施しております。世界的にスマートメーターの普及とそれに伴う電力データの解析ニーズは増えていくものと見込まれていますが、今後、現地における制度上の問題や競争環境の激化等の要因により、同社の経営成績が悪化した場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、SMAP ENERGY LIMITEDのガバナンス・内部統制に関しては、当社代表取締役CEOの城口洋平がSMAP ENERGY LIMITEDのCEOを兼務したうえで、原則として当社と同等の基準を適用し、その遵守状況を内部監査にて確認しております。しかしながら、現地において内部統制上の問題を抱えたり、法令に違反したりする可能性があります。かかる事態において問題の早期発見と是正措置の実施ができない場合、当社グループの信頼性や企業イメージの低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)その他のリスクについて
①減損会計の適用について
当社グループでは、継続的に行う開発投資に係る人件費等の一部をソフトウエア資産として計上しております。今後、これらの資産を利用して提供するサービスの収益性が著しく低下した場合、当該資産について減損損失の計上が必要となる可能性があります。かかる場合において、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②Japan Energy Capital 1 L.P.への出資について
当社が出資するJapan Energy Capital 1 L.P.は、主として太陽光発電所に代表される再生可能エネルギー発電所への投資を海外にて行う、ケイマン籍のリミテッドパートナーシップ形態のファンドです。当該ファンドはキャピタルコール方式をとっており、当社の出資コミットは2020年12月末時点において最大5百万米ドル(既出資額は1.8百万米ドル)です。本ファンドにおいては、当社グループは電力データ解析技術を活用し、ファンドの投資先である発電所の運営効率化業務を積極的に果たしていくことが期待されており、当該業務を独占的に受託する業務委託先として、この種の枠組みでの事業を日本で運営する際に求められる必要な拠出額を出資コミットしております。そのため、その役割に応じて追加の出資コミットメントが要請される可能性があります。当社としましては、当該要請に対しては、取締役会において慎重な議論を経て適切に判断してまいります。また、かかる出資は、一定期間以上稼働実績のある太陽光発電所を中心とした既設再生可能エネルギー発電所を主な投資対象とし、米国ドルでの決済とする等、為替リスクを限定的とするストラクチャーを採用したうえで、想定されるリスク・リターンを精緻に分析した上で行われていますが、当該ファンドにおける投資実行の遅れ、日射量の低下に伴う売電収入の減少、自然災害・テロ等の発生による投資対象資産の損傷、地政学的リスクの高まり等による対象国における再生可能エネルギー発電事業への影響等により、当初想定されたリターンが得られず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③配当政策について
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、現状では財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると考えています。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針です。
内部留保資金については、財務体質の強化と人員の拡充・育成をはじめとした収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に活用する方針です。
将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び当社グループを取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針ですが、本書提出日現在において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。
④税務上の繰越欠損金について
当事業年度末には、当社に税務上の繰越欠損金が存在しております。しかしながら、当社の事業が順調に推移し繰越欠損金が解消された場合や、税法改正により繰越欠損金による課税所得の控除が認められなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
⑤ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について
当社では、取締役、執行役員、従業員、子会社取締役、子会社従業員、外部協力者に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は2,031,843株であり、発行済株式総数5,952,458株と潜在株式数2,031,843株の合計の25.4%に相当しておりますが、その多くは経営陣及び主要従業員の長期にわたるコミットメントを目的としたものであり、権利行使期間に一定の制限が設けられています。具体的には、当社代表取締役CEOの城口洋平に対して付与された新株予約権のうち140,000個は、2018年から10年間にわたり段階的に権利行使可能となる条件のため、当社グループの長期にわたる価値向上に対してのコミットメントを担保するものです。また、植野泰幸に対して付与された新株予約権210,000個は、いわゆる時価発行新株予約権信託®であり、2018年から5年間にわたり、当社取締役(代表取締役CEOの城口洋平を除く)、執行役員、従業員、子会社取締役、子会社従業員、外部協力者に段階的に付与し権利行使可能となる条件です。時価発行新株予約権信託®の活用により、長期にわたるコミットメントの強化、並びに人材採用力の強化、現金での給与・賞与等の報酬水準を抑制する効果が見込まれるため、当社グループの業績においても重要な影響を持ちます。これらの新株予約権を除くと、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は981,843株であり、発行済株式総数5,952,458株と潜在株式数2,031,843株の合計の12.3%に相当します。本書提出日現在においては、更なる新株予約権の新規発行は予定しておりませんが、競争環境等の変化により今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、既存株主が保有する株式の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
⑥大規模な自然災害等について
当社グループは、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、本書提出日現在、世界的に流行している新型コロナウイルス感染症は、収束時期が依然として不透明であります。当社グループでは新型コロナウイルス感染症の流行以降、迅速にリモートワークを推奨しており、柔軟に事業を継続できる体制の整備に努めております。また、当社グループのビジネスへの影響は軽微であると認識しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の流行長期化に伴い、度重なる緊急事態宣言の発令や外出自粛等により法人ユーザーの電力使用量が極端に落ち込んだり、当社グループ顧客の業績への影響が想定を超えて拡大したりした場合には、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,626,457千円となり、前連結会計年度末に比べ687,191千円増加しました。これは主に現金及び預金の増加633,755千円、売掛金の増加99,962千円等によるものです。
また、当連結会計年度末における固定資産は340,737千円となり、前連結会計年度末から206,286千円増加いたしました。これは主にソフトウエアの増加33,430千円、投資有価証券の増加176,557千円、差入保証金の増加15,000千円がある一方、建物及び構築物の減少10,511千円、工具、器具及び備品の減少10,132千円によるものです。
この結果、総資産は、1,967,194千円となり、前連結会計年度末に比べ893,478千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は364,350千円となり、前連結会計年度末に比べ128,635千円増加いたしました。これは主に、未払消費税等の増加53,292千円、販売促進引当金の増加62,981千円、預り金の増加11,311千円がある一方、前受金の減少10,836千円によるものです。
また当連結会計年度末における固定負債は750,380千円となり、前連結会計年度末に比べ254,990千円増加いたしました。これは主に、長期借入金の増加750,000千円がある一方、転換社債型新株予約権付社債の転換による減少495,000千円によるものです。
この結果、負債合計は、1,114,730千円となり、前連結会計年度末に比べ383,625千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は852,464千円となり、前連結会計年度末に比べ509,853千円増加いたしました。これは主に転換社債型新株予約権付社債の転換により、資本金が247,500千円、資本剰余金が247,500千円それぞれ増加、新株の発行により、資本金が16,547千円、資本剰余金が16,547千円それぞれ増加したことによるものです。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、2月以降の新型コロナウイルス感染症の影響により、景気の減速傾向が強まっており、高い水準にあった企業収益及び改善傾向にあった雇用情勢や個人消費は、感染症による影響で、先行きは厳しい状況が続くと見込まれます。
当社グループが属するエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、2020年12月25日に菅政権より「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が14の成長分野と共に公表され、脱炭素社会の実現に向けた現状の課題と今後の取組が示されました。グリーン成長戦略の中心となる電力業界においては、2016年4月の電力の小売全面自由化以降、当社のベース市場である電力販売額が約14兆円(注1)へと拡大しております。電力ガス事業者間の競争激化や国全体での電力切替件数の増加を背景とした電力業界の広告予算拡大により、当社の「エネルギープラットフォーム事業」の対象市場は拡大しているものと見ており、また「エネルギーの4D」と呼ばれるエネルギー業界の構造改革へ対応するための新規システム投資需要を背景としたエネルギー業界のIT予算増加により、当社の「エネルギーデータ事業」の対象市場は拡大しているものと見ております。また、新型コロナウイルス感染症の流行による社会全体でのデジタル・トランスフォーメーション(DX)ニーズの高まりにより、「エネルギープラットフォーム事業」ではオンラインでの切替需要増加、「エネルギーデータ事業」では、電力ガス事業者からのDXサービスの導入需要増加など当社業績にとっては好影響になる要素も多い状況です。他方で、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発令や外出自粛等により「エネルギープラットフォーム事業」における法人ユーザーを中心として一時的に電力需要が落ち込むなど、当社業績に一部マイナスの影響もございます。
このような環境のもと、当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」において展開する「エネチェンジ」(家庭向け電力・ガス切替プラットフォーム)及び「エネチェンジBiz」(法人向け電力・ガス切替プラットフォーム)の2サービスについて、自社チャネルで培った電力ガス切替プラットフォームのシステムを他社に提供するパートナー戦略の推進や、新電力から新電力への切替サポート等のユーザビリティの向上を目的とした新機能の開発に注力してまいりました。
また、「エネルギーデータ事業」においては、主に電力ガス事業者向けにクラウド型で提供する、デジタルマーケティング支援SaaS「EMAP(イーマップ = Energy Marketing Acceleration Platform)」及び電力スマートメーターデータ解析SaaS「SMAP(スマップ = Smart Meter Analytics Platform)」、電力データ解析技術を利用した稼働中の再生可能エネルギー発電所分析・運営管理サービス「JEF(ジェフ)」の3サービスにつき、継続的な新規機能開発と更なる電力ガス事業者への営業強化に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の当社グループの経営成績は、売上高1,713,196千円(前期比35.1%増)、営業利益53,320千円(前期は営業損失322,714千円)、経常利益6,216千円(前期は経常損失304,907千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は16,743千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失238,375千円)となっております。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
(I)エネルギープラットフォーム事業
「エネルギープラットフォーム事業」においては、パートナー企業数の拡大に伴い家庭・法人共に切替件数が堅調に推移し、継続報酬対象ユーザー数は前連結会計年度比48.0%増の243,215件となりました。また切替時の一時報酬の増加等により、ARPU(注2)は前連結会計年度比6.6%増の4,067円となりました。以上の結果、セグメント売上高は989,166千円(前期比45.2%増)、セグメント利益は190,208千円(前期比494.1%増)となりました。
(II)エネルギーデータ事業
「エネルギーデータ事業」においては、デジタルマーケティング支援SaaS「EMAP」、電力スマートメーターデータ解析SaaS「SMAP」、再生可能エネルギー発電所分析・運営管理サービス「JEF(ジェフ)」の既存顧客への継続的なサービス提供や新規顧客への導入を進めた結果、顧客数は前連結会計年度比28.0%増の32社となりました。他方、既存顧客へのクロスセルと低単価プロダクトの導入の進捗によりARPUは前連結会計年度比3.5%減の22,626千円となりました。以上の結果、セグメント売上高は724,029千円(前期比23.4%増)、セグメント利益は214,941千円(前期比-%)となりました。
(注)1.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」の電力販売額より算出。
2.Average Revenue Per Userの略称であり、1継続報酬対象ユーザー当たりの平均収益を意味しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,334,449千円(前連結会計年度末204,693千円)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は139,545千円(前期は310,049千円の支出)となりました。主な増加要因は、減価償却費の計上45,669千円、販売促進引当金の増加62,981千円等であり、主な減少要因は、売上債権の増加99,962千円、ギフトカード失効益の計上10,026千円、前受金の減少10,836千円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は294,696千円(前期は16,868千円の支出)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出11,786千円、無形固定資産の取得による支出64,547千円、投資有価証券の取得による支出203,179千円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は1,285,951千円(前期は125千円の支出)となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入750,000千円、株式の発行による収入31,051千円、使途制限付預金の払戻による収入495,000千円等であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
エネルギープラットフォーム事業 |
989,166 |
145.2 |
|
エネルギーデータ事業 |
724,029 |
123.4 |
|
合計 |
1,713,196 |
135.1 |
(注)1.なお、最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社Looop |
271,857 |
21.4 |
273,656 |
16.0 |
|
東京瓦斯株式会社 |
203,242 |
16.0 |
222,727 |
13.0 |
|
サミットエナジー株式会社 |
135,883 |
10.7 |
89,685 |
5.2 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与えています。これらの見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき合理的と考えられる要因を考慮したうえで行っていますが、結果としてこのような見積りと実績が異なる場合があります。
② 財政状態及び経営成績等に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,626,457千円となり、前連結会計年度末に比べ687,191千円増加しました。これは主に現金及び預金が、広告宣伝活動や人材採用等に伴う現金流出があった一方で、長期借入金による資金調達750,000千円や新株の発行等があり633,755千円増加したこと、また、売掛金が売上の増加に伴い99,962千円増加したこと等によるものです。
また、当連結会計年度末における固定資産は340,737千円となり、前連結会計年度末に比べ206,286千円増加しました。これは主に、投資有価証券がJapan Energy Capital 1 L.P.への出資により176,557千円増加したこと、ソフトウエア資産が自社開発により33,430千円増加した一方で、オフィス縮小に伴う建物及び構築物、工具、器具及び備品の固定資産除却損が発生したこと等により有形固定資産残高が20,643千円減少したことによるものです。
この結果、資産合計は1,967,194千円となり、前連結会計年度末に比べ893,478千円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は364,350千円となり、前連結会計年度末に比べ128,635千円増加しました。これは主に、短期借入金が当座貸越契約の一部実行による増加9,900千円、販売促進を目的として行う特典付与による支出に備えるために新たに計上した販売促進引当金の増加62,981千円、及び、未払消費税等の増加53,292千円があった一方、前受金の減少10,836千円等があったことによるものです。
また、当連結会計年度末における固定負債は750,380千円となり、前連結会計年度末に比べ254,990千円増加しました。これは主に長期借入金の増加750,000千円がある一方、転換社債型新株予約権付社債の転換により495,000千円減少したものです。
この結果、負債合計は1,114,730千円となり、前連結会計年度末に比べ383,625千円増加しました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は852,464千円となり、前連結会計年度末に比べ509,853千円増加しました。これは主に転換社債型新株予約権付社債の転換により、資本金が247,500千円、資本剰余金が247,500千円それぞれ増加、新株の発行により、資本金が16,547千円、資本剰余金が16,547千円それぞれ増加したことによるものです。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度において、売上高は1,713,196千円(前連結会計年度は1,268,110千円)となりました。主な要因は、エネルギープラットフォーム事業においては、パートナー企業数の拡大に伴い家庭・法人共に切替件数が堅調に推移し、継続報酬対象ユーザー数が前連結会計年度比48.0%増の243,215件となったことに加え、切替時の一時報酬の増加等によりARPUが前連結会計年度比6.6%増の4,067円となったことによります。またエネルギーデータ事業においては、デジタルマーケティング支援SaaS「EMAP」、電力スマートメーターデータ解析SaaS「SMAP」、再生可能エネルギー発電所分析・運営管理サービス「JEF」の既存顧客への継続的なサービス提供や新規顧客への導入を進めた結果、顧客数は前連結会計年度比28.0%増の32社となった一方、低単価プロダクトの導入進捗によりARPUが前連結会計年度比3.5%減の22,626千円となったことによります。エネルギープラットフォーム事業における継続報酬対象ユーザー数及びARPU、エネルギーデータ事業における顧客数及びARPUの推移については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度において、売上原価は389,349千円(前連結会計年度は389,756千円)となりました。エネルギーデータ事業の事業拡大に伴う開発人員の人件費計上の増加があったものの、ソフトウエア資産の償却費負担が減少しております。
この結果、売上総利益は1,323,846千円(前連結会計年度は878,353千円)となりました。当連結会計年度においては、売上高の増加に比して売上原価の増加が抑えられたことで、前連結会計年度より売上総利益が増加しております。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は1,270,526千円(前連結会計年度は1,201,068千円)となりました。主な要因は、事業拡大に伴う人件費等の増加、積極的な販売活動による販売手数料の増加、販売促進を目的として行う特典付与による支出の将来発生見込額に対する引当金の新規発生及び各種新規事業のための成長投資等による費用発生によるものです。
この結果、営業利益は53,320千円(前連結会計年度は営業損失322,714千円)となりました。
(経常損失)
当連結会計年度において、営業外収益が14,295千円(前連結会計年度は18,224千円)、営業外費用が61,398千円(前連結会計年度は416千円)となりました。営業外費用増加の主な要因は、上場関連費用及び持分法による投資損失の発生によるものです。
この結果、経常利益は6,216千円(前連結会計年度は経常損失304,907千円)となりました。
(税金等調整前当期純損失)
当連結会計年度において、特別損失を18,675千円(前連結会計年度は86,891千円)計上しております。これは、新型コロナ感染症の影響でリモートワークを推進した結果、本社面積を減少させたことに伴い設備の除却損として13,425千円計上していること、及び本社賃貸借契約の変更に伴う賃貸借契約解約損として5,250千円計上したことによります。
この結果、税金等調整前当期純損失12,458千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失241,799千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度において、法人税、住民税及び事業税が4,284千円(前連結会計年度は3,465千円)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純損失が16,743千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失が238,375千円)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,334,449千円(前連結会計年度末204,693千円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は139,545千円(前期は310,049千円の支出)となりました。収入の主な要因は、減価償却費45,669千円、持分法による投資損失23,600千円及び販売促進引当金の増加62,981千円であり、支出の主な要因は、売上債権の増加99,962千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は294,696千円(前期は16,868千円の支出)となりました。主な要因は、投資有価証券の取得による支出203,179千円、自社開発のソフトウエア資産に係る支出である無形固定資産の取得による支出64,547千円、オフィス改装等に係る有形固定資産の取得による支出11,786千円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は1,285,951千円となりました(前期は125千円の支出)。主な増加要因は、長期借入れによる収入750,000千円、株式の発行による収入31,051千円、及び、使途制限付預金の払戻による収入495,000千円等によるものです。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであり、当該リスクが顕在化した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。そのため、当社グループは、市場動向等を注視し、組織体制の整備、リスク管理体制の強化、成長事業領域への継続投資等を行い、当社グループの経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減する対応を適切に行っていきます。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものには、エネルギープラットフォーム事業における人件費並びに広告宣伝費、及びエネルギーデータ事業におけるソフトウエア制作に係る人件費及び外注費のほか、コーポレート部門における人件費等があります。
当社グループでの資金需要は、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等でバランスよく調達していくことを基本方針としており、資金需要の金額や資金使途に応じて柔軟に検討を行う予定です。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,334,449千円となっています。当社グループは当連結会計年度末において複数の取引銀行との当座貸越契約を締結しており、資金調達手段を確保することにより、変動する資金需要に対応し、流動性リスクをコントロールしております。
⑤ 経営者の問題認識及び今後の方針について
当社グループが認識する課題等について、経営者は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題に対処していく必要があると認識しております。これらの課題に対し、経営者は市場ニーズや事業環境の変化に関する情報の入手、分析を行い、現在及び将来の事業環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を適切に配分し、対応策を実施していく方針です。
⑥ 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。
該当事項はありません。
該当事項はありません。